(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192263
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】電気自動車用モータ制御方法
(51)【国際特許分類】
B60L 15/20 20060101AFI20170828BHJP
H02P 21/00 20160101ALI20170828BHJP
H02P 27/04 20160101ALI20170828BHJP
【FI】
B60L15/20 JZHV
H02P21/00
H02P27/04
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-146680(P2012-146680)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2013-121314(P2013-121314A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2015年5月21日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0130550
(32)【優先日】2011年12月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 成 奎
(72)【発明者】
【氏名】崔 遠 景
(72)【発明者】
【氏名】郭 武 信
(72)【発明者】
【氏名】べ 秀 ヒョン
【審査官】
清水 康
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−107772(JP,A)
【文献】
特開2009−290929(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0055363(US,A1)
【文献】
特開2009−124811(JP,A)
【文献】
特開2003−033097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 15/42
H02P 21/00
H02P 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに駆動電源を提供するバッテリの出力電圧と前記モータの速度およびトルクが入力される段階、
前記バッテリの出力電圧と前記モータの速度およびトルクを利用して磁束基盤電流制御命令マップを生成する段階、および
前記磁束基盤電流制御命令マップを利用して電流制御命令を生成する段階、を含む電気自動車用モータ制御方法であって、
前記バッテリの出力電圧(Vdc)と前記モータの速度(ωr)から運転点比率(1/λmax)を生成し、前記モータの速度およびトルクを利用してトルク制御命令を生成する段階をさらに含み、
前記運転点比率と前記トルク制御命令を利用して磁束基盤電流制御命令マップを生成することを特徴とする電気自動車用モータ制御方法。
【請求項2】
前記電流制御命令から電圧制御命令を生成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電気自動車用モータ制御方法。
【請求項3】
前記バッテリ
の出力電圧(Vdc)と前記モータの速度(ωr)および前記運転点比率(1/λmax)は、下記数1の関係を有することを特徴とする請求項2に記載の電気自動車用モータ制御方法。
【数1】
(前記数1において、前記λdはd軸鎖交磁束であり、前記λqはq軸鎖交磁束であり、前記λmaxはVdcとωrの比率である。)
【請求項4】
電圧利用率制御器において、前記電圧制御命令をフィードバックして前記運転点比率(1/λmax)生成に反映する段階を含むことを特徴とする請求項2に記載の電気自動車用モータ制御方法。
【請求項5】
前記電圧利用率制御器は、d軸電圧制御命令とq軸電圧制御命令からフィードバック値(Vd、q_ref)を受信し、これを反映して電圧利用率が1となるように前記運転点比率(1/λmax)を変更することを特徴とする請求項4に記載の電気自動車用モータ制御方法。
【請求項6】
前記電圧制御命令から相電圧制御命令を生成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の電気自動車用モータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車用モータ制御方法に係り、より詳しくは、バッテリ電圧が変化しても基本的な制御安定性が維持され、制御の確実性および正確度を向上させた電気自動車用モータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(electric vehicle)は、バッテリの電源を利用することによって走行が可能な自動車であって、バッテリだけの電源を利用して走行する純粋電気自動車(pure electric vehicle)、内燃機関エンジン(internal combustion engine)とバッテリ電源を共に使用するハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle)などを含む。
ハイブリッド自動車などの電気自動車の駆動モータには、比較的に高い効率と単位体積あたりの高いトルクを得ることができる埋込構造永久磁石同期電動機(IPMSM:Interior Permanent Magnet Synchronous Machine)が使用される。
【0003】
多くの場合、埋込構造永久磁石同期電動機のトルク制御のために、一定のバッテリ出力電圧(インバータ入力電圧)条件で試験を通じて構築された速度基盤電流制御命令マップを適用する。このような速度基盤電流マップを構築するためには、速度およびトルク制御命令別に多数の試験データを確保しなければならないため、開発に多くの時間が費やされる。また、車両において、バッテリ電圧が電流マッピング基準電圧よりも小さいときには電圧が不足して電流制御が不安定になり、電流マッピング基準電圧よりも高い場合にはシステム効率を極大化できないという問題があり、付加的なアルゴリズムを適用して問題を改善しなければならない(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
図6は、従来の技術に係る速度基盤電流制御命令決定方法の概念図である。
使用する三相交流電動機は、三相の電圧と電流が印加される。この三相の変数を変換してd、q、0軸からなる直交座標系上の変数に変換することを座標変換と言い、通常は交流機のモデリングまたは解釈時にこの方式が採用される。
図6に示したとおり、従来の電流制御命令決定方法は、予め決定されたテーブルを使用してトルク制御命令とモータ速度に該当するd軸電流制御命令(i
r*ds)とq軸電流制御命令(i
r*qs)を決定する。
この方法は、安定したトルク制御が可能であるという長所があるが、次のような短所があり、付加的なアルゴリズムが必要となる。すなわち、トルク制御命令とモータ速度だけを電流制御命令生成器の入力とするため、バッテリ電圧が変動する場合には電圧変動分に対して対処することができず、モータシステムを効率的に利用することができない。また、これを防止するために、バッテリ出力電圧が不足する場合には電圧利用率制限ロジックが必要となり、バッテリ出力電圧に余裕がある場合には電圧変動補償ロジックのような追加のアルゴリズムが必要となる。
【0005】
さらに、電流制御命令生成のためにすべての速度でスイープデータを確保しなければならず、また、制御安定性と出力向上の相反する課題を抱えるという短所がある。
速度基盤電流制御命令マップ方式も、バッテリ電圧変動を反映するロジック(電圧変動補償ロジック)が追加されており、制限的にバッテリ電圧変動を反映する。しかし、この方法はオフ−ライン制御構造であり、バッテリ電圧変動時に電流制御命令マップ入力値にモータ速度値を変化させる間接的な方法であるため、実際には車両状態を100%反映することができず、電圧変動を反映することに限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−098600号公報
【特許文献2】特開2000−166009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、バッテリ電圧が変化しても基本的な制御安定性が維持され、制御の確実性および正確度を向上させた電気自動車用モータ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の電気自動車用モータ制御方法は、モータに駆動電源を提供するバッテリの出力電圧と前記モータの速度およびトルクが入力される段階、前記バッテリの出力電圧と前記モータの速度およびトルクを利用して磁束基盤電流制御命令マップを生成する段階、および前記磁束基盤電流制御命令マップを利用して電流制御命令を生成する段階、を含む電気自動車用モータ制御方法であって、前記バッテリ
の出力電圧(Vdc)と前記モータの速度(ωr)から運転点比率(1/λmax)を生成し、前記モータの速度およびトルクを利用してトルク制御命令を生成する段階をさらに含み、前記運転点比率と前記トルク制御命令を利用して磁束基盤電流制御命令マップを生成することを特徴とする。
【0009】
電流制御命令から電圧制御命令を生成する段階をさらに含むことを特徴とする。
バッテリ
の出力電圧(Vdc)とモータの速度(ωr)および運転点比率(1/λmax)は、数1の関係を有することを特徴とする。
【数1】
(数1において、λdはd軸鎖交磁束であり、λqはq軸鎖交磁束であり、λmaxはVdcとωrの比率である。)
【0010】
電圧利用率制御器において、電圧制御命令をフィードバックして運転点比率(1/λ
max)生成に反映する段階を含むことを特徴とする。
電圧利用率制御器は、d軸電圧制御命令とq軸電圧制御命令からフィードバック値(V
d、q_ref)を受信し、これを反映して電圧利用率が1となるように運転点比率(1/λ
max)を変更することを特徴とする。
電圧制御命令から相電圧制御命令を生成する段階をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気自動車用モータ制御方法によれば、既存の速度基盤電流制御命令マップの場合とは異なり自動抽出方式によってマップが生成されるため、マップ生成期間が短縮され、マップ内部にバッテリ出力電圧の変動が既に反映されている構成であるため、バッテリ電圧が変化しても基本的な制御安定性が維持される効果がある。
また、モータパラメータ分布およびモデル自体の誤差によって発生し得る限界を克服するために、閉ループ方式の電圧利用率(Modulation Index)制御段階を適用することにより、制御の確実性および正確度を向上させることができる効果がある。
さらに、少数運転点のトルク制御命令補償テーブルを適用することにより、モデル基盤制御の誤差を最小化し、一つの駆動マップだけで4相の運転が可能となる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る電気自動車用モータ制御システムの構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電気自動車用モータ制御方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態に係る電気自動車用モータ制御方法のブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る電気自動車用モータ制御方法の実験グラフである。
【
図5】従来の技術に係るモータ制御方法の実験グラフである。
【
図6】従来の技術に係るモータ制御方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を基に詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電気自動車用モータ制御システムの構成図である。
図2は、本発明の実施形態に係る電気自動車用モータ制御方法のフローチャートである。
図3は、本発明の実施形態に係る電気自動車用モータ制御方法のブロック図である。
図1〜
図3に示したとおり、本発明の実施形態に係る電気自動車用モータ制御方法は、モータに駆動電源を提供するバッテリの出力電圧とモータの速度およびトルクが入力される段階(S10)と、バッテリ出力電圧とモータ速度の比率である運転点比率(1/λ
max)を生成し、モータの速度およびトルクを利用してトルク制御命令(T
*e)を生成する段階(S20)と、バッテリ出力電圧とモータの速度およびトルクを利用して磁束基盤電流制御命令マップを生成する段階(S30)と、磁束基盤電流制御命令マップを利用して電流制御命令を生成する段階(S40)と、電流制御命令から電圧制御命令を生成する段階(S50)と、電圧利用率制御器で電圧制御命令をフィードバックして運転点比率(1/λ
max)生成に反映する段階(S60)と、電圧制御命令から相電圧制御命令を生成する段階(S70)とを含む。
【0014】
本発明の実施形態に係る電気自動車用モータ制御方法に適用されるモータ駆動システムは、インバータ10、バッテリ(図示せず)、およびモータ(図示せず)などを含んで構成される。
バッテリはメイン動力源であって、電気自動車に適用されるモータに駆動電源を供給する。
インバータ10は、一般的に複数のIGBT(Insulated Gate bipolar Transistor)スイッチ素子で構成され、PWM(Pulse Width Modulation)信号によるスイッチングによってバッテリから供給されるDC電圧を変換させ、モータ駆動のための相電圧として供給する。
インバータ10は、モータ制御器(Motor Control Unit)10の役割を行い、HCU(Hybrid Control Unit)100から印加されるモータの動き制御の信号とBMS(Battery Management System)200から印加されるバッテリの状態情報、TCU(Torque Control Unit)300から印加されるモータの動きトルク制御信号により、モータの動きを制御するためのPWM信号を出力して動作を制御する。
【0015】
図2、
図3に示したとおり、本発明の実施形態に係る電気自動車用モータ制御方法の場合、電圧利用率制御器400からモータの速度(ω
r)とトルク(T)およびモータに駆動電源を提供するバッテリの出力電圧(V
dc)が入力される(S10)。
また、トルク制御器300では、入力されたモータの速度とトルク情報からトルク制御命令(T
*e)を生成し、電圧利用率制御器400は、バッテリ出力電圧(V
dc)とモータの速度(ω
r)から運転点比率(1/λ
max)を生成する(S20)。運転点比率(1/λ
max)は最大磁束(λ
max)の逆数で定義されるものであって、本発明は磁束に基づいて電流制御を行う。
その後、上記のとおり生成されたトルク制御命令(T
*e)と運転点比率(1/λ
max)を利用し、電流制御部500で磁束基盤電流制御命令マップを生成する(S30)。従来の技術では、モータの速度とトルクの2種類の変数だけで電流制御命令マップを生成していたが、本発明では、電流制御部500からモータの速度(ω
r)とトルク(T)およびバッテリ出力電圧(V
dc)という3つの変数が入力され、これを利用して電流制御命令マップを生成する。
ここで、バッテリ出力電圧(V
dc)とモータの速度(ω
r)および運転点比率(1/λ
max)は,数1の関係を有している。
【0016】
【数1】
数1において、λ
dはd軸鎖交磁束(magnetic flux interlinkage)であり、λ
qはq軸鎖交磁束であり、λ
maxはV
dcとω
rの比率であり、最大磁束を意味する。数1の左辺はλ
magと定義し、モータ内部の鎖交磁束の大きさとなる。
【0017】
数1は、数2と数3から導き出される。
【数2】
【数3】
数2および数3において、v
dとv
qはそれぞれd軸電圧とq軸電圧であり、i
dとi
qはそれぞれd軸電流とq軸電流である。また、R
sは固定子相抵抗、λ
dとλ
qはそれぞれd軸鎖交磁束とq軸鎖交磁束を示す。ω
rとV
dcはそれぞれ電気角速度とバッテリ出力電圧を示す。
λ
d=L
di
d+λ
PM、λ
q=L
qi
qで表現してもよい。ここで、L
dはd軸インダクタンスであり、L
qはq軸インダクタンスであり、λ
PMは永久磁石の磁束の大きさである。
【0018】
数2の電圧方程式において、相抵抗成分と正常状態で電流変化率を考慮しなくなれば数3となり、数3を電圧制限式に代入すれば数1が導き出される。
1つまたは多数の実施形態において、磁束基盤電流制御命令マップは、数1を満たすi
d、i
q領域とトルク関係を利用して生成される。
1つまたは多数の実施形態において、モータを一定速度に制御した状態で、電流の大きさと角度によってd軸とq軸の電圧およびトルクを測定する。このデータを利用することにより、運転点のトルクおよび運転点比率(1/λ
max)が求められる。
また、電流制御部500は、マップ抽出ツールなどを用いることにより、各運転点比率(1/λ
max)による数1を満たすi
d、i
q領域を抽出する。抽出された各トルク曲線が接するi
d、i
q値のうちで最小の電流大きさを有するi
d、i
q値を電流制御命令生成器のテーブル値として用いる。このような過程を通じて自動的にマップを抽出し、磁束基盤電流制御命令マップを生成する。
また、電流制御部500において、磁束基盤電流制御命令マップを利用して電流制御命令を生成する(S40)。具体的に、電流制御命令は、
図3に示したとおり、d軸電流制御命令(i
r*ds)とq軸電流制御命令(i
r*qs)に分けて生成される。
【0019】
したがって、バッテリの出力電圧が電流制御命令マップ入力に反映されるため、車両の状態をリアルタイムで反映してトルク制御を実施することができ、これによって最適な電流制御命令値が生成される。
d軸電流制御命令(i
r*ds)とq軸電流制御命令(i
r*qs)がPI制御器(Proportional−Integral controller)600を経てd軸電圧制御命令(v
r*ds)とq軸電圧制御命令(v
r*qs)として生成される(S50)。
一方、
図3に示すように、d軸電圧制御命令(v
r*ds)とq軸電圧制御命令(v
r*qs)は、フィードバック(Feedback)して電圧利用率制御器400に送信される。
電圧利用率制御器400は、d軸電圧制御命令とq軸電圧制御命令からフィードバック値(V
d、q_ref)を受信し、これを反映して電圧利用率が1となるように運転点比率(1/λ
max)を変更する(S60)。
電圧利用率制御器400は、閉回路(Full−Closed Loop)制御方式により、制御対象モータの特性が反映されたV
d、q_ref値がフィードバックされて電圧利用率が1となるように運転点比率(1/λ
max)を変更する。これにより、電圧利用率が常に1となるため、電流制御性が安定化する。
【0020】
また、
図1〜
図3に示したとおり、相電圧制御部700で生成されたd軸電圧制御命令(v
r*ds)とq軸電圧制御命令(v
r*qs)を受信し、これを利用してモータ駆動のための相電圧制御命令を生成する(S70)。
図4は、本発明の実施形態に係る電気自動車モータ制御方法を適用して実験したグラフである。
図5は、従来の技術に係るモータ制御方法を適用して実験したグラフである。
図5に示したとおり、従来の技術に係るモータ制御方法を適用した場合、バッテリの出力電圧(V
dc)の変動時に電流制御命令に変動がなく、電流制御命令の制御が不可能になる。また、インバータ入力電圧の変動時に、電圧利用率の維持も不可能になる。
しかし、本発明の実施形態に係る電気自動車モータ制御方法の場合、
図4に示したとおり、バッテリの出力電圧(V
dc)が変われば、電流制御命令マップ入力値の運転点比率(1/λ
max)、すなわち、V
dcとω
rの比率が変わるため、最適な電流制御命令を出すことができ、電流制御命令の制御も可能になる。したがって、運転点ごとに最適な電流制御命令および制御が可能となるため、モータシステムの効率が向上する。
【0021】
上記のとおり、本発明の実施形態に係る電気自動車用モータ制御方法によれば、既存の速度基盤電流制御命令マップの場合とは異なり自動抽出方式によってマップが生成されるため、マップ生成期間が短縮し、マップ内部にバッテリ出力電圧の変動が既に反映されている構成のため、バッテリ電圧が変化しても基本的な制御安定性が維持される。さらに、モータパラメータ散布およびモデル自体の誤差によって発生し得る限界を克服するために、閉ループ方式の電圧利用率(Modulation Index)制御段階(S60)を適用することにより、制御強健性および正確度を向上させる。
また、少数運転点のトルク制御命令補償テーブルを適用することにより、モデル基盤制御の極小の誤差を最小化し、一つの駆動マップだけで4相の運転が可能となる。
【0022】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明の範囲は特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって解釈されなければならない。また、この技術分野で通常の知識を有する者なら、本発明の技術的範囲内で多くの修正と変形ができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0023】
10 インバータ
100 HCU(Hybrid Control Unit)
200 BMS(Battery Management System)
300 TCU(Torque Control Unit)、トルク制御器
400 電圧利用率制御器
500 電流制御部
600 PI制御器(Proportional−Integral controller)
700 相電圧制御部
λ
max 最大磁束
1/λ
max 運転点比率
ω
r モータの速度
i
r*ds d軸電流制御命令
i
r*qs q軸電流制御命令
T トルク
T
*e トルク制御命令
V
d、q_ref フィードバック値
V
DC, V
dc バッテリの出力電圧
v
r*ds d軸電圧制御命令
v
r*qs q軸電圧制御命令