特許第6192212号(P6192212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192212
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】標示体、及び、標示体の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/00 20160101AFI20170828BHJP
【FI】
   E01F9/00
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-141354(P2013-141354)
(22)【出願日】2013年7月5日
(65)【公開番号】特開2015-14137(P2015-14137A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】597068179
【氏名又は名称】株式会社シクソン
(73)【特許権者】
【識別番号】505389695
【氏名又は名称】首都高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510106968
【氏名又は名称】首都高メンテナンス東東京株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鐵住金建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 紘治
(72)【発明者】
【氏名】和田 新
(72)【発明者】
【氏名】吉川 直志
(72)【発明者】
【氏名】森内 正寿
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 明孝
(72)【発明者】
【氏名】小川 智洋
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 知親
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−165013(JP,U)
【文献】 実公昭52−021032(JP,Y2)
【文献】 特開昭63−293585(JP,A)
【文献】 特開2002−348818(JP,A)
【文献】 実開昭59−053304(JP,U)
【文献】 特開2010−024677(JP,A)
【文献】 特開平07−295487(JP,A)
【文献】 特開2013−174085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−11/00
G02B 5/12−5/136
G09F 13/00−13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置対象に設置される、板材に表面処理を施した標示体であって、
アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランおよび無機顔料を含有する第1の無機塗料により塗装対象物である前記板材に形成され図柄模様の反射層と、
アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランを含有する、透光性を有する第2の無機塗料により前記反射層に形成された第1の厚みの透光層と、
前記透光層の前記第2の無機塗料が硬化する前に、前記第1の厚みよりも大きい半径の球形状の再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズを前記透光層に散布され、該ガラス製透明ビーズの一部分を前記透光層に埋設され、且つ、前記ガラス製透明ビーズおよび前記透光層の全部または一部に、前記第2の無機塗料が塗布された、少なくとも該ガラス製透明ビーズを覆う透光性且つ硬性のガラス質の保護層と、を有し、
前記板材は、設置対象に向き合う面に固定手段としての接着剤により前記設置対象に接着される接着面を備え、または/および、前記設置対象に固定手段としての固定具により固定される被固定部を有することを特徴とする標示体。
【請求項2】
示体を設置対象に設置する、標示体の設置方法であって、
アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランおよび無機顔料を含有する第1の無機塗料を塗装対象物である板材に塗布して、図柄模様の反射層を形成する工程と、
アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランを含有する、透光性を有する第2の無機塗料を前記反射層に塗布して、第1の厚みの透光層を形成する工程と、
前記透光層の前記第2の無機塗料が硬化する前に、且つ、前記第2の無機塗料が粘着性を有するときに、前記第1の厚みよりも大きい半径の球形状の再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズを前記透光層に散布し、該ガラス製透明ビーズの一部分を前記透光層に埋設し、且つ、該ガラス製透明ビーズの他の部分を前記透光層から外方に露出させる工程と、
前記ガラス製透明ビーズおよび前記透光層の全部または一部に、前記第2の無機塗料を塗布して、少なくとも該ガラス製透明ビーズを覆う、前記第1の厚みよりも薄い第2の厚みの透光性且つ硬性のガラス質の保護層を形成することで、標示体を形成する工程と、
固定手段としての接着剤により前記標示体の板材の設置対象に向き合う面である接着面前記設置対象に着する、または/および、固定手段としての固定具により、前記標示体の板材の被固定部を前記設置対象に固着する工程と、
を有することを特徴とする標示体の設置方法。
【請求項3】
前記板材の熱膨張率は、前記設置対象物と略同じ熱膨張率であることを特徴とする請求項2に記載の標示体の設置方法。
【請求項4】
前記接着剤は、エポキシ樹脂と変成シリコーン樹脂の混合剤であり、それぞれ略同じ比率で混合されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の標示体の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標示体、及び、標示体の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路、トンネルの内壁面などに、塗料を塗布して作製された標示体(標示材)が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−1759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、道路などの標示体の設置現場にて、塗装により標示体を作製する場合、養生、塗布、清掃などに比較的長い施工時間を要することがある。車両の通行量の多い設置現場などでは、安全性などを考慮して、短時間に簡単に標示体を設置することができる標示体の設置方法が望まれている。
【0005】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、良好な視認性を有し、設置対象に確実に設置可能な標示体を提供すること、設置対象に確実に標示体を固着して設置することができる標示体の設置方法を提供すること、などを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の標示体は、設置対象に設置される、板材に表面処理を施した標示体であって、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランおよび無機顔料を含有する第1の無機塗料により塗装対象物である前記板材に形成され図柄模様の反射層と、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランを含有する、透光性を有する第2の無機塗料により前記反射層に形成された第1の厚みの透光層と、前記透光層の前記第2の無機塗料が硬化する前に、前記第1の厚みよりも大きい半径の球形状の再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズを前記透光層に散布され、該ガラス製透明ビーズの一部分を前記透光層に埋設され、且つ、前記ガラス製透明ビーズおよび前記透光層の全部または一部に、前記第2の無機塗料が塗布された、少なくとも該ガラス製透明ビーズを覆う透光性且つ硬性のガラス質の保護層と、を有し、前記板材は、設置対象に向き合う面に固定手段としての接着剤により前記設置対象に接着される接着面を備え、または/および、前記設置対象に固定手段としての固定具により固定される被固定部を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の標示体の設置方法は、標示体を設置対象に設置する、標示体の設置方法であって、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランおよび無機顔料を含有する第1の無機塗料を塗装対象物である板材に塗布して、図柄模様の反射層を形成する工程と、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランを含有する、透光性を有する第2の無機塗料を前記反射層に塗布して、第1の厚みの透光層を形成する工程と、前記透光層の前記第2の無機塗料が硬化する前に、且つ、前記第2の無機塗料が粘着性を有するときに、前記第1の厚みよりも大きい半径の球形状の再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズを前記透光層に散布し、該ガラス製透明ビーズの一部分を前記透光層に埋設し、且つ、該ガラス製透明ビーズの他の部分を前記透光層から外方に露出させる工程と、前記ガラス製透明ビーズおよび前記透光層の全部または一部に、前記第2の無機塗料を塗布して、少なくとも該ガラス製透明ビーズを覆う、前記第1の厚みよりも薄い第2の厚みの透光性且つ硬性のガラス質の保護層を形成することで、標示体を形成する工程と、固定手段としての接着剤により前記標示体の板材の設置対象に向き合う面である接着面前記設置対象に着する、または/および、固定手段としての固定具により、前記標示体の板材の被固定部を前記設置対象に固着する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、良好な視認性を有し、設置対象に確実に設置することができる標示体を提供することができる。また、本発明によれば、良好な視認性の標示体を、設置対象に確実に固着して設置可能な標示体の設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る標示体の一例を示す図、(a)は設置対象に設置した標示体の一例を示す正面図、(b)は(a)に示した標示体のB−B線に沿った断面の一例を示す図。
図2】ボルトとナットなどの固定具と接着剤により設置対象に固着させた標示体の一例を示す断面図。
図3】本発明の実施形態に係る標示体の設置例を示す図、(a)は設置対象物としてのコンクリート製のトンネルの壁に設置された標示体の一例を示す図、(b)は設置対象としての縁石に設置された標示体の一例を示す図、(c)は設置対象としての金属製のガードレールに設置された標示体の一例を示す図。
図4】本発明の実施形態に係る標示体の設置方法の一例を示すフローチャート。
図5】本発明の実施形態に係る標示体の製造方法の一例を示す図、(a)は塗装対象物の板材の断面図、(b)は下地層等の断面図、(c)は反射層等の断面図、(d)は透光層等の断面図、(e)は再帰反射体としてのビーズ散布時の断面図、(f)は保護層形成時の標示体の断面図。
図6】本発明の実施形態に係る標示体の設置方法の一例を示す図、(a)はアンカーボルトなどの固定具を設けた設置対象物の一例を示す断面図、(b)は孔部を有する標示体を設置対象に設置する工程の一例を示す図、(c)は接着剤および固定具により設置対象に固着された標示体の一例を示す断面図。
図7】本発明の実施形態に係る標示体1の変形例を示す図、(a)は凹凸形状の断面の板材を有する標示体の一例を示す断面図、(b)は凹凸形状の断面の板材を有する標示体の他の例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る標示体、および、標示体の設置方法を、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る標示体1の一例を示す図である。詳細には、図1(a)は設置対象である設置対象物30に設置した標示体1の一例を示す正面図、図1(b)は図1(a)に示した標示体1のB−B線に沿った断面の一例を示す図である。
【0012】
本発明の実施形態に係る標示体1は、設置対象物30に設置される、板材9に表面処理を施した標示体1である。この標示体1は、板材9と、反射層3と、透光層4と、再帰反射体としてのガラス製透明ビーズ5と、保護層6と、などを有する。
板材9は、例えば、鉄、アルミニウムなどの金属板、セメント板、などの所定の材料により形成されている。板材9は、任意の形状を採用することができる。本実施形態では、板材9は矩形状に形成されている。板材9は、後述するように、設置対象物30と略同じ熱膨張率の材料により構成されていることが好ましい。
【0013】
反射層3は、顔料を含有する第1の塗料により塗装対象物である板材9に形成されている。
透光層4は、透光性を有する第2の塗料により反射層3に形成され、第1の厚みを有する。
【0014】
保護層6は、透光層4の第2の塗料が硬化する前に、第1の厚みよりも大きい半径の球形状の再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズ5を透光層4に散布し、そのガラス製透明ビーズ5の一部分を透光層4に埋設し、且つ、そのガラス製透明ビーズ5の他の部分を透光層4から外方に露出させ、ガラス製透明ビーズ5および透光層4の全部または一部に、第2の塗料を塗布して、少なくともそのガラス製透明ビーズ5を覆う透光性且つ硬性のガラス質である。
【0015】
板材9は、設置対象である設置対象物30に向き合う面に固定手段20としての接着剤25により設置対象である設置対象物30に接着される接着面9aを備える。また、板材9は、設置対象である設置対象物30に固定手段20としての固定具(ボルト、ナットなど)により固定される被固定部(孔部21p)を有する。
【0016】
<コンクリート構造物などの設置対象物30に設置される標示体1>
次に、コンクリート構造物などの設置対象物30に標示体1を設置する一例を説明する。この場合、標示体1の板材9は、例えば、設置対象物30と略同じ熱膨張率の材料で形成されていることが好ましく、具体的には、板材9としてセメント板などを採用することができる。板材9としてのセメント板に塗布する塗料として、無機塗料を採用した標示体1の一例を説明する。セメント板に無機塗料を塗布することで、セメント板と無機塗料との間の接着性、伸縮性などが良好である。
【0017】
図1に示したように、標示体1は、塗装対象物としての板材9に表面処理(全反射処理)を施すことにより構成されている。
詳細には、標示体1は、板材9と、下地層2と、反射層3と、透光層4と、再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズ5と、保護層6と、などを有する。
【0018】
板材9は、本実施形態ではセメント板である。板材9は、任意の形状を採用することができる。本実施形態では、板材9は矩形状に形成されている。
この板材9は、伸縮性や接着性の観点から設置対象物30と略同じ熱膨張率の材料により構成されていることが好ましい。
【0019】
下地層2は、図1(b)に示したように、塗装対象物である板材9の表面に材料2T(本実施形態では無機材料2T)により形成されている。詳細には、下地層2は、板材9と反射層3との間の密着性を向上させるために形成され、モルタルなどの無機材料2Tを塗布して形成されている。この下地層2は、必要に応じて形成され、必要でない場合には形成しなくともよい。
【0020】
反射層3は、図1(b)に示したように、下地層2に第1の塗料として塗料3T、本実施形態では、無機塗料3Tが塗布されて形成されている。また、反射層3は、図1(a)に示したように、所定の図柄模様に形成されている。図柄模様としては、矩形状などの図形、文字、直線、記号、ヒト形、アイコン、などを挙げることができる。
無機塗料3Tは、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランおよび無機顔料を含有している。
【0021】
アルコキシシロキサンは、Si−O結合(シロキサン結合)を有し、且つ、分子内にアルコキシ基を有する。アルコキシシロキサンは、空気中の水分などと反応することで、高硬性のガラス質材となる。オルガノシランは、ケイ素化合物であり、空気中の水分などと反応することで、高硬性のガラス質材となる。無機顔料としては、赤、青、黄、オレンジ、緑、白、などの所定の色の無機材料を採用することができる。
【0022】
無機塗料3T(第1の無機塗料)は、例えば、アルコキシシロキサンが33〜41重量%、オルガノシランが8.3〜10.3重量%であり、好ましくは、アルコキシシロキサンが35〜39重量%、オルガノシランが9.0〜9.5重量%である。
【0023】
無機塗料3Tは、不燃性、耐久性、耐候性などの各種条件を考慮すれば、無機塗料(例えば、(株)シクソン社製の中塗り用TSコートKT(色付))を用いることが好ましい。この無機塗料3Tは、一液性で無溶剤の塗料であり、不燃性である。また、この無機塗料3Tは、空気中の水分などと反応して高硬性のガラス質材となる。
【0024】
透光層4は、図1(b)に示したように、反射層3に、第2の塗料としての塗料4T、本実施形態では無機塗料4Tが塗布されて形成されている。透光層4は、厚さが20μm〜50μm程度である。
【0025】
この無機塗料4T(第2の無機塗料)は、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランを含有しており、透光性を有する。
無機塗料4Tは、例えば、アルコキシシロキサンが77〜95重量%、オルガノシランが5〜11.3重量%であり、好ましくは、アルコキシシロキサンが82〜90重量%、オルガノシランが2.0〜5.0重量%である。
【0026】
無機塗料4Tは、不燃性、耐久性、耐候性などの各種条件を考慮すれば、無機塗料(例えば、(株)シクソン社製の上塗り用TSコートKT(クリア))を用いることが好ましい。この無機塗料4Tは、一液性で無溶剤の塗料であり、不燃性である。この無機塗料4Tは、空気中の水分などと反応して高硬性のガラス質材となる。
【0027】
また、透光層4には、図1(b)に示したように、球形状の再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズ5が散布された状態で部分的に埋設されている。詳細には、本実施形態では、透明ビーズ5は、略同一平面状に散布された状態で固定されている。透明ビーズ5の半径は、透光層4の厚みよりも大きく設定されている。透明ビーズ5は、平均直径が100μm〜1000μmである。また、透明ビーズ5は、屈折率が1.5〜2.6程度である。
【0028】
保護層6は、透光層4と同じ形成材料の無機塗料4Tを、ビーズ5および透光層4に塗布し、このビーズ5および透光層4を覆うように形成されている。この保護層6は、透光性を有し、硬質のガラス質となっている。この保護層6は、透光層4の厚みよりも薄くなるように形成されている。保護層6は、具体的には、厚さが10μm〜20μmm程度である。このため、図1(b)に示したように、標示体1の表面には、ビーズ5の形状に応じた凹凸面が形成されている。
【0029】
標示体1は、透光層4と保護層6とが同一の無機塗料4Tにより形成されており、透光層4と保護層6との間に、透明ビーズ5が略同一平面状に散布された状態で、固定されている。つまり、透光層4と保護層6とが無機塗料4Tの硬化により一体となるように構成されている。また、透光層4と保護層6は、無機塗料4Tにより形成されており、空気中の水分などと反応して高硬性のガラス質となっている。
【0030】
標示体1は、図1(a)、図1(b)に示したように、再帰性反射体としての球形状の透明ビーズ5を有する。図1(b)に示したように、例えば、車のライトなどの外部光源から光が透明ビーズ5に入射すると、球形状の透明ビーズ5内部で屈折し、光源の方向へ出射される(再帰反射性)。例えば図1(a)に示したように、各種形状の交通標識などに本発明に係る標示体1を採用することで、視認性が良好となる。
【0031】
また、本発明の実施形態に係る標示体1は、図1に示したように、設置対象である設置対象物30に設置される。詳細には、本実施形態では、標示体1の板材9と設置対象物30とを、例えば、固定手段としての接着剤25により固着された構造を有する。また、図1に示したように、固定手段20として、例えば、ボルト21、ナット22、座金23などの固定具により、標示体1を設置対象物30に固着した構造を有する。
【0032】
詳細には、図1に示した例では、設置対象物30としてコンクリート構造物に、固定手段20(固定具)としてのアンカーボルト21を設け、標示体1の端部付近に形成した孔部21p(被固定部)にアンカーボルト21を嵌合した状態で、接着剤25により設置対象物30に固着した構造となっている。
この場合、アンカーボルト21の先端部が、ナット22の上端面と略同じ高さ、又は、ナット22の上端面から僅かに突出するように構成されていることが好ましく、引掛かりを低減して、安全性を向上させることができる。
【0033】
つまり、図1(b)に示したように、板材9は、設置対象である設置対象物30に向き合う面に、固定手段としての接着剤25により設置対象である設置対象物30に接着される接着面9aを備える。
【0034】
本実施形態では、接着剤25は、エポキシ樹脂と変成シリコーン樹脂の混合材であり、それぞれ略同じ比率で混合されている。この場合、エポキシ樹脂と変成シリコーン樹脂の混合材は、硬化した状態でもある程度の弾性を有し、且つ、内部応力を分散、吸収する機能を有し、さらに、高い接着強度(約5.25N/mm2程度)を有する。この弾性を有する接着剤25は、熱変化などにより、標示体1の板材9や設置対象物30が伸縮した場合であっても、板材9と設置対象物30との接着強度が高い状態のまま維持される。この接着剤25は、接着性、耐水性、耐久性、追従性などの各種条件を考慮すれば、例えば、(株)シクソン社製のTS目地ガードなどの止水剤を用いることが好ましい。
【0035】
上記実施形態では、設置対象物30に標示体1を、固定手段として、接着剤25と、アンカーボルト21やナット22などの固定具とにより二重に固着した構造を有していたが、この形態に限られるものではなく、例えば、設置対象物30に標示体1を、接着剤25、または、アンカーボルト21やナット22などの固定具、どちらか一方の固定手段により固着してもよい。
【0036】
以上、説明したように、図1に示した本発明の実施形態に係る標示体1は、設置対象である設置対象物30に設置される、板材9に表面処理を施して形成されている。この標示体1は、板材9と、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランおよび無機顔料を含有する第1の無機塗料(無機塗料3T)により板材9に形成した反射層3と、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランを含有する、透光性を有する第2の無機塗料(無機塗料4T)により反射層3に形成した第1の厚みの透光層4と、透光層4の第2の無機塗料(無機塗料4T)が硬化する前に、第1の厚みよりも大きい半径の球形状の再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズ5を透光層4に散布し、そのガラス製透明ビーズ5の一部分を透光層4に埋設し、且つ、そのガラス製透明ビーズ5の他の部分を透光層4から外方に露出させ、ガラス製透明ビーズ5および透光層4の全部または一部に、第2の無機塗料(無機塗料4T)を塗布して、少なくともそのガラス製透明ビーズ5を覆う透光性且つ硬性のガラス質の保護層6と、を有する。また、板材9は、設置対象である設置対象物30に向き合う面に固定手段としての接着剤25により設置対象に接着される接着面9aを備え、または/および、設置対象に固定手段としての固定具により固定される被固定部(孔部21pなど)を有する。保護層6は、少なくとも、上記透光層の第1の厚みより薄い第2の厚みの透光性且つ硬性のガラス質であることが好ましい。
【0037】
こうすることで、良好な視認性、耐久性、不燃性を有し、且つ、設置対象物30に確実に固着して設置可能な標示体1を提供することができる。
また、設置対象物30に確実に標示体1を固着して設置することができる標示体1の設置方法を提供することができる。
【0038】
<金属物の設置対象物30に設置される標示体1>
図2は、ボルト21aとナット22などの固定具と接着剤25により設置対象物30aに固着させた標示体1の一例を示す断面図である。例えば、ガードレールなどの金属物の設置対象物30に設置される標示体1の一例を説明する。この場合、標示体1の板材9は、例えば、設置対象物30と略同じ熱膨張率の材料で形成されていることが好ましく、具体的には、板材9として鉄、鋼、アルミニウムなどの金属板を採用することができる。金属板としての板材9に塗料を塗布する場合、接着性や伸縮性の観点から、無機塗料よりも有機塗料のほうが好ましい。図2に示した例では、金属板としての板材9に有機塗料を塗布した標示体1の一例を説明する。
【0039】
図2に示した標示体1は、板材9と、下地層2と、反射層3と、透光層4と、再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズ5と、保護層6と、などを有する。
【0040】
板材9は、鉄、アルミニウム、鋼、ステンレス、などの金属板である。板材9は、任意の形状を採用することができる。本実施形態では、板材9は矩形状に形成されている。
この板材9は、接着性や伸縮性の観点から、金属物などの設置対象物30と略同じ熱膨張率の材料により構成されていることが好ましい。
【0041】
下地層2は、図2に示したように、塗装対象物である板材9の表面に材料2T(本実施形態では有機材料2T)により形成されている。この下地層2は、必要に応じて形成され、必要でない場合には形成しなくともよい。
【0042】
反射層3は、図2に示したように、下地層2に顔料を含む第1の塗料としての塗料3T(本実施形態では有機塗料3T)が塗布されて形成されている。
【0043】
有機塗料3Tとしては、ウレタン系塗料、アクリル系塗料、エポキシ系塗料、などを採用することができる。顔料としては、赤、青、黄、オレンジ、緑、白、などの所定の色の材料を採用することができる。
【0044】
透光層4は、図1(b)に示したように、反射層3に、第2の有機塗料としての有機塗料4Tが塗布されて形成されている。透光層4は、厚さが20μm〜50μm程度である。
【0045】
この有機塗料4T(第2の有機塗料)は、透光性を有する。有機塗料4Tとしては、ウレタン系塗料、アクリル系塗料、エポキシ系塗料、などを採用することができる。
【0046】
また、透光層4には、図2に示したように、球形状の再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズ5が散布された状態で部分的に埋設されている。詳細には、本実施形態では、透明ビーズ5は、略同一平面状に散布された状態で固定されている。透明ビーズ5の半径は、透光層4の厚みよりも大きく設定されている。
【0047】
保護層6は、透光層4と同じ形成材料の有機塗料4Tを、ビーズ5および透光層4に塗布し、このビーズ5および透光層4を覆うように形成されている。この保護層6は、透光性を有する。この保護層6は、透光層4の厚みよりも薄くなるように形成されている。保護層6は、具体的には、厚さが10μm〜20μmm程度である。このため、図2に示したように、標示体1の表面には、ビーズ5の形状に応じた凹凸面が形成されている。
【0048】
標示体1は、透光層4と保護層6とが同一の有機塗料4Tにより形成されており、透光層4と保護層6との間に、透明ビーズ5が略同一平面状に散布された状態で、固定されている。
【0049】
また、本発明の実施形態に係る標示体1は、図2に示したように、設置対象である設置対象物30に設置される。詳細には、本実施形態では、標示体1の板材9と設置対象物30とを、例えば、固定手段としての接着剤25により固着された構造を有する。また、図1に示したように、固定手段20として、例えば、ボルト21、ナット22、座金23などの固定具により、標示体1を設置対象物30に固着した構造を有する。
【0050】
図2に示した例では、標示体1の板材9と設置対象物30との間に接着剤25が設けられており、板材9の接着面9a(設置対象物30に向かい合う面)と設置対象物30とが固着した構造となっている。
また、図2に示した例では、ガードレールなどの板状の設置対象物30a、および、標示体1に孔部21pを設け、その孔部21pに固定具としてのボルト21aを貫通した状態で、座金23、ナット22などにより螺合することにより、標示体1と設置対象物30とを固定している。
板状の設置対象物30a側に、ボルト21aの頭部が位置し、そのボルト21aに螺合するナット22が標示体1の表面側に位置するように、標示体1と設置対象物30aとが設置された構造を有する。尚、例えば、ボルト21aの頭部とナット22の位置関係は、逆であってもよい。
【0051】
<標示体1の設置例>
図3は、本発明の実施形態に係る標示体1の設置例を示す図である。詳細には、図3(a)は設置対象物30としてのコンクリート製のトンネルの壁に設置された標示体1の一例を示す図である。図3(a)に示した例では、矩形状の標示体1をコンクリート製のトンネルの内壁に略水平方向に所定の間隔で設置されており、詳細には、固定手段として、接着剤25、アンカーボルト21およびナット22などにより、二重に標示体1をコンクリート壁に設置されている。
【0052】
図3(b)は設置対象物としての縁石に設置された標示体の一例を示す図である。図3(b)に示した例では、設置対象物30として、道路と歩道(または自転車道など)の間に配置された縁石に、標示体1を設置している。詳細には、標示体1を縁石の上面に配置しており、且つ、所定間隔で設置している。複数の矩形状の標示体1を並べて連続した線状となるように設置している。詳細には、固定手段として、接着剤25、アンカーボルト21およびナット22などにより、二重に標示体1をコンクリート壁に設置されている。ガードレールの凹部に標示体1を配置することで、例えば、除雪車や清掃車などによる外力により破損を低減することができる。尚、複数の矩形状の標示体1を所定の間隔をあけてガードレールに設置してもよい。
【0053】
図3(c)は設置対象物30aとしての金属製のガードレールに設置された標示体1の一例を示す図である。図3(c)に示した例では、ガードレールの凹部に、複数の矩形状の標示体1を並べて連続した線状となるように設置している。詳細には、固定手段として、接着剤25、アンカーボルト21およびナット22などにより、二重に標示体1をコンクリート壁に設置されている。ガードレールの凹部に標示体1を配置することで、例えば、除雪車や清掃車などからの外力による破損を低減することができる。尚、複数の矩形状の標示体1を所定の間隔をあけてガードレールに設置してもよい。
【0054】
<標示体1の製造方法、標示体1の設置方法>
次に、本発明の実施形態に係る標示体1の設置方法の一例を説明する。本実施形態では、図1に示したように、設置対象物30がコンクリート構造物であり、標示体1の板材9がセメント板であり、板材9に無機塗料を塗布する場合を説明する。尚、設置対象物30が金属物であり、且つ、標示体1の板材9が金属板であり、金属板に有機塗料を塗布する場合には、無機塗料の部分を有機塗料に置き換えればよい。
【0055】
図4は、本発明の実施形態に係る標示体1の設置方法の一例を示すフローチャートである。図5は、本発明の実施形態に係る標示体1の製造方法の一例を示す図である。詳細には、図5(a)は塗装対象物である板材9の断面図、図5(b)は下地層2等の断面図、図5(c)は反射層3等の断面図、図5(d)は透光層4等の断面図、図5(e)は再帰反射体としてのビーズ5散布時の断面図、図5(f)は保護層6形成時の標示体1の断面図をそれぞれ示す。
図6は標示体1の設置方法の一例を示す図である。詳細には、図6(a)はアンカーボルト21などの固定具を設けた設置対象物30の一例を示す断面図、図6(b)は孔部21pを有する標示体1を設置対象物30に設置する工程の一例を示す図、図6(c)は接着剤25および固定具であるアンカーボルト21やナット22により設置対象物30に固着された標示体1の一例を示す断面図である。
【0056】
図5(a)に示したように、板材9の表面を洗浄処理する。詳細には、板材9の油分、汚れなどをワイヤブラシ、サンダー、サンドペーパーなどで除去し、水洗い洗浄処理、または、高圧洗浄処理を行う。尚、板材9の表面の汚れの度合いが低い場合には、洗浄処理を行わなくともよい。
【0057】
ステップS11において、図5(b)に示したように、板材9の表面に下地層2を形成する(下地層形成工程)。詳細には、板材9と無機塗料3Tによる反射層3との密着性を向上させる無機材料2Tを塗布して、下地層2を形成する。
【0058】
ステップS13において、図5(c)に示したように、顔料を含有した無機塗料3T(例えば(株)シクソン社製の中塗り用TSコートKT(色付))をローラー、刷毛などにより下地層2に1、2回塗布し、図1(a)に示したように、所定の図柄模様の反射層3を形成する。標準的な塗布量は、0.15kg/m2程度である。そして、所定時間だけ常温で放置して、反射層3を硬化させる。詳細には、反射層3では、無機塗料3Tが塗布された後、常温で所定時間放置すると、無機塗料3Tが空気中の水分などと反応して硬化し、高い硬性を有するガラス質の層となる。
【0059】
ステップS15において、図5(d)に示したように、透光性を有する無機塗料4Tを反射層3上に塗布して透光層4を形成する。詳細には、ローラー、刷毛などにより上塗り用TSコートKT(クリア)を反射層3に1、2回塗布する。標準的な塗布量は、0.06kg/m2〜0.12kg/m2である。
【0060】
ステップS17において、図5(e)に示したように、透光層4の無機塗料4Tが硬化する前に、且つ、無機塗料4Tが粘着性を有するときに、球形状の再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズ5を透光層4に散布し、そのガラス製透明ビーズ5の一部分を透光層4に埋設し、且つ、該ガラス製透明ビーズ5の他の部分を透光層4から外方に露出させる。
ガラス製透明ビーズ5を透光層4に散布する際、例えば、高圧タンクの高圧空気を利用し、エアガン等の吹付け装置の先端部から高圧空気と共にガラス製透明ビーズ5を透光層4に散布する。尚、透明ビーズ5の散布方法は、この形態に限られるものではなく、例えば、底部に多孔が形成された容器を用いて透明ビーズ5を散布してもよいし、手で透明ビーズ5を散布してもよい。
【0061】
透明ビーズ5を散布後、常温で所定時間だけ放置して、透光層4の無機塗料4Tが空気中の水分などと反応して硬化し、高い硬性を有するガラス質の層となる。
【0062】
ステップS19において、図5(f)に示したように、ガラス製透明ビーズ5および透光層4の一部または全部に、無機塗料4T(第2の無機塗料)を塗布して、少なくともガラス製透明ビーズ5を覆う、ガラス製透明ビーズ5の半径よりも薄く、且つ、透光層4よりも薄い厚みの保護層6を形成する。ガラス製透明ビーズ5とともに透光層4の全部または一部を覆うように、無機塗料4Tを塗布してもよい。この際、ガラス製透明ビーズ5のうち、透光層4に埋設された部分以外の、透光層4から外方に露出した部分に、無機塗料4Tを塗布することとなる。
【0063】
ステップS21において、図5(f)に示したように、ステップS19による無機塗料4Tの塗布後、常温で所定時間だけ放置し、保護層6の無機塗料4Tが空気中の水分などと反応して硬化し、高い硬性を有するガラス質の層となる。
図1(b)に示したように、保護層6と、透光層4と、この保護層6と透光層4の間に配置したガラス製透明ビーズ5と、をまとめて再帰反射層7と称呼する。
【0064】
次に、塗装の塗りムラ、塗り残しなどを検査する。その後、必要に応じて塗膜性能確認の試験、付着強度試験、塗膜硬度試験、密着性試験、拡散反射率試験などを実施して、塗装状態を検査する。
【0065】
次に、ステップST23において、上記標示体1を設置対象物30に固定手段により固着して設置する固着工程(設置工程)を行う。
詳細には、図6(a)に示したように、例えば、設置対象物30としてのコンクリート構造物に、アンカーボルト21を設置する。
次に、図6(b)に示したように、上記表面処理(ガラス製透明ビーズ付着処理)を施した板材9である標示体1に孔部21pを形成する。
そして、接着剤25を設置対象物30の表面上に塗布する。詳細には、接着剤25として(株)シクソン社製のTS目地ガードなどを塗布する。
【0066】
次に、図6(c)に示したように、板材9である標示体1の孔部21pにアンカーボルト21を貫通させ、且つ、板材9の接着面(設置対象物30と向き合う面)を接着剤25を介して設置対象物30に接着させる。そして、座金23をアンカーボルト21に嵌合させ、次に、ナット22をアンカーボルト21に螺合することで、標示体1を設置対象物30に設置する。
【0067】
尚、上記接着剤25を設置対象物30に塗布するのではなく、板材9の接着面9aに接着剤25を塗布した後、その板材9と設置対象物30とを固着してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、コンクリート構造物にアンカーボルト21を設け、標示体1を設置したが、この形態に限られるものではない。例えば、図2に示したように、設置対象物30としてのガードレールなどの金属板に標示体1を設置する場合、ガードレールと、表面処理を施した板材9である標示体1に孔部21pを設け、その孔部21pに、ボルト21aを貫通させて、座金23、ナット22により固定してもよい。尚、ボルト21aの頭部の位置は、標示体1側であってもよい。
【0069】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る標示体1は、設置対象である設置対象物30に設置される、板材9に表面処理を施した標示体1である。この標示体1は、板材9と、顔料を含有する第1の塗料(塗料3T)により板材9に形成した反射層3と、透光性を有する第2の塗料(塗料4T)により反射層3に形成した第1の厚みの透光層4と、透光層4の第2の塗料(塗料4T)が硬化する前に、第1の厚みよりも大きい半径の球形状の再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズ5を透光層4に散布し、そのガラス製透明ビーズ5の一部分を透光層4に埋設し、且つ、そのガラス製透明ビーズ5の他の部分を透光層4から外方に露出させ、ガラス製透明ビーズ5および透光層4の全部または一部に、第2の塗料(塗料4T)を塗布して、少なくともそのガラス製透明ビーズ5を覆う透光性且つ硬性のガラス質の保護層6と、を有する。また、板材9は、設置対象である設置対象物30に向き合う面に固定手段としての接着剤25により設置対象に接着される接着面9aを備え、または/および、設置対象に固定手段としての固定具により固定される被固定部(孔部21pなど)を有する。保護層6は、少なくとも、上記透光層の第1の厚みより薄い第2の厚みの透光性且つ硬性のガラス質であることが好ましい。
【0070】
また、本発明の実施形態に係る標示体1の設置方法は、固定手段20により標示体1を設置対象に固着する工程(S23)を有する。詳細には、標示体を設置対象に固着する工程(S23)は、標示体の板材9と設置対象とを固定手段としての接着剤25により固着する、または/および、固定手段20としての固定具(ボルト21やナット22など)により標示体1を設置対象に固着する。
【0071】
こうすることで、良好な視認性を有し、且つ、設置対象物30に確実に固着して設置可能な標示体1を提供することができる。
また、設置対象物30に確実に標示体1を固着して設置することができる標示体1の設置方法を提供することができる。
【0072】
詳細には、例えば、標示体1の設置場所にて、再帰反射体であるガラス製透明ビーズ5を塗布することなく、予め工場などで表面処理を施した標示体1を作製し、その標示体1を設置対象物30に上記接着材、または/および、ボルト・ナットなどの固定手段20により固着することで、短時間に、簡単に確実に設置対象物30に標示体1を設置することができる。
【0073】
また、上記本発明の実施形態では、接着剤25により標示体1の板材9と設置対象である設置対象物30とを固着し、且つ、標示体1の板材9に形成された孔部21pなどの被固定部に、固定具として、例えばアンカーボルト21(ボルト)などを貫通させてナット22で固着したので、つまり、2つの固定手段により標示体1と設置対象物30とを固着しているので、確実に、簡単に、設置対象物30に標示体1を固着することができる。
すなわち、2重の安全性(フェールセーフ)を備えた標示体1の設置方法を提供することができる。
【0074】
例えば、経時変化により、接着剤25の接着力が低下した場合であっても、図1に示したように、ボルト21やナット22により、標示体1と設置対象物30とが確実に固着した状態となっている。
例えば、ナット22とボルト21が、外力や熱変化などにより緩んだ場合であっても、接着剤25により、標示体1と設置対象物30とが確実に固着した状態となっている。
【0075】
また、本発明の実施形態では、上述したように、ボルト21やナット22により、表面処理を施した標示体1を設置対象物30に固着し、且つ、標示体1と設置対象物30との間に設けられた接着剤25により、標示体1と設置対象物30を固着しているので、標示体1と設置対象物30との間への空気の流入を阻止し、標示体1の振動やナット22の緩みを防止することができる。
【0076】
また、本発明の実施形態では、接着剤25がエポキシ樹脂と変成シリコーン樹脂の混合材であり、それぞれ略同じ比率で混合されている。詳細には、このエポキシ樹脂と変成シリコーン樹脂の混合材は、硬化した状態でも弾性を有し、且つ、内部応力を分散、吸収する機能を有し、さらに、高い接着強度(約5.25N/mm2程度)を有する。このため、弾性を有する接着剤25は、熱変化などにより、標示体1の板材9や設置対象物30が伸縮した場合であっても、板材9と設置対象物30との接着強度が高い状態のまま維持される。
【0077】
また、本発明の実施形態では、標示体1の板材9の熱膨張率は、設置対象物30と略同じ熱膨張率であることが好ましい。この場合、標示体1の板材9と設置対象物30とが略同じ熱膨張率であるので、標示体1の板材9と設置対象物30が、熱変化により、膨張または収縮したとしても、標示体1の板材9と設置対象物30との接着剤25による接着強度の低下を防止することができる。また、固定具であるボルト21とナット22の緩みを低減することができる。
【0078】
例えば、具体的には、鉄の熱膨張率(線膨張率)は約12.1×10-6/Kであり、銅の熱膨張率(線膨張率)は約16.7×10-6/K、アルミニウムの熱膨張率(線膨張率)は約12×10-6/Kである。コンクリートの熱膨張率(線膨張率)は約12×10-6/Kである。鉛の熱膨張率(線膨張率)は29.1×10-6/Kである。尚、体積膨張率は、線膨張率の3倍である。
例えば、トンネル内のコンクリート製の壁や道路の縁石などのコンクリート構造物などを設置対象物30とした場合、略同じ熱膨張率の材料で形成された、セメント板、鉄板などを板材9として採用することが好ましい。
例えば、鋼製のガードレールなどの防護柵、金属製の防護柵などの金属物を設置対象物30とした場合、鋼板、鉄板などの略同じ熱膨張率の金属材料からなる板材を、標示体1の板材9に採用すればよい。
【0079】
図7は本発明の実施形態の標示体1の変形例を示す図である。図7(a)は凹凸形状の断面(山型)の板材9を有する標示体1の一例を示す断面図である。図7(b)は凹凸形状の断面(波型)の板材9を有する標示体1の他の例を示す断面図である。
【0080】
標示体1の板材9は、図7(a)、図7(b)に示したように、断面が凹凸形状に形成されていてもよく、詳細には、標示体1の板材9に塗布されるガラス製透明ビーズ5の直径よりも大きい凹凸を有していてもよい。こうすることにより、標示体1に斜めに光が照射された場合であっても、標示体1の板材9に形成された凹凸により、反射される光の量が大きくなり、高い視認性を有する標示体1を提供することができる。
詳細には、塗布表面に断面形状波形状や、平面視円形状の凹凸を加工などにより形成することで、光の反射の違いがでて、板の色彩が現れやすく、良好な視認性を有する標示体1を提供することができる。
【0081】
また、例えば、図7(a)、図7(b)に示したような断面形状が凹凸形状の板材9を採用した場合、設置対象物30の平坦な面に板材9を設置する場合、設置対象物30の平坦な面と、板材9の裏面側の接着面9aの凹凸部分との間の隙間を埋めるように、接着剤25を充填することが好ましい。
こうすることで、断面が凹凸形状の板材9を設置対象物30に確実に固着することができる。さらに、ボルト21、ナット22などの固定具により、板材9と設置対象物30とを強固に固着することが好ましい。
【0082】
また、図1に示した無機塗料4Tは、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランを含有するので、塗布後、常温でも空気中の水分などと反応して、所定時間経過すると、透光性且つ硬性のガラス質の物質となる。このため、保護層6と透光層4は、ビーズ5を内包した状態で、透光性且つ硬性のガラス質の層(ホーロー層)となる。このため、良好な耐久性を有する標示体1を提供することができる。
【0083】
また、無機塗料3Tは、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランと無機顔料を含有するので、塗布後、空気中の水分などと反応して、所定時間経過すると硬性のガラス質の物質となる。反射層3は硬性のガラス質の層となる。
つまり、本実施形態に係る標示体1は、反射層3と、透光層4と、保護層6とが高硬性のガラス質の層(ホーロー層)となる。
【0084】
また、上述したように、無機塗料3Tと無機塗料4Tは、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランを含有しており、略同じ成分であるので、反射層3と保護層6とが良好な密着性を有する。また、反射層3と保護層6の間で熱膨張率の差による歪が小さいので、温度変化による反射層3と保護層6が剥がれることを低減することができる。
【0085】
また、本発明の実施形態では、ガラス製透明ビーズ5が、反射層3上に透光層4を介して略平面状に配置され、ガラス製透明ビーズ5を覆うように保護層6が形成されている。保護層6の厚みは、ガラス製透明ビーズ5の半径よりも小さく形成され、好ましくは、透光層4の厚みよりも薄く形成されている。図1(b)に示したように、標示体1の表面は、略平面上に散布したガラス製透明ビーズ5と保護層6により凹凸状となっている。
このため、反射層3に直交する方向に対して、斜めに光が入射した場合であっても、球形状のガラス製透明ビーズ5により、光が屈折、反射して入射方向へ出射する。このため、本発明の実施形態に係る標示体1は、高い再帰反射性を有する。
また、ガラス製透明ビーズ5を薄膜状に覆うように、透光性且つ高硬性のガラス質の保護層6が形成されているので、高い耐久性と高い再帰反射性を兼ね備える標示体1を提供することができる。
【0086】
また、本発明の実施形態では、反射層3を形成する工程の前に、板材9の表面に無機材料2Tからなる下地層2を形成する。反射層3を形成する工程は、板材9に下地層2を介して、無機塗料3Tを塗布する。この下地層2は、板材9と反射層3との密着性を向上させる材料で所定の厚みに形成されている。このため、板材9と反射層3とが高い密着性を有することができる。
【0087】
また、図3(a)に示したように、トンネルのコンクリート構造物に、本発明の実施形態の標示体1の設置方法を実施すれば、トンネルのコンクリート構造物に、良好な視認性、耐久性、および、不燃性の標示体1を簡単に固着することができる。再帰反射体により車両から照射された光がその車両に反射するので、良好な視認性を有し、且つ、耐久性、不燃性などを有する標示体1を簡単に設置することができる。
【0088】
また、図3(b)に示したように、縁石などに、本発明の実施形態の標示体1の設置方法を実施すれば、縁石などに、良好な視認性、耐久性、および、不燃性の標示体1を簡単に設置することができる。
【0089】
また、図3(c)に示したように、ガードレールなどの金属物に、本発明の実施形態の標示体1の設置方法を実施すれば、ガードレールなどの金属物に、良好な視認性の標示体1を簡単に設置することができる。
【0090】
本発明の実施形態では、トンネルの壁面、ガードレール、縁石、などに標示体1を設置したが、この形態に限られるものではない。例えば、標示体1を、金属製の安全柵、コンクリート構造物、一般道路のカーブ部分、港湾岸壁部分、防音壁、道路標識設置位置、案内標識設置位置、安全誘導標識表示板の設置位置、その他の安全表示体の設置位置などの所望の場所に設置してもよい。
【0091】
また、本発明の実施形態では、ガラス製透明ビーズ5を、板材9に形成された透光層4に散布するとき、透光層4の無機塗料4Tが硬化する前に、且つ、無機塗料4Tを粘着性を有するときに、高圧空気によりガラス製透明ビーズ5を透光層4に散布するので、簡単に標示体1を作製することができる。
【0092】
また、本発明の実施形態によれば、ガラス製透明ビーズ5は不燃性であり、無機塗料3Tおよび無機塗料4Tは、一液性で無溶剤の塗料であり且つ不燃性であるので、不燃性の標示体1を簡単に作製することができる。
【0093】
また、本発明の実施形態によれば、無機塗料3Tは、アルコキシシロキサンが33〜41重量%、オルガノシランが8.3〜10.3重量%である。また、無機塗料4Tは、アルコキシシロキサンが77〜95重量%、オルガノシランが5〜11.3重量%である。このような重量比の無機塗料3T、および、無機塗料4Tを用いることで、耐久性、および、不燃性の標示体1を簡単に作製することができる。
【0094】
また、本発明の実施形態によれば、無機塗料4Tにより形成された保護層6の厚みは10μm〜20μmであり、球形状のガラス製透明ビーズ5の直径は、100μm〜1000μmである。このように、ガラス製透明ビーズ5に薄膜の保護層6が形成されているので、良好な再帰反射性を有し、且つ、視認性、耐久性、および、不燃性を有する標示体1を簡単に作製することができる。
【0095】
また、反射層3を形成する工程において、無機塗料3Tの塗布量は、0.15kg/m2程度である。透光層4を形成する工程において、無機塗料4Tの塗布量は、0.06〜0.10kg/m2である。上記塗布量としたことで、良好な耐久性、および、不燃性を有する標示体1を簡単に作製することができる。
【0096】
また、第1の無機塗料3TとしてのTSコートKT(色付)、第2の無機塗料4TとしてのTSコートKT(クリア)は、100%無機質の一液性溶剤であり、有機溶剤を含んでいないので、延焼による有毒ガスを発生しない。また、塗装対象である板材9に塗装を行う場合であっても、塗装作業者の人体に対して無害である。
【0097】
また、標示体1は、表面に高硬性のガラス質のホーロー被膜が形成されており、繰り返し表面洗浄を行った場合であっても、反射率の低下が少ない。
また、標示体1は、表面に高硬性のガラス質のホーロー被膜が形成されているので、容易に清掃することができ、低コストで清掃などの維持管理を行うことができる。
【0098】
また、本願発明者は、無機塗料4Tとして(株)シクソン社製上塗り用TSコートKT(クリア)を用いて標示体1を作製し、ガラス製透明ビーズ5が配置されている部分以外の部分に関して、首都高速道路株式会社によるトンネル構造物設計要領に従った要求性能に対する検証試験を行った。
詳細には、火災時に有毒なガスを発生しない要求性能に関する試験として、(財)日本建築総合試験所「防耐火性能試験・評価業務方法書」ガス有害性試験を行い、有毒ガスが発生しないことを確認した。
【0099】
また、長期耐久性に関する促進試験として、拡散反射率の測定を行った。詳細には、(株)シクソン社製上塗り用TSコートKT(クリア)にて保護層を形成した試験片に、トンネル内における汚染物質を塗布し、規定の回転ブラシで、1測定につきブラシ回転数75回転にて洗浄した。測定機器は、分光測色計CM−3500dを用いた。測定条件標準光はD65光源、視野条件は10°、測定径は直径30mmである。照射および受光の幾何学的条件は、条件c、光トラップあり(d/8,SCE)に準拠している。
拡散反射率(Y値)測定の結果、第1の試験体について、初期拡散反射率は90.1%、洗浄測定300回目の拡散反射率は65.9%であった。
第2の試験体について、初期拡散反射率は89.8%、洗浄測定300回目の拡散反射率は64.0%であった。
いずれの場合も規格値よりも良好な結果が得られた。詳細には、上記設計要領による、初期拡散反射率の規格値は60%以上、洗浄測定後の拡散反射率の規格値は40%以上であり、いずれの場合よりも良好な結果を得た。
【0100】
また、JIS K 5600−8−4〜5に従い、はがれ、われ及び顕著な磨滅に関する試験を行った。その試験の結果、はがれ、われ、磨滅が認められないことを確認した。
【0101】
尚、図1に示した例では、コンクリート構築物などの設置対象物30に標示体1を設置する場合、標示体1の板材9として、コンクリート構造物と略同じ熱膨張率のセメント板を採用し、このセメント板に、再帰反射体であるガラス製透明ビーズ5と無機塗料を塗布することで形成されたものを標示体1としていたが、この形態に限られるものではない。
例えば、コンクリート構築物などの設置対象物30に標示体1を設置する場合、板材9として、コンクリート構造物と略同じ熱膨張率の金属板を採用してもよい。この場合、金属板に、再帰反射体であるガラス製透明ビーズ5と有機塗料を塗布することで標示体1としてもよい。
【0102】
上記本発明の実施形態に係る標示体1、および標示体1の設置方法の効果の一例をまとめて記載する。
上記標示体1は、色彩を赤、青、黄、オレンジ、緑、白、など所望の色に設定することができる。
また、所望の形状の板材9に上記表面処理を施すことで、簡単に所望の形状の標示体1を作製することができ、その標示体1を簡単に設置対象物30に設置することができる。
【0103】
上述したように、本発明の実施形態に係る標示体1の設置方法によれば、標示体1を設置対象物30に設置する期間が、現場にて塗装により標示体を作製する期間と比較して短い(例えば、現場塗装に比べ1/2〜1/5の期間で、標示体1を設置対象物30に確実に固着させて設置することができる。
また、上記実施形態に係る標示体1の設置方法によれば、標示体1を設置対象物30に設置する場合、天候、気温、車両規制など施工環境に影響を受けにくい。
【0104】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【0105】
上記実施形態では、再帰性反射体としてガラス製透明ビーズ5を用いたがこの形態に限られるものではない。再帰性反射体として、樹脂製ビーズなどを採用してもよいし、着色された透光性のビーズを採用してもよい。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載される。
[付記1]
設置対象に設置され、板材に表面処理を施した標示体であって、
顔料を含有する第1の塗料により塗装対象物である前記板材に形成した反射層と、
透光性を有する第2の塗料により前記反射層に形成した第1の厚みの透光層と、
前記透光層の前記第2の塗料が硬化する前に、前記第1の厚みよりも大きい半径の球形状の再帰性反射体としてのガラス製透明ビーズを前記透光層に散布し、該ガラス製透明ビーズの一部分を前記透光層に埋設し、且つ、該ガラス製透明ビーズの他の部分を前記透光層から外方に露出させ、前記ガラス製透明ビーズおよび前記透光層の全部または一部に、前記第2の塗料を塗布して、少なくとも該ガラス製透明ビーズを覆う透光性且つ硬性のガラス質の保護層と、を有し、
前記板材は、設置対象に向き合う面に固定手段としての接着剤により前記設置対象に接着される接着面を備え、または/および、前記設置対象に固定手段としての固定具により固定される被固定部を有することを特徴とする標示体。
[付記2]
前記保護層は、少なくとも該ガラス製透明ビーズを覆う、前記第1の厚みよりも薄い第2の厚みの透光性且つ硬性のガラス質であることを特徴とする付記1に記載の標示体。
[付記3]
前記板材は、断面が凹凸形状に形成されていることを特徴とする付記1または付記2に記載の標示体。
[付記4]
前記第1の塗料は、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランおよび無機顔料を含有する第1の無機塗料であり、
前記第2の塗料は、アルコキシシロキサンを主成分とし、オルガノシランを含有する、透光性を有する第2の無機塗料であることを特徴とする付記1から付記3のいずれかに記載の標示体。
[付記5]
前記板材がセメント板の場合、該セメント板に無機塗料を塗布することを特徴とする付記1から付記4のいずれかに記載の標示体。
[付記6]
前記第1の塗料、および、第2の塗料は、無機塗料であり、且つ、一液性で無溶剤の塗料であり、且つ、不燃性であることを特徴とする付記4または付記5に記載の標示体。
[付記7]
前記第1の塗料は、無機塗料であり、前記アルコキシシロキサンが33〜41重量%、前記オルガノシランが8.3〜10.3重量%であることを特徴とする付記4から付記6のいずれかに記載の標本体。
[付記8]
前記第2の塗料は、無機塗料であり、前記アルコキシシロキサンが77〜95重量%、前記オルガノシランが5〜11.3重量%であることを特徴とする付記4から付記7のいずれかに記載の標本体。
[付記9]
前記板材が金属板の場合、該金属板に有機塗料を塗布することを特徴とする付記1から付記4のいずれかに記載の標示体。
[付記10]
前記板材の熱膨張率は、前記設置対象物と略同じ熱膨張率であることを特徴とする付記1から付記9のいずれかに記載の標示体。
[付記11]
前記接着剤は、エポキシ樹脂と変成シリコーン樹脂の混合剤であり、それぞれ略同じ比率で混合されていることを特徴とする付記1から付記10のいずれかに記載の標示体。
[付記12]
付記1から付記11のいずれかに記載の標示体を設置対象に設置する、標示体の設置方法であって、
固定手段により前記標示体を前記設置対象に固着する工程を有することを特徴とする標示体の設置方法。
[付記13]
前記標示体を設置対象に固着する工程は、前記標示体の板材と前記設置対象とを固定手段としての接着剤により固着する、または/および、固定手段としての固定具により前記標示体を前記設置対象に固着することを特徴とする付記12に記載の標示体の設置方法。
[付記14]
前記ガラス製透明ビーズを前記透光層に散布するとき、高圧空気により前記ガラス製透明ビーズを前記透光層に散布することを特徴とする付記12または付記13のいずれかに記載の標示体の設置方法。
【符号の説明】
【0107】
1 標示体
2 下地層
2T 材料(無機材料、有機材料)
3 反射層
3T 塗料(第1の塗料:無機塗料、有機塗料)
4 透光層
4T 塗料(第2の塗料:無機塗料、有機塗料)
5 ビーズ(球形状のガラス製透明ビーズ)
6 保護層
7 再帰反射層
9 板材(塗装対象物:セメント板、金属板など)
9a 接着面
20 固定手段
21 アンカーボルト(固定具:固定手段)
21a ボルト(固定具:固定手段)
21p 孔部(被固定部)
22 ナット(固定具:固定手段)
23 座金
25 接着剤(止水剤:エポキシ樹脂と変成シリコーン樹脂の混合剤)
30 設置対象物(設置対象(取付対象):コンクリート構造物、金属物など)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7