(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192459
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】道路舗装機械
(51)【国際特許分類】
E01C 19/48 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-195695(P2013-195695)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-59401(P2015-59401A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2015年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(74)【代理人】
【識別番号】100060575
【弁理士】
【氏名又は名称】林 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 哲也
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−101141(JP,A)
【文献】
特開平10−252012(JP,A)
【文献】
特開2010−270588(JP,A)
【文献】
特開2001−123859(JP,A)
【文献】
特開2003−214212(JP,A)
【文献】
特開2004−116448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00〜 19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に敷いたアスファルト合材を、電気ヒータで加熱されたスクリードプレートで敷き均すスクリード装置と、
車両用エンジンにより駆動される油圧ポンプと、
該油圧ポンプから吐出される作動油で駆動される発電機用油圧モータ及び各種のアクチュエータを駆動するためのアクチュエータ用油圧モータと、
該発電機用油圧モータの駆動力で回転し発電する発電機と、を備え、
前記発電機で生成された電力を前記電気ヒータに供給する道路舗装機械において、
前記舗装機械の動作モードを検出するコントローラを有し、
該コントローラが道路舗装機械の動作が施工中と判定した場合に、該判定後は、オペレータが前記スクリード装置を作動させるための切り替え操作と、コンベア・スクリュを作動させるための切り替え動作の、2つの操作の一方、若しくは、両方がオフ状態である未施工モードの場合でも前記発電機用油圧モータにおける以後の回転速度を施工モード用に固定し、前記電気ヒータの加熱出力を一定に保持することを特徴とする道路舗装機械。
【請求項2】
前記発電機用油圧モータは、道路舗装機械の動作が施工モードのときに使用される回転速度と、未施工モードのときに使用される回転速度の、2段階に切り替え可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載の道路舗装機械。
【請求項3】
前記コントローラは、道路舗装機械の動作が施工モードのときには、前記電気ヒータの加熱出力を最大加熱出力の約50パーセントに維持するように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の道路舗装機械。
【請求項4】
前記コントローラは、オペレータが前記スクリード装置を作動させるための切り替え操作と、コンベア・スクリュを作動させるための切り替え操作の、2つの操作が同時に成立したときに、前記道路舗装機械の動作が施工モードに切り替えられたと判定することを特徴とする請求項1、2または3に記載の道路舗装機械。
【請求項5】
前記コントローラは、前記道路舗装機械の走行モードが低速、かつ前進走行で、コンベア・スクリュ、及び前記スクリード装置がそれぞれ作動状態に切り替えられたときに、前記道路舗装機械の動作が施工中に切り替えられたと判定することを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の道路舗装機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路舗装機
械に関するものであり、特に、エンジンにより駆動される油圧ポンプの駆動力で発電機を回転させ、その発電機で生成された電力を電気ヒータに供給し、その電気ヒータでスクリードプレートを加熱する道路舗装機
械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の道路舗装機械における発電制御装置は、例えば特許文献1等で知られている。
【0003】
特許文献1における道路舗装機械の発電制御装置は、エンジンの動力取り出し口、すなわちPTO(Power takeoff)からVベルト等を介して発電機を直接駆動し、エンジンの回転時に発電機を常時回転させておく方式が採用されている。このように、エンジンの動力取り出し口からVベルトを介して発電機を直接駆動する方法では、発電機の回転がエンジンの回転数に依存するため、エンジンがアイドリング状態にあるような場合には、発電機の回転が不足し、十分な電力を出力できない場合がある。
【0004】
図5は、従来の道路舗装機械であるアスファルトフィニッシャに搭載された発電制御系統の回路ブロック図である。同図において、この発電制御系統の回路では、道路舗装機械全体を、決められた手順に従って制御するコントローラ100を備えている。該コントローラ100は、主としてマイクロコンピュータからなる。
【0005】
エンジン101の出力軸(図示せず)には、油圧ポンプ102が接続されている。その油圧ポンプ102の吐出ライン103は、電磁比例式の流量制御弁である電磁比例弁104を介して、スクリュ105を駆動するアクチュエータ用油圧モータ106に作動油を供給するための吐出ライン103aと、コンベア107を駆動するアクチュエータ用油圧モータ108に作動油を供給するための吐出ライン103bと、発電機109を駆動する発電機用油圧モータ110に作動油を供給するための吐出ライン103cとに分岐されている。
【0006】
また、発電機109には、スクリード装置111のスクリードプレート(図示せず)を加熱するための電気ヒータ112が接続されており、その発電機109で生成された電力を電気ヒータ112に供給して、その電気ヒータ112でスクリードプレートを加熱できるようになっている。
【0007】
前記電磁比例弁104は、コントローラ100からの指令信号により制御されるものであり、コントローラ100からの指令信号が出力されると、そのコントローラ100の指令信号に対応した弁開度をもって開弁し、前記油圧ポンプ102からの作動油を各油圧モータ106,108,110側にそれぞれ流して、各油圧モータ106,108,110を回転させる。
【0008】
また、発電機用油圧モータ110は、高速回転と低速回転の2段階に切り替え可能な2速油圧モータである。そして、コントローラ100は、運転席に配置された運転席パネル114のコンベア・スクリュのスイッチ114aがオペレータによりオン操作されていないとき、すなわちスクリュ105及びコンベア107が作動されていない作動休止中には、発電機用油圧モータ110を高速で回転させるモードに切り替え、反対に、コンベア・スクリュを起動・停止するためのスイッチ、すなわちコンベア・スクリュ関連スイッチ114aが操作されて、スクリュ105及びコンベア107が作動している施工中は発電機用油圧モータ110が低速で回転するモードに切り替えるように、電磁比例弁104及び電機用油圧モータ110をそれぞれ制御する。
【0009】
図6は、従来の道路舗装機械における発電制御系統におけるコントローラの一動作例を示すタイムチャートである。なお、
図6中、横軸は時間Tを示し、縦軸は電気ヒータ112の加熱出力(%)を示す。
【0010】
図6に示すように、従来の発電制御装置の動作は、コンベア・スクリュ関連スイッチ114aが操作されて、スクリュ105及びコンベア107が共に作動された道路舗装機械の施工モードの期間(c/s・on)、コントローラ100は、アクチュエータ用油圧モータ106、108と並行して駆動させるために、発電機用油圧モータ110を低速で回転させて、電気ヒータ112の加熱出力を約50%に抑えている。一方、コンベア・スクリュ関連スイッチ114aが操作されずに、スクリュ105及びコンベア107が作動を休止している未施工モードの期間(c/s ・off)は、発電機用油圧モータ110を高速で回転させて、電気ヒータ112の加熱出力を約100%に開放している。
【0011】
また、施工モードの期間(c/s・on)から未施工モードの期間(c/s ・off)に切り替える際、及び、施工モードの期間(c/s ・off)から未施工モードの期間(c/s・on)に切り替える際には、発電機109の周波数が変動し、その変動によって発電機109や電気回路が破損をする虞がある。このため、施工モードの期間(c/s・on)から未施工モードの期間(c/s ・off)に切り替える際、及び、未施工モードの期間(c/s ・off)から施工モードの期間(c/s・on)に切り替える際には、発電機用油圧モータ110の回転を一度停止させ、再度立ち上げ直すことが必要となる。
【0012】
したがって、施工モードの期間(c/s・on)から未施工モードの期間(c/s ・off)、未施工モードの期間(c/s ・off)から施工モードの期間(c/s・on)に切り替える際には、その立ち上げ直すための時間tが各々必要となる。また、施工モードの期間(c/s・on)から未施工モードの期間(c/s ・off)への切り替え、未施工モード期間(c/s ・off)から施工モード期間(c/s・on)への切り替えが頻繁に行われると、切り替わっている時間だけ発電機用油圧モータ110の回転が停止し、発電機109の電力も止まる。これにより、電気ヒータ112への電力供給が止まり、切り替わっている時間tだけ加熱されない時間となってしまうため、十分な加熱ができないことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平10−252012号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したように、従来の道路舗装機械における発電制御装置の動作は、施工モードの期間(c/s・on)から未施工モードの期間(c/s ・off)に切り替える際、及び、未施工モードの期間(c/s ・off)から施工モードの期間(c/s・on)に切り替える際には、発電機用油圧モータの回転を一度停止させ、その後、再度立ち上げ直すようにしている。このため、例えば施工モードの期間(c/s・on)中に、オペレータが材料の量を調整するのに、コンベア・スクリュ関連スイッチ114aを切る等、コンベア・スクリュ関連スイッチ114aの切り替え操作が頻繁に行われると、切り替わっている時間tだけ発電機用油圧モータ110及び発電機109の回転が止まる。また、電気ヒータ112への電力供給も停止し、電気ヒータ112を安定して加熱している時間が短くなり、その結果、電気ヒータ112によるスクリードプレートの十分な加熱ができないという問題点があった。
【0015】
そこで、本発明では、道路舗装機械の動作モードをコントローラに認識させ、舗装機械が施工モードに切り替えられた後は、発電機用油圧モータの回転速度を固定し、スクリードプレートを加熱させる電気ヒータの加熱出力を安定させることができるようにした道路舗装機
械を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、路面に敷いたアスファルト合材を、電気ヒータで加熱されたスクリードプレートで敷き均すスクリード装置と、車両用エンジンにより駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出される作動油で駆動される発電機用油圧モータ及び各種のアクチュエータを駆動するためのアクチュエータ用油圧モータと、該発電機用油圧モータの駆動力で回転し発電する発電機と、を備え、前記発電機で生成された電力を前記電気ヒータに供給する道路舗装機
械において、前記舗装機械の動作モードを検出する
コントローラを有し、該
コントローラが道路舗装機械の動作が施工
中と判定した場合に、
該判定後は、オペレータが前記スクリード装置を作動させるための切り替え操作と、コンベア・スクリュを作動させるための切り替え動作の、2つの操作の一方、若しくは、両方がオフ状態である未施工モードの場合でも前記発電機用油圧モータにおける以後の回転速度を施工モード用に固定し、前記電気ヒータの加熱出力を一定に保持す
る、道路舗装機械における発電制御装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、コントローラは
、道路舗装機械が施工モードに切り替えられたことを認識すると、発電機用油圧モータにおける以後の回転速度を施工モード用に固定し、スクリード装置の電気ヒータによる加熱出力を一定に保持する。これにより、道路舗装機械におけるスクリード装置の電気ヒータによるスクリードプレートの加熱が安定的に行えるようになる。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、前記発電機用油圧モータは、道路舗装機械の動作が施工モード中のときに使用される回転速度と、未施工モード中のときに使用される回転速度の、2段階に切り替え可能に形成されている、道路舗装機
械を提供する。
【0019】
この構成によれば、コントローラは
、道路舗装機械の動作が施工モード中にあるということを認識すると、発電機用油圧モータの回転を施工モード以外のときに使用される回転速度から、施工モード用の回転速度に切り替える。これにより、発電機用油圧モータを道路舗装機械の負荷に応じた回転速度で駆動し、電気ヒータによるスクリードプレートの加熱を安定的に行うことができる。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の構成において、前記コントローラは、道路舗装機械の動作が施工モード中のときには、前記電気ヒータの加熱出力を最大加熱出力の約50パーセントに維持するように制御する、道路舗装機
械を提供する。
【0021】
この構成によれば、道路舗装機械の動作が施工モード中にあるとき、発電機用油圧モータを他の作業機を駆動するアクチュエータ用油圧モータと並行して駆動できるようにするため、電気ヒータの加熱出力を最大加熱出力の約50%確保できるように保持し、電気ヒータによるスクリードプレートの加熱を安定させることができる。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3に記載の構成において、前記コントローラは、オペレータが前記スクリード装置を作動させるための切り替え操作と、コンベア・スクリュを作動させるための切り替え操作の、2つの操作が同時に成立したときに、前記道路舗装機械の動作が施工モードに切り替えられたと判定する、道路舗装機
械を提供する。
【0023】
この構成によれば、オペレータがスクリード装置を作動させるための切り替え操作と、コンベア・スクリュを作動させるための切り替え操作の、2つの操作が同時に行われると、コントローラは道路舗装機械の動作が施工モードに切り替わったと判定し、発電機用油圧モータの回転速度を固定して、電気ヒータの加熱出力を一定に保持する。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3または4に記載の構成において、前記コントローラは、前記道路舗装機械の走行モードが低速、かつ前進走行で、コンベア・スクリュ、及び前記スクリード装置がそれぞれ作動状態に切り替えられたときに、前記道路舗装機械の動作が施工
中に切り替えられたと判定する、道路舗装機
械を提供する。
【0025】
この構成によれば、走行モードが低速、かつ前進走行で、コンベア・スクリュ及びスクリード装置がそれぞれ作動状態に切り替えられると、コントローラは道路舗装機械の動作が施工
中に切り替えられたと判定し、発電機用油圧モータの回転速度を固定して、電気ヒータの加熱出力を一定に保持する。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、道路舗装機械が施工モードであるということをコントローラに認識させ、コントローラが施工モードであると認識すると、発電機用油圧モータにおける以後の回転を施工モード以外のときに使用される回転速度から、施工モードのときの回転速度に切り替えて固定し、施工モード中にスクリード装置の電気ヒータによる加熱出力を一定に保持してスクリードプレートを安定的に加熱することができるので、施工品質の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明を適用したアスファルトフィニッシャの平面図。
【
図3】同上アスファルトフィニッシャに搭載している発電制御系統の回路ブロック図。
【
図4】同上発電制御系統におけるコントローラの一動作例を説明するタイムチャート。
【
図5】従来のアスファルトフィニッシャに搭載している発電制御系統の回路ブロック図。
【
図6】従来の発電制御系統におけるコントローラの一動作例を説明するタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、道路舗装機械の動作モードをコントローラに認識させ、舗装機械の施工モードに切り替えられた後は、発電機用油圧モータの回転速度を固定し、スクリードプレートを加熱させる電気ヒータの加熱出力を安定させることができるようにした道路舗装機械における発電制御装置を提供するという目的を達成するために、路面に敷いたアスファルト合材を、電気ヒータで加熱されたスクリードプレートで敷き均すスクリード装置と、車両用エンジンにより駆動される油圧ポンプと、該油圧ポンプから吐出される作動油で駆動される発電機用油圧モータ及び各種のアクチュエータを駆動するためのアクチュエータ用油圧モータと、該発電機用油圧モータの駆動力で回転し発電する発電機と、を備え、前記発電機で生成された電力を前記電気ヒータに供給する道路舗装機
械において、前記舗装機械の動作モードを検出する
コントローラを有し、該
コントローラが道路舗装機械の動作が施工
中と判定した場合に、
該判定後は、オペレータが前記スクリード装置を作動させるための切り替え操作と、コンベア・スクリュを作動させるための切り替え動作の、2つの操作の一方、若しくは、両方がオフ状態である未施工モードの場合でも前記発電機用油圧モータにおける以後の回転速度を施工モード用に固定し、前記電気ヒータの加熱出力を一定に保持す
る、ことにより実現した。
【0029】
以下、本発明の道路舗装機械における発電制御装置について、好適な実施例をあげて詳細に説明する。
【実施例】
【0030】
図1及び
図2は本発明を適用した道路舗装機械としてのアスファルトフィニッシャを示し、
図1はその平面図、
図2はその側面図である。
【0031】
同図において、アスファルトフィニッシャ1は、前輪2aと後輪2bに支持された車体3と、該車体3のパワーユニット4内に搭載されているエンジン5(
図1参照)の動力で走行する自走式の車両(走行車両)6と、該車両6の前部に設けられたアスファルト合材を収容するためのホッパ装置7と、前記車両6の後部に車体3の幅方向(
図1で上下方向、
図2で紙面に垂直な方向)に向けて支持されているスクリュ(送出装置)8と、前記ホッパ装置7の底部とスクリュ8との間において前記車体3にその前後方向(
図1、
図2で左右方向)に沿って設けられているコンベア(フィーダ装置)9と、前端を車両6の前後方向における中央の両側部に回動自在に支持され、後端部をシリンダ10で車体3に上下動可能に支持されているレベリングアーム11と、該レベリングアーム11の後端に支持され、かつ、シリンダ(図示せず)で上下に回動可能となっている車両6の幅方向に伸縮自在のスクリード装置12と、操縦装置14を有する運転席15とを備えている。なお、このアスファルトフィニッシャ1の構成は、従来のアスファルトフィニッシャの構成と基本的に同一になっている。
【0032】
図3は
図1及び
図2に示したアスファルトフィニッシャ1に搭載された発電機制御装置を構成しているパワー系統の回路図である。同図において、同図において、この制御系では、道路舗装機械であるアスファルトフィニッシャ1の全体を、決められた手順に従って制御するためのコントローラ20を備えている。該コントローラ20は、主としてマイクロコンピュータからなる。
【0033】
前記エンジン5の出力軸(図示せず)には、油圧ポンプ21が接続されている。その油圧ポンプ21の吐出ライン22は、電磁比例式の流量制御弁である電磁比例弁23を介して、スクリュ8を駆動するアクチュエータ用油圧モータ24に作動油を供給するための吐出ライン22aと、コンベア9を駆動するアクチュエータ用油圧モータ25に作動油を供給するための吐出ライン22bと、発電機26を駆動する発電機用油圧モータ27に作動油を供給するための吐出ライン22cとに分岐されている。
【0034】
また、発電機26には、スクリード装置12のスクリードプレート(図示せず)を加熱するための電気ヒータ28が接続されており、その発電機26で生成された電力を電気ヒータ28に供給して、その電気ヒータ28でスクリードプレートを加熱できるようになっている。
【0035】
前記電磁比例弁23は、コントローラ20からの指令信号により制御されるものであり、コントローラ20からの指令信号が出力されると、そのコントローラ20の指令信号に対応した弁開度をもって開弁し、前記油圧ポンプ21からの作動油を各油圧モータ24,25,27側にそれぞれ流して、各油圧モータ24,25,27を回転させる。
【0036】
また、発電機用油圧モータ27は、高速回転と低速回転の2段階に切り替え可能な2速油圧モータである。そして、コントローラ20は、運転席に配置された運転席パネル29のスイッチ30a及スイッチ30bの2つのスイッチが共にオフ状態のときには未施工モードで負荷が少ないと判断して発電機用油圧モータ27を高速で回転させるモードに切り替え、反対に、スイッチ30a及スイッチ30bの2つのスイッチが共にオン状態に切り替えると施工モードで負荷が大きいと判定し、発電機用油圧モータ27を低速で回転させるモードとなるように、施工の負荷に応じて電磁比例弁104及び電機用油圧モータ27を制御するようになっている。なお、本実施例では、アスファルトフィニッシャ1における施工負荷に応じて加熱能力を切り替えるために、発電機用油圧モータ27の回転を高速・低速の2段階に切り替えているが、必ずしも2段階でなく、2段階以上の多段階であってもよい。
【0037】
また、本実施例では、前記スイッチ30aは、スクリュ8及びコンベア9の動作を制御させるための信号をコントローラ20に入力するためのスイッチであり、コントローラ20は、スイッチ30aがオン操作されるとスクリュ105及びコンベア107の作動を開始させ、オフ操作されると停止させる。前記スイッチ30bは、スクリード装置12の動作を制御させるための信号をコントローラ20に入力するためのスイッチであり、コントローラ20は、スイッチ30bがオン操作されると、スクリード装置12を路面上に下げて締め固め走行を行う施工モードに切り替え、オフ操作されるとスクリード装置12を上昇させて路面から離す休止モードに切り換えるようになっている。
【0038】
図4は、アスファルトフィニッシャ1における発電制御系統におけるコントローラ20の一動作例を示すタイムチャートである。なお、
図4中、横軸は時間Tを示し、縦軸は電気ヒータ28の加熱出力(%)を示す。
【0039】
コントローラ20の一動作例を
図3、
図4と共に説明すると、コントローラ20は、制御判定部31により、スイッチ30a、30bの切り替え操作を監視しており、スイッチ30a、30bが共にオン状態にある場合は、コンベア9及びスクリュ8が動作状態で、かつスクリード装置12も動作状態にあり、コントローラ20はアスファルトフィニッシャ1のモードが施工モード(c/s・on)と判定する。そして、各種アクチュエータであるコンベア9及びスクリュ8と、スクリード装置12を並行動作させるために、スクリード装置12で必要な電力が発電機26で得られるように、電磁比例弁23が発電機用油圧モータ27へ供給する作動油の流量を固定して、発電機用油圧モータ27を高速モードに切り替え、電気ヒータ28による加熱出力が例えば50%以下にならないように固定する。
【0040】
一方、スイッチ30aまたはスイッチ30bの一方、または両方がオフ状態にある場合は、コントローラ20の制御判定部31がアスファルトフィニッシャ1のモードが作業休止モード中、すなわち未施工モード(c/s ・off)と判定する。ここでは、各種アクチュエータであるコンベア9及びスクリュ8が休止中であるので、発電機用油圧モータ27を一旦、低速モードに切り替える。その低速モードに切り換える際には、発電機用油圧モータ27の回転を一度停止させ、再度立ち上げ直す。これにより、アスファルトフィニッシャ1は、未施工モード(c/s ・off)となり、コントローラ20は発電機用油圧モータ27を低速モードに切り換え、一時的に電気ヒータ28による加熱出力が100%となるようにする。
【0041】
その後、スイッチ30a、30bが共にオン状態に切り替えられた場合、コントローラ20の制御判定部31は、アスファルトフィニッシャ1のモードが施工モード(c/s・on)に切り替えられたと判定する。そして、エンストを防止するために発電機用油圧モータ27の回転を一度停止させ、再度立ち上げ直す。その後は、各種アクチュエータであるコンベア9及びスクリュ8と、スクリード装置12を並行動作させるために、スクリード装置12で必要な電力が発電機26で得られるように、発電機用油圧モータ27の回転速度を高速モードに切り替えて固定し、電気ヒータ28による加熱出力が例えば50%以下にならないように固定する。以後は、スファルトフィニッシャ1のモードが施工モード(c/s・on)、未施工モード(c/s ・off)に係わらず、この状態を固定し、電気ヒータ28による加熱出力を略一定に維持する。
【0042】
したがって、本実施例によるアスファルトフィニッシャ1によれば、未施工モード(c/s ・off)から施工モード(c/s・on)に切り替えた後は、発電機用油圧モータ27の回転速度を高速モードに切り替えて固定するので、施工モード後は電気ヒータの出力切り替えがなくなり、切り替え時間tが不要になる。そして、電気ヒータ28による加熱出力が例えば50%以下にならないように固定するので、スクリード装置12のスクリードプレートを安定的に加熱することができる。これにより、施工品質の向上が期待できる。
【0043】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明は道路舗装機械の発電制御装置以外に、例えば乳剤散布機能付アスファルトフィニッシャの発電制御装置や、建設機械である油圧ショベル等の発電制御装置にも応用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 アスファルトフィニッシャ(道路舗装機械)
7 ホッパ装置
8 スクリュ
9 コンベア
12 スクリード装置
14 操縦装置
20 コントローラ
21 油圧ポンプ
22 吐出ライン
22a〜22c 吐出ライン
23 電磁比例弁
24 アクチュエータ用油圧モータ(スクリュ)
25 アクチュエータ用油圧モータ(コンベア)
26 発電機
27 発電機用油圧モータ
28 電気ヒータ
29 運転席パネル
30a、30b スイッチ
31 制御判定部