特許第6192482号(P6192482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192482
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】光量調整装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/06 20060101AFI20170828BHJP
   G03B 9/00 20060101ALI20170828BHJP
   G03B 9/26 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   G03B9/06
   G03B9/00 A
   G03B9/26
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-217378(P2013-217378)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2015-79198(P2015-79198A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】林 修
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−065022(JP,U)
【文献】 特開平03−012642(JP,A)
【文献】 特開2004−138779(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0076419(US,A1)
【文献】 特開2010−031922(JP,A)
【文献】 特開昭60−261110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/06
G03B 9/00
G03B 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転して開口を形成する羽根部材を有する光量調整装置において、
上記羽根部材の素材となるシート状部材であって、羽根領域内に上記回転のための第1のアウトサート用孔と上記回転のための駆動力を受けるための第2のアウトサート用孔とが穿孔され、かつ羽根領域を避けて穿孔され該穿孔の内周の一部が上記羽根部材の外形の一部とされた第1の線分を有した第1のシート状部材と、
上記羽根部材の補強をするための羽根補強部材の素材となるシート状部材であって、羽根補強領域内に上記回転のための上記第1のアウトサート用孔と同じ位置に設けられる第3のアウトサート用孔と上記回転のための駆動力を受けるための上記第2のアウトサート用孔と同じ位置に設けられる第4のアウトサート用孔とが穿設され、かつ上記羽根補強領域を避けて穿孔され該穿孔の内周の一部が上記羽根補強部材の外形の一部とされた第2の線分を有した第2のシート状部材とが、
上記第1の線分の一部を覆うように上記羽根領域上に上記羽根補強領域が重畳され、かつ上記羽根補強部材の第2の線分以外の残りの外形の線分と上記第1の線分の一部とが略一致するように重畳された後、上記第1のアウトサート用孔と第3のアウトサート用孔とに一体の回転中心手段として成型された第1のアウトサート部と上記第2のアウトサート用孔と上記第4のアウトサート用孔とに一体に駆動力受け部として成型された第2のアウトサート部とを有し、該成型の後、上記第1のシート状部材から切断により上記第1の線分以外の上記羽根部材の外形線と上記第2のシート状部材から切断により上記第2の線分以外の上記羽根補強部材の外形となる外形線とを創成し、上記第1のシート状部材と上記第2のシート状部材とから分離された上記羽根補強部材が一体となった上記羽根部材と、 を具備したことを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
上記第1のアウトサート部と上記第2のアウトサート部とは分離された形態でアウトサート成型されていることを特徴とした請求項1記載の光量調整装置。
【請求項3】
上記光量調整装置の羽根を枢軸する固定部材には、上記羽根部材が上記第1のシート状部材から分離されるときに生じた上記第1の線分と上記第1の線分以外の上記羽根部材の外形となる外形線とのつなぎ目である外形不連続部との上記羽根部材の回転中の接触を避けるための凹み部を有することを特徴とした請求項1又は請求項2のいずれかに記載の光量調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の羽根部材により開口を形成する装置において、それぞれの羽根部材を回転させて開口径を変化させて当該開口を通過する光量の調整を行う光量調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学レンズ等を用いて被写体の光学像を所定の受光面上に結像させる光学機器、例えばカメラ等の撮影機器等が種々実用化され広く普及している。この種の光学機器においては、光学レンズ等によって集光された光束の光量調整を行うために、当該光束が通過する光路上に、いわゆる絞り装置などと呼ばれる光量調整装置を具備したものがある。
【0003】
このような光量調整装置においては、薄板状シート部材からなる複数の羽根部材を回転移動させて開口(光路)径を変化させることによって当該開口(光路)を通過する光量の調整を行うように構成されている。
【0004】
この種の光量調整装置において、複数の羽根部材の停止精度を改善するための工夫として、例えば各羽根部材の回転中心部位にトーションバネ等の付勢部材を設ける等、種々の形態のものが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記のような形態の従来の光量調整装置では、羽根部材に対してトーションバネ等の付勢力が常に働く構成となっていることから、例えば耐性試験等、高温多湿環境等に晒された後には各羽根部材が変形してしまうことがある。また、複数の羽根部材を、より高速に回転駆動しようとした場合にも、各羽根部材を変形させてしまう場合があり得る。この場合において、複数の羽根部材のそれぞれが変形してしまうと、光量を調整するための精度を確保することができなくなるという問題が生じる。
【0006】
また、上記羽根部材を回転させるのに際しては、羽根部材の基端部に設けた円形孔部に固定軸部材を挿通し、この軸部材を回転中心とするように構成するのが普通である。このような構成を適用した場合において、羽根部材を高速に回転駆動させると、羽根部材の損傷や軸部材の摩耗が激しいという問題点がある。
【0007】
そこで、例えば実開昭55−162223号公報等によって開示されている光量調整装置においては、羽根部材の回転中心となる孔部近傍に、固定軸部材を挿通し得る孔部を備えたモールド部品を一体に添着して構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭55−162223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記実開昭55−162223号公報によって開示されている手段、即ち羽根部材に他の部材をモールド成形により添着のみでは、生産性に問題があり大量産に適したものとはいえない。また、上記公報による手段では、モールド成形した場合、補強の樹脂厚はさほど薄くすることができず、羽根部材の厚さ自体を厚くしてしまうことから、装置自体の小型化を阻害してしまうという問題点がある。
【0010】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数の羽根部材の変形を抑制し、高速駆動時にも光量調整の精度を確保しながら、羽根部材の損傷を抑えながら生産性がよく、高精度で信頼性の高い光量調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の光量調整装置は、回転して開口を形成する羽根部材を有する光量調整装置において、上記羽根部材の素材となるシート状部材であって、羽根領域内に上記回転のための第1のアウトサート用孔と上記回転のための駆動力を受けるための第2のアウトサート用孔とが穿孔され、かつ羽根領域を避けて穿孔され該穿孔の内周の一部が上記羽根部材の外形の一部とされた第1の線分を有した第1のシート状部材と、上記羽根部材の補強をするための羽根補強部材の素材となるシート状部材であって、羽根補強領域内に上記回転のための上記第1のアウトサート用孔と同じ位置に設けられる第3のアウトサート用孔と上記回転のための駆動力を受けるための上記第2のアウトサート用孔と同じ位置に設けられる第4のアウトサート用孔とが穿設され、かつ上記羽根補強領域を避けて穿孔され該穿孔の内周の一部が上記羽根補強部材の外形の一部とされた第2の線分を有した第2のシート状部材とが、上記第1の線分の一部を覆うように上記羽根領域上に上記羽根補強領域が重畳され、かつ上記羽根補強部材の第2の線分以外の残りの外形の線分と上記第1の線分の一部とが略一致するように重畳された後、上記第1のアウトサート用孔と第3のアウトサート用孔とに一体の回転中心手段として成型された第1のアウトサート部と上記第2のアウトサート用孔と上記第4のアウトサート用孔とに一体に駆動力受け部として成型された第2のアウトサート部とを有し、該成型の後、上記第1のシート状部材から切断により上記第1の線分以外の上記羽根部材の外形線と上記第2のシート状部材から切断により上記第2の線分以外の上記羽根補強部材の外形となる外形線とを創成し、上記第1のシート状部材と上記第2のシート状部材とから分離された上記羽根補強部材が一体となった上記羽根部材と、を具備した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の羽根部材の変形を抑制し、高速駆動時にも光量調整の精度を確保しながら、羽根部材の損傷を抑えることができ、高精度で信頼性の高い光量調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の光量調整装置の外観を示す斜視図
図2図1の光量調整装置の分解斜視図
図3図1の矢印[3]方向から見た光量調整装置の正面図
図4図3の一部(符号[4]で示す領域)を拡大して示す要部拡大図
図5図1の光量調整装置に適用される羽根部材を拡大して示す平面図
図6図5の矢印[6]方向から見た羽根部材の側面図
図7図1の光量調整装置に適用されるトーションバネを拡大して示す拡大斜視図
図8図1の光量調整装置に適用される羽根部材の羽根主部を切り出すための第1シート部材の一例を示す図
図9図1の光量調整装置に適用される羽根部材の羽根補強部材を切り出すための第2シート部材の一例を示す図
図10図8の第1シート部材と図9の第2シート部材とを重ね合わせた状態を示す図
図11図3に示す状態の光量調整装置から蓋部材を取り外した状態において羽根部材の開放状態を示す図
図12図11の符号[12]で示す領域を拡大して示す要部拡大図
図13図3に示す状態の光量調整装置から蓋部材を取り外した状態において羽根部材が最小絞り状態を示す図
図14図13の符号[14]で示す領域を拡大して示す要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0015】
まず、本発明の一実施形態の光量調整装置の概略構成を以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態の光量調整装置の外観を示す斜視図である。図2は、図1の光量調整装置の分解斜視図である。図3は、図1の矢印[3]方向から見た図であって、当該光量調整装置の正面図である。図4は、図3の一部(符号[4]で示す領域)を拡大して示す要部拡大図である。
【0016】
図1図3等に示すように、本実施形態の光量調整装置10は、固定枠部材11と、回転駆動板12と、複数の羽根部材13と、蓋部材14と、トーションバネ15と、駆動モータ16と、付勢バネ18と、位置センサ20等によって主に構成されている。
【0017】
本実施形態の光量調整装置10は、全体として略円環形状に形成されていて、その略中心部位に光束を通過させるための光路を形成する略円形状の開口10aを有するように構成されている。そして、本光量調整装置10は、後述するように、複数の羽根部材13を重ね合わせた形態で配置されており、これら複数の羽根部材13を所定のタイミングで所定の方向に所定量だけ回動させることによって、上記開口10aの開口径を変化させて、これ(開口10a)を通過する光束の光量の調整を行う装置である。
【0018】
この光量調整装置10の各構成部材のうち、固定枠部材11は、本光量調整装置10における基本構成部材である。固定枠部材11は、全体が略円環形状に形成されており、その略中心部位に略円形状の開口11aを有して形成されている。
【0019】
詳しくは、固定枠部材11は、円環平面部11l(エル)と、外周壁面11mと、内周壁面11nとによって形成されている。ここで、外周壁面11mは円環平面部11l(エル)の外周縁部を取り囲むように形成される壁状部である。内周壁面11nは円環平面部11l(エル)の内周縁部を取り囲むように形成される壁状部である。この構成により、当該固定枠部材11は、円環平面部11l(エル)と外周壁面11mと内周壁面11nとによって形成される内部空間部を備えた円環状筐体を形成している。そして、固定枠部材11の内部空間部には、回転駆動板12及び複数の羽根部材13が収納配置されている(詳細後述)。また、固定枠部材11の円環平面部11l(エル)に対向する部位は円環状に開口しており、この円環状開口部位を覆うように蓋部材14が配置されている。このように固定枠部材11と蓋部材14とによって本光量調整装置10の筐体部が形成されている。
【0020】
固定枠部材11の円環平面部11l(エル)の一側面であって、上記内部空間部の形成されている側とは反対側の外面側における所定の部位には、駆動モータ16が複数(本例では2本)のビス17によって固設されている。そのために、円環平面部11l(エル)において駆動モータ16の取り付け部位近傍には、複数(本例では2つ)のビス孔11dが穿設されている。
【0021】
駆動モータ16は、回転駆動板12を所定のタイミングで所定の回転方向へ所定量だけ回転駆動させるための駆動モータである。駆動モータ16としては、例えばステッピングモータ等が適用されている。駆動モータ16の駆動軸は、固定枠部材11の円環平面部11l(エル)の所定部位に穿設された貫通孔11fに貫通配置されている。駆動モータ16の駆動軸の先端側にはピニオンギアー16aが固設されている。このピニオンギアー16aは、回転駆動板12のセクタギアー12dに噛合している。この構成により、駆動モータ16の回転駆動力は、駆動軸,ピニオンギアー16a,セクタギアー12dを介して回転駆動板12に伝達される。この回転駆動力を受けて、回転駆動板12は所定方向に所定量だけ回転駆動するように構成されている。
【0022】
回転駆動板12は、駆動モータ16の駆動力を受けて複数の羽根部材13を駆動させるために設けられる羽根駆動部材である。回転駆動板12は、全体が上記固定枠部材11よりもやや小径の略円環形状に形成されており、その略中心部位に略円形状の開口12aを有して形成されている。回転駆動板12は、上記固定枠部材11の内部空間部において、同固定枠部材11に対して開口12aの中心軸周りに回動自在となるように配設されている。
【0023】
上記回転駆動板12の外周縁部の一部位にはセクタギアー12dが形成されている。このセクタギアー12dには、上述したように、上記駆動モータ16のピニオンギアー16aが噛合している。
【0024】
また、上記回転駆動板12の外周縁部近傍の一部位には、付勢バネ18の一端を係止するコイルバネ係止部A12bが形成されている。コイルバネ係止部A12bは、回転駆動板12の径方向に対して略直交し光束と平行な方向に向けて突出するように形成される軸状部位である。このコイルバネ係止部A12bの先端部は、上記付勢バネ18の一端を係止し得るように略フック状に形成されている。
【0025】
これに対応させて、上記固定枠部材11の円環平面部11l(エル)における所定の部位には、径方向に沿って所定の長さを有する貫通溝部11bが形成されている。これにより、回転駆動板12を上記固定枠部材11の内部空間部の所定部位に収納したとき、コイルバネ係止部A12bは、上記貫通溝部11bを貫通して、固定枠部材11の外面側(円環平面部11l(エル)の一側面側)に突出して配置される。そして、この状態において、回転駆動板12が上記駆動モータ16の駆動力を受けて回動すると、コイルバネ係止部A12bは、上記貫通溝部11bに沿って移動するように構成されている。
【0026】
一方、上記固定枠部材11の外面側(円環平面部11l(エル)の一側面側)において、上記貫通溝部11bの近傍には、上記コイルバネ係止部A12bと同一方向に向けて突設されるコイルバネ係止部B11cが形成されている。このコイルバネ係止部B11cの先端部は、上記付勢バネ18の他端を係止し得るように略フック状に形成されている。そして、このコイルバネ係止部B11cに上記付勢バネ18の他端が係止されている。
【0027】
上述したように、上記コイルバネ係止部A12bには、例えば緊縮性のコイルバネ等の付勢バネ18の一端が係止されている。この構成により、固定枠部材11に対して回動自在に配設されている回転駆動板12は、付勢バネ18によって常に一方の回動方向に向けて付勢されている。この場合において、付勢バネ18は、例えば複数の羽根部材13が開口(光路)径を小径となるように絞る方向へと回動させるように回転駆動板12を付勢している。なお、この例とは別に、付勢バネ18が回転駆動板12を付勢する回動方向として、開口(光路)径が開く方向へ付勢するような構成でもよい。
【0028】
他方、回転駆動板12の円環形状を成す平面部位には、所定のカム曲線を備えた複数のカム溝12cが形成されている。これら複数のカム溝12cには、複数の羽根部材13のボス13c(後述)がカム嵌合している。即ち、これら複数のカム溝12cは、複数の羽根部材13をそれぞれ駆動する駆動部となっている。したがって、複数のカム溝12cは、複数の羽根部材13と同数形成されている。本実施形態においては、羽根部材13は7枚配設した例を示している。したがって、本例においては、カム溝12cは7つ形成されている。
【0029】
複数の羽根部材13は、互いに重ね合わせて配置することで略円形状の開口を形成し、それぞれが所定の移動を行うことによって、その開口形状を維持しながら開口径を変化させ、その開口を通過する光束の量、即ち光量の調整を行うための遮光部材である。複数の羽根部材13のそれぞれは、例えば薄板状シート部材等によって構成されている。上述したように、本実施形態においては、7枚の羽根部材13によって構成した例を示している。なお、羽根部材13の詳細構成は後述する。
【0030】
複数の羽根部材13のそれぞれは、各基端部に設けられる支持部13hの貫通孔13d(後述する)をそれぞれを回動中心として回動可能となるように固定枠部材11の支軸11e(図1図2では不図示。後述の図11図13等参照)において回動自在に軸支された状態で上記内部空間部に収納配置されている。したがって、上記固定枠部材11の支軸11eは、羽根部材13を枢軸する固定部材として構成されている。さらに、この状態にあるとき、複数の羽根部材13のそれぞれの上記ボス13c(詳細は後述する)は回転駆動板12の上記複数のカム溝12cのそれぞれにカム嵌合している。したがって、上記回転駆動板12は、カム溝12cにカム嵌合されたボス13cをカム駆動して上記複数の羽根部材13を回転駆動する駆動手段として機能している。
【0031】
このように固定枠部材11の内部空間に回転駆動板12と複数の羽根部材13等を収納配置した状態で、固定枠部材11の円環状開口部位は、蓋部材14によって覆われている。この場合において、固定枠部材11と蓋部材14とは、例えば複数のビス19等によって締結固定されている。
【0032】
蓋部材14は、上記固定枠部材11と略同径の略円環形状に形成されており、その略中心部位に円形開口14aを有して形成されている。そして、蓋部材14は、固定枠部材11の円環状開口部位を覆うと共に、該固定枠部材11の内部空間に収納された部材(回転駆動板12及び複数の羽根部材13等)が脱落しないように抑える抑え部材としての役目をしている。
【0033】
蓋部材14の内面側(固定枠部材11の内部空間に向く面)には、内部空間に収納された各羽根部材13の各ボス13c(後述)がそれぞれ係合し、その(羽根部材13のボス13cの)移動を阻害しないように逃げる有底溝14bが形成されている。また、蓋部材14には、内部空間に収納された各羽根部材13の回動中心となる基端部近傍(特に後述するトーションバネ係止部B13e)をそれぞれ露呈させるための複数の切欠部14cが(羽根部材13と同数)形成されている。
【0034】
さらに、蓋部材14の上記切欠部14cの各近傍には、トーションバネ15の一腕15b(後述する;図4参照)を引掛けるトーションバネ係止部A14dと、トーションバネ15の本体部15cを巻装保持するバネ支軸14eとが設けられている(図3図4等参照)。上記トーションバネ係止部A14d及び上記バネ支軸14eは、蓋部材14の円環形状をなす平面部の外面側から外方に向けて光束と平行な方向に突出して形成された軸部と該軸部先端から直交して庇状に延びたフック部とからなっている。上記トーションバネ係止部A14dの先端部のフック部は、トーションバネ15の一腕15bを係止し得るように形成されている。そして、このトーションバネ係止部A14dには上記トーションバネ15の一腕15bが係止されている。また、上記バネ支軸14eの先端部のフック部は、上記トーションバネ15の本体部15cが抜け落ちないように形成されている。なお、上記バネ支軸14eは、羽根部材13の回動中心となる支軸11eと略同軸となる位置に形成されている。
【0035】
トーションバネ15は、複数の羽根部材13によって形成される開口径を小径とする絞り方向若しくは開く方向とする開放方向なるように上記羽根部材13を常に一方向へと付勢する付勢部材である。なお、本実施形態においては、上記トーションバネ15の付勢力の方向は、羽根部材13を、羽根部材13によって形成される開口径を小径とする絞り方向とするように設定されているものとする。
【0036】
ここで、トーションバネ15自体の詳細構成を、図7を用いて説明する。図7は、本実施形態の光量調整装置10に適用されるトーションバネ15を拡大して示す拡大斜視図である。なお、図7に示す状態は、トーションバネ15が単体で存在しているときの自然状態を示している。
【0037】
トーションバネ15は、コイル状に巻回された本体部15cと、この本体部15cの一端から延出する一腕15bと、同本体部15cの他端から延出する他腕15aとを有して形成されている。このトーションバネ15は、ねじり方向の付勢力を利用する付勢部材である。トーションバネ15は、複数の羽根部材13のそれぞれに対応して一つずつ設けられている。
【0038】
上述したように、また図4にも示すようにトーションバネ15の本体部15cは、バネ支軸14eに巻装された状態で配設される。また、トーションバネ15の一腕15bは蓋部材14のトーションバネ係止部A14dに係止されている。さらにトーションバネ15の一腕15bの先端には、略L字形状に折り曲げた形態のL字状折曲部15eを有している。この場合において、上記L字状折曲部15eの折り曲げ形態は、トーションバネ15を所定の位置に取り付けた状態としたとき、即ち図4に示す状態としたとき、蓋部材14の平面部(換言すれば羽根部材13によって形成される開口を含む面と平行な面)と略平行となるように形成されている。したがって、トーションバネ15を同状態としたとき、L字状折曲部15eは、トーションバネ係止部A14dの近傍の平面部14daに当接した状態となり、かつL字状折曲部15eがトーションバネ係止部A14dを取り囲むように配置される。この構成により、トーションバネ15がその一腕15bを軸中心として回転することを抑止している。一方、トーションバネ15の他腕15aは羽根部材13の一部(後述するトーションバネ係止部B13e)に係止されている。
【0039】
また、本実施形態の光量調整装置10においては、回転駆動板12の位置を検出する位置センサ20を有している。位置センサ20は、例えばフォトインタラプタ(Photointerrupter)等が適用される。位置センサ20は、固定枠部材11と蓋部材14とを合わせた形態の筐体部の内部における所定の部位、即ち図2の符号14fで示される部位(凹状部14f)内に配置して接着などの手段を用いて該筐体部に固設されている。これに対応させて、回転駆動板12の外周縁部には、上記位置センサ20に作用する遮光羽根部12eが形成されている。そして、この遮光羽根部12eが上記位置センサ20の送受光部の間を通過し得るように構成されている。
【0040】
このように構成された本実施形態の光量調整装置10の基本的な構成は、従来一般に実用化されている通常の光量調整装置と略同様であるが、本実施形態の光量調整装置10における特徴的な構成についての詳細を次に説明する。
【0041】
まず、本実施形態の光量調整装置10に適用される複数の羽根部材13の詳細構成を、主に図5図6を用いて以下に説明する。図5図6は、本実施形態の光量調整装置10に適用される羽根部材13を拡大して示す図である。このうち図5は羽根部材13の平面図である。図6図5の矢印[6]方向から見た羽根部材13の側面図である。
【0042】
羽根部材13は、上述したように、例えば薄板状シート部材等によって形成される遮光部材である。羽根部材13は、略三日月状(lunate)に形成されており当該羽根部材13の主要部となる羽根主部13aと、羽根主部13aの一部を補強するために重ね合わせて配置される羽根補強部材13bと、回転駆動板12のカム溝12cにカム嵌合して当該羽根部材13を駆動させるボス13cと、トーションバネ15の他腕15aを係止するトーションバネ係止部B13eと、固定枠部材11の支軸11eが貫通し回転中心となる貫通孔13dを有する支持部13h等を有して構成されている。
【0043】
この場合において、羽根主部13aと羽根補強部材13bとは薄板状シート部材を用いて形成される。また、上記トーションバネ係止部B13eと上記支持部13hと上記ボス13cとは、例えば樹脂成形等によって形成される部位である。具体的には、トーションバネ係止部B13e,支持部13h,ボス13cは、上記薄板状シート部材に対して、例えばアウトサート成型等の手段にて一体成形される部位である。
【0044】
羽根部材13は、例えば次のように形成される。図8は、羽根主部13aを切り出すための第1シート部材31の一例を示す図である。図9は、羽根補強部材13bを切り出すための第2シート部材32の一例を示す図である。図10は、上記第1シート部材と第2シート部材とを重ね合わせた状態を示す図である。
【0045】
羽根部材13の製造工程において、まず、羽根部材13のうち羽根主部13aを切り出すための第1シート部材31(図8)と、羽根部材13のうち羽根補強部材13bを切り出すための第2シート部材32(図9)とを形成する。
【0046】
ここで、図8に示す第1シート部材31は、羽根部材13の主要部の素材となる第1のシート状部材である。第1シート部材31は、羽根部材13の羽根領域となる領域内において、回転のための第1のアウトサート用孔31aと、回転のための駆動力を受けるボス13cが配置されるための第2のアウトサート用孔31bとが穿孔されている。さらに、第1シート部材31は、羽根部材13の羽根主部13aとなる羽根領域31fを避けた領域に穿孔された領域31d(図8の斜線で示す領域参照)と、この穿孔領域31dの内周の一部であって当該羽根部材13の外形の一部とされる第1の線分31cとを有して形成されている。また、第1のアウトサート用孔31aの近傍には、トーションバネ係止部B13eをアウトサート成形するための穿孔31gが、上記羽根領域31fの所定の部位に穿設される。なお、図8に示す符号31eで示す穿孔(4つ)は、羽根部材13の製造時に当該第1シート部材31を固定するための位置決め用孔である。なお、図8において斜線で示す領域は第1シート部材31における穿孔領域である。ただし、穿孔領域の内の一部のみを斜線で示している。
【0047】
一方、図9に示す第2シート部材32は、羽根部材13の一部を補強するための羽根補強部材13bの素材となる第2のシート状部材である。第2シート部材32は、羽根部材13の羽根領域となる領域内であってかつ羽根補強部材13bとなる羽根補強領域32fの領域内において、回転のため上記第1のアウトサート用孔31aと同位置に形成される第3のアウトサート用孔32aと、回転のための駆動力を受けるボス13cが配置される上記第2のアウトサート用孔31bと同位置に形成される第4のアウトサート用孔32bとが穿設されている。さらに、第2シート部材32は、羽根補強部材13bとなる羽根補強領域32fを避けた領域であって上記羽根領域31fに対応する領域を含む領域に穿孔された領域32d(図9の斜線で示す領域参照)と、この穿孔領域32dの内周の一部であって当該羽根補強部材13bの外形の一部とされる第2の線分32cとを有して形成されている。また、第1のアウトサート用孔31aの近傍にはトーションバネ係止部B13eをアウトサート成形するための穿孔32gが、上記羽根補強領域32fの所定の部位に穿設される。なお、図9に示す符号32eで示す穿孔(4つ)は、羽根部材13の製造時に当該第2シート部材32を固定するための位置決め用孔である。なお、図9において斜線で示す領域は第2シート部材32における穿孔領域である。ただし、穿孔領域の内の一部のみを斜線で示している。また、穿孔31g,穿孔32gは上記のようにアウトサート成形するための穿孔ではあるがこの穿孔に直接アウトサート成形されるものではなく、トーションバネ係止部B13eのフック部を形成するための金型の型抜きのための孔、即ち加工上必要な孔である。
【0048】
これら二枚のシート部材31,32を、図10に示すように重畳させた状態とする。このとき、各位置決め用孔31e,32eに軸を立てることによって両シート部材31,32は所定の正確な重畳状態を確保できる。即ち、上記第1の線分31cの一部を覆うように上記羽根領域31f上に上記羽根補強領域32fが重畳され、かつ上記羽根補強領域32fの第2の線分32c以外の残りの外形の線分と上記第1の線分31cの一部とが略一致するように重畳させる。このとき、上記第1のアウトサート用孔31aと第3のアウトサート用孔32aとが一致し、上記第2のアウトサート用孔31bと第4のアウトサート用孔32bとが一致した状態となる。
【0049】
この状態において、アウトサート成形処理を行う。これにより、羽根部材13の回転中心手段となる回転軸受アウトサート部であり第1のアウトサート部である支持部13hと、羽根部材13の駆動力受け部となる被駆動アウトサート部であり第2のアウトサート部であるボス13cが成形される。
【0050】
ここで、上記第1のアウトサート部である支持部13hは、羽根部材13の回転中心となる部位であって、上記第1のアウトサート用孔31aと第3のアウトサート用孔32aとを一体とし、固定枠部材11の支軸11eが貫通する貫通孔13dを有する軸受け部である。また、トーションバネ係止部B13eは、上記第1のアウトサートと一体に成形され、トーションバネ15の他腕15aを係止するバネ掛け部となる。上記第2のアウトサート用孔31bと上記第4のアウトサート用孔32bとを一体とし、共通の軸となるボス13cが成形される。なお、本実施形態においては、上記のように上記第1のアウトサート部(支持部13h)とトーションバネ係止部B13eとは、一体に成形されるように構成している。トーションバネ係止部B13eは、支持部13hから羽根部材13と平行に伸びて穿孔31g上で羽根部材13と直交するように伸びた軸部と該軸部先端から直交して庇状に伸びたフック部とからなっている。これに加えて、上記のように本実施形態では、当該羽根部材13を駆動させるためにボス13cも成形される。そして、このアウトサート成形処理を行うことによって、上記二枚のシート部材31,32は正確に重畳された状態で一体化され固定される。
【0051】
このアウトサート成形処理の後、続いて羽根部材13としての外形を切り出す処理を行う。この場合において、上記第1シート部材31から切断されることにより上記第1の線分31c以外の上記羽根部材13の羽根主部13aとなる領域の羽根外形線31h(図8の点線参照)と、上記第2シート部材32から切断されることにより上記第2の線分32c以外の上記羽根補強部材13bの外形となる補強部材外形線32h(図9の点線参照)とが創成される。これにより、上記第1シート部材31と上記第2シート部材32とから分離された羽根補強部材13bが上記羽根主部13aと一体となった形態、即ち図5図6に示すような形態の羽根部材13が創成される(図10において斜線で示す領域参照)。
【0052】
なお、この場合において、羽根部材13の全外形を切り出すには、複数のカッターが用いられる。と言うのも、シートが2枚に重なった状態で切り出すとどうしてもずれが生じる可能性もあり、シート1枚の状態で切り出すことが、より精度よく外形寸法をだすことが好ましいからである。そのために、例えば図5の符号13fで示されるような外形不連続部が生じる(本例では二箇所)。この外形不連続部13fは、羽根部材13が第1シート部材31から切断されることによって分離されるときに、第1の線分31c(の両端部位)と、これ(第1の線分)以外の羽根部材13の外形となる羽根外形線31hとのつなぎ目である。このような外形不連続部13fは、上述のような手法による製造の機械化(自動化)によって羽根部材13を創成する際に必然的に生じる。
【0053】
なお、上述したような外形不連続部13fを生じさせることなく羽根部材13を製造することは可能である。例えば製造手法として、完全な自動化を避けて、個々の構成部材(羽根主部13a,羽根補強部材13b等)をそれぞれのシート状部材より切断して分離した後、手動によって組み立て作業を含めるような製造を行えばよい。このような手動工程を含む製造手法を適用すれば、上記外形不連続部13f等を排除することが可能である。しかしながら、作業の効率化及び高速化を望むことができない。したがって、本実施形態においては、製造の効率化及び高速化を優先するため、上述のような製造手法の自動化を採用している。
【0054】
このように構成された複数の羽根部材13は、固定枠部材11の複数の支軸11eのそれぞれによって回動自在に軸支されている。この構成を具体的に説明すると、次のようになる。即ち、上記支軸11eは、固定枠部材11の円環平面部11l(エル)の他側面側(内部空間部の内側面)において、上記複数の羽根部材13のそれぞれに対応する数だけ(本実施形態では7本)、円周方向の全周に亘って所定の間隔をおいて複数植設されている(図1図2では不図示。図11図12等参照)。
【0055】
上記複数の支軸11eのそれぞれは、各羽根部材13の各基端部に設けられる支持部13hの貫通孔13dにそれぞれ挿通している。これによって、羽根部材13は、当該支軸11eを回転の中心軸として回動可能に軸支されている。そして、このとき、羽根部材13は、固定枠部材11の内部空間部に収納配置されている状態にある。したがって、羽根部材13は、固定枠部材11の内部空間部において所定の範囲内で回動が可能となるように収納配置されている。
【0056】
上述したように、本実施形態の光量調整装置10においては、複数の羽根部材13は、固定部材である固定枠部材11の支軸11eによって回転自在に軸支されいている。ここで、図11図13は、本実施形態の光量調整装置10において、図3に示す状態から蓋部材14を取り外した状態を示す図である。このうち、図11は、羽根部材13によって形成される開口の開口径が最も開いている状態(開放状態)を示している。図13は、羽根部材13によって形成される開口の開口径が最小径となる最小絞り状態を示している。また、図12は、図11の符号[12]で示す領域を拡大して示す要部拡大図である。図14は、図13の符号[14]で示す領域を拡大して示す要部拡大図である。
【0057】
上述のように構成された複数の羽根部材13が光量調整装置10に組み込まれた状態においては、図11図13に示すような形態で配置される。このとき、各羽根部材13は基端部近傍の支持部13hが支軸11eによって図11図13に示す矢印R方向に回動自在に軸支されている。そして、各羽根部材13の隣接する羽根主部13aは、それぞれの一部が重畳して配置されている。一方、各羽根部材13の羽根補強部材13bは、互いに重なり合うことが無いように配置されている。このような各羽根部材13の配置状態は、図11に示す開放状態にあるときも、図13に示す最小絞り状態にあるときも、常に維持されるように構成されている。
【0058】
また、上記複数の羽根部材13が回動して、図11の開放状態と図13の最小絞り状態との間で開口形を変化させる動作が行われるとき、即ち羽根部材13の回転動作中に、各羽根部材13の外形不連続部13fが固定枠部材11(詳しくは円環平面部11l(エル)の内面側)に接触するのを避けるために、同固定枠部材11(の円環平面部11l(エル))の所定の部位には、図11図14に示すように凹部11gが形成されている。と言うのも、羽根部材13はその回転移動途中で振動等が原因で必ずしも完全な平面移動するとは限らず、平面を歪ませながら移動し外形不連続部13fが固定枠部材11の縁に引っ掛ってしまうことがある可能性も高くこれを防止するため該凹部が設けられる。また部品製造時に外形不連続部13fに僅かなバリが生じてしまう可能性もあるため、これによる固定枠部材11の縁への引っ掛かりを防止する。この凹部11gは、羽根部材13の回動に伴って移動する外形不連続部13fが通過する領域に対応する部位近傍に形成されている。
【0059】
また、本実施の形態の説明では、支持部13hを軸受の構成としたが、これに限らず、支持部13hを軸として構成し、固定枠部材11の支軸11eを軸受の構成としてもよい。また同様に、ボス13cの替わりに合成樹脂成形のアウトサートでカム形状とし、回転駆動板12のカム溝の替わりに軸としてもよい。
【0060】
以上説明したように上記一実施形態によれば、複数の羽根部材13の枢軸となる基端部近傍を補強するための構成として、当該部位においてシート状部材を二枚重ねた構成としている。具体的には、本実施形態の光量調整装置10においては、羽根主部13aと、この羽根主部13aの基端部近傍部位に重畳配置した羽根補強部材13bとによって複数の羽根部材13をそれぞれ構成している。このような構成とすることで、各羽根部材13の変形を抑制することができ、かつ高速駆動時にも光量調整の精度を確保することができる。
【0061】
また、羽根部材13の一部を二枚重ねの構成としながら、複数の羽根部材13を組み込んだ状態としたときには、その二枚構成部位が互いに重ならないように複数の羽根部材13の配置を工夫したので、装置の厚肉化を抑止することができる。したがって、装置の大型化を抑えつつ、羽根部材13の強度を向上させ、光量調整の精度を確保しつつ、装置の信頼性を確保することができる。
【0062】
さらに、羽根部材13の製造を自動化して、製造の効率化(生産性の向上)及び高速化を確保しながら、これに伴って生じる外形不連続部13fによって発生し得る動作上の不具合を解消する構成を工夫している。即ち、羽根部材13の回転動作中に外形不連続部13fが固定枠部材11と接触するのを避ける凹部11gを設けたので、常にスムースな羽根部材13の回動動作を確保することができる。したがって、常に高精度な光量調整を行うことのできる光量調整装置10を実現できる。
【0063】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0064】
10……光量調整装置,10a……開口,
11……固定枠部材,11a……開口,11b……貫通溝部,
11c……コイルバネ係止部B,11d……ビス孔,11e……支軸,11f……貫通孔,
11g……凹部,11l……円環平面部,11m……外周壁面,11n……内周壁面,
12……回転駆動板,12a……開口,12b……コイルバネ係止部A,
12c……カム溝,12d……セクタギアー,12e……遮光羽根部,
13……羽根部材,13a……羽根主部,13b……羽根補強部材,13c……ボス,
13d……貫通孔,13e……トーションバネ係止部B,13f……外形不連続部,
13h……支持部,
14……蓋部材,14a……円形開口,14b……有底溝,14c……切欠部,
14d……トーションバネ係止部A,14da……平面部,14e……バネ支軸,
14f……凹状部,
15……トーションバネ,15a……他腕,15b……一腕,15c……本体部,
15e……L字状折曲部,
16……駆動モータ,16a……ピニオンギアー,
17……ビス,
18……付勢バネ,
19……ビス,
20……位置センサ,
31……第1シート部材,31a……第1アウトサート用孔,
31b……第2アウトサート用孔,31c……第1の線分,31d……穿孔領域,
31e……位置決め用孔,31f……羽根領域,31g……穿孔,31h……羽根外形線,
32……第2のシート部材,32a……第3のアウトサート用孔,
32b……第4のアウトサート用孔,32c……第2の線分,32d……穿孔領域,
32e……位置決め用孔,32f……羽根補強領域,32g……穿孔,
32h……補強部材外形線,
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
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図14