(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
車両のアンチロックブレーキシステム(ABS)などに用いられる電子制御装置としては、例えば、車体に電気的に導通し油圧制御ソレノイド(増圧弁や減圧弁)等の各種液圧制御機器類や各種センサを実装した液圧制御ブロックに設けられたものが挙げられ、各種液圧制御機器類の駆動や各種センサの信号処理等を行う電子部品が実装された回路基板を、樹脂ケース等の内部の空間に収容した構造が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
従来の電子制御装置には、例えば回路基板とセンサ等との間をバスバーを介して接合、例えば、複数のバスバー等をモールディングによってブロック状に一体成形した所謂バスバーユニットを適用して接合し、センサ端子が回路基板に対して直接的に圧接しないようにしたバスバー構造のものが一般的であるが、バスバーを省いて回路基板に端子接触パッドを設け、該端子接触パッドにセンサ端子を直接、接触させるバスバーレス構造のものも開発されている。
【0004】
バスバー構造の電子制御装置は、バスバーを設けたバスバーユニット等を使用するため部品数が増加して電子制御装置が大型化(例えばバスバーユニットの厚み方向に大型化)する虞がある。また、回路基板の複数個所を螺子止めして固定し捩れを抑制することも考えられているが、螺子等を必要とし部品数が増加する虞があるが、バスバーレス構造の電子制御装置は、バスバーを使用しないので、当然のことながらバスバーユニットを必要とせず、その分部品点数を削減して低コスト化や小型化を図ることが可能となる。(例えば特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バスバーレス構造の電子制御装置においては、
図9に示すように、端子接触パッド101を設けた回路基板102を支持している樹脂ケース103と、電磁ソレノイド104と圧力センサ105を設けた油圧ユニット106と、の位置合わせを、モータポスト107及びロケートピン108とによって行なっている。
【0007】
このため、端子接触パッド101と圧力センサ105の位置ずれの要因に、モータポスト107からロケートピン108までの距離aの誤差と、ロケートピン108から圧力センサ105までの距離bの誤差の両者が関与し、端子接触パッド101と圧力センサ105が位置ずれを起こし易い。このために、端子接触パッド101と圧力センサ105の位置を合致させ、圧力センサ105のセンサ端子105aを端子接触パッド101に確実に接触させるためには、前記距離a及び距離bの両者の精度を向上させる必要がある。
【0008】
本発明は、かかる技術的課題に鑑みてなされたものであって、位置バラつきの要因を減らして端子接触パッドと圧力センサ端子の位置精度向上を図り、端子接触性を向上させた電子制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る電子制御装置は、
端子接触パッドを備えた回路基板が固定される樹脂ケースと、
液圧回路を制御するための電磁ソレノイドと前記液圧回路の圧力を検出する圧力センサを備えた液圧ユニットと、
モータと前記回路基板を電気的に接続する通電部材を備えて前記樹脂ケースから延設されて前記液圧ユニットに挿入されるモータポストと、
を備えた電子制御装置において、
前記樹脂ケースに備えられ前記圧力センサの外周を保持する固定部材を備え、
前記液圧ユニットに挿入されたモータポストと、前記固定部材で固定される圧力センサと、によって前記回路基板と前記圧力センサとの位置決めがなされることを特徴とする。
【0010】
前記電子制御装置において、前記固定部材を、少なくとも圧力センサがモータポストと対向する位置の両側に配置して前記圧力センサの外周を保持する構成にすることができる。
【0011】
また、前記電子制御装置において、前記固定部材に弾性を持たせた弾性腕部で構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上示したように本発明の電子制御装置によれば、液圧ユニットで外周を固定されたモータポストと、樹脂ケースに設けられた固定部材によって外周が固定された圧力センサとで、圧力センサと回路基板との位置決めを行なう構成であって、モータポストと圧力センサの位置バラつき要因の1つであったロケートピンを無くすことにより、モータポストと圧力センサの位置バラつき要因を減らし、端子接触パッドと圧力センサ端子の位置精度向上を図り、端子接触性を向上させることができる。
【0013】
前記電子制御装置において、前記固定部材を、少なくとも圧力センサがモータポストと対向する位置の両側に配置して前記圧力センサの外周を固定する構成にすることにより、モータポストを中心にした油圧ユニットと回路基板の回転方向へ位置ずれを規制することができる。
【0014】
前記電子制御装置において、前記固定部材を、前記樹脂ケースと一体に形成された弾性腕部で構成することにより、回路基板の端子接触パッドと、圧力センサのセンサ端子の位置に組付許容範囲の位置ずれが生じても前記弾性腕の弾性によって、圧力センサを固定しつつ、回路基板の端子接触パッドと、圧力センサのセンサ端子の接触を保ち、圧力センサへの通電を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の実施形態の電子制御装置の概略を示す分解斜視図である。電子制御装置1は、ユニット筐体2内に、図示を省略した液圧回路やポンプを収容しているとともに、上面側に前記液圧回路を制御する電磁ソレノイドとしての増圧弁3aや減圧弁3b及び圧力センサ4を取り付けた液圧ユニット5と、増圧弁3aや減圧弁3bの外周に配置される複数のソレノイドコイル6を組み付けたコイルユニット7と、増圧弁3aや減圧弁3b,圧力センサ4やコイルユニット7を覆うように液圧ユニット5上に取り付けられた樹脂ケース8と、樹脂ケース8の中底壁部8bの上部に取り付けられた回路基板9と、回路基板9を覆うように樹脂ケース8に取り付けられたシールカバー10と、を備えている。回路基板9の下面には、圧力センサ4の先端のセンサ端子4aが接触する端子接触パッド11が設けられている。
【0017】
図2に示すように、液圧ユニット5の下面には前記ポンプを駆動するモータ12が組み付けられている。前記圧力センサ4の先端のセンサ端子4aは、前記回路基板9の下面に設けた端子接触パッド11に接触している。
【0018】
前記樹脂ケース8には前記回路基板9とモータ12を電気的に接続する通電部材(図示省略)を備えたモータポスト14が突設されている。モータポスト14は、液圧ユニット5に形成されたポスト挿入孔15内に取り付けられている。モータポスト14とポスト挿入孔15の周面の間にはOリング16が介在されている。
【0019】
前記樹脂ケース8には、前記圧力センサ挿入孔13の周縁に沿って配置されていて、前記圧力センサ4の外周面の対向部を挟着保持する一対の固定部材17,17が設けられている。一対の固定部材17,17は、弾性を有する弾性腕部17aと、弾性腕部17aの先端に設けられた爪部17bを備えている。なお、
図2においては、一対の固定部材17,17の存在を、
図2において表示するために、これら一対の固定部材17,17を圧力センサ4の周方向に略90°位相をずらした状態で表示している。
【0020】
前記回路基板9は、前記端子接触パッド11の位置を、樹脂ケース8の中底壁部8bの圧力センサ挿入孔13の位置に合わせた状態で樹脂ケース8にスナップフィット18で固定される。
【0021】
前記一対の固定部材17,17の間に圧力センサ4を挿入すると、これら一対の固定部材17,17が押し広げられて、圧力センサ4は、一対の固定部材17,17で挟着されて、圧力センサ4と回路基板9の相対的な位置関係が決定される。
【0022】
従って、圧力センサ4のセンサ端子4aと、回路基板9の端子接触パッド11の位置ずれの原因は、専ら圧力センサ4とモータポスト14の間の距離cの誤差に基づくことになり、この誤差を低く抑えることにより、センサ端子4aと端子接触パッド11の位置ずれを抑制することができる。
【0023】
図9に示した従来例では、端子接触パッド101と圧力センサ105の位置ずれの原因に、モータポスト107からロケートピン108までの距離aの誤差と、ロケートピン108から圧力センサ105までの距離bの誤差の両者が関与していたが、本発明では、端子接触パッドと圧力センサの位置ずれの原因を、専ら圧力センサ4とモータポスト14の間の距離cの誤差に絞ったのでその分、寸法管理が容易になり、誤差を少なくすることができる。
【0024】
本実施形態の電子制御装置はアンチロックブレーキシステムに限定されず種々の機器に適用可能なものである。その一例としては、トラクションコントロール装置に適用することが挙げられる。
【0025】
<電子制御装置の構成例>
以下に、本実施形態に係る電子制御装置を自動車のアンチロックブレーキシステムに適用した一例について説明する。
【0026】
まず、アンチロックブレーキシステムの一例について概略を説明すると、図外のブレーキペダルの踏み込み量に応じたブレーキ圧を発生させるマスターシリンダと、該マスターシリンダと前輪左右(FR、FL)側及び後輪左右(RL、RR)側の各ホイールシリンダとを連通させるメイン通路と、該メイン通路に設けられて、マスターシリンダから各ホイールシリンダへのブレーキ液圧を制御する後述の常開ソレノイド型の増圧弁及び常閉ソレノイド型の減圧弁と、前記メイン通路に設けられて、各ホイールシリンダにブレーキ液圧を吐出するプランジャポンプと、前記各ホイールシリンダ内から排出されたブレーキ液を、前記減圧弁を介して貯留すると共に、プランジャポンプの作動によりブレーキ液をメイン通路に供給するリザーバタンクと、ブレーキ液圧を感知する圧力センサと、を備えたものが挙げられる。
【0027】
前記増圧弁は、通常ブレーキ操作時においてマスターシリンダからのブレーキ液圧を各ホイールシリンダに供給可能に制御する一方、減圧弁は、各ホイールシリンダの内圧が所定以上になって、車輪にスリップが発生した際に開弁して、該ブレーキ液をリザーバタンクに戻すようになっている。かかる増減圧を、電子制御装置(詳細を後述)を介して開閉作動させることにより、各ホイールシリンダ内のブレーキ液圧を増圧、減圧、保持制御するようになっている。また、前記各増圧弁と減圧弁は、前記電子制御装置からの制御信号に基づいて通電、非通電されることによって開閉作動させられるようになっている。圧力センサは、ブレーキ液圧を感知して電子制御装置にセンサ信号を送り、前記各増圧弁と減圧弁の開閉動作の制御に寄与することになる。
【0028】
次に、
図1〜
図8に示す電子制御装置1を説明する。
図1に示す電子制御装置1は、前述したように、ユニット筐体2内に図示を省略した液圧回路やポンプを収容しているとともに、上面側に前記液圧回路を制御する複数の増圧弁3aや減圧弁3b及び圧力センサ4を設けた液圧ユニット5と、電磁ソレノイド3の外周に配置される複数のソレノイドコイル6を組み付けたコイルユニット7と、増圧弁3a,減圧弁3b,圧力センサ4及びコイルユニット7を覆うように液圧ユニット5上に取り付けられた樹脂ケース8と、樹脂ケース8の中底壁部8bの上部に取り付けられた回路基板9と、回路基板9を覆うように樹脂ケース8に取り付けられたシールカバー10と、を備えている。ユニット筐体2の内部に図示を省略した液圧配管やポンプを内蔵し、上面側には、複数の増圧弁3a,減圧弁3b,圧力センサ4が取り付けられている。複数の増圧弁3a,減圧弁3b,圧力センサ4は、ユニット筐体2に設けた複数の保持穴2aに下部を挿通保持されている。
【0029】
ユニット筐体2は、例えばアルミニウム合金材によって略立方体状に一体に形成され、上面側には、前述した複数の複数の保持穴2aが形成されていて、これら保持穴2aに、増圧弁3a,減圧弁3b,圧力センサ4の下部が挿通保持されている。
【0030】
ユニット筐体2の内部には、前記増圧弁3a,減圧弁3b,圧力センサ4に連通する前記メイン通路やサブ通路、さらにメイン通路にブレーキ油圧を供給するプランジャポンプ等が設けられている。
【0031】
ユニット筐体2の下面には、前記電動モータ12が取り付けられている。さらに、ユニット筐体2の上面の四隅には、固定ボルト21が螺着される雌ねじ孔22が形成されている。なお、前記プランジャポンプに代えて可逆式のギアポンプを用いることも可能である。
【0032】
ユニット筐体2の上部にはコイルユニット7が取り付けられている。コイルユニット7には複数のソレノイドコイル6が組み付けられていて、これら複数のソレノイドコイル6は、それぞれ前記増圧弁3a,減圧弁3bの外周に配置される。
【0033】
前記樹脂ケース8は、前記液圧ユニット5の上面側の四方を囲むように垂直方向に立設されていて前記増圧弁3a,減圧弁3b,圧力センサ4の露出した部位等を保護する筒状の周壁部8aと、その周壁部8aの上端側の開口を閉蓋し水平方向に延在する平板状の中底壁部8bと、その中底壁部8bにおいて周壁部8aから水平方向に突出した周縁部の下面側に設けられたコネクタ壁部8cと、を備えている。
【0034】
コネクタ壁部8cは、バッテリーと接続される電源コネクタや、前記電動モータに電力を供給するモータコネクタ、レゾルバやCAN通信、I/Oなどの各種信号の伝達経路となる信号コネクタ等を備えた構造になっている。
【0035】
また、前記中底壁部8bには、前記回路基板9を支持する複数の回路基板支持部8dが設けられている。回路基板支持部8dには、電動モータなどの駆動を制御するための回路基板9が取り付けられる。
【0036】
前記樹脂ケース8は、周壁部8a,中底壁部8b,コネクタ壁部8c及び回路基板支持部8dを、合成樹脂材によるモールディングによって一体成形してブロック板状に形成されている。中底壁部8bの下面には、
図2に示すように、モータポスト14が設けられている。
【0037】
樹脂ケース8は、外形が前記液圧ユニット7やシールカバー10の外形状に沿って略矩形状に形成されている。また、前記樹脂ケース8の上端外周部には、シールカバー10を閉じた状態に係止するシールカバー係止部19が設けられている。シールカバー係止部19には、後記するシールカバー10の係合片44の爪部44aが挿入される貫通孔20が形成されていて、該貫通孔20に前記係合片44の爪部44aを挿入して、係合爪44の下端をシールカバー係止部19の下面に係合させて、シールカバー10を樹脂ケース8に取り外し可能に取り付ける構成になっている。さらに、樹脂ケース8の外周部の隅部には、前記固定ボルト21が挿通されるボルト挿通孔23が上下方向に貫通形成されている。
【0038】
また、
図2に示すように、樹脂ケース8の下端外周部には、環状のシール嵌合用の環状溝24が形成されている。前記凹溝24には、環状シール25が取り付けられていて、樹脂ケース8と液圧ユニット5の間をシールしている。樹脂ケース8は、前記ボルト挿通孔23に挿通された固定ボルト21により、液圧ユニット5に螺着される。
【0039】
また、樹脂ケース8の中底壁部8bには、前記圧力センサ4のセンサ端子4aを導入する圧力センサ挿入孔13が形成されているとともに、電源コネクタやモータコネクタ及び信号コネクタに接続される複数の端子群31や、モータリレーや半導体スイッチ素子(FET)を駆動するための制御信号用の端子群32や、前記増圧弁3a,減圧弁3b等に接続された端子群33などが貫通し、中底壁部8bの上面から突出している。さらに、前記中底壁部8bの上面の周縁側の四方のうち端子群31側を除く他の三方の所定位置に、前記回路基板9を取り付けるスナップフィット18が形成されている。
【0040】
図3に示すように、スナップフィット18は、樹脂ケース8に立設された弾性部材18aと、弾性部材18aの先端に形成された爪部18bと、を備えている。
爪部18bの上面は傾斜面18cになっていて、前記中底壁部8bの上方から回路基板9を回路基板支持部8dに載せる際に、回路基板9の下端縁9aで前記傾斜面18cが押圧されて、撓んで逃げ移動した後、傾斜面18cの押圧が解除されると戻り移動して、前記爪部18bの下面で回路基板9の上面の周縁部を押えて前記回路基板支持部8d上に回路基板9を固定する。
【0041】
また、前記回路基板支持部8dは、弾性部8eを介して樹脂ケース8に設けられている。従って、前述したように、回路基板支持部8d上に回路基板9を載せて、該回路基板9の上面の周縁部を前記スナップフィット18の爪部18bで押えると、弾性部8eが撓んで反力を蓄えて、回路基板支持部8dと爪部18bの間で回路基板9を挟着固定する。
【0042】
前記回路基板9は、例えば合成樹脂材によってほぼ長方形状の薄板状に形成されている。この回路基板9を、前記中底壁部8bの上方から回路基板支持部8d上に載置しスナップフィット18を介して保持した際に、その保持位置に応じて上下に離間して配置されるようになっており、この上下に離間したことによるクリアランスによって、回路基板9の下面側に実装される電子部品等が干渉しないようになっている。
【0043】
この回路基板9は、マイクロコンピュータを含む複数の電子部品が実装されていると共に、内部に制御回路の一部である配電パターンが形成され、例えば前記電動モータの駆動制御信号がこの回路基板9で作られるようになっている。また、回路基板9の一側部や他側部には、多数のコネクタ端子孔41やモータ電源端子孔42、ソレノイド端子孔43が形成されている。これら各端子孔41,42,43には、前記各端子群31,32,33の端子ピンが挿通されつつ半田付けによって接続されている。
【0044】
また、
図2に示すように、回路基板9の下面には、端子接触パッド11が設けられている。端子接触パッド11は、前記中底壁部8bに設けた圧力センサ挿入孔13を介して圧力センサ4の端子4aが接触する位置に設けられ、この端子接触パッド11の近傍位置にスナップフィット18が配置されている。このスナップフィット18は、前述したように、前記回路基板支持部8d上に載置された回路基板9の上面の周縁部を前記爪部18bで押えて、回路基板支持部8eと爪部18bの間で回路基板9を挟着固定する。
【0045】
次に、シールカバー10について説明する、
図1に示すように、シールカバー10は、例えば放熱材(ヒートシンク)として機能するアルミニウム合金材によって、樹脂ケース8の外形に沿った薄皿状に形成され、平坦状の上壁10aと、該上壁10aの外周縁に一体に形成された環状の側壁10bと、該側壁10bの下端外周部に連続一体に設けられた矩形枠状のフランジ部10cと、から構成されている。フランジ部10cには、このシールカバー10が回路基板9を被嵌した状態で樹脂ケース
8の上端部外周に係止する4つの係止片44が下方へ突設されている。この各係止片44は、弾性を有する素材で形成されていて、前記フランジ10cの各辺の長手方向ほぼ中央で、且つ前記樹脂ケース8に設けたシールカバー係止部19と対向する位置に設けられている。前記係止片44の先端には、弾性を有する爪部44aがそれぞれ形成されている。そして、前記爪部44aを、側壁10b側に撓ませながら前記シールカバー係止部19に設けた貫通孔20に挿入して、該貫通孔20から突出させると、爪部44aは、弾性復帰して前記シールカバー係止部19の下面に係合して、樹脂ケース8にシールカバー10を組み付けた状態に維持する。
【0046】
次に、
図4〜
図6を参照して固定部材17について説明する。
図4は樹脂ケース8の要部を示す説明図である。
図4において、4は圧力センサ、14はモータポスト、17は前記圧力センサ4の外周面の対向部を挟着する固定部材である。固定部材17は、モータポスト14に対向する位置の両側、詳しくは、モータポスト14と圧力センサ4の中心を結ぶ直線L1と直交する方向の両側に配置されていて、前記モータポスト14を中心にした回動方向の動きを規制している。8cは樹脂ケース8に設けられたコネクタ壁部8cでその内部にはコネクタ端子群31が収容されている。23は、ボルト挿通孔である。
【0047】
図5は
図4のA−A断面図である。圧力センサ4のセンサ端子4aは、回路基板9の下面に設けた端子接触パッド11に接触している。また、モータポスト14内の通電部材の一端部は接続端子45により回路基板9に接続され、他端部は前記モータ12に接続されている。なお、5は油圧ユニット、12は油圧ユニット5の下面に取り付けられたモータ、10はシールカバーである。
【0048】
図6は
図4のB−B断面図である。前記固定部材17は、弾性を有する一対の弾性腕部17a,17aと、これら一対の弾性腕部17a,17aの先端に設けられた爪部17bを備えている。
【0049】
図7に拡大して示したように、前記爪部17bは、圧力センサ4を挿入する際に、圧力センサ4の肩部4bが当たる傾斜面17cと、該傾斜面17cに連続して前記本体部17aの内周面よりも内側に突出する突出部17dと、を備えている。
【0050】
そして、一対の弾性腕部17a,17a間に圧力センサ4を挿入すると、圧力センサ4の肩部4bが前記傾斜面17cに当たって、弾性腕部17aを逃げ方向に撓ませる。そして、これら一対の弾性腕部17a,17aによりガイドされながら、圧力センサ4は、さらに回路基板9側に挿入され、圧力センサ4の頭部が前記中底壁部8bに形成した圧力センサ挿入穴13に挿入されて、センサ端子4aが回路基板9の下面に設けた端子接触パッド11に接触する。
【0051】
図7に示すように、前記一対の弾性腕部17a,17aは、前記爪部17bと反対側の端部において連結部17eによって連結されていて、固定部材17は、一体構造になっている。
【0052】
前記固定部材17は、前記連結部17eを介して樹脂ケース8の中底壁部8bの下面に取り付けられる。連結部17eには圧力センサ4の頭部を挿入する孔17fが形成されている。
【0053】
前記実施例では、一対の弾性腕部17a,17aを連結部17eで連結し、両者を一体構造にした場合を示したが、弾性腕部17a,17aを独立別個に形成して、夫々を樹脂ケース8の中底壁部8bに取り付ける構成としてもよい。また、一対の弾性腕部17a,17aを樹脂ケースと一体的にモールド成形してもよい。
【0054】
前記一対の弾性腕部17a,17aの素材は適度の弾性と機械的強度を備えたものであればその材質は問わず、合成樹脂は勿論のこと金属板であってもよい。
【0055】
図8は、固定部材17の他の例を示す。この例においては、圧力センサ4の周囲に略90°の間隔をもって4個の弾性腕部17aを配置した場合を示す。前述した一対の弾性腕部17a,17aを、モータポスト14に対向する位置の両側に配置されていて、前記モータポスト14を中心にした回動方向の動きを専ら規制した構造を示したが、本例においては、回動方向の動きだけでなく、前方向の動きを規制することができる。他の構成は前述の例と同じであるので重複する説明は省略する。