(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱媒加熱用の燃焼式加熱装置と、前記燃焼式加熱装置の燃焼により前記熱媒を加熱する第1熱交換器とを備えた熱媒回路と、浴槽内の浴槽水が循環される浴槽水循環回路とを備え、前記熱媒回路を流れる熱媒と前記浴槽水循環回路を流れる浴槽水とを熱交換させて、前記浴槽水を加熱する第2熱交換器を備えた風呂追焚きシステムであって、
前記第2熱交換器における、前記熱媒の入り温度を検出する熱媒入り温度検出手段と、
前記浴槽内から前記第2熱交換器に戻る浴槽水戻り温度を検出する浴槽水戻り温度検出手段とを備え、
前記燃焼式加熱装置の作動状態で、前記熱媒回路に前記熱媒を循環させるとともに、前記浴槽水循環回路に前記浴槽水を循環させて、浴槽水を追焚きする追焚き運転を完了する追焚き完了ステップにおいて、
前記戻り温度検出手段により検出される前記浴槽水戻り温度に基づいて、前記熱媒回路に前記熱媒を循環させ、且つ前記浴槽水循環回路に前記浴槽水を循環させたまま、前記燃焼式加熱装置を停止する加熱装置運転停止ステップを実行し、
前記加熱装置運転停止ステップを完了した後、前記熱媒入り温度検出手段により検出される前記熱媒の入り温度と、前記浴槽水戻り温度検出手段により検出される前記浴槽水戻り温度との温度差に基づいて、前記熱媒回路における前記熱媒の循環状態を制御する熱媒循環制御ステップを実行する制御手段を備え、
前記制御手段は、
追焚き運転開始から所定時間経過後の浴槽水戻り温度を所定時間経過後温度として記憶し、
浴槽水戻り温度が、所定時間経過後温度と、浴槽水の目標温度である設定湯張温度と所定時間経過後温度との差に所定割合を掛けた値との和に到達した時点で、
前記加熱装置運転停止ステップを実行する風呂追焚きシステム。
前記制御手段は、前記熱媒循環制御ステップにおいて、前記熱媒回路における前記熱媒の循環停止を、前記浴槽水循環回路における前記浴槽水の循環停止前或いは前記浴槽水循環回路における前記浴槽水の循環停止と同時に実行する請求項4記載の風呂追焚きシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されているように、間接的に浴槽水を追焚きするように構成された風呂設備において、上述のように単に浴槽戻り温が目標温度に達しているか否かに基づいてバーナの消火を行う方式では、追焚き開始から追焚き終了に至るまでの間にバーナで発生した熱量のうち実際に浴槽水の加熱に用いられる熱量の割合が、浴槽水を直接的に加熱するタイプに比べて低くなる。すなわち、従来の追焚き運転では、熱交換効率が低いという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、より熱交換効率の高い追焚き運転が可能な追焚きシステムの実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る風呂追焚システムの特徴は、熱媒加熱用の燃焼式加熱装置と、前記燃焼式加熱装置の燃焼により前記熱媒を加熱する第1熱交換器とを備えた熱媒回路と、浴槽内の浴槽水が循環される浴槽水循環回路とを備え、前記熱媒回路を流れる熱媒と前記浴槽水循環回路を流れる浴槽水とを熱交換させて、前記浴槽水を加熱する第2熱交換器を備えた風呂追焚きシステムであって、
前記第2熱交換器における、前記熱媒の入り温度を検出する熱媒入り温度検出手段と、
前記浴槽内から前記第2熱交換器に戻る浴槽水戻り温度を検出する浴槽水戻り温度検出手段とを備え、
前記燃焼式加熱装置の作動状態で、前記熱媒回路に前記熱媒を循環させるとともに、前記浴槽水循環回路に前記浴槽水を循環させて、浴槽水を追焚きする追焚き運転を完了する追焚き完了ステップにおいて、
前記戻り温度検出手段により検出される前記浴槽水戻り温度に基づいて、前記熱媒回路に前記熱媒を循環させ、且つ前記浴槽水循環回路に前記浴槽水を循環させたまま、前記燃焼式加熱装置を停止する加熱装置運転停止ステップを実行し、 前記加熱装置運転停止ステップを完了した後、前記熱媒入り温度検出手段により検出される前記熱媒の入り温度と、前記浴槽水戻り温度検出手段により検出される前記浴槽水戻り温度との温度差に基づいて、前記熱媒回路における前記熱媒の循環状態を制御する熱媒循環制御ステップを実行する制御手段を備え
、
前記制御手段は、
追焚き運転開始から所定時間経過後の浴槽水戻り温度を所定時間経過後温度として記憶し、
浴槽水戻り温度が、所定時間経過後温度と、浴槽水の目標温度である設定湯張温度と所定時間経過後温度との差に所定割合を掛けた値との和に到達した時点で、
前記加熱装置運転停止ステップを実行する点にある。
【0008】
上記の熱交換効率が低い原因について、本願発明の発明者は鋭意研究の結果、従来の追焚き運転においては、熱媒回路を流れる熱媒の加熱熱量を十分に利用し切れていないことが判明した。
図4に従来の追焚き運転時の各回路位置での温度を示す。
図4に示すように、従来の追焚き運転では、加熱装置の停止(図中、T1のタイミング)後、熱媒循環路内の熱媒温度に均一化等の理由から定めされた所定時間のみ熱媒回路の循環をさせて停止させる(図中、T2のタイミング)ため、熱媒回路内の熱媒(図中、熱媒入り温度)は、加熱装置によって加熱された状態で、浴槽水戻り温度よりも高くなっているにも関わらず、その熱量は十分に利用されることなく、自然放冷されるのみとなっているという知見を得た。
【0009】
上記特徴構成によれば、制御手段は、追焚き完了ステップにおける加熱装置運転停止ステップにおいて、燃焼加熱装置を停止し、熱媒回路に熱媒を循環させ、浴槽水循環回路に浴槽水を循環させたままとする。また、熱媒循環制御ステップによって、熱媒入り温度と浴槽水戻り温度との温度差に基づいて、熱媒回路における熱媒の循環状態を制御するため、熱媒回路内の熱媒に蓄えられた熱によって、第2熱交換器を通して、浴槽水循環回路内の浴槽水を加熱可能な限界近くまで加熱することができる。
図2に本願発明に係る追い焚き運転時の各回路位置での温度を示す。
図2の熱媒入り温度の変化に示されるように、本願発明においては、従来の追焚き運転においては、十分に利用し切れていなかった熱媒回路を流れる熱媒の加熱熱量を利用して、浴槽水を加熱することが可能となる。よって、より熱交換効率の高い追焚き運転が可能な追焚きシステムを実現することができる。
【0011】
さらに、上記特徴構成によれば、浴槽水戻り温度を用いて、加熱装置運転停止ステップから前記熱媒循環制御ステップに移行する。よって、追加の設備などを設けることなく、より熱交換効率の高い追焚き運転が可能な追焚きシステムを実現することができる。ここで、所定時間経過後温度を採用している理由は、真に浴槽内の浴槽水が戻り温度検出位置まで循環されてきた状態の温度使用するためである。
【0012】
本発明に係る風呂追焚システムの特徴は、熱媒加熱用の燃焼式加熱装置と、前記燃焼式加熱装置の燃焼により前記熱媒を加熱する第1熱交換器とを備えた熱媒回路と、浴槽内の浴槽水が循環される浴槽水循環回路とを備え、前記熱媒回路を流れる熱媒と前記浴槽水循環回路を流れる浴槽水とを熱交換させて、前記浴槽水を加熱する第2熱交換器を備えた風呂追焚きシステムであって、
前記第2熱交換器における、前記熱媒の入り温度を検出する熱媒入り温度検出手段と、
前記浴槽内から前記第2熱交換器に戻る浴槽水戻り温度を検出する浴槽水戻り温度検出手段とを備え、
前記燃焼式加熱装置の作動状態で、前記熱媒回路に前記熱媒を循環させるとともに、前記浴槽水循環回路に前記浴槽水を循環させて、浴槽水を追焚きする追焚き運転を完了する追焚き完了ステップにおいて、
前記戻り温度検出手段により検出される前記浴槽水戻り温度に基づいて、前記熱媒回路に前記熱媒を循環させ、且つ前記浴槽水循環回路に前記浴槽水を循環させたまま、前記燃焼式加熱装置を停止する加熱装置運転停止ステップを実行し、
前記加熱装置運転停止ステップを完了した後、前記熱媒入り温度検出手段により検出される前記熱媒の入り温度と、前記浴槽水戻り温度検出手段により検出される前記浴槽水戻り温度との温度差に基づいて、前記熱媒回路における前記熱媒の循環状態を制御する熱媒循環制御ステップを実行する制御手段と、
前記浴槽内の水量を検出可能な浴槽水量検出手段と、
前記第2熱交換器における受熱後、前記浴槽内に向かう浴槽水行き温度を検出する浴槽水行き温度検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、
追焚き運転開始から所定時間経過後の浴槽水戻り温度を所定時間経過後温度として記憶
し、
前記浴槽水量検出手段の出力に基づいて浴槽水量を算出し、
前記第2熱交換器での交換熱量を、前記浴槽水戻り温度、及び前記浴槽水行き温度に基づいて算出する構成で、
前記追焚き運転の開始から所定時間経過後から、前記交換熱量を逐次積算し、積算熱量として記憶し、
前記浴槽水量に、浴槽水の目標温度である設定湯張温度と所定時間経過後温度との差を掛けた値を、必要追焚き量として算出し、
前記積算熱量が前記必要追焚き量の所定割合に到達した時点で、
前記加熱装置運転停止ステップを実行す
る点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、制御手段は、追焚き完了ステップにおける加熱装置運転停止ステップにおいて、燃焼加熱装置を停止し、熱媒回路に熱媒を循環させ、浴槽水循環回路に浴槽水を循環させたままとする。また、熱媒循環制御ステップによって、熱媒入り温度と浴槽水戻り温度との温度差に基づいて、熱媒回路における熱媒の循環状態を制御するため、熱媒回路内の熱媒に蓄えられた熱によって、第2熱交換器を通して、浴槽水循環回路内の浴槽水を加熱可能な限界近くまで加熱することができる。図2に本願発明に係る追い焚き運転時の各回路位置での温度を示す。図2の熱媒入り温度の変化に示されるように、本願発明においては、従来の追焚き運転においては、十分に利用し切れていなかった熱媒回路を流れる熱媒の加熱熱量を利用して、浴槽水を加熱することが可能となる。よって、より熱交換効率の高い追焚き運転が可能な追焚きシステムを実現することができる。
さらに、上記特徴構成によれば、必要追焚き量に対して、第2熱交換器での交換熱量の積算値が所定割合に到達したかどうかに基づいて、加熱装置運転停止ステップから前記熱媒循環制御ステップに移行する。このため、浴槽水戻り温度に基づいて移行する場合に比べ、より正確に、必要な熱量を浴槽水に伝熱させることができる。よって、より正確に設定湯張温度に到達可能で、熱交換効率の高い追焚き運転が可能な追焚きシステムを実現することができる。
【0014】
さらに、別の特徴は、前記制御手段は、前記熱媒循環制御ステップを、前記熱媒の入り温度と前記浴槽水戻り温度との温度差が、所定の温度差以内となった場合に終了するように構成された点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、熱媒の入り温度と浴槽水戻り温度との差に基づいて熱媒循環制御ステップを終了するため、熱媒の入り温度と浴槽水戻り温度との差が少なくなり、第2熱交換器における熱交換効率が低下した状態で熱媒から浴槽水に熱の交換が行われることを抑えることができる。よって、より一層、熱交換効率の高い追焚き運転が可能な追焚きシステムを実現することができる。
【0016】
また、前記制御手段は、前記熱媒循環制御ステップにおいて、前記熱媒回路における前記熱媒の循環を停止すると好適である。
【0017】
さらなる特徴構成としては、前記制御手段は、前記熱媒循環制御ステップにおいて、前記熱媒回路における前記熱媒の循環停止を、前記浴槽水循環回路における前記浴槽水の循環停止前或いは前記浴槽水循環回路における前記浴槽水の循環停止と同時に実行する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、十分に、熱媒回路に蓄積された余熱を浴槽水に伝熱した後に、熱媒の循環停止を行うことができる。よって、より一層、熱交換効率の高い追焚き運転が可能な追焚きシステムを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(風呂設備の全体構成)
図1に示すように、風呂設備は、温度調整した湯水を浴槽Yや給湯栓2に供給する湯水供給処理を行う熱源機Gと、その熱源機Gの運転を制御する運転制御部Cと、その運転制御部Cに各種制御指令を指令するメインリモコンR1及び浴室リモコンR2とを備えて構成されている。
ちなみに、メインリモコンR1は炊事場の近く等に設けられ、浴室リモコンR2は浴槽Yが設置された浴室内に設けられる。
【0021】
図1に示すように、熱源機Gは、一般家庭用の水道管に接続された給水路1からの水をガス燃焼式の給湯用バーナg1によって加熱して、加熱後の湯水を給湯栓2や浴槽Yに供給する給湯用加熱部A、及び、ガス燃焼式の加熱用バーナg2によって、熱消費端末Uに循環供給する湯水の加熱や浴槽Yの内部に貯留された浴槽水を追焚する温水循環用加熱部Bを備えて構成されている。
ちなみに、熱消費端末Uとしては、例えば、浴室暖房乾燥機、床暖房装置が設けられることになる。
【0022】
(給湯用加熱部及び温水循環用加熱部の構成)
給湯用加熱部A及び温水循環用加熱部Bはいずれも、主熱交換器N1と潜熱回収式の副熱交換器N2とを備えて構成され、主熱交換器N1と副熱交換器N2とが、給湯用バーナg1や加熱用バーナg2から排気路5に向かう燃焼排ガスの流動方向において、副熱交換器N2が主熱交換器N1よりも下手側に位置する状態で、燃焼排ガス流動方向に沿って並設されている。
給湯用加熱部Aにおいては、給水路1からの水が、副熱交換器N2を通流したのち、主熱交換器N1を通流する形態で流動し、温水循環用加熱部Bにおいては、熱消費端末Uや、後述する追焚用熱交換器28から戻る温水が、副熱交換器N2を通流したのち、主熱交換器N1を通流する形態で流動するように構成されている。
【0023】
そして、給湯用加熱部Aにおいては副熱交換器N2にて、主として給湯用バーナg1の燃焼排ガスの潜熱により湯水を加熱し、主熱交換器N1にて、主として給湯用バーナg1の燃焼排ガスの顕熱により、副熱交換器N2にて加熱された湯水を加熱するように構成されている。
また、温水循環用加熱部Bにおいては、副熱交換器N2にて、主として加熱用バーナg2の燃焼排ガスの潜熱により、熱消費端末Uや追焚用熱交換器28から戻る温水を加熱し、主熱交換器N1にて、主として加熱用バーナg2の燃焼排ガスの顕熱により、副熱交換器N2にて加熱された温水を加熱するように構成されている。
【0024】
給湯用加熱部A及び温水循環用加熱部Bの副熱交換器N2からは、燃焼生成水である酸性の凝縮水、即ち、ドレンが生成するが、このドレンはドレンパン6によって集められて中和器7に供給され、その中和器7にて中和されたのち、ドレンタンク8に貯留されるように構成されている。
ドレンタンク8には、ドレンの貯留量が上限貯留量以上であることを検出する上限センサ8sが設けられている。
【0025】
そして、上限センサ8sにてドレンの貯留量が上限貯留量以上であることが検出されると、ドレン排水ポンプ9が作動されて、ドレンタンク8に貯留されているドレンが、排水管4を通して、浴室の床面に設けられた排水口Dから外部に排出されるように構成されている。
ちなみに、排水管4のうちの熱源機Gの外部に位置する部分は、後述する浴槽用戻路32のうちの熱源機Gの外部に位置する浴槽戻外管32bの内部を通して配管されている。
【0026】
給湯用加熱部A及び温水循環用加熱部Bの夫々に装備された給湯用バーナg1や加熱用バーナg2には、一般家庭用の燃料ガスを供給するガス供給路Kが接続され、そのガス供給路Kには、燃料ガス供給量を調整する電磁式のガス比例弁10、燃料ガスの供給を断続する断続弁11が設けられている。
また、給湯用加熱部A及び温水循環用加熱部Bには、給湯用バーナg1や加熱用バーナg2に燃焼用空気を供給する燃焼用ファン12が設けられている。
尚、図示を省略するが、給湯用バーナg1や加熱用バーナg2の近くには、点火用のイグナイタ及び着火を検出するフレームロッドが設けられることになる。
【0027】
(一般給湯用構成)
給水路1が、給湯用加熱部Aにおける副熱交換器N2の湯水入口部に接続され、先端に給湯栓2が接続された給湯路3が、給湯用加熱部Aにおける主熱交換器N1の湯水出口部に接続されている。
したがって、給水路1を通して供給される水が、副熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱されたのち、給湯路3を通して給湯栓2に供給されるように構成されている。
【0028】
給水路1には、給水温度を検出する給水サーミスタ13と給水量を検出する水量センサ14とが設けられ、給水路1における給水サーミスタ13及び水量センサ14よりも下流側の箇所が、熱交換器N1、N2を迂回する給水バイパス路15にて、給湯路3に接続されている。
【0029】
給湯路3と給水バイパス路15との接続箇所には、主熱交換器N1からの湯量と給水バイパス路15からの水量との混合比を調整するミキシング弁17が設けられ、給湯路3における給水バイパス路15の接続箇所よりも上流側には、主熱交換器N1から送出される湯水の温度を検出する出湯サーミスタ16が設けられ、給湯路3における給水バイパス路15の接続箇所よりも下流側には、上流側から順に、ミキシング弁17にて混合された後の湯水の温度を検出する給湯サーミスタ18、湯水の量を調整する水比例弁19、一般給湯の割込みを検出する割込み検出用水量センサ20が設けられている。
【0030】
(温水循環用構成)
熱消費端末Uの湯水出口部と温水循環用加熱部Bにおける副熱交換器N2の入口部とが、温水循環用戻路21にて接続され、温水循環用加熱部Bにおける主熱交換器N1の湯水出口部と熱消費端末Uの湯水入口部とが、温水循環用往路22にて接続されている。
温水循環用戻路21には、膨張タンク23が介装され、温水循環用戻路21における膨張タンク23よりも下流側の箇所には、膨張タンク23内の湯水を吸引して温水循環用加熱部Bの副熱交換器N2に送出するように温水循環用ポンプ24が設けられている。
【0031】
したがって、温水循環用ポンプ24の通流作用により、温水循環用往路22及び温水循環用戻路21を通して、温水が副熱交換器N2及び主熱交換器N1と熱消費端末Uとにわたって循環されて、副熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱された湯水が熱消費端末Uに循環供給されるように構成されている。
【0032】
温水循環用往路22には、副熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱されたのちの湯水の温度を検出する循環温水サーミスタ25、及び、熱消費端末Uへの湯水の供給を断続する端末用熱動弁26が設けられている。
【0033】
温水循環用往路22における循環温水サーミスタ25よりも下流側箇所と温水循環用戻路21における膨張タンク23よりも上流側箇所とが、熱消費端末Uを迂回させて湯水を循環させるための温水循環バイパス路27にて接続され、その温水循環バイパス路27には、浴槽Y内の浴槽水を追焚するための追焚用熱交換器28と追焚用熱動弁29とが設けられている。
【0034】
(追焚用構成)
追焚用熱交換器28の湯水出口部と浴槽Yの側壁部下方側に装備された循環アダプタ30とが、浴槽用往路31にて接続され、循環アダプタ30と追焚用熱交換器28の湯水入口部とが、浴槽用戻路32にて接続され、その浴槽用戻路32に、浴槽Yの湯水を吸引して追焚用熱交換器28に送出する追焚用循環ポンプ33が設けられている。
【0035】
詳しくは、浴槽用往路31が、熱源機Gの内部に位置する浴槽往内管31aと、熱源機Gから外部に延出されて、循環アダプタ30の往用接続部30fに接続される浴槽往外管31bとから構成され、また、浴槽用戻路32が、熱源機Gの内部に位置する浴槽戻内管32aと、熱源機Gから外部に延出されて、循環アダプタ30の戻用接続部30bに接続される浴槽戻外管32bとから構成されている。
【0036】
したがって、端末用熱動弁26を閉弁し且つ追焚用熱動弁29を開弁した状態で温水循環用ポンプ24を作動させることにより、副熱交換器N2及び主熱交換器N1にて加熱された湯水が、熱消費端末Uを迂回した状態で追焚用熱交換器28に循環供給されることになる。
そして、その状態において、追焚用循環ポンプ33を作動させることにより、浴槽Yの内部に貯留された浴槽水を、浴槽用往路31及び浴槽用戻路32を通して追焚用熱交換器28に循環供給して、追焚用熱交換器28にて加熱する、いわゆる、浴槽Y内の浴槽水の追焚を行えるように構成されている。
【0037】
ちなみに、本実施形態においては、浴槽用往路31及び浴槽用戻路32にて、浴槽Y内の浴槽水が循環される浴槽水循環回路が構成され、そして、追焚用循環ポンプ33が浴槽水循環手段として機能し、また、追焚用熱交換器28が、浴槽水循環回路内を流れる浴槽水を加熱する加熱手段として機能することになる。
【0038】
浴槽用戻路32には、上流側から順に、浴槽用戻路32の内部の湯水の圧力を検出することによって浴槽Y内の水位を検出する浴槽水位検出手段としての水位センサ34、浴槽Yから戻ってくる浴槽水の温度を検出する浴槽水戻り温度検出手段としての浴槽戻温サーミスタ35、浴槽用戻路32を開閉する電磁式の風呂2方弁36、上述の追焚用循環ポンプ33、水流スイッチ37が設けられている。
また、浴槽用往路31には、浴槽Yに供給される湯水の温度(浴槽水行き温度tY2)を検出する浴槽往温サーミスタ38が設けられている。
【0039】
(湯張用構成)
給湯路3における水比例弁19と割込み検出用水量センサ20との間の箇所から、給湯路3からの湯水を浴槽Yに供給するための湯張路41が分岐されて、その湯張路41が、浴槽用戻路32における追焚用循環ポンプ33と水流スイッチ37との間に相当する箇所に接続されている。
この湯張路41には、上流側から順に、湯張路41を開閉する湯張電磁弁42と、湯張逆止弁43とが設けられている。
【0040】
また、湯張路41における湯張電磁弁42と湯張逆止弁43との間には、湯張路41に連通する空気層形成用ホッパ44が介装されている。
空気層形成用ホッパ44には、湯水を排水する排水路45と、その排水路45を開閉する電磁式の排水弁46とが設けられ、排水路45の端部が、浴槽用戻路32における風呂2方弁36と追焚用循環ポンプ33との間の箇所に接続されている。
尚、空気層形成用ホッパ44の構成及びその機能は周知であるので、本実施形態においては詳細な説明を省略する。
【0041】
したがって、湯張電磁弁42を開弁すると、給湯用加熱部Aにて加熱されたのち湯張路41を通して供給される湯水が、浴槽用戻路32に供給され、浴槽用戻路32に供給された湯水が、浴槽Yの存在側と追焚用熱交換器28の存在側の両側に向けて分流する形態で通流することになる。つまり、湯張路41を通して供給される湯水が、浴槽用往路31及び浴槽用戻路32の両方を通して浴槽Yに供給されることになる。
【0042】
(熱源機の運転制御)
熱源機Gは、上記した機器類を装備するものであって、上述の説明から明らかな如く、加熱した湯水を給湯栓2に供給する一般給湯処理、加熱した湯水を浴槽Yに供給する湯張処理、加熱した温水を熱消費端末Uに循環供給する端末加熱処理、及び、浴槽Y内の浴槽水を加熱する追焚処理、並びに、ドレン排水処理を行うように構成されている。
【0043】
すなわち、運転制御部Cが、後述する如く、メインリモコンR1や浴室リモコンR2の指令情報、及び、ケーシング39の内部に装備したセンサ類の検出情報に基づいて、ケーシング39の内部に装備した機器類を作動させて、一般給湯処理に対応する一般給湯運転、湯張処理に対応する自動湯張運転、自動湯張運転に続いて行う保温運転、浴槽Yに追加で湯張り給湯する足し湯運転、端末加熱処理に対応する端末加熱運転、及び、追焚処理に対応する追焚運転、並びに、ドレン排水処理に対応するドレン排水運転を実行するように構成されている。
【0044】
(リモコンの構成)
メインリモコンR1及び浴室リモコンR2は、同様に構成されるものであり、以下、メインリモコンR1を代表にして説明する。
図1に示すように、メインリモコンR1には、運転の開始と停止を指令する運転スイッチ81、自動湯張運転指令を指令する風呂自動スイッチ82、一般給湯温度を設定する給湯温度設定スイッチ83、設定湯張温度としての目標湯張温度を設定する浴槽温度設定スイッチ84、浴槽Yの浴槽水の目標水位を設定する水位設定スイッチ85、浴槽Yに追加で湯張り給湯する足し湯スイッチ86、追焚運転指令を指令する追焚スイッチ87、設定温度等の各種情報を表示する表示部88、端末加熱運転の開始を指令する端末運転スイッチ89、及び、湯張りが終了したこと等を報知する報知装置90等が設けられている。
【0045】
(運転制御の詳細)
運転制御部Cは、運転スイッチ81が操作されると制御可能な状態になり、給湯栓2が開操作されると給湯栓2から湯水を給湯する一般給湯運転を実行する。
【0046】
また、運転制御部Cは、追焚き運転として、加熱装置運転ステップs1は、加熱用バーナg2を作動させ、追焚用熱動弁29が開かれる状態で、加熱用バーナg2から温水循環用往路22、追焚用熱交換器28及び温水循環バイパス路27を介して温水循環用戻路21に熱媒を循環させるとともに、浴槽用往路31及び浴槽用戻路32に浴槽水を循環させて、浴槽水を追焚きするように構成されている。より具体的には、追焚き運転においては、運転制御部Cは、温水循環用戻路21及び温水循環バイパス路27に熱媒が循環するように、加熱用バーナg2を作動させた状態で、温水循環用ポンプ24を作動させ、端末用熱動弁26を閉弁し、追焚用熱動弁29を開弁した状態とする。また、浴槽用往路31及び浴槽用戻路32に浴槽水が循環するように、追焚用循環ポンプ33を作動させ、湯張逆止弁43及び排水弁46を閉弁した状態とする。
【0047】
〔追焚き運転の各ステップの説明〕
図2及び
図3に示すように、本願発明に係る運転制御部Cは、追焚運転において、加熱装置運転ステップs1と、追焚き完了ステップSとを実行するように構成されている。追焚き完了ステップSは、追焚き運転を完了するためのステップで、より詳しくは、加熱装置運転停止ステップs2と熱媒循環制御ステップs3とからなる。運転制御部Cが、加熱装置運転ステップs1から追焚き完了ステップSへと移行する際の条件(以下では、「実行条件X」と呼ぶ。)については後述する。
【0048】
加熱装置運転ステップs1は、加熱用バーナg2を作動させた状態で、温水循環用戻路21及び温水循環バイパス路27の熱媒を循環させるとともに、浴槽用往路31及び浴槽用戻路32に浴槽水を循環させて、浴槽水を追焚きする。
【0049】
加熱装置運転停止ステップs2では、浴槽戻温サーミスタ35により検出される浴槽水戻り温度tY1に基づいて、温水循環用戻路21及び温水循環バイパス路27に熱媒を循環させ、且つ浴槽用往路31及び浴槽用戻路32に浴槽水を循環させたまま、加熱用バーナg2を停止する。すなわち、加熱装置運転停止ステップs2により、加熱用バーナg2を停止した状態で、熱媒及び浴槽水の循環のみを行うようになる。
【0050】
熱媒循環制御ステップs3は、加熱装置運転停止ステップs2を完了した後、循環温水サーミスタ25により検出される熱媒の入り温度tN1と、浴槽戻温サーミスタ35により検出される浴槽水戻り温度tY1との温度差に基づいて、温水循環用戻路21及び温水循環用往路22における熱媒の循環状態を制御する。すなわち、熱媒循環制御ステップs3においては、運転制御部Cは、熱媒の入り温度tN1と浴槽水戻り温度tY1との温度差に基づいて、温水循環用ポンプ24の発停を制御する。
【0051】
本実施形態においては、熱媒循環制御ステップs3において、温水循環用戻路21及び温水循環用往路22における熱媒の循環を停止する。ここで、熱媒の循環停止は、浴槽用往路31及び浴槽用戻路32における浴槽水の循環停止前、或いは、浴槽用往路31及び浴槽用戻路32における浴槽水の循環停止と同時に実行すると良い。
【0052】
また、熱媒循環制御ステップs3は、熱媒の入り温度tN1と浴槽水戻り温度tY1との温度差が所定の温度差以内となった場合に終了する。ここで、「所定の温度差」としては、例えば5度と設定することができる。
【0053】
〔追焚き完了ステップの実行条件〕
以下では、運転制御部Cが、加熱装置運転ステップs1を終了し、追焚き完了ステップS(加熱装置運転停止ステップs2及び熱媒循環制御ステップs3)を実行する際の実行条件Xについて説明する。実行条件Xの具体例について、以下に2通り示す。
【0054】
まず、熱量をベースとした実行条件Xの1例を示す。
【0055】
条件1(熱量基準)
この条件を用いる場合、運転制御部Cは、浴槽Y内の水量(浴槽水量)を水量センサ14の出力に基づいて、その積分値として算出し、記憶するように構成される。従って、水量センサ14が本願における「浴槽水量検出手段」となる。
また、運転制御部Cは、追焚用熱交換器28での交換熱量を、浴槽水戻り温度tY1及び浴槽水行き温度tY2に基づいて算出できるように構成される。例えば、運転制御部Cは、追焚用熱交換器28の総括伝熱係数や伝熱面積を記憶するように構成され、
交換熱量 = 総括伝熱係数×伝熱面積×(tY1−tY2)
として、追焚用熱交換器28での交換熱量を算出する。
【0056】
上述の構成を備えた運転制御部Cは、追焚き運転の開始から所定時間経過後から、追焚用熱交換器28での交換熱量を逐次積算し、積算熱量ΣQを記憶する。ここで、「所定時間」としては60秒とすると良い。ここで、60秒は、確実に、浴槽内の浴槽水が熱交換器に加熱されている状態からの演算とするためである
【0057】
また、運転制御部Cは、追い焚き運転開始から所定時間経過時の浴槽水戻り温度tY1を所定時間経過後温度t2として記憶するように構成される。さらに、運転制御部Cは、浴槽水量、及びメインリモコンR1または浴室リモコンR2により設定された設定湯張温度tXとを用いて、
Q = 浴槽水量×(tX−t2)
として、必要追焚き量Qを算出する。
【0058】
そして、積算熱量ΣQが必要追焚き量Qの所定割合nに到達した時点で、加熱装置運転停止ステップs2から熱媒循環制御ステップs3へと移行する。ここで、所定割合nとしては、例えば、2/3と設定すると良い。すなわち、例えば、移行判定条件は、下記式で表すことができる。
ΣQ ≧ Q×n
【0059】
条件2(温度基準)
次に、温度をベースとした実行条件Xの一例を示す。
【0060】
この条件を用いる場合、運転制御部Cは、浴槽水戻り温度tY1が、所定時間経過後温度t2と、設定湯張温度tXと所定時間経過後温度t2との差に上述の所定割合nを掛けた値との和に到達した時点で、加熱装置運転停止ステップs2から熱媒循環制御ステップs3へと移行する。
すなわち、例えば、実行条件は、下記式で表すことができる。
tY1 ≧ t2+(tX−t2)×n
【0061】
なお、上記2つの実行条件で使用した所定割合nは、浴槽水の温度が設定湯張温度tXに到達しなかった場合や、早期に(例えば、上述の「所定時間」経過前に)浴槽水の温度が設定湯張温度tXに到達した場合には、可変させると良い。すなわち、運転制御部Cは、所定割合nを、浴槽水の温度が設定湯張温度tXに到達しなかった場合には増加させ、早期に浴槽水の温度が設定湯張温度tXに到達した場合には減少させるように構成すると良い。
【0062】
以上のように、運転制御部Cが追焚き運転を実行することで、加熱用バーナg2の着火時間を抑え、温水循環用戻路21及び温水循環バイパス路27を流れる熱媒の熱量を利用して浴槽水の追焚きを実現することができる。すなわち、熱交換効率の高い追焚き運転を実現することができる。