【実施例】
【0014】
図1は本発明の水回収装置を含むガスタービンシステムの全体系統を示す図である。
【0015】
ガスタービンシステムは、高湿分空気利用ガスタービン1、その排ガス下流側に設置される廃熱回収ボイラ2、さらにその下流に設置されタービンから排出した排ガス中の湿分を回収する水回収装置3を主な構成機器として構成されている。
【0016】
また水回収装置3で回収された水は、冷却装置4にて冷却水としての運用温度にまで冷却され、水処理装置5にて不純物を取り除いた後、廃熱回収ボイラ2に供給され、再利用される。廃熱回収ボイラ2は、高湿分空気利用ガスタービン1の排ガス熱エネルギーを回収して蒸気を発生し、発生蒸気は高湿分空気利用ガスタービン1の燃焼用空気として利用される。
【0017】
図2は、比較例として、特許文献1、特許文献2に示すような従来の水回収装置3の構造を示した概略図である。
図2において、6は整流ノズル、7は充填層、8は散水ノズル、9はデミスタである。
【0018】
従来の考え方によれば、水回収装置3の下部において、装置内部に挿入された入口配管100から約140度の排ガスGが流入する。入口配管100には整流ノズル6が設置されており、流入した排ガスGは、整流ノズル6により均一な流速Goの分布とされて装置上部方向に導かれる。
【0019】
充填層7に到達した排ガスGは、
充填剤表面において、散水ノズル8から散水された冷
却水Wと気液接触し、一部蒸発した水の蒸発潜熱も利用して約35度まで冷却される。凝
縮した排ガス中の湿分は凝縮水として回収される。
【0020】
湿分を回収された排ガスG1は、装置内上部に設置されたデミスタ9によって液体微粒子が取り除かれた後、装置最上部の出口より大気に排気される。
【0021】
図3は、本発明の水回収装置の構造を示した概略構造図である。
図3において10は整流板、11は第1充填層、12は第2充填層、8は散水ノズル、9はデミスタである。
【0022】
水回収装置3の下部に接続されたダクトより流入した約140度の排ガスGは、まず、整流板10によって装置上部方向に流れ方向を90度曲げるよう導かれる。この場合整流板10はガスの流れ方向を上方に向けたのみであって、水回収装置3の狭い容器の中で、ガス入口から遠いほど流速を増すような分布となる。この点、各部の流速を均一に分布させる従来の整流ノズル6とはその機能が相違する。
【0023】
本発明では充填層は上下2層に構成されており、上側の第2充填層12は水回収装置3の容器全体に均一に、同じ厚さに敷設されている。これに対し下側の第1充填層11は、流速分布に合せて排ガス導入部から遠い方に向けて充填層の厚さが大きくなるように敷設されている。
【0024】
上昇した排ガスG1は最初に下層の第1充填層11に到達する。第1充填層11に到達
した排ガスは、
充填剤表面において、散水ノズル8より散水された冷却水と気液接触し、
一部蒸発した水の蒸発潜熱も利用して約80度まで冷却される。凝縮した排ガス中の湿分
は凝縮水として回収される。
【0025】
なお、第1充填層11に排ガスが到達した段階では、排ガス導入部から遠い方に向けて排ガス流速は大きくなっており、流速分布に偏りがある。
図3において排ガス導入部に近い側の排ガス流速G1に対し、排ガス導入部から遠い側の排ガス流速Gnは、Gn>G1とされている。
【0026】
これに対し、先に説明したように、流速分布に合せて排ガス導入部から遠い方に向けて
第1充填層11の厚さを大きくするように充填剤を敷設している。このことにより、
充填
剤の圧力損失の差異によって、第1充填層11上部の排ガス流速分布が流速G0に均一化
される。
【0027】
次に、第2充填層12に排ガスが到達した段階では、排ガスの流速分布は均一であるため、第2充填層12の厚さは均一とされている。ただし、第1充填層11にて排ガスが約80度まで冷却されているため、設計温度を第1充填層11のそれより小さくとることができ、高温用ステンレス系以外の材質の
充填剤使用も選択可能である。
【0028】
なお、第2充填層12の
充填剤表面において散水ノズル8より散水された冷却水と気液接触し、約35度まで冷却され、湿分を回収された排ガスは、装置内上部に設置されたデミスタ9によって液体微粒子が取り除かれた後、装置最上部の出口より大気に排気される。
【0029】
このように本発明では、水回収装置入口の整流ノズルを省くかわりに、充填層を2つの
層に分けて、第1の
充填層の厚さを、排ガスの流速分布に合せて排ガス導入部から遠い方
に向けて厚く配置した。これにより第2の
充填層に流入するガス流速の分布を均一化した
ものである。
【0030】
以上詳細に説明した本発明によれば、水回収装置入口の整流ノズルを省くことができる。この部分には代わりに整流板10を設置すればよい。このため水回収装置の下部の構成を著しく小型化することができ、水回収装置の小型化に貢献するところ大である。