【実施例】
【0022】
まず、本発明が適用されるインジェット記録装置の全体構成について説明する。
【0023】
図8は、本発明が適用されるインジェット記録装置の全体構成図である。
図8において、インクジェット記録装置は、インクジェット駆動部と、インク濃度制御部と、記録媒体搬送制御部を備えている。
【0024】
インクジェット駆動部は、インクジェットヘッド32と、液体貯蔵槽43と、インクジェットヘッド32内の圧電素子に交流電圧を供給する交流電源47と、各液滴に帯電電荷を与える帯電電極及び液滴を偏向させる偏向電極に電圧を供給する制御電圧電源33と、インクジェットヘッド32に対する液体の供給及び回収を行うポンプ46、36と、各部の動作を制御するメイン制御装置37とを備えている。
【0025】
また、インク濃度制御部は、インクジェットヘッド32に供給する液体貯蔵槽43内の液体の濃度を調整するものである。具体的には、液体貯蔵槽43内の液体濃度を測定する手段である濃度測定器40と、液体貯蔵槽43内の液体を希釈するために使用する液体溶媒を貯蔵する溶媒貯蔵槽41と、溶媒貯蔵槽41内の溶媒をインクジェット駆動部の液体貯蔵槽43に供給するポンプ42と、それらを制御するためのインク濃度制御装置39とを備える。
【0026】
また、記録媒体搬送制御部は、記録媒体の搬送機構45と、搬送制御装置44とからなる。
【0027】
そして、上記構成において、インクジェット駆動部のメイン制御装置37は、記録するパターンデータ(図示せず)を外部から受信すると、液体供給/回収ポンプ46、36、圧電素子駆動交流電源47、帯電電圧/偏向電圧を供給する制御電圧電源33を制御することにより、記録するパターンデータに従って、帯電電極信号電圧を帯電電極部(ここでは図示せず)へ、偏向電極信号電圧を偏向電極(ここでは図示せず)へ出力する。これにより、液体(インク)の吐出を制御する。
【0028】
また、インクジェット駆動部のメイン制御装置37は、記録媒体搬送制御部の搬送制御装置44と通信することで、印字体16のハンドリングを行う。さらに、インクジェット駆動部のメイン制御装置37は、インク濃度制御部のインク濃度制御装置39と通信を行い、液体貯蔵槽43内の液体濃度が所定の濃度であることを確認すると共に、所定の濃度の液体をインクジェットヘッド32に供給するように制御を行う。
【0029】
ただし、インクジェットヘッド32内において、インク形成領域には液滴形状観測装置49を設置し、これにより得られた情報をメイン制御装置37にフィードバックし、このフィードバックした情報を基にして算出した適正入力値を圧電素子に入力することにより、均一なインクの吐出について、その安定化を図る構成であっても良い。
【0030】
(第1の実施例)
以下に述べる本発明の実施例は、
図8に示したインクジェット記録装置のうちの連続吐出型インクジェット記録装置に適用した場合の例である。
【0031】
本発明の第1の実施例である連続吐出型インクジェット記録装置(又は、コンティニュアス・インクジェット装置)における、特に、インクジェットヘッドのノズルから偏向電極構成の概略構造について、
図1,2、3を用いて説明する。
【0032】
図1は、本発明の第1の実施例の要部概略構成図であり、
図8のインクジェットヘッド32の内部構成を示す図である。
図2は気流配管出口17a付近の詳細説明図、
図3は
図1のAA断面矢視図である。
【0033】
図1において、本発明の連続吐出型インクジェット記録装置のインクジェットヘッドは、液滴を吐出するインク室1を備えたノズルヘッド2と、形成した液滴を個別に帯電するための帯電電極3、8と、帯電した液滴を電界により偏向するための一対の偏向電極5、11と、印字に使われなかった液滴を再使用するため、当該液滴を回収するガター13とを備えている。偏向電極5、11は互いに平行な対向面をもつように設置されている。偏向電極の上流には、配管17がその出口17aを偏向電極11の面に沿うよう設置されている。
図3はAA断面矢視図である。
【0034】
図9は本発明とは異なる例(従来例)であり、本発明との比較のための比較例を示す図である。
図9の比較例に示すように、インク室1から印字体16の手前まで、インク入射線1’を囲むように通路18が設けられており、この通路18に配管17が帯電電極3,8の出口付近で接続されている。
【0035】
図1に示した構成において、ノズルヘッド2のノズルから吐出した液柱7は、ノズルヘッド2におけるインク室1の上部から付与される振動により切断され、図示するように、液滴列を形成する。ここで、ノズルヘッド2の筐体全体は接地状態となっている。そして、形成された液滴は、帯電電極基板4、9上に形成され、液滴の飛翔方向と平行になるように近接して配置された帯電電極3、8により負に帯電される。
【0036】
ここで、帯電電極3、8は、任意のタイミングで任意の電圧を帯電電圧コントローラ14より液滴に投入(印加)することにより、個々の液滴を、目的とする印字形態に応じて帯電することができる構成となっている。
【0037】
なお、このとき、液柱7の切断点(この液柱の切断により、液滴が形成される)は、液滴列に対応して設けられた帯電電極3、8上に位置するようになっている。また、帯電電極3、8は、液滴列がその幅方向(図の紙面に垂直な方向)における中心付近を通過するように配置されていることが好ましい。
【0038】
ここで、帯電工程のインク飛翔方向の下部(上記帯電電極3、8の下方)には、電界により帯電液滴12を任意の方向に偏向するための偏向電界を形成する、所謂、偏向電極が設置されている。これら偏向電極は、接地偏向電極5(第1偏向電極)と高電圧偏向電極11(第2偏向電極)とから構成され、かつ、これらが互いに平行に向かい合う形で配置されており、電気力線は偏向電極面5、11に垂直であり、互いに平行に形成される。
【0039】
この偏向電界が形成された領域内を、帯電電極3、8を通過した後の液滴(帯電した液滴と帯電していない液滴とを含む)が飛翔することにより、帯電液滴12は、偏向電界の影響により、帯電符号と逆の電極11に接近する方向に偏向され、印字体16に着弾し印字パターンを形成する。帯電量の多い液滴が正側電極に近づくため、大きな字を印字するためにインク入射線1’は接地した偏向電極5の面に近くの位置に設定される。
【0040】
このとき、本発明の第2の従来例においては、配管17から通路18に空気流を流すと、帯電電極3,8の出口付近で気流が合流し、液滴6に直接空気流が衝突し、液滴の飛翔方向に気流が流れる。そこで、液滴と液滴周辺気体との相対速度が小さくなり、液滴に加わる空気抗力が減り、液滴間の距離が一定に保たれ、高速でしかも、後続液滴が先頭液滴に追い付き合体(マージ)することが少なくなるが、帯電電極3,8の出口付近で気流が合流し、液滴6に直接空気流が衝突するため、合流によって発生した気流の乱れが液滴6,12の軌道を変動させ、印字歪を発生する問題があった。
【0041】
図1に示す本発明の第1の実施例では、配管17がその出口17aをインク入射線1’から径方向に離れて偏向電極11の面に沿うよう設置されており、配管17を流れてきた気流19がジェットとして、直接液滴6に衝突せず、偏向電極面をインク入射線1’に沿って噴出し、
図2のように液滴6周辺の気流20を誘引する。このように直接気流が液滴6に衝突しないため、液滴6周辺の気流20の乱れが小さい効果がある。配管出口17aとインク入射線1’は、液滴6の直径の2倍以上離せば、乱れを発生させない効果がある。
【0042】
電極5、11の長さ寸法としては、例えば、27.5mm程度が好ましい。また、電極5と11との互いの間隔は約3mm程度が好ましい。また、
図1の例では、図の左側を接地偏向電極5として、右側を高電圧偏向電極11として記載しているが、これらの偏向電極に印加される電圧は、これとは逆に偏向電極11を接地し、偏向電極5を負電圧にしても良い。また、インク液滴を正に帯電する場合は、偏向電極の電圧が正負逆となるのは言うまでもない。
【0043】
また、帯電電極3、8と偏向電極5、11との間には、高電圧偏向電極11からの電界の影響を遮断することを目的として、電界シールド部材10が設置されている。この電界シールド部材10は導電性の部材から構成されており、この電界シールド部材10は、
図1にも示すように、帯電電極3、8及びその周辺に対して高電圧による電界の影響を及ぼさないよう、接地状態にすることが好ましい。
【0044】
配管出口17aから噴出する気流19の速度は、液滴6の速度に近いことが望ましいが、液滴の速度の半分程度の速度でも十分な効果を持つ。
【0045】
このように構成することにより、液滴6の周辺気流の乱れが小さくなり、帯電液滴間の距離が短くならないため、印字歪が小さくなり、帯電液滴間にダミーの無帯電液滴を挿入する必要がないため、高速の印字が可能となる効果がある。具体的には、印字用の帯電液滴と帯電液滴の間にダミーの無帯電液滴を挿入する従来の場合に比べて、2倍の印字速度が得られる効果がある。
【0046】
また、以上、液滴を帯電させる例について記述したが、液滴を帯電させない場合にももちろん本発明は適用できる。3Dプリンティングに使用される樹脂などの液滴を飛翔させる場合、液を帯電させることができないが、液滴間隔の短縮を防止することができ同様な効果がある。
【0047】
以上のように、本発明の第1の実施例によれば、印字歪の無い高速度印字可能なインクジェット記録装置を実現することができる。
【0048】
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
【0049】
図4は、本発明の第2の実施例の要部構成図である。
図4に示していない他の構成は
図1の例と同等の構成となっている。
図4において、偏向電極5,11とカバー22で囲まれた空間内を気流が流れるので、気流19が偏向電極の外に広がらず、速度が低下しない効果がある。
【0050】
本発明の第2の実施例によれば、より低い速度の気流19で第1の実施例と同様な効果を得ることができる。
【0051】
(第3の実施例)
次に、本発明の第3の実施例について説明する。
【0052】
図5において、配管出口は17aと17bに分かれ、偏向電極5,11間で、偏向電極の対面方向と垂直方向に液滴6と離れて気流を液滴飛行方向に沿って流している。
【0053】
このように構成することにより、偏向方向に一様な速度の気流を誘引できるので、より大きな字の印字歪を低減することが可能である。
【0054】
本発明の第3の実施例によれば、第1の実施例と同様な効果を得ることができるほか、より大きな字を形成することが可能である。
【0055】
(第4の実施例)
次に、本発明の第4の実施例について説明する。
【0056】
図6は、本発明の第4の実施例の要部構成図である。
図6に示していない他の構成は
図1の例と同等の構成となっている。
【0057】
図6において、偏向電極11は、高さの高い文字を印字できるように、偏向電極5と角度をもって開いている11aと接続されている。この11aと電極5の間にもう一つの配管17’の出口17a’を接続している。このように構成することにより、偏向電極間が開いて気流の速度が低下するのを防ぐ効果がある。
(第5の実施例)
次に、本発明の第5の実施例について説明する。
【0058】
図7は、本発明の第5の実施例の要部構成図である。
図7に示していない他の構成は
図1の例と同等の構成となっている。
【0059】
図7において、
図1の要部構成の周りをカバー23が覆っている。このカバー23内にエアパージ配管21が外部から挿入され、配管口21aがカバー内空間に開口している。この配管21に配管17が接続されている。このように構成することにより、インクジェットヘッド付近をエアパージで洗浄する空気の一部を液滴周辺の気流追加に利用でき、構造が簡単になる効果がある。
【0060】
以上のように、詳細に説明した、液滴の飛行経路から径方向に離れて気流を液滴の飛行方向に沿って吹き出すことにより、この気流に誘引されて、液滴の周辺に気流が発生し、液滴の速度と周辺の気流の相対速度が低くなって、液滴の空気抗力が減る連続吐出型インクジェット記録装置及び方法によれば、帯電液滴の軌道に変動を加えずに、帯電液滴間の距離を短くさせないため、印字歪が小さくなり、帯電液滴間にダミーの無帯電液滴を挿入する必要がないため、精度が高くスピードの早い印字が可能となる効果がある。