(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
供給された酸素ガスの圧力を減圧する減圧部と、減圧された酸素ガスを患者に供給し又は停止する開閉部と、患者の吸気に応じて前記開閉部を開放する制御部と、前記減圧部と前記開閉部と前記制御部を配置したケーシングと、を有し、
前記開閉部は、開閉ダイヤフラムを有し、該開閉ダイヤフラムの一方の面側に前記減圧部で減圧された酸素ガスを噴出する酸素ガス噴出ノズルが配置されると共に該酸素ガス噴出ノズルから噴出された酸素ガスを患者に供給する供給路が配置され、且つ開閉ダイヤフラムの他方の面側に前記減圧部で減圧された酸素ガスからなる制御ガスが作用する制御ガス孔が配置され、
前記制御部は、制御ダイヤフラムを有し、該制御ダイヤフラムの一方の面側に前記制御ガスが噴出する制御ガス噴出ノズルが配置され、且つ制御ダイヤフラムの他方の面側に前記供給路と接続されて患者の吸気が作用する室が形成されると共に該制御ダイヤフラムと接触して付勢するバネと該バネの付勢力を調整する調整ねじが配置され、
更に、前記調整ねじは端部が前記ケーシングの端面に設けた凹部に突出しており、該調整ねじの端部には該調整ねじを回動させるためのつまみが取り付けられていることを特徴とする酸素供給装置。
前記調整ねじを回動させるつまみは、円板状に形成されており、該円板の中心から偏心した位置に調整ねじの端部を嵌合する嵌合穴が形成されると共に該円板の表面には線状の指標が形成され、且つケーシングの端面には複数の標識が形成され、前記つまみを回動させて指標を何れかの標識に対向させることによって、前記調整ねじの調整度合を表示し得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載した酸素供給装置。
前記ケーシングの端面に設けた凹部に於ける前記つまみと対応する位置にバネによって付勢されたボールを配置し、前記つまみの前記ボールと対向する面であって前記指標が前記標識と対応する複数の位置に該ボールを嵌合させる嵌合凹部を形成したことを特徴とする請求項2に記載した酸素供給装置。
前記減圧部は、酸素供給源から供給された高圧酸素を噴射する一次オリフィスを有するシート部材と、前記一次オリフィスと対向して配置されると共に相対的に離隔又は接近可能に構成されたケレップと、を有して構成され、且つ前記一次オリフィスの酸素供給源側に断熱圧縮防止部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載した酸素供給装置。
【背景技術】
【0002】
患者の吸気に対応させて酸素ガスを供給し得るようにした呼吸同調型の酸素供給装置が提供されている。例えば特許文献1に記載された発明は、高圧酸素を充填した容器から供給された高圧酸素の圧力を所定の大きさまで減圧する圧力調整部と、該圧力調整部から受けた酸素を所定の流量に調整するための流量調整部と、該流量調整部にて流量調整された酸素を患者の呼吸に同調して供給するデマンドバルブ部とを一体化した呼吸同調型酸素供給装置に関するものである。
【0003】
特許文献1に記載された発明では、患者の吸気及び呼気に応じて作動するダイヤフラムを有しており、該ダイヤフラムの一方の面に患者の呼吸に伴う圧力とバネによる押圧力が作用し、他方の面の中心に圧力調整部によって減圧された酸素からなる制御ガスを噴出するノズルが配置されている。前記バネの付勢力は制御ガスの圧力とノズルの断面積との積からなる力よりも僅かに大きい値に設定されており、患者の呼吸が作用していないとき、ダイヤフラムを他方の面側に付勢してノズルを閉鎖し、患者の吸気が作用したとき、ダイヤフラムが一方の面側に撓んでノズルを開放し得るように構成されている。
【0004】
そして、ダイヤフラムがノズルを閉鎖して他方の面に制御ガスが作用していない状態では患者に対して酸素ガスを供給することがなく、ダイヤフラムに撓みが生じてノズルを開放したとき患者に酸素ガスを供給し得るように構成されている。
【0005】
上記の如く構成された特許文献1に記載された呼吸同調型の酸素供給装置では、患者の呼吸に合わせて減圧された酸素ガスを供給することが可能である。特に、患者の呼吸を電気的なセンサによることなく検出できるため、利便性を向上することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載された呼吸同調型の酸素供給装置では、電気的なセンサによることなく患者の吸気を検出し、該吸気に同調させて酸素を供給することができるため、酸素の無駄な流出を省いて効率良く患者を支援することができる。
【0008】
上記した呼吸同調型の酸素供給装置では、患者の吸気に応じてダイヤフラムを変形させることで患者の吸気を検出し得るように構成され、且つバネによってダイヤフラムを付勢することで、患者の吸気に伴う負圧の大きさを調整している。
【0009】
一般的に患者の吸気に伴う圧力変化は小さい(約3mmAq程度)く、且つダイヤフラムとバネは患者の呼吸に同調して変形動作を繰り返すため、動作頻度が極めて高くなり、動作回数の増加に伴って感度に変化が生じてくる虞があることが判明した。そして、例えば感度が敏感になると僅かな圧力の変化に応じて酸素の供給、停止を行うこととなり、また鈍感になると患者の吸気が作用してもこの吸気に対応して直ちに酸素を供給することができなくなる、という問題が生じる虞がある。
【0010】
本発明の目的は、患者に対する使用時間が増加して制御部の感度に変化が生じた場合、容易に感度を調整することができる酸素供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る酸素供給装置は、供給された酸素ガスの圧力を減圧する減圧部と、減圧された酸素ガスを患者に供給し又は停止する開閉部と、患者の吸気に応じて前記開閉部を開放する制御部と、前記減圧部と前記開閉部と前記制御部を配置したケーシングと、を有し、前記開閉部は、開閉ダイヤフラムを有し、該開閉ダイヤフラムの一方の面側に前記減圧部で減圧された酸素ガスを噴出する酸素ガス噴出ノズルが配置されると共に該酸素ガス噴出ノズルから噴出された酸素ガスを患者に供給する供給路が配置され、且つ開閉ダイヤフラムの他方の面側に前記減圧部で減圧された酸素ガスからなる制御ガスが作用する制御ガス孔が配置され、前記制御部は、制御ダイヤフラムを有し、該制御ダイヤフラムの一方の面側に前記制御ガスが噴出する制御ガス噴出ノズルが配置され、且つ制御ダイヤフラムの他方の面側に前記供給路と接続されて患者の吸気が作用する室が形成されると共に該制御ダイヤフラムと接触して付勢するバネと該バネの付勢力を調整する調整ねじが配置され、更に、前記調整ねじは端部が前記ケーシングの端面に設けた凹部に突出しており、該調整ねじの端部には該調整ねじを回動させるためのつまみが取り付けられているものである。
【0012】
上記酸素供給装置に於いて、前記調整ねじを回動させるつまみは、円板状に形成されており、該円板の中心から偏心した位置に調整ねじの端部を嵌合する嵌合穴が形成されると共に該円板の表面には線状の指標が形成され、且つケーシングの端面には複数の標識が形成され、前記つまみを回動させて指標を何れかの標識に対向させることによって、前記調整ねじの調整度合を表示し得るように構成することが好ましい。
【0013】
また、上記酸素供給装置に於いて、前記ケーシングの端面に設けた凹部に於ける前記つまみと対応する位置にバネによって付勢されたボールを配置し、前記つまみの前記ボールと対向する面であって前記指標が前記標識と対応する複数の位置に該ボールを嵌合させる嵌合凹部を形成することが好ましい。
【0014】
更に、上記何れかの酸素供給装置に於いて、前記減圧部は、酸素供給源から供給された高圧酸素を噴射する一次オリフィスを有するシート部材と、前記一次オリフィスと対向して配置されると共に相対的に離隔又は接近可能に構成されたケレップと、を有して構成され、且つ前記一次オリフィスの酸素供給源側に断熱圧縮防止部材が配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る酸素供給装置では、使用時間の増加に伴って制御ダイヤフラムの感度が変化した場合でも、この変化した感度を容易に調整することができる。即ち、酸素供給装置は、患者の吸気が作用する室に制御ダイヤフラムと接触して付勢するバネと該バネの付勢力を調整する調整ねじを設け、この調整ねじの端部をケーシングの端面に設けた凹部に突出させ、該調整ねじの端部につまみを取り付けて構成されている。このため、つまみを把持して回動させるという簡単な操作で、制御ダイヤフラムに対する付勢力を調整して感度を調整することができる。
【0016】
また、調整ねじを回動させるつまみを円板状に形成し、該円板の中心から偏心した位置に調整ねじの端部を嵌合する嵌合穴を形成すると共に表面に線状の指標を形成し、且つケーシングの端面には複数の標識を形成したので、記つまみを回動させて指標を何れかの標識に対向させることによって、調整ねじの調整度合を表示することができる。
【0017】
また、ケーシングの端面に設けた凹部に於けるつまみと対応する位置にバネによって付勢されたボールを配置し、つまみの前記ボールと対向する面であって指標が標識と対応する複数の位置に該ボールを嵌合させる嵌合凹部を形成したので、つまみの回動に伴ってボールが嵌合凹部に嵌合したことを認識することができる。
【0018】
更に、一次オリフィスの酸素供給源側に断熱圧縮防止部材を配置したので、酸素供給源から高圧酸素が供給された瞬間に高温となることを防ぐことができ、安全性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る酸素供給装置(以下、単に「供給装置」という)の実施例について説明する。本発明に係る供給装置は、患者の吸気に同調して減圧した酸素ガスを供給し得るようにしたものであり、特に、患者の吸気に対応して酸素ガスを供給或いは停止する際の感度を容易に調整し得るように構成したものである。
【0021】
図1に示すように、供給装置Aは、高圧酸素を充填した容器(酸素供給源)としてのボンベBに結合され、該ボンベBに充填された高圧酸素を減圧し、且つ減圧した酸素ガスを患者の吸気に同調させて供給し得るように構成されている。
【0022】
供給装置Aは、酸素ガスの供給方向上流側の端部に配置される端部部材1aと、下流側の端部に配置される端部部材1bとを有するケーシング1を有しており、該端部部材1aにボンベBとの結合部Cが形成されている。本実施例に於いて、結合部Cはケーシング1の端部部材1aに一体的に略ロ字状に形成されており、止めねじ2を操作することで、供給装置AをボンベBの口金に着脱し得るように構成されている。このため、結合部CはボンベBの口金の形状に対応した形状や構造を有し、本実施例の構造に限定されるものではない。
【0023】
ケーシング1には、酸素ガスの供給方向上流側(端部部材1a側)から下流側(端部部材1b側)に向けて順に、供給された酸素ガスを減圧する減圧部10、減圧された酸素ガスを患者に供給又は停止する開閉部20、患者の吸気に応じて開閉部20を開放する制御部30、が設けられている。また、減圧部10と開閉部20及び制御部30の間にはオリフィスプレート40が回転可能に配置されており、減圧された酸素ガスを開閉部20及び制御部30に分配して供給し得るように構成されている。
【0024】
尚、本実施例では、酸素ガスは
図2に示すケーシング1の端部部材1a側から左方向に端部部材1b方向に流通する。このため、単に上流側という場合、端部部材1a側をいい、下流側という場合、端部部材1b側をいうものとする。
【0025】
減圧部10は、筒状に形成され下流側の端部にノズル11aが形成されたシート11と、該シート11と対向して配置され上流側の端部にケレップ13を有するピストン12と、ピストン12を付勢するバネ14aと、バネ14aに付勢されピストン12と相対的に摺動可能なバネガイド15と、を有して構成されている。
【0026】
シート11の内部にはバネ14bによって上流側に付勢された仕切板16が配置されている。仕切板16には絞り部16aを有する通路が形成されており、高圧酸素が供給されたとき、供給された高圧酸素の断熱圧縮を防止し得るように構成されている。即ち、仕切り板16によって断熱圧縮防止部材が構成されている。
【0027】
ケーシング1の端部1a側であって、シート11が配置された部位に通路3aが形成されており、該通路3aにボンベBの充填圧力を表示する圧力計3が取り付けられている。
【0028】
ピストン12はボス12aを有しており、バネガイド15は該ボス12aを嵌合する筒部15aを有している。そして、ピストン12及びバネガイド15はバネ14aによって互いに離隔する方向に付勢されている。即ち、ピストン12は該ピストン12と共に分配室50を構成する壁部材51a方向に付勢されており、バネガイド15はケーシング1の端部部材1a方向に付勢されている。この状態でピストン12のケレップ13はノズル11aから離隔している。
【0029】
ピストン12のボス12aに減圧された酸素ガスが流通する通路12bが形成されており、該通路12bの下流側の端部は分配室50に開口し、上流側の端部はケレップ13の基部で開口している。
【0030】
分配室50は減圧された酸素ガスを、患者に対して供給する酸素ガスと、患者の吸気に同調して酸素ガスの供給及び停止を制御する制御ガスと、に分配するための室である。このため、壁部材51aには患者に供給する酸素ガスを流通させる供給酸素通路51bと、制御ガスを流通させる制御ガス通路51cと、が形成されている。供給酸素通路51bと制御ガス通路51cとは、ケーシング1の中心軸から異なる距離を持った位置に形成されている。
【0031】
上記の如く構成された減圧部10では、ピストン12の分配室50側の面に作用する力と、ピストン12のボス12aの上流側の端面に作用する力と、バネ14aの付勢力の大きさとの関係で、ピストン12がケーシング1の中心軸に沿って上流側又は下流側に摺動する。ピストン12の摺動に伴ってケレップ13とノズル11aとの隙間が変化し、供給された高圧酸素を減圧する。そして、前記各力のバランスがとれたときピストン12が停止し、この状態で供給された高圧酸素を予め設定された圧力に減圧することが可能である。
【0032】
例えば、分配室50から下流側への酸素ガスの供給が停止した状態、即ち、ピストン12が分配室50の壁部材51aに接触した状態でノズル11aから高圧酸素が供給され続けた場合、高圧酸素の持つ圧力はバネガイド15のフランジ15bに作用することになる。この結果、バネガイド15はバネ14aの付勢に抗して下流側に移動してケーシング1に形成したリリーフ孔1dを開放し、ノズル11aから供給された高圧酸素を大気に放出し得るように構成されている。
【0033】
分配室50の下流側を規定する壁部材51aの下流側の面にはボス51dが形成されており、該ボス51dにリング状に形成されたオリフィスプレート40が回動可能に装着されている。また、オリフィスプレート40の下流側には支持部材41が配置されており、オリフィスプレート40を支持部材41と壁部材51aとの間に挟み込むことで、該オリフィスプレート40をボス51dを中心として回動し得るように構成されている。
【0034】
オリフィスプレート40にはケーシング1の外周に配置された円筒状のダイヤル部材4が固定されており、該ダイヤル部材4を回動させることで、オリフィスプレート40をボス51dの周りに回動させることが可能である。ダイヤル部材4の表面には患者に供給する酸素ガスの流量を表示する目盛4aが設けられており、ケーシング1の外周面には指標4bが形成されている。
【0035】
オリフィスプレート40の壁部材51aに形成された供給酸素通路51bと対応する円周上には、異なる口径を持つ複数の供給酸素オリフィス40aが形成されている。このため、オリフィスプレート40を回動させて何れかの供給酸素オリフィス40aを供給酸素通路51bに対向させたとき、対向した供給酸素オリフィス40aの口径に対応した流量とダイヤル4の目盛4aと指標4bとが一致するように目盛4aが設定されている。
【0036】
また、オリフィスプレート40の壁部材51aに形成された制御ガス通路51cと対応する円周上であって、各供給酸素オリフィス40aが供給酸素通路51bと対向したときに制御ガス通路51cと対向する位置には、夫々制御ガスオリフィス40bが形成されている。従って、制御ガスオリフィス40bは各供給酸素オリフィス40aに対応して複数形成されている。
【0037】
更に、ボス51dには貫通孔51eが形成されており、該貫通孔51eにバネ14cによってオリフィスプレート40の内周面方向に付勢された一対の球42が配置されている。また、オリフィスプレート40のボス51dと嵌合した内周面であって、供給酸素オリフィス40aが供給酸素通路51bと対向したとき球42と対向する部位には該球42を受け入れる窪み(図示せず)が形成されている。
【0038】
このため、ダイヤル部材4を回動させて目盛4aが指標4bに対向したとき、球42が窪みに嵌合して操作者に小さな衝撃を与えることが可能であり、且つ球42を窪みに嵌合させた状態で停止させることで、オリフィスプレート40の予期しない回動を防ぐことも可能である。
【0039】
支持部材41の下流側に開閉部20を構成するノズル部材21が配置されており、これらの支持部材41とノズル部材21とが互いに接続されて一体化している。そして、支持部材41とノズル部材21とによって、患者に供給する酸素ガスの滞留室52が形成されている。特に、支持部材41に於ける壁部材51aに形成された供給酸素通路51bと対向する位置には、同様の供給酸素通路52aが形成されている。従って、滞留室52は、供給酸素通路52a、オリフィスプレート40に形成された供給酸素オリフィス40a、壁部材51aに形成された供給酸素通路51bを介して分配室50と連通している。
【0040】
ノズル部材21の下流側の面には凹部21cが形成されており、該凹部21cの中央部位に孔21aを有するノズル21bが形成されている。ノズル21bは酸素ガス噴出ノズルとなるものであり、該ノズル21bと対向してリング状の膨出部22aが形成された開閉ダイヤフラム22が配置されている。更に、ノズル部材21の下流側の面に分配部材23が一体的に取り付けられている。このため、ノズル部材21の凹部21cは、開閉ダイヤフラム22と分配部材23とによって、ノズル21bに形成された孔21aを介して滞留室52と連通した供給酸素室53と、制御ガスが作用する駆動ガス室54とに分割されている。
【0041】
支持部材41に於ける壁部材51aに形成された制御ガス通路51cと対向する位置には、制御部30を構成する制御ガス通路31が形成されている。この制御ガス通路31は、支持部材41及びノズル部材21、分配部材23を通って形成されており、ケーシング1の中心軸に対応する位置で孔31a、31bに分岐している。そして、孔31aは制御ガス孔となるものであり開閉ダイヤフラム22の下流側に形成された駆動ガス室54に連通すると共に、孔31bは後述する制御ガス室55に連通し、夫々の室54、55に制御ガスを分配している。
【0042】
開閉ダイヤフラム22は、ノズル部材21側の表面積よりも分配部材23側の表面積のほうが大きくなるように設定されている。このため、供給酸素室53と駆動ガス室54に同じ圧力の酸素ガスが作用したとき、開閉ダイヤフラム22は供給酸素室53側への撓みが生じ、この結果、開閉ダイヤフラム22によってノズル部材21のノズル21bに形成された孔21aを閉鎖する。従って、通常はノズル21bの孔21aは閉鎖した状態となり、患者に供給する酸素ガスは滞留室52に滞留している。
【0043】
供給酸素室53を起点として、ノズル部材21、分配部材23及び端部部材1bを貫通して形成され、端部部材1bに取り付けたホース差し5に至る供給酸素通路24が形成されている。この供給酸素通路24は、開閉ダイヤフラム22が駆動ガス室54側に撓んでノズル21bの孔21aが開放されたとき、滞留室52から供給酸素室53に流入した酸素ガスをホース差し5に接続されたホースを介して患者に供給するものである。
【0044】
分配部材23の下流側に制御部30を構成する制御ダイヤフラム32が配置され、更に該制御ダイヤフラム32を挟んで端部部材1bが一体的に取り付けられている。そして、分配部材23と制御ダイヤフラム32とによって制御ガスが作用する制御ガス室55が形成され、端部部材1bと制御ダイヤフラム32とによって患者の吸気が作用する吸気室56が形成されている。
【0045】
制御ガス通路31の孔31bは、分配部材23の制御ガス室55側の面であって、制御ダイヤフラム32の中心に対向する位置に形成されたノズル31cを貫通して形成されている。ノズル31cは、制御ガス噴出ノズルとなるものである。
【0046】
更に、制御ガス通路31に於ける孔31a、31bよりも上流側にオリフィスプレート31dが配置されている。このオリフィスプレート31dは制御ガス通路31の内径やオリフィスプレート40に形成された制御ガスオリフィス40bよりも充分に小さい径を持ったオリフィスが形成されている。
【0047】
制御ダイヤフラム32は吸気室56に患者の吸気が作用したとき、該吸気に対応して吸気室56側への撓みが生じるように構成されている。そして、制御ダイヤフラム32の撓みに伴って、制御ガスが制御ガス通路31のノズル31cの孔31bから制御ガス室55に流入する。特に、制御ガス室55にはケーシング1に形成した排気孔55aが接続されており、制御ガス室55に流入した制御ガスを該排気孔55aを介して大気に排気し得るように構成されている。
【0048】
吸気室56に患者の吸気が作用すると、制御ダイヤフラム32の吸気室56側への撓みが生じる。そして、ノズル31cの孔31bから制御ガスが制御ガス室55に流入すると、流入した制御ガスは制御ガス室55を経て排気孔55aから大気に放出され、制御ガス通路31に制御ガスの流れが生じる。このため、駆動ガス室54の内部圧力が低下し、開閉ダイヤフラム22は瞬時に駆動ガス室54側に撓んでノズル21bの孔21aが開放し、滞留室52に滞留していた酸素ガスは供給酸素室53、供給酸素通路24、ホース差し5を経て患者に供給される。
【0049】
オリフィスプレート31dに形成されたオリフィスは径が小さいため、該オリフィスを通過し得る制御ガスの流量は小さい。このため、吸気室56に患者の呼気が作用し、制御ダイヤフラム32によってノズル31cの孔31bが閉鎖されても、オリフィスプレート31dから孔31b、31cまでの制御ガス通路31が分配室50の圧力と等しくなるまでに多少の時間が必要となる。即ち、吸気室56に対する患者の吸気の作用が停止した場合でも、患者に対する酸素ガスの供給が瞬時に停止することはなく、時間をかけてゆっくりと停止することが可能である。
【0050】
端部部材1bを貫通して調整ねじ33が設けられている。この調整ねじ33は先端部33aが吸気室56に臨み、後端部33bが端部部材1bに形成された凹部1cに臨んでいる。調整ねじ33の先端部33aと制御ダイヤフラム32の吸気室56側の面との間には、該制御ダイヤフラム32をノズル31c側に付勢するばね34が配置されている。また、調整ねじ33の後端部33bにはつまみ35が固定されており、該つまみ35を把持して調整ねじ33を回転させることで、ばね34の撓み量を調整して制御ダイヤフラム32に対する付勢力を調整し得るように構成されている。
【0051】
端部部材1bの後端面に形成された凹部1cはケーシング1の中心軸を含む弦と円形とからなる半円形状に形成されている。このため、つまみ35は凹部1cの深さよりも薄い厚みを持ち、且つ凹部1cの中で回動し得るように偏心した位置に調整ねじ33の後端部33bを嵌合する穴35aが形成されている。そして、穴35aに調整ねじ33の後端部33bを嵌合して一体化することで、つまみ35を把持して回動操作するのに伴ってバネ34の制御ダイヤフラム32に対する付勢力を調整し得るように構成されている。
【0052】
端部部材1bに形成された凹部1cの外周を規定する円弧上に複数の目盛35bが形成され、つまみ35の表面には指標35cが形成されている。また、凹部1cのつまみ35の裏面と対向する位置にはバネ14dによって突出方向に付勢された球36が設けられている。更に、つまみ35の裏面であって指標35cが各目盛35bと対向したときに球36と対向する位置には、該球36を受け入れる窪み35dが形成されている。
【0053】
このため、つまみ35を回動して指標35cを目盛35bに合わせると、球36が窪み35dに陥入して軽い衝撃を生じ、操作者は指標35cが目盛り5bに対向したことを認識することが可能である。そして、つまみ35の回動に伴って調整ねじ33が回動し、この結果、バネ34の制御ダイヤフラム32に対する付勢力を変化させることが可能となる。
【0054】
このように、制御ダイヤフラム32に対する付勢力を変化させることによって、吸気室56に作用する吸気による負圧に対応して生じる制御ダイヤフラム32の撓みの開始時期(吸気に対する感度)を変化させることが可能となる。
【0055】
供給装置Aは、組立段階で、つまみを取り付けていない状態の調整ねじ33を回動操作して、吸気室56に予め設定された負圧を作用させた状態で制御ダイヤフラム32が撓みを生じるように、制御ダイヤフラム32に対するバネ34による付勢力を調整する。そして、この状態で調整ねじ33の後端部33bにつまみ35を取り付け、指標35bを中央の目盛(本実施例では、
図3に示す端部部材1bの切欠部分)に対向させて固定している。
【0056】
上記の如く構成された供給装置Aが長期間繰り返し使用されるのに伴って、制御ダイヤフラム32、バネ34に剛性の変化が生じ、吸気室56に作用する吸気に対する感度が変化した場合、つまみ35を時計方向又は反時計方向に回動することによって、制御部30に於ける吸気に対する感度を調整することが可能である。
【0057】
例えば、吸気室56に作用する吸気に対する感度が鈍くなった場合、吸気室56に作用する負圧が予め設定された基準圧であるにも関わらず制御ダイヤフラム32に撓みが生じることがない。この場合、つまみ35を反時計方向に回動させて制御ダイヤフラム32に対する付勢力を小さくすることで、吸気室56に作用する負圧が小さくなっても制御ダイヤフラム32に撓みを生じさせることが可能となる。
【0058】
また、吸気室56に作用する吸気に対する感度が鋭くなった場合、吸気室56に作用する負圧が予め設定された基準圧よりも小さいにも関わらず制御ダイヤフラム32に撓みが生じる。この場合、つまみ35を時計方向に回動させて制御ダイヤフラム32に対する付勢力を大きくすることで、吸気室56に作用する負圧が基準圧になったときに制御ダイヤフラム32の撓みを生じさせることが可能である。
【0059】
上記の如きつまみ35を操作して感度を調整することは、供給装置Aにとっては例外的なことであり、必ずしも必要なことではない。このため、つまみ35は端部部材1bに取り付けたキャップ6によって外部に露出することがないように構成されている。
【0060】
次に上記の如く構成された供給装置Aを用いて酸素ガスを供給する際の操作について簡単に説明する。先ず、図示しないホースをホース差し5に取り付けて患者に酸素ガスを供給する準備を終了する。
【0061】
供給装置Aを接合部Cを介してボンベBの口金に取り付け、該ボンベBに充填された高圧酸素を供給する。供給された高圧酸素は瞬時に断熱圧縮防止部材を構成する仕切板16を下流側に移動させると共に絞り部16aを通過し、その後、高圧酸素の流れが継続する。このときの仕切板16の挙動により、ボンベBを開放した瞬間に生じる高圧酸素による端部部材1aに存在する空気の断熱圧縮を防止することが可能となる。
【0062】
高圧酸素はシート11からケレップ13に向けて噴出し、この過程で予め設定された圧力に減圧される。減圧された酸素ガスはピストン12を通って分配室50に流入し、患者に対して供給する酸素ガスと、患者の吸気に同調して酸素ガスの供給及び停止を制御する制御ガスと、に分配される。
【0063】
ダイヤル部材4を回動させて患者に供給すべき酸素ガスの流量を選択し、目盛4aと指標4bを一致させると、オリフィスプレート40に形成された何れかの供給酸素オリフィス40aが供給酸素通路51bと対向し、同時に制御ガスオリフィス40bが制御ガス通路50cと対向する。この結果、患者に供給される酸素ガスは滞留室52に滞留し、制御ガスは制御ガス通路31を経て孔31aを介して駆動ガス室54に、孔31bを介してノズル31cに分配されている。
【0064】
吸気室56に患者の吸気が作用していない状態では、開閉ダイヤフラム22によってノズル21bの孔21aは閉鎖された状態となり、患者に供給する酸素ガスは滞留室52に滞留している。
【0065】
吸気室56に患者の吸気が作用したとき、該吸気に対応して制御ダイヤフラム32に吸気室56側への撓みが生じ、オリフィスプレート33から孔31a、31bまでの通路の内圧が減少する。この結果、開閉ダイヤフラム22にが駆動ガス室54側に撓んでノズル21bの孔21aが開放され、酸素ガスは滞留室52から供給酸素室53に流入し、供給酸素通路24、ホース差し5を経て患者に供給される。