特許第6192368号(P6192368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6192368-塗装ローラ用支持軸の軸受構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192368
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】塗装ローラ用支持軸の軸受構造
(51)【国際特許分類】
   B05C 17/02 20060101AFI20170828BHJP
   F16C 13/02 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   B05C17/02
   F16C13/02
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-119328(P2013-119328)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-237068(P2014-237068A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】502360374
【氏名又は名称】株式会社インダストリーコーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】西澤 祐司
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−124515(JP,A)
【文献】 特開平08−038983(JP,A)
【文献】 米国特許第04209883(US,A)
【文献】 特開2000−093877(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3048744(JP,U)
【文献】 特許第2990176(JP,B2)
【文献】 米国特許第05210899(US,A)
【文献】 米国特許第03094770(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 7/00−21/00
F16C 13/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装ロールを固定するための固定部を外周に有する共に、長手方向に挿通孔を有する円筒状の外筒部材と、長手方向に挿通孔を有する固定筒部材とからなり、
前記外筒部材は、長手方向の略中央から一方の端部側に半円筒状の蓋部と、半円筒状の本体部とを有し、該本体部と前記蓋部との間は、連結部によって開閉可能に一体的に結合されたものであって、
前記蓋部を前記本体部に閉じた状態で、前記挿通孔を長手方向に有すると共に、該挿通孔の中間部に、該挿通孔よりも大径であって前記固定筒部材を収容可能な収容孔が設けられていることを特徴とする塗装ローラ用支持軸の軸受構造。
【請求項2】
外筒部材の蓋部は、嵌合孔又は嵌合突起を備え、本体部は、前記蓋部の前記嵌合孔又は前記嵌合突起と嵌合する嵌合突起又は嵌合孔を備えていることを特徴とする請求項1に記載の塗装ローラ用支持軸の軸受構造。
【請求項3】
連結部は、外筒部材の外周に設けられたヒンジで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗装ローラ用支持軸の軸受構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の壁面等の塗装に使用する塗装ローラに関し、より詳しくは、塗装ローラの塗装ロールを支持する支持軸の軸受構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の塗装ローラの支持軸の軸受構造としては、外周に塗装ロールを取り付けることができる外筒部材と固定筒の双方に挿通孔を有し、この挿通孔内に塗装ローラ用支持軸を挿通させ、固定筒は、塗装ローラ用支持軸に固定され、外筒部材は、塗装ローラ用支持軸に回動自在となったものが知られている(特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1に記載の発明では、外筒部材の外周に開口部を形成し、この開口部から固定筒を組み込む構造となっている。その為、外筒部材の開口部が設けられた部分の挿通孔の内径を固定筒の外径よりも大きくし過ぎると外筒部材内にて固定筒の位置ずれが発生し、塗装ローラ用支持軸の挿通が難しくなるので、外筒部材の開口部が設けられた部分の挿通孔と固定筒の外径は略等しくなるように作成する必要があり加工精度を要求されていた。
【0004】
一方、外筒部材を軸方向に分割して形成した塗装ローラの発明も知られている(特許文献2及び3)。この発明によって、塗装ローラ用支持軸は、固定筒の挿通孔へ容易に挿通することができるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2772626号公報
【特許文献2】特許第4436554号公報
【特許文献3】特許第4734443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2及び3に記載の塗装ローラの発明では、部品点数が増えると共に、分割した複数の外筒部材を固定する構造が必要となり、分割した複数の外筒部材を組み付ける作業も必要となることから、製造コストが高くなるという課題を有していた。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決する為になされたもので、塗装ローラ用支持軸の固定筒の挿通孔への挿通を容易にすると共に、組み付け作業も容易にすることによって製造コストを低減することができる塗装ローラ用支持軸の軸受構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決する為に、請求項1の塗装ローラ用支持軸の軸受構造の発明は、塗装ロールを固定するための固定部を外周に有する共に、長手方向に挿通孔を有する円筒状の外筒部材と、長手方向に挿通孔を有する固定筒部材とからなり、前記外筒部材は、長手方向の略中央から一方の端部側に半円筒状の蓋部と、半円筒状の本体部とを有し、該本体部と前記蓋部との間は、連結部によって開閉可能に一体的に結合されたものであって、前記蓋部を前記本体部に閉じた状態で、前記挿通孔を長手方向に有すると共に、該挿通孔の中間部に、該挿通孔よりも大径であって前記固定筒部材を収容可能な収容孔が設けられていることを特徴としている。請求項1の発明では、本体部と蓋部との間が連結部によって開閉可能に一体的に結合されているので、本体部と蓋部とに分割されている場合と比較して組み付け作業を短縮することができ、製造コストを低減することができる。また、挿通孔の中間部に設けられた収容孔に固定筒部材を容易に収容することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成よりなる塗装ローラ用支持軸の軸受構造において、外筒部材の蓋部は、嵌合孔又は嵌合突起を備え、本体部は、前記蓋部の前記嵌合孔又は前記嵌合突起と嵌合する嵌合突起又は嵌合孔を備えていることを特徴としている。したがって、蓋部の開閉を容易に行うことができることから、収容孔へ固定筒部材を確実に収容することができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成よりなる塗装ローラ用支持軸の軸受構造において、連結部は、外筒部材の外周に設けられたヒンジで構成されていることを特徴としている。したがって、連結部が複雑な構成となることなく本体部と蓋部とを開閉可能に一体的に結合することができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、本体部と蓋部とを組み付ける作業を短縮することができ、製造コストを低減することができる。また、挿通孔の中間部に設けられた収容孔に固定筒部材を容易に収容することができる。
【0012】
また、請求項2の発明では、蓋部の開閉を容易に行うことができることから、収容孔へ固定筒部材を確実に収容することができる。さらに、請求項3の発明では、連結部が複雑な構成となることなく本体部と蓋部とを開閉可能に一体的に結合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る塗装ローラ用支持軸の軸受構造を適用した塗装ローラの分解斜視図
図2】(a)外筒部材の蓋部を開いた状態の左側面図(b)同正面図(c)同背面図
図3】(a)固定筒部材の左側面図(b)同正面図
図4】本発明に係る塗装ローラ用支持軸の軸受構造を適用した塗装ローラの断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る塗装ローラ用支持軸の軸受構造を適用した塗装ローラの分解斜視図である。この図に示すように、本発明に係る塗装ローラ用支持軸の軸受構造は、塗装ロール1を固定するための固定部2aを外周に有すると共に、長手方向に挿通孔2bを有する円筒状の外筒部材2と、長手方向にスリット3aと、挿通孔3bとを有する固定筒部材3とから構成されている。
【0015】
そして、外筒部材2は、半円筒状の蓋部21と、半円筒状の本体部22とを有し、本体部22と蓋部21との間は、連結部23によって開閉可能に一体的に結合される構造となっている。
【0016】
また、蓋部21を本体部22に閉じた状態で、挿通孔2bを長手方向に有すると共に、挿通孔2bの中間部に、挿通孔2bよりも大径であって固定筒部材3を収容可能な収容孔24が設けられている。
【0017】
そして、一方の端部に取っ手4aが設けられている支持部材4の支持軸4bを、外筒部材2の挿通孔2bと固定筒部材3の挿通孔3bの両方に挿通させて、固定筒部材3を支持軸4bに固定して収容孔24に収容すると、外筒部材2は、支持軸4bに回動自在となり、外筒部材2の固定部2aに固定される塗装ロール1は、支持部材4に対して回動可能な状態となる。
【0018】
尚、塗装ロール1は内筒部材11に、刷毛部材12が植設された構造を有するものであり、内筒部材11の内壁11aに外筒部材2の固定部2aが当接して挿嵌される構造となっている。刷毛部材12は、パイル生地、合成繊維製織物、スポンジ、毛足の長い皮革等各種のものを使用することができる。
【0019】
図2(a)は、外筒部材の蓋部を開いた状態の左側面図であり、図2(b)は、外筒部材の蓋部を開いた状態の正面図であり、図2(c)は、外筒部材の蓋部を開いた状態の背面図である。これらの図を用いて外筒部材2について説明する。
【0020】
前述したように、外筒部材2は、半円筒状の蓋部21と、半円筒状の本体部22とを有し、本体部22と蓋部21との間は、連結部23によって開閉可能に一体的に結合される構造となっている。また、蓋部21を本体部22に閉じた状態で、挿通孔2bを長手方向に有すると共に、挿通孔2bの中間部に、挿通孔2bよりも大径であって固定筒部材3を収容可能な収容孔24が設けられている。そして、蓋部21の2箇所には、嵌合孔25が設けられている。また、本体部22の2箇所には、蓋部21の嵌合孔25と対応する位置に、嵌合突起26が設けられている。
【0021】
そして、蓋部21を本体部22に閉じた状態では、蓋部21の嵌合孔25に本体部22の嵌合突起26が挿嵌されて固定される。尚、蓋部21側に嵌合突起を設け、本体部22側に嵌合孔25を設ける構成としてもよいものである。
【0022】
また、蓋部21と本体部22とを連結する連結部23は、外筒部材2の外周に設けられたヒンジで構成されている。したがって、連結部23が複雑な構成となることなく本体部22と蓋部21とを開閉可能に一体的に結合することができ、射出成形等によって容易に製造することができる。
【0023】
図3(a)は、固定筒部材の左側面図であり、図3(b)は、固定筒部材の正面図である。これらの図を用いて固定筒部材3について説明する。
【0024】
固定筒部材3は、弾力性を備え伸縮可能な材料にて成形されている。そして、固定筒部材3の挿通孔3bの直径は、図1に示した支持軸4bの直径よりも若干小さくなるように成形されており、スリット3aが設けられていることによって、挿通孔3bに、支持軸4bが挿通されると共に、固定筒部材3は、支持軸4bの外周に固定される。
【0025】
図4は、本発明に係る塗装ローラ用支持軸の軸受構造を適用した塗装ローラの断面図である。
【0026】
図4に示すように、支持部材4の支持軸4bが、外筒部材2の挿通孔2bと固定筒部材3の挿通孔3bの両方に挿通した状態で塗装ロール1は、支持部材4に回動自在に固定されている。また、固定筒部材3は、外筒部材2の収容孔24に収容されており、外筒部材2は、塗装ロール1の刷毛部材12が植設された内筒部材11の内壁11aに固定部2aが当接して挿嵌されている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の塗装ローラ用支持軸の軸受構造は、建造物の壁面等の塗装に使用する塗装ローラに適用されて使用される。
【符号の説明】
【0028】
1 塗装ロール
2 外筒部材
2a 固定部
2b 挿通孔
3 固定筒部材
3a スリット
3b 挿通孔
4 支持部材
4a 取っ手
4b 支持軸
11 内筒部材
11a 内壁
12 刷毛部材
21 蓋部
22 本体部
23 連結部
24 収容孔
25 嵌合孔
26 嵌合突起
図1
図2
図3
図4