(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズおよび撮像素子を有する可動モジュールと、前記可動モジュールを揺動可能に保持するとともに少なくとも前記可動モジュールの外周側を覆う支持体と、前記支持体に対して前記レンズの光軸が傾くように前記可動モジュールを揺動させる振れ補正機構と、前記支持体に対する前記可動モジュールの揺動の支点となる支点部とを備え、
前記可動モジュールは、前記撮像素子が実装されるとともに前記可動モジュールの反被写体側部分を構成する平板状のリジッド基板と、その一端側が前記リジッド基板の反被写体側の面に電気的に接続されるとともに固定されるフレキシブル配線基板と、前記支点部を構成する支持突起が形成される、または、前記支持突起が当接する支持板とを備え、
前記支点部は、前記レンズの光軸方向において前記リジッド基板および前記フレキシブル配線基板よりも反被写体側に配置され、
前記光軸方向に直交する一方向を第1方向とし、その反対方向を第2方向とすると、
前記フレキシブル配線基板は、前記リジッド基板に固定される被固定部と、前記被固定部の前記第1方向端に繋がるとともに前記リジッド基板から引き出される引出部とを備え、前記リジッド基板の、前記支点部よりも前記第1方向側の部分から前記第1方向に向かって引き出され、
前記リジッド基板から引き出される前記フレキシブル配線基板は、前記第1方向側で前記支持体に固定され、
前記光軸方向と前記第1方向とに直交する第3方向における前記引出部の最大幅は、前記第3方向における前記被固定部の最大幅よりも狭くなっており、
前記リジッド基板は、前記リジッド基板の前記第2方向側部分をなす第1基板部と、前記リジッド基板の前記第1方向側部分をなす第2基板部とから構成され、
前記被固定部は、前記第1基板部の反被写体側の面を覆うように前記第1基板部の反被写体側の面に固定され、
前記支持板は、前記被固定部の反被写体側の面を覆うように前記被固定部の反被写体側の面に固定される第1支持部と、前記第2基板部の反被写体側の面を覆うように配置される第2支持部とを備えるとともに、前記可動モジュールの反被写体側の端面を構成し、
前記第2支持部には、前記リジッド基板から前記引出部を引き出すための切欠き部が形成され、
前記第2支持部の、前記切欠き部が形成されていない部分は、シール部材によって前記第2基板部に固定されていることを特徴とする撮影用光学装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の撮影用光学装置では、Z形状に形成されたフレキシブル配線基板が、光軸方向における支持体の下カバーと可動モジュールとの間で揺動支点を2回通過するように引き回されている。そのため、この撮影用光学装置では、光軸方向における支持体の下カバーと可動モジュールとの間に、フレキシブル配線基板を引き回すための広いスペースを確保する必要があり、光軸方向において装置が大型化する。
【0006】
そこで、本発明の課題は、光軸方向において小型化することが可能な撮影用光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の撮影用光学装置は、レンズおよび撮像素子を有する可動モジュールと、可動モジュールを揺動可能に保持するとともに少なくとも可動モジュールの外周側を覆う支持体と、支持体に対してレンズの光軸が傾くように可動モジュールを揺動させる振れ補正機構と、支持体に対する可動モジュールの揺動の支点となる支点部とを備え、可動モジュールは、撮像素子が実装されるとともに可動モジュールの反被写体側部分を構成する平板状のリジッド基板と、その一端側がリジッド基板の反被写体側の面に電気的に接続されるとともに固定されるフレキシブル配線基板と
、支点部を構成する支持突起が形成される、または、支持突起が当接する支持板とを備え、支点部は、レンズの光軸方向においてリジッド基板およびフレキシブル配線基板よりも反被写体側に配置され、光軸方向に直交する一方向を第1方向とし、その反対方向を第2方向とすると、フレキシブル配線基板は、
リジッド基板に固定される被固定部と、被固定部の第1方向端に繋がるとともにリジッド基板から引き出される引出部とを備え、リジッド基板の、支点部よりも第1方向側の部分から第1方向に向かって引き出され、リジッド基板から引き出されるフレキシブル配線基板は、第1方向側で支持体に固定され
、光軸方向と第1方向とに直交する第3方向における引出部の最大幅は、第3方向における被固定部の最大幅よりも狭くなっており、リジッド基板は、リジッド基板の第2方向側部分をなす第1基板部と、リジッド基板の第1方向側部分をなす第2基板部とから構成され、被固定部は、第1基板部の反被写体側の面を覆うように第1基板部の反被写体側の面に固定され、支持板は、被固定部の反被写体側の面を覆うように被固定部の反被写体側の面に固定される第1支持部と、第2基板部の反被写体側の面を覆うように配置される第2支持部とを備えるとともに、可動モジュールの反被写体側の端面を構成し、第2支持部には、リジッド基板から引出部を引き出すための切欠き部が形成され、第2支持部の、切欠き部が形成されていない部分は、シール部材によって第2基板部に固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の撮影用光学装置では、フレキシブル配線基板は、リジッド基板の、支点部よりも第1方向側の部分から第1方向に向かって引き出され、リジッド基板から引き出されるフレキシブル配線基板は、第1方向側で支持体に固定されている。そのため、本発明では、フレキシブル配線基板の、リジッド基板から引き出されて支持体に固定されるまでの部分の長さを短くすることが可能になる。したがって、本発明では、光軸方向において、撮影用光学装置の反被写体側の内部にフレキシブル配線基板を引き回すための広いスペースを設ける必要がない。その結果、本発明では、光軸方向において撮影用光学装置を小型化することが可能になる。また、本発明では、フレキシブル配線基板が支点部を通過するように引き回されていないため、特許文献1に記載のフレキシブル配線基板のように、支点部とフレキシブル配線基板との接触を防止するための複数の孔をフレキシブル配線基板に設ける必要がない。したがって、本発明では、フレキシブル配線基板の形状を簡素化することが可能になる。
【0009】
また、本発明
では、フレキシブル配線基板は、リジッド基板に固定される被固定部と、被固定部の第1方向端に繋がるとともにリジッド基板から引き出される引出部とを備え、光軸方向と第1方向とに直交する第3方向における引出部の最大幅は、第3方向における被固定部の最大幅よりも狭くなっている
。そのため、第3方向における引出部の剛性を小さくすることが可能になる。したがって、引出部の、リジッド基板から引き出されて支持体に固定されるまでの部分の長さが短くても、第1方向を揺動の軸方向とする可動モジュールの揺動に引出部が与える影響を低減することが可能になり、その結果、可動モジュールを適切に揺動させることが可能になる。
【0010】
また、本発明
では、可動モジュールは、支点部を構成する支持突起が形成される、または、支持突起が当接する支持板を備え、リジッド基板は、リジッド基板の第2方向側部分をなす第1基板部と、リジッド基板の第1方向側部分をなす第2基板部とから構成され、被固定部は、第1基板部の反被写体側の面を覆うように第1基板部の反被写体側の面に固定され、支持板は、被固定部の反被写体側の面を覆うように被固定部の反被写体側の面に固定される第1支持部と、第2基板部の反被写体側の面を覆うように配置される第2支持部とを備えるとともに、可動モジュールの反被写体側の端面を構成し、第2支持部には、リジッド基板から引出部を引き出すための切欠き部が形成されている
。支持板が第1支持部に加えて第2支持部を備えているため、支持板の面積を広くすることが可能になる。したがって、落下等の衝撃が撮影用光学装置に加わったときに、支持板を介してフレキシブル配線基板やリジッド基板に伝達される単位面積当たりの衝撃力を低減することが可能になる。その結果、落下等の衝撃が撮影用光学装置に加わったときのフレキシブル配線基板やリジッド基板の損傷を防止することが可能になる。
【0011】
また、本発明
では、第2支持部の、切欠き部が形成されていない部分は、シール部材によって第2基板部に固定されている
。第1基板部と第1支持部との間には、フレキシブル配線基板の被固定部が挟まれているが、第2支持部の、切欠き部が形成されていない部分と第2基板部との間には、フレキシブル配線基板が挟まれていないため、第2支持部の、切欠き部が形成されていない部分と第2基板部との間に隙間が形成されて、支持板の固定強度が低下するおそれがあるが、
本発明では、第2支持部の、切欠き部が形成されていない部分も第2基板部に固定されるため、支持板の固定強度を高めることが可能になる。
【0012】
本発明において、第1方向に向かって引き出されたフレキシブル配線基板は、被写体側に向かって略直角に折り曲げられた後に支持体に固定されていることが好ましい。このように構成すると、被写体側に向かって略直角に折り曲げられた部分を利用してフレキシブル配線基板を弛ませることが可能になる。したがって、フレキシブル配線基板の、リジッド基板から引き出されて支持体に固定されるまでの部分の長さが短くても、第3方向を揺動の軸方向とする可動モジュールの揺動にフレキシブル配線基板が与える影響を低減することが可能になり、その結果、可動モジュールを適切に揺動させることが可能になる。
【0013】
本発明において、撮影用光学装置は、支持体の外部に配置される第2フレキシブル配線基板を備え、支持体は、可動モジュールの外周側を覆うとともに撮影用光学装置の外周面を構成する略筒状のケース体を備え、ケース体の第1方向側かつ反被写体側の部分には、フレキシブル配線基板の他端側をケース体の外部へ引き出すための開口部が形成され、開口部の被写体側端には、第2方向に向かって突出する平板状の突出部が形成され
、引出部は、被固定部の第1方向端から第1方向側に向かって伸びる第1引出部と、第1引出部の第1方向側端に繋がるとともに第1引出部の第1方向側端から被写体側に向かって伸びる第2引出部と、第2引出部の被写体側端に繋がるとともに第2引出部の被写体側端から第1方向側に向かって伸びる第3引出部と、第3引出部の第1方向端に繋がるとともに第3引出部の第1方向端から反被写体側に向かって伸びる第4引出部と、第4引出部の反被写体側端に繋がるとともに第4引出部の反被写体側端から第1方向側に向かって伸びる第5引出部とを備え、第3引出部は、突出部の反被写体側の面に固定され、第4引出部は、開口部に配置され、第5引出部は、第2フレキシブル配線基板に電気的に接続されて固定されていることが好ましい。このように構成すると、ケース体の外周面から第1方向へ第4引出部がはみ出すのを防止することが可能になる。したがって、光軸方向に直交する方向において、撮影用光学装置を小型化することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明では、光軸方向において撮影用光学装置を小型化することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(撮影用光学装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる撮影用光学装置1の斜視図である。
図2は、
図1のE−E断面の断面図である。
図3は、
図1に示す撮影用光学装置1の分解斜視図である。
図4は、
図3に示すケース体25の斜視図である。以下の説明では、
図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、
図1等のX1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0018】
本形態の撮影用光学装置1は、携帯電話等の携帯機器、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等に搭載される小型かつ薄型のカメラであり、オートフォーカス機能と振れ補正機能とを備えている。この撮影用光学装置1は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態では、撮影用光学装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、撮影用光学装置1の4つの側面は、左右方向と上下方向とから構成される平面(すなわち、Z方向とX方向とから構成されるZX平面)または前後方向と上下方向とから構成される平面(すなわち、Y方向とZ方向とから構成されるYZ平面)と略平行になっている。
【0019】
撮影用光学装置1は、撮影用のレンズおよび撮像素子を有する可動モジュール4と、可動モジュール4を揺動可能に保持する支持体5とを備えている。可動モジュール4は、4本の線バネ6によって支持体5と繋がれている。本形態では、上下方向は、可動モジュール4が揺動していないときの可動モジュール4の光軸方向とほぼ一致する。また、本形態では、可動モジュール4の下端側に撮像素子が搭載されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は、被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は、反被写体側(撮像素子側、像側)である。なお、本形態では、右方向(X1方向)は、光軸方向に直交する一方向である第1方向であり、左方向(X2方向)は、第1方向の反対方向である第2方向である。
【0020】
可動モジュール4は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態では、可動モジュール4は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。この可動モジュール4は、レンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体8と、可動体8を光軸方向へ移動可能に保持する保持体9とを備えている。可動体8は、可動体8の上端側で可動体8と保持体9とを繋ぐ板バネ10と、可動体8の下端側で可動体8と保持体9とを繋ぐ板バネ11とを介して、保持体9に移動可能に保持されている。
【0021】
可動体8は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ12と、レンズホルダ12を保持するスリーブ13とを備えている。保持体9は、可動モジュール4の前後左右の4つの側面を構成するカバー部材14と、可動モジュール4の下端側部分(反被写体側部分)を構成するベース部材16と、板バネ10の一部が固定されるスペーサ17とを備えている。なお、
図3では、レンズホルダ12の図示を省略している。
【0022】
レンズホルダ12は、略円筒状に形成されている。このレンズホルダ12の内周側には、複数のレンズが固定されている。スリーブ13は、略筒状に形成されている。具体的には、スリーブ13は、光軸方向から見たときのスリーブ13の内周が円形状となり、かつ、光軸方向から見たときのスリーブ13の外周が略四角形状となる略筒状に形成されている。スリーブ13の内周側には、レンズホルダ12が固定されている。
【0023】
カバー部材14は、非磁性の金属材料または樹脂材料で形成されている。また、カバー部材14は、底部14aと筒部14bとを有する略有底四角筒状に形成されている。底部14aは、上側に配置されており、可動モジュール4の上端面(被写体側の端面)を構成している。底部14aの中心には、上下方向に貫通する貫通孔14cが形成されている。
【0024】
筒部14bは、筒状に形成されている。具体的には、筒部14bは、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となる略四角筒状に形成されており、前後方向に直交する2個の側面部14dと左右方向に直交する2個の側面部14dとの4つの側面部14dによって構成されている。筒部14bは、可動体8の外周側を覆っている。また、筒部14bは、可動モジュール4の前後左右の4つの側面(外周面)を構成している。
【0025】
4つの側面部14dのそれぞれの上端側には、線バネ6を構成する後述の可動側固定部6aが固定されるバネ固定部14eが形成されている。バネ固定部14eは、側面部14dの上端側部分が前後方向または左右方向の外側に向かって切り起こされることで形成されており、上下方向に直交する平板状に形成されている。側面部14dの上端側部分が前後方向または左右方向の外側に向かって切り起こされることでバネ固定部14eが形成されているため、側面部14dの上端側には、前後方向または左右方向に貫通する開口部14f(
図2参照)が形成されている。開口部14fは、シール部材18によって塞がれている。
【0026】
ベース部材16は、扁平な略直方体状に形成されており、光軸方向から見たときのベース部材16の外形は、略正方形状となっている。また、ベース部材16の中心には、貫通孔16aが形成されており、ベース部材16は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。ベース部材16は、カバー部材14の下端側に取り付けられている。
【0027】
スペーサ17は、略正方形の扁平なブロック状に形成されている。また、スペーサ17は、枠状に形成されており、その中心には、貫通孔が形成されている。このスペーサ17は、カバー部材14の底部14aの下面に固定されている。
【0028】
板バネ10は、スリーブ13の上端側に固定される可動体固定部と、スペーサ17に固定される固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備えている。板バネ10は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ13およびスペーサ17に固定されている。板バネ11は、スリーブ13の下端側に固定される可動体固定部と、ベース部材16に固定される固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備えている。板バネ11は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ13およびベース部材16に固定されている。
【0029】
撮像素子は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板21に実装されている。リジッド基板21は、略正方形の平板状に形成されている。このリジッド基板21は、ベース部材16の下面に固定されており、可動モジュール4の下端側部分(反被写体側部分)を構成している。リジッド基板21の下面には、フレキシブル配線基板22の一端側が電気的に接続されるとともに固定されている。フレキシブル配線基板22は、撮影用光学装置1の内部の下端側で引き回された後、支持体5を構成する後述のケース体25の外部に引き出されている。フレキシブル配線基板22の他端側は、支持体5の外部に配置される第2フレキシブル配線基板としてのフレキシブル配線基板24に電気的に接続されて固定されている。フレキシブル配線基板24は、撮影用光学装置1が搭載される携帯機器等の制御部に接続されている。フレキシブル配線基板22の具体的な構成については後述する。
【0030】
リジッド基板21およびフレキシブル配線基板22の下面には、略平板状に形成される支持板23が固定されている。支持板23は、可動モジュール4の下端面(反被写体側の端面)を構成している。また、支持板23は、非磁性の金属材料または樹脂材料で形成されている。支持板23の下面の中心には、可動モジュール4の揺動の支点となる支点部28を構成する支点突起23aが下側に突出するように形成されている。支点突起23aは、支持体5を構成する後述のベース板26の上面に当接している。支持板23の具体的な構成については後述する。
【0031】
支持体5は、支持体5の前後左右の4つの側面を構成するケース体25と、支持体5の下端面を構成するベース板26とを備えている。ケース体25は、撮影用光学装置1の外周面(すなわち、撮影用光学装置1の前後左右の4つの側面)を構成し、ベース板26は、撮影用光学装置1の下端面を構成している。また、支持体5は、ケース体25の上端に固定されるバネカバー27を備えている。
【0032】
ケース体25は、たとえば、非磁性の金属材料で形成されている。また、ケース体25は、略筒状に形成されている。具体的には、ケース体25は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となる略四角筒状に形成されており、前後方向に直交する2個の側面部25aと左右方向に直交する2個の側面部25aとの4つの側面部25aによって構成されている。このケース体25は、可動モジュール4の外周側、および、後述のレンズ駆動機構30および振れ補正機構31の外周側を覆うように配置されている。
【0033】
側面部25aには、スリット状の切欠き部25bが形成されている。切欠き部25bは、側面部25aの上端から下側に向かって切り欠かれるように形成されている。また、前後方向に直交する2個の側面部25aでは、左右方向における中間位置に切欠き部25bが形成され、左右方向に直交する2個の側面部25aでは、前後方向における中間位置に切欠き部25bが形成されている。切欠き部25bには、線バネ6を構成する後述の固定側固定部6bが固定されている。
【0034】
ケース体25の右側面を構成する側面部25a(以下、この側面部25aを他の3つの側面部25aと区別して表す場合には、「側面部25k」と表記する。)の下端側には、フレキシブル配線基板22の他端側をケース体25の外部へ引き出すための開口部25cが形成されている。すなわち、ケース体25の右側かつ下側の部分には、開口部25cが形成されている。開口部25cは、前後方向に長い略長方形状に形成されている。また、開口部25cは、前後方向における側面部25kの略中心に形成されている。開口部25cの上端には、左方向に向かって突出する平板状の突出部25dが形成されている。すなわち、側面部25kの下端側には、ケース体25の内側に向かって突出する突出部25dが形成されている。突出部25dは、側面部25kの下端側部分が左側に向かって切り起こされることで形成されており、上下方向に直交する平板状に形成されている。
【0035】
また、側面部25kの下端側には、後述のフレキシブル配線基板34をケース体25の外部へ引き出すための切欠き部25eが形成されている(
図4参照)。切欠き部25eは、前後方向における開口部25cの両側に形成されている。この切欠き部25eは、ケース体25の下端部分がわずかに切り欠かれることで形成されている。また、切欠き部25eは、開口部25cから側面部25kの前後両端までの全域に形成されている。
【0036】
ベース板26は、略正方形状の平板状に形成されている。ベース板26の中心には、支点突起23aの前後左右方向へのずれを防止するためのガイド部26aが形成されている。ガイド部26aは、上側に突出する円環状に形成されている。支点突起23aは、ガイド部26aの内周側に配置されている。また、支点突起23aは、ベース板26の上面に当接している。本形態では、ベース板26の上面の、ガイド部26aの内周側の部分と、ガイド部26aと、支点突起23aとによって、支持体5に対する可動モジュール4の揺動の支点となる支点部28が構成されている。支点部28は、リジッド基板21およびフレキシブル配線基板22よりも下側に配置されている。また、支点部28は、光軸Lが通過する位置に配置されており、光軸Lは、支点突起23aの中心を通過する。
【0037】
バネカバー27は、略正方形の枠状に形成されている。このバネカバー27は、後述のように、可動モジュール4の上端側に、かつ、前後左右方向において、カバー部材14の筒部14bとケース体25との間に配置される4本の線バネ6の上側を覆うように、ケース体25の上端に固定されている。
【0038】
また、撮影用光学装置1は、保持体9に対して可動体8を光軸方向へ駆動するためのレンズ駆動機構30と、支持体5に対して光軸Lが傾くように可動モジュール4を揺動させて手振れ等の振れを補正するための振れ補正機構31とを備えている。レンズ駆動機構30および振れ補正機構31の構成を以下で説明する。
【0039】
(レンズ駆動機構および振れ補正機構の構成)
図5は、
図2からケース体25、振れ補正用コイル33およびフレキシブル配線基板22、34を抜き出して示す断面図である。
図6は、
図3に示す振れ補正用コイル33がフレキシブル配線基板34に固定された状態の斜視図である。
図7は、
図3に示すフレキシブル配線基板34の斜視図である。
【0040】
図2に示すように、スリーブ13の外周面には、レンズ駆動機構30を構成する2個のレンズ駆動用コイル32が取り付けられている。レンズ駆動用コイル32は、スリーブ13の外周面に沿って巻回されている。すなわち、レンズ駆動用コイル32は、可動体8の外周面に巻回されて固定されている。2個のレンズ駆動用コイル32は、その巻回方向が互いに異なるように巻回されている。また、2個のレンズ駆動用コイル32は、上下方向に所定の間隔をあけた状態でスリーブ13の外周面に固定されている。
【0041】
カバー部材14の筒部14bを構成する4つの側面部14dのそれぞれと、ケース体25を構成する4つの側面部25aのそれぞれとの間には、振れ補正機構31を構成する振れ補正用コイル33が配置されている。すなわち、可動モジュール4の外周側には、4個の振れ補正用コイル33が配置されている。また、ケース体25の4つの側面部25aのそれぞれの内側に沿って振れ補正用コイル33が配置されている。振れ補正用コイル33は、空芯コイルであり、略長円形の平板状に形成されている。
【0042】
4個の振れ補正用コイル33は、フレキシブル配線基板34に電気的に接続されて固定されている。フレキシブル配線基板34は、絶縁性を有するベースフィルム、導電性を有する金属箔からなり振れ補正用コイル33に電力を供給する給電用の回路パターン、および、回路パターンの表面を覆う絶縁性の保護膜等によって構成されている。また、フレキシブル配線基板34は、4個の振れ補正用コイル33のそれぞれが固定される4個のコイル固定部34aと、4個のコイル固定部34aが繋がる帯状の給電部34bと、給電部34bをフレキシブル配線基板24に接続するための2個の引出部34cとを備えている。
【0043】
コイル固定部34aは、ベースフィルムによって構成されている。すなわち、コイル固定部34aは、ベースフィルムのみを有している。一方、給電部34bおよび引出部34cは、ベースフィルム、回路パターンおよび保護膜等によって構成されている。すなわち、給電部34bおよび引出部34cは、ベースフィルム、回路パターンおよび保護膜等を有している。そのため、コイル固定部34aの厚みは、給電部34bおよび引出部34cの厚みよりも薄くなっている。なお、コイル固定部34aを構成するベースフィルムと給電部34bおよび引出部34cを構成するベースフィルムとは共通のものであり、コイル固定部34aを構成するベースフィルムと給電部34bおよび引出部34cを構成するベースフィルムとは一体になっている。
【0044】
帯状に形成される給電部34bは、ケース体25の内周面に沿って配置されるように、3箇所で略直角に折り曲げられている。すなわち、給電部34bは、周方向の1箇所に切れ目が形成される略正方形の筒状に形成されており、ケース体25の4つの側面部25aのそれぞれの内側に配置される直線状の4つの辺部分34dを備えている。コイル固定部34aは、略長方形状に形成されている。4個のコイル固定部34aは、4つの辺部分34dのそれぞれの上端に繋がっており、4つの側面部25aのそれぞれの内側に沿って配置されている。ケース体25の周方向において隣り合うコイル固定部34a同士の間には、隙間が形成されている。すなわち、ケース体25の四隅において、コイル固定部34a同士の間には、隙間が形成されている。
【0045】
なお、略正方形の筒状に形成される給電部34bでは、前後方向または左右方向におけるベースフィルムの内側面に回路パターンおよび保護膜等が形成されている。そのため、前後方向または左右方向における給電部34bの内側面は、前後方向または左右方向におけるコイル固定部34aの内側面よりも内側へ突出している。
【0046】
引出部34cの一端は、側面部25kの内側に沿って配置される辺部分34dの前後方向の両端側に繋がっている。引出部34cは、辺部分34dから下側に伸びる第1引出部34eと、第1引出部34eの下端に繋がるとともに第1引出部34eの下端から前側に向かって伸びる第2引出部34fとから構成されている。第2引出部34fは、ケース体25の切欠き部25eを通過するように配置されており、第2引出部34fの先端側は、ケース体25の外部に引き出されている。第2引出部34fの先端側は、フレキシブル配線基板24の上面に電気的に接続されて固定されている。
【0047】
略長円形の平板状に形成される振れ補正用コイル33は、その長辺部分が上下方向で重なるように、前後方向または左右方向におけるコイル固定部34aの内側面に固定されている。また、コイル固定部34aおよび給電部34bの前後方向または左右方向における外側面は、ケース体25の内周面(すなわち、側面部25aの内側面)に固定されている。すなわち、振れ補正用コイル33は、コイル固定部34aを介してケース体25の内周面に固定されている。前後方向に直交する側面部25aの内側面に固定される振れ補正用コイル33は、その厚さ方向と前後方向とが略一致するように固定され、左右方向に直交する側面部25aの内側面に固定される振れ補正用コイル33は、その厚さ方向と左右方向とが略一致するように固定されている。また、側面部25kの内側に沿って配置される辺部分34dの下端は、
図5に示すように、ケース体25の突出部25dの上面に当接している。すなわち、給電部34bの下端は、突出部25dの上面に当接している。
【0048】
なお、振れ補正用コイル33を構成する導線の端部は、給電部34bまで引き出されて給電部34bに固定されており、導線の端部は、給電部34bを構成する回路パターンに電気的に接続されている。また、本形態では、コイル固定部34aに振れ補正用コイル33を固定する際に、空芯状の振れ補正用コイル33の中心に形成される貫通孔33aを利用して、コイル固定部34aに対する振れ補正用コイル33の位置決めを行っている。たとえば、コイル固定部34aに振れ補正用コイル33を固定する際に、フレキシブル配線基板34が固定される治具と、貫通孔33aに挿通される挿通軸を有する治具とを組み合わせることで、コイル固定部34aに対する振れ補正用コイル33の位置決めを行っている。すなわち、貫通孔33aは、コイル固定部34aに振れ補正用コイル33を固定する際の位置決め孔として機能している。
【0049】
カバー部材14の筒部14bを構成する4つの側面部14dのそれぞれの内側面には、
図2に示すように、略長方形の平板状に形成される駆動用磁石38が固定されている。すなわち、4個の駆動用磁石38が筒部14bの内周面に固定されている。前後方向に直交する側面部14dの内側面に固定される駆動用磁石38は、その厚さ方向と前後方向とが略一致するように固定され、左右方向に直交する側面部14dの内側面に固定される駆動用磁石38は、その厚さ方向と左右方向とが略一致するように固定されている。また、略長方形の平板状に形成される駆動用磁石38は、その短手方向が上下方向と一致するように、接着等によって、側面部14dの内側面に固定されている。
【0050】
駆動用磁石38は、ネオジム、鉄およびボロンを主成分とするネオジム磁石である。この駆動用磁石38は、略長方形の平板状に形成された第1磁石片38aと第2磁石片38bとの2個の磁石片によって構成されている。具体的には、第1磁石片38aの下面と第2磁石片38bの上面とが当接した状態で、第1磁石片38aと第2磁石片38bとが互いに接着固定されることで駆動用磁石38が形成されている。
【0051】
駆動用磁石38は、一方の側面に形成される磁極と他方の側面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。すなわち、その厚さ方向が前後方向と略一致するように配置される駆動用磁石38は、駆動用磁石38の前側面に形成される磁極と後側面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。また、その厚さ方向が左右方向と略一致するように配置される駆動用磁石38は、駆動用磁石38の右側面に形成される磁極と左側面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。
【0052】
また、駆動用磁石38は、その側面において異なる2つの磁極が上下方向で重なるように着磁されている。具体的には、その厚さ方向が前後方向と略一致するように配置される駆動用磁石38は、前後方向における第1磁石片38aの外側面に形成される磁極と第2磁石片38bの外側面に形成される磁極とが異なるように(すなわち、前後方向における第1磁石片38aの内側面に形成される磁極と第2磁石片38bの内側面に形成される磁極とが異なるように)着磁され、その厚さ方向が左右方向と略一致するように配置される駆動用磁石38は、左右方向における第1磁石片38aの外側面に形成される磁極と第2磁石片38bの外側面に形成される磁極とが異なるように(すなわち、左右方向における第1磁石片38aの内側面に形成される磁極と第2磁石片38bの内側面に形成される磁極とが異なるように)着磁されている。
【0053】
本形態では、4つの第1磁石片38aの内側面の磁極が全て同じ磁極になるように(すなわち、4つの第2磁石片38bの内側面の磁極が全て同じ磁極になるように)、4個の駆動用磁石38が配置されている。すなわち、本形態では、4つの第1磁石片38aの外側面の磁極が全て同じ磁極になるように(すなわち、4つの第2磁石片38bの外側面の磁極が全て同じ磁極になるように)、4個の駆動用磁石38が配置されている。
【0054】
前後方向または左右方向における第1磁石片38aの内側面は、2個のレンズ駆動用コイル32のうちの一方のレンズ駆動用コイル32の外周面と所定の隙間を介して対向し、前後方向または左右方向における第2磁石片38bの内側面は、他方のレンズ駆動用コイル32の外周面と所定の隙間を介して対向している。すなわち、レンズ駆動用コイル32は、内周側から駆動用磁石38に対向している。
【0055】
前後方向または左右方向における第1磁石片38aの外側面は、振れ補正用コイル33の2個の長辺部分のうちの一方の長辺部分と、側面部14dおよび所定の隙間を介して対向し、前後方向または左右方向における第2磁石片38bの外側面は、振れ補正用コイル33の2個の長辺部分のうちの他方の長辺部分と、側面部14dおよび所定の隙間を介して対向している。すなわち、振れ補正用コイル33は、筒部14bを介して外周側から駆動用磁石38に対向している。
【0056】
本形態では、レンズ駆動用コイル32と駆動用磁石38とによって、レンズ駆動機構30が構成されており、レンズ駆動用コイル32に電流が供給されると、可動体8とともにレンズが光軸方向へ移動する。また、上述のように、カバー部材14が非磁性材料で形成されているため、駆動用磁石38が発生させる磁力線は、筒部14bを通過するとともに、筒部14bを介して外周側から駆動用磁石38に対向する振れ補正用コイル33を通過する。本形態では、振れ補正用コイル33と駆動用磁石38とによって、振れ補正機構31が構成されている。撮影用光学装置1の外部に配置されるジャイロスコープによって撮影用光学装置1の傾きの変化が検出されると、ジャイロスコープでの検出結果に基づいて、振れ補正用コイル33に電流が供給される。また、振れ補正用コイル33に電流が供給されると、可動モジュール4が支点部28を中心にして支持体5に対して光軸Lを傾けるように揺動して、振れが補正される。
【0057】
(フレキシブル配線基板、支持板およびその周辺部分の構成)
図8は、
図3に示すリジッド基板21、フレキシブル配線基板22およびシール部材41を反被写体側から示す斜視図である。
【0058】
上述のように、フレキシブル配線基板22の一端側は、リジッド基板21の下面に固定され、フレキシブル配線基板22の他端側は、ケース体25の外部に引き出されてフレキシブル配線基板24に固定されている。フレキシブル配線基板22は、リジッド基板21に固定される被固定部22aと、リジッド基板21から引き出される引出部22bとから構成されている。
【0059】
被固定部22aは、
図8に示すように、前後方向を長手方向とする長方形状に形成される第1被固定部22cと、第1被固定部22cの右端から右側へわずかに突出する第2被固定部22dとから構成されている。第2被固定部22dは、第1被固定部22cよりも前後方向の幅が狭い長方形状に形成されている。たとえば、前後方向における第2被固定部22dの幅は、前後方向における第1被固定部22cの半分程度となっている。この第2被固定部22dは、第1被固定部22cの前後方向の中心に形成されている。引出部22bは、第2被固定部22dの右端に繋がる帯状に形成されている。引出部22bの前後方向の幅は、第2被固定部22dの前後方向の幅と等しくなっている。すなわち、前後方向における引出部22bの最大幅は、前後方向における被固定部22aの最大幅よりも狭くなっている。
【0060】
図8に示すように、第1被固定部22cは、リジッド基板21の左側部分の下面の全体を覆うように、リジッド基板21の左側部分の下面に固定されている。第1被固定部22cの右端は、左右方向におけるリジッド基板21の中心よりも右側に位置しており、左右方向において光軸Lよりも右側に配置されている。すなわち、第2被固定部22dの右端は、左右方向におけるリジッド基板21の中心よりも右側に位置しており、左右方向において光軸Lよりも右側に配置されている。また、第2被固定部22dの右端は、左右方向において支点部28よりも右側に配置されている。なお、本形態では、下面が第1被固定部22cに覆われるリジッド基板21の左側部分が第1基板部21aとなっており、下面が第1被固定部22cに覆われていないリジッド基板21の右側部分が第2基板部21bとなっている。
【0061】
引出部22bは、第2被固定部22dの右端(すなわち、被固定部22aの右端)から右側に向かって伸びる第1引出部22eと、第1引出部22eの右端に繋がるとともに第1引出部22eの右端から上側に向かって伸びる第2引出部22fと、第2引出部22fの上端に繋がるとともに第2引出部22fの上端から右側に向かって伸びる第3引出部22gと、第3引出部22gの右端に繋がるとともに第3引出部22gの右端から下側に向かって伸びる第4引出部22hと、第4引出部22hの下端に繋がるとともに第4引出部22hの下端から右側に向かって伸びる第5引出部22jとから構成されている。
【0062】
図5に示すように、第3引出部22gは、突出部25dの下面に固定されている。第4引出部22hは、側面部25kの外側面よりも右側へはみ出さないように、ケース体25の開口部25cに配置されている。第5引出部22jは、フレキシブル配線基板24の上面に電気的に接続されて固定されている。なお、フレキシブル配線基板24は、たとえば、ベース板26の右端側に固定されている。
【0063】
本形態では、上述のように、リジッド基板21に固定される第2被固定部22dの右端は、左右方向において支点部28よりも右側に配置されている。また、第1引出部22eは、第2被固定部22dの右端から右側に向かって伸び、第2引出部22fは、第1引出部22eの右端に繋がるとともに第1引出部22eの右端から上側に向かって伸び、第3引出部22gは、第2引出部22fの上端に繋がるとともに第2引出部22fの上端から右側に向かって伸びている。さらに、第3引出部22gは、突出部25dの下面に固定されている。すなわち、本形態では、フレキシブル配線基板22は、リジッド基板21の、支点部28よりも右側の部分から右側に向かって引き出され、リジッド基板21から引き出されたフレキシブル配線基板22は、右側で支持体5に固定されている。具体的には、右側に向かって引き出されたフレキシブル配線基板22は、上側に向かって略直角に折り曲げられた後に支持体5の突出部25dに固定されている。
【0064】
支持板23は、上述のように、略平板状に形成されている。この支持板23は、第1被固定部22cの下面を覆うように第1被固定部22cの下面に固定される第1支持部23bと、リジッド基板21の下面の一部(具体的には、第2基板部21bの下面の一部)を覆うように配置される第2支持部23cとから構成されている(
図3参照)。第1支持部23bは、長方形状に形成されている。
【0065】
第2支持部23cには、リジッド基板21から引出部22bを引き出すための切欠き部23dが形成されている。切欠き部23dは、上下方向から見たときの形状が長方形状となるように形成されている。また、切欠き部23dは、前後方向における第2支持部23cの中心位置に形成されている。また、切欠き部23dは、支持板23の右端から左側に向かって切り欠かれるように形成されている。前後方向における切欠き部23dの両側は、第2基板部21bの下面を覆う覆部23eとなっている。覆部23eは、シール部材41によって、第2基板部21bの下面に固定されている。すなわち、第2支持部23cの、切欠き部23dが形成されていない部分は、シール部材41によって第2基板部21bに固定されている。
【0066】
シール部材41は、長方形の平板状に形成されている。シール部材41の厚みは、フレキシブル配線基板22の厚みと略等しくなっている。
図8に示すように、シール部材41は、前後方向において、引出部22bの前後の両端位置からリジッド基板21の前後の両端までの範囲に配置されている。また、シール部材41は、左右方向において、第2被固定部22dの右端からリジッド基板21の右端までの範囲に配置されている。
【0067】
(線バネおよびその周辺部分の構成)
図9は、
図2に示す線バネ6、カバー部材14およびケース体25を被写体側から示す図である。
【0068】
線バネ6は、線状の部材が略L形状に折り曲げられることで形成されている。たとえば、線バネ6は、金属製の線材が略L形状に折り曲げられることで形成されている。線バネ6の一端側は、そのまま直線状に伸びている。この線バネ6の一端側は、可動モジュール4に固定される可動側固定部6aとなっている。線バネ6の他端側には、略1/4円弧状に折れ曲がった折り曲げ部分が形成されている。この折り曲げ部分は、支持体5に固定される固定側固定部6bとなっている。また、線バネ6の、可動側固定部6aと固定側固定部6bの間の部分は、可動側固定部6aと固定側固定部6bとを繋ぐ腕部6cとなっており、腕部6cは、略L形状に形成されている。なお、本形態の線バネ6の断面形状は、長方形状となっているが、線バネ6の断面形状は、正方形状であっても良いし、円形状であっても良い。また、線バネ6の断面形状は、四角形状以外の多角形状であっても良いし、楕円形状であっても良い。
【0069】
線バネ6の可動側固定部6aは、カバー部材14のバネ固定部14eの上面に載置された状態で、接着等によってバネ固定部14eの上面に固定されている。線バネ6の固定側固定部6bは、ケース体25の切欠き部25bに差し込まれた状態で、接着等によって切欠き部25bに固定されている。このように、線バネ6は、可動モジュール4の上端側(被写体側)で、可動モジュール4と支持体5とを繋いでおり、可動モジュール4の上端側に配置されている。また、線バネ6は、筒部14bよりも外周側、かつ、ケース体25よりも内周側に配置されている。すなわち、線バネ6は、前後左右方向において、筒部14bとケース体25との間に配置されている。また、略L形状に形成される線バネ6の折り曲げ部分(すなわち、腕部6cの折り曲げ部分)は、筒部14bおよびケース体25の四隅のそれぞれに配置されている。
【0070】
本形態では、可動モジュール4と支持体5とを線バネ6で繋ぐ際に、まず、固定側固定部6bを切欠き部25bに固定し、その後、可動側固定部6aをバネ固定部14eの上面に固定する。可動側固定部6aをバネ固定部14eに固定する際には、線バネ6のバネ定数を調整するため、また、振れ補正用コイル33に電流が供給されていないときの支持体5に対する光軸Lの傾きを調整するため、前後左右方向において、バネ固定部14eに対する可動側固定部6aの固定位置が調整される。なお、線バネ6は、支点突起23aとベース板26の上面とを確実に当接させるための与圧が発生するように(すなわち、可動モジュール4を下方向へ付勢する付勢力が発生するように)、撓んだ状態で固定されている。
【0071】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、フレキシブル配線基板22は、リジッド基板21の、支点部28よりも右側の部分から右側に向かって引き出され、リジッド基板21から引き出されたフレキシブル配線基板22は、右側で支持体5に固定されている。そのため、本形態では、フレキシブル配線基板22の、リジッド基板21から引き出されて支持体5に固定されるまでの部分の長さを短くすることが可能になる。したがって、本形態では、光軸方向において、可動モジュール4の下端面とベース板26との間にフレキシブル配線基板22を引き回すための広いスペースを設ける必要がない。その結果、本形態では、光軸方向において撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。
【0072】
また、本形態では、フレキシブル配線基板22が支点部28を通過するように引き回されていないため、特許文献1に記載のフレキシブル配線基板のように、支点部28とフレキシブル配線基板22との接触を防止するための複数の孔をフレキシブル配線基板22に設ける必要がない。したがって、本形態では、フレキシブル配線基板22の形状を簡素化することが可能になる。
【0073】
本形態では、フレキシブル配線基板22の引出部22bの前後方向における最大幅は、フレキシブル配線基板22の被固定部22aの前後方向における最大幅よりも狭くなっている。そのため、本形態では、前後方向における引出部22bの剛性を小さくすることが可能になる。したがって、本形態では、引出部22bの、リジッド基板21から引き出されて支持体5に固定されるまでの部分の長さが短くても、左右方向を揺動の軸方向とする可動モジュール4の揺動に引出部22bが与える影響を低減することが可能になり、その結果、可動モジュール4を適切に揺動させることが可能になる。
【0074】
本形態では、フレキシブル配線基板22の引出部22bは、第1引出部22eと第2引出部22fと第3引出部22gと第4引出部22hと第5引出部22jとによって構成されており、右側に向かって引き出されたフレキシブル配線基板22は、上側に向かって略直角に折り曲げられた後に支持体5の突出部25dに固定されている。そのため、本形態では、第2引出部22fを利用してフレキシブル配線基板22を弛ませることが可能になる。したがって、本形態では、引出部22bの、リジッド基板21から引き出されて支持体5に固定されるまでの部分の長さが短くても、前後方向を揺動の軸方向とする可動モジュール4の揺動にフレキシブル配線基板22が与える影響を低減することが可能になり、その結果、可動モジュール4を適切に揺動させることが可能になる。
【0075】
本形態では、ケース体25の突出部25dの下面に第3引出部22gが固定され、第5引出部22jがフレキシブル配線基板24の上面に固定されるとともに、側面部25kの外側面よりも右側へはみ出さないように、第4引出部22hがケース体25の開口部25cに配置されている。そのため、本形態では、ケース体25の外周面からの第4引出部22hのはみ出しを防止して、左右方向において、撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。
【0076】
本形態では、支持板23は、第1被固定部22cの下面に固定される第1支持部23bに加えて、シール部材41を介してリジッド基板21の第2基板部21bの下面に固定される覆部23eを備えている。すなわち、本形態では、支持板23の面積が広くなっている。そのため、本形態では、落下等の衝撃が撮影用光学装置1に加わったときに、支持板23を介してフレキシブル配線基板22やリジッド基板21に伝達される単位面積当たりの衝撃力を低減することが可能になる。したがって、本形態では、落下等の衝撃が撮影用光学装置1に加わったときのフレキシブル配線基板22やリジッド基板21の損傷を防止することが可能になる。また、本形態では、第1支持部23bが第1被固定部22cの下面に固定されているのに加えて、シール部材41によって覆部23eが第2基板部21bの下面に固定されているため、支持板23の固定強度を高めることが可能になる。
【0077】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0078】
上述した形態では、支点部28を構成する支点突起23aが支持板23に形成され、この支点突起23aは、ベース部材26の上面に当接している。この他にもたとえば、支点部28を構成する支点突起がベース部材26に形成され、この支点突起が支持板23の下面に当接しても良い。また、支点部28を構成する球状部材が支持板23とベース部材26との間に配置されても良い。
【0079】
上述した形態では、フレキシブル配線基板22は、被固定部22aに繋がる1個の引出部22bを備えているが、フレキシブル配線基板22は、被固定部22aに繋がる2個以上の引出部22bを備えていても良い。また、上述した形態では、支持板23は、第1支持部23aと第2支持部23bとによって構成されているが、支持板23は、第1支持部23aのみによって構成されても良い。
【0080】
上述した形態では、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状がその他の多角形状となるように形成されても良いし、光軸方向から見たときの形状が円形状や楕円形状となるように形成されても良い。