(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192257
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】IH用調理用プレート
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20170828BHJP
A47J 27/00 20060101ALI20170828BHJP
A47J 36/04 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
A47J37/06 311
A47J27/00 107
A47J36/04
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-34365(P2012-34365)
(22)【出願日】2012年2月20日
(65)【公開番号】特開2013-169298(P2013-169298A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年2月6日
【審判番号】不服2016-13022(P2016-13022/J1)
【審判請求日】2016年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】509008053
【氏名又は名称】サンライズ産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511207903
【氏名又は名称】株式会社オーシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】小島 寛司
【合議体】
【審判長】
千壽 哲郎
【審判官】
紀本 孝
【審判官】
井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−93343(JP,A)
【文献】
特開2009−227491(JP,A)
【文献】
特開平9−75211(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3161243(JP,U)
【文献】
実開昭63−183927(JP,U)
【文献】
特開2006−68215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J37/00-37/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央孔、前記中央孔を包囲するように延びて上向きに突出する内側突条、前記内側突条を包囲するように延びて上向きに突出する外側突条、および前記内側突条と前記外側突条の間に形成される凹部を有する枠体と、
カーボン(黒鉛)を主成分とし電磁誘導により発熱する素材からなる板材であって、前記中央孔を覆うように前記枠体の上に載置されて、下面が前記枠体の下面よりも高くなるように前記内側突条に下方から支持される発熱プレートと、
前記発熱プレートの上に載置されて該発熱プレートに下方から支持され、前記枠体の前記外側突条に包囲される溶岩プレートとを備え、
前記凹部は、前記溶岩プレートの外縁に沿って配置される、IH用調理用プレート。
【請求項2】
前記発熱プレートはカーボン(黒鉛)を主成分とする押出材であって、表面がセラミック塗料でコート処理される、請求項1に記載のIH用調理用プレート。
【請求項3】
前記発熱プレートはカーボン(黒鉛)を主成分とするCIP(Cold Isostatic Press)材である、請求項1に記載のIH用調理用プレート。
【請求項4】
前記中央孔に収容される断熱プレートをさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載のIH用調理用プレート。
【請求項5】
前記枠体は、前記断熱プレートと係合して、断熱プレートを下方から支持する係合部を有する、請求項4に記載のIH用調理用プレート。
【請求項6】
前記枠体は、前記発熱プレートを前記枠体の中央に位置決めする突起を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のIH用調理用プレート。
【請求項7】
前記突起は、前記枠体の中央を中心として放射状に延びるリブである、請求項6に記載のIH用調理用プレート。
【請求項8】
前記枠体は、下方に突出する脚部を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のIH用調理用プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶岩プレートを備え、IH(Induction Heating)調理器によって加熱され
る調理用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
溶岩プレートの上で焼かれた肉や野菜等は、遠赤外線の効果により、中身に水分を残して加熱される。このため、うまみ成分を逃さず、鉄板プレート上に載せて焼いたものよりも美味しく焼けることが知られている。このような調理用の溶岩プレートとしては従来、例えば特開2009−189724号公報(特許文献1)に記載の焼肉用石焼プレートが知られている。特許文献1に記載の焼肉用石焼プレートは、火成岩などの多孔質な溶岩を円盤形状に成形した石板と、石板の下面を被覆する発熱層とを有する。発熱層はIH調理器で電磁誘導加熱されて、石板を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−189724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のような焼肉用石焼プレートにあっては、以下に説明するような問題を生ずる。つまり、第1に石板が脆いため、割れや欠け等によって石板が破損する虞がある。第2に持ち手がないため、熱くなった状態で焼肉用石焼プレートを運搬することができない。第3に、焼肉の調理中に石板に載せられた肉片から油脂が出て石板から垂れてしまい、IH調理器が肉汁や野菜汁で汚れてしまう。第4に、石板がIH調理器のトッププレートに直接載せられることから、焼肉用石焼プレートの発熱層の熱がトッププレートに直接伝導してしまい、高温に晒されることになる。
【0005】
本発明は、上述の実情に鑑み、プレートに割れや欠けが生じる虞をなくし、持ち手を設けることが可能で、しかもIH調理器が油脂で汚れることを防止することができる調理用プレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため本発明によるIH用調理用プレートは、中央孔、内縁部に設けられて上向きに突出し中央孔を包囲する内側突条、外縁部に設けられて上向きに突出し内側突条を包囲する外側突条、および内側突条と外側突条の間に形成される凹部を有する枠体と、カーボン(黒鉛)を主成分とし電磁誘導により発熱する素材からなる板材であって中央孔を覆うように枠体の上に載置されて自身の下面が枠体の下面よりも高くなるように内側突条に下方から支持される発熱プレートと、発熱プレートの上に載置されて
該発熱プレートに下方から支持され、枠体
の外側突条に包囲される溶岩プレートとを備える。そして枠体の凹部は、溶岩プレートの外縁部に沿って配置される。
【0007】
かかる本発明によれば、溶岩プレートが枠体に包囲されることから、溶岩プレートに割れや欠けが生じる虞をなくすことができる。また、枠体に持ち手を設けることが可能である。しかも、溶岩プレート上から垂れる油脂を枠体
の凹部で受け止めることができるので、IH調理器が油脂で汚れることを防止することができる。さらに
発熱プレートの下面が枠体の下面よりも高くなるように内側突条に下方から支持されることにより、発熱プレートとIH調理機器の間に隙間が形成され、IH調理器が高温になることを防止できる。
また本発明によれば、溶岩プレートの外縁から垂れ落ちる焼肉の油脂を枠体の凹部に貯留することができ、IH調理器のトッププレートが油脂で汚れることがない。なお枠体は平面視において溶岩プレートを包囲すればよい。側面視において、枠体は溶岩プレートよりも下方に位置するところ、枠体の外縁は溶岩プレートよりも下方にあってもよいし、枠体の外縁を上方へ突出させて溶岩プレートと同じ高さで溶岩プレートを囲繞してもよい。
【0008】
本発明の発熱プレートは、電磁誘導により発熱するものであればよく、鉄、ステンレス等の強磁性体で形成されてもよいし、鉄などの溶射膜を有するものであってもよいし、特
に限定されない。本発明の一実施形態として、発熱プレートはカーボン(黒鉛)を主成分とする押出材であって、表面はセラミック塗料でコート処理される。他の実施形態として、発熱プレートはカーボン(黒鉛)を主成分とするCIP(Cold Isostatic Press)材である。
【0009】
溶岩プレートは使用状態にもよるが、野菜のみを焼く場合は約90℃の比較的低温になる。これに対し肉を焼く場合は比較的高温の170℃〜230℃が理想とされ、調理するときには250℃に達する。そして発熱プレートは溶岩プレートと略同じ程度の高温になる。発熱プレートは枠体の中央孔の上方にあり、IH調理器のトッププレートは枠体の中央孔の下方にあるため、トッププレートが発熱プレートと面接触して高熱が直接伝導することはない。しかしながら本発明の好ましい実施形態として、枠体の中央孔に収容される断熱プレートをさらに備えるとよい。かかる実施形態によれば、発熱プレートからIH調理器のトッププレートへの熱照射を遮断することができる。そして断熱プレートをさらに備えることにより、断熱プレートを設置しない場合と比較してIH調理器の出力を安定して維持することができる。
【0010】
断熱プレートは、IH調理器のトッププレート上に載置されればよく、枠体から切り離されていてもよいし、枠体と連結してもよい。本発明の一実施形態として、枠体は、断熱プレートと係合して断熱プレートを下方から支持する係合部を有する。かかる実施形態によれば、枠体を持ち上げると断熱プレートも枠体とともに持ち上がる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態として、枠体は発熱プレートを枠体の中央に位置決めする突起を有する。かかる実施形態によれば、発熱プレートが枠体の側方へずれることがない。突起は発熱プレートの外縁と当接するものであればよく、その配置および形状は特に限定されない。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施形態として、突起は枠体の中央を中心として放射状に延びるリブである。かかる実施形態によれば、リブの内側端で発熱プレートを位置決めすることができ、しかもリブによって枠体の剛性を高めることができる。
【0013】
本発明の一実施形態として、枠体は下方に突出する脚部を有してもよい。かかる実施形態によれば、脚部を除いた枠体の下面がIH調理器のトッププレートから離隔される。したがって、IH調理器のトッププレートを高温にならないよう保護することができる。脚部の配置および形状は特に限定されない。脚部は枠体の四隅に配置されてもよいし、他の部位に配置されてもよい。脚部の高さ寸法は、大きすぎると電磁誘導加熱に支障をきたすので、あまり大きくならない範囲、例えば0.5〜2[mm]で選定される。他の実施形態として、枠体の下面がIH調理器のトッププレートと面接触してもよい。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明は、溶岩プレートに割れや欠けが生じる虞をなくすことができる。また、枠体に持ち手を設けることが可能である。しかも、溶岩プレート上から垂れる油脂を枠体で受け止めることができるので、IH調理器が油脂で汚れることを防止することができる。さらに、IH調理器が高温になることを防止できる。したがって、IH調理器に用いられる、耐久性、運搬、清掃、安全性という点で有利な調理用プレートを提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施例になる調理用プレートを示す平面図である。
【
図4】断熱プレートおよび枠体を示す平面図である。
【
図7】同実施例になる枠体の中央孔の周囲を拡大して示す断面図である。
【
図8】本発明の変形例になる枠体の中央孔の周囲を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる調理プレートを示す平面図であって、図中の左半分が溶岩プレートを支持する状態を表し、図中の右半分が溶岩プレートを取り外した状態を表す。
図2は
図1に対応する正面図である。
図3は
図1のIII−IIIの断面図である。
図4は断熱プレートおよび枠体を示す平面図であって、図中の左半分が断熱プレートおよび枠体を表し、図中の右半分が断熱プレートを取り外した状態を表す。
図5は
図4のV−Vの断面図である。
図6は
図4に対応する底面図である。
【0018】
調理用プレート10は、組立式であって、枠体11と、溶岩プレート21と、発熱プレート31と、断熱プレート41とを備える。枠体11および断熱プレート41は、
図3に示すように家庭用のIH調理器のトッププレートT上に載せられる。発熱プレート31は枠体11の上に載置されて断熱プレート41を上方から覆い、IH調理器によって電磁誘導加熱される。
【0019】
溶岩プレート21は発熱プレート31の上に載置されて、発熱プレート31によって加熱される。溶岩プレート21は、多孔質の溶岩石を切り出して板状に加工したものであり、被調理物に90〜250℃の熱を加える調理方法(グリル)に好適である。本実施例の溶岩プレート21の形状は四角形状であるが、図示しない変形例として、溶岩プレート21は円形状でもよい。四角形状だと、発熱プレート31から加熱されるので溶岩プレート31のコーナ部が温まりにくく中心部との温度差が生じる。円形状だと温度差ができないという利点がある。
【0020】
溶岩プレート21上には肉片、野菜片等の被調理物が載せられ、溶岩プレート21の熱で焼かれる。溶岩プレート21は遠赤外線を放出して、肉汁や野菜汁が漏れ出すことを少なくしつつ肉片や野菜片の内部まで加熱することができる。
【0021】
枠体11は正方形であって、調理用プレート10の枠部分を構成する。枠体11の中心には中央孔12が形成される。中央孔12の内径寸法は、小さくなるほど電磁誘導の邪魔になり、大きくなるほど後述する凹部16を確保できなくなる。このため、電磁誘導と油の貯留との兼ね合いで中央孔12の内径寸法を決定する。中央孔12は、中央孔12よりも小さな形状になる断熱プレート41を収容する。
【0022】
中央孔12の周囲には、環状の内側突条13が形成される。内側突条13は枠体11の上面から上方に突出して、中央孔12を包囲するよう周方向に延びる。また枠体11の外縁には外側突条14が形成される。外側突条14は枠体11の上面から上方に突出し、正方形の4辺を構成する。外側突条14よりも内側の枠体上面には、外側突条14よりも一
段低くされた枠部15が形成される。枠部15は平坦面であって正方形の4辺を構成する。枠部15と内側突条13の間には、これらよりも低い凹部16が形成される。凹部16は溶岩プレート21の外縁に沿って周方向に延びる。
【0023】
凹部16には、正方形になる枠体11の対角線に沿って延びるリブ17が4本形成される。リブ17は枠体11の四隅にそれぞれ配置され、リブ17の外側端は正方形の枠部15の隅部と接続する。ただしリブ17の内側端17iは、内側突条13と接続せず、発熱プレート31を枠体11の中央に位置決めする。したがって枠体11の上面は、凹部16が最も低く、内側突条13、リブ17、枠部15、外側突条14の順に高くなる。また枠体11の外縁には、外側へ突出する1対の持ち手18,18が形成される。持ち手18は外側突条14と連続する高さにされる。
図6に示すように、枠体11の下面には脚部19が形成される。脚部19は枠体11の下面11nから下方へ突出するものであって、枠体11の四隅にそれぞれ配置される。これにより
図2に示すように、枠体11の下面11nはトッププレートTから僅かに離隔される。枠体11の材質は、アルミニウムやアルミニウム合金など、軽量で丈夫な素材が用いられる。あるいは枠体11は、陶器、磁器など粘土を焼結させたものや、他のセラミック製であってもよい。
【0024】
図1でハッチングを付された発熱プレート31は中央孔12よりも大きな円板であり、その外縁が内側突条13に支持され、4箇所のリブ内側端17iで中央孔12を完全に覆うように位置決めされる。発熱プレート31の厚みは3〜5[mm]である。発熱プレート31はカーボン(黒鉛)を主成分とするグラファイトであって、電磁誘導作用によって渦電流が流れることにより発熱する。特に発熱プレート31は押出材である。押出材は原料のカーボンを押出型に入れて、押出型の一方から圧力をかけて他方へ押し出すことによって形成される異方性黒鉛である。
【0025】
あるいは発熱プレート31はCIP材(Cold Isostatic Press冷間静水圧プレス)であってもよい。なお押出材よりもCIP材の方が肌理細かく、強度のバラツキが少なく、均一な材料特性を有するため、優位な機械的特性を奏する。CIP材は原料のカーボンを変形自在の型に入れて、6面を等圧でプレスすることによって形成される等方性黒鉛である。発熱プレート31の表面にはセラミック塗料が塗布される。このように発熱プレート31の表面をコート処理することにより、発熱プレート31の上面から下面へ油脂が透過することを防止するとともに、発熱プレート31の摩耗を防止する。
【0026】
図1でハッチングを付された溶岩プレート21は、枠体11の枠部15よりもやや小さな正方形であり、枠体11の上面に載置される。具体的には、発熱プレート31に支持される。また、溶岩プレート21は、リブ17を覆い、相対的に低いリブ17と相対的に高い枠部15の段差によって枠体11の中央に位置決めされる。なお溶岩プレート21は相対的に低い凹部16と相対的に高い枠部15の段差によっても枠体11の中央に位置決めされる。
【0027】
溶岩プレート21の下面は発熱プレート31の上面に面接触するため、溶岩プレート21は熱伝導により加熱される。溶岩プレート21は発熱プレート31によって加熱され、両者は略同じ温度になる。溶岩プレート21は、90〜250℃の範囲で任意の設定温度に保持される。
【0028】
枠体11の外縁は溶岩プレート21の外縁よりも大きく、枠体11の中央孔12は溶岩プレート21の外縁よりも小さい。これにより、肉片の調理時に溶岩プレート21の外縁から油脂が垂れ落ちても、凹部16に油脂が貯留される。したがって、IH調理器のトッププレートTが油脂で汚れることがない。
【0029】
断熱プレート41は、発熱プレート31とトッププレートTの間に介在し、トッププレートTを高温から保護する。また断熱プレート41は、トッププレートTの下方に配置されるIH調理器のコイルを高温から保護するIH調理器の安全センサが、高頻度で作動することを防止する。さらに断熱プレート41によって、IH調理器の出力が安定する。
【0030】
なお別な実施例として、断熱プレート41を中央孔12に設けることなく、中央孔12を何も存在しない空所にしてもよい。かかる別な実施例においても、中央孔12が画成する空所と、脚部19が枠体11をトッププレートTから離隔させることによって、トッププレートTを高温の発熱プレート31から保護する効果が期待される。
【0031】
図7に示すように、本実施例の断熱プレート41は枠体11と係合せず、枠体11を持ち上げると、溶岩プレート21および発熱プレート31もともに持ち上がるが、断熱プレート41は元の位置に取り残される。断熱プレート41もともに持ち上がる変形例を
図8および
図9に示す。
図7および
図8は枠体の中央孔の周囲を拡大して示す断面図である。
図9は変形例を示す平面図である。
図8および
図9に示す変形例では、枠体11はその内縁に、断熱プレート41と係合して断熱プレート41を下方から支持する係合部20を有する。
【0032】
係合部20は、周方向に間隔を空けて複数箇所(この変形例では4箇所)設けられて内径方向に延びる腕状部分であって、腕状部分の先端に形成される爪部20nを含む。係合部20の上下方向厚みは枠体11の内縁の上下方向厚みと略同じである。これに対し、爪部20nの上下方向厚みは係合部20の上下方向厚みよりも小さい。また爪部20nは枠体11の下面11nと連続する。係合部20は、中央孔12に収容された断熱プレート41の外縁と係合して、断熱プレート41を下方から支持する。
【0033】
ところで本実施例の調理用プレート10によれば、中央孔12を有する枠体11と、電磁誘導により発熱する素材からなり中央孔12を覆うように枠体11の上に載置される発熱プレート31と、発熱プレート31の上に載置される溶岩プレート21とを備える。したがって第1に、溶岩プレート21を枠体11で支持することができ、溶岩プレート21を割れや欠けから保護することができる。第2に枠体11を持って熱くなった溶岩プレート21を運搬することができる。第3に、溶岩プレート21で焼肉の調理中に溶岩プレート21に載せられた肉片から油脂が滲み出て、溶岩プレート21の外縁から垂れ落ちてしまっても、油脂など被調理物の汁を枠体11の凹部16で受け止めて、油脂を凹部16に貯留することができる。第4に、溶岩プレート21および発熱プレート31がIH調理器のトッププレートTから離隔され、発熱プレート31の熱がトッププレートに直接伝導しない。
【0034】
これにより、トッププレートTを高熱から保護することができる。また、枠体11、溶岩プレート21、発熱プレート31、および断熱プレート41を容易に分解・組立することが可能であり、清掃が容易になる。
【0035】
発熱プレート31はカーボン(黒鉛)を主成分とする押出材であって、表面コート処理される。あるいは発熱プレート31はカーボン(黒鉛)を主成分とするCIP(Cold Isostatic Press)材であってもよい。
【0036】
また本実施例によれば、中央孔12に収容される断熱プレート41をさらに備えることから、発熱プレート31の熱がIH調理器のトッププレートTに伝わることを効果的に抑制して、トッププレートTの下に内蔵されるIH調理器のコイルを高温から保護することができる。
【0037】
また本実施例によれば、枠体11は発熱プレート31を枠体11の中央に位置決めする突起としてリブ17を有することから、発熱プレート31が枠体11の中央からずれることがない。
【0038】
また本実施例によれば、枠体11は下方に突出する脚部19を有することから、枠体11の下面11nをIH調理器のトッププレートTから離隔させることができ、トッププレートTを調理用プレート10の熱から保護することがでる。
【0039】
また本実施例によれば、枠体11は枠体の上面に形成された凹部16を有する。凹部16は溶岩プレート21の外縁に沿って延びることから、溶岩プレート21上の被調理物から滲み出て垂れ落ちる被調理物の汁を受け止めて凹部16に貯留することができる。したがって、溶岩プレート21の上から肉汁や野菜汁が垂れる場合であっても、IH調理器のトッププレートTが肉汁や野菜汁で汚れることがない。
【0040】
あるいは
図8に示す変形例によれば、枠体11は断熱プレート41と係合して、断熱プレート41を下方から支持する係合部20を有することから、断熱プレート41を枠体11とともに運搬することができる。
【0041】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明になる調理用プレートは、IH調理器によって加熱される調理用器具として有利に利用される。
【符号の説明】
【0043】
10 調理用プレート、11 枠体、12 中央孔、13 内側突条、14 外側突条、15 枠部、16 凹部、17 リブ、18 持ち手、19 脚部、20 係合部、21 溶岩プレート、31 発熱プレート、41 断熱プレート。