特許第6192225号(P6192225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192225
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】計量キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/04 20060101AFI20170828BHJP
   B65D 41/02 20060101ALI20170828BHJP
   B65D 41/26 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   B65D41/04
   B65D41/02
   B65D41/26
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-390(P2014-390)
(22)【出願日】2014年1月6日
(65)【公開番号】特開2015-128998(P2015-128998A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】西野 将嗣
(72)【発明者】
【氏名】宮下 裕佑
【審査官】 秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−007065(JP,A)
【文献】 特開平10−175655(JP,A)
【文献】 特開2003−212256(JP,A)
【文献】 特開2011−152951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/02
B65D 41/04
B65D 41/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部と、
前記筒状部の一方の開口端を塞ぐ天蓋部と
を有し、
前記筒状部が、透明であり、
前記筒状部は、複数の多角面で構成され、かつ隣り合う多角面が交わってできる稜線が形成された外周壁および複数の多角面で構成された内周壁を有し、
前記外周壁には、前記天蓋部側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の稜線と、前記天蓋部側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の稜線とが形成され
前記外周壁の多角面と前記内周壁の多角面とが、略同じ形状、略同じサイズであり、前記筒状部の肉厚部を挟んで同じ位置に配置されている、計量キャップ。
【請求項2】
前記第1の稜線の傾斜角θおよび前記第2の稜線の傾斜角θが、前記筒状部の周方向に直交する方向を基準(0度)にして、5〜30度である、請求項1に記載の計量キャップ。
【請求項3】
前記第1の稜線と前記第2の稜線とが、前記筒状部の周方向に交互に形成されている、請求項1または2に記載の計量キャップ。
【請求項4】
前記外周壁は、前記筒状部の周方向に交互に配置された、前記天蓋部から離れるにしたがって前記筒状部の周方向の幅が狭くなる第1の多角面と、前記天蓋部から離れるにしたがって前記筒状部の周方向の幅が広くなる第2の多角面とで構成されている、請求項3に記載の計量キャップ。
【請求項5】
前記第1の多角面および前記第2の多角面が、三角面または台形面である、請求項4に記載の計量キャップ。
【請求項6】
前記多角面の少なくとも一部が、凹面とされた、請求項1〜5のいずれか一項に記載の計量キャップ。
【請求項7】
前記筒状部は、前記天蓋部に向かうにしたがって外径が小さくされた縮径部を有し、
前記縮径部は、複数の多角面で構成され、かつ隣り合う多角面が交わってできる稜線が形成された外周壁を有し、
前記縮径部の外周壁には、前記天蓋部側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の稜線と、前記天蓋部側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の稜線とが形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の計量キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
液状物(液体洗剤、液体漂白剤、液体柔軟剤、溶剤等)、粉粒物(粒状洗剤、粒状漂白剤、粒状調味料等)等の内容物を収納する容器には、容器本体の口部に回動により着脱可能に螺着されるキャップが設けられている。このキャップには、回動により容器本体から着脱する際に手指が滑らないようにすることが求められる。このようなキャップとしては、例えば、下記のものが提案されている。
【0003】
(1)キャップの周方向に直交する方向に伸びる複数の凸条または溝からなるローレット(ナール)がキャップの外周壁に形成されたキャップ(特許文献1)。
(2)天蓋側から見て外周形状が多角形とされたキャップ(特許文献2)。
(3)キャップの外周壁を部分的に凹ませた指当部を形成したキャップ(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−354247号公報
【特許文献2】特開2009−007065号公報
【特許文献3】特許第3285195号公報(特開平10−072047号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、キャップは、容器本体から注ぎ出した内容物を計量する計量キャップとして用いられることがある。しかし、(1)のキャップにおいては、ローレットが形成された部分で光が散乱するため、キャップ内に注ぎ入れた内容物をはっきりと視認できない。
また、回動により容器本体からキャップを着脱する際、キャップには手指から回動方向に力が加わる他、キャップを持ち上げるまたは押し込むために、キャップには手指から上下方向に力が加わる。しかし、(1)のキャップにおいては、ローレットの凸条または溝がキャップの周方向に直交する方向に延びるため、回動により容器本体から着脱する際に手指が凸条に沿って上下方向に滑りやすい。
【0006】
(2)のキャップは、複数の四角面から構成され、かつ隣り合う四角面が交わってできる稜線が形成された外周壁を有するものである。(2)のキャップにおいては、回動により容器本体からキャップを着脱する際、稜線の部分に手指が掛止され、手指が回動方向に滑りにくい。しかし、(2)のキャップにおいては、稜線がキャップの周方向に直交する方向に延びるため、回動により容器本体から着脱する際に手指が稜線に沿って上下方向に滑りやすい。
【0007】
(3)のキャップにおいては、回動により容器本体からキャップを着脱する際、指当部に手指が掛止され、手指が回動方向に滑りにくい。しかし、(3)のキャップにおいては、キャップを成形した際に金型を上下方向に抜く必要があることから、手指の上下方向への移動を規制するように外周壁を凹ませることができないため、回動により容器本体から着脱する際に手指が上下方向に滑りやすい。
【0008】
本発明は、容器本体から着脱する際に手指が滑りにくく、透明にした場合にはキャップ内に注ぎ入れた内容物をはっきりと視認できるキャップを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の計量キャップは、筒状部と、前記筒状部の一方の開口端を塞ぐ天蓋部とを有し;前記筒状部が、透明であり;前記筒状部は、複数の多角面で構成され、かつ隣り合う多角面が交わってできる稜線が形成された外周壁および複数の多角面で構成された内周壁を有し;前記外周壁には、前記天蓋部側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の稜線と、前記天蓋部側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の稜線とが形成され;前記外周壁の多角面と前記内周壁の多角面とが、略同じ形状、略同じサイズであり、前記筒状部の肉厚部を挟んで同じ位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
前記第1の稜線の傾斜角θおよび前記第2の稜線の傾斜角θは、前記筒状部の周方向に直交する方向を基準(0度)にして、5〜30度であることが好ましい。
前記第1の稜線と前記第2の稜線とは、前記筒状部の周方向に交互に形成されていることが好ましい。
前記外周壁は、前記筒状部の周方向に交互に配置された、前記天蓋部から離れるにしたがって前記筒状部の周方向の幅が狭くなる第1の多角面と、前記天蓋部から離れるにしたがって前記筒状部の周方向の幅が広くなる第2の多角面とで構成されていることが好ましい。
前記第1の多角面および前記第2の多角面は、三角面または台形面であることが好ましい。
【0011】
前記多角面の少なくとも一部は、凹面とされていることが好ましい。
前記筒状部は、前記天蓋部に向かうにしたがって外径が小さくされた縮径部を有し;前記縮径部は、複数の多角面で構成され、かつ隣り合う多角面が交わってできる稜線が形成された外周壁を有し;前記縮径部の外周壁には、前記天蓋部側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の稜線と、前記天蓋部側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の稜線とが形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のキャップは、容器本体から着脱する際に手指が滑りにくく、透明にした場合にはキャップ内に注ぎ入れた内容物をはっきりと視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のキャップの一実施形態を示す斜視図である。
図2図1のキャップの側面図である。
図3図1のキャップの上面図である。
図4図2のIV−IV断面図である。
図5図2のV−V断面図である。
図6図2のVI−VI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「透明」とは、可視光を透過することを意味する。よって、可視光を透過する点では、「半透明」は、透明に包含される。
「多角面」とは、3つ以上の角を有する面を意味する。多角面の辺は、直線に限定されず、湾曲していてもよい。筒状部の外周壁に配置された複数の多角面の形状、サイズ等は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。
「稜線」とは、隣り合う多角面が交わってできる山の頂部の連なりの線分を意味する。逆に「谷線」とは、隣り合う多角面が交わってできる谷の底部の連なりの線分を意味する。ここで「交わる」とは、隣り合う多角面が出会って少なくとも1つの辺を共有することを意味する。稜線および谷線は、直線に限定されず、湾曲していてもよい。
「第1の稜線」とは、天蓋部側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した、すなわち筒状部の側方から見て左下がりに傾斜した稜線である。筒状部の外周壁に複数の第1の稜線が形成されている場合、第1の稜線の傾斜角は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。
「第2の稜線」とは、天蓋部側から見て反時計回りの方向に下るように傾斜した、すなわち筒状部の側方から見て右下がりに傾斜した稜線である。筒状部の外周壁に複数の第2の稜線が形成されている場合、第2の稜線の傾斜角は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。
「第1の多角面」とは、天蓋部から離れるにしたがって筒状部の周方向の幅が狭くなる形状の多角面である。筒状部の外周壁に複数の第1の多角面が配置されている場合、第1の多角面の形状、サイズ等は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。
「第2の多角面」とは、天蓋部から離れるにしたがって筒状部の周方向の幅が広くなる形状の多角面である。筒状部の外周壁に複数の第2の多角面が配置されている場合、第2の多角面の形状、サイズ等は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。
「縮径部」とは、筒状部において天蓋部に接続する部分であって、天蓋部に向かうにしたがって外径が小さくされることによって、縮径部以外の筒状部本体に比べ、外周壁が筒状部の軸線方向に対して傾斜している部分を意味する。筒状部本体は、縮径部に比べて小さい傾斜角で、外周壁が筒状部の軸線方向に対して傾斜していてもよい。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明のキャップの一実施形態を示す斜視図であり、図2は、側面図であり、図3は、上面図である。図4は、図2のIV−IV断面図であり、図5は、図2のV−V断面図であり、図6は、図2のVI−VI断面図である。
【0016】
キャップ1は、容器(図示略)の計量キャップとして用いられるものである。
キャップ1は、キャップ本体10と、キャップ本体10の外壁面から外方に延設された螺合部40とが一体成形されたものである。
キャップ本体10の外径は、特に限定されないが、例えば、2〜5cmとされる。
螺合部40の外径は、特に限定されないが、例えば、3〜7cmとされる。
【0017】
キャップ本体10は、筒状の上筒部12(筒状部)と、上筒部12の一方の開口端を塞ぐ、上面側からみて多角形の天蓋部14と、上筒部12の他方の開口端から上筒部12の軸線方向に延設された筒状の下筒部16とを有する有蓋筒状のものである。
上筒部12は、上筒部本体12aと、天蓋部14に接続する縮径部12bとから構成される。縮径部12bは、天蓋部14に向かうにしたがって外径が小さくされることによって、上筒部本体12aに比べ、外周壁が上筒部12の軸線方向に対して傾斜している。
【0018】
上筒部本体12aは、上筒部本体12aの周方向に交互に配置された、天蓋部14から離れるにしたがって上筒部本体12aの周方向の幅が狭くなる第1の三角面20(第1の多角面)と、天蓋部14から離れるにしたがって上筒部本体12aの周方向の幅が広くなる第2の三角面22(第2の多角面)とで構成された外周壁を有する。
【0019】
上筒部本体12aの外周壁には、隣り合う第1の三角面20と第2の三角面22とが交わってできる、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の稜線24と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の稜線26とが形成されている。
【0020】
第1の稜線24と第2の稜線26とは、第1の三角面20と第2の三角面22とが上筒部本体12aの周方向に交互に配置されることにより、上筒部本体12aの周方向に交互に形成されている。また、第1の稜線24の末端と第2の稜線26の末端とは、上筒部本体12aの軸線方向の端部において接する。
【0021】
第1の三角面20は、第1の稜線24および第2の稜線26から、第1の三角面20を上筒部本体12aの周方向に直交する方向に二等分する中間線(図示略)に向かうにしたがって深くされた凹面とされている(図4参照)。
【0022】
縮径部12bは、縮径部12bの周方向に交互に配置された、天蓋部14から離れるにしたがって縮径部12bの周方向の幅が狭くなる第1の三角面30(第1の多角面)と、天蓋部14から離れるにしたがって縮径部12bの周方向の幅が広くなる第2の三角面32(第2の多角面)とで構成された外周壁を有する。
【0023】
縮径部12bの外周壁には、隣り合う第1の三角面30と第2の三角面32とが交わってできる、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の稜線34と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の稜線36とが形成されている。
【0024】
第1の稜線34と第2の稜線36とは、第1の三角面30と第2の三角面32とが縮径部12bの周方向に交互に配置されることにより、縮径部12bの周方向に交互に形成されている。また、第1の稜線34の末端と第2の稜線36の末端とは、縮径部12bの軸線方向の端部において接する。
【0025】
また、上筒部本体12aの第1の稜線24と縮径部12bの第1の稜線34とが連続し、上筒部本体12aの第2の稜線26と縮径部12bの第2の稜線36とが連続し、上筒部本体12aと縮径部12bとが一体感を有する。
【0026】
第1の三角面20と第2の三角面22との合計の数、および第1の三角面30と第2の三角面32との合計の数は、それぞれ6〜36が好ましく、8〜24がより好ましく、9〜13がさらに好ましい。合計の数が6以上であれば、上筒部12が筒状となる。合計の数が13以下であれば、外周壁において隣り合う第1の三角面20と第2の三角面22とがなす内角が大きくなりすぎない。そのため、第1の稜線24および第2の稜線26の部分に手指が掛止されやすくなり、手指が滑りにくくなる。
【0027】
上筒部本体12aの外周壁において、第1の稜線24の傾斜角θおよび第2の稜線26の傾斜角θは、上筒部本体12aの周方向に直交する方向を基準(0度)にして、5〜30度が好ましく、7〜25度がより好ましく、10〜20度がさらに好ましい。傾斜角θおよび傾斜角θが5度以上であれば、回動により容器本体からキャップ1を着脱する際、手指の上下方向への移動が第1の稜線24または第2の稜線26で充分に規制されるため、手指が上下方向に滑りにくい。傾斜角θおよび傾斜角θが30度以下であれば、回動により容器本体からキャップ1を着脱する際、手指の回動方向への移動が第1の稜線24または第2の稜線26で充分に規制されるため、手指が回動方向に滑りにくい。
【0028】
上筒部本体12aの内周壁は、外周壁と同様に、上筒部本体12aの周方向に交互に配置された、第1の三角面(第1の多角面)と第2の三角面(第2の多角面)とで構成されている。また、上筒部本体12aの内周壁には、隣り合う第1の三角面と第2の三角面とが交わってできる、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の谷線と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の谷線とが形成されている。
上筒部本体12aの外周壁の第1の三角面20と内周壁の第1の三角面とは、略同じ形状、略同じサイズであり、上筒部本体12aの肉厚部を挟んで同じ位置に配置されている。また、上筒部本体12aの外周壁の第2の三角面22と内周壁の第2の三角面とは、略同じ形状、略同じサイズであり、上筒部本体12aの肉厚部を挟んで同じ位置に配置されている。
【0029】
縮径部12bの内周壁は、外周壁と同様に、縮径部12bの周方向に交互に配置された、第1の三角面(第1の多角面)と第2の三角面(第2の多角面)とで構成されている。また、縮径部12bの内周壁には、隣り合う第1の三角面と第2の三角面とが交わってできる、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の谷線と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の谷線とが形成されている。
縮径部12bの外周壁の第1の三角面30と内周壁の第1の三角面とは、略同じ形状、略同じサイズであり、縮径部12bの肉厚部を挟んで同じ位置に配置されている。また、縮径部12bの外周壁の第2の三角面32と内周壁の第2の三角面とは、略同じ形状、略同じサイズであり、縮径部12bの肉厚部を挟んで同じ位置に配置されている。
【0030】
上筒部12には、キャップ本体10に収納した内容物の量を示す複数の目盛(図示略)が形成されている。各目盛は、天蓋部14から下筒部16に向かう距離を示す計量線と数字と容量を示す単位とからなる。目盛としては、例えば、レーザー印字、印刷(シルクスクリーン印刷、タンポ印刷等)によって形成された印字、または凸条もしくは凹条等が挙げられる。
【0031】
螺合部40は、上筒部12の他方の開口端から外方に延設された段部42と、段部42の周縁から上筒部12の軸線方向に延設された、キャップ本体10と同軸の外筒部44とを有する。
外筒部44の内周壁には、容器本体のネジ部と螺合するネジ部46が形成されている。
外筒部44の外周壁には、外筒部44の周方向に直交する方向に延びる複数の凸条が周方向に複数並んで形成されたローレット部50、およびローレット部50に隣接する、凸条が形成されていない平滑部52が形成されている。
【0032】
キャップ1は、キャップ内に注ぎ入れた内容物をはっきりと視認する点から、少なくとも上筒部12が透明な材料からなることが好ましく、全体が透明な材料からなることがより好ましい。
キャップ1の材料としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリスチレン等が挙げられる。
【0033】
キャップ1は、従来の計量キャップと同様に、上筒部12の外周壁に手指を当接してキャップ本体10を把持し、軸線を中心にして回動させることで、螺合部40の部分で容器本体(図示略)の口部に螺着または螺脱される。この際、使用者の手指は、上下方向への移動および回動方向への移動が第1の稜線24または第2の稜線26で充分に規制されるため、手指が上下方向および回動方向に滑りにくい。そのため、キャップ1を容器本体に容易に螺着または螺脱できる。
【0034】
内容物を計量する際は、キャップ1を容器本体から螺脱し、容器本体から内容物を注ぎ出し、注ぎ出した内容物を下筒部16の開口端からキャップ本体10内に注ぎ入れる。この際、目盛が形成された上筒部12を手で塞がないように螺合部40を把持することで、目盛と内容物とを照合できる。そして、使用者は、ローレット部50に手指を当接させることで手指の滑りが防止され、キャップ1を落下させることなく、内容物を計量できる。
【0035】
(作用機序)
以上説明したキャップ1にあっては、上筒部本体12aが複数の三角面で構成された外周壁を有し、外周壁には、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の稜線24と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の稜線26とが形成されているため、回動により容器本体から着脱する際に手指の上下方向への移動および回動方向への移動が第1の稜線24または第2の稜線26で充分に規制される。そのため、手指が上下方向および回動方向に滑りにくい。
【0036】
また、上筒部本体12aの外周壁に第1の稜線24および第2の稜線26が形成されているため、従来のキャップのように外周壁にローレットを形成する必要がない。そして、第1の稜線24と第2の稜線26との間では、三角面によって充分な透光性を確保でき、光の散乱が起こらない。よって、上筒部本体12aを透明とすることによって、キャップ1内に注ぎ入れた内容物をはっきりと視認できる。
【0037】
また、第1の稜線24と第2の稜線26とが、上筒部本体12aの周方向に交互に形成されているため、上筒部12の外周壁のどの部分に手指を当接させても、手指が第1の稜線24および第2の稜線26のいずれにも当接し、確実に手指の滑りを抑えることができる。
【0038】
また、上筒部本体12aの外周壁が、上筒部本体12aの周方向に交互に配置された第1の三角面20と第2の三角面22とで構成されているため、第1の稜線24と第2の稜線26とを上筒部12の周方向に交互に、かつ連続して形成できる。そのため、より確実に手指の滑りを抑えることができるとともに、上筒部12に宝石のカットのような意匠性を付与できる。
【0039】
また、第1の三角面20が凹面とされているため、手指が凹面に掛止されやすくなり、より確実に手指の滑りを抑えることができる。また、凹面によって光が複雑に反射および出射するため、上筒部12に宝石のカットのような意匠性をさらに付与できる。
【0040】
また、縮径部12bが、複数の三角面で構成された外周壁を有し、外周壁には、天蓋部14側から見て時計回りの方向に下るように傾斜した第1の稜線34と、天蓋部14側から見て反時計回り方向に下るように傾斜した第2の稜線36とが形成されているため、手指の滑りを抑えつつ、上筒部12における宝石のカットのような意匠性をさらに高めることができる。また、縮径部12bを有することによって、把持した時に手のひらにフィットし、キャップ1を握りやすくなる。
【0041】
(他の実施形態)
なお、本発明のキャップは、筒状部と天蓋部とを有し、筒状部が複数の多角面で構成された外周壁を有し、外周壁に第1の稜線と第2の稜線とが形成されたものであればよく、図示例の実施形態のものに限定はされない。
【0042】
例えば、本発明のキャップは、図示例のようなキャップ本体と螺合部とからなる二重筒構造のものに限定されず、筒状部の開口端近傍の内周壁にネジ部を設けた単筒構造のものであってもよい。二重筒構造の場合、外筒部の外周壁にローレット部が形成されていなくてもよい。
また、本発明のキャップは、容器本体の口部に着脱可能に取り付けられキャップであればよく、計量キャップに限定はされない。
また、本発明のキャップは、透明なものに限定はされず、不透明なものであってもよい。ただし、上述したように、少なくとも筒状部は透明であることが好ましい。
また、本発明のキャップは、縮径部を有するものに限定はされず、縮径部を有しなくてもよい。
また、天蓋部は、図示例のような平面形状に限定はされず、軸線方向に漸次縮径する半球形状であってもよい。
【0043】
また、多角面は、図示例のような三角面に限定はされず、台形面、ひし形面、平行四辺形面等であってもよい。ただし、手指の滑りにくさ、成形性および意匠性の点からは、三角形面または台形面が好ましい。
また、図示例では、上筒部本体の外周壁の第1の三角面が凹面とされていたが、第2の三角面が凹面とされいてもよく、両方が凹面とされいてもよい。また、縮径部の外周壁の第1の三角面および第2の三角面の一方または両方が凹面とされていてもよい。また、凹面は、内方に向かって凹んだ面であればよく、その形状は特に限定はされない。
【0044】
また、複数の多角面で構成される外周壁は、図示例のような第1の多角面と第2の多角面とが筒状部の周方向に交互に配置されているものに限定はされない。複数の多角面の形状、サイズ等は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。ただし、図示例に示すように、同じ形状、同じサイズの第1の多角面と同じ形状、同じサイズの第2の多角面とが筒状部の周方向に交互に形成されていることが好ましい。
また、外周壁は、図示例のような第1の稜線と第2の稜線とが筒状部の周方向に交互に形成されているものに限定はされず、第1の稜線または第2の稜線の一部が並んで形成されたものであってもよく、筒状部の周方向に直交する方向に延びる稜線が途中に形成されたものであってもよい。第1の稜線の傾斜角は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。第2の稜線の傾斜角は、すべて同じであってもよく、一部または全部で異なっていてもよい。ただし、図示例に示すように、同じ傾斜角の第1の稜線と同じ傾斜角の第2の稜線とが筒状部の周方向に交互に形成されていることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のキャップは、液状物(液体洗剤、液体漂白剤、液体柔軟剤、溶剤等)、粉粒物(粒状洗剤、粒状漂白剤、粒状調味料等)等の内容物を収納する容器の、容器本体の口部に回動により着脱可能に螺着されるキャップとして有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 キャップ
10 キャップ本体
12 上筒部(筒状部)
12a 上筒部本体
12b 縮径部
14 天蓋部
16 下筒部
20 第1の三角面(第1の多角面)
22 第2の三角面(第2の多角面)
24 第1の稜線
26 第2の稜線
30 第1の三角面(第1の多角面)
32 第2の三角面(第2の多角面)
34 第1の稜線
36 第2の稜線
40 螺合部
42 段部
44 外筒部
46 ネジ部
50 ローレット部
52 平滑部
図1
図2
図3
図4
図5
図6