特許第6192471号(P6192471)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192471
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】標識装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/00 20160101AFI20170828BHJP
【FI】
   E01F9/00
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-207896(P2013-207896)
(22)【出願日】2013年10月3日
(65)【公開番号】特開2015-71893(P2015-71893A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000169879
【氏名又は名称】高田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100084261
【弁理士】
【氏名又は名称】笹井 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】宝槻 秀雄
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−029465(JP,A)
【文献】 実開昭48−046591(JP,U)
【文献】 実開昭49−067576(JP,U)
【文献】 特開2003−293329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00
B60Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に積載して指標を表示するとともに他の車両に注意を喚起する標識装置において、
車両上に装着されるベースに、指標を表示する標識部を支持する起倒体の基部を起倒可能に枢支し、
前記起倒体の先端部に、他の車両に注意を促す警光灯を回動可能に支持し、
前記起倒体の倒伏時に前記警光灯を回動させて前記起倒体よりも低い位置に格納可能であることを特徴とする標識装置。
【請求項2】
車両に積載して指標を表示するとともに他の車両に注意を喚起する標識装置において、
車両上に装着されるベースと、該ベースに基端部が起倒可能に枢支された起倒体と、該起倒体に支持された、指標を表示する標識部と、前記起倒体の先端部に回動可能に支持された、他の車両に注意を喚起する警光灯と、前記ベースに配設された、前記警光灯の回動をロックするためのロック機構と、該ロック機構にロックされるロックリンクと、該ロックリンクに基端部を枢支し、前記警光灯に先端部を枢支して前記ロックリンクと警光灯との間に架設されたリンク部材と、を備え、
前記ロック機構は、前記ロックリンクをロックして所定位置にロックした前記リンク部材の基端部を前記起倒体の倒伏時にロック解除することにより、前記警光灯を前記起倒体よりも低い位置に回動させて格納可能としたことを特徴とする標識装置。
【請求項3】
前記警光灯は警光灯架台に固設され、該警光灯架台は前記起倒体の先端部に枢支され、当該枢支された枢支点とは異なる枢支点に前記リンク部材の先端部が枢支され、
前記リンク部材の基端部は、前記ロックリンクの先端部に枢支され、
前記ロックリンクは、基端部が前記ロック機構に枢支され、前記基端部と先端部との間に前記ロック機構にロックされるロック部を有し、
前記起倒体と、前記警光灯架台と、前記リンク部材と、前記ロックリンクとがリンク機構を構成したことを特徴とする請求項2に記載の標識装置。
【請求項4】
前記ロック機構によるロックを解除するための操作部が前記ベースに固定され、前記操作部と前記ロック機構とはワイヤーを介して連結され、
前記ワイヤーによって伝達された前記操作部の操作力によってロック解除を可能としたことを特徴とする請求項2または3に記載の標識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に積載して指標を表示する標識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特許文献1に示すようなものがある。
すなわち、特許文献1には、車両に装着したキャリアに可変標識体を起倒可能に支持し、起倒に際しては、可変標識体の下部をガイドレールに沿って摺動させる技術が開示されている。この可変標識体のフードの先端には、他の車両に注意を喚起する警光灯である回転灯が設けられている。
【0003】
この回転灯は、可変標識体を格納した状態および起立させた状態の何れにおいても、フードよりも高い位置で水平を保つように設けられている。
このような回転灯は、例えばレッカー移動車等にも積載されている。レッカー移動車等の緊急指定を受けている車両では、我国の道路交通法により、回転灯が車両の前方からでも見える位置に配設しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3042980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の技術では、回転灯は、常に車両本体の車高よりも高い位置にあり、当該車両の最も高所に位置している。このため、例えば地下駐車場等の進入車両に高さ制限を設けている場所では、回転灯の高さが高さ制限を越えてしまって進入できない場合が有り得るという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、標識部を格納した状態のときに、車両の最高所よりも低い位置に警光灯を収めることができる標識装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1] 車両に積載して指標を表示するとともに他の車両に注意を喚起する標識装置(10)において、
車両上に装着されるベース(20)に、指標を表示する標識部(40)を支持する起倒体(30)の基部(31)を起倒可能に枢支し、
前記起倒体(30)の先端部に、他の車両に注意を促す警光灯(70)を回動可能に支持し、
前記起倒体(30)の倒伏時に前記警光灯(70)を回動させて前記起倒体(30)よりも低い位置に格納可能であることを特徴とする標識装置(10)。
【0008】
[2] 車両に積載して指標を表示するとともに他の車両に注意を喚起する標識装置(10)において、
車両上に装着されるベース(20)と、該ベース(20)に基端部が起倒可能に枢支された起倒体(30)と、該起倒体(30)に支持された、指標を表示する標識部(40)と、前記起倒体(30)の先端部に回動可能に支持された、他の車両に注意を喚起する警光灯(70)と、前記ベース(20)に配設された、前記警光灯(70)の回動をロックするためのロック機構(200)と、該ロック機構(200)にロックされるロックリンク(110)と、該ロックリンク(110)に基端部を枢支し、前記警光灯(70)に先端部を枢支して前記ロックリンク(110)と警光灯(70)との間に架設されたリンク部材(101)と、を備え、
前記ロック機構(200)は、前記ロックリンク(110)をロックして所定位置にロックした前記リンク部材(101)の基端部を前記起倒体(30)の倒伏時にロック解除することにより、前記警光灯(70)を前記起倒体(30)よりも低い位置に回動させて格納可能としたことを特徴とする標識装置(10)。
【0009】
[3] 前記警光灯(70)は警光灯架台(90)に固設され、該警光灯架台(90)は前記起倒体(30)の先端部に枢支され、当該枢支された枢支点とは異なる枢支点に前記リンク部材(101)の先端部が枢支され、
前記リンク部材(101)の基端部は、前記ロックリンク(110)の先端部に枢支され、
前記ロックリンク(110)は、基端部が前記ロック機構(200)に枢支され、前記基端部と先端部との間に前記ロック機構(200)にロックされるロック部(111)を有し、
前記起倒体(30)と、前記警光灯架台(90)と、前記リンク部材(101)と、前記ロックリンク(110)とがリンク機構を構成したことを特徴とする項[2]に記載の標識装置(10)。
【0010】
[4] 前記ロック機構(200)によるロックを解除するための操作部(220)が前記ベース(20)に固定され、前記操作部(220)と前記ロック機構(200)とはワイヤー(W)を介して連結され、
前記ワイヤー(W)によって伝達された前記操作部(220)の操作力によってロック解除を可能としたことを特徴とする項[2]または[3]に記載の標識装置(10)。
【0011】
前記本発明は、次のように作用する。
標識装置(10)は、車両に積載して工事指示や交通指示等の指標を他の車両に注意を喚起しながら表示するものである。
【0012】
起倒体(30)の基部(31)が、車両上に装着されるベース(20)に枢支されて起倒可能であり、起倒体(30)の先端寄りに配設された標識部(40)が指標を表示する。また、起倒体(30)の先端部に配設された警光灯(70)が他の車両に注意を喚起するために発光する。
【0013】
警光灯(70)は、起倒体(30)と、警光灯架台(90)と、リンク部材(101)と、ロックリンク(110)とで構成されるリンク機構により、ロックリンク(110)がロック機構(200)にロックされた状態では、起倒体(30)が起立した状態および倒伏した状態の何れの場合においても車両の最も高い位置となるように保持されている。したがって、警光灯(70)は、起倒体(30)の姿勢状態の如何にかかわらず、他の車両に注意を喚起するための最適位置に保持されている。
【0014】
車両を高さ制限のある場所、例えば地下駐車場等へ進入させる場合には、警光灯(70)の位置が車両本体の車高よりも高い位置にあるので、警光灯(70)が進入の邪魔になる場合が有り得る。この場合には、起倒体(30)を倒伏させた状態でロック機構(200)によるロックリンク(110)のロックを解除することによって警光灯(70)を回動させて起倒体(30)よりも低い位置に格納すればよい。
【0015】
ロックを解除すると、ロック機構(200)にロックされていたロックリンク(110)のロック部(111)が解放されるので、ロックリンク(110)を含むリンク機構が可動となる。これにより、起倒体(30)の先端部に枢支されている警光灯架台(90)が回動自在となる。したがって、警光灯(70)は、警光灯架台(90)ごと回動させることにより、起倒体(30)よりも低い位置に格納することができる。
【0016】
ロック機構(200)によるロックを解除するための操作部(220)がベース(20)に固定されているものの場合には、操作部(220)を操作することにより、操作力がワイヤー(W)を介してロック機構(200)に伝達されてロック解除することができる。操作部(220)とロック機構(200)とはワイヤー(W)を介して連結されているので、警光灯(70)を格納する際に最も操作しやすい場所に操作部(220)を固定することができる。
【0017】
警光灯(70)を格納状態から戻すように回動させると、ロックリンク(110)のロック部(111)がロック機構(200)にロックされる位置になるようにリンク機構が可動する。
以上のようにして、倒伏した起倒体(30)よりも低い位置に警光灯(70)を格納したり、格納状態から車両の最も高い位置となる使用位置に戻したりすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る標識装置によれば、起倒体を倒伏させて標識部を格納したときに警光灯を車両の前方から確実に視認できるように位置させることができるとともに、必要に応じて警光灯を起倒体よりも低い位置に格納することができるので、車高制限の有る場所でも進入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態に係る標識装置の起倒体を倒伏し、警光灯を格納した状態を示した側面図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る標識装置の起倒体を倒伏し、警光灯を格納した状態を示した斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る標識装置の起倒体を倒伏し、警光灯は格納していない状態を示した側面図である。
図4】本発明の一実施の形態に係る標識装置の起倒体を倒伏し、警光灯は格納していない状態を示した斜視図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る標識装置を搭載した車両を示す側面図である。
図6図5の標識装置の起倒体を倒伏し、警光灯を格納していない状態を示す拡大側面図である。
図7図5の標識装置の起倒体を倒伏し、警光灯を格納した状態を示す拡大側面図である。
図8】本発明の一実施の形態に係る標識装置の起倒体の起立した状態を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施の形態に係る標識装置の起倒体の起立した状態を示す側面図である。
図10】本発明の一実施の形態に係る標識装置の警光灯を格納する際にロック機構によるロック解除をするときのレバー操作を示す説明図であり、(A)は、ロック解除のレバー操作を行う以前のレバーの状態を示し、(B)は、操作中のレバーであり、ロック解除前の状態を示し、(C)は、ロック解除をした後のレバーの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施の形態を説明する。
各図は、本発明の一実施の形態を示している。
図1図4に示した標識装置10は、図5図7に示すように、車両に積載するものである。図5図7では、レッカー移動車1に積載したものを例示してある。
【0021】
標識装置10は、車両上に装着されるベース20に、指標を表示する標識部40を支持する起倒体30の基部31を不図示の枢軸により起倒可能に枢支して成る。この起倒体30の先端部には、他の車両に注意を喚起するための警光灯70が回動可能に支持されている。また、ベース20には、起倒体30の基部31が枢支されている部分の外側に側壁部材22が立設されている。
【0022】
ベース20と起倒体30との間には電動油圧シリンダー50が介装されている。この電動油圧シリンダー50の伸縮によって起倒体30を起倒し、起倒体30が起立したときに標識部40が略垂直となるように昇降する。標識部40は、夜間でも視認することができる発光表示が可能なものである。
また、図8図9等に示したように、ベース20と起倒体30との間には、バランサーとしてガススプリング60が介装されている。
【0023】
起倒体30の先端部には、枢軸80によって警光灯架台90が回動可能に枢支されている。枢軸80は、警光灯架台90の両側の側面91それぞれを枢支している。この警光灯架台90の両側面91間に亘る載置面92には、警光灯70が固定されている。これにより、警光灯70は、起倒体30の先端部に回動可能に支持されている。
【0024】
側面91には、枢軸80が枢支する枢支点とは異なる位置に連結軸81によってリンク部材101の先端部が枢支されている。リンク部材101の基端部は、連結軸82によってロックリンク110の先端部に相対的に回動可能に枢支されている。このように、リンク部材101は、ロックリンク110と警光灯70の警光灯架台90との間に架設されている。
【0025】
ロックリンク110は、基端部が次に説明するロック機構200近傍で連結軸83によってベース20側に枢支されている。基端部と先端部との間の中間部には、ロック機構200にロックされるロック部111が延びている。該ロック部111は、ストライカーである。
【0026】
ロックリンク110をロックするロック機構200は、ベース20に配設された基部210と、該基部210に揺動操作可能に枢支された拘束部材211とから成る既存のものである。拘束部材211は、ロックリンク110のロック部111を不動に拘束したり、拘束解除したりできるものである。拘束部材211がロック部111を拘束している状態では、ロックリンク110は所定位置で不動にロックされている。このロックリンク110と、起倒体30と、警光灯架台90と、リンク部材101とは、リンク機構を構成している。
【0027】
拘束部材211は、ワイヤーWを介して操作部220に連結されている。この操作部220は、ベース20に固設されている。その固設位置は、起倒体30を倒伏させた状態のときに、警光灯70に近い位置である。
【0028】
図10に示したように、操作部220は、ワイヤーWを連結したレバー221を起倒させてワイヤーWを引っ張ったり、引っ張り出したワイヤーWを緩めたりするものである。操作部220は不図示の捩りばねを有しており、該捩りばねによってレバー221は、図10(A)に示したように倒伏するように付勢されている。これにより、レバー221に何かが引っ掛かってロックリンク110のロックを解除してしまうという誤操作の発生を防止している。
【0029】
ロックリンク110のロック部111が拘束部材211によって拘束されたロック状態のときは、レバー221が倒伏している。この状態からレバー221を起こすと、ワイヤーWが引っ張られる。このレバー221の操作力がワイヤーWによって拘束部材211に伝達されると拘束部材211がロック解除方向に揺動する。これによってロック部111が拘束部材211から解放されるので、ロックリンク110のロック状態を解除することができる。
【0030】
図1および図2に示したように、起倒体30が倒伏されている状態でロックを解除すると、ロックリンク110は、連結軸83を回転中心として回動させることができる。したがって、図3図4に示した状態から警光灯70を回動させて、図1図2に示したように起倒体30よりも低い位置に格納することができる。
【0031】
以上に説明した枢軸80、警光灯架台90の載置面92、連結軸81、リンク部材101、連結軸82、ロックリンク110、ロック機構200等は、標識装置10の片側だけでなく図2および図4に示したように、両側に設けられている。一方、ロック機構200を操作する操作部220は、標識装置10の片側に一つ設けられている。このため、操作部220から延びている2本のワイヤーWは、それぞれ標識装置10の一方の側面に設けたロック機構200に連結されている。
操作部220は、例えば車両が左側通行とされている国では左側に配設し、右側通行の国では右側に配設することにより、通行車両に対する作業者の安全を図ることができる。
【0032】
次に標識装置10の作用を説明する。
標識装置10は、車両に積載して工事指示や交通指示等の指標を他の車両に注意を喚起しながら表示するものである。
【0033】
起倒体30の基部31が、車両上に装着されるベース20に枢支されて起倒可能であり、起倒体30の先端寄りに配設された標識部40が指標を表示する。また、起倒体30の先端部に配設された警光灯70が他の車両に注意を喚起するために発光する。
【0034】
起倒体30を倒伏させて、警光灯70を起倒体30よりも低い位置に格納した状態では、ロックリンク110のロック部111がロック機構200に拘束されていない状態にある。起倒体30を起立させて、標識部40に指標を表示させようとするときは、例えば作業者が警光灯70を手で持ち上げるようにする。これにより、警光灯架台90が枢軸80を中心にして図1の紙面上で左回転する。すなわち、警光灯70が上を向くように回転させる。これに伴ってリンク部材101が起倒体30の先端方向に引かれる。
【0035】
すると、リンク部材101の基端部に連結軸82によって先端部が連結されたロックリンク110が連結軸83を回動の中心にして図1の紙面上で右回りに回転する。警光灯70を所定位置まで回転して警光灯70が上を向いたところで、ロックリンク110のロック部111がロック機構200の拘束部材211によって拘束される。これによってロックリンク110がロックされるとともに警光灯70が図3図6に示した状態に固定される。この状態では、警光灯70の頂部が略真上を向いている。
また、拘束部材211がロック部111を拘束すると、操作部220のレバー221は、不図示の捩りばねによって図10の(A)に示した倒伏した状態に戻る。
【0036】
次に、起倒体30とベース20との間に介装された電動油圧シリンダー50が伸縮すると、起倒体30は、図3図6に示した倒伏した状態から図8および図9に示した起立した状態となる。これに伴って標識部40が昇降する。起倒体30と、警光灯架台90とリンク部材101とはリンク機構を構成しており、起倒体30が起立するまでの間、警光灯70の頂部は略真上を向いた状態に維持される。すなわち、水平状態に維持される。この間の警光灯70は、車両の最も高い位置となっている。これにより、警光灯70は、起倒体30の姿勢状態の如何にかかわらず、他の車両に注意を喚起するための最適位置に保持される。
【0037】
レッカー移動車1を高さ制限のある場所、例えば地下駐車場等へ進入させる場合には、警光灯70がレッカー移動車1の車両本体の車高よりも高い位置にあるので、警光灯70が進入の邪魔になる場合が有り得る。このような場合およびレッカー移動による全ての作業が終了した場合には、起倒体30を倒伏させ、さらに警光灯70を起倒体30よりも低い位置に格納する。
【0038】
警光灯70を格納する際は、図8および図9に示したように起倒体30が起立して警光灯70が起倒体30の先端部よりも高い位置にある状態から、起倒体30を倒伏させて図3から図6に示した状態にする。この間、ロックリンク110がロック機構200によってロックされているので、起倒体30に対して警光灯70は固定された位置にある。
【0039】
次に、警光灯70を起倒体30よりも低い位置に格納するためにロック機構200によるロックリンク110のロックを解除する。このロック解除は、操作部220のレバー221を図10に示したように操作して行う。
【0040】
図10の(A)に示したように、起倒体30が倒伏した状態では、レバー221は捩りばねによって倒伏した状態にある。このレバー221を起こすにつれてワイヤーWの引っ張られる量が増加する。(B)に示した状態まではワイヤーWの反力を受けてレバー221は倒伏する方向に力を受けるが、(C)の状態までレバー221を起立させるとワイヤーWが引っ張られた状態に維持される。
【0041】
(C)の状態までレバー221を起立するとロック機構200の拘束部材211はワイヤーWに引かれてロックリンク110のロック部111を完全に解放する状態にまで変位する。このようにしてロックリンク110の拘束が解除されると、警光灯架台90は回動可能になり、図1図2および図7に示したように警光灯70を起倒体30よりも低い位置に格納することができる。これにより、高さ制限のある場所へも車両を進入させることができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば警光灯70の格納は、操作者がレバー221を手動で操作してロック機構200によるロックリンク110のロックを解除して行うものとして説明したが、ロック解除の操作を電動で行うものとしてもよい。また、警光灯70を格納するために倒したり、格納状態から起こしたりするための回動をモータの回転力を利用するなどして電動にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、車両に積載する標識装置であるが、起倒体の先端部に設けた構造物を倒伏して起倒体よりも低い位置に格納することによって有益な作用効果を得られる装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
W…ワイヤー
1…レッカー移動車(車両)
10…標識装置
20…ベース
22…側壁部材
30…起倒体
31…基部
40…標識部
50…電動油圧シリンダー
60…ガススプリング
70…警光灯
80…枢軸
81…連結軸
82…連結軸
83…連結軸
90…警光灯架台
91…側面
92…載置面
101…リンク部材
110…ロックリンク
111…ロック部
200…ロック機構
210…基部
211…拘束部材
220…操作部
221…レバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10