(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ロボットやその他の分野、例えば自動車用着座状態検知、ベッドおよびカーペット用面圧分布検知、車両用衝突状態検知、生体の運動状態検知(例えば、モーションキャプチャ、呼吸状態や筋肉の弛緩状態生体運動検知など)、立ち入り制限区域への不法侵入の検知、スライドドアの異物検知、キーボード入力デバイスなどにおいて、弾性体の曲げをセンサーで検出することが必要である。人形ロボットの動きの制御や外からの圧力に対しての対応をするときに、人形ロボットの皮膚に当たるエラストマーの曲がりを検出することを必要とする。
【0003】
特開2009−258008号公報(特許文献1)には、ヘテロ原子を有する単量体単位を含む重合体または該重合体のブロックを含むブロック共重合体から選ばれ、イオン解離性基を含まない高分子成分と、イオン液体とを含有する非水系高分子固体電解質、および少なくとも一対の電極からなる可撓性素子であって、該可撓性素子の全光線透過率が70%以上であり、該可撓性素子の変形によって起電力を生じることを特徴とする透明性を有する変形センサーが記載されている。起電力を計測するために素子に直接電極を設置することが必要であり、素子と電極の接合面での剥離などが起きやすい。
【0004】
特開2009−19926号公報(引用文献2)には、磁性の塵の磁気空隙への侵入を防止することにより、角度の検出精度を維持することができる磁気式角度センサーが開示されている。円盤状の固体の磁石を用いるために柔軟性がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまでの従来技術では、エラストマーの曲げを検出する優れた検出システムが存在しない。本発明では、エラストマー中に磁性フィラーを分散または偏在させて、それを複数の磁気センサーで検出することにより、柔軟で高感度の曲げセンサーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、磁性フィラーを含むエラストマーと、
前記エラストマーが曲げ変形することで生じた磁気変化を検出する複数個の磁気センサーと、
から構成されることを特徴とする曲げセンサーを提供する。
【0008】
前記磁性フィラーは好ましくはエラストマー中で偏在しており、その偏在度が1〜100である。
【0009】
また、本発明では、前記磁性フィラーはエラストマーの片面側に偏在していて、その偏在面と反対側に複数の磁気センサーを配置するのが好ましい。
【0010】
前記磁性フィラーは希土類系、Fe系、Co系、Ni系、酸化物系であり、平均粒径が0.02〜500μmであるのが好ましい。
【0011】
更に、前記磁性フィラーはエラストマー100重量部に対して1〜450重量部の量で添加されるのが好ましい。
【0012】
特に、前記エラストマーはポリウレタンエラストマーまたはシリコーンエラストマーであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の曲げセンサーによれば、磁性フィラーがエラストマー中に分散していて、そのエラストマーの曲げ状態を複数の磁気センサー、特に3つ以上の磁気センサーで検出することにより、精度が高く曲げ変形を検出することができる。
【0014】
また、本発明の曲げセンサーでは、磁性フィラーをエラストマー内で偏在することができ、その偏在度が1〜100であるので、磁性フィラー間で磁力が打ち消し合う現象が生じることがなく、逆に磁力が揃うことになり、曲げの程度が小さくて変形が非常に小さい時でも、曲げセンサーでの検出が容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明の曲げセンサーの断面を表す模式図であって、曲げが無い場合(
図1左側)と曲げがある場合(
図1右側)を模式的に表している。尚、
図2〜3については、実施例中で説明する。
【0018】
本発明の曲げセンサーは、基本的には、エラストマー1と磁気センサー2とから構成されている。エラストマー1には、磁性フィラー3が多く含まれていて、
図1では、磁性フィラー3は図の上方に偏在していて、その偏在度は好ましくは1〜100である。
図1には、磁気センサー2が3個記載されているが、複数個であるので2個以上であればよい。磁気センサー2が3個以上あると検出精度が向上する。
【0019】
図1の左側では、エラストマー1が曲がっていない状態であるが、
図1の右側では、エラストマー1が扇状に曲げられている。エラストマー1が変形して、磁性フィラー3の位置が大きく異なった配置になる。この磁性フィラー3の変化が磁性フィラー3から出ている磁場の変化をもたらし、それが磁気センサー2で検出される。
【0020】
曲がりが大きいと、磁性フィラー3の位置の変化が大きくなり、逆に曲がりが小さいと、磁性フィラー3の位置変化が小さくなり、それらによる磁場の変化により、曲がりの程度を測定することができる。
【0021】
磁性フィラー3は、好ましくは、エラストマー1の片面側に偏在していて、その偏在面が外側面となるのが好ましい。
図1に示されている態様が、偏在面が外側面となっている。この態様が、磁性フィラー3の変位が大きくなり、検出が容易になる。
【0022】
磁性フィラー3の偏在度は、上述の用語の定義にあるように測定して決定される。偏在度は、1〜100であり、好ましくは2〜90、より好ましくは3〜80である。偏在度が1より小さいときは、磁性フィラーがエラストマー中であまり偏在していないことになり、磁力の打ち消しが生じて、磁気センサーでの検出が難しくなる恐れがある。逆に、偏在度が100であることは、殆ど全ての磁性フィラーがエラストマーの接触面に存在していることになり好ましいが、実際は100以下の値になることが殆どである。
【0023】
磁性フィラー3は、一般的に、稀土類系、鉄系、コバルト系、ニッケル系、酸化物系があるが、これらのいずれでもよい。好ましくは、高い磁力が得られる稀土類系であるが、これに限られない。磁性フィラー3の形状は、特に限定的ではなく、球状、扁平上、針状、柱状および不定形のいずれであってよい。磁性フィラーは、平均粒径0.02〜500μm、好ましくは0.1〜400μm、より好ましくは0.5〜300μmである。平均粒径0.02μmより小さいと、磁性フィラーの磁気特性が悪化してしまう。平均粒径500μmを超えると磁性エラストマーの機械的特性(脆性)が悪化してしまう。
【0024】
磁性フィラー3は、着磁後にエラストマー中に導入してもよいが、通常はエラストマーに導入した後に着磁すること多い。エラストマー中に導入後、着磁すると、磁石の向きが
図1のように揃うことになり、磁力の検出が容易になる。
【0025】
エラストマー1は、一般のエラストマーを用いる事ができるが、圧縮永久歪等の特性を考慮すると熱硬化性エラストマーが好ましい。エラストマーに磁性フィラー添加後撹拌し磁性フィラーを分散させる。また、磁性フィラーの偏在処理をすることでより良好な曲げセンサー特性が得られる。通常は、磁性フィラーを添加した後に室温あるいは所定の温度で静置すると、磁性フィラーの重さで沈降し、下面に磁性フィラーが偏在する。また、偏在を物理的な力、例えば遠心力あるいは磁力、を用いて行ってもよい。
【0026】
エラストマー1は、好ましくはポリウレタンエラストマーまたはシリコーンエラストマーが好適である。ポリウレタンエラストマーの場合、活性水素含有化合物と溶剤と磁性フィラーを混合し、ここにイソシアネート成分を混合させる事により混合液を得る。また、イソシアネート成分に溶剤とフィラーを混合し、活性水素含有化合物を混合させる事で混合液を得る事も出来る。該混合液を離型処理したモールド内に注型し、その時点で所定時間静置して磁性フィラーの沈降による偏在化を行い、その後硬化温度まで加熱して硬化することにより、エラストマーを形成する。シリコーンエラストマーの場合、シリコーンエラストマーの前駆体に溶剤と磁性フィラーを入れて混合し、型内に入れたときに静置して偏在処理をし、その後加熱して硬化することによりエラストマーを形成する。
【0027】
ここで、ポリウレタンエラストマーの場合使用できるイソシアネート成分、活性水素含有化合物については下記のものが挙げられる。
【0028】
イソシアネート成分としては、ポリウレタンの分野において公知の化合物を特に限定なく使用できる。イソシアネート成分としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。また、前記イソシアネートは、ウレタン変性、アロファネート変性、ビウレット変性、及びイソシアヌレート変性等の変性化したものであってもよい。
【0029】
活性水素含有化合物としては、ポリウレタンの技術分野において、通常用いられるものを挙げることができる。例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール等に代表されるポリエーテルポリオール、ポリブチレンアジペートに代表されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクトンのようなポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応物などで例示されるポリエステルポリカーボネートポリオール、エチレンカーボネートを多価アルコールと反応させ、次いで得られた反応混合物を有機ジカルボン酸と反応させたポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシル化合物とアリールカーボネートとのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
活性水素含有化合物として上述した高分子量ポリオール成分の他に、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、スクロース、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、及びトリエタノールアミン等の低分子量ポリオール成分、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチレントリアミン等の低分子量ポリアミン成分を用いてもよい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更に、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(MOCA)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、N,N’−ジ−sec−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、及びp−キシリレンジアミン等に例示されるポリアミン類を混合することもできる。
【0031】
エラストマー中の磁性フィラーの量は、エラストマー100重量部に対して、1〜450重量部、好ましくは2〜400重量部である。1重量部より少ないと、磁場の変化を検出することが難しくなる。また、450重量部を超えると、エラストマー自体が脆くなるなど、所望の特性が得られなくなる。
【0032】
磁気センサー2は、通常磁場の変化を検出するために用いられるセンサーであればよく、磁気抵抗素子(例えば、半導体化合物磁気抵抗素子、異方性磁気抵抗素子(AMR)、巨大磁気抵抗素子(GMR)またはトンネル磁気抵抗素子(TMR))、ホール素子、インダクタ、MI素子、フラックスゲートセンサーなどを例示することができる。感度の点から、ホール素子が好ましく使用される。
【実施例】
【0033】
本発明を実施例により更に詳細に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0034】
ミラブルタイプシリコーンゴムDY32−1000U(東レ・ダウコーニング社製)100重量部、架橋剤RC−4 50P FD(東レ・ダウコーニング社製)0.8重量部、磁性フィラー100.8重量部をラボプラストミル(東洋精機製作所社製4C150−01)にて混練し、磁性フィラーを均一分散させた。
【0035】
170℃のプレス機にて10分加硫した後、200℃のオーブンにて2時間二次加硫する事で1mmのエラストマーシートを得た。得られた該エラストマーシートを1.3Tで着磁することによりシリコーンエラストマーを得た。この場合、得られたシリコーンエラストマー内で磁性フィラーは均一分散していた。
【0036】
上記シリコーンエラストマーを用いて、偏在度を下記の偏在度評価にしたがって測定した。また、磁気センサーとしてホール素子を用いて、曲げセンサーの特性を下記の曲げセンサー特性評価に従って行った。結果を表1に示す。偏在度については、偏在処理時間も表1に記載する。尚、実施例1では混練による均一分散をしている為、偏在処理をしておらず、偏在処理時間は0である。
【0037】
偏在度評価
作製したエラストマーをカミソリ刃で切り出し、サンプル断面をデジタルマイクロスコープにて100倍で観察した。得られた画像を画像解析ソフト(三谷商事社製WinROOF)を用いて、エラストマーの厚み方向に3等分し上段層、中段層、下段層の磁性フィラーの粒子数をカウントした。各層の粒子数と、中段層の粒子数との比率を求める事で、各層の磁性フィラー存在率を求めた。さらに、[上段層の磁性フィラー存在率]−[下段層の磁性フィラー存在率]を求めることにより偏在度とした。ここで、上段層とは
図1の曲げセンサーにおける上面側の層である。
【0038】
曲げセンサー特性評価
基板に磁気センサーとしてホール素子(旭化成エレクトロニクス社製EQ−430L)を
図2のように3個エラストマー上に設置する。
図2において、10が磁気センサーAで、11が磁気センサーBで、12が磁気センサーCであり、エラストマー13の端部14を矢印15の方向に上げていき、矢印の各角度16で磁気センサーの出力電圧を読み取ることで曲げセンサー特性を得た。また、表1には、センサー感度の評価として、曲げ角度90°の時の各ホール素子の出力変化率の値の和を出力和(ΔVout)として指標としたものを記載した。この90°の時のセンサーの出力和の値が高いほどセンサー感度が良好であると考えられる。磁気センサーの各角度での出力和をグラフ化して
図3に表した。
【実施例2】
【0039】
反応容器にポリプロピレングリコール(旭硝子社製、プレミノール7001、数平均分子量6000)40重量部およびポリプロピレングリコール(旭硝子社製、エクセノール3020、数平均分子量3000)60重量部を入れ、撹拌しながら減圧脱水を1時間行った。その後、反応容器内を窒素置換した。次いで、反応容器にトリレンジイソシアネート(三井化学社製、TDI−80、2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)10重量部を添加して、反応容器内の温度を80℃に保持しながら5時間反応させてイソシアネート末端プレポリマーを合成した。
【0040】
次に、ポリプロピレングリコール(旭硝子社製、プレミノール7001、数平均分子量6000)33重量部、ポリプロピレングリコール(旭硝子社製、エクセノール1020、数平均分子量1000)8重量部、触媒としてオクチル酸鉛(東栄化工)0.06重量部、磁性フィラー(愛知製鋼社製MF−15Pネオジム系磁性体粉末、平均粒径133μm)100重量部および希釈剤としてトルエン120重量部の混合液を減圧脱泡した。同様に前記イソシアネート末端プレポリマー59重量部を80℃に加温しながら減圧脱泡した。次いで、前記混合液と前記プレポリマーをハイブリッドミキサー(キーエンス社製)にて混合および脱泡した。この反応液を離型処理したモールド内に注型し、その上に離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムを被せ、ニップロールにて厚みを1mmに調整した。その後、磁性フィラー偏在処理として常温にて120分間静置する事で磁性フィラーを沈降させた。その後、モールドを80℃のオーブンに入れ、1時間硬化を行って、ウレタンエラストマーを得た。得られたエラストマーシートを、着磁装置(電子磁気工業社製)にて1.3Tで着磁することによりポリウレンエラストマーを得た。
【0041】
得られたウレタンエラストマーを用いて、実施例1と同様に、偏在度および曲げセンサー特性評価を測定した。結果を表1に示す。また、各磁気センサーA、BおよびCの測定値から求めたセンサー出力和を
図3にプロットした。
【実施例3】
【0042】
磁性フィラーとして住友金属鉱山社製SmFeN合金微粉、サマリウム系磁性体粉末、平均粒径2.5μmを用いる以外は実施例2と同様にウレタンエラストマーを得た。
【0043】
得られたウレタンエラストマーを用いて、実施例1と同様に、偏在度および曲げセンサー特性評価を測定した。結果を表1に示す。また、各磁気センサーA、BおよびCの測定値から求めたセンサー出力和を
図3にプロットした。
【実施例4】
【0044】
反応容器にシリコーン前駆体(DY−1106A:東レ・ダウコーニング社製)50重量部、磁性フィラー100重量部、トルエン60重量部を入れ撹拌し、室温にて60分間減圧脱泡した。別のシリコーン前駆体(DY−1106B:東レ・ダウコーニング社製)50重量部にトルエン60重量部を入れ撹拌し60分間減圧脱泡を行い、前記混合液とハイブリッドミキサーにて混合および脱泡した。この反応液を離型処理したモールド上に滴下し、その上に離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムを被せ、ニップロールにて厚みを1mmに調整した。その後、磁性フィラー偏在処理として常温にて120分間静置する事で磁性フィラーを沈降させた。その後、モールドを120℃のオーブンに入れ、15分間硬化を行い、さらに200℃で4時間硬化を行うことでシリコーンエラストマーを得た。
【0045】
得られたシリコーンエラストマーシートを、着磁装置(電子磁気工業社製)にて1.3Tで着磁することによりシリコーンエラストマーを得た。
【0046】
得られたシリコーンエラストマーを用いて、実施例1と同様に、偏在度および曲げセンサー特性評価を測定した。結果を表1に示す。また、各磁気センサーA、BおよびCの測定値から求めたセンサー出力和を
図3にプロットした。
【実施例5】
【0047】
実施例4と同様の原料を用いて、トルエン60重量部とし、磁性フィラー偏在処理として常温60分間静置する事で、磁性フィラー偏在度を変更したシリコーンエラストマーを得た。
【0048】
得られたシリコーンエラストマーを用いて、実施例1と同様に、偏在度および曲げセンサー特性評価を測定した。結果を表1に示す。また、各磁気センサーA、BおよびCの測定値から求めたセンサー出力和を
図3にプロットした。
【実施例6】
【0049】
磁性フィラーの量を5重量部に変更する以外は実施例4と同様に処理して、シリコーンエラストマーを得た。
【0050】
得られたシリコーンエラストマーを用いて、実施例1と同様に、偏在度および曲げセンサー特性評価を測定した。結果を表1に示す。また、各磁気センサーA、BおよびCの測定値から求めたセンサー出力和を
図3にプロットした。
【実施例7】
【0051】
磁性フィラーの量を350重量部に変更する以外は実施例4と同様に処理して、シリコーンエラストマーを得た。
【0052】
得られたシリコーンエラストマーを用いて、実施例1と同様に、偏在度および曲げセンサー特性評価を測定した。結果を表1に示す。また、各磁気センサーA、BおよびCの測定値から求めたセンサー出力和を
図3にプロットした。
【実施例8】
【0053】
実施例3と同様の原料を用いて、磁性フィラー偏在処理としての静置は実施せず、磁性フィラー偏在度を低下させた。希釈剤は混合性を向上するために配合した。
【0054】
得られたシリコーンエラストマーを用いて、実施例1と同様に、偏在度および曲げセンサー特性評価を測定した。結果を表1に示す。また、各磁気センサーA、BおよびCの測定値から求めたセンサー出力和を
図3にプロットした。
【0055】
ミラブルタイプシリコーンゴムDY32−1000U(東レ・ダウコーニング社製)100重量部、架橋剤RC−4 50P FD(東レ・ダウコーニング社製)0.8重量部、磁性フィラー100.8重量部をラボプラストミル(東洋精機製作所社製4C150−01)にて混練し、磁性フィラーを均一分散させた。
【0056】
170℃のプレス機にて10分間加硫した後、200℃のオーブンにて2時間二次加硫する事で1mmのエラストマーシートを得た。得られた該エラストマーシートを1.3Tで着磁することによりシリコーンエラストマーを得た。この場合、得られたシリコーンエラストマー内で磁性フィラーは均一分散していた。
【0057】
得られたシリコーンエラストマーを用いて、曲げセンサー特性評価を行った。ここで、
図2の中の10(磁気センサーA)のみに磁気センサーを設置し、11(磁気センサーB)と12(磁気センサーC)には磁気センサーを設置しなかった。
【0059】
表1から明らかなように、実施例1〜8のように磁気センサーが3個設置してある時の出力和が高く曲げセンサー特性は良好である。さらに偏在度が高い場合、曲げセンサー特性は良好となる。一方、比較例1のように、磁気センサーを1個のみ設置した場合には曲げセンサー特性は悪化する事が解る。