(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192488
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】塗布後のインク処理およびシート操作
(51)【国際特許分類】
B05C 11/02 20060101AFI20170828BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20170828BHJP
B41J 2/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
B05C11/02
B05C9/14
B41J2/00 Z
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-226096(P2013-226096)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-97491(P2014-97491A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2016年10月24日
(31)【優先権主張番号】13/677,045
(32)【優先日】2012年11月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ビー・ハンター
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ジョセフ・スペンス
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エイ・アトウッド
【審査官】
赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−026747(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0206403(US,A1)
【文献】
特開2002−067295(JP,A)
【文献】
特開2002−283553(JP,A)
【文献】
特開2008−165148(JP,A)
【文献】
特開2011−201234(JP,A)
【文献】
特開昭56−004171(JP,A)
【文献】
特開2002−040866(JP,A)
【文献】
特開平06−043788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00−21/00
B41J 2/01−2/215
B41J29/00−29/70
G03G13/20;15/20
G03G15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材媒体シートに塗布されたインクを処理する装置であって、
基材媒体のシートに熱を伝えるために、回転可能に支持された制御シリンダであって、前記シートは、その第1の面に塗布されたインクを載せ、前記シートの第1の面が、前記制御シリンダと直接係合し、その外周アーチ部に沿って前記制御シリンダの周りに巻き付いた状態で前記制御シリンダが回転するとき、前記シートが制御シリンダの前記外周アーチ部に接して保持され、前記制御シリンダの回転速度は、基材媒体シートの前記シートが前記制御シリンダに直接係合した状態のままである滞留時間を制御するために調整可能である、制御シリンダと、
前記媒体シートを前記制御シリンダと直接接触した状態に保持しながら、冷却流体又は熱電気冷却装置によって前記制御シリンダを加熱または冷却するための熱制御要素であって、基材媒体の前記シートの滞留時間を調整することによって、前記媒体シートを加熱又は冷却する、熱制御要素と、
前記インクを延ばす圧力ローラであって、前記圧力ローラは前記制御シリンダと共に拡散ニップを形成し、前記拡散ニップは閉位置と開位置の間で選択的に切替え可能であり、閉位置では、前記シート上のインクに圧力をかけるために、前記圧力ローラを前記制御シリンダに向けて付勢し、開位置では、閉位置の場合と比べ、前記圧力ローラを制御シリンダからより遠くに離して配置する、圧力ローラと、を含み、
前記滞留時間は、センサが前記シートの温度を能動的に感知して、必要に応じて前記シートを均一な温度まで加熱又は冷却できる十分に長い間、前記シートが前記制御シリンダに接して保持されるように、前記制御シリンダの速度を制御することによって調整され、
前記基材媒体シートの後端が、前記圧力ローラから開放された後、前記圧力ローラが前記制御シリンダから離れ、これにより、前記基材媒体シートが、前記圧力ローラにさらに係合することなく、前記圧力ローラと制御シリンダの間を通ることができる、装置。
【請求項2】
前記シートが拡散ニップを通過後、前記シートを保持するために、前記拡散ニップに隣接して配置される捕捉ニップをさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記捕捉ニップが、前記シートを少なくとも部分的に前記開位置の前記拡散ニップを通して移動させ、前記捕捉ニップは、協働して前記シートを把持する1つ以上の付加的ニップ組立体を含み、各ニップおよび各付加的ニップ組立体は、少なくとも2つの隣接する回転要素または循環要素、および支持構造を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記基材媒体シートを前記制御シリンダに接して保持することによって前記基材媒体シート上に塗布された前記インクの温度を検知するセンサをさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記熱制御要素が、前記センサにより検知された前記温度に応じて、前記制御シリンダの前記温度を調整する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記熱制御要素は、前記制御シリンダを加熱するために、一つ以上の電気抵抗コイル、または加熱流体が流動できる配管および加熱流体を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記シートが前記外周アーチ部に接して保持される間、前記制御シリンダが、少なくとも部分的に前記インクを平坦にして前記インクを延ばす、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
シートを搬送するためのシート処理経路であって、前記捕捉ニップの第1の面上の前記処理経路の中間部に沿って前記捕捉ニップが前記シートを保持し、前記処理経路の出口部が前記中間部を挟んで前記捕捉ニップの反対側に配置され、前記出口部は、前記シートの先端を後端と入れ替えて前記シートを反転させるための別の経路である、シート処理経路をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記制御シリンダ、前記熱制御要素、および前記圧力ローラに操作可能に接続されて、これらを制御する少なくとも1つの制御装置をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記制御シリンダは、バキューム、用紙エッジグリッパ、空気圧、および静電保持法のうちの1つを選択的に利用するシート捕捉装置によって、前記基材媒体のシートを取得する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記拡散ニップは、油圧式システムを利用することによって、前記閉位置と前記開位置の間で切り替わる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記圧力ローラは、アクチュエータに対応付けられ、前記アクチュエータの動作が、前記圧力ローラに選択的に圧力をかけ、かつ解除し、前記アクチュエータは、圧搾空気式または油圧式線形アクチュエータの形式である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
基材媒体シートに塗布されたインクを処理する方法において、
前記シートの処理経路に沿って回転可能に支持される制御シリンダに基材媒体シートを係合させるステップであって、前記シートは、その第1の面に塗布されたインクを載せ、前記シートは、当該シートが媒体カートの圧盤上で運搬されている間、最初に制御シリンダと係合する、ステップと、
前記シートの前記第1の面が前記制御シリンダに直接係合し、その外周アーチ部に沿って前記制御シリンダの周りに巻き付いた状態で前記制御シリンダが回転するときに、前記シートが前記制御シリンダの外周アーチ部に接して保持された状態で前記制御シリンダを回転させるステップであって、前記基材媒体シートが前記制御シリンダと直接係合した状態のままである滞留時間を制御するために、前記制御シリンダの回転速度が調整可能である、ステップと、
前記媒体シートが前記制御シリンダと直接係合した状態を維持しながら、前記シートに熱を伝えるために前記制御シリンダを加熱または冷却する熱制御要素を起動するステップであって、前記基材媒体シートの前記滞留時間を調整することによって前記媒体シートを加熱または冷却する、ステップと、
圧力ローラと前記制御シリンダの間に前記シートを通すことによってインクを延ばすステップであって、前記圧力ローラは、前記制御シリンダと共に拡散ニップを形成し、前記シートが前記拡散ニップを通過するときに、前記拡散ニップが前記シート上の前記インクを加圧する、ステップと、
前記拡散ニップを開位置に開くステップであって、前記拡散ニップは、開位置と閉位置の間で選択的に切り替え可能であり、前記閉位置において、前記圧力ローラは、前記シート上のインクに圧力をかけるために、前記制御シリンダに向けて付勢され、前記開位置において、前記圧力ローラは、前記閉位置の場合よりも遠くに前記制御シリンダから離される、ステップと、を含み、
前記滞留時間は、センサが前記シートの温度を能動的に感知して、必要に応じて前記シートを均一な温度まで加熱又は冷却できる十分に長い間、前記シートが前記制御シリンダに接して保持されるように、前記制御シリンダの速度を制御することによって調整され、
前記基材媒体シートの後端が前記圧力ローラから解放された後、前記圧力ローラが閉位置から離れる、方法。
【請求項14】
前記シートが前記拡散ニップを通過した後、前記シートを保持するために、前記拡散ニップに隣接して配置された捕捉ニップを閉めるステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記制御シリンダは、前記シートが前記外周アーチ部に接して保持されている間、少なくとも部分的に前記インクを平坦にして前記インクを延ばす、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
基材媒体シートに塗布されたインクを処理する方法において、
前記シートの処理経路に沿って回転可能に支持される制御シリンダに基材媒体シートを係合させるステップであって、前記シートは、その第1の面に塗布されたインクを載せ、前記シートは、当該シートが媒体カートの圧盤上で運搬されている間、最初に制御シリンダと係合する、ステップと、
前記シートの前記第1の面が前記制御シリンダに直接係合し、その外周アーチ部に沿って前記制御シリンダの周りに巻き付いた状態で前記制御シリンダが回転するときに、前記シートが前記制御シリンダの外周アーチ部に接して保持された状態で前記制御シリンダを回転させるステップであって、前記基材媒体シートが前記制御シリンダと直接係合した状態のままである滞留時間を制御するために、前記制御シリンダの回転速度が調整可能である、ステップと、
前記媒体シートが前記制御シリンダと直接係合した状態を維持しながら、前記シートに熱を伝えるために前記制御シリンダを加熱または冷却する熱制御要素を起動するステップであって、前記基材媒体シートの前記滞留時間を調整することによって前記媒体シートを加熱または冷却する、ステップと、
圧力ローラと前記制御シリンダの間に前記シートを通すことによってインクを延ばすステップであって、前記圧力ローラは、前記制御シリンダと共に拡散ニップを形成し、前記シートが前記拡散ニップを通過するときに、前記拡散ニップが前記シート上の前記インクを加圧する、ステップと、
前記拡散ニップを開位置に開くステップであって、前記拡散ニップは、開位置と閉位置の間で選択的に切り替え可能であり、前記閉位置において、前記圧力ローラは、前記シート上のインクに圧力をかけるために、前記制御シリンダに向けて付勢され、前記開位置において、前記圧力ローラは、前記閉位置の場合よりも遠くに前記制御シリンダから離される、ステップと、
前記第1の面を前記圧盤に向けて、前記シートを前記圧盤に戻すステップと、を含み、
前記滞留時間は、センサが前記シートの温度を能動的に感知して、必要に応じて前記シートを均一な温度まで加熱又は冷却できる十分に長い間、前記シートが前記制御シリンダに接して保持されるように、前記制御シリンダの速度を制御することによって調整される、方法。
【請求項17】
基材媒体シートに塗布されたインクを処理する方法において、
前記シートの処理経路に沿って回転可能に支持される制御シリンダに基材媒体シートを係合させるステップであって、前記シートは、その第1の面に塗布されたインクを載せ、前記シートは、当該シートが媒体カートの圧盤上で運搬されている間、最初に制御シリンダと係合する、ステップと、
前記シートの前記第1の面が前記制御シリンダに直接係合し、その外周アーチ部に沿って前記制御シリンダの周りに巻き付いた状態で前記制御シリンダが回転するときに、前記シートが前記制御シリンダの外周アーチ部に接して保持された状態で前記制御シリンダを回転させるステップであって、前記基材媒体シートが前記制御シリンダと直接係合した状態のままである滞留時間を制御するために、前記制御シリンダの回転速度が調整可能である、ステップと、
前記媒体シートが前記制御シリンダと直接係合した状態を維持しながら、前記シートに熱を伝えるために前記制御シリンダを加熱または冷却する熱制御要素を起動するステップであって、前記基材媒体シートの前記滞留時間を調整することによって前記媒体シートを加熱または冷却する、ステップと、
圧力ローラと前記制御シリンダの間に前記シートを通すことによってインクを延ばすステップであって、前記圧力ローラは、前記制御シリンダと共に拡散ニップを形成し、前記シートが前記拡散ニップを通過するときに、前記拡散ニップが前記シート上の前記インクを加圧する、ステップと、
前記拡散ニップを開位置に開くステップであって、前記拡散ニップは、開位置と閉位置の間で選択的に切り替え可能であり、前記閉位置において、前記圧力ローラは、前記シート上のインクに圧力をかけるために、前記制御シリンダに向けて付勢され、前記開位置において、前記圧力ローラは、前記閉位置の場合よりも遠くに前記制御シリンダから離される、ステップと、
前記拡散ニップが前記開位置の間、前記シートを再度前記拡散ニップに通すステップと、を含み、
前記滞留時間は、センサが前記シートの温度を能動的に感知して、必要に応じて前記シートを均一な温度まで加熱又は冷却できる十分に長い間、前記シートが前記制御シリンダに接して保持されるように、前記制御シリンダの速度を制御することによって調整される、方法。
【請求項18】
前記拡散ニップに前記シートを再度通した後、さらに前記シートの第2の面にインクを塗布するために、前記処理経路に沿って前記シートをマーキングステーションまでさらに搬送するステップであって、前記マーキングステーションは、以前に前記第1の面のインクを塗布したものと同じマーキングステーションである、ステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記シートの前記第2の面に前記インクをさらに塗布した後、前記制御シリンダに前記シートを再係合させるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記熱制御要素は、前記制御シリンダを冷却するために、冷却流体と、冷却流体が流動できる配管とを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、基材媒体に射出する個体インクを用いたマーキング装置において、基材媒体を操作するために用いる装置および方法に関する。本明細書に記載される装置および方法は、カットシートにインクを塗布した後の、冷却、拡散、およびカットシートの両面反転を統合する。
【背景技術】
【0002】
個体インクによる印刷処理を行うインクジェットマーキング装置では、一般に個体インクを溶解しその溶解されたインクを基材媒体のシートに射出する。インクをシート上に定着させ延ばして平坦にしながら、そのインクを載せたシートを冷却する。一般にこの処理は、マーキングステーションの下流に配置された複数の一連のサブシステムを別々に用いて行われる。さらに、個々のカットシートの形態をとる基材媒体上で印刷を行うとき、両面印刷のためにシートを反転させることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、一体型でコンパクトなモジュール式でかつ拡張可能な構成で、カットシートの冷却、拡散、および両面反転の機能を組み合わせた、装置および/または方法が提供されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記載される様態により、基材媒体シートに塗布されたインクを処理する装置が開示される。この装置は、基材媒体のシートに熱を伝えるために回転可能に支持された制御シリンダを含む。このシートは、その第1の面に塗布されたインクを載せる。シートの第1の面が制御シリンダと直接係合し、その外周アーチ部に沿って制御シリンダの周りに巻き付いた状態で制御シリンダが回転するとき、そのシートは制御シリンダの外周アーチ部に接して保持される。この装置は、制御シリンダの加熱および冷却のうちの少なくとも1方を行うための熱制御要素も含む。この装置は、インクを延ばす圧力ローラも含む。この加圧ローラは、制御シリンダと共に拡散ニップを形成する。この拡散ニップは、閉位置と開位置の間で選択的に切替え可能である。閉位置では、シート上のインクに圧力をかけるために、圧力ローラを制御シリンダに対して偏らせる。閉位置と反対の開位置では、圧力ローラを制御シリンダから遠く離して間隔を開ける。
【0005】
さらに、この装置は捕捉ニップをさらに含む。この捕捉ニップは、シートが拡散ニップを通過後そのシートを保持するよう拡散ニップに隣接して配置される。この捕捉ニップは、シートを少なくとも部分的に開位置の拡散ニップを通して移動させる。基材媒体シートの後端が圧力ローラから開放されると、この圧力ローラは制御シリンダから離れる。これにより、基材媒体シートは圧力ローラとさらに係合することなく、圧力ローラと制御シリンダの間を通過することができる。基材媒体シートが制御シリンダと直接係合した状態のままである滞留時間を制御するために、制御シリンダの回転速度は調整可能である。この装置は、基材媒体シートおよびその上に塗布されたインクのうちの少なくとも1方の温度を検知するために、センサをさらに含む。センサにより検知された温度に応じて、熱制御要素が制御シリンダの温度を調整する。制御シリンダは、シートが外周アーチ部に接して保持されている間、少なくとも部分的にインクを平坦にする。この装置は、シートを搬送するためのシート処理経路をさらに含む。捕捉ニップは、その捕捉ニップの第1の側面上の処理経路の中間部に沿ってシートを保持する。処理経路の出口部は、中間部を挟んで捕捉ニップの反対側に配置される。この装置は、少なくとも1つの制御装置をさらに含み、この制御装置は制御シリンダ、熱制御要素、および圧力ローラに操作可能に接続し、これらを制御する。
【0006】
さらに本明細書に記載される別の様態により、基材媒体シートに塗布されたインクを処理する方法が開示される。この方法には、シートの処理経路に沿って回転可能に支持される制御シリンダに基材媒体のシートを係合させるステップが含まれる。このシートは、その第1の面に塗布されたインクを載せる。この方法には、シートの第1の面が制御シリンダに直接係合し、その外周アーチ部に沿って制御シリンダの周りに巻き付いた状態で制御シリンダが回転するときに、そのシートが制御シリンダの外周アーチ部に接して保持された状態で制御シリンダを回転させるステップがさらに含まれる。この方法には、シートに熱を伝えるために、熱制御要素を起動させて、制御シリンダの加熱および冷却のうちの少なくとも1方を行うステップがさらに含まれる。この方法には、シートを圧力ローラと制御シリンダの間に通すことにより、インクを延ばすステップがさらに含まれる。圧力ローラは、制御シリンダと共に拡散ニップを形成する。シートが拡散ニップを通過するとき、この拡散ニップはシート上のインクに加圧し、開位置ではその拡散ニップを開く。この拡散ニップは、閉位置と開位置の間で選択的に切替え可能である。閉位置では、シート上のインクに圧力をかけるために、圧力ローラを制御シリンダに対して偏らせる。閉位置と反対の開位置では、圧力ローラを制御シリンダから遠く離して間隔を開ける。
【0007】
さらに、この方法には、シートが拡散ニップを通過した後、そのシートを保持するために、拡散ニップに隣接して配置された捕捉ニップを閉めるステップが含まれる。制御シリンダは、シートが外周アーチ部に接して保持されている間、少なくとも部分的にインクを平坦にする。基材媒体シートの後端が圧力ローラから開放された後、圧力ローラは、閉位置から離れる。基材媒体シートが制御シリンダと直接係合した状態のままである滞留時間を制御するために、制御シリンダの回転速度は調整可能である。シートが媒体カートの圧盤上で運搬されている間、最初にこのシートは制御シリンダと係合する。この方法には、第1の面を圧盤に向けて、そのシートを圧盤に戻すステップがさらに含まれる。この方法には、拡散ニップが開位置の間、シートを再度拡散ニップに通させるステップがさらに含まれる。この方法には、シートを再度拡散ニップに通させた後、さらにそのシートの第2の面にインクを塗布するために、さらに処理経路に沿ってシートをマーキングステーションに搬送するステップがさらに含まれる。そのマーキングステーションは、その前に第1の面にインクを塗布した、同じマーキングステーションである。この方法には、シートの第2の面にさらにインクを塗布した後、シートを制御シリンダに再係合させるステップがさらに含まれる。
【0008】
本明細書に記載されるさらに別の様態により、基材媒体シートに塗布されたインクを処理するシステムが開示される。この装置はシート媒体搬送部を含み、このシート搬送部がその上にシートを支持する圧盤を有するソリを含む。シートを処理経路に沿って制御シリンダへ搬送し、そして、そのシートを制御シリンダからさらに先に搬送するために、このソリは処理経路に沿って移動可能である。基材媒体のシートに熱を伝えるために、制御シリンダは回転可能に支持される。このシートは、その第1の面に塗布されたインクを載せる。シートの第1の面が制御シリンダに直接係合し、そのアーチ部に沿って制御シリンダ周りに巻き付く状態で制御シリンダが回転するとき、このシートは制御シリンダのアーチ部に接して保持される。このシステムは、制御シリンダの加熱と冷却のうちの少なくとも1方を行う熱制御要素をさらに含む。このシステムは、インクを延ばす圧力ローラをさらに含み、この圧力ローラが、制御シリンダと共に拡散ニップを形成する。この拡散ニップは、閉位置と開位置の間で選択的に切替え可能である。閉位置では、シート上のインクに圧力をかけるために、圧力ローラを制御シリンダに対して偏らせる。閉位置と反対の開位置では、圧力ローラを制御シリンダから遠く離して間隔を開ける。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、開示された技術の様態による、基材媒体シートに塗布されたインクを処理する装置の側面図である。
【
図2】
図2は、開示された技術の様態による、基材媒体シートが装置に最初に係合した様子を示す
図1の装置の側面図である。
【
図3】
図3は、開示された技術の様態による、基材媒体シートが制御シリンダの外周アーチ部に接して保持された様子を示す
図1の装置の側面図である。
【
図4】
図4は、開示された技術の様態による、基材媒体シートが捕捉ニップに到達した様子を示す
図1の装置の側面図である。
【
図5】
図5は、開示された技術の様態による、基材媒体シートが制御シリンダから開放された様子を示す
図1の装置の側面図である。
【
図6】
図6は、開示された技術の様態に従った、基材媒体シートが開位置の拡散ニップを通って戻る様子を示す
図1の装置の側面図である。
【
図7】
図7は、開示された技術の様態による、マーキングステーションおよび反転ステーションを組み込んだ様子を示す大判シートの操作トラックの側面図である。
【
図8】
図8は、開示された技術の様態による、媒体カートが制御シリンダに接近する様子を示す
図7の装置の側面図である。
【
図9】
図9は、開示された技術の様態による、媒体カートが制御シリンダに最初に係合する様子を示す
図7の装置の側面図である。
【
図10】
図10は、開示された技術の様態による、媒体カートが制御シリンダから解放された様子を示す
図7の装置の側面図である。
【
図11】
図11は、開示された技術の様態による、制御シリンダの下流の媒体カートを示す
図7の装置の側面図である。
【
図12】
図12は、開示された技術の様態による、印刷システムに組み込まれたモジュール環境内で、基材媒体シートに塗布されたインクを処理する装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、上記に簡単に記載した図面を参照して、例示的な実施形態をさらに詳細に説明する。
【0011】
本明細書で使用される「媒体操作組立体」とは、供給システム、マーキングシステム、印刷システム、仕上げシステム、位置合わせシステム、および搬送システムを含む、基材媒体を操作し、かつ/または、搬送する1つ以上の装置のことを指す。
【0012】
本明細書で使用される「マーキング装置」、「プリンタ」、「印刷組立体」、または「印刷システム」とは、「印刷物」を生成するために用いられる1つ以上の装置または印刷出力機能のことを指し、この印刷出力機能とは、あらゆる目的において、「基材媒体」上へ情報を再生することを指す。本明細書で使用される「マーキング装置」、「プリンタ」、「印刷組立体」、または「印刷システム」は、デジタル複写機、製本機、ファクシミリ装置、多機能装置などのあらゆる目的で印刷出力機能を実行する全ての装置を包含する。
【0013】
特定のマーキング装置は、プリンタ印刷組立体または印刷システムを含み、これらは、静電帯電したパターンを用いて情報を記録し再生することにより基材上に画像を形成することを指す「静電写真処理」、電気的に帯電したプレート上で樹脂粉末用いて情報を記録し再生することを指す「乾式静電複写処理」、または、インクジェット処理、液体インク処理、個体インク処理などの印刷物を生成するためのその他の好適な処理を用いて、印刷物を生成することができる。また、印刷システムは、白黒またはカラーの画像データのどちらかを印刷し、かつ/または、操作することもできる。
【0014】
本明細書で使用される「基材媒体」とは、例えば、紙、透明シート、羊皮紙、フィルム、布地、プラスチック、現像焼付け紙、または、好ましくは、シートまたはウェブの形態で、その上に情報を再生することができる、その他の被覆基材または非被覆基材のことを指す。本明細書でシートまたは紙に関して具体的に言及したが、結局はシートの形態の全ての基材媒体が、適切なそれらの同等物であることを意味することは言うまでもない。また、基材媒体の「先端」とは、処理方向に対して最も下流のシートの縁のことを指し、さらに、基材媒体の「後端」とは、処理方向に対して最も上流のシートの縁のことを指す。
【0015】
本明細書で使用される「インク」とは、基材媒体上に画像をマーキングする、あるいは基材媒体上に画像を作成するための材料のことを指す。インクは、液体、ゲル、または個体の形態でよい。印刷処理中に、インクは、例えば、固体から液体といった具合に、その形態を変化させることができる。個体インクは、基材媒体に塗布するために、溶かすことができるカラースティックの形態でよい。
【0016】
本明細書で使用される「ニップ組立体」、「複数のニップ組立体」または単に「ニップ」とは、少なくとも2つの隣接する回転要素または循環要素および支持構造を含む要素の組立体のことを指し、これらの2つの隣接する回転要素または循環要素は、転写ベルトまたは基材媒体の両側の面で一対に係合するよう配置される。一般的なニップ組立体は、2つの車輪または円筒形のローラを含み、これらが互いに協力して、それらの間で基材を駆動する、あるいは操作する。1つまたは2つの対向するシリンダは駆動シリンダを含み得、1つまたは2つ対向するシリンダは、自由に回転可能なアイドリングシリンダでよい、あるいは、対向するシリンダはそれらの組み合わせでよい。2つのシリンダは共に、媒体操作組立体内の転写ベルトまたはその他の基材を誘導または搬送する。横方向に間隔を開けた構成で、2つより多くの1対のシリンダを設けて、ニップ組立体を形成することができる。さらに本明細書では、そのようなシリンダをロールまたはローラと区別なく呼ぶことができることはさらに言うまでもない。基材が対向する回転要素間または循環要素間に係合されると、それらの間の空間または間隙は「ニップ間隙」と呼ばれる。
【0017】
本明細書で使用される「拡散ニップ」とは、少なくとも2つの隣接する回転要素または循環要素、および支持構造を含み、基材媒体に圧力をかけて基材媒体上に塗布されたインクを延ばす要素の組立体のことを指す。
【0018】
本明細書で使用される用語「処理」および「処理方向」とは、転写ベルトにより搬送される画像または基材媒体を移動させる、搬送する、かつ/または、操作する処理のことを指す。この処理方向は流れ経路Pの方向と実質的に一致し、画像または基材媒体は、主としてこの方向に沿って媒体操作組立体内を移動する。このような流れ経路Pは上流から下流への流れと呼ばれる。
【0019】
本明細書で使用される「モジュール」とは、一連の標準ユニットまたはサブ組立体のそれぞれのものを指し、それらから印刷システムを組立てることができる。異なるモジュールが、印刷システム内で同じ機能、および/または、異なる機能を実行することができるが、標準化して選択的に相互接続し共に動作できることは理解されよう。「搬送モジュール」は、基材媒体をその独自のサブ組立体を通して移動させることができる。
【0020】
本明細書で使用される「制御シリンダ」とは、基材媒体が付着し温度などの基材媒体の特性を制御することができる円筒体のことを指す。この制御シリンダは円筒形のドラムまたはローラの形態でよい。
【0021】
本明細書で使用される「圧力ローラ」とは、ニップの一部を形成し、かつ基材媒体に圧力を加えるローラのことを指す。
【0022】
本明細書で使用される「熱制御要素」とは、別の装置の温度を制御する装置のことを指し、制御シリンダに隣接して配置される1つ以上の加熱要素、および/または、冷却要素を含む。加熱要素は電気抵抗コイルの形態、または、その中に加熱流体を制御された方式で流すことができる配管の形態でよい。冷却要素は、その中に冷却流体を制御された方式で流すことができる配管を含むことができる。
【0023】
開示された技術では、ワックス状の個体インクを利用する個体インク印刷処理を行う。インクは、通常個体の形態で供給され、微小な小滴に溶解され、この小滴が1つ以上の圧電インクジェットヘッドを通って媒体上に射出される。基材媒体シート上にインク滴が塗布されるとき、若干融合されるが必ずしも均一に融合されるとは限らない。したがって、許容できる画質を実現するために、所望される均一性を実現するための数ステップがさらに必要となる。最初のステップの1つは、小滴の温度、および基材媒体の温度を均一な温度に下げることが含まれる。これを通常冷却段階と呼ぶ。但し、この冷却段階には、用紙が冷却ローラと接触したままでいなければならない滞留時間が十分に必要である。滞留時間とは一般に、基材媒体シートが領域内に留まる時間、あるいは特定の面と接触した状態でいる時間のことを指す。この初期冷却後の次のステップでは、基材媒体シートおよび塗布されたインクの両方を均一な温度に戻すため、通常加熱することが含まれる。したがって、これを加熱段階と呼ぶ。冷却段階と同様にこの加熱段階も、基材媒体およびインクが確実に均一な温度に到達するための特定な滞留時間を必要とする。その後、所望の温度に到達すると、よりよい画質を得るためのインク滴の分布を効果的に均一にするインクの拡散の準備が完了する。
【0024】
これらの全てのステップは通常、連続して行われるが、これらの段階ごとに別々の装置を設けることはコストがかかり、著しいメンテナンスを必要とする。開示された技術の様態に従って、これらの機能を統合型モジュール式のアーキテクチャに組み合わせることができる。そうすることにより、コンパクトな設計で、より少ない要素しか用いないため、コストを削減することができるだけでなく、よりコンパクトなモジュール式システムを異なる種類のシステムアーキテクチャを通じて分配できることも意味する。例えば、サイズが40インチ×60インチより大きい大判の基材媒体のカットシートに、従来のマーキング方法を適用すると通常は縮尺の問題が生じる。しかし、開示された技術の様態では、倍率変更して、小さいレターサイズ用紙のシートよりも操作が厄介で難しい、そのような大判のカットシートに対応することができる。
【0025】
開示された技術の様態によると、一連のシリンダまたはローラが基材媒体シートを捕捉し、伝導加熱または伝導冷却を行って、シートおよびそのシート上に塗布されたインクの温度を制御し、シートがメインシリンダの周りに巻き付くときに圧力がかけられ、そしてシートがニップ組立体を通過するときにさらに圧力が加えられてインクが延ばされる。その後、シートの移動方向を反転させ処理方向に再循環させる。このように全てを1つのコンパクトな装置内で、加熱および加圧と組み合わせた両面印刷機能を可能にする。
【0026】
図1には、開示された技術の様態に従った装置100の一例が示される。この装置は制御シリンダ20を含む。この制御シリンダ20は、基材媒体のシートを操作するために、処理経路Pに沿って回転可能に支持されたドラム状の構造物である。シートは処理経路Pに沿って搬送され,制御シリンダ20に到達すると、この制御シリンダにより捕捉される。内部バキューム装置、外部のニップローラ、用紙エッジグリッパ、または円筒形のドラムの外周部に接して保持されるシートを維持する、その他の既知の手段の使用を通して、制御シリンダによりシートは捕捉される。シートの先端または先端部が制御シリンダ20により捕捉されると、制御シリンダが所望の方向Rに回転し、用紙はこの制御シリンダに接して保持される。したがって、制御シリンダと圧力ローラ60の間を通過するまで、このシートは制御シリンダの周りに巻き付いたままになる。制御シリンダ20と圧力ローラ60が共に拡散ニップを形成する。圧力ローラ60は中心軸61の周りを回転するよう取り付けられ、好ましくは、その中心軸をピボットアーム機構66に組み込まれる。このピボットアーム機構66自体は、オフセット軸65の周りに枢動可能に取り付けられ、このオフセット軸65により、圧力ローラは制御シリンダ20に向かって、あるいは制御シリンダ20から離れて選択的に移動することができる。このように、圧力ローラ60と制御シリンダ20の間を通過するシートに圧力をかけるために、圧力ローラ60を制御シリンダ20に対して偏らせる閉位置(
図2)と、制御シリンダ20と圧力ローラ60の間に間隙51を形成する開位置(
図1)との間を拡散ニップは選択的に切替え可能である。この間隙51はニップ間隙とも呼ばれる。拡散ニップを通過した後、シートを保持するために、捕捉ニップ70を拡散ニップに隣接して配置することができる。この捕捉ニップ70は、好ましくは、可能性な限り拡散ニップに近づいて配置され、それにより、シートが拡散ニップから出て捕捉ニップ内に入り込むとすぐに、シートはこの捕捉ニップに捕捉される。捕捉ニップ70は、単一のニップ組立体として示されているが、実際には1つ以上の付加的なニップ組立体が含まれ、これらのニップ組立体が連動して拡散ニップ組立体に隣接した位置のシートを捕捉し、好ましくは、拡散ニップが開位置に切替わった後、この拡散ニップ組立体を通過してシートを戻すことができることは理解されよう。
【0027】
図2〜
図6には、開示された技術の様態に従った装置により、操作されている基材媒体シート5が示される。具体的には、
図2には、シート5が、制御シリンダ20に近づいて、その制御シリンダ20により係合される様子が示される。シート5は、そのシート5の第1の面に塗布されたインク6を載せて処理経路Pを下って、制御シリンダ20に到達する。基材媒体シート5を処理する、かつ/または、操作するマーキングステーションおよびその他の領域を含む、全ての数の事前のシート処理ステーションから処理経路Pに到達できることは言うまでもない。制御シリンダ20に到達する前の処理経路Pの最初の部分は、処理経路の入口部として示される。処理経路の様々な全長に沿って、より小さいニップ組立体Nを用いて、基材媒体シート5がそれらを通過するとき、基材媒体シート5の制御を維持する。ともかく、シートは処理経路に沿って入口部11を通って進むと、制御シリンダ20に捕捉され、その制御シリンダ20に接して保持される。
【0028】
制御シリンダ20によるシート5の捕捉は、シート捕捉装置24を用いて実現され、このシート捕捉装置24には、バキューム、付加的なニップローラ、用紙エッジグリッパ、空気圧、静電保持法、または、その他の既知の手段が含まれる。どの手段を用いてメインシートと制御シリンダの接触を維持するかにもよるが、制御シリンダからシート5およびシート5に載せられたインク6に熱を伝達するためにも、これらのような接触は望ましい。捕捉された後、シート5、および、もしかするとその上のインク6の温度を能動的に感知し、必要に応じて、シリンダを加熱し、かつ/または、冷却するために十分に長い時間、シート5は制御シリンダ20に接して保持され続ける。シートまたはシートの一部が制御シリンダと接触する時間を本明細書では、シートの特定部分の「滞留時間」と呼ぶ。シート5の断片が制御シリンダ5と直接接触している間、シリンダの温度が熱伝導により、シートおよびその上のインクが伝わる。このように、制御シリンダの温度がシート5、および/または、インク6より高い場合、制御シリンダの熱はこれらの要素に伝わる。同様に、制御シリンダを冷却して、それにより、シート5またはその上のインク6から熱を取り除くこともできる。このシステムにより、非効率的でより広いスペースが必要な対流加熱または照射加熱の必要性を避けることができる。また、熱制御機能と、基材媒体シート上のインクの平坦化および拡散とを組合せることにより、シートの滞留時間を短くし、加熱・冷却・拡散装置のサイズを最小に抑えることができる。さらに、より効率的な設計を行うことで、このシステムの電力要求を低減することができる。また、制御シリンダ20のサイズおよび速度を正確に選択することにより、シートまたはその一部の滞留時間をきっちりと制御し最適化することができる。
【0029】
熱制御要素21(
図2)は、1つ以上の加熱要素、および/または、冷却要素を含むことができ、これらの加熱要素、および/または、冷却要素は、制御シリンダ内にまたは制御シリンダ隣接して配置される。加熱要素は電気抵抗コイル、または、その中に加熱流体を制御された方式で流すことができる配管の形態でよい。冷却要素は、その中に冷却流体を制御された方式で流すことができる配管を含むことができる、あるいは、熱電気冷却(TEC)装置を利用することができる。
【0030】
図2に示す通り、シート5は、少なくとも最初にシートの1方の面にインク6を塗布した状態で入口位置11に到達する。両面印刷の環境では、最初の工程でインクを載せた第1の面を制御シリンダに向き合わせる。但しここでは、ニップ間隙は、閉位置50で示されているが、シートがニップに到達するまではニップを閉めておく必要はない。
【0031】
図3には、シート5が制御シリンダ20の周りをさらに進んだ様子が示される。上記の通り、シートが制御シリンダ20の周りに巻き付くと、力35がかかり、これにより、このシート5は制御シリンダと接触して保持される。制御シリンダの周りに巻き付くと、シート5は共に拡散ニップを形成する圧力ローラ60と制御シリンダ20の間を通過する。拡散ニップは、シート5およびその上に塗布されたインク6に圧力36をさらにかける。
図4に示す通り、シート5は、制御シリンダ20の外周アーチ部22の周りを移動する。アーチ部は、制御シリンダの第1のポイント26からその周りを制御シリンダの第2のポイント28に延在し、シートを処理経路の入口部11から中間部15に搬送する。
図4には、延在するシートの先端が拡散ニップを少しだけ通過し、捕捉ニップ70に到達した様子が示される。図面に示される通り、捕捉ニップ70は拡散ニップと密接に隣接して配置されるものとする。
【0032】
図5に示す通り、シート5の後端が拡散ニップから出て、次に、捕捉ニップ70により保持されるように、シートは最終的に拡散ニップを完全に通過しなければならない。処理のこの地点では、シートは処理経路の中間部15に保持される。この処理経路の中間部15は、通常オーバ・ラン・トレイと呼ばれる。シート5が拡散ニップから出た後、拡散ニップを開くことができる。このように、
図5および
図6に示す通り、圧力ローラ60が移動して、制御シリンダ20から離れ、したがってニップ間隙51が形成されるように、拡散器アーム66は、拡散器アームを枢動する。開示された技術の一様態に従った、シート処理システムは、大判シートのアーキテクチャ用に設計されている。したがって、大型カムシステムまたは油圧を用いて、素早く正確にニップを開閉することができる。拡散ニップが開かれると、シート5は制御シリンダと圧力ローラの間をもう1度通過する。しかし、この経路上では、シートが制御シリンダと圧力ローラの両方に係合される必要はない。あるいは、シートおよびインクに付加的な圧力をかけるために、圧力ローラをもう1度閉めることができるが、この場合、シートが、拘束されたり、あるいは破れたりすることを避けるために、拡散ニップが閉まっている間は捕捉ニップ70を開けなめなければならない。シート5が拡散ニップのおおいを通って戻されるとき、再度制御シリンダの周りに巻き付くよりも、処理経路の出口部19を通る異なる経路に沿って送られることが好ましい。したがって、
図6に示す通り、シートの後端と先端は、次に、入れ替わる、つまり後端として用いられたものが今度は先端となり、その逆も同様である。但し、
図6では、最初のアプローチではインクは上に向いていたが、現時点ではインク6は下を向いているため、この処理ではシートは反転されている。
【0033】
図7には、別の実施形態が示され、この実施形態では、インクを処理するための装置が
平面台ソリのアーキテクチャに組み込まれる。装置200は、トラック115のための支持構造110を含む。トラック115は、ソリ140を支持し誘導する。このソリは、媒体カート140の形態でよく、トラックからの様々なポイントに沿って、装填ステーション122から、側面ガイド壁125を有するマーキングステーション120を通って、次いで、塗布後のインク処理ステーション101に移動する。
【0034】
図8〜
図11には、媒体カート140が塗布後の処理ステーション101を通過するときの段階的な処理が示されている。媒体カート140は、基材媒体シート5をその上に平坦に保持する圧盤141を含む。媒体カート140は、トラック115に沿って処理方向Pに移動する。したがって、圧盤141上で保持されるシートは、マーキングステーション120(
図7)で塗布されたインクを載せているはずである。シートの上面に載せられたこの未処理のインクは、まだ平坦に延ばされなくてはならない。
図9には、制御シリンダ20に到達した媒体カートが示される。また、おおよそこの時点でシートの先端LEは、制御シリンダ20により係合され捕捉させなければならない。前述の実施形態で記載したように、制御シリンダ20は、クリッパまたはバキューム吸引などの、圧盤141からシート5を捕捉するためのシート捕捉装置を含むことができる。あるいはシート捕捉装置は静電力を用いて、シート5が制御シリンダ20の周りを巻き付くように、圧盤141からシート5を捕捉することができる。
【0035】
図10には、その後端がちょうど制御シリンダ20から解放される位置まで進んだ媒体カート140が示される。この時点で、好ましくは、基材媒体シート5は制御シリンダ20の周りに巻き付いており、インクを塗均すために、制御シリンダと圧力ローラ60の間を通過する。シリンダ20の周りに巻き付いたシートの圧力35により、インクを平坦にすることが容易になり、拡散ニップによりかけられる付加的な圧力36で、インクをより均一に延ばすことができる。アクチュエータ150(
図9)を用いて、圧力36をかけることができる。アクチュエータ150は、圧搾空気式アクチュエータ、油圧式アクチュエータ、または電気機械式線形アクチュエータの形態でよい。アクチュエータの動作により、選択的に圧力ローラ60の圧力をかけ、かつ解除する。その後、基材媒体シートは、オーバ・ラン・トレイ145の上に戻される。また、シートがその方向を反転させ、開いている拡散ニップを通って戻るとき、そのシートを再度捕捉する準備を完了するよう、媒体カート140は処理経路をさらに下って進んでいる。シートは出口経路149を下って進み、シートを反転処理する前はシートの後端であった端を、現在では、新しい先端LE’として有している。媒体カート140が出口経路149の端に到達するときまでに、シートの新しい後端の到着するタイミングをはかり、その圧盤141上の位置を確保しなくてはならない。このように、カットシートは、インクの面を圧盤141に向けた状態で、媒体カート140に捕捉される。したがって、現在シートはきれいな面を上に向かせ、両面印刷処理を行うため、マーキングステーションに進むことができる。あるいは、取り出し、付加的な表面処理、折り曲げ、またはその他の既知の基材媒体処理ステーションなどのさらなる処理のために、シートは進むことができる。
【0036】
図12にはさらに別の開示された技術の様態が示され、この様態には印刷システム300が含まれる。図示される印刷システムは、モジュール式の設計が施されている。モジュールを必要に応じて、取り除き、かつ/または、追加できるように、このようなモジュールは互換性が多少あることが好ましい。この印刷システム300は装填トレイ201を含み、この装填トレイ201は基材媒体シート5を供給する。結合モジュールには、マーキングステーション220を含むマーキングモジュール203が含まれる。シート5は処理経路10上を移動し、マーキングステーション220で個体インクが塗布されるとき、搬送ベルト210に接して保持される。インクが塗布された後、このシートは塗布後のインク処理モジュール205を含む、次のモジュールに移動する。上記の通り、このモジュールは制御シリンダ20、および制御アーム66に制御される圧力ローラ60を含む。シート5は入口経路211に沿って移動し、拡散ニップを通って制御シリンダ20の周りに巻き付き、中間経路部215内に保持される(オーバ・ラン・トレイオーバ・ラン・トレイ)。拡散ニップを通過後、シートは方向を反転させ、出口経路219を通って出る。片面印刷に関しては、シートは、次いで、位置合わせ、積み重ね、または、その他の既知の処理などのさらになる処理を行う最終処理モジュール207に進むことができる。あるいは、両面印刷に関しては、シートは処理経路の出口部219を下って移動するが、ゲート機構225が、このシートを方向転換させ処理経路10に沿って戻すことができる、それにより、もう1度マーキングステーション220に戻る。
【0037】
媒体操作組立体、および具体的には印刷システムは、通常、1つ以上のモジュールまたはステーションを含む。したがって、本明細書に開示された1つ以上の塗布後の印刷処理装置を全体の媒体操作組立体内に含むことができる。さらに、本明細書に開示された技術に従った、1つ以上の塗布後の印刷処理装置を含むモジュール式システムまたはシステムは、シート位置またはその他のシートの特性を検知し、制御シリンダ内の滞留時間を含む位置合わせ、または速度を制御するために、その情報を中央プロセッサに中継することができることは言うまでもない。したがって、追加的に延ばして平坦にすることが必要な場合、あるいは簡単な追加的なシートの反転を行う場合、本明細書に記載された装置および方法を用いて、例えば、別のモジュールまたはステーション内で所望のシート処理を実現可能である。