特許第6192235号(P6192235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6192235走行試験の最小化及び適合性試験に関する位置情報シグナリングのテスト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192235
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】走行試験の最小化及び適合性試験に関する位置情報シグナリングのテスト
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/10 20090101AFI20170828BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20170828BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20170828BHJP
【FI】
   H04W24/10
   H04W16/18 110
   H04W64/00 173
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-553774(P2014-553774)
(86)(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公表番号】特表2015-512182(P2015-512182A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】FI2013050022
(87)【国際公開番号】WO2013110849
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年9月2日
【審判番号】不服2016-7682(P2016-7682/J1)
【審判請求日】2016年5月26日
(31)【優先権主張番号】61/591,759
(32)【優先日】2012年1月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/653,345
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】コスキネン ユッシ−ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】コスケラ ヤルッコ
(72)【発明者】
【氏名】フレドリクソン エサ
【合議体】
【審判長】 北岡 浩
【審判官】 近藤 聡
【審判官】 川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/136208(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行試験の最小化(MDT)機能に関連して位置情報報告の正確性を検証する目的で行われる、適合性試験のための方法であって、ユーザ機器において遂行される方法において、
前記ユーザ機器の前記適合性試験を行うように構成されるシステムシミュレーターから、試験制御メッセージによって、前記ユーザ機器の位置情報を受信すること、ただし前記位置情報は、前記システムシミュレーターによって決定される、前記受信することと;
後で前記システムシミュレーターに返送すべく、前記受信した前記位置情報を格納することと;
前記システムシミュレーターからMDTレポートの要求を受信することと;
前記要求の受信に応じて、前記要求に対応する少なくとも一つの測定結果と、前記位置情報とを含むレポートを生成し、前記システムシミュレーターに送信することと;
を含み、前記測定結果は、走行試験の最小化に関連する測定結果である、
方法。
【請求項2】
前記位置情報を受信する前に、前記システムシミュレーターから、前記適合性試験を遂行しうるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位置情報は地理的位置を含む情報要素を含み、
前記地理的位置は、位置を表す楕円体ポイント及び高度情報を有する楕円体ポイントの少なくともいずれかを含、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記位置情報は、追跡エリア更新処理が行われる時に受信される、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記位置情報は、前記システムシミュレーターと前記ユーザ機器との間のブロードキャストチャネルを通じて受信される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
処理手段及び記憶手段を備える装置であって、前記処理手段により実行されると前記装置に請求項1からのいずれかに記載の方法を遂行させるように構成されるプログラム命令を前記記憶手段に格納する、装置。
【請求項7】
装置の処理手段により実行されると前記装置に請求項1からのいずれかに記載の方法を遂行させるように構成されるプログラム命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項8】
ユーザ機器であって、走行試験の最小化(MDT)機能に関連して位置情報報告の正確性を検証する目的で行われる、適合性試験を受ける際に、
前記ユーザ機器の前記適合性試験を行うように構成されるシステムシミュレーターから、試験制御メッセージによって、前記ユーザ機器の位置情報を受信する手段、ただし前記位置情報は、前記システムシミュレーターによって決定される、前記受信する手段と;
後で前記システムシミュレーターに返送すべく、前記受信した前記位置情報を格納する手段と;
前記システムシミュレーターからMDTレポートの要求を受信する手段と;
前記要求の受信に応じて、前記要求に対応する少なくとも一つの測定結果と、前記位置情報とを含むレポートを生成し、前記システムシミュレーターに送信する手段と;
を備え、前記測定結果は、走行試験の最小化に関連する測定結果である装置。
【請求項9】
走行試験の最小化機能に関連して位置情報報告の正確性を検証する目的で行われる、適合性試験のための方法であって、ユーザ機器に対して前記適合性試験を行うように構成されるシステムシミュレーターにおいて遂行される方法において、
前記ユーザ機器に、前記ユーザ機器の位置情報を送信すること、ただし前記位置情報は、前記システムシミュレーターによって生成されるものであり、前記適合性試験に前記ユーザ機器が関与することを可能にするために送信される、前記送信することと;
前記ユーザ機器に、MDTレポートの要求を送信することと;
前記要求の送信に応じてレポートを受信すること、ただし前記レポートは、前記要求に対応して前記ユーザ機器によって形成された少なくとも一つの測定結果及び前記送信した位置情報を含み、前記測定結果は、走行試験の最小化に関連する測定結果である、前記受信することと;
前記受信した位置情報の正しさを検証することと;
を含む、方法。
【請求項10】
前記位置情報の送信は、前記ユーザ機器からの要求なしに行われる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記位置情報を送信する前に、前記ユーザ機器を、前記適合性試験を遂行しうるように構成する、請求項または10に記載の方法。
【請求項12】
前記位置情報は地理的位置を含む情報要素を含み、
前記地理的位置は、位置を表す楕円体ポイント及び高度情報を有する楕円体ポイントの少なくともいずれかを含、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記位置情報は、前記システムシミュレーターにより無線インタフェースを介して送信される無線リソース管理メッセージ、試験制御メッセージ、マシン間インタフェースメッセージ、アテンションコマンドのうち少なくともいずれかにより、前記ユーザ機器に送信される、請求項から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
処理手段及び記憶手段を備える装置であって、前記処理手段により実行されると前記装置に請求項から13のいずれかに記載の方法を遂行させるように構成されるプログラム命令を前記記憶手段に格納する、装置。
【請求項15】
装置の処理手段により実行されると前記装置に請求項から13のいずれかに記載の方法を遂行させるように構成されるプログラム命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項16】
走行試験の最小化(MDT)機能に関連して位置情報報告の正確性を検証する目的で、ユーザ機器の適合性試験を行うように構成されるシステムシミュレーターを備える装置であって、前記適合性試験を行う際に、
前記ユーザ機器に、前記ユーザ機器の位置情報を送信する手段、ただし前記位置情報は、前記システムシミュレーターによって決定されるものであり、前記適合性試験に前記ユーザ機器が関与することを可能にするために送信される、前記送信する手段と;
前記ユーザ機器に、MDTレポートの要求を送信する手段と;
前記要求の送信に応じてレポートを受信する手段、ただし前記レポートは、前記ユーザ機器によって形成された少なくとも一つの測定結果及び前記送信した位置情報を含み、前記測定結果は、走行試験の最小化に関連する測定結果である、前記受信する手段と;
前記受信した位置情報の正しさを検証する手段と;
を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【分野】
【0001】
本願で開示される事項は無線通信に関する。
【背景】
【0002】
ワイヤレスサービスのプロバイダは、そのネットワークをテストして、そのサービス圏内に穴(デッドゾーンと呼ばれる)がないかどうか、また信号の弱い領域がないかどうかを調べる。「走行試験」(Drive test)は、文字通りに車を運転することを含む試験であり、車を運転しながら出力や位置等の測定値を集め、サービスエリアのマップを作成し、エリアに穴がないかどうか、またその他の問題がないかどうかを調べる手動のプロセスである。サービスプロバイダは、サービスエリアに穴を発見すると、基地局を増設したり、出力を上げたり、基地局のアンテナの方向を変えたりなどして、サービスエリアの改善に努めることになる。
【0003】
通常、走行試験に加えて、仕様に沿っていることを確かめるためのテストが無線設備に対して行われる。テストされると、その設備は、WiFiやLTE等の規格に準拠していると認定(certified)される。例えば、ネットワークや基地局をシミュレートするためにシミュレーターが用いられてもよい。シミュレーターは、例えばRF遮蔽室に配置された無線設備をテストし、対象の標準規格に適合しているかどうか(例えば無線インタフェース規格に準拠しているかどうか)を確かめる。
【摘要】
【0004】
走行試験の最小化及び/又は適合性試験(conformance testing)のための方法及び装置(コンピュータプログラム製品を含む)が提供される。
【0005】
ある典型的な実施形態によれば、次のような方法が提供される。この方法は、ユーザ機器において、ネットワークノードから提供される位置情報を受信することと;前記ユーザ機器によって、少なくとも一つの測定結果と、前記少なくとも一つの測定結果にリンクされた前記受信した位置情報とを含むレポートを生成することと;前記ユーザ機器によって、前記少なくとも一つの測定結果及び前記受信した位置情報を含む前記レポートを前記ネットワークノードに送信することと;を含んでもよい。
【0006】
ある典型的な実施形態によれば、次のような方法が提供される。この方法は:ネットワークノードによって、ユーザ機器に位置情報を送信すること、ただし前記位置情報は、走行試験の最小化及び適合性試験の少なくとも一方を前記ユーザ機器が行うことを可能にするために送信される、前記送信することと;前記ネットワークノードによって、前記ユーザ機器によって形成された少なくとも一つの測定結果を受信すること、ただし前記少なくとも一つの測定結果は、前記ユーザ機器が前記少なくとも一つの測定結果を形成した場所を表す位置情報にリンクされている、前記受信することと;を含んでもよい。
【0007】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態のバリエーションにおいては、次の一つ又は複数が含まれてもよい。前記ネットワークノードは、ユーザ機器の適合性試験を行うように構成されるシステムシミュレーターを備えていてもよい。前記ネットワークノードは、走行試験の最小化を行うように構成された基地局を備えてもよい。前記位置情報は、前記ユーザ機器により形成された前記少なくとも一つの測定結果を含む少なくとも一つの測定結果にリンクされうる。前記位置情報は、前記少なくとも一つの測定結果を形成した前記ユーザ機器に関する速度と、該ユーザ機器に関する時間と、該ユーザ機器に関する地理的位置とを含む情報要素を含んでもよい。前記位置情報は、楕円体ポイント、高度情報を含む楕円体ポイント、日時、水平方向速度を含んでいてもよい。前記位置情報は、一つ又は複数の無線リソース制御メッセージにより受信されてもよい。前記位置情報は、試験制御メッセージ、マシン間インタフェースコマンド、アテンションコマンドの少なくともいずれかにより受信されてもい。これらのメッセージやコマンドはシステムシミュレーターにより無線インタフェースを介して送信されてもよい。前記位置情報は、追跡エリア更新(TAU)処理が行われるときに受信されてもよい。前記位置情報は、前記ネットワークノードと前記ユーザ機器との間のブロードキャストチャネルと通じて受信されてもよい。
【0008】
上述の側面や特徴は、望ましい形態に応じて、システムや装置、方法、製品として実施されることができる。本願に開示される技術思想の一つ又は複数のバリエーションの詳細が、明細書の以下の部分と添付図面に説明される。本願に開示される技術思想の特徴や効果は、本願明細書や図面、特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】ある典型的な実施形態に従うシステムシミュレーターの例を描いたものである。
図1B】ある典型的な実施形態に従う無線通信システムのブロック図を描いたものである。
図2】ある典型的な実施形態に従うプロセスであって、ネットワークがユーザ機器に位置情報を提供し、詳細な位置情報を含むレポートを行えるようにするプロセスを描いたものである。
図3】ネットワークがユーザ機器に位置情報を提供し、詳細な位置情報を含むレポートを行えるようにするプロセスであって、別の典型的実施形態に従うプロセスを描いたものである。
図4】ある典型的な実施形態に従う基地局の例を描いたものである。
図5】ある典型的な実施形態に従うユーザ機器の例を描いたものである。
【詳細】
【0010】
図中、同様の符号は同じ又は似たような要素を表すために使用される。
【0011】
本願が開示する事項は試験に関し、より詳細には、無線機器の認証試験と、セルラネットワークにおける走行試験の最小化(MDT,Minimization of Drive Tests)に関する。
【0012】
走行試験では、データを収集し、ネットワーク動作を検証するための特殊な測定が行われる。ネットワーク事業者は、セルラ無線ネットワークの試験や検証を、走行試験を行うことにより人の手で行ってきた。走行試験の最小化(MDT)は、従来の手作業による走行試験のコストや環境に与える影響を少なくすることを目的とした様々な標準規格を含む、フレームワークを提供しうる。手作業による走行試験の代わりに、MDTでは、ネットワーク及び/又はユーザ機器が測定を行い、ネットワークの試験を行う。この試験には、ネットワークの通信可能範囲やキャパシティの最適化、モビリティパラメータの最適化などがある。実際、MDTのフレームワークを実現するために、非常に多くの標準規格が策定されている。
【0013】
ユーザ機器の試験に使うことのできる規格の例をいくつか挙げておく。
(1) 3GPP TS 34.109,V10.1.0 (2011-12),Technical Specification: 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification: Group Radio Access Network; Terminal logical test interface; Special conformance testing functions (Release 10);
(2) 3GPP TS 37.320,V10.4.0 (2011-12),Technical Specification: 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification: Group Radio Access Network; Universal Terrestrial Radio Access (UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Radio measurement collection for Minimization of Drive Tests (MDT); Overall description; Stage 2 (Release 10);
(3) 3GPP TS 36.331,V10.4.0 (2011-12),Technical Specification: 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Radio Resource Control (RRC); Protocol specification (Release 10);
(4) 3GPP TS 36.355,V10.4.0 (2011-12),Technical Specification: 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); LTE Positioning Protocol (LPP) (Release 10);
(5) 3GPP TS 36.509,V9.5.0 (2011-09),Technical Specification: 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Packet Core (EPC); Special conformance testing functions for User Equipment (UE) (Release 9);
(6) 3GPP TS 36.508,V9.7.0 (2011-12),Technical Specification: 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Packet Core (EPC); Common test environments for User Equipment (UE) conformance testing (Release 9);
また、他の規格や、これらの規格の追加や改正も、ユーザ機器の試験に使うことのできる規格の例に含まれる。
【0014】
MDTは、制御プレーンの拡張を通じて機能しうる。例えば、MDT測定はユーザ機器において行われ、その結果は(例えばMDTレポートとして)ネットワークへ報告されてもよい。ユーザ機器は、例えばユーザ機器とネットワークとの間の無線リソース制御(RRC)信号を通じて、アップリンクでMDTレポートをネットワークに送信してもよい。ネットワークには、基地局やシステムシミュレーター、基地局シミュレーター又その他の試験機構のようなネットワークノードが含まれてもよい。
【0015】
ある典型的実施形態において、このネットワークノードには、前述のようにシステムシミュレーターが含まれてもよい。システムシミュレーターは、適合性試験のために使用されうるものであり、商業適合性試験環境(commercial conformance testing environment)にGPS信号を混入させることなく、ユーザ機器の適合性試験を行うことを可能にするために使用されうる。なお適合性試験(conformance testing)は、認証試験(certification testing)としても知られている。実際、本願に記載されるいくつかの典型的実施形態は、MDTの適合性試験や、その他の特徴(位置情報を含む)と共に使用されうる。さらにMDTのような適合性試験は、ユーザ機器において測定を行うことを含みうる。このため、ユーザ機器の製造業者は、無線移動ネットワークで使用するための認証を受けるために、標準規格や認証基準等で規定される試験をユーザ機器がパスすることを示さなければならない場合がある。システムシミュレーターが、ネットワークやその一部をシミュレートし、ユーザ機器を正確に試験することができるように、適合性試験のような試験は、(例えばRF遮蔽室のような)実験環境で行われることもできる。
【0016】
図1Aは、ある典型的な実施形態に一致するシステム170の例を描いたものである。システム170はプロセッサ170を備える。プロセッサ172は、システムシミュレーター174へのリンク176に接続されている。システムシミュレーター174は、リンク122のような無線インタフェースを通じてユーザ機器144Aに接続されている。
【0017】
図1Aの例において、プロセッサ172は、システムシミュレーター174を制御するコンピュータとして実装されてもよい。システムシミュレーター174は無線ネットワークをシミュレートする。シミュレートする内容の中には、ネットワークの一つ又は複数のプロトコルを含む。プロセッサ172は、適合性試験の結果を記録したり、テストデータ又はテストシーケンスを生成したりするようにされてもよい。いくつかの典型的な実施形態において、プロセッサ172は、ユーザ機器114Aの試験の間、シミュレーター174を制御するテストスクリプトを保存し、また実行するように構成されてもよい。例えば、テストスクリプト生成器は、(例えばTTCN-3(testing and test control notation version 3)スクリプトのような)テストスクリプトを生成し、そのテストスクリプトを保存し、そのテストスクリプトを実行するように構成されてもよい。テストスクリプトの実行によって、ユーザ機器114Aの適合性試験が開始又は実行され、無線ネットワークにおいて使用可能なことが認証される。さらに、システムシミュレーター174は、リンク122の少なくとも一つのような無線インタフェースを通じて、ユーザ機器144Aに位置情報を提供するように構成されてもよい。それによってユーザ機器144Aは、その位置情報を用いて適合性試験を行うことができる。この場合において、ユーザ機器144Aは、位置ベースの処理手段による位置情報にアクセスする必要がない。
【0018】
MDTについて再び言及すると、ユーザ機器からネットワークへのMDTレポートは、ユーザ機器がアクティブモード又は接続モードにあるときに、即時に行われてもよい。この即時レポート送信は、無線リソース管理(RRM)の通常のレポート方法に期待されているものに一致する。ユーザ機器からネットワークへ送信されるMDTレポートは、ハンドオーバやセルの変更等のイベントによってトリガされてもよいし、要求に応じて送信されてもよい。
【0019】
ユーザ機器がアイドルモードにあるときは、MDTレポートの即時送信は不可能である。この場合、ユーザ機器は、自身がなしたMDT特定の結果を記録し(ログし)、MDTレポートの送信のためにユーザ機器とネットワークとの間の接続が利用可能になるまで待つ。いずれにせよ、ネットワークは、そのパフォーマンスを調査するための又は複数のMDTレポートを受信してもよい。ここで当該パフォーマンスには、通信可能範囲や、キャパシティの最適化、モビリティパラメータの最適化等を含んでもよい。
【0020】
ある典型的実施形態においては、MDT測定及び報告のために二つの異なるモードが存在してもよい。これら二つのモードは、本明細書において、それぞれ即時MDT(immediate MDT)とログMDT(logged MDT)と呼ばれる。
【0021】
即時MDTの場合、ユーザ機器およびネットワークは接続を確立していてもよい。例えば、ユーザ機器と基地局等のネットワークとは、RRC制御メッセージ等の制御信号が交換されうる接続を確立してもよい。さらに、ある例示的実施形態において、ユーザ機器及び基地局の間の制御信号は、ユーザ機器の位置情報を要求したり報告したりするように拡張されてもよい。さらに、ある例示的実施形態において、MTDレポートの一部として報告されるMDT測定データは、ユーザ機器の地理的位置を定義する位置情報や、測定を行っているユーザ機器の速度、測定日時を含むように拡張されてもよい。
【0022】
第2のモード、ログMDTにおいて、ユーザ機器は、アイドルモードにある間にMDT測定を実行する。そして、測定結果は記録され、ネットワークとの間の接続が確立されたときに、MDTレポートの中でそれらの測定結果をネットワークに報告する。さらに、ある例示的実施形態における、ログMDTの場合、MTDレポートの一部として報告されるMDT測定データは、ユーザ機器の地理的位置を定義する位置情報や、時間情報、速度情報等を含むように拡張されてもよい(例えば表1を参照されたい)。情報要素(IE)LocationInfoは、ユーザ機器において利用可能な詳細な位置情報を送信するために使用されてもよい。その位置情報は、測定結果とユーザ機器の場所情報とを関係付けるために使用されてもよい。(例えば、ユーザ機器で詳細な位置情報が利用可能な場合は、各測定結果はユーザ機器の場所に関係付けられる。)
【0023】
本明細書で紹介される例には、GPSやGNSSを参照するものが含まれるが、位置情報は、これらのシステムによるものに限定されるものではなく、他のソースからの位置情報も同様に用いられうる。
【0024】
いくつかの典型的実施形態において、ネットワーク(及び/又は、例えばシステムシミュレーター)は、従って、ユーザ機器に位置情報を提供してもよい。ここで位置情報は、(MDTレポートや適合性試験などのように)試験測定の結果をネットワークに報告するときに使用できるように、保存される。さらに、ユーザ機器において試験測定結果の送信準備が整ったとき、ユーザ機器は試験測定の結果を報告し、試験測定がなされたユーザ機器の位置を表す位置情報にリンク(関連付け)してもよい。(そのような位置情報は、ユーザ機器が直接決定するよりは、ネットワークにより提供されたものであろう。)前述のように、位置情報は、測定を行ったユーザ機器に関連する速度や、ユーザ機器に関連する時間をさらに含んでもよい。
【0025】
ネットワーク(及び/又はシステムシミュレーター)は、試験測定の結果を、例えばMDTレポート等で受け取ってもよい。また、試験測定結果には、当該試験測定結果に関連付けられた詳細な位置情報を含んでもよい。ネットワーク(及び/又はシステムシミュレーター)は、ネットワーク及び/又はユーザ機器のパフォーマンスを調査すべく、当該試験測定結果を分析してもよい。さらに、システムシミュレーターは、ユーザ機器が、正しい位置情報に関連付けられた正しいMDT測定結果を送信していることを検証してもよい。
【0026】
MDTレポートの遂行に役立てるべく、ネットワーク(及び/又はシステムシミュレーター)によってユーザ機器に提供される位置情報は、実施形態によっては、MDTレポートを行うように構成されるユーザ機器により報告を受けるときに、ネットワーク内の地理的位置を特定するために使用されてもよい。また、測定が行われた時点やユーザ機器の速度等をネットワークが特定しうるように、時間を特定するために使用されてもよい。例えば、エリア(areas)は、ネットワークにより試験が行われている地理的領域であって、従って、ユーザ機器がそのエリアに存在する場合にMDTレポートを提供する領域を表してもよい。いずれにせよ、ユーザ機器は、位置情報を用いてMDTレポートを拡張してもよい。
【0027】
さらに、ネットワーク(及び/又はシステムシミュレーター)によってユーザ機器に提供される位置情報、及び/又は、ユーザ機器からネットワークへ報告される位置情報は、実施形態によっては、以下の表1に示されるように、位置情報のための情報要素(LocationInfo)として構成されてもよい。もちろん、他の形式が用いられてもよい。例えばユーザ機器は、表1に示される情報要素LocationInfoを含むMDTレポートをネットワークに送信してもよく、それによってネットワークは、一つ又は複数のMDTレポートからの位置情報を関連付けることができる。表1の情報要素はまた、試験のための特別の機能を用いてユーザ機器に提供されてもよい。例えば適合性試験を実行するとき、システムシミュレーター174からユーザ機器114Aに表1の詳細な位置情報を送信するために、試験制御(TC; Test Control)プロトコルメッセージが使用されてもよい。
[表1]
【0028】
表1において、"ellipsoid-Point"(楕円体ポイント)及び"ellipsoidPointWithAltitude"(高度情報を有する楕円体ポイント)はそれぞれ位置情報を表し、特に、地理的形状の情報を表す。"horizontalVelocity"(水平方向速度)は位置情報を表し、特に、速度形状(velocity shape)の情報を表す。"gnss-TOD-msec"は測定及び/又は位置の推定が有効である日時を表す。実装形態によっては、"ellipsoid-Point"や"ellipsoidPointWithAltitude"、"gnss-TOD-msec"、"horizontalVelocity"は、3GPP TS 36.355に従って構成されてもよい。
【0029】
いくつかの典型的実施形態において、ユーザ機器は、ネットワーク(及び/又はシステムシミュレーター)か位置情報を受信して、それを(例えばTS 36.331に従って)自身に保存し、測定結果(例えばMDT情報等)をレポートする際に、当該位置情報を当該測定結果に含めてネットワーク(及び/又はシステムシミュレーターに送信してもよい。例えばユーザ機器は、ネットワークに送信するUEInformationResponseやMeasurementReportのようなMDTレポートメッセージに、当該位置情報を含めてもよい。このように、ユーザ機器は、ユーザ機器のMDTコントローラが、ユーザ機器のGPS処理手段のGPS信号にアクセスすることを必要とせずに、詳細なGNSS位置情報をMDTレポートの一部としてネットワークに提供してもよい。
【0030】
ある典型的な実施形態において、ユーザ機器がネットワークに接続されたとき(例えばユーザ機器がRRC_CONNECTED状態にあるとき)、ユーザ機器は、ネットワークから位置情報を受信するため及びその後に一つ又は複数のMDTレポートで当該位置情報を報告するために、一つ又は複数の特定のチャネルを使用してもよい。
【0031】
しかし、実施形態によっては、ユーザ機器はアイドルモード(例えばRRCJDLE モード)にあるかもしれない。このような場合、位置情報を含むMDTレポートを送信する利用可能なチャネルは存在しないので、ユーザ機器は、MDT測定の結果を保存する。(「ログ」するとも言い表される。)ネットワークとの通信のために利用可能なチャネルがユーザ機器に存在しないので、ユーザ機器は、MDT測定結果や位置情報を報告するのを待機しなければならないかもしれない。さらに、ユーザ機器とネットワークとの間にチャネルが存在しないので、ネットワークは、例えば表1の情報のような位置情報をユーザ機器に提供することはできないかもしれない。いくつかの典型的な実施形態において、このような場合にネットワークは、例えば表1の情報のような位置情報を、追跡エリア更新(TAU; tracking area update)処理が行われる時に、ユーザ機器に提供してもよい。ある典型的実施形態において、TAUが頻繁に行われるように、各セルは異なる追跡エリアに位置するようにされてもよい。TAUが実行される時、ユーザ機器はRRC_CONNECTED状態に入る。そして、RRC_CONNECTED状態のための接続が確立されている間であれば、位置情報をユーザ機器に送信することが可能になる。TAUの実行が終了し、接続が解放されて、次のアイドルモードに入ったとき、ユーザ機器はこの位置情報を利用してもよい。
【0032】
さらに、表1の情報のような位置情報は、ネットワークとユーザ機器との間の新たなブロードキャストチャネルを使って、ネットワークからユーザ機器に提供されてもよい。または、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH)やページング制御チャネル(PCCH)のような既存のブロードキャストチャンネルを使って提供されてもよい。ある実施形態において、上記の新たなブロードキャストチャネルは、固有の無線ネットワーク仮識別子(RNTI; radio network temporary identifier)を有する試験制御チャネル(TCCH; test control channel)として構成されてもよい。このブロードキャストチャネルは、例えばページングチャネルと同じ又は似たような頻度で送信が行われてもよい。
【0033】
更なる詳細説明を行う前に、図1Bを参照して、典型的なシステム環境100の説明を行う。ある典型的実施形態において、無線通信システム100は、112A-Bに対応するサービスエリア又は通信可能エリア(又はセル)は、をサポートする基地局110を有してもよい。基地局110は、その通信可能エリアにおいて、ユーザ機器114A-Bのような無線機器と通信する能力を有してもよい。図1Bにはまた、ユーザ機器114Bが、別の基地局によりサービスの提供を受けている別の通信可能エリア112Bにも入っていることが描かれている。
【0034】
図1Bには基地局110が一つと、二つのセル112A及び112B,二つのユーザ機器114A及び114Bしか描かれていないが、無線通信システム100は、異なる数の基地局やセル、ユーザ機器を含みうる。さらに、システムシミュレーター172が使用される実施形態において、システムシミュレーターは172は、基地局110を含むシステム100の、一つ又は複数の側面をシミュレートするために使用されてもよい。
【0035】
ある典型的実施形態において、基地局110はシステムシミュレーターや、基地局シミュレーター、一つ又は複数のユーザ機器の制御及び/又は試験遂行のためのその他の機構の、いずれか一つ以上を備えていてもよい。
【0036】
さらに、実施形態によっては、基地局110は、ロング・ターム・エボリューション(LTE)規格を含む標準規格に適合する進化型ノードB(eNB; evolved Node B)として実装されてもよい。そのような標準規格には次のようなものがある。
3GPP TS 36.201,Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Long Term Evolution (LTE) physical layer; General description
3GPP TS 36.211,Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical channels and modulation
3GPP TS 36.212,Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Multiplexing and channel coding
3GPP TS 36.213,Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical layer procedures
3GPP TS 36.214,Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical layer- Measurements
また、これらの標準規格や、まとめてLTE標準規格と称されうるその他の3GPPの一連の標準規格、またこれらの追加または改正版も、上記の標準規格の例に含まれる。
【0037】
さらに、ある実施形態において、基地局110及び/又はシステムシミュレーター174は、次の標準規格の一つ又は複数に従って構成される、試験用の機構を備えてもよい(そのような機構には、システムシミュレーターや基地局シミュレーター等が存在する)。3GPP TS 34.109,3GPP TS 37.320,3GPP TS 36.331,3GPP TS 36.355,3GPP TS 36.509,3GPP TS 36.508、これらの標準規格や他の3GPPの一連の標準規格、またこれらの追加または改正版。
【0038】
図1Bは基地局110としての構成の例を描いているが、基地局110は別な形でも構成されうる。例えば、中継機(リレー)やセルラ基地局送受信機サブシステム、ゲートウェイ、アクセスポイント、無線周波数(RF)リピーター、フレームリピーター、ノード等としても構成されうる。また基地局110は、図示されているネットワーク以外のネットワークへのアクセス手段を含んでもよい。例えば基地局110は、他の基地局や無線ネットワークコントローラ(RNC)、コアネットワーク、サービング・ゲートウェイ、モビリティ管理エンティティ、サービングGPRSサポートノード、ネットワーク管理システム等の、別のネットワーク要素への、有線又は無線によるバックホール回線を備えていてもよい。
【0039】
いくつかの典型的実施形態において、無線通信システム100は、リンク122のようなアクセスリンクを有してもよい。アクセスリンク122は、ユーザ機器114Aへの送信のためのダウンリンク116と、ユーザ機器114Aから基地局110への送信のためのアップリンク126とを有する。ダウンリンク116は、RRCメッセージや位置情報等の情報をユーザ機器114Aへ搬送する、変調された無線周波数信号を有してもよく、アップリンク126は、RRCメッセージや位置情報等の情報をユーザ機器114Aから基地局110へと搬送する、変調された無線周波数信号を有してもよい。
【0040】
いくつかの典型的実施形態において、ユーザ機器114A-Bは、移動機器及び/又は固定機器として実装されてもよい。ユーザ機器114A-Bは、しばしば、移動局や移動ユニット、加入者端末、無線端末、タブレット、スマートフォン等と言い表されることがある。ユーザ機器は例えば、無線ハンドヘルドデバイスや、無線プラグインアクセサリ等として実装されてもよい。場合によっては、ユーザ機器はプロセッサやコンピュータ可読記憶媒体(メモリ,ストレージ等)、無線アクセス機構、ユーザインタフェースの少なくともいずれかを含んでもよい。例えばユーザ機器は、移動電話機や、ネットワークへの無線接続手段を有するコンピュータ等の形態をとる場合もある。
【0041】
ある例示的実施形態において、ダウンリンク116及びアップリンク126は、無線周波数(RF)信号を表す。RF信号は、上述のように、音声やビデオ、画像、インターネットプロトコル(IP)パケット、制御情報等のデータや、様々な種類の情報及び/又はメッセージを含んでもよい。例えば、LTEが用いられている場合、RF信号はOFDMAである。OFDMAは、OFDM(直交周波数分割多重方式)のマルチユーザ・バージョンである。OFDMAにおいては、多重アクセスは、個々のユーザにサブキャリア(サブチャネルまたはトーンとも称される)のグループを割り当てることにより達成される。これらのサブキャリアはBPSK(二位相偏移変調)、QPSK(四位相偏移変調)、QAM(直角位相振幅変調)のいずれかの方式を用いて変調され、前方誤り訂正方式により符号化されたデータを含むシンボル(OFDMAシンボルとも称される)を搬送する。なお、本明細書で開示される技術思想は、OFDMAシステムやLTE、LTE-Advancedに関する応用例に限定されるわけではなく、また前述の標準規格や仕様に関する応用例に限定されるわけではい。
【0042】
図2は、ある典型的実施形態に従うプロセス200であって、位置情報を使って試験を行うためのプロセス200を描いたものである。当該位置情報は、ユーザ機器が試験及びレポートを行うために、ネットワーク(例えば基地局やネットワークノード、システムシミュレーター等)からユーザ機器に提供される。
【0043】
ある典型的な実施形態によれば、210において位置情報が決定されてもよい。例えば位置情報はネットワーク(例えばネットワークノードやシステムシミュレーター174、及び/又は基地局110)において決定されてもよい。さらに、この位置情報は、例えばGNSS情報のような詳細な位置情報を含んでいてもよい。実施形態によっては、当該位置情報は情報要素(例えば表1に示されるような情報要素)として構成されてもよい。さらに、この位置情報は、ネットワーク中の地理的位置を表すものであってもよい。例えばセル112Aの中の位置を表すものであったり、ユーザ機器114Aの位置を表すものであったりしてもよい。この位置情報はまた、速度情報や日時情報を含むものであってもよい。
【0044】
ある典型的な実施形態では、上記位置情報は、ユーザ機器に送信されてもよい(220)。例えばネットワークは、210で決定された位置情報を、ダウンリンク116を介してユーザ機器114Aに送信してもよい。ネットワークは、例えばRRCメッセージのような制御プレーンの信号を用いて上記位置情報を送信してもよい。実施形態によっては、システムシミュレーター174を用いて送信を行ってもよい。上記位置情報は、試験制御(TC; Test Control)メッセージを通じて送信されてもよい。他の種類のメッセージ、例えばマシン間インタフェースコマンドやアテンションコマンドが位置情報の送信に用いられてもよい。さらに上述のように、いくつかの典型的な実施形態において、ネットワークは、例えば表1の情報のような位置情報を、追跡エリア更新(TAU; tracking area update)処理が行われる時に、ユーザ機器に提供してもよい。さらに、表1の情報のような位置情報は、ネットワークとユーザ機器との間の新たなブロードキャストチャネルを使って、ネットワークからユーザ機器に提供されてもよい。及び/又は、BCCHやPCCHのような既存のブロードキャストチャンネルを使って提供されてもよい。位置情報がユーザ機器により受信されると、ユーザ機器は、測定結果をネットワーク及び/又はシステムシミュレーターに報告する準備が整うまで、当該位置情報を保存しておいてもよい。例えば、無線リンク障害(radio link failure)やハンドオーバ兆候(handover indication)等、何らかのイベントがあったとき、ユーザ機器は、上記位置情報を含む測定結果(例えばMDTレポートやその他のレポート)をネットワーク及び/又はシステムシミュレーターに送信することをトリガされてもよい。
【0045】
上述の例においては試験制御メッセージが位置情報を提供するのに用いられていたが、他のタイプの方法を用いてもよい。例えば、(3GPP TS 36.423.3,3GPP TS 36.523-3,3GPP TS 34.123-3の少なくともいずれかに準拠したものであってもよい)マシン間インタフェース(Machine-to-Machine Interface; MMI)コマンドが、ユーザ機器の機能を制御し、位置情報を提供するために、使用されてもよい。表2は、制御及び/又は位置情報提供に使用されうるMMIコマンドの例を描いたものである。例えば、表1のコマンドは、上述のように位置情報を含むように拡張されてもよい(例えば、表1に関するように、または同様に)。
[表2]
【0046】
ある典型的実施形態においては、アテンション(Attention; AT)コマンドが、位置情報を提供するために使用されてもよい。(ATコマンドは3GPP TS defined 27.007に定義されたものであってもよい。)ATコマンドは、ターミナル装置からターミナルアダプタへ送信されるコマンドラインを始めるのに用いられる2文字の略称を含む。例えば、ATコマンドは、ターミナルアダプタ(TA)を通じて、移動終端(mobile termination; MT)機能の制御(及び/又は位置情報提供)を行ってもよい。例えば、これらのATコマンドは、上述のように位置情報を含むように定義されてもよい(例えば、表1に関するように、または同様に)。
【0047】
ある典型的実施形態において、位置情報を含む報告であってユーザ機器からの報告(例えば一つまたは複数のMDTレポートや、情報に関するその他の報告)は、230において、ネットワーク(例えば基地局、システムシミュレーター、及び/又はその他のネットワークノード)に受信される。例えばユーザ機器114Aは、レポート及び位置情報を受信する基地局110へ、MDT測定結果及び位置情報を含むMDTレポートを送信してもよい。ネットワークは、位置情報を含むMDTレポートや、その他のMDTレポートを受信してもよい。そしてネットワークは、ネットワークの性能を調査するために、詳細な位置情報を含むMDTレポートを解析してもよい。また、システムシュミレーターを含む或る典型的実施形態においては、システムシミュレーターは、位置情報を含む試験メッセージを一つ又は複数受け取ってもよい。これらのメッセージは、ユーザ機器が適合性試験の遂行を行いうるかを調査するために、解析されてもよい。位置情報がユーザ機器に提供されるため、GPS処理手段を設ける必要はなく、そのような処理手段にアクセスする必要もない。さらにシステムシュミレーターの場合、GPSベースの処理手段を設ける必要はない。というのも、システムシミュレーターは、ネットワーク中の他のノードからの位置情報にアクセスすることができるからである。
【0048】
図3は、ある典型的な実施形態に従う、試験のための別のプロセス300を描いたものである。
【0049】
ある典型的実施形態において、ユーザ機器114Aは、302において、電源がオンにされ、及び/又はネットワークへのレジストレーションが行われる。ある典型的実施形態において、このレジストレーションは、3GPP TS 36.508に従って行われる。むろん、他の方法が用いられてもよい。
【0050】
ある典型的実施形態において、試験モード(test mode)が、304において、アクティブにされる。それによってユーザ機器114及びネットワークは、試験や測定、報告を行うことができるようになる。ある典型的実施形態において、当該アクティブにされることは、3GPP TS 38.508に従って行われる。むろん、他の方法が用いられてもよい。
【0051】
ある典型的実施形態において、ネットワークは、305において、ユーザ機器をMDTを遂行するように構成してもよい。例えばネットワークは、ユーザ機器を、MDTレポート等を行うように構成してもよい。
【0052】
ある典型的実施形態において、ネットワークは、306において、220に関して以前に述べたように、ユーザ機器114Aに位置情報を提供すべく、ユーザ機器114Aにメッセージを送信してもよい。例えば基地局110(及び/又はシステムシミュレータ174)は、306において、メッセージの中で位置情報をユーザ機器114Aに送信してもよい。この位置情報はユーザ機器の位置を表すものであってもよい。またこのメッセージは、RRCメッセージや試験制御(TC)メッセージであってもよい。
【0053】
ある典型的実施形態において、ユーザ機器114Aは、308において、306のメッセージに応答して確認メッセージを送信してもよい。例えばユーザ機器114Aは、308において、306で受信した位置情報の受信確認のために、UE位置情報完了メッセージ(UE location information complete message)をネットワークに送信してもよい。ユーザ機器は、ネットワークから提供された位置情報を、メッセージや他の情報要素(例えばMDTログや測定結果レポート等)に含めてもよい。
【0054】
ある典型的実施形態では、312において、無線リンク障害(RLF; Radio Link Failure)状態が満たされるように、サービングセル(例えばセル112A)の出力レベルが設定されてもよい。例えば、システムシミュレーター174がユーザ機器114Aをラボでテストする形態において、システムシミュレーター174は、無線の状態(例えばサービングセル及び新たなセルの出力レベル)を設定してもよい。しかしラボの外の環境でテストを行う場合、無線の状態は、実際の無線状況及びこれらの状況に対応する変化(例えば早いフェーディング)により必然的に決まってしまう。314において、ユーザ機器114Aは、新しいセル(例えばセル112B)との間で接続の再確立を開始してもよい。そしてユーザ機器114Aは、316において、イベントが発生したこと、及び、無線リンク障害測定やハンドオーバ障害測定等の測定がユーザ機器114Aで利用可能なことを、メッセージ中で標示してもよい。このメッセージは、例えば、RRC接続再確立完了メッセージ(RRC Connection Reestablishment Complete Message)等の、制御プレーンのシグナリング・メッセージであってもよい。
【0055】
ある典型的実施形態において、ネットワークは、318において、制御プレーンメッセージをユーザ機器114Aに送信し、測定結果(例えばMDT測定結果等)や位置情報を含むレポートを要求してもよい。例えば、無線リンク障害測定結果及び/又はハンドオーバ障害測定結果を含むレポートを要求してもよい。例えば、基地局110(及び/又はシステムシミュレーター174)は、MDTレポート(例えば、対応する無線リンク障害測定結果及び位置情報を含む無線リンク障害レポート)のようなレポートやテストメッセージ等を提供することをユーザ機器114Aに要求する、ユーザ機器情報リクエスト(UE Information Request)メッセージを送信してもよい。
【0056】
ある典型的な実施形態において、320において、ユーザ機器114Aは、318において送信されたリクエストに応じて制御プレーンメッセージを送信してもよい。例えばユーザ機器114Aは、MDTレポートのようなレポートやテストメッセージ等(例えば無線リンク障害測定結果を含む無線リンク障害レポートや、ハンドオーバ障害測定結果を含むハンドオーバ障害レポート)と、306において提供された位置情報に対応する位置情報とを、ネットワークへ送信してもよい。
【0057】
322において、ネットワークは、ユーザ機器114Aが正しい位置情報を含む位置情報送信したことを検証してもよい。例えば、システムシミュレーター174は、MDT測定結果のような正しい測定結果にリンクされた、正しい情報要素(IE)を報告しているかを検証してもよい。
【0058】
図4は、基地局400の実装例を描いたものである。基地局400は基地局110において実装されてもよい。基地局は一つ又は複数のアンテナ420を備える。アンテナ420はダウンリンクにおいて送信を行い、アップリンクにおいて受信を行うように構成される。基地局はまた、アンテナ420に組み合わされる無線インタフェース440や、プロセッサ430を有する。プロセッサ430は基地局400を制御する。またプロセッサ430は、メモリ435に格納されるプログラムコードにアクセスしそれを実行する。無線インタフェース440は、フィルタや(D/Aコンバータのような)変換器、マッパー(mapper)、高速フーリエ変換(FFT)モジュール等の要素をさらに備えてもよく、1又は複数のダウンリンクを通じて送信するシンボルを生成し、例えばアップリンクを通じてシンボルを受信する。ある実装例において、基地局は、IEEE 802.16やLTE、LTE-Advanced等に準拠するものであってもよい。ダウンリンクやアップリンクのRF信号はOFDMA信号であってもよい。基地局はMDTコントローラ450を備えてもよい。ある実装例において、MDTコントローラ450は、基地局(例えばeNB)に関して本願が開示した処理の一つ又は複数を実行する。すなわち、プロセス200やプロセス300の一つ又は複数の側面を含む処理の一つ又は複数を実行する。なお、MDTコントローラ450は基地局400の一部として描かれているが、MDTコントローラ450は、スタンドアロンのノードとしている実装される場合もある。
【0059】
図5は、ユーザ機器500のような、無線機器のブロック図を描いたものである。ユーザ機器500は、ダウンリンクで受信を行いアップリンクで送信を行うためのアンテナ520を備えてもよい。ユーザ機器500は無線インタフェース540を備えてもよい。無線インタフェース540は、フィルタや(D/Aコンバータのような)変換器、シンボル・デマッパー(symbol demappaer)、逆高速フーリエ変換(IFFT)モジュール等の要素をさらに備えてもよく、ダウンリンクやアップリンクで搬送されるシンボル(OFDMAシンボル等)を処理する。ある実装例において、ユーザ機器500は、WiFiやBluetooth、GERAN、UTRAN、E-UTRAN等の標準規格又は仕様に準拠するものであってもよい。ユーザ機器500はまた、プロセッサ520のような少なくとも一つのプロセッサを備えてもよい。プロセッサ520はユーザ機器500を制御する。またプロセッサ520は、メモリ525に格納されるプログラムコードにアクセスしそれを実行する。ユーザ機器はMDTプロセッサ550を備えてもよい。ある典型的実施形態において、MDTプロセッサ550は、ユーザ機器に関して本願が開示した処理の一つ又は複数を実行する。すなわち、プロセス200やプロセス300の一つ又は複数の側面を含む処理の一つ又は複数を実行する。
【0060】
本願に開示される技術思想は、望ましい形態に応じて、システムや装置、方法、製品として実施されることができる。例えば、本願に開示される基地局やユーザ機器(又はこれらに含まれる一つ又は複数の要素)、また処理は、プログラムコードを実行するプロセッサや、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、組み込みプロセッサ、FPGA、これらいずれかの組み合わせ、の一つ又は複数により実装されることができる。これらの様々な実装形態は、少なくとも一つのプログラム可能なプロセッサを含むプログラム可能なシステムにより実行及び/又は解釈されることが可能な一つ又は複数のコンピュータプログラムによる実装形態を含んでもよい。当該プロセッサは特定目的のためのものでも汎用のものでもよく、ストレージシステムや少なくとも一つの入力デバイス、少なくとも一つの出力デバイスに組み合わされて、これらからデータや命令を受け取ったり、これらへデータや命令を送ったりする。このようなコンピュータプログラムは、プログラムやソフトウエア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネンツ、プログラムコード、コードなどと呼ばれることがある。これらコンピュータプログラムはプログラム可能なプロセッサのためのマシン命令を有し、高次レベルの手続きプログラミング言語及び/又はオブジェクトオリエンテッドなプログラミング言語、及び/又はアセンブリ/マシン語によって実装されてもよい。本願において機械可読媒体(machine-readable medium)との語句は、マシン命令やデータをプログラム可能なプロセッサに供給するために使用されるコンピュータプログラム製品、コンピュータ可読媒体、コンピュータ可読記憶媒体、装置、デバイス(例えば磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラム可能な論理デバイス(PLD))等のいずれを指してもよい。機械可読媒体は、マシン命令を受け取るものも含む。同様に、本願で開示されるシステムは、プロセッサと、当該プロセッサに組み合わされるメモリとを備えてもよい。このメモリは、本願で開示される処理の一つ又は複数を上記プロセッサに実行させるための一つ又は複数のプログラムを格納していてもよい。
【0061】
本願ではいくつかのバリエーションを説明したが、様々な変形や追加が可能である。特に、更なる特徴やバリエーションが、ここに開示されているもの以外にも加えられることが可能である。例えば、適合性試験(及びシステムシミュレーター)に関連して説明された例は、MDTに関連しても使用されることが可能である。また、MDTに関連して説明された事項は、適合性試験(及びシステムシミュレーター)に関連しても使用されることが可能である。さらに、本願で開示された実装例は、開示された特徴の様々な組み合わせやサブコンビネーション、上述の更なる特徴の様々な組み合わせやサブコンビネーションを対象としてもよい。さらに、添付図面に描かれた論理フローや明細書に説明された論理フローは、所望の結果を得るために、直接に示された特定の順序を守る必要はない。様々な実施形態が添付の請求項の範囲に含まれる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5