特許第6192223号(P6192223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192223
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/04 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   A01B35/04 B
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-266855(P2013-266855)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-119692(P2015-119692A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小出 盛人
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−003510(JP,U)
【文献】 特開2005−304330(JP,A)
【文献】 実開昭59−055411(JP,U)
【文献】 実開昭62−198905(JP,U)
【文献】 特開2007−222130(JP,A)
【文献】 特開2009−131172(JP,A)
【文献】 特表2003−505047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 27/00−31/00
A01B 35/00−49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、
前記整地体は、1つの板状の整地部を有し、
前記1つの板状の整地部は、大きさの不均等な複数の切欠部を有する
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、
前記整地体は、1つの板状の整地部を有し、
前記1つの板状の整地部は、左右方向に並んで位置する複数の切欠部を有し、
前記切欠部の大きさは、左右方向の位置に応じて異なっている
ことを特徴とする農作業機。
【請求項3】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、
前記整地体は、左右方向に並んで位置する複数の切欠部を有し、
前記切欠部の大きさは、前記整地体の左右方向中央部側から左右方向端部側に向かって減少するように異なっている
ことを特徴とする農作業機。
【請求項4】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、
前記整地体は、左右方向に並んで位置する複数の切欠部を有し、
前記切欠部の大きさは、前記整地体の左右方向中央部側から左右方向端部側に向かって漸次的または段階的に増大するように異なっている
ことを特徴とする農作業機。
【請求項5】
走行車の後部に連結される農作業機であって、
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、
前記整地体は、左右方向に並んで位置する複数の切欠部を有し、
前記複数の切欠部のうち、前記走行車の走行輪の後方に位置する切欠部の大きさは、他の切欠部の大きさよりも小さい
ことを特徴とする農作業機。
【請求項6】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、
前記整地体は、
回動可能な第1整地部と、
この第1整地部に回動可能に連結された第2整地部とを有し、
前記第2整地部は、大きさの不均等な複数の切欠部を有する
ことを特徴とする農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場面を均平に整地できる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された代掻機等の農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、例えばトラクタ等の走行車の後部に連結される機体と、この機体に回転可能に設けられ、所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備えている。
【0004】
また、整地体は、左右方向に並んで位置する複数の切欠部を後端部に有しており、これら複数の切欠部は、すべて均等な大きさに形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−55411号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の農作業機では、例えば圃場の土質や作業方法等によっては、圃場面に凹凸が残り、圃場面が均平に整地されない場合がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、圃場面を均平に整地できる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、前記整地体は、1つの板状の整地部を有し、前記1つの板状の整地部は、大きさの不均等な複数の切欠部を有するものである。
【0009】
請求項2記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、前記整地体は、1つの板状の整地部を有し、前記1つの板状の整地部は、左右方向に並んで位置する複数の切欠部を有し、前記切欠部の大きさは、左右方向の位置に応じて異なっているものである。
【0010】
請求項3記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、前記整地体は、左右方向に並んで位置する複数の切欠部を有し、前記切欠部の大きさは、前記整地体の左右方向中央部側から左右方向端部側に向かって減少するように異なっているものである。
【0011】
請求項4記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、前記整地体は、左右方向に並んで位置する複数の切欠部を有し、前記切欠部の大きさは、前記整地体の左右方向中央部側から左右方向端部側に向かって漸次的または段階的に増大するように異なっているものである。
【0012】
請求項5記載の農作業機は、走行車の後部に連結される農作業機であって、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、前記整地体は、左右方向に並んで位置する複数の切欠部を有し、前記複数の切欠部のうち、前記走行車の走行輪の後方に位置する切欠部の大きさは、他の切欠部の大きさよりも小さいものである。
【0013】
請求項6記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備え、前記整地体は、回動可能な第1整地部と、この第1整地部に回動可能に連結された第2整地部とを有し、前記第2整地部は、大きさの不均等な複数の切欠部を有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、適切な整地作業をすることが可能であり、圃場面を均平に整地することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る農作業機の背面図である。
図2】同上農作業機の片側折り畳み状態の背面図である。
図3】同上農作業機の後端整地部(漸次的変化)の部分平面図である。
図4】同上農作業機の後端整地部(段階変化少)の部分平面図である。
図5】同上農作業機の作用説明図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る農作業機の作用説明図である。
図7】本発明の第3の実施の形態に係る農作業機の作用説明図である。
図8】本発明の第4の実施の形態に係る農作業機の第2整地板を示す図で、(a)が平面図、(b)が背面図、(c)が側面図である。
図9】本発明の第5の実施の形態に係る農作業機の第2整地板を示す図で、(a)が平面図、(b)が背面図、(c)が側面図である。
図10】本発明の第6の実施の形態に係る農作業機の後端整地部の部分平面図である。
図11】同上農作業機の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図5を参照して説明する。
【0017】
図中の1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、そのトラクタの前進走行により水田等の圃場を前方(進行方向)に移動しながら農作業である代掻作業(耕耘整地作業)をする代掻機である。
【0018】
農作業機1は、図1および図2等に示されるように、トラクタの後部に脱着可能に連結される中央作業部2と、この中央作業部2の左右両側に回動中心軸(回動支点)5を中心として上下方向に回動可能に設けられた延長作業部3と、この延長作業部3を中央作業部2に対して回動中心軸5を中心として回動させる回動駆動手段であるシリンダ部4とを具備している。
【0019】
左右の各延長作業部3は、回動中心軸5を中心とする折畳方向への回動により中央作業部2上に位置する折畳非作業状態となり、回動中心軸5を中心とする展開方向への回動により中央作業部2の側方に位置する展開作業状態となる。
【0020】
そして、このような折り畳み可能な3分割の農作業機1は、中央作業部2と左右両方の延長作業部3とによる作業状態と、中央作業部2と左右いずれか一方のみの延長作業部3とによる作業状態と、中央作業部2のみによる作業状態とに、それぞれ選択的に切り換え可能となっている。
【0021】
中央作業部2は、図示しないトラクタの後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に脱着可能に連結される機体6と、この機体6に回転可能に設けられ、所定方向に回転しながら耕耘作業をするロータリー式の耕耘体(図示せず)と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体7とを備えている。
【0022】
耕耘体は、トラクタ側からの動力に基づいて回転する左右方向長手状の耕耘軸を有し、この耕耘軸の爪ホルダ部には複数の耕耘爪が取り付けられている。そして、機体6は、その耕耘体の上方部を覆う湾曲板状のカバー部8を有し、このカバー部8の後端部に整地体7が上下方向に回動可能に設けられている。
【0023】
整地体7は、機体6のカバー部8の後端部に左右方向の軸を介して上下方向に回動可能に連結された板状の第1整地部である第1整地板(均平板)11と、この第1整地板11の下端部に左右方向の軸を介して上下方向に回動可能に連結された板状の第2整地部である第2整地板(レーキ)12とを有している。
【0024】
第2整地板12は、左右方向長手状で略矩形板状の整地板本体部13を有し、この整地板本体部13の左右方向両端部には、係合凸部14が突設されている。整地板本体部13の左右方向中央部と機体6の左右方向中央部との間に整地板設定手段16が架設されている。
【0025】
そして、第2整地板12は、整地作業時(代掻作業時)には整地板設定手段16によって水平姿勢(略水平姿勢を含む)に設定され、土引き作業時には整地板設定手段16によって鉛直姿勢(略鉛直姿勢を含む)に設定される。
【0026】
左右1対の延長作業部3は、中央作業部2の作業を延長可能なもので、左右対称の構成となっており、この各延長作業部3は、中央作業部2の機体6の左右方向端部に回動中心軸5を中心として上下方向に回動可能に設けられた延長機体21と、この延長機体21に回転可能に設けられ、所定方向に回転しながら耕耘作業をするロータリー式の延長耕耘体23と、この延長耕耘体23の後方で整地作業をする延長整地体22とを備えている。
【0027】
延長耕耘体23は、中央作業部2側からの動力に基づいて回転する左右方向長手状の延長耕耘軸24を有し、この延長耕耘軸24の爪ホルダ部25には複数の延長耕耘爪26が取り付けられている。そして、延長機体21は、その延長耕耘体23の上方部を覆う湾曲板状のカバー部28を有し、このカバー部28の後端部に延長整地体22が上下方向に回動可能に設けられている。
【0028】
延長整地体22は、延長機体21のカバー部28の後端部に左右方向の軸を介して上下方向に回動可能に連結された板状の第1延長整地部である第1延長整地板(延長均平板)31と、この第1延長整地板31の下端部に左右方向の軸を介して上下方向に回動可能に連結された板状の第2延長整地部である第2延長整地板(延長レーキ)32と、この第2延長整地板32の外側端部に前後方向の軸を介して上下方向に回動可能に連結された板状の補助整地部である補助整地板(補助レーキ)33とを有している。
【0029】
第2延長整地板32は、延長作業部3の展開作業状態時には、中央作業部2の第2整地板12の整地板本体部13と同一面上に位置して作業をする左右方向長手状で略矩形板状の延長整地板本体部36を有している。この延長整地板本体部36の内側端部には、延長作業部3の展開作業状態時に第2整地板12の係合凸部14と係脱可能に係合する係合凹部37が設けられている。
【0030】
補助整地板33は、外側端部ほど前後方向長さ寸法が大きな略矩形状をなす板状の本体部38を有し、この本体部38の内側端部に取付部39が設けられ、この取付部39が延長整地板本体部36の外側端部に回動可能に取り付けられている。
【0031】
そして、補助整地板33は、補助整地板回動用の駆動手段40によって展開作業状態および折畳非作業状態に選択的に切り換えられる。補助整地板33の展開作業状態時には、補助整地板33の本体部38は、整地板本体部13および延長整地板本体部36と同一面上に位置して作業をする。
【0032】
ここで、図1ないし図3に示されるように、中央作業部2の整地体7の第2整地板12は、開口面積の大きさ(開口量)の不均等な複数の泥水流出用の切欠部(エジクター部)41を後端側に有している。
【0033】
つまり、第2整地板12の整地板本体部13は、互いに間隔をおいて左右方向に並んで位置する後方開口状の複数の切欠部41を後端部に有し、これら複数の切欠部41の大きさが左右方向の位置に応じて相似的に異なっている。
【0034】
すなわち例えば図3に示す例では、複数の切欠部41の大きさは、整地体7の第2整地板12の左右方向中央部側から第2整地板12の左右方向両端部側に向かって1個ずつ漸次的に減少するように相似的に異なっている。なお、例えば図4に示す例のように、複数の切欠部41の大きさが、整地体7の第2整地板12の左右方向中央部側から第2整地板12の左右方向両端部側に向かって数個ずつ段階的に減少するように相似的に異なる構成でもよい。
【0035】
そして、この第2整地板12の各切欠部41は、整地板本体部13の後端部に、後方に向かって開口する平面視三角形状(平面視略三角形状を含む)に形成されている。なお、整地板本体部13の左右方向中央部に位置する一の切欠部41の大きさは、例えば整地板本体部13の左右方向端部に位置する他の切欠部41の大きさの1.1倍〜3倍(好ましくは2倍)である。
【0036】
また、延長作業部3の延長整地体22の第2延長整地板32も、第2整地板(第2中央整地板)12と同様、開口面積の大きさ(開口量)の不均等な複数の泥水流出用の延長切欠部(エジクター部)46を後端側に有している。
【0037】
つまり、第2延長整地板32の延長整地板本体部36は、互いに間隔をおいて左右方向に並んで位置する後方開口状の複数の延長切欠部(切欠部)46を後端部に有し、これら複数の延長切欠部46の大きさが左右方向の位置に応じて相似的に異なっている。
【0038】
すなわち例えば図3に示す例では、複数の延長切欠部46の大きさは、延長整地体22の第2延長整地板32の左右方向一端部側(内側端部側)から第2延長整地板32の左右方向他端部側(外側端部側)に向かって1個ずつ漸次的に減少するように相似的に異なっている。なお、例えば図4に示す例のように、複数の延長切欠部46の大きさが、延長整地体22の第2延長整地板32の内側端部側(第2整地板12側)から第2延長整地板32の外側端部側(補助整地板33側)に向かって数個ずつ段階的に減少するように相似的に異なる構成でもよい。
【0039】
そして、この第2延長整地板32の各延長切欠部46は、延長整地板本体部36の後端部に、後方に向かって開口する平面視三角形状(平面視略三角形状を含む)に形成されている。なお、延長整地板本体部36の内側端部に位置する一の延長切欠部46の大きさは、例えば延長整地板本体部36の外側端部に位置する他の延長切欠部46の大きさの1.1倍〜3倍(好ましくは2倍)である。
【0040】
さらに、延長作業部3の延長整地体22の補助整地板33も、第2整地板12や第2延長整地板32と同様、開口面積の大きさ(開口量)の不均等な複数の泥水流出用の補助切欠部(エジクター部)50を後端側に有している。
【0041】
つまり、補助整地板33の本体部38は、互いに間隔をおいて左右方向に並んで位置する後方開口状の複数の補助切欠部(切欠部)50を後端部に有し、これら複数の補助切欠部50の大きさが左右方向の位置に応じて相似的に異なっている。
【0042】
すなわち例えば図1に示す例では、複数の補助切欠部50の大きさは、補助整地板33の左右方向一端部側(内側端部側)から補助整地板33の左右方向他端部側(外側端部側)に向かって1個ずつ漸次的に減少するように相似的に異なっている。なお、例えば図示しないが、複数の補助切欠部50の大きさが、補助整地板33の内側端部側(第2延長整地板32側)から第2延長整地板32の外側端部側(農作業機1の外側端部側)に向かって数個ずつ段階的に減少するように相似的に異なる構成でもよい。
【0043】
そして、この補助整地板33の各補助切欠部50は、本体部38の後端部に、後方に向かって開口する平面視三角形状(平面視略三角形状を含む)に形成されている。なお、本体部38の内側端部に位置する一の補助切欠部50の大きさは、例えば本体部38の外側端部に位置する他の補助切欠部50の大きさの1.1倍〜3倍(好ましくは2倍)である。
【0044】
また、作業時に圃場の泥水を後方へ流出させるための切欠部41,46,50は、例えば本体部13,36,38の後端に底辺を有する相似形の二等辺三角形状に形成されている。そして、例えば少なくとも切欠部41および延長切欠部46の各底辺は、左右方向に沿った仮想直線a上に位置している(図3参照)。なお、中央に位置する1つの第2整地板12と、左右1対の第2延長整地板32と、左右1対の補助整地板33とにて、後端整地部10が構成されている。
【0045】
次に、上記第1の実施の形態に係る農作業機1の作用等を説明する。
【0046】
例えばトラクタに連結した農作業機1の左右の延長作業部3を展開作業状態に設定し、圃場内でのトラクタの前進走行により農作業機1を進行方向に前方移動させると、中央作業部2の耕耘体および両延長作業部3の延長耕耘体23が耕耘作業をし、かつ、中央作業部2の整地体7および両延長作業部3の延長整地体22が整地作業をする。
【0047】
この際、圃場の泥水は、後端整地部10の切欠部41,46,50を通って後方へ流出するが、切欠部41,46,50の大きさが不均等なため、例えば図5の矢印で示すような泥水の流れが生じる。
【0048】
つまり、整地体7の第2整地板12においては、左右方向に並ぶ複数の切欠部41の大きさが、第2整地板12の左右方向中央部側から左右方向両端部側に向かって漸次的または段階的に減少(換言すると、左右方向両端部側から左右方向中央側に向かって漸次的または段階的に増大)していることから、左右方向中央部側での後方への流出量が左右方向両端部側に比べて多く、このため、左右方向両端部側から左右方向中央部側へ向かう泥水の流れが生じる。
【0049】
また、延長整地体22の第2延長整地板32においては、左右方向に並ぶ複数の延長切欠部46の大きさが、第2延長整地板32の内側端部側から外側端部側に向かって漸次的または段階的に減少(換言すると、外側端部側から内側端部側に向かって漸次的または段階的に増大)していることから、内側端部側での後方への流出量が外側端部側に比べて多く、このため、外側端部側から内側端部側へ向かう泥水の流れが生じる。
【0050】
その結果、例えば稈等の雑物が多く混じった土質の圃場であっても、稈等の雑物は、後端整地部10の左右方向中央側に向かって泥水とともに流動することとなり、後端整地部10の外側方へは流れ出ない。
【0051】
したがって、このような農作業機1によれば、適切な整地作業をすることが可能であり、圃場面を均平に整地することができる。
【0052】
また、大きさの異なる切欠部41,46,50は、いずれも互いに相似形状であるから、切欠部41,46,50を容易に形成できる。
【0053】
次に、図6には、本発明の第2の実施の形態が示されている。
【0054】
この図6に示された複数の切欠部41の大きさは、整地体7の第2整地板12の左右方向中央部側から第2整地板12の左右方向両端部側に向かって数個ずつ段階的に増大するように相似的に異なっている。なお、例えば図示しないが、複数の切欠部41の大きさが、整地体7の第2整地板12の左右方向中央部側から第2整地板12の左右方向両端部側に向かって1個ずつ漸次的に増大するように相似的に異なる構成でもよい。
【0055】
また、この図6に示された複数の延長切欠部46の大きさは、延長整地体22の第2延長整地板32の内側端部側から第2延長整地板32の外側端部側に向かって数個ずつ段階的に増大するように相似的に異なっている。なお、例えば図示しないが、複数の延長切欠部46の大きさが、延長整地体22の第2延長整地板32の内側端部側から第2延長整地板32の外側端部側に向かって1個ずつ漸次的に増大するように相似的に異なる構成でもよい。なお、その他の構成は前記第1の実施の形態と基本的に同じである。
【0056】
そして、この第2の実施の形態の農作業機1では、図6の矢印で示すような外側端部側に向かう泥水の流れが生じるため、例えば稈等の雑物が少ない土質で水量の多い圃場等において、適切な整地作業をすることが可能であり、圃場面を均平に整地することができる。
【0057】
また、図7には、本発明の第3の実施の形態が示されているが、この実施の形態においては、複数の切欠部41の大きさが第2整地板12の左右方向中央部側から左右方向両端部側に向かって漸次的または段階的に減少するように相似的に異なり、かつ、複数の延長切欠部46の大きさが第2延長整地板32の内側端部側から外側端部側に向かって漸次的または段階的に増大するように相似的に異なっている。
【0058】
なお、例えば図示しないが、その逆で、複数の切欠部41の大きさが第2整地板12の左右方向中央部側から左右方向両端部側に向かって漸次的または段階的に増大するように相似的に異なり、かつ、複数の延長切欠部46の大きさが第2延長整地板32の内側端部側から外側端部側に向かって漸次的または段階的に減少するように相似的に異なった構成でもよい。
【0059】
さらに、図8(a)ないし(c)には、本発明の第4の実施の形態が示されているが、この実施の形態のように、整地体7の第2整地板12の整地板本体部13のうち、互いに隣り合う両切欠部41間に位置する部分に、下方に向かって膨出する下方凸部51が形成された構成でもよい。
【0060】
また、図9(a)ないし(c)には、本発明の第5の実施の形態が示されているが、この実施の形態のように、整地体7の第2整地板12の整地板本体部13が、上方に向かって膨出する複数の上方凸部52を有し、この各上方凸部52に切欠部41が形成された構成でもよい。
【0061】
さらに、図10および図11には、本発明の第6の実施の形態が示されている。
【0062】
この図10に示された複数の切欠部41の大きさは、前記各実施の形態と同様、均一ではなく、不均等である。すなわち例えば、第2整地板12の後端部に形成された複数の切欠部41のうち、トラクタの走行輪である後輪(トラクタタイヤ)55の後方(略後方を含む)に位置する切欠部41の大きさは、すべて均等(同一寸法)に形成された残りの他の切欠部41の大きさよりも小さくなっている。
【0063】
つまり、トラクタの左右の後輪55の後方に位置する同一寸法の複数(例えば左右それぞれ7個ずつ)の切欠部41の大きさは、トラクタの左右の後輪55の後方に位置しない残りの同一寸法の複数の切欠部41の大きさよりも小さくなっている。
【0064】
また、この図10に示された複数の延長切欠部46の大きさは、前記各実施の形態とは異なり、すべて均等となっている。なお、その他の構成は、前記第1の実施の形態と基本的に同じである。
【0065】
そして、図11に示すように、従来の場合には、トラクタの後輪55による溝(トラクタタイヤ跡の凹部)の分だけ泥水の後方への流出量が多く、泥水が溝の外側に向かって流れやすいため、溝が埋まりにくい。これに対し、本実施の形態の場合には、トラクタの後輪55の後方の切欠部41の大きさが残りの他の切欠部41の大きさよりも小さいため、泥水の後方への流出量が全体にわたって同じになり、その結果、泥水が溝の外側に向かって流れにくくなり、溝が埋まりやすく、圃場面が均平になる。
【0066】
このように、図10および図11に示す農作業機1によれば、適切な整地作業をすることが可能であり、圃場面を均平に整地することができる。
【0067】
なお、例えば前記第1の実施の形態等の整地体7において、トラクタの後輪55の後方に位置する切欠部41の大きさを、他の切欠部41の大きさよりも小さくするようにしてもよい。
【0068】
また、例えば整地体7の切欠部41の大きさが整地体7の左右方向一端部側から左右方向他端部側に向かって減少または増大する構成や、例えば大きな切欠部41と小さな切欠部41とが交互に並ぶ構成等でもよい。
【0069】
さらに、大きさの異なる切欠部が相似形状である構成には限定されず、大きさの異なる切欠部の形状が互いに相違する構成等でもよい。
【0070】
また、切欠部の向きは、すべてが同じ前後方向に沿った向きである必要は必ずしもなく、例えば一部の切欠部の向きを前後方向に対して傾斜させてもよい。
【0071】
さらに、農作業機1は、折り畳み可能な3分割のものには限定されず、例えば延長作業部3を備えず、第2整地板12のみからなる後端整地部10を有した構成等でもよい。
【0072】
また、例えば第1整地板11に対して容易に脱着可能な複数種の第2整地板12を予め用意しておき、作業の際に圃場の土質等に応じて適宜選択した一の第2整地板12を第1整地板11に取り付けて使用するようにしてもよい。
【0073】
なお、本発明のいくつかの実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 農作業機
7 整地体
11 第1整地部である第1整地板
12 第2整地部である第2整地板(1つの板状の整地部)
41 切欠部
55 走行輪である後輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11