(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6192248
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】細胞成長状態の可視化プログラムと可視化方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20170828BHJP
C12Q 1/06 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
C12M1/34 D
C12Q1/06
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-180002(P2016-180002)
(22)【出願日】2016年9月14日
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】592086112
【氏名又は名称】株式会社ティ・アンド・シー・テクニカル
(74)【代理人】
【識別番号】100123869
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良隆
(72)【発明者】
【氏名】辻 元
【審査官】
松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】
米澤岳志,誘電計測による酵母のオンラインモニタリング,バイオサイエンスとインダストリー,1997年 7月,Vol.55, No.7,Pages 479-481
【文献】
酵母、細胞の成長傾向を見る ハミルトン社 セルデンシティー専用ソフト セルクオリティレーダー,[online],2016年10月,[Retrieved on 13.07.2017] url<http://www.tactec.jp/cell_quality_radar.htm>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12Q
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞培養中の細胞の成長状態を測定する連続測定装置を、
前記細胞に周波数f0からfE間のN個の周波数fmJを測定周波数とする交流信号を順次与えるマルチ周波数スキャンを、培養開始から時間間隔ΔtI(Iはマルチ周波数スキャン番号で、I=0、1、2、・・・、M)毎に、ΣMI=0ΔtI=tI(Δt0=0、Mはマルチ周波数スキャンの測定回数))で示される経過時間迄実施する信号印加手段、
前記信号印加手段の実施により細胞内で生じる配向分極による誘電率を測定する計測手段、
前記マルチ周波数スキャンで得られる前記交流信号の周波数と前記周波数に対応して得られた誘電率を用いて、「周波数−誘電率曲線」の傾きの最大値αと前記傾きの最大値αを示す周波数fCを求める操作を、実施したI回のマルチ周波数スキャンに対して行い、時間間隔Δtとマルチ周波数スキャン番号Iから求められる経過時間tIと前記tIに対応する傾きの最大値αIと周波数fCIとからなるデータ群(αI、fCI、tI)を算出する計算手段、
前記信号印加手段、計測手段、及び計算手段で用いた測定条件、測定した計測値、前記測定条件及び計測値を用いて得た計算値を記録する記憶手段、
前記データ群(αI、fCI、tI)を用い、傾きの最大値α及び周波数fCを項目とし、経過時間tIをデータとする散布図を構成、描画し、
前記散布図における前記データの座標位置を示すマークの位置が、細胞の成長が進む場合には、前記散布図のx・y座標系の右側に移動し、前記細胞の大きさの同一性が高くなる場合には前記x・y座標系の上方に移動するように、
前記x・y座標系におけるx軸を周波数の逆数fC−1とし、y軸を「周波数−誘電率曲線」の傾きの最大値αとする「fC−1・α」座標系とする可視化手段、
として機能させるための細胞培養における細胞成長状態の可視化プログラム。
【請求項2】
前記測定周波数fmJが、fmJ=10(a−b*N)(Nは1回のマルチ周波数スキャンにおける周波数の数)で生成されるN個の周波数であることを特徴とする請求項1記載の細胞培養における細胞成長状態の可視化プログラム。
【請求項3】
前記測定周波数fmJが、fmJ=10(4−0.0953*N)(Nは1回のマルチ周波数スキャンにおける周波数の数)で生成されるN個の周波数であることを特徴とする請求項1記載の細胞培養における細胞成長状態の可視化プログラム。
【請求項4】
前記散布図における前記データの経過時間tIの範囲内において設定される区切り時間範囲κ毎の細胞成長状態が前記散布図上で見分けられるように、
前記区切り時間範囲κ毎に前記マークの色種類(色相)が変わり、
前記区切り時間範囲κ内における経過時間tIの最小経過時間を初期値とし、前記初期値におけるマークの色の階調(彩度)を0%の白色又は透明とし、前記区切り領域κ内での経過時間がΔt増す毎に、段階的に前記マークの色の階調が強くなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の細胞培養における細胞成長状態の可視化プログラム。
【請求項5】
前記散布図において、前記データのマークが閉じた境界線と前記境界線で囲まれた領域τを有する図形で、
前記境界線は線幅、色種類(色相)、色の階調(彩度)を属性に持ち、
前記領域τは色種類(色相)と色の階調(彩度)を属性として有し、
前記データの経過時間tIの範囲内において設定される区切り時間範囲κ毎に、前記境界線及び領域τの色種類(色相)が変わり、
前記区切り時間範囲κ内における経過時間tIの最小経過時間を初期値とし、前記初期値における領域τの色の階調(彩度)を0%の白色又は透明とし、前記区切り領域τ内での経過時間がΔt増す毎に、段階的に前記マークの色の階調が強くなることを特徴とする請求項4に記載の細胞培養における細胞成長状態の可視化プログラム。
【請求項6】
細胞培養における細胞成長状態の可視化方法であって、
前記細胞に周波数f0からfE間のN個の周波数を測定周波数fmJ(Jは1回のマルチ周波数スキャンにおけるスキャン番号で、J=0、1、2、・・・、N)とする交流信号を順次加えるマルチ周波数スキャンを、培養開始から時間間隔ΔtI毎にΣI=0MΔtI=tI(Δt0=0、Mはマルチ周波数スキャンの測定回数、Iはマルチ周波数スキャンの測定番号)で示す経過時間迄、)迄、実施する信号印加手段、
前記細胞内で生じる測定周波数fmJの交流信号により形成される配向分極による誘電率εmIJを測定する計測手段、
前記交流信号の周波数fmJと誘電率εmIJを用いて、周波数−誘電率曲線の傾きAIJを求めて、前記傾きAIJの最大値αIと前記αIを示す周波数fCIを得る計算手段、
前記信号印加手段、計測手段、及び計算手段で用いた測定条件、測定した計測値、求めた計算値であるデータ群(I,J,M,N,tI,ΔtI,fmJ,αI,fCI,εmIJ)を記録する記憶手段、
前記αI、周波数の逆数(fCI)−1を項目とし、経過時間tIをデータとする散布図を構成、描画する可視手段を備え、
前記散布図における前記データのマークの位置が、細胞の成長が進む場合には、前記散布図のxy座標系の右側に移動し、前記細胞の大きさの同一性が高くなる場合には前記xy座標系の上方に移動するように、
前記x・y座標系におけるx軸を周波数の逆数fC−1とし、y軸を「周波数−誘電率曲線」の傾きの最大値αとする「fC−1・α」座標系とすることを特徴とする細胞培養における細胞成長状態の可視化方法。
【請求項7】
前記測定周波数fmJが、fmJ=10(a−b*N)(Nは1回のマルチ周波数スキャンにおける周波数の数)で生成されるN個の周波数であることを特徴とする請求項6記載の細胞培養における細胞成長状態の可視化方法。
【請求項8】
前記測定周波数fmJが、fmJ=10(4−0.0953*N)(Nは1回のマルチ周波数スキャンにおける周波数の数)で生成されるN個の周波数であることを特徴とする請求項6記載の細胞培養における細胞成長状態の可視化方法。
【請求項9】
前記散布図における前記データの経過時間tIの範囲内において設定される区切り時間範囲κ毎の細胞成長状態が前記散布図上で見分けられるように、
前記区切り時間範囲κ毎に、前記マークの色種類(色相)が変わり、
前記区切り時間範囲κ内における経過時間tIの最小経過時間を初期値とし、前記初期値におけるマークの色の階調(彩度)を0%の白色又は透明とし、前記区切り領域κ内での経過時間がΔt増す毎に、段階的に前記マークの色の階調が強くなることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の細胞培養における細胞成長状態の可視化方法。
【請求項10】
前記散布図において、前記データのマークが閉じた境界線と前記境界線で囲まれた領域τを有する図形で、
前記境界線は線幅、色種類(色相)、色の階調(彩度)を属性に持ち、
前記領域τは色種類(色相)と色の階調(彩度)を属性として有し、
前記データの経過時間tIの範囲内において設定される区切り時間範囲κ毎に、前記境界線及び領域τの色種類(色相)が変わり、
前記区切り時間範囲κ内における経過時間tIの最小経過時間を初期値とし、前記初期値における領域τの色の階調(彩度)を0%の白色又は透明とし、前記区切り領域κ内での経過時間がΔt増す毎に、段階的に前記マークの色の階調が強くなることを特徴とする請求項9に記載の細胞培養における細胞成長状態の可視化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞の成長状態を測定する測定装置において、得られた計測値の可視化技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオテクノロジープロセスやアッセイにおいて、細胞培養を進めるに際して、培養中の増殖に適した環境を維持管理するために、その指標として、pHそして溶存酸素量を制御するためのオンライン測定機器が、広く用いられている。
一方、その測定されたpHや溶存酸素量が指し示す環境が、細胞の増殖に最適な環境であるかを判断するには、実際の増殖の状態を知る必要がある。
【0003】
従来、その細胞の増殖状態を知見する方法としては、細胞のサンプリングを行って判断が成されていたが、サンプリングという外乱要因が付加されることにより、増殖中の「その瞬間」の状態を知り得なかった。そのため、細胞増殖過程へのフィードバックは時間的には遅くなり、定量性に欠けるものとなっている。
さらに、オンライン測定器を含めた細胞の増殖にかかわるプロセス機器に生じる不具合による増殖中の細胞に及ぼす影響は把握することも困難である。
【0004】
そこで、非特許文献1、2に開示されるオンライン細胞密度モニターである細胞密度連続測定装置が開発されている。
この装置は、従来の遠赤外方式の全細胞により生じる濁度の測定と異なり、生細胞のみを検知し、生細胞膜の示す誘電率の変化を計測して生細胞の増殖による密度の変化を把握するものである。
【0005】
この測定装置の特徴は、細胞密度の測定において2種類の機能を有し、その第一は特定範囲の細胞(以下、特定細胞と称す。この特定細胞とは一定サイズの細胞を意味する。)の密度変化を測定する機能、その第二は全細胞の変化を測定する機能である。これら二つを同時監視することによって、サンプリングによる従来法では困難であった特定細胞密度の変化の連続測定、及び細胞全体における成長状態の連続測定を行うことが可能である。
【0006】
先ず、第一の特徴である特定細胞の密度変化の測定は、電極間に発生する特定周波数が特定の大きさの細胞膜内の陽イオン・陰イオンの移動に作用し、双極化という現象を発生させ、この現象から測定される細胞誘電率が、細胞の体積当たりの数量と比例関係を持つことから細胞密度の連続測定を行う。
【0007】
一方、細胞全体における成長状態の連続測定は、多様なサイズの細胞を含め、その成長の傾向を見るために、細胞培地に複数の周波数による電圧もしくは電流を加え、その走査結果から得られる分散曲線(β分散:ベータ分散)における曲線の傾きが最大化する点の周波数f
C、その点の傾きαが求められる。
その求めた傾きαは、細胞の存在する状態、即ち大きさの分布を表し、数値が高い程同一サイズの細胞の占める割合が多くなる傾向を示す。
また、f
Cは最大密度を有する細胞の大きさの変化を示し、周波数が低くなるほど、細胞が大きくなる傾向を示す。
【0008】
この細胞全体の成長状態における連続測定で、曲線の傾きが最大化する点の周波数f
C、その点の傾きαの測定値は、時々刻々とそれらは変化し、その値は培地の養分の変化、温度、pH、溶存酸素(DO)などの環境の変化が加わることで、複雑な成長を表すことになる。
そこで、このような複雑な成長過程を分析するためには、周波数f
Cと傾きαの過去の値を知り、その値の前後の変化の方向性或いは傾向を知る必要があり、変化前後の値を即座に知る必要がある。
【0009】
しかしながら、現状では
図4に示すように、周波数f
C、傾きα共に時系列的な変化を記録、表示するものとなっている。そのため、細胞の変化は頻雑で、その動きは黒矢印に示すように、その動きは帯状のグラフになってしまい、細かな動きと、その時間経過を把握できない問題を抱え、周波数f
Cと傾きαの値の動きからの細胞状態の理解に不明瞭さを加える結果となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】T&CTechnical、「Hamilton社製細胞密度連続測定装置Cell Density」紹介カタログ、[online]、平成28年3月15日、[平成28年7月25日検索]、インターネット<URL:http://www.tactec.jp/download/hamilton dl/PC LaunchBox Cell DENSITY 160315.pdf>.
【非特許文献2】T&CTechnical、「Cell Density、Hamilton、製細胞密度連続測定装置」、[online]、平成28年7月5日、[平成28年7月25日検索]、インターネット、<URL:http://www.tactec.jp/PC_type_Cell_DENSITY.html>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、このような状況の中、本発明は細胞培養中の細胞の成長状態を測定する連続測定装置における細胞全体においての成長状態での細胞密度の連続測定で得られる測定値の可視化において、過去及び現在の測定値の全て、もしくは選択された過去、現在の測定値を、時系列変化が明確に区別でき、細胞の成長度合いや細胞サイズの同一性の確認も可能とする測定値の可視化プログラム及び可視化方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような状況に鑑み、本発明の第1の発明は、細胞培養中の細胞の成長状態を測定する連続測定装置を、前記細胞に周波数f
0からf
E間のN個の周波数fm
Jを測定周波数とする交流信号を順次与えるマルチ周波数スキャンを、培養開始から時間間隔Δt
I(Iはマルチ周波数スキャン番号で、I=0、1、2、・・・、M)毎に、Σ
MI=0Δt
I=t
I(Δt
0=0、Mはマルチ周波数スキャンの測定回数)で示される経過時間迄実施する信号印加手段、前記信号印加手段の実施により細胞内で生じる配向分極による誘電率を測定する計測手段、前記マルチ周波数スキャンで得られる前記交流信号の周波数と前記周波数に対応して得られた誘電率を用いて、「周波数−誘電率曲線」の傾きの最大値αと前記傾きの最大値αを示す周波数f
Cを求める操作を、実施したI回のマルチ周波数スキャンに対して行い、時間間隔Δtとマルチ周波数スキャン番号Iから求められる経過時間t
Iと前記t
Iに対応する傾きの最大値α
Iと周波数f
CIとからなるデータ群(α
I、f
CI、t
I)を算出する計算手段、前記信号印加手段、計測手段、及び計算手段で用いた測定条件、測定した計測値、前記測定条件及び計測値を用いて得た計算値を記録する記憶手段、前記データ群(α
I、f
CI、t
I)を用い、傾きの最大値α及び周波数f
Cを項目とし、経過時間t
Iをデータとする散布図を構成、描画し、前記散布図における前記データの座標位置を示すマークの位置が、細胞の成長が進む場合には、前記散布図のx・y座標系の右側に移動し、前記細胞の大きさの同一性が高くなる場合には前記x・y座標系の上方に移動するように、前記x・y座標系におけるx軸を周波数の逆数f
C−1とし、y軸を「周波数−誘電率曲線」の傾きの最大値αとする「f
C−1・α」座標系とする可視化手段として機能させるための細胞培養における細胞成長状態の可視化プログラムである。
【0013】
本発明の第2の発明は、第1の発明における測定周波数fm
Jが、fm
J=10
(a−b*N)(Nは1回のマルチ周波数スキャンにおける周波数の数)で生成されるN個の周波数であることを特徴とする細胞培養における細胞成長状態の可視化プログラムである。
【0014】
本発明の第3の発明は、第1の発明における測定周波数fm
Jが、fm
J=10
(4−0.0953*N)(Nは1回のマルチ周波数スキャンにおける周波数の数)で生成されるN個の周波数であることを特徴とする細胞培養における細胞成長状態の可視化プログラムである。
【0015】
本発明の第4の発明は、第1〜3の発明の散布図における前記データの経過時間t
Iの
範囲内において設定される区切り時間範囲κ毎の細胞成長状態が前記散布図上で見分けられるように、前記区切り時間範囲κ毎に前記マークの色種類(色相)が変わり、前記区切り時間範囲κ内における経過時間t
Iの最小経過時間を初期値とし、前記初期値におけるマークの色の階調(彩度)を0%の白色又は透明とし、前記区切り領域κ内での経過時間がΔt増す毎に、段階的に前記マークの色の階調が強くなることを特徴とする細胞培養における細胞成長状態の可視化プログラムである。
【0016】
本発明の第5の発明は、第4の発明における散布図において、前記データのマークが閉じた境界線と前記境界線で囲まれた領域τを有する図形で、前記境界線は線幅、色種類(色相)、色の階調(彩度)を属性に持ち、前記領域τは色種類(色相)と色の階調(彩度)を属性として有し、前記データの経過時間t
Iの範囲内において設定される区切り時間範囲κ毎に、前記境界線及び領域τの色種類(色相)が変わり、前記区切り時間範囲κ内における経過時間t
Iの最小経過時間を初期値とし、前記初期値における領域τの色の階調(彩度)を0%の白色又は透明とし、前記区切り領域τ内での経過時間がΔt増す毎に、段階的に前記マークの色の階調が強くなることを特徴とする細胞培養における細胞成長状態の可視化プログラムである。
【0017】
本発明の第6の発明は、細胞培養における細胞成長状態の可視化方法であって、前記細胞に周波数f
0からf
E間のN個の周波数を測定周波数fm
J(Jは1回のマルチ周波数スキャンにおけるスキャン番号で、J=0、1、2、・・・、N)とする交流信号を順次加えるマルチ周波数スキャンを、培養開始から時間間隔Δt
I毎にΣ
I=0MΔt
I=t
I(Δt
0=0、Mはマルチ周波数スキャンの測定回数、Iはマルチ周波数スキャンの測定番号)で示す経過時間迄、)迄、実施する信号印加手段、前記細胞内で生じる測定周波数fm
Jの交流信号により形成される配向分極による誘電率εm
IJを測定する計測手段、前記交流信号の周波数fm
Jと誘電率εm
IJを用いて、周波数−誘電率曲線の傾きA
IJを求めて、前記傾きA
IJの最大値α
Iと前記α
Iを示す周波数f
CIを得る計算手段、前記信号印加手段、計測手段、及び計算手段で用いた測定条件、測定した計測値、求めた計算値であるデータ群(I,J,M,N,t
I,Δt
I,fm
J,α
I,f
CI,εm
IJ)を記録する記憶手段、前記α
I、周波数の逆数(f
CI)
−1を項目とし、経過時間t
Iをデータとする散布図を構成、描画する可視手段を備え、
前記散布図における前記データのマークの位置が、細胞の成長が進む場合には、前記散布図のxy座標系の右側に移動し、前記細胞の大きさの同一性が高くなる場合には前記xy座標系の上方に移動するように、前記x・y座標系におけるx軸を周波数の逆数f
C−1とし、y軸を「周波数−誘電率曲線」の傾きの最大値αとする「f
C−1・α」座標系とすることを特徴とする細胞培養における細胞成長状態の可視化方法である。
【0018】
本発明の第7の発明は、第6の発明における測定周波数fm
Jが、fm
J=10
(a−b*N)(Nは1回のマルチ周波数スキャンにおける周波数の数)で生成されるN個の周波数であることを特徴とする細胞培養における細胞成長状態の可視化方法である。
【0019】
本発明の第8の発明は、第6の発明における測定周波数fm
Jが、fm
J=10
(4−0.0953*N)(Nは1回のマルチ周波数スキャンにおける周波数の数)で生成されるN個の周波数であることを特徴とする細胞培養における細胞成長状態の可視化方法である。
【0020】
本発明の第9の発明は、第6〜8の発明の散布図における前記データの経過時間t
Iの範囲内において設定される区切り時間範囲κ毎の細胞成長状態が前記散布図上で見分けられるように、前記区切り時間範囲κ毎に、前記マークの色種類(色相)が変わり、前記区切り時間範囲κ内における経過時間t
Iの最小経過時間を初期値とし、前記初期値におけるマークの色の階調(彩度)を0%の白色又は透明とし、前記区切り領域κ内での経過時間がΔt増す毎に、段階的に前記マークの色の階調が強くなることを特徴とする細胞培養における細胞成長状態の可視化方法である。
【0021】
本発明の第10の発明は、第9の発明における散布図において、前記データのマークが閉じた境界線と前記境界線で囲まれた領域τを有する図形で、前記境界線は線幅、色種類(色相)、色の階調(彩度)を属性に持ち、前記領域τは色種類(色相)と色の階調(彩度)を属性として有し、前記データの経過時間t
Iの範囲内において設定される区切り時間範囲κ毎に、前記境界線及び領域τの色種類(色相)が変わり、前記区切り時間範囲κ内における経過時間t
Iの最小経過時間を初期値とし、前記初期値における領域τの色の階調(彩度)を0%の白色又は透明とし、前記区切り領域κ内での経過時間がΔt増す毎に、段階的に前記マークの色の階調が強くなることを特徴とする細胞培養における細胞成長状態の可視化方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、細胞培養中の細胞の成長状態を測定する連続測定装置における細胞の成長状態を視覚的に把握できるように、測定値の表示に色の変化を導入することで、細胞の成長過程を明瞭に出来、細胞培養を最適化することが可能となり、また応答周波数による細胞の分傾向を把握できるため、特定細胞集団の密度測定を行う場合の測定周波数の設定を正確且つ容易にする効果を奏している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】細胞の成長状態測定における周波数と誘電率で示される細胞の大きさとの関係を説明する図である。
【
図2】マルチ周波数スキャンの概要を示し、(a)は1回のマルチ周波数スキャンによる結果、(b)は細胞培養の時間経過に沿って行われたマルチ周波数スキャンから得られる結果を示す図である。
【
図3】マルチ周波数スキャンから得られた結果を示す図である。
【
図4】従来の可視化方法による測定結果を表示する図で、(a)は「経過時間・α」座標系、(b)は「経過時間・周波数」座標系、(c)は「経過時間・誘電率」座標系の図である。
【
図5】本発明に係る可視化プログラムのフロー図である。
【
図7】本発明に係る可視化表示に使用するデータのマークを説明する図で、(a)は形状の説明図で、(b)は属性の説明図である。
【
図8-a】本発明の実施形態の可視化表示で、培養から20時間46分経過時における散布図である。
【
図8-b】本発明の実施形態の可視化表示で、培養から44時間経過時における散布図である。
【
図8-c】本発明の実施形態の可視化表示で、培養から68時間経過時における散布図である。
【
図8-d】本発明の実施形態の可視化表示で、培養から140時間経過時における散布図である。
【
図8-e】本発明の実施形態の可視化表示で、培養から146時間経過時における散布図である。
【
図8-f】本発明の実施形態の可視化表示で、[
図8−e]とほぼ同経過時におけるx軸のスケールを変えた散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
先ず、特定細胞の密度変化の測定について概略を説明する。
細胞密度を測定する際に、細胞の種類と周波数には、電極間に発生する特定周波数が特定の大きさの細胞膜内の陽イオン・陰イオンの移動に作用し、双極化という現象を発生させ、この現象から測定される細胞誘電率が、細胞の体積当たりの数量と比例関係を持つことが知られているため、その測定する細胞、被測定細胞の種類に適した測定周波数fmを選択して細胞の誘電率εmを計測する。
同時に細胞を増殖させる培地(バックグランド)が示す誘電率も把握するため、測定周波数fmよりも高い周波数のバックグラウンド周波数f
Gを用いて培地(バックグラウンド)の誘電率ε
Gを計測する。
ここでは、測定周波数fmとバックグラウンド周波数f
Gの2つの周波数の計測を常時行う。
【0025】
図1の実線で示すようなβ分散を行う細胞増殖において、細胞密度の測定における測定周波数fmと測定誘電率εm、バックグラウンド周波数f
Gと誘電率ε
Gの関係を
図1に合わせて示す。なお、β分散とは低い周波数で安定した誘電率が、高い周波数に行くに従い低下し、安定した誘電率へと至る領域である。
したがって、
図1からも被測定細胞の誘電率ε
Cは、計測した細胞の測定誘電率εmとバックグラウンドの誘電率ε
Gの差、「ε
C=εm−ε
G」より求められる。
細胞密度は、細胞の誘電率が細胞の大きさに依存することから、測定周波数fmを基準に、発生する被測定細胞の測定誘電率εmとバックグラウンドの誘電率ε
Gとの誘電率差Δε(=「ε
C=εm−ε
G」)を計測し、細胞密度を計算する。
【0026】
次に、細胞全体における成長状態の細胞密度の連続測定の概略を説明する。
先ず、細胞全体における成長状態の細胞密度を知るためには、これまでに説明してきた特定細胞密度の測定において、単一の周波数から求めた誘電率を用いて細胞密度を測定していたが、細胞全体の場合では、β分散が
図2(a)の実線(白抜矢印)のような細胞増殖状態を採る場合、周波数f
0からf
E間(例えば、
図2にではf
0=0.3MHz、f
E=10MHz)において、マルチ周波数スキャンによる交流信号の印加を行い、
図2(b)に示すような「測定周波数fmと被測定細胞の誘電率εm」の関係をスキャンした周波数の数分(J=N)計測する。このように、培養時間の経過(t
I:経過時間)に沿って、測定周波数を変化(fm
J:測定周波数)させ、その影響による誘電率を計測することによって、細胞の大きさ、その分布状況の把握が可能となっている。さらに、
図3に示す情報が得られる。
なお、この
図3に示す情報は、任意の経過時間における単一の結果である。
【0027】
また
図3は、マルチ周波数スキャンから得られた結果を示すもので、Aは周波数−誘電率曲線の傾き、αはβ分散領域における曲線の傾きAの最大値を表し、f
Cは傾きAが最大値αを採る点の周波数、Δε
MAXは最大誘電率で全細胞が有する誘電率、ε
Gはバックグランド(培地)が示す誘電率である。
【0028】
次に、細胞の成長状態を知るためには、細胞の培養開始からの経過時間t
Iに、周波数f
0からf
E間で、fm
J=10
(a−b*N)(Nは1回の周波数スキャンにおける測定周波数の数)の周波数式に沿って得られる測定周波数fm
Jの交流信号を印加する上記マルチ周波数スキャンによる測定を行い、周波数fm
Jに対する誘電率εm
IJを計測し、それらの計測値からΔε
MAX、f
C、αを求めて経過時間t
Iと共に記録し、1回の周波数スキャン測定により得られる組データ(t
I,Δε
MAX,f
C,α)として記録される。なお、測定周波数の数は、周波数f
0〜f
E間の幅の大きさで調整されるNにより定まる。
【0029】
実際には、このマルチ周波数スキャンを、経過時間(t
I=0からΣ
MI=0Δt
I、Δt
I:時間間隔、Iはマルチ周波数スキャンの回数)に沿って行い、データ群D(I、Δt
I、t
I,Δε
MAXI,f
CI,α
I)を得る。ここで、Iはマルチ周波数スキャン番号を示す。また、通常測定は一定間隔(Δt
I=Δt)毎に行うものとし、その経過時間は、I×Δtで示される。
即ち、測定毎に組データ(マルチ周波数スキャンの回数、時間間隔、経過時間、全細胞が有する誘電率,αが最大になる周波数、β分散領域における誘電率曲線の傾きの最大値)を記録するものである。
【0030】
測定終了後、データ群Dの可視化が行われる。従来の可視化は、
図4(a)〜(c)に見られるようなx軸を「経過時間t」とし、y軸を各々「β分散領域における誘電率曲線の傾きの最大値α」、「αが最大になる周波数f
C」、「全細胞が有する誘電率Δε
MAX」とするグラフによる可視化が成されている。
しかしながら、本発明では
図4の可視化では細胞の成長状態を定量的に明瞭には見出せない問題を解消すべく以下に示す、細胞培養における細胞成長状態を定量的に明瞭に表示する可視化方法と、その細胞成長状態を測定する連続測定装置に細胞の成長状態を定量的に明瞭に表示する可視化プログラムを発明した。
【0031】
以下、具体的に本発明に係る細胞培養における細胞成長状態を定量的に明瞭な可視化方法、及び、細胞成長状態を測定する連続測定装置に、その細胞成長状態を表示させる機能の可視化プログラムを説明する。
【0032】
1.可視化プログラム
細胞成長状態の連続測定装置において、その細胞培養における細胞成長状態を表示させる機能を有する本発明に係る可視化プログラムは、連続測定装置を、信号印加手段、計測手段、計算手段、記憶手段、可視化手段で示される5つの手段として機能させるものである。そのフロー図を
図5に示す。
【0033】
2.可視化方法
本発明に係る細胞培養における細胞成長状態の可視化方法は、細胞培養において、細胞成長状態を観察、測定した結果を定量的に明瞭に、且つ時系列を考慮して表示可能な可視化方法で、信号印加手段により生じた細胞の成長に伴う変化を、計測手段により測定し、得られた計測値を、計算手段により可視化手段で利用する特性値を求め、記憶手段で計測値と共に記録すると同時に、その特性値を本発明に係る可視化手段に用いて可視化するものである。
【0034】
以下に、可視化プログラム及び可視化方法の各手段を説明する。
なお、信号印加手段、及び計測手段の概要は、上記段落[0026]〜[0028]に記載しているが、さらに詳細に説明する。
【0035】
[信号印加手段]
細胞に周波数を、測定周波数式「fm
J=10
(a−b*N)、a、bは係数、Nは測定周波数の数」で求めた測定周波数の交流信号を与えるマルチ周波数スキャンを、培養開始から時間間隔Δt
I(Iは培養開始からのマルチ周波数スキャン番号で、I=0、1、2、・・・M)毎に、t
f=Σ
MI=0Δt
I(Δt
0=0)で示される経過時間迄、実施するものである。
実際には、細胞に測定周波数fm
J=f
0からf
Eまで、測定周波数式「fm
J=10
(a−b*N)、a=4、b=0.0953、N=0〜16までの17段階」で求めた測定周波数の交流信号を加えるマルチ周波数スキャンを、培養開始から時間間隔Δt
I毎に、経過時間t
I=Σ
MI=0Δt
I(Δt
0=0)迄、実施する。
【0036】
[計測手段]
信号印加手段の実施により細胞内で生じる配向分極による誘電率を測定するもので、実際には、細胞内で生じる周波数fm
Jの交流信号により形成される配向分極による誘電率εm
IJを測定する。
【0037】
[計算手段]
マルチ周波数スキャンで得られる交流信号の測定周波数fm
Jと、その周波数に対応して得られた誘電率εm
IJを用いて、「周波数−誘電率曲線」の傾きの最大値αと、その傾きの最大値αを示す周波数f
Cを求める操作を、実施したI回のマルチ周波数スキャンに対して行う。
この計算手段で、I個の傾きの最大値α
Iと周波数f
CIと、時間間隔Δt
Iとマルチ周波数スキャン番号Iから求められる経過時間t
Iからなるデータ群(α
I、f
CI、t
I)を算出される。
具体的には、交流信号の周波数fm
Jと誘電率εm
IJを用いて、周波数−誘電率曲線の傾きA
Iを求めて、その傾きA
Iの最大値α
Iと、そのα
Iを示す周波数f
CIを得るものである。
【0038】
[記憶手段」
これまでの信号印加手段、計測手段、及び計算手段で用いた測定条件、測定した計測値、前記測定条件及び計測値を用いて得た計算値を記録するもので、測定、計算の流れに沿って、適宜記録された値の入出が行われる。
【0039】
[可視化手段]
本発明において特徴を成し、計算手段で得られたデータ群(α
I、f
CI、t
I)を用い、傾きの最大値α及び周波数f
Cを項目とし、経過時間t
Iをデータとする散布図を構成、描画するものである。
この散布図におけるデータのマーク位置は、細胞の成長が進んでいる場合、成長初期のデータは、散布図の「x・y」座標系の右側に移動し、その隣り合う左側に時間が経過しているデータマークが表示され、データ細胞の大きさの同一性が高くなる場合には「x・y」座標系の上方に移動するように、「x・y」座標系におけるx軸を「周波数の逆数f
C−1」とし、y軸を「周波数−誘電率曲線」の「傾きの最大値α」とする「f
C−1・α」座標系とするもので、以下にさらに詳細に説明する。
【0040】
[本発明に係る可視化方法の詳細]
本発明に係る可視化方法の基本形は、x軸をαが最大になる周波数f
Cの逆数「f
C−1」とし、y軸をβ分散領域における誘電率曲線の傾きの最大値「α」とする「f
C−1・α」座標系散布図で表すものである。
このようにx軸、y軸を採用した「f
C−1・α座標系」とすることで、マルチ周波数スキャン測定による測定値は、
図6に示すように細胞の成長が進むにつれ、新しい測定値は過去の測定値の左側に表示される。即ち測定値はグラフの右側方向(x軸+方向、白抜き矢印方向)に移動していき、細胞のサイズの同一性が高くなるにつれ、グラフの上方(y軸+方向、黒塗り矢印方向)に移動していくように表示されることになる。
【0041】
散布図のx・y座標の点上で表されるデータの値は、経過時間を示すものとなる。
そこで、経過時間は時系列な数値データであるために、判断のし易さを考慮して経過時間により色の階調が表現可能に変化する記号表記(例えば、丸印「○」等)とし、経過時間t=0の時の階調を0%(「○」:白抜き丸又は透明丸)に設定し、経過時間に比例して段階的に強くなっていくように設定する。さらに、例えば経過時間の区切り時間範囲が24時間、即ち1日終了直前の測定では階調が100%(「●」:塗りつぶし丸)が設定され、1日ごとに、色を変える「色分け」を導入するとさらに可視化を容易にする。なお、経過時間の区切り時間範囲は、1日に限らず適宜設定できる。
【0042】
図6は、細胞培養における7日間の細胞成長状態を、区切り時間範囲を1日として可視化したもので、上記カラー表示をすることで上記効果が明瞭に得られる。即ち、可視化当日の「実線範囲d0」、1日前の「破線範囲d1」、2〜4日前の「1点鎖線範囲d2からd4」、5日前の「破線範囲d5」、6日前の「実線範囲d6」の評価結果を示され、細胞成長状態の様子が時系列的に把握可能となっている。
【0043】
さらに、
図7(a)に示すように、このデータのマーク1は、閉じた境界線Lと、その境界線Lで囲まれた領域τを有する図形で、その境界線Lは線幅、色種類(色相)、色の階調(彩度)を属性に持ち、領域τは色種類(色相)と色の階調(彩度)を属性として有している。
また、このマーク1は、
図7(b)に示すように、その経過時間t
Iの範囲内において設定される区切り時間範囲κ毎に、前記境界線及び領域τの色種類(色相)が変わり、区切り時間範囲κ内における経過時間t
Iの最小経過時間を初期値とし、その初期値における領域τの色の階調(彩度)を0%の白色又は透明とし、区切り領域κ内でのマルチ周波数スキャン回数が増す毎に、段階的にマークの色の階調が強くなる特徴も有している。
【0044】
図8に、その実施形態を示す。
図8−aにおいては、培養から20時間46分経過時、
図8−bにおいては培養から44時間経過時、
図8−cにおいては培養から68時間経過時、
図8−dにおいては培養から140時間経過時、
図8−eにおいては培養から146時間経過時の細胞の成長状態を示している。
図8の各図から、培養開始前の初期状態の細胞状態(
図8−a)の実線範囲d1で囲まれた群(培養開始時))が、時間の経過と共に、経過時間に依存していると見られる特定の周波数範囲内に細胞の成長状態が集約されて大きさの同一性も進んでいることが判る。
【0045】
即ち、
図8−aでは、「範囲d1→d0」、
図8−bでは、「d2→d1→d0」、
図8−cでは「d2→d1→d0」、
図8−dでは「d5→d4→(d1〜d3)→d0」、
図8−e、
図8−fでは「d6→d5→(d2〜d4)→d1→d0」で示す方向に細胞成長が進行、集約され、広がりを持った分布が特定周波数範囲内で大きさの同一性を有する周波数に対して先鋭化された分布状態を示していることが判る。
また、経過時間が長くなるにつれ、細胞の成長状態が集約される周波数が高い周波数側、グラフでは左側に移動していく様子が、各図から見て取れる。同時にグラフの上方に向かっていくことから細胞の大きさの同一性が上がってきていることも判る。
【0046】
さらに、明瞭に分析するために、x軸の「f
C−1」のスケールを変更した図を、
図8−fに示す。
図8−fは
図8−eと同等の経過時間時の測定値をプロットしたものである。
細胞の成長状態の傾向は、
図8−eと
図8−fでは変わらず同じであるが、より詳細なデータ(α、f
C)を得られることが示されている。
【符号の説明】
【0047】
1 データのマーク
L マークの境界線
τ マークの閉じた境界線が作る領域
A、A
IJ 周波数−誘電率曲線の傾き
α、α
I 周波数−誘電率曲線の傾きの最大値
f
C、f
CI 傾きの最大値αを示す周波数
t
I 細胞培養開始からの経過時間
κ 経過時間t
Iの範囲内において設定される区切り時間範囲
fm
J マルチ周波数スキャンの交流信号の測定周波数
εm
IJ マルチ周波数スキャンの測定誘電率
εm 測定誘電率
ε
G 培地(バックグラウンド)の誘電率
ε
C 被測定細胞の誘電率:εm
Δε
MAX 最大誘電率
Δt
I マルチ周波数スキャン測定の時間間隔
Δf 周波数間隔
I 培養開始からのマルチ周波数スキャン番号(I=0、1、2、・・・M)
M 培養開始から測定終了までのマルチ周波数スキャンの回数
J 1回のマルチ周波数スキャンにおけるスキャン番号(J=1、2、・・・N)
N 1回のマルチ周波数スキャンにおける測定周波数の数
【要約】
【課題】細胞培養中の細胞の成長状態を測定する連続測定装置における細胞密度の連続測定で得た測定値の可視化において、過去及び現在の測定値の全て、もしくは選択された過去、現在の測定値を、時系列変化が明確に区別でき、細胞の成長度合いや細胞サイズの同一性の確認も可能とする測定値の可視化プログラム及び可視化方法を提供する。
【解決手段】細胞培養中の細胞の成長状態を測定する連続測定装置を、信号印加手段、計測手段、計算手段、記憶手段を経て得られた測定値が、細胞の成長が進む場合には、散布図のx・y座標系の右側に移動し、細胞の大きさの同一性が高くなる場合にはx・y座標系の上方に移動するように、x・y座標系におけるx軸を周波数の逆数f
C−1とし、y軸を「周波数−誘電率曲線」の傾きの最大値αとする「f
C−1・α」座標系とする可視化手段として機能させるための細胞培養における細胞成長状態の可視化プログラム。
【選択図】
図6