特許第6192215号(P6192215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192215
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】支持部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/02 20060101AFI20170828BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   E04C1/10 P
   E04B2/56 621J
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-186811(P2013-186811)
(22)【出願日】2013年9月9日
(65)【公開番号】特開2015-52256(P2015-52256A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】堀 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】田中 大温
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04744191(US,A)
【文献】 米国特許第04720952(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/02
E04B 2/56
E04F 13/26
E04F 13/21
E04F 13/08
E04F 19/00
E04F 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並んで配置された一対の壁状の石材を構造物の壁面から支持する支持部材であって、
前記構造物の壁面に沿って延びて当該構造物に固定される板状の取付面部と、
当該取付面部から略水平に延びて前記一対の石材を支持する板状の支持面部と、
前記取付面部および当該支持面部に一体に設けられて前記一対の石材同士の間に配置される板状の補強部と、を備え
前記構造物の壁面と前記石材との間には、隙間が設けられており、
当該隙間には、カバーが着脱可能に取り付けられることを特徴とする支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、並んで配置された一対の壁状の石材を構造物の壁面から支持する支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物外観の装飾や採光の適切化のために、建物外壁に縦型ルーバーを設ける場合がある(特許文献1参照)。
このような縦型ルーバーにおいて、表面材として石材を使用する場合、例えば、以下のような構造となる。
【0003】
図5は、本発明の従来例に係る縦型ルーバー100の斜視図である。
縦型ルーバー100は、並んで配置された一対の壁状の石材101を備えており、これら一対の石材101は、支持部材110を介して建物の方立102の外壁面103から支持される。
【0004】
外壁面103には、この外壁面103に略直交して突出する板状のブラケット104が設けられている。
支持部材110は、ブラケット104にボルト112およびナット113で固定される板状の取付面部111と、この取付面部111に一体に設けられて略水平に延びて一対の石材101を下から支持する板状の一対の支持面部114と、を備える。
【0005】
この縦型ルーバー100では、ナット113を締め付ける前の状態では、支持部材110のブラケット104に対する相対位置を調整して、石材101の取り付け位置を微調整できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−278466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、以上のような縦型ルーバー100では、外観を良好にするため、幅寸法を狭くすることが要請される場合がある。
しかしながら、石材101の背面側に支持部材110を取り付ける必要があるため、縦型ルーバー100の幅寸法を小さくするのには限界があり、縦型ルーバー100の幅寸法はtとなっている。
【0008】
つまり、図5に示すように、支持部材110は、ボルト112およびナット113によりブラケット104に固定されているが、このボルト112の向きは、石材101の長さ方向に略直交している。よって、石材101同士の間隔を狭くして、縦型ルーバー100の幅寸法を小さくしようとすると、一対の石材101でボルト112を長さ方向から挟み込むこととなり、石材101の背面がボルト112との両端面に干渉してしまう。
【0009】
本発明は、並んで配置された一対の石材を、極力狭い間隔で支持できる支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の支持部材(例えば、後述の支持部材20)は、並んで配置された一対の壁状の石材(例えば、後述の石材10)を構造物(例えば、後述の方立3)の壁面(例えば、後述の外壁面4)から支持する支持部材であって、前記構造物の壁面に沿って延びて当該構造物に固定される板状の取付面部(例えば、後述の取付面部21)と、当該取付面部から略水平に延びて前記一対の石材を支持する板状の支持面部(例えば、後述の支持面部22)と、前記取付面部および当該支持面部に一体に設けられて前記一対の石材同士の間に配置される板状の補強部(例えば、後述の補強部23)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、支持部材の取付面部を、例えばボルトで構造物の壁面に取り付ける。よって、このボルトの向きは石材の長さ方向に略平行となるので、石材同士の間隔を狭くしても、これら石材でボルトを長さ方向から挟み込むことはなく、並んで配置された一対の石材を極力狭い間隔で支持できる。
【0012】
請求項に記載の支持部材は、前記構造物の壁面と前記石材との間には、隙間が設けられており、当該隙間には、カバー(例えば、後述のカバー30)が着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、構造物の壁面と石材との間の隙間に、カバーを着脱可能に取り付けたので、石材の取付けが完了した後であっても、カバーを取り外すだけで、支持部材と壁面との接合部分が露出するので、石材の取り付け位置を再調整できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、支持部材の取付面部を、ボルトで構造物の壁面に取り付ける。よって、このボルトの向きは石材の長さ方向に略平行となるので、石材同士の間隔を狭くしようとしても、これら石材でボルトを長さ方向から挟み込むことはなく、並んで配置された一対の石材を極力狭い間隔で支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る支持部材が適用された縦型ルーバーの斜視図である。
図2】前記実施形態に係る縦型ルーバーの石材の斜視図である。
図3】前記実施形態に係る支持部材の斜視図である。
図4】前記実施形態に係る支持部材と構造物との接合部分の分解斜視図である。
図5】本発明の従来例に係る縦型ルーバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る支持部材が適用された縦型ルーバー1の斜視図である。
【0017】
縦型ルーバー1は、構造物としての建物の方立3の外壁面4に取り付けられる。
この縦型ルーバー1は、複数の板状の石材10と、外壁面4に取り付けられてこれら複数の石材10を支持する複数の支持部材20と、外壁面4と石材10との隙間を塞ぐ複数のカバー30と、カバー30を着脱可能に支持するカバー支持部材40と、を備える。
【0018】
石材10は、上下に複数段積層されており、各段では、一対の石材10が互いに背中合わせに並んで配置されている。
また、支持部材20は、上下の石材10同士の間に配置されている。
【0019】
図2は、石材10の斜視図である。
各石材10の下端面には、2箇所にダボ穴11が形成されている。また、各石材10の上端面には、2箇所にダボ穴12が形成されている。
【0020】
以下、下から2番目の支持部材20Aについて説明するが、他の支持部材20についても、同様の構造である。
この支持部材20Aの直下に位置する石材10を、下側の石材10Aとし、この支持部材20Aの直上に位置する石材10を、上側の石材10Bとする。
【0021】
図3は、支持部材20Aの斜視図である。
支持部材20Aは、外壁面4に沿って延びてこの外壁面4にボルト固定される板状の取付面部21と、この取付面部21から略水平に延びて一対の石材10を支持する板状の支持面部22と、取付面部21および支持面部22に一体に設けられて一対の石材10同士の隙間に配置される板状の補強部23と、を備える。
【0022】
支持面部22は、上下の石材10A、10Bの間に配置されて、下側の石材10Aの位置を固定して石材10Aの開き止めを行うとともに、上側の石材10Bを下から支持する。
【0023】
具体的には、支持面部22には、4箇所に長孔24が形成されている。ダボピン13を用意して、このダボピン13を上から長孔24に挿通して下側の石材10Aの上端面のダボ穴12に差し込むことで、下側の石材10Aが支持面部22に係止する。
【0024】
また、支持面部22の上面には、4つのダボピン25が設けられている。ダボピン25を上側の石材10Bの下端面のダボ穴11に差し込むことで、上側の石材10Bが支持面部22に係止する。
【0025】
支持部材20Aの取付面部21と方立3の外壁面4との間には、ライナープレート50が介装されている。このライナープレート50の厚みを調整することで、支持部材20Aの外壁面4からの突出寸法を調整できる。
【0026】
図4は、支持部材20Aと方立3との接合部分の分解斜視図である。この図4では、理科の容易のため、ライナープレート50の表示を省略している。
支持部材20Aの取付面部21は、ボルト60、押えプレート70、ナット61を用いて、方立3の外壁面4に固定される。
【0027】
方立3の外壁面4には、ボルト60を挿通するための円形の挿通孔5が形成されている。また、支持部材20Aの取付面部21には、ボルト60を挿通するための縦長の長孔26が形成されている。
押えプレート70は、矩形状であり、この押えプレート70には、ボルト60を挿通するための円形の挿通孔71が形成されている。
【0028】
支持部材20Aを外壁面4に取り付ける手順は、以下のようになる。
すなわち、支持部材20Aの取付面部21と方立3の外壁面4との間にライナープレート50を挟み込み、この状態で、外壁面4の挿通孔5、取付面部21の長孔26、および押えプレート70の挿通孔71に、ボルト60を挿通する。その後、ボルト60にナット61を螺合して、ナット61を所定のトルクで締め付ける。これにより、支持部材20Aが外壁面4に固定される。
【0029】
ここで、取付面部21には縦長の長孔26が形成されているので、ナット61を締め付ける前の状態では、取付面部21は外壁面4に対して上下に相対移動可能である。したがって、支持部材20Aの高さ位置を調整できる。
【0030】
以上の縦型ルーバー1の施工手順は、以下のようになる。
まず、ステップ1では、支持部材20を方立3に取り付ける。具体的には、ライナープレート50、ボルト60、押えプレート70、およびナット61を用いて、支持部材20の取付面部21を方立3の外壁面4に固定する。
【0031】
ステップ2では、この支持部材20の上に一段目の石材10を取り付ける。具体的には、支持部材20の支持面部22のダボピン25を、石材10の下端面のダボ穴11に差し込む。
【0032】
ステップ3では、この1段目の石材10の上に、支持部材20を取り付ける。具体的には、ライナープレート50、ボルト60、押えプレート70、およびナット61を用いて、支持部材20の取付面部21を方立3の外壁面4に固定する。
その後、ダボピン13を支持部材20の支持面部22の長孔24に挿通して、石材10の上端面のダボ穴12に差し込む。
【0033】
ステップ4では、以上のステップ2、3を繰り返すことで、石材10および支持部材20を下から上に向かって取り付ける。
【0034】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)支持部材20の取付面部21を、ボルト60で方立3の外壁面4に取り付ける。よって、このボルト60の向きは石材10の長さ方向に略平行となるので、石材10同士の間隔を狭くしても、これら石材10でボルト60を長さ方向から挟み込むことはなく、並んで配置された一対の石材10を極力狭い間隔で支持できる。したがって、縦型ルーバー1の幅寸法は、tよりも小さいtとなっている。
【0035】
(2)方立3の外壁面4と石材10との間の隙間に、カバー30を着脱可能に取り付けたので、石材10の取付けが完了した後であっても、カバー30を取り外すだけで、支持部材20と外壁面4との接合部分が露出するので、石材10の取り付け位置を再調整できる。
【0036】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、支持部材20A取付面部21を、方立3の外壁面4にボルト60で固定したが、これに限らず、支持部材20A取付面部21を、方立3の外壁面4に溶接で固定してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…縦型ルーバー
3…方立(構造物)
4…外壁面
5…挿通孔
10、10A、10B…石材
11、12…ダボ穴
13…ダボピン
20、20A…支持部材
21…取付面部
22…支持面部
23…補強部
24…長孔
25…ダボピン
26…長孔
30…カバー
40…カバー支持部材
50…ライナープレート
60…ボルト
61…ナット
70…押えプレート
71…挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5