特許第6192304号(P6192304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192304
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】植物育成容器
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20170828BHJP
   A01G 9/02 20060101ALI20170828BHJP
   A01G 9/00 20060101ALI20170828BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20170828BHJP
   G09F 13/00 20060101ALN20170828BHJP
【FI】
   A01G7/00 601A
   A01G7/00 601B
   A01G9/02 103W
   A01G9/00 B
   F21V8/00 270
   F21V8/00 281
   F21V8/00 261
   !G09F13/00 S
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-17429(P2013-17429)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-147325(P2014-147325A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2016年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100084261
【弁理士】
【氏名又は名称】笹井 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】原田 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】吉良 一江
(72)【発明者】
【氏名】小澤 康夫
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−195825(JP,A)
【文献】 特開平04−020215(JP,A)
【文献】 特開2004−024018(JP,A)
【文献】 特開2010−207188(JP,A)
【文献】 特表2012−528580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00;9/00−9/10;31/00−31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培培地に植えられた植物を収容して栽培するとともに収容した植物を外部から観賞できる植物育成容器において、
栽培培地に植えられた植物を載置するための載置台と、該載置台に立設した透明な周囲壁部と、前記載置台の上方に配設された天井部と、該天井部と前記載置台とを連結する支柱とを備え、
前記載置台の内部に電源部及び光源を配設し、該光源が発光した光を前記天井部近傍まで導く導光体を前記支柱に沿って配設し、該導光体を介して前記天井部近傍まで導いた光によって前記植物を照射することを特徴とする植物育成容器。
【請求項2】
前記天井部は、前記載置台に対面する下面側に、光を反射するための反射面が形成され、
前記天井部近傍に位置する前記導光体の先端部は、該先端部から射光した光が前記天井部の反射面に向かう方向に向けられたことを特徴とする請求項1に記載の植物育成容器。
【請求項3】
前記導光体の先端部に光を拡散させるレンズを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の植物育成容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培培地に植えられた植物を収容して栽培するとともに、収容した植物を外部から観賞できる植物育成容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の植物育成容器としては、例えば特許文献1に示すようなものがある。
すなわち、透過性のあるボトル体、該ボトル体の下開口部に装着するカップ台、ボトル体の上開口部に装着する蓋体から構成されており、カップ台には栽培培地を充填し、該充填した栽培培地に植物を植え込むようにした植物栽培ボトルである。
【0003】
この植物栽培ボトルの蓋体下側には発光装置が設けられており、低光源下または無光環境であっても明瞭に観賞することができる。これにより、ボトル体内の栽培培地に植えた植物を育成しながらいつでも観賞することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3178362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の技術では、発光装置や電源装置および電源スイッチ等がボトル本体の上開口部に装着する蓋体に設けられているためにトップヘビーとなり、転倒し易いという問題点があった。
【0006】
この転倒の問題点を解決するために基底部を大きく且つ重くしたものが有るが、基底部を大きくするとそれだけ嵩張ることになり、配置位置に制限が生じたり、邪魔になったりすることも有り得る。
【0007】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、植物育成容器の基底部を大きくすることなく、安定した状態に設置することができるようにした植物育成容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]栽培培地(100)に植えられた植物(101)を収容して栽培するとともに収容した植物(101)を外部から観賞できる植物育成容器(1)において、
栽培培地(100)に植えられた植物(101)を載置するための載置台(10)と、該載置台(10)に立設した透明な周囲壁部(20)と、前記載置台(10)の上方に配設された天井部(30)と、該天井部(30)と前記載置台(10)とを連結する支柱(40)とを備え、
前記載置台(10)の内部に電源部(12)及び光源(13)を配設し、該光源(13)が発光した光を前記天井部(30)近傍まで導く導光体(50)を前記支柱(40)に沿って配設し、該導光体(50)を介して前記天井部(30)近傍まで導いた光によって前記植物(101)を照射することを特徴とする植物育成容器(1)。
【0010】
]前記天井部(30)は、前記載置台(10)に対面する下面側に、光を反射するための反射面(31)が形成され、
前記天井部(30)近傍に位置する前記導光体(50)の先端部は、該先端部から射光した光が前記天井部(30)の反射面(31)に向かう方向に向けられたことを特徴とする[1]に記載の植物育成容器(1)。
【0011】
]前記導光体(50)の先端部に光を拡散させるレンズを設けたことを特徴とする[1]または[]に記載の植物育成容器(1)。
【0014】
前記本発明は次のように作用する。
項[1]の植物育成容器(1)によれば、栽培培地(100)に植えられた植物(101)を載置するための載置台(10)内部に電源部(12)等の重量のあるものと光源(13)とが収容されているので、植物育成容器(1)の重心が低い位置にあり、植物育成容器(1)は安定して倒れ難いものとなっている。
【0015】
また、光源(13)が発光した光を支柱(40)に沿って配設された導光体(50)が天井部(30)近傍まで導いて植物(101)に向かって照射するようになっている。このため、電源部(12)と光源(13)とを接続する配線は載置台(10)内に有る。したがって、配線が観賞者の目に触れることはないので、植物育成容器(1)自体の美観を向上させることができる。
【0016】
項[]の植物育成容器(1)では、天井部(30)は、載置台(10)に対面する下面側に、光を反射するための反射面(31)が形成されており、天井部(30)近傍に位置する導光体(50)の先端部は、射光した光が天井部(30)の反射面(31)に向かう方向に向けられているので、反射面(31)の形態によって様々な光照射をすることができる。
【0017】
また、項[]の植物育成容器(1)のように、導光体(50)の先端部に光を拡散させるレンズを設けることにより、光の照射範囲を広げることができるので、植物(101)にはより多くの部分に光を当てることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる植物育成容器によれば、重心を低くするために電源部等の重量物を植物育成容器の下部に有る載置台内に収容してあるので、植物育成容器は安定した倒れにくいものとすることができる。
【0021】
また、光源も載置台内に収容し、光源が射光した光を導光体によって天井部近傍まで導くので、容器自体の美観を優れたものにすることができる。
【0022】
また、天井部の下面を反射面とした場合には、反射面の形態によって様々な光照射をすることができる。
【0023】
さらに、導光体の先端部に拡散レンズを設けることにより、植物のより多くの部分に光を当てることができるので、植物をより効果的に育成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る植物育成容器の構成の概略を示す模式図である。
図2図1における導光体を示す斜視図である。
図3】本発明の第2の実施の形態に係る植物育成容器の構成の概略を示す模式図である。
図4】本発明の第2の実施の形態に係る植物育成容器の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づき本発明の好適な各種の実施の形態を説明する。
図1および図2は本発明の第1の実施の形態を示している。
図1は、第1の実施の形態に係る植物育成容器の構成の概略を示す模式図である。図2は、図1における導光体を示す斜視図である。
【0026】
図1に示すように、植物育成容器1は、栽培培地100に植えられた植物101を収容して栽培するとともに収容した植物101を外部から観賞することができるものであり、カップC等の器に入れた栽培培地100に植えられた植物101を載置するための載置台10と、この載置台10に取り付けた透明な周囲壁部20と、この周囲壁部20の上方に配設された天井部30と、この天井部30と載置台10とを連結する支柱40とを備えている。
【0027】
載置台10は、収納空間11が内部に形成されている。収納空間11には、ACアダプター等の電源部12、光源13であるLEDのLED基板16、これら電源部12や光源13を接続する配線14が収納されている。この載置台10は、内部が見えないように不透明の素材、例えば不透明なプラスチック、金属、木材等のさまざまな素材のものを使用することができる。これにより、配線が観賞者の目に触れることがなく、植物育成容器1の美観を向上させることができる。
【0028】
周囲壁部20は、透明性の高い素材により筒状に成形されており、例えばアクリル樹脂や他にもポリエチレンテレフタレート(PET),ポリカーボネート(PC)、飽和ポリエステル樹脂等が用いられている。この周囲壁部20の上には、天井部30が配設されている。
【0029】
天井部30は、載置台10に対面する下面側に、光を反射するための反射面31が形成されている。この反射面31は、例えば平面鏡、凸面鏡、凹面鏡等の鏡面としたものである。天井部30には、金属、プラスチック、ガラス等を用いることができる。
【0030】
天井部30は、載置台10に立設した中空の支柱40の上に着脱自在に設けられている。この支柱40内には、載置台10内部の光源13が発光した光を導く導光体50が支柱40に沿って天井部30に向けて延設されている。導光体50は、例えば光ファイバーやアクリルの導光板である。導光体50は、基端51側で光源13からの光が入射し、導光された光が射光される先端52は、光を反射面31の中央寄りにやや傾けて射光するように斜めにカットされている。光源13は、不図示のスイッチにより、自在に点灯および消灯をすることができる。
なお、この先端52には、レンズを設けて光が拡散して射光されるようにしてもよい。
【0031】
次に本実施の形態に係る植物育成容器1の作用を説明する。
植物育成容器1は、栽培培地100に植えられた植物101を載置するための載置台10内部に電源部12等の重量のあるものを収容してある。したがって、植物育成容器1の重心は低い位置にあり、植物育成容器1は安定して倒れ難い。
【0032】
栽培培地100に植えられた植物101を載置台10に載置したり、取り出したりすることは、天井部30を外して行える。
【0033】
光源13を発光させると、射光した光が支柱40に沿って配設された導光体50により天井部30の近傍に位置する先端52まで導かれる。先端52から射光した光は天井部30の反射面31で反射して植物101を照射する。
【0034】
反射面31で反射された光は、反射面31の形状や表面処理の形態によって様々な光照射をすることができる。また、導光体50の先端部に光を拡散させるレンズを設けた場合には、光の照射範囲を広げることができるので、植物101にはより多くの部分に光を当てることができる。このため、このような光の照射は植物101の観賞だけでなく育成面で効果を高めることができる。
【0035】
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
図3は本発明の第2の実施の形態を示している。
本実施の形態に係る植物育成容器2では、光源113を天井部30の反射面31に設け、載置台10内の電源部12側に配置したLED基板16と光源113とを配線17により接続したものである。
なお、第1の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
【0036】
本実施の形態では、載置台10内の電源部12の近傍に設けたLED基板16と天井部30に配設された光源113とを配線17が接続している。この配線17は、中空の支柱40内に通されている。このため植物育成容器2の見栄えを悪くすることがない。
【0037】
支柱40と天井部30とは、支柱40からの配線17と天井部30側の光源113の配線とを接続可能なジョイント構造を有している。これにより、第1の実施の形態と同様に、天井部30を外して栽培培地100に植えられた植物101を載置台10に載置したり、取り出したりすることができる。
【0038】
図4は第2の実施の形態の変形例を示している。
異なる点はLED基板16と光源113とを接続する配線を薄く細い金属板の配線17Aとした点である。
【0039】
次に作用を説明する。
本実施の形態においても、載置台10内部に電源部12等の重量のあるものが収容されているので、植物育成容器2,2Aの重心が低い位置に有り、植物育成容器2,2Aは安定して倒れ難い。載置台10内の電源部12側と天井部30に配設された光源113とを接続する配線17,17Aは、載置台10と該載置台10の上方に配設され天井部30とを連結している中空の支柱40内に通されているので、植物育成容器2,2Aの見栄えを悪くすることがない。
【0040】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0041】
例えば、反射面31は、鏡面に代えて光が乱反射するような表面処理を施したものにしてもよい。また、鏡面上に光が乱反射するような表面処理を施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、植物の観賞や育成を目的とした植物育成容器であるが、植物に限らず人工、自然物等の様々なオブジェ、アクセサリー等を収容して観賞するものとしても広く適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
C…カップ
1…植物育成容器
2…植物育成容器
10…載置台
11…収納空間
12…電源部
13…光源
14…配線
16…LED基板
17…配線
17A…配線
20…周囲壁部
30…天井部
31…反射面
40…支柱
50…導光体
51…基端
52…先端
100…栽培培地
101…植物
113…光源
図1
図2
図3
図4