特許第6192452号(P6192452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192452
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】基準点鋲
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20170828BHJP
   G01C 15/06 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   G01C15/00 105R
   G01C15/06 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-187454(P2013-187454)
(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公開番号】特開2015-55491(P2015-55491A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】三島 研二
(72)【発明者】
【氏名】貞末 道昭
(72)【発明者】
【氏名】阿部 直宏
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 正樹
(72)【発明者】
【氏名】堤 敬晃
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 恒太
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−113453(JP,U)
【文献】 実開昭57−183511(JP,U)
【文献】 特開2007−033311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00− 1/14
G01C 15/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水準測量の際に標尺を水平面に対して垂直に立てるために所定の面に設置される基準点鋲であって、
平板と、
前記平板の一方の面の中央部に設けられた突起と、を備え、
前記突起は、
一端が前記平板の一方の面の中央部に接合され、前記平板の一方の面に垂直な方向に延在する柱部分と、
前記柱部分の他端に形成された、標尺を置くための球形状の凸曲面を有する凸曲面部分と、を有することを特徴とする基準点鋲。
【請求項2】
前記柱部分は円柱形状を有する、請求項1に記載の基準点鋲。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水準測量の際に標尺を水平面に対して垂直に立てるために床面、壁面等の所定の面に設置される基準点鋲に関する。
【背景技術】
【0002】
水平面に平行な床面等に水準測量標識を設置するために、水準測量の際に標尺を水平面に対して垂直に立てるための基準点鋲が用いられる(例えば、特許文献1)。このような基準点鋲としては、例えば、円形板と、円形板の一方の面の中央部に設けられた、標尺を置くための凸曲面を有する凸曲面部分と、を有する基準点鋲が市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−92512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トンネル等において、水準測量標識は、水平面に平行な床面の他に、水平面に対して所定の角度(例えば、45°)だけ傾斜した床面、水平面に対して垂直な壁面等にも設置される。水準測量標識が水平面に平行でない面に設置される場合、標尺の形状によっては標尺を基準点鋲(例えば、標尺を置くための凸曲面部分)に置いたときに標尺の一端が基準点鋲に当接するために標尺を水平面に対して垂直に立てることができないことがある。
【0005】
本発明の目的は、設置場所が水平面に対して平行でない場合も含めてほとんどの場合に水準測量の際に標尺を水平面に対して垂直に立てることができる基準点鋲を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による基準点鋲は、水準測量の際に標尺を水平面に対して垂直に立てるために所定の面に設置される基準点鋲であって、平板と、平板の一方の面の中央部に設けられた突起と、を備え、突起は、一端が平板の一方の面の中央部に接合され、平板の一方の面に垂直な方向に延在する柱部分と、柱部分の他端に形成された、標尺を置くための凸曲面を有する凸曲面部分と、を有することを特徴とする。
【0007】
好適には、柱部分は円柱形状を有する。
【0008】
好適には、凸曲面部分は半球形状を有する。
【0009】
好適には、凸曲面部分は球形状を有する。
【0010】
本発明によれば、平板の一方の面の中央部に設けられた突起が、平板の一方の面に垂直な方向に延在する柱部分を有するので、標尺を基準点鋲に置いたときに標尺の一端が基準点鋲に当接しなくすることができる。したがって、基準点鋲の設置場所が水平面に対して平行であるか否かに関係なく水準測量の際に標尺を水平面に対して垂直に立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による基準点鋲の第1の実施の形態の斜視図である。
図2図1に示す基準点鋲の上面図である。
図3図2に示す基準点鋲を矢印A方向から見たI−I断面図である。
図4図1に示す基準点鋲の下面図である。
図5図1の基準点鋲を水平面に平行な床面に設置した状態を示す図である。
図6図1の基準点鋲を水平面に対して所定の角度だけ傾斜した床面に設置した状態を示す図である。
図7図1の基準点鋲を垂直面に平行な壁面に設置した状態を示す図である。
図8】本発明による基準点鋲の第2の実施の形態の斜視図である。
図9図8に示す基準点鋲の上面図である。
図10図9に示す基準点鋲を矢印A’方向から見たII−II断面図である。
図11図8に示す基準点鋲の下面図である。
図12図8基準点鋲を水平面に平行な床面に設置した状態を示す図である。
図13図8の基準点鋲を水平面に対して所定の角度だけ傾斜した床面に設置した状態を示す図である。
図14図8の基準点鋲を垂直面に平行な壁面に設置した状態を示す図である。
図15図8の基準点鋲を垂直面に対して右回りを正として0°より小さい所定の角度だけ傾斜した壁面に設置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による基準点鋲の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明による基準点鋲の第1の実施の形態の斜視図であり、図2は、図1に示す基準点鋲の上面図であり、図3は、図2に示す基準点鋲を矢印A方向から見たI−I断面図であり、図4は、図1に示す基準点鋲の下面図である。
【0013】
図1〜4に示す基準点鋲1は、水準測量の際に標尺を水平面に対して垂直に立てるために床面、壁面等の所定の面に設置され、円形平板2と、円形平板2の一方の面としての平坦な面2aの中央部に設けられた突起3と、を備える。突起3は、一端が円形平板2の面2aの中央部に接合され、円形平板2の面2aに垂直な方向に延在する円柱形状の柱部分3aと、柱部分3aの他端に形成された、標尺を置くための凸曲面を有する凸曲面部分としての半球状の凸曲面部分3bと、を有する。本実施の形態では、円形平板2の他方の面としての平坦な面2bに、同心円状に形成した矩形の溝2b−1,2b−2,2c−3を有する。
【0014】
図5は、図1の基準点鋲を水平面に平行な床面に設置した状態を示す図である。図5において、円形平板2の面2bは、水平面に平行な床面12に接着剤11で固定され、水準測量の際に標尺13を水平面に対して垂直に立てるために、標尺13の底辺を凸曲面部分3bの表面上にある点Aに接触させる。
【0015】
図6は、図1の基準点鋲を水平面に対して所定の角度だけ傾斜した床面に設置した状態を示す図である。図6において、円形平板2の面2bは、水平面に対して所定の角度(例えば、45°)だけ傾斜した床面14に接着剤11で固定され、水準測量の際に標尺13を水平面に対して垂直に立てるために、標尺13の底辺を凸曲面部分3bの表面上にある点Bに接触させる。
【0016】
この場合、標尺13の幅wが予めわかっているときには、標尺13の底辺を凸曲面部分3bと柱部分3aとの境界上にある点Cに接触させたときに標尺の一端13aが基準点鋲1に当接しなくなるようにするために、図6に示すラインl1を標尺13の幅wの半分すなわちw/2より大きくするのが好ましい。柱部分3aの長さをhとし、床面14が垂直面となす角度をθとすると、ラインl1の長さは、h/cosθとなる。したがって、h/cosθをw/2より大きくするのが好ましい。
【0017】
図7は、図1の基準点鋲を垂直面に平行な壁面に設置した状態を示す図である。図7において、台座16は、水平面に対して垂直な壁面15に接着剤17で固定され、円形平板2の面2bは、台座16に接着剤18で固定され、水準測量の際に標尺13を水平面に対して垂直に立てるために、標尺13の底辺を点Cに接触させる。この場合、台座16により、床面15(垂直面)と円形平板2の面2bとのなす角度がθである。
【0018】
この場合も、標尺13の幅wが予めわかっているときには、標尺13を点Cに接触させたときに標尺の一端13aが基準点鋲1に当接しなくなるようにするために、図7に示すラインl2をw/2より大きくするのが好ましい。柱部分3aの長さをhとすると、ラインl2の長さは、h/cosθとなる。したがって、h/cosθをw/2より大きくするのが好ましい。
【0019】
本実施の形態によれば、円形平板2の面2aの中央部に設けられた突起3が、円形平板2の面2aに垂直な方向に延在する柱部分3aを有するので、標尺13を基準点鋲1に置いたときに標尺13の一端13aが基準点鋲1に当接しなくなるようにすることができる。したがって、基準点鋲1の設置場所が水平面に対して平行であるか否かに関係なく水準測量の際に標尺13を水平面に対して垂直に立てることができる。
【0020】
また、これらの溝2b−1,2b−2,2b−3を円形平板2の面2bに形成することによって、溝2b−1,2b−2,2b−3に接着剤12が噛みこんで床面、壁面等に確実に接着されるので、円形平板2の面2bを接着剤12で床面、壁面等に接着したときの面2bの剪断応力が増強される。
【0021】
さらに、柱部分3aの長さをhとし、床面14が垂直面となす角度をθとすると、h/cosθをw/2より大きくすることによって、標尺13の形状がどのような形状であっても標尺13を基準点鋲1に置いたときに標尺13の一端13aが基準点鋲1に当接しなくなるようにすることができる。
【0022】
図8は、本発明による基準点鋲の第2の実施の形態の斜視図であり、図9は、図8に示す基準点鋲の上面図であり、図10は、図9に示す基準点鋲を矢印A’方向から見たII−II断面図であり、図11は、図8に示す基準点鋲の下面図である。
【0023】
図8〜11に示す基準点鋲1’は、水準測量の際に標尺を水平面に対して垂直に立てるために床面、壁面等の所定の面に設置され、突起3’が球状の凸曲面部分3b’を有する点を除いては図1〜4に示す基準点鋲1と同一構造を有する。
【0024】
図12は、図8の基準点鋲を水平面に平行な床面に設置した状態を示す図である。図12において、円形平板2の面2bは、水平面に平行な床面12に接着剤11で固定され、水準測量の際に標尺13を水平面に対して垂直に立てるために、標尺13の底辺を凸曲面部分3b’の表面上にある点A’に接触させる。
【0025】
図13は、図8の基準点鋲を水平面に対して所定の角度だけ傾斜した床面に設置した状態を示す図である。図13において、円形平板2の面2bは、水平面に対して所定の角度(例えば、45°)だけ傾斜した床面14に接着剤11で固定され、水準測量の際に標尺13を水平面に対して垂直に立てるために、標尺13の底辺を凸曲面部分3b’の表面上にある点B’に接触させる。
【0026】
この場合、標尺13の幅wが予めわかっているときには、標尺13を点B’に接触させたときに標尺の一端13aが基準点鋲1’に当接しなくなるようにするために、図13に示すラインl3をw/2より大きくするのが好ましい。面2aの中心から凸曲面部分3bの中心までの距離をh’とし、凸曲面部分3bの半径をrとし、床面14が垂直面となす角度をθとすると、ラインl3の長さは、(r・sinθ+h’)/cosθとなる。したがって、(r・sinθ+h’)/cosθをw/2より大きくするのが好ましい。
【0027】
図14は、図8の基準点鋲を垂直面に平行な壁面に設置した状態を示す図である。図14において、台座16は、水平面に対して垂直な壁面15に接着剤17で固定され、円形平板2の面2bは、台座16に接着剤18で固定され、水準測量の際に標尺13を水平面に対して垂直に立てるために、標尺13の底辺を凸曲面部分3b’の表面上にある点C’に接触させる。この場合、台座16により、床面15(垂直面)と円形平板2の面2bとのなす角度がθである。
【0028】
この場合も、標尺13の幅wが予めわかっているときには、標尺13を点C’に接触させたときに標尺の一端13aが基準点鋲1’に当接しなくなるようにするために、図14に示すラインl4をw/2より大きくするのが好ましい。面2aの中心から凸曲面部分3bの中心までの距離をh’とし、凸曲面部分3bの半径をrとすると、ラインl4の長さは、(r・sinθ+h’)/cosθとなる。したがって、(r・sinθ+h’)/cosθをw/2より大きくするのが好ましい。
【0029】
図15は、図8の基準点鋲を垂直面に対して右回りを正として0°より小さい所定の角度だけ傾斜した壁面に設置した状態を示す図である。図15において、円形平板2の面2bは、垂直面に対して所定の角度(例えば、右回りを正として330°)だけ傾斜した壁面19に接着剤11で固定され、水準測量の際に標尺13を水平面に対して垂直に立てるために、標尺13の底辺を凸曲面部分3b’の表面上にある点Dに接触させる。垂直面と円形平板2の面2aとのなす角度をθとした場合、θ=330°−360°=−30°となる。
【0030】
この場合、標尺13の幅wが予めわかっているときには、標尺13を点Dに接触させたときに標尺の側面が基準点鋲1’に当接しなくなるようにするために、図15に示すラインl5をw/2より大きくするとともに、接触点Dが凸曲面部分3b’上に確保できるように柱部分3aの径の最大値(円柱形状の場合は直径、四角柱形状の場合は対角線の長さ)を凸曲面部分3b’の直径より小さくするのが好ましい。面2aの中心から凸曲面部分3bの中心までの距離をh’とし、凸曲面部分3bの半径をrとし、円形平板2の面2aの垂直上方の端から標尺13の底辺の延長線上に下した垂線に相当する図15のラインl6の長さをdとすると、ラインl5の長さは、(h’/cosθ−r・tanθ−d・tanθ)となる。したがって、(h’/cosθ−r・tanθ−d・tanθ)をw/2より大きくするのが好ましい。
【0031】
本実施の形態によれば、円形平板2の面2aの中央部に設けられた突起3’が柱部分3aの他に球状の凸曲面部分3b’を有するので、基準点鋲1’を垂直面に対して所定の角度だけ傾斜した壁面19に設置した場合でも、標尺13を基準点鋲1’に置いたときに標尺13の一端13aが基準点鋲1’に当接しなくなるようにすることができる。また、基準点鋲1’を垂直面に対して所定の角度だけ傾斜した壁面19に設置した場合でも、標尺13を基準点鋲1’に置いたときに標尺13が壁面19に衝突しないので、水準測量の際の作業性が向上する。
【0032】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。例えば、上記実施の形態において、突起が円柱形状の柱部分を有する場合について説明したが、円柱形状以外の形状(例えば、四角柱形状)の柱部分を有することもできる。また、凸曲面部分が半球形状又は球形状を有する場合について説明したが、凸曲面部分が略半球形状、略球形状等の他の凸曲面形状を有してもよい。さらに、上記実施例では円形平板を例に説明したが、必ずしも円形に限る必要はなく、例えば任意の多角形で構成してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1,1’ 基準点鋲
2 円形平板
2a,2b 面
2c−1,2c−2,2c−3,2c−4 溝
3,3’ 突起
3a 柱部分
3b,3b’ 凸曲面部分
11,17,18 接着剤
12,14 床面
13 標尺
13a 一端
13b 他端
15,19 壁面
16 台座
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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