特許第6192281号(P6192281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6192281発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192281
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20170828BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20170828BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20170828BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20170828BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   B32B27/18 Z
   B32B27/20 A
   B32B17/10
   B32B27/30 102
   C03C27/12 D
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-218737(P2012-218737)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-24312(P2014-24312A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年6月1日
(31)【優先権主張番号】特願2011-271637(P2011-271637)
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-137102(P2012-137102)
(32)【優先日】2012年6月18日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 大輔
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 康之
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】深谷 重一
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/042384(WO,A1)
【文献】 特開2001−226152(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0120916(US,A1)
【文献】 特開2011−011932(JP,A)
【文献】 特開2003−201155(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/087680(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/132777(WO,A1)
【文献】 特表2013−538172(JP,A)
【文献】 特表2013−539741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00〜 43/00
C08K 3/00〜 13/08
C08L 1/00〜101/14
C03C27/00〜 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂と、発光粒子、発光顔料及び発光染料からなる群より選択される少なくとも一種の発光材料と、分散剤とを含有する発光層を有し、
前記発光層は、バインダー樹脂100重量部に対して0.005〜5重量部の発光材料を含有し、発光材料100重量部に対して1〜50重量部の分散剤を含有する
ことを特徴とする発光シート。
【請求項2】
分散剤は、高分子量分散剤であることを特徴とする請求項1記載の発光シート。
【請求項3】
バインダー樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の発光シート。
【請求項4】
発光層は、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の発光シート。
【請求項5】
発光層の一方の面に、バインダー樹脂を含有する第1の樹脂層が配置されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の発光シート。
【請求項6】
発光層の第1の樹脂層が配置されている面とは反対側の面に、バインダー樹脂を含有する第2の樹脂層が配置されていることを特徴とする請求項5記載の発光シート。
【請求項7】
発光層、第1の樹脂層及び第2の樹脂層は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤を含有するものであり、前記発光層中のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量が、前記第1の樹脂層及び前記第2の樹脂層中のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量よりも多いことを特徴とする請求項6記載の発光シート。
【請求項8】
第1の樹脂層及び第2の樹脂層は紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項6又は7記載の発光シート。
【請求項9】
第1の樹脂層及び第2の樹脂層は、接着力調整剤を含有することを特徴とする請求項6、7又は8記載の発光シート。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の発光シートを含むことを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項11】
請求項10記載の合わせガラス用中間膜が、一対のガラス板の間に挟み込まれていることを特徴とする合わせガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材料自身が発光することにより、高いコントラストで画像を表示することができる発光シート、該発光シートを含む合わせガラス用中間膜、合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片が飛散することが少なく安全であるため、自動車等の車両のフロントガラス、サイドガラス、リアガラスや、航空機、建築物等の窓ガラス等として広く使用されている。合わせガラスとして、少なくとも一対のガラス間に、例えば、液状可塑剤とポリビニルブチラール樹脂とを含む合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させた合わせガラス等が挙げられる。
【0003】
近年、自動車用のフロントガラスについて、このフロントガラスと同じ視野内に自動車走行データである速度情報等の計器表示をヘッドアップディスプレイ(HUD)として表示させようとする要望が高まっている。
HUDとしては、これまでに数々の形態が開発されている。最も一般的なHUDとしてコントロールユニットから送信される速度情報等をインストゥルメンタル・パネルの表示ユニットからフロントガラスに反射させることにより、運転者がフロントガラスと同じ位置、すなわち、同一視野内で速度情報等を視認できるHUDがある。
HUD用の合わせガラス用中間膜として、例えば特許文献1には、所定の楔角を有する楔形合わせガラス用中間膜等が提案されており、合わせガラスにおいて計器表示が二重に見えるというHUDの欠点を解決することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平4−502525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HUDの原理によれば、合わせガラスをスクリーンとして、コントロールユニットから送信される画像を映し出すことができる。この原理上、映し出される画像のコントラストには限界があるという問題がある。とりわけ、高い透明性が要求される車両のフロントガラスの場合には画像のコントラストが低く、外部から強い光線が照射されたときにはほとんど画像を視認できなくなることがあるという問題がある。
本発明は、シート材料自身が発光することにより、高いコントラストで画像を表示することができる発光シート、該発光シートを含む合わせガラス用中間膜、合わせガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、バインダー樹脂と、発光粒子、発光顔料及び発光染料からなる群より選択される少なくとも一種の発光材料とを含有する発光層を有する発光シートである。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
発光粒子、発光顔料、発光染料等の発光材料は、特定の波長の光を照射することにより発光する性質を有する。本発明者は、鋭意検討の結果、バインダー樹脂中に発光粒子、発光顔料及び発光染料からなる群より選択される少なくとも一種の発光材料を配合することにより、特定の波長の光を照射することにより発光する発光シートが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明の発光シートは、バインダー樹脂と、発光材料とを含有する発光層を有する。
上記バインダー樹脂は特に限定されず、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、硫黄元素を含有するポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。なかでも、可塑剤と併用した場合に、ガラスに対して優れた接着性を発揮する合わせガラス用中間膜が得られることから、ポリビニルアセタール樹脂が好適である。
【0009】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂であれば特に限定されないが、ポリビニルブチラール樹脂が好適である。また、必要に応じて2種以上のポリビニルアセタール樹脂を併用してもよい。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度の好ましい下限は40モル%、好ましい上限は85モル%であり、より好ましい下限は60モル%、より好ましい上限は75モル%である。
【0010】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量の好ましい下限が15モル%、好ましい上限が35モル%である。水酸基量が15モル%以上であると、本発明の発光シートを合わせガラス用中間膜として用いた場合に、合わせガラス用中間膜とガラスとの接着性が高くなる。水酸基量が35モル%以下であると、得られる合わせガラス用中間膜の取り扱いが容易になる。
なお、上記アセタール化度及び水酸基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0011】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化することにより調製することができる。
上記ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度70〜99.8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。上記ポリビニルアルコールの鹸化度は、80〜99.8モル%であることが好ましい。
上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は500、好ましい上限は4000である。上記ポリビニルアルコールの重合度が500以上であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記ポリビニルアルコールの重合度が4000以下であると、合わせガラス用中間膜の成形が容易になる。上記ポリビニルアルコールの重合度のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は3600である。
【0012】
上記アルデヒドは特に限定されないが、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドは特に限定されず、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。これらのアルデヒドは単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
上記発光材料は、発光粒子、発光顔料及び発光染料からなる群より選択される少なくとも一種である。
上記発光粒子及び上記発光顔料は、例えば、YS:Eu、BaMgAl1627:Eu,Mn、(SrCaBaMg)(POCl:Eu、BaMgAl1627:Eu、BaMgAl1627:Eu,Mn、Sr(POCl:Eu、LaPO:Ce,Tb、MgAl1119:Ce,Tb、Y:Eu、Y(PV)O:Eu、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn、Ca10(POFCl:Sb,Mn、Sr10(POFCl:Sb,Mn、(SrMg):Eu、Sr:Eu、CaWO、CaWO:Pb、MgWO、(BaCa)(POCl:Eu、SrAl1425:Eu、ZnSiO:Mn等で示される蛍光体やそれらからなる複合体や、ZnS粒子、GaSe粒子、SiC粒子、CdTe粒子等の粒子型等が挙げられる。
【0014】
上記発光染料は、例えば、(カルバゾール−ナフタルイミド)系染料、(アセトニトリル−トリフェニレンアミン)系染料、アリールスルホネートシアニン染料、ペリレン系染料、クマリン系染料、トリス(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオネート−O,O’)ビス(トリフェニルフォスフィンオキシド−O−)ユーロピウム等が挙げられる。
【0015】
上記発光染料としては、なかでも、ナフタルイミド骨格を有する化合物、又は、クマリン骨格を有する化合物が好適である。ナフタルイミド骨格を有する化合物、クマリン骨格を有する化合物はバインダー樹脂として用いる熱可塑性樹脂に対する親和性が高いことから、バインダー樹脂中に均一に分散させることが可能となり、透明性が高く、ヘイズが低い発光シートを得ることができる。また、ナフタルイミド骨格を有する化合物、クマリン骨格を有する化合物は、紫外線に対する耐久性にも極めて優れることから、これを用いた発光シートは、優れた耐光性を発揮することができる。
【0016】
上記ナフタルイミド骨格を有する化合物は、具体的には例えば、4−ブロモ−1,8−ナフタルイミド、4−アミノ−1,8−ナフタルイミド、4−メトキシ−N−メチルナフタル酸イミド、ナフタルイミド、4−アミノナフタルイミド、N−メチル−4−アミノナフタルイミド、N−エチル−4−アミノナフタルイミド、N−プロピル−4−アミノナフタルイミド、N−n−ブチル−4−アミノナフタルイミド、4−アセチルアミノナフタルイミド、N−メチル−4−アセチルアミノナフタルイミド、N−エチル−4−アセチルアミノナフタルイミド、N−プロピル−4−アセチルアミノナフタルイミド、N−n−ブチル−4−アセチルアミノナフタルイミド、N−メチル−4−メトキシナフタルイミド、N−エチル−4−メトキシナフタルイミド、N−プロピル−4−メトキシナフタルイミド、N−n−ブチル−4−メトキシナフタルイミド、N−メチル−4−エトキシナフタルイミド、N−エチル−4−エトキシナフタルイミド、N−プロピル−4−エトキシナフタルイミド、N−n−ブチル−4−エトキシナフタルイミド、Lumogen F Violet570(商品名、BASFジャパン社製)、Lumogen F Blue650(商品名、BASFジャパン社製)等が挙げられる。
【0017】
上記クマリン骨格を有する化合物は、具体的には例えば、クマリン環7位に電子供与性置換基を有する誘導体が挙げられる。より具体的には、クマリン環7位にアミノ基を持つことを特徴とする誘導体である3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)や、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)等のクマリン系色素、ベーシックイエロー51等のクマリン色素系染料、また、クマリン環7位にヒドロキシ基を持つことを特徴とする7−ヒドロキシクマリン、3−シアノ−7−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジメチルアミノシクロペンタ[c]−クマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−8−メチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−シアノ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−カルボ−t−ブトキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、7−エチルアミノ−6−メチル−4−トリフルオロメチルクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−カルボエトキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、7−ジエチルアミノ−3−(1−メチルベンズイミダゾリル)クマリン、7−ジメチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−カルボキシ[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−9−アセチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、3−(2−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン、1,2,4,5,3H,6H,10H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチル[1]ベンゾピラノ[9,9a,1−gH]キノリジン−10−オン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、2,3,6,7−テトラヒドロ−9−(トリフルオロメチル)−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン、7−アミノ−4−メチルクマリン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン等が挙げられる。
【0018】
上記発光材料は1種のみを用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。発する光の波長の異なる複数の発光材料を組み合わせることにより、単色の情報だけではなく、種々の色を組み合わせた情報を表示することができる。特に、赤・緑・青の三色の光を発生する発光材料を組み合わせ、照射する波長制御から蛍光波長を制御することで、カラーでの情報表示も可能になる。
【0019】
上記発光層中における上記発光材料の含有量は、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限が0.005重量部、好ましい上限が5重量部である。充分な発光を得るためには、一定以上の発光材料を配合する必要があるが、一方で大量の発光材料は配合すると、かえって発光性が低下することがある。これは、励起された発光材料の相互作用により、吸収されたエネルギーが光を放射しない非輻射過程へ遷移して、発光強度がかえって減少してしまうという、濃度消光現象が起こるためと考えられる。上記発光材料の含有量がこの範囲内であると、特定の波長の光を照射したときに充分にコントラストの高い発光が得られる。上記発光材料の含有量のより好ましい下限は0.01重量部、より好ましい上限は3重量部であり、更に好ましい下限は0.05重量部、更に好ましい上限は1重量部である。
【0020】
上記発光シートにおける上記発光材料の含有量は、上記発光層100重量%中、好ましい下限が0.005重量%、好ましい上限が5重量%である。上記発光材料の含有量が0.005重量%以上であると、より一層高いコントラストで画像を表示できる発光シートを得ることができる。上記発光材料の含有量が5重量%以下であると、より一層高い透明性を有する発光シートを得ることができる。上記発光材料の含有量のより好ましい下限は0.01重量%、より好ましい上限は3重量%、更に好ましい下限は0.02重量%、更に好ましい上限は1重量%である。
【0021】
上記発光層は、更に分散剤を含有することが好ましい。分散剤を含有することにより、発光材料を上記発光層中に微分散させることができ、より均一な発光が可能になる。
上記分散剤は、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸構造を有する化合物や、ジエステル化合物、リシノール酸アルキルエステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、リン酸エステル等のエステル構造を有する化合物や、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールやアルキルフェニル−ポリオキシエチレン−エーテル等のエーテル構造を有する化合物や、ポリカルボン酸等のカルボン酸構造を有する化合物や、ラウリルアミン、ジメチルラウリルアミン、オレイルプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンの2級アミン、ポリオキシエチレンの3級アミン、ポリオキシエチレンのジアミン等のアミン構造を有する化合物や、ポリアルキレンポリアミンアルキレンオキシド等のポリアミン構造を有する化合物や、オレイン酸ジエタノールアミド、アルカノール脂肪酸アミド等のアミド構造を有する化合物や、ポリビニルピロリドン、ポリエステル酸アマイドアミン塩等の高分子量型アミド構造を有する化合物等や、トリエトキシプロピルイソシアネートシラン、トリエトキシブチルシラン等のアルキル基を有するシラン構造を有する化合物や、トリエトキシプロピルアクリロキシシラン等のアクリロキシ基を有するシラン構造を有する化合物や、トリエトキシプロピルビニルシラン等のビニル基を有するシラン構造を有する化合物や、エポキシ基やリン酸基、カルボキシル基、メルカプト基等の側鎖を有する高分子量体であるポリシロキサン構造を有する化合物や、イソシアネート等のイソシアネート基を有する化合物や、イソシアヌレート等のイソシアヌレート基を有する化合物等の従来公知の分散剤を用いることができる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(塩)や高分子ポリカルボン酸、縮合リシノール酸エステル等の高分子量分散剤を用いてもよい。なお、高分子量分散剤とは、その分子量が1万以上である分散剤と定義される。
【0022】
上記分散剤を配合する場合に、上記発光層中における発光材料100重量部に対する上記分散剤の配合量の好ましい下限は1重量部、好ましい上限は50重量部である。上記分散剤の配合量がこの範囲内であると、上記発光材料を発光層中に均一に分散させることができる。上記分散剤の配合量のより好ましい下限は3重量部、より好ましい上限は30重量部であり、更に好ましい下限は5重量部、更に好ましい上限は25重量部である。
【0023】
上記発光層は、更に、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。上記発光材料は、長期間の紫外線の照射によって劣化して発光性能が低下する傾向がある。上記発光層が紫外線吸収剤を含有することにより、紫外線による発光材料の劣化を抑制することができる。
なお、上記発光層は紫外線吸収剤を含有していなくともよい。より一層高いコントラストで画像を表示できる発光シートが得られることから、上記発光層中における上記紫外線吸収剤の含有量は、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい上限は1重量部、より好ましい上限は0.5重量部、更に好ましい上限は0.2重量部、特に好ましい上限は0.1重量部、好ましい下限は0.01重量部、より好ましい下限は0.05重量部である。
【0024】
上記紫外線吸収剤は、例えば、マロン酸エステル構造を有する化合物、シュウ酸アニリド構造を有する化合物、ベンゾトリアゾール構造を有する化合物、ベンゾフェノン構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、ベンゾエート構造を有する化合物、ヒンダードアミン構造を有する化合物等の従来公知の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0025】
上記発光層は、必要に応じて、更に可塑剤を含有してもよい。
上記可塑剤は特に限定されず、例えば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、有機リン酸可塑剤、有機亜リン酸可塑剤等のリン酸可塑剤等が挙げられる。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0026】
上記一塩基性有機酸エステルは特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。なかでも、トリエチレングリコールジカプロン酸エステル、トリエチレングリコールジ−2−エチル酪酸エステル、トリエチレングリコールジ−n−オクチル酸エステル、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキシル酸エステル等が好適である。
【0027】
上記多塩基性有機酸エステルは特に限定されないが、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。なかでも、ジブチルセバシン酸エステル、ジオクチルアゼライン酸エステル、ジブチルカルビトールアジピン酸エステル等が好適である。
【0028】
上記有機エステル可塑剤は特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、リン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物、アジピン酸エステル、炭素数4〜9のアルキルアルコール及び炭素数4〜9の環状アルコールから作製された混合型アジピン酸エステル、アジピン酸ヘキシル等の炭素数6〜8のアジピン酸エステル等が挙げられる。
【0029】
上記有機リン酸可塑剤は特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0030】
上記可塑剤のなかでも、ジヘキシルアジペート(DHA)、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(4GH)、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(4G7)及びトリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(3G7)からなる群より選択される少なくとも1種は、接着力調整剤としてカルボン酸の金属塩を含有させることによって、本発明の発光シートを合わせガラス用中間膜として用いたときにガラスとの接着力の経時変化を防止することができる。
【0031】
更に、上記可塑剤として、加水分解を起こしにくいため、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)を含有することが好ましく、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を含有することがより好ましく、特にトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含有することがより好ましい。
【0032】
上記発光層における上記可塑剤の含有量は特に限定されないが、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限が30重量部、好ましい上限が80重量部である。上記可塑剤の含有量が30重量部以上であると、発光シートの溶融粘度が低くなり、これを合わせガラス用中間膜として合わせガラスを製造する際の脱気性が高くなる。上記可塑剤の含有量が80重量部以下であると、発光シートの透明性が高くなる。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は35重量部、より好ましい上限は70重量部、更に好ましい上限は63重量部である。
【0033】
上記発光層は、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、接着力調整剤、青色顔料、青色染料、緑色顔料、緑色染料等の添加剤を含有してもよい。
【0034】
優れた耐光性を得ることができることから、上記発光層は、酸化防止剤を含有することが好ましい。上記酸化防止剤は特に限定されず、フェール構造を有する酸化防止剤、硫黄を含む酸化防止剤及びリンを含む酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤は一種のみでもよく、二種以上を併用してもよい。
上記フェノール構造を有する酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記フェノール構造を有する酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及びビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]等が挙げられる。
【0035】
上記発光層は上記接着力調整剤を含有することが好ましい。
上記接着力調整剤は特に限定されず、金属塩であることが好ましく、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びMg塩からなる群から選択された少なくとも1種の金属塩であることが好ましい。
上記金属塩は、K及びMgの内の少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。上記金属塩は、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩又は炭素数2〜16の有機酸のアルカリ土類金属塩であることがより好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。上記炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩としては特に限定されないが、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム及び2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
【0036】
上記接着力調整剤の含有量は特に限定されないが、上記バインダー樹脂100重量部に対する好ましい下限が0.0005重量部、好ましい上限が0.05重量部である。上記接着力調整剤の含有量が0.0005重量部以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記接着力調整剤の含有量が0.05重量部以下であると、発光シートの透明性が高くなる。上記接着力調整剤の含有量のより好ましい下限は0.002重量部、より好ましい上限は0.02重量部である。
【0037】
上記発光層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は50μm、好ましい上限は500μmである。上記発光層の厚さがこの範囲内であると、特定の波長の光を照射したときに充分にコントラストの高い発光が得られ、かつ、合わせガラス用中間膜等の用途にも好適である。上記発光層の厚さのより好ましい下限は100μm、より好ましい上限は300μmである。
【0038】
上記発光層は、本発明の発光シートの水平方向の全面に配置されていてもよく、一部にのみ配置されていてもよい。上記発光層が一部にのみ配置されている場合には、該一部分を発光エリア、他の部分を非発光エリアとして、発光エリアにおいてのみ情報を表示できるようにすることができる。
【0039】
本発明の発光シートは、上記発光層の一方の面に、バインダー樹脂を含有する第1の樹脂層が配置されていることが好ましく、上記発光層と第1の樹脂層とが接するように積層されていることがより好ましい。また、上記発光層の第1の樹脂層が配置されている面とは反対側の面に、バインダー樹脂を含有する第2の樹脂層が配置されていることが好ましく、上記発光層と第2の樹脂層とが接するように積層されていることがより好ましい。即ち、第1の樹脂層と上記発光層と第2の樹脂層とがこの順に配置されていることが好ましい。
【0040】
上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層は、ポリビニルアセタール樹脂を含有してもよく、可塑剤を含有してもよく、接着力調整剤を含有してもよく、紫外線吸収剤を含有してもよい。
上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、接着力調整剤及び紫外線吸収剤は、上記発光層に用いられるポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、接着力調整剤及び紫外線吸収剤と同様の物質を用いることができる。
また、第1の樹脂層及び第2の樹脂層は、上記発光材料を含んでもよい。この場合、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層中のバインダー樹脂100重量部に対する発光材料の含有量は、上記発光層中のバインダー樹脂100重量部に対する上記発光層中の発光材料の含有量よりも少ないことが好ましい。
【0041】
上述のように、上記発光層に含まれる発光材料は、長期間の紫外線の照射によって劣化して発光性能が低下する傾向がある。上記発光層に紫外線吸収剤を含む上記第1の樹脂層、第2の樹脂層中を積層することにより、紫外線による発光材料の劣化を防止することができる。
【0042】
本発明の発光シートに遮熱性が要求される場合には、上記発光層、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層の少なくとも1層に熱線吸収剤を含有させてもよい。あるいは、上記発光層、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に、更に、バインダー樹脂と熱線吸収剤とを含有する熱線遮蔽層を積層してもよい。
【0043】
上記熱線線吸収剤は、赤外線を遮蔽する性能を有すれば特に限定されないが、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粒子、アンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)粒子、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)粒子、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子、6ホウ化ランタン粒子及び6ホウ化セリウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。
【0044】
本発明の発光シートは、遮音性能を向上させる目的で、更に、遮音層を有してもよい。
上記遮音層は、例えば、上記バインダー樹脂100重量部に対して上記可塑剤を50重量部以上配合した層等が挙げられる。なお、上記発光層、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層及び熱線遮蔽層のいずれかに含まれる可塑剤量を調整することにより、これらの層を遮音層ともすることもできる。上記遮音層に含まれるバインダー樹脂は熱可塑性樹脂であることが好ましく、ポリビニルアセタール樹脂であることがより好ましい。上記遮音層に含まれる上記ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が28モル%未満であることが好ましい。上記遮音層に含まれる上記ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量が8モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂A、アセチル基量が5モル%未満、かつアセタール化度が70モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂B、又は、アセチル基量が5モル%以上8モル%未満、かつアセタール化度が65モル%以上であるポリビニルアセタール樹脂Cであってもよい。
【0045】
上記発光層、第1の樹脂層及び第2の樹脂層は、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤を含有するものであって、上記発光層中のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量(以下、含有量Aともいう。)は、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層中のポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する可塑剤の含有量(以下、含有量Bともいう。)よりも多いことが好ましい。上記含有量Aが上記含有量Bよりも多いことにより、発光シートの遮音性をより一層高くすることができる。上記含有量Aは上記含有量Bよりも5重量部以上多いことが好ましく、10重量部以上多いことがより好ましく、15重量部以上多いことが更に好ましい。
【0046】
上記発光層に上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層が積層されている場合、より一層高いコントラストで画像を表示するために、上記発光層に含まれる発光材料が上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に移行することを制御することが好ましい。上記発光層に含まれる発光材料が上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に移行することを制御する方法として、上記発光層に含まれるバインダー樹脂と上記発光材料との相溶性を、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれるバインダー樹脂と上記発光材料との相溶性より高くする方法(方法1)が挙げられる。また、上記発光層及び上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層がバインダー樹脂と可塑剤とを含む場合、上記発光層に含まれる可塑剤と上記発光材料との相溶性を、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれる可塑剤と上記蛍光材料との相溶性より高くする方法(方法2)や、上記発光層に含まれる可塑剤が上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に移行することを制御する方法(方法3)が挙げられる。上記発光層に含まれる可塑剤が上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に移行する際に、可塑剤とともに上記発光材料が移行すると考えられる。なお、相溶性とは異なる成分の混ざりやすさを意味する。
【0047】
上記第1の樹脂層と上記発光層と上記第2の樹脂層とがこの順に積層され、かつ、上記発光層及び上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層がポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤とを含有する場合について、上記方法1〜3をより具体的に説明する。
【0048】
上記方法1では、ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量を調整することにより、ポリビニルアセタール樹脂と上記発光材料との相溶性を適宜設定することができる。上記発光材料が疎水性を有する場合、上記発光層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量より低いことが好ましい。上記発光材料が親水性を有する場合、上記発光層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量より高いことが好ましい。上記発光層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量と、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量の差の絶対値の好ましい下限は1モル%、好ましい上限は20モル%、より好ましい下限は3モル%、より好ましい上限は15モル%、更に好ましい下限は5モル%、更に好ましい上限は10モル%である。
【0049】
上記方法2では、上記発光層及び上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれる可塑剤を調整することにより、可塑剤と上記発光材料との相溶性を適宜設定することができる。例えば、上記発光層に含まれる可塑剤が、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれる可塑剤と異なり、かつ、上記発光層に含まれる可塑剤と上記発光材料との相溶性が、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれる可塑剤と上記発光材料との相溶性より高くなることが好ましい。上記発光材料が疎水性を有する場合、上記発光層に含まれる可塑剤は、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれる可塑剤よりも疎水性が高いことが好ましい。上記発光材料が親水性を有する場合、上記発光層に含まれる可塑剤は、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれる可塑剤よりも親水性が高いことが好ましい。
【0050】
上記方法3では、上記発光層及び上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量を調整することにより、可塑剤の移行を適宜設定することができる。可塑剤の移行を防止するために、上記発光層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量より低いことが好ましい。特に、可塑剤が疎水性を有する場合、上記発光層に含まれる可塑剤が上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に移行することを抑制できるため、より一層高いコントラストで画像を表示することができる発光シートを得ることができる。上記発光層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量よりも、1モル%以上低いことが好ましく、3モル%以上低いことがより好ましく、5モル%以上低いことが更に好ましく、7モル%以上低いことが特に好ましい。上記発光層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量と、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量との差は20モル%以下であることが好ましく、15モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることが更に好ましい。
【0051】
本発明の発光シートは、上記発光層を有することから、特定の波長の光を照射することにより発光する。この性質を利用することにより、HUDに比べて高いコントラストで情報を表示することができる。
上記特定の波長の光を照射するための装置としては、例えば、スポット光源(浜松ホトニクス社製、LC−8)、キセノン・フラッシュランプ(ヘレウス社製、CWランプ)、ブラックライト(井内盛栄堂社製、キャリーハンド)等が挙げられる。
【0052】
また、上記特定の波長の光は特に限定されないが、波長域が350〜420nmの光を含むことが好ましく、波長域が365〜410nmの光を含むことがより好ましい。例えば、本発明の発光シートからなる合わせガラス用中間膜が一対のガラス板の間に挟み込まれている合わせガラスと、波長域が365〜410nmの光を発生する光源とを用いて、ヘッドアップディスプレイ装置を得ることができる。
また、上記特定の波長の光は特に限定されないが、波長域が350〜410nmの光を含むことが好ましく、波長域が350〜405nmの光を含むことがより好ましい。例えば、本発明の発光シートからなる合わせガラス用中間膜が一対のガラス板の間に挟み込まれている合わせガラスと、波長域が350〜405nmの光を発生する光源とを用いて、ヘッドアップディスプレイ装置を得ることができる。
【0053】
本発明の発光シートの用途は特に限定はされず、商業ビルや住宅用の窓材、自動車の窓等に貼付される広告媒体等の用途に用いることができる。なかでも、車両用窓材、建築用窓材等における情報表示機能を有する合わせガラス用中間膜として好適である。本発明の発光シートからなる合わせガラス用中間膜もまた、本発明の1つである。
【0054】
本発明の合わせガラス用中間膜が、一対のガラス板の間に挟み込まれている合わせガラスもまた、本発明の1つである。
上記ガラス板は、一般に使用されている透明板ガラスを使用することができる。例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。また、ガラスの表面に紫外線遮蔽コート層が形成された紫外線遮蔽ガラスも用いることができる。更に、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板を用いることもできる。
上記ガラス板として、2種類以上のガラス板を用いてもよい。例えば、透明フロート板ガラスと、グリーンガラスのような着色されたガラス板とで、本発明の合わせガラス用中間膜を挟持した合わせガラスが挙げられる。また、上記ガラス板として、2種以上の厚さの異なるガラス板を用いてもよい。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、自身が発光することにより、高いコントラストで画像を表示することができる発光シート、該発光シートを含む合わせガラス用中間膜、合わせガラスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されない。
【0057】
参考例1
(1)発光シートの製造
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)8.00gに、発光材料としてペリレン系化合物(セントラルテクノ社製、品番名ルミシスB−800)0.02gを加え、発光溶液を調製した。
得られた発光分散溶液の全量と、アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%、平均重合度が2300のポリビニルブチラール樹脂20.00gとをミキシングロールで充分に混練することにより、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ780μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で15分間加圧し、厚さ780μmの発光シートを得た。
【0058】
(2)合わせガラスの製造
得られた発光シートを縦5cm×横5cmのサイズに切断し、これを合わせガラス用中間膜とした。合わせガラス用中間膜を、縦5cm×横5cmの一対のクリアガラスで挟み込み積層した。得られた積層体を、真空ラミネーターにて90℃下、30分保持しつつ真空プレスを行い圧着した。圧着後140℃、14MPaの条件でオートクレーブを用いて20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
【0059】
参考例2〜3
3GO8.00gに対するペリレン系化合物の配合量を0.001g及び0.1gとした以外は参考例1と同様にして、発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0060】
参考例4
ペリレン系化合物の代わりにクマリン系化合物(セントラルテクノ社製、品番ルミシスG−900)を用いた以外は参考例1と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0061】
参考例5
ペリレン系化合物の代わりにトリス(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオネート−O,O’)ビス(トリフェニルフォスフィンオキシド−O−)ユーロピウム(セントラルテクノ社製、品番ルミシスE−400)を用いた以外は参考例1と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0062】
参考例6
ペリレン系化合物の代わりにBaMgAl1627:Eu,Mn(根本特殊化学社製、品番D1164)を用いた以外は参考例1と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0063】
比較例7
ペリレン系化合物の代わりにYS:Eu(根本特殊化学社製、品番D1120)を用いた以外は参考例1と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0064】
参考例8
ペリレン系化合物のかわりにナフタルイミド系化合物(BASF ジャパン社製、Violet570)を用いた以外は参考例1と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0065】
(実施例9)
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)8.00gに、発光材料としてYS:Eu(根本特殊化学社製、品番D1120)0.04gと、分散剤として縮合リシノール酸エステル系ポリグリセリン(阪本薬品工業社製、CRグリスターCRED)0.01gとを加え、得られた混合物を、バッチ式ビーズミル(寿工業社製、UAM)を用いて3時間分散させることにより、発光分散溶液を調製した。
得られた発光分散溶液の全量と、アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%、平均重合度が2300のポリビニルブチラール樹脂20.00gとをミキシングロールで充分に混練することにより、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ780μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で15分間加圧し、厚さ780μmの発光シートを得た。
得られた発光シートを用いて、参考例1と同様の方法により合わせガラスを製造した。
【0066】
(比較例1)
ペリレン系化合物を用いなかった以外は参考例1と同様にして、発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0067】
(評価)
参考例1〜6、8、実施例9、比較例1、7で得られた合わせガラスについて、以下の方法で評価を行った。結果を表1に示した。
【0068】
(1)発光性の評価
得られた合わせガラスを暗室下、High Powerキセノン光源(朝日分光株式会社製、品番MAX303、照射波長365nm)を用いて合わせガラスの全面へ光を照射した。目視にて観察して、合わせガラスの中央部の発光が確認された場合を「○」、発光が確認されなかった場合を「×」と評価した。
【0069】
(2)発光強度の測定
低迷光マルチチャンネル分光測定器(大塚電子社製、QE1100)を用いて、365nmの光照射時の合わせガラス作製後の量子効率を、エアーをブランクとして測定した。
【0070】
【表1】
【0071】
参考例10
(1)発光層の調製トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)4.00gに、発光材料としてペリレン系化合物(セントラルテクノ社製品、品番名ルミシスB−800)0.02gを溶解して発光溶液を調製した。
得られた発光溶液の全量と、アセチル基量1mol%、水酸基量31mol%、平均重合度が2300のポリビニルブチラール樹脂10.00gとをミキシングロールで充分に混練することにより、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で15分間加圧し、厚さ400μmの発光層を得た。
【0072】
(2)紫外線遮断層の調製
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)4.00gに、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製、T−326)0.05gを溶解して溶液を調製した。
得られた溶液の全量と、アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%、平均重合度が2300のポリビニルブチラール樹脂10.00gとをミキシングロールで充分に混練することにより、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ400μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で15分間加圧し、厚さ400μmの紫外線遮断層を得た。
【0073】
(3)発光シートの製造
得られた発光層と紫外線遮断層とを積層し積層体を得た。得られた積層体を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ7800μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で5分間加圧し、厚さ800μmの発光シートを得た。
【0074】
(4)合わせガラスの作製
得られた発光シートを縦5cm×横5cmのサイズに切断し、これを合わせガラス用中間膜とした。合わせガラス用中間膜を、縦5cm×横5cmの一対のクリアガラスで挟み込み積層した。得られた積層体を、真空ラミネーターにて90℃下、30分保持しつつ真空プレスを行い圧着した。圧着後140℃、14MPaの条件でオートクレーブを用いて20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
【0075】
参考例11
ペリレン系化合物の代わりにクマリン系化合物(セントラルテクノ社製、品番ルミシスG−900)を用いた以外は参考例10と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0076】
参考例12
ペリレン系化合物の代わりにトリス(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオネート−O,O’)ビス(トリフェニルフォスフィンオキシド−O−)ユーロピウム(セントラルテクノ社製、品番ルミシスE−400)を用いた以外は参考例10と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0077】
参考例13
ペリレン系化合物の代わりにBaMgAl1627:Eu,Mn(根本特殊化学社製、品番D1164)を用いた以外は参考例10と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0078】
参考例14
ペリレン系化合物の代わりにYS:Eu(根本特殊化学社製、品番D1120)を用いた以外は参考例10と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0079】
参考例15
ペリレン系化合物のかわりにナフタルイミド系化合物(BASF JAPAN社製、Violet570)を用いた以外は参考例10と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0080】
(評価)
参考例10〜15、比較例1で得られた合わせガラスについて、以下の方法で評価を行った。
結果を表2に示した。
【0081】
(1)発光性の評価
得られた合わせガラスを暗室下、High Powerキセノン光源(朝日分光株式会社製、品番MAX303、照射波長365nm)を用いて合わせガラスの全面へ光を照射した。目視にて観察して、合わせガラスの中央部の発光が確認された場合を「○」、発光が確認されなかった場合を「×」と評価した。
【0082】
(2)発光強度の測定
低迷光マルチチャンネル分光測定器(大塚電子社製、QE1100)を用いて、365nmの光照射時の合わせガラス作製後の内部量子効率を、エアーをブランクとして測定した。
【0083】
(3)耐光性評価
紫外線照射装置(スガ試験機社製、HLG−2S)を用いて、JIS R 3205に準ずる方法により、合わせガラスに紫外線(石英ガラス水銀灯、750W)を、紫外線遮断層側から24時間照射した。
紫外線24時間照射後の合わせガラスの発光性及び発光強度を、上述の方法にて行った。
【0084】
【表2】
【0085】
参考例16
(1)発光層の調製
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)6.00gに、発光材料としてペリレン系化合物(セントラルテクノ社製品、品番名ルミシスB−800)0.
06gを溶解して発光溶液を調製した。
得られた発光溶液の全量と、アセチル基量13mol%、水酸基量22mol%、平均重合度が2300のポリビニルブチラール樹脂10.00gとをミキシングロールで充分に混練することにより、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ200μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で15分間加圧し、厚さ200μmの発光層を得た。
【0086】
(2)第1の樹脂層の調製
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)4.00gに、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製、T−326)0.05gを溶解して溶液を調製した。
得られた溶液の全量と、アセチル基量1mol%、水酸基量30.5mol%、平均重合度が1700のポリビニルブチラール樹脂10.00gとをミキシングロールで充分に混練することにより、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ300μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で15分間加圧し、厚さ300μmの第1の樹脂層を得た。
【0087】
(3)第2の樹脂層の調製
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)4.00gに、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製、T−326)0.05gを溶解して溶液を調製した。
得られた溶液の全量と、アセチル基量1mol%、水酸基量30.5mol%、平均重合度が1700のポリビニルブチラール樹脂10.00gとをミキシングロールで充分に混練することにより、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ300μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で15分間加圧し、厚さ300μmの第2の樹脂層を得た。
【0088】
(4)発光シートの製造
第1の樹脂層と、発光層と、第2の樹脂層とがこの順に積層された積層体を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートに挟み、厚さ800μmのスペーサを介して、熱プレスにて150℃、100kg/cmの条件で5分間加圧し、厚さ800μmの発光シートを得た。
【0089】
(5)合わせガラスの作製
得られた発光シートを縦5cm×横5cmのサイズに切断し、これを合わせガラス用中間膜とした。合わせガラス用中間膜を、縦5cm×横5cmの一対のクリアガラスで挟み込み積層した。得られた積層体を、真空ラミネーターにて90℃下、30分保持しつつ真空プレスを行い圧着した。圧着後140℃、14MPaの条件でオートクレーブを用いて20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
【0090】
参考例17
ペリレン系化合物の代わりにクマリン系化合物(セントラルテクノ社製、品番ルミシスG−900)を用いた以外は参考例16と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0091】
参考例18
ペリレン系化合物の代わりにトリス(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオネート−O,O’)ビス(トリフェニルフォスフィンオキシド−O−)ユーロピウム(セントラルテクノ社製、品番ルミシスE−400)を用いた以外は参考例16と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0092】
参考例19
ペリレン系化合物の代わりにBaMgAl1627:Eu,Mn(根本特殊化学社製、品番D1164)を用いた以外は参考例16と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0093】
参考例20
ペリレン系化合物の代わりにYS:Eu(根本特殊化学社製、品番D1120)を用いた以外は参考例16と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0094】
参考例21
ペリレン系化合物のかわりにナフタルイミド系化合物(BASF JAPAN社製、Violet570)を用いた以外は参考例16と同様にして発光シート、合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0095】
(評価)
参考例16〜21で得られた合わせガラスについて、以下の方法で評価を行った。
結果を表3に示した。
【0096】
(1)発光性の評価
得られた合わせガラスを暗室下、High Powerキセノン光源(朝日分光株式会社製、品番MAX303、照射波長365nm)を用いて合わせガラスの全面へ光を照射した。目視にて観察して、合わせガラスの中央部の発光が確認された場合を「○」、発光が確認されなかった場合を「×」と評価した。
【0097】
(2)発光強度の測定
低迷光マルチチャンネル分光測定器(大塚電子社製、QE1100)を用いて、365nmの光照射時の合わせガラス作製後の内部量子効率を、エアーをブランクとして測定した。
【0098】
(3)耐光性評価
紫外線照射装置(スガ試験機社製、HLG−2S)を用いて、JIS R 3205に準ずる方法により、合わせガラスに紫外線(石英ガラス水銀灯、750W)を、紫外線遮断層側から24時間照射した。
紫外線24時間照射後の合わせガラスの発光性及び発光強度を、上述の方法にて行った。
【0099】
(4)遮音性評価
20℃の環境下にて、合わせガラスをダンピング試験用の振動発生機(振研社製加振機「G21−005D」)により加振し、そこから得られる振動特性を機械インピーダンスアンプ(リオン社製、XG−81)にて増幅し、振動スペクトルをFFTアナライザー(横河ヒューレットパッカー社製、FFTスペクトラムアナライザー HP−3582AA)にて解析した。得られた損失係数とガラスとの共振周波数の比とから損失係数を算出した。
この結果に基づき、周波数2000Hz近辺における極小の透過損失をTL値とした。TL値が35以上の場合を「○」、35未満の場合を「×」と評価した。
【0100】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明によれば、シート材料自身が発光することにより、高いコントラストで画像を表示することができる発光シート、該発光シートを含む合わせガラス用中間膜、合わせガラスを提供することができる。