(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筒状の前記磁気遮蔽体が、前記リード線を内装する状態で、前記索状体における前記基端側辺部内の部分に設けられている請求項2に記載の加熱調理器用の温度検出装置。
【背景技術】
【0002】
かかる加熱調理器用の温度検出装置(以下、単に温度検出装置と略記する場合がある)は、ガスコンロ等の加熱調理器において、五徳等の載置部に載置されてガスバーナ等の加熱手段で加熱される被加熱物(鍋等)の底部の温度を検出するために用いるものであり、載置部に被加熱物が載置されているか否かを検知する機能も備えている。
【0003】
つまり、載置部に被加熱物が載置されると、その載置部に載置される被加熱物の底部が昇降体の頂部の当接部に当接して、昇降体が押し下げられる。
そして、温度検出手段の検出部によって、昇降体の当接部の温度が被加熱物の温度として検出される。
又、載置部に載置される被加熱物により昇降体が押し下げられるのに伴って、検知部と操作部との筒状支持体の軸芯方向に沿う方向での相対位置関係が、近接する状態から離間する状態に、あるいは、離間する状態から近接する状態に変化して、検知部が第1状態から第2状態に、あるいは、第2状態から第1状態に切り換えられることにより、昇降体の下降が検知されて、被加熱物の存在が検知される。
一方、載置部に載置された被加熱物が持ち上げられると、付勢力により昇降体が上昇して、検知部と操作部との筒状支持体の軸芯方向に沿う方向での相対位置関係が、離間する状態から近接する状態に、あるいは、近接する状態から離間する状態に変化して、検知部が第2状態から第1状態に、あるいは、第1状態から第2状態に切り換えられることにより、昇降体の上昇が検知されて、被加熱物の否存在が検知される。
【0004】
このような温度検出装置において、従来は、筒状支持体が略直線状に構成され、その筒状支持体内に配置された温度検出手段のリード線に、検知部としてリードスイッチが設けられ、筒状支持体の外周部に、操作部として磁石が設けられていた。
そして、昇降体の昇降に伴ってリード線が筒状支持体内をその軸心方向に移動することにより、リードスイッチと磁石との筒状支持体の軸芯方向に沿う方向(上下方向)での相対位置関係が離間状態と近接状態とに変化して、リードスイッチが第1状態と第2状態とに切り換えられることにより、載置部への被加熱物の載置有無が検知されるように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、加熱調理器において、温度検出装置を設置するための上下方向でのスペースが狭い場合がある。例えば、加熱手段としてのガスバーナを3つ備えた所謂3口のガスコンロの場合、ガスコンロのケーシング内における左右方向の略中央にグリルが設けられると共に、グリルの排気筒がケーシング内にその後端部にまで延びる状態に設けられるので、グリルの排気筒の上方に設けられるガスバーナに対応して設置する温度検出装置については、上下方向での設置スペースが狭くなる。
【0007】
そして、温度検出装置を上下方向で狭いスペースに設ける場合、筒状支持体を、昇降体が支持される側の概ね直線状の先端側辺部と、昇降体が支持される側とは反対側の概ね直線状の基端側辺部とを備えた概略L字状に構成することになる。
このような場合、温度検出手段のリード線は、筒状支持体の先端側辺部から屈曲部を通過して基端側辺部外に延びる状態で、筒状支持体内に配置されることになる。
【0008】
ところで、温度検出手段のリード線における検出部側とは反対側の端部(以下、回路側端部と記載する場合がある)は、電気回路に接続されているため、その回路側端部における筒状支持体の軸心方向に沿う方向での動きが規制されている。
従って、昇降体が下降するのに伴って、リード線の検出部に接続された側の端部に押圧力が働くと、リード線は筒状支持体内をその軸心方向に沿う方向に端部側に移動するが、そのリード線の回路側端部は、筒状支持体の軸心方向に沿う方向での動きが規制されているので、リード線が座屈する場合がある。特に、リード線が概略L字状の筒状支持体内に配置されている場合、筒状支持体の屈曲部に追従して屈曲するリード線の部分においても、リード線が筒状支持体の内面に接触する等により、筒状支持体の軸心方向に沿う方向での動きに抵抗が作用するので、リード線が座屈する現象が特に発生し易い。
【0009】
そして、被加熱物が載置部に載置されるのに伴って昇降体が押し下げられる際に、リード線が座屈すると、昇降体が下降する距離とリードスイッチが筒状支持体内をその軸心方向に移動する距離との差が大きくなるので、昇降体の位置変位を的確に検知できないために、載置部への被加熱物の載置有無を的確に検知できない場合がある。このようなリード線の座屈に起因して、載置部への被加熱物の載置有無を的確に検知できなくなる不具合は、特に、筒状支持体が概略L字状に構成されている場合に顕著となる。
【0010】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、筒状支持体が概略L字状に構成されている場合でも、載置部への被加熱物の載置有無を的確に検知し得る加熱調理器用の温度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る加熱調理器用の温度検出装置は、加熱調理器に固定状に立設される筒状支持体と、
前記加熱調理器の載置部に載置される被加熱物の底部が当接するのに伴って押し下げられるように、昇降自在で且つ上方側に復帰付勢された状態で前記筒状支持体の上端部に支持された昇降体と、
温度を検出する検出部及び前記検出部の検出情報を伝えるリード線を有する温度検出手段と、
第1状態と第2状態とに切り換え操作自在な検知部、及び、その検知部に対して近接、離間することにより前記検知部を前記第1状態と前記第2状態とに切り換える操作部を有する被加熱物検知手段とを備え、
前記リード線が、前記筒状支持体における前記昇降体が支持された側とは反対側の端部外に延びる形態で前記筒状支持体内に配置された状態で、前記検出部が、前記昇降体における前記被加熱物の底部が当接する当接部の温度を検出可能に設けられ、
前記検知部及び前記操作部が、前記昇降体の昇降による位置変位を検知可能に、前記筒状支持体の側と前記昇降体の側とに分けて設けられたものであって、
第1特徴構成は、前記筒状支持体が、前記昇降体が支持される側の概ね直線状の先端側辺部と、前記昇降体が支持される側とは反対側の概ね直線状の基端側辺部とを備えた概略L字状に構成され、
可撓性を有する索状体が、一端が前記昇降体に接続され、他端が前記基端側辺部内に延び且つ前記基端側辺部の軸心方向に沿う方向での自由端として、前記筒状支持体内に配設され、
前記索状体が、前記昇降体が下降するときに加わる押圧力及び前記昇降体が上昇するときに加わる引っ張り力を、前記索状体における前記基端側辺部内に位置する部分に伝達可能に構成され、
前記検知部及び前記操作部のうちの一方が、前記筒状支持体の前記基端側辺部に設けられ、他方が、前記索状体における前記基端側辺部内に位置する部分に設けられている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、昇降体が昇降するのに伴って、索状体が、筒状支持体の屈曲部の形状に追従して撓みながら、概略L字状の筒状支持体内をその軸芯方向に沿う方向に移動する。
そして、索状体の基端側辺部内に延びる方の他端は、自由端であって、基端側辺部の軸心方向に沿う方向での移動が規制されず、又、索状体は、昇降体が下降するときに加わる押圧力及び昇降体が上昇するときに加わる引っ張り力を、索状体における基端側辺部内に位置する部分に伝達可能に構成されているので、昇降体が昇降するのに伴って、索状体の基端側辺部内の端部が、昇降体における先端側辺部の軸芯方向に沿う方向での変位量と同等に基端側辺部の軸芯方向に沿う方向に変位する状態で、索状体が筒状支持体内をその軸芯方向に移動する。
【0013】
つまり、昇降体が下降する際に、リード線が形状を保てず曲がったとしても、索状体は、概略L字状の筒状支持体の軸心に沿う形態を保持したままで座屈することなく、筒状支持体内をその軸芯方向に沿って基端側辺部の端部側に移動するので、検知部及び操作部のうちで索状体における基端側辺部内の部分に取り付けられた方は、昇降体が下降する距離と同等の距離、筒状支持体の基端側辺部内をその軸芯方向に沿う方向に移動する。
要するに、被加熱物が載置部に載置されたり載置部から取り外されたりすることによって、昇降体が昇降するのに伴って、検知部と操作部との基端側辺部の軸芯方向に沿う方向での相対位置関係を的確に近接状態と離間状態とに変化させて、検知部を第1状態と第2状態とに的確に切り換えることができる。
従って、筒状支持体が概略L字状に構成されている場合でも、載置部への被加熱物の載置有無を的確に検知し得る加熱調理器用の温度検出装置を提供することができる。
【0014】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記検知部としてのリードスイッチが、前記筒状支持体における前記基端側辺部の外周部に設けられ、
磁石が、前記リードスイッチに対して磁界を印加して、前記リードスイッチを前記第1状態及び前記第2状態のいずれか一方に切り換え可能なように、前記リードスイッチに対向する状態で前記基端側辺部の外周部に設けられ、
前記リードスイッチと前記磁石との間に位置することによって、前記磁石の磁界が前記リードスイッチに印加されるのを遮蔽する磁気遮蔽体が、前記操作部として、前記索状体における前記基端側辺部内の部分に設けられている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、昇降体が昇降するのに伴って、リードスイッチと磁気遮蔽体との基端側辺部の軸芯方向に沿う方向での相対位置関係が、磁気遮蔽体がリードスイッチと磁石との間に位置してリードスイッチに近接する状態と、リードスイッチと磁石との間から基端側辺部の軸芯方向に沿う方向にはみ出てリードスイッチから離間する状態とに的確に切り換わる。
磁気遮蔽体がリードスイッチから離間した状態では、磁石の磁界がリードスイッチに印加されるので、リードスイッチが第1状態及び第2状態のうちの一方に切り換えられ、磁気遮蔽体がリードスイッチに近接した状態では、磁石の磁界がリードスイッチに印加されるのが遮蔽されるので、リードスイッチが第1状態及び第2状態のうちの他方に切り換えられる。
そして、磁気遮蔽体は、例えば、肉厚を比較的薄く構成する等により、リードスイッチや磁石に比べて、軽量化を図ることが可能であるので、昇降体の昇降に伴う磁気遮蔽体の基端側辺部の軸芯方向に沿う方向での移動をスムーズにすることが可能となる。その結果、被加熱物が載置部に載置されたり載置部から取り外されたりすることによって、昇降体が昇降するのに伴って、リードスイッチを一層的確に第1状態と第2状態とに切り換えることができる。
従って、載置部への被加熱物の載置有無の検知における信頼性を一層向上することができる。
【0016】
第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
筒状の前記磁気遮蔽体が、前記リード線を内装する状態で、前記索状体における前記基端側辺部内の部分に設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、昇降体が昇降するのに伴って、索状体に付設された磁気遮蔽体が基端側辺部内をその軸芯方向に沿う方向に移動する際に、索状体が基端側辺部の径方向に動いたとしても、磁気遮蔽体が筒状であって、リード線を内装する状態で配置されているので、その磁気遮蔽体がリードスイッチと磁石との間に位置するときには、磁石の磁界がリードスイッチに印加されるのを的確に遮蔽することができる。
要するに、被加熱物が載置部に載置されたり載置部から取り外されたりすることによって、昇降体が昇降するのに伴って、リードスイッチを更に的確に第1状態と第2状態とに切り換えることができる。
従って、載置部への被加熱物の載置有無の検知における信頼性を更に向上することができる。
【0018】
第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記索状体が、ピアノ線である点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、ピアノ線は、線径が細いものの、筒状支持体の屈曲部の形状に追従して撓みながら、昇降体が下降するときに加わる押圧力及び昇降体が上昇するときに加わる引っ張り力を、ピアノ線における基端側辺部内に位置する部分に的確に伝達することができる。
つまり、索状体として、細いピアノ線を用いることにより、筒状支持体も、より細いものを用いることができる。
従って、加熱調理器用の温度検出装置の小型軽量化を図りながら、筒状支持体が概略L字状に構成されている場合でも、載置部への被加熱物の載置有無を的確に検知可能にすることができる。
【0020】
第5特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれか1つに加えて、
前記索状体が、ケーブルレリーズである点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、ケーブルレリーズは、容易に撓みながらも、一端部に加わる押圧力及び引っ張り力を他端に的確に伝達することができるので、昇降体の昇降に伴って、ケーブルレリーズは、筒状支持体の屈曲部の形状に追従して撓みながら、昇降体が下降するときに加わる押圧力及び昇降体が上昇するときに加わる引っ張り力を、ケーブルレリーズにおける基端側辺部内に位置する部分に的確に伝達することができる。それによって、被加熱物が載置部に載置されたり載置部から取り外されたりすることによって、昇降体が昇降するのに伴って、リードスイッチを更に的確に第1状態と第2状態とに切り換えることができる。
従って、載置部への被加熱物の載置有無の検知における信頼性を更に向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
先ず、本発明に係る加熱調理器用の温度検出装置Sを搭載したガスコンロについて、簡単に説明する。
図4に示すように、ガスコンロは、ビルトインタイプに構成され、上方が開口した矩形箱状のケーシング1の上部に備えられた天板2に、左右方向に並べて3つの開口部3(
図5参照)が設けられると共に、各開口部3に環状のガスバーナ4が配置され、各ガスバーナ4に対応して、被加熱物(鍋など、図示省略)を載置する五徳5(載置部の一例)が着脱自在に備えられている。更に、ケーシング1内における左右方向の略中央には、グリル6が設けられると共に、そのグリル6のグリル庫(図示省略)内を加熱するガスバーナ(図示省略)が備えられ、そのグリル庫からの排ガスを排出するグリル排気口7が、天板2の後部側の部分に設けられている。
そして、ケーシング1内における左右方向の略中央には、グリル庫内の排ガスをグリル排気口7に導くグリル排気筒8(
図5参照)が設けられている。
【0024】
3台のガスバーナ4は、夫々、燃焼量が異なり、例えば、正面視で、左側(
図4の図面上で左側)、右側(
図4の図面上で右側)、左右方向の中央で奥側の順に燃焼量が大きい。尚、燃焼量が最も小さい左右方向の中央で奥側のガスバーナ4を、以下では、小火力バーナ4と称する場合がある。
そして、
図5に示すように、この小火力バーナ4は、グリル排気筒8の上方に配設される。
【0025】
ガスバーナ4は、周知であるので、詳細な説明及び図示を省略して簡単に説明すると、
図5に示すように、外周部に多数の炎孔(図示省略)を備えた環状のバーナ本体4a、そのバーナ本体4aにガス燃料と空気との混合気を供給する混合管4b、及び、その混合管4bにガス燃料を噴出供給するガスノズル4c等を備えて、環状に構成してある。
【0026】
3台のガスバーナ4夫々に対して、加熱調理器用の温度検出装置(以下、単に温度検出装置と記載する場合がある)Sが設けられる。各ガスバーナ4に夫々設けられる3台の温度検出装置Sは、夫々、同様に、五徳5上に載置された被加熱物の温度を検出する被加熱物温度検出機能、及び、五徳5上に被加熱物が載置されているか否かを検知する被加熱物検知機能を備えている。
そして、小火力バーナ4に対する温度検出装置Sについては、グリル排気筒8の上方に配置する関係上、上下方向での設置スペースが狭いので、本願に係る温度検出装置Sが設けられる。
【0027】
以下、
図1及び
図2に基づいて、本願に係る温度検出装置Sについて説明する。
尚、
図1は、被加熱物が五徳5に載置されておらず、昇降体20が上限位置に位置する状態での温度検出装置Sの縦断面図であり、
図2は、被加熱物が五徳5に載置されて、昇降体20が下降した状態での温度検出装置Sの縦断面図である。
【0028】
温度検出装置Sは、ガスコンロに固定状に立設される筒状支持体10と、ガスコンロ4の五徳5に載置される被加熱物の底部が当接するのに伴って押し下げられるように、昇降自在で且つ上方側に復帰付勢された状態で筒状支持体10の上端部に支持された昇降体20と、温度を検出する検出部31(例えば、サーミスタ)及び検出部31の検出情報を伝えるリード線32を有する温度検出手段30と、第1状態と第2状態とに切り換え操作自在な検知部41、及び、その検知部41に対して近接、離間することにより検知部41を第1状態と第2状態とに切り換える操作部42を有する被加熱物検知手段40とを備えて構成されている。
【0029】
そして、リード線32が、筒状支持体10における昇降体20が支持された側とは反対側の端部外に延びる形態で筒状支持体10内に配置された状態で、検出部31が、昇降体20における被加熱物の底部が当接する当接部21の温度を検出可能に設けられている。
又、検知部41及び操作部42が、昇降体20の昇降による位置変位を検知可能に、筒状支持体10の側と昇降体20の側とに分けて設けられている。
【0030】
小火力バーナ4に対して温度検出装置Sを設けるに当たっては、上下方向での設置スペースが狭いので、筒状支持体10が、昇降体20が支持される側の概ね直線状の先端側辺部11と、昇降体20が支持される側とは反対側の概ね直線状の基端側辺部12とを備えた概略L字状に構成されている。
この実施形態では、筒状支持体10は、一本の直線状のパイプ材14(管部材の一例)を、その略中央部で円弧状に屈曲成形することにより、先端側辺部11と基端側辺部12とが円弧状の湾曲部13を介して略直角状に連なる概略L字状に構成されている。ちなみに、筒状支持体10を構成するパイプ材14の材質はステンレススチール(例えば、SUS304)である。
【0031】
具体的には、筒状支持体10の外径、内径は、それぞれ、6.0mmφ、5.0mmφである。又、筒状支持体10の湾曲部13は、概略、中心角が90°で、内周部の半径が20mmの円弧状である。
【0032】
図1及び
図2に示すように、本発明では、可撓性を有する索状体50が、一端が昇降体20に接続され、他端が基端側辺部12内に延び且つ基端側辺部12の軸心方向に沿う方向での自由端として、筒状支持体10内に配設され、その索状体50が、昇降体20が下降するときに加わる押圧力及び昇降体20が上昇するときに加わる引っ張り力を、筒状支持体10の軸心に沿う形態を保持したままで、索状体50における基端側辺部12内に位置する部分に伝達可能に構成されている。
そして、検知部41及び操作部42のうちの一方が、筒状支持体10の基端側辺部12に設けられることにより、筒状支持体10の側に設けられ、他方が、索状体50における基端側辺部12内に位置する部分に設けられることにより、昇降体20の側に設けられている。
【0033】
以下、
図1及び
図2に基づいて、温度計測装置Sの各部について、詳細に説明する。
昇降体20は、小径部と大径部とからなら2段円筒状の本体部22と、その本体部22の大径部側の端部開口を閉塞する当接部21と、その当接部21の裏面に当て付けられた状態で固定された鍔付円筒状のセンサ支持部23とを備えて構成されている。
又、温度検出手段30のリード線32には、耐熱性を有する耐熱チューブ33が被覆されている。ちなみに、耐熱チューブ33としては、例えば、ガラス編組チューブが用いられる。
そして、温度検出手段30の検出部31を、昇降体20の当接部21の裏面に当て付けてセンサ支持部23内に収納した状態で、耐熱性の樹脂(図示省略)を充填することにより、検出部31が、昇降体20の当接部21の温度を検出可能に設けられる。
【0034】
リード線32の端部には、ガスコンロの運転を制御するための制御部(図示省略)に接続するためのコネクタ34が接続され、このコネクタ34を制御部に接続することにより、検出部31の検出情報が制御部に入力されるように構成されている。
【0035】
筒状支持体10の先端側辺部11側の端部(上端部)には、昇降体20の本体部22の小径部の内径よりも大きく且つ大径部の内径よりもやや小さい外径を有するリング状のバネ受け部24が係止されている。
そして、昇降体20は、その本体部22における小径部と大径部との段部にてバネ受け部24により抜け止めされ、且つ、その当接部21の裏面とバネ受け部24との間にコイルバネ25を圧縮状態で介在させた状態で、筒状支持体10の先端側辺部11側の端部に支持される。これにより、昇降体20が、筒状支持体10の先端側辺部11の上端部に、昇降自在で且つコイルバネ25により上方側に復帰付勢された状態で支持されることになる。
【0036】
この実施形態では、索状体50がピアノ線51にて構成されている。ちなみに、ピアノ線51は、例えば、A種(SWP−A)で、線形が1mmφのものが用いられる。
このピアノ線51は、他端が拘束されない(自由な状態)状態で、一端が、例えば溶接等により、昇降体20のセンサ支持部23に接続される。
このように一端が昇降体20のセンサ支持部23に接続されたピアノ線51が、他端が基端側辺部12内に延びる状態で、概略L字状の筒状支持体10内に配設される。
【0037】
そして、ピアノ線51は、可撓性を有し、しかも、基端側辺部12内に延びる他端が拘束されていない。従って、昇降体20が昇降するのに伴って、ピアノ線51が、湾曲部13の形状に追従して撓みつつ、概略L字状の筒状支持体10の軸心に沿う形態を保持したままで、その基端側辺部12内の端部が、昇降体20における先端側辺部11の軸芯方向に沿う方向での変位量と同等に基端側辺部12の軸芯方向に沿う方向に変位する状態で、筒状支持体10内をその軸芯方向に移動する。
つまり、ピアノ線51は、昇降体20が下降するときに加わる押圧力及び昇降体20が上昇するときに加わる引っ張り力を、ピアノ線51における基端側辺部12内に位置する部分に的確に伝達することができる。
【0038】
図3にも示すように、この実施形態では、検知部41としてのリードスイッチ43が、筒状支持体10における基端側辺部12の外周部に設けられ、磁石44が、リードスイッチ43に対して磁界を印加して、リードスイッチ43をオン状態(第1状態の一例)及びオフ状態(第2状態の一例)のいずれか一方に切り換え可能なように、リードスイッチ43に対向する状態で基端側辺部12の外周部に設けられている。つまり、リードスイッチ43に加えて、磁石44を備えて、検知部41が構成される。
又、リードスイッチ43と磁石44との間に位置することによって、磁石44の磁界がリードスイッチ43に印加されるのを遮蔽する磁気遮蔽体45が、操作部42として、ピアノ線51における基端側辺部12内の部分に設けられている。
【0039】
リードスイッチ43としては、例えば、ノーマルオープンのタイプのものが用いられる。
磁石44は、例えば、6mm角で長さが10mm程度の角柱状であり、フェライト磁石、ネオジム磁石等が用いられる。
磁気遮蔽体45は、ピアノ線51に取り付けられた状態で、筒状支持体10の湾曲部13の内部を通過不可能な形状及び大きさであり、この実施形態では、外径が4.5mmφで、長さが15mmの円筒状に構成されている。又、円筒状の磁気遮蔽体45の内径は、温度検出手段30の耐熱チューブ33の外径よりも大きくなるように設定されている。ちなみに、磁気遮蔽体45は、例えば、保磁力が小さく透磁率が大きい軟磁性材料(例えば、ソフトフェライト、鉄等)により構成されている。
【0040】
そして、この円筒状の磁気遮蔽体45が、温度検出手段30の耐熱チューブ33で被覆されたリード線32を内装する状態で、ピアノ線51における基端側辺部12内の部分に設けられている。
前述のように、円筒状の磁気遮蔽体45の内径は、温度検出手段30の耐熱チューブ33の外径よりも大きいので、リード線32の長さ方向に沿う方向での磁気遮蔽体45と耐熱チューブ33で被覆されたリード線32との相対位置が、変化自在なように構成されている。
【0041】
リードスイッチ43は、筒状支持体10の基端側辺部12の外周部における所定の箇所に、例えば、耐熱性の接着剤(図示省略)により固定され、磁石44は、筒状支持体10の基端側辺部12の外周部において、リードスイッチ43に対向する位置(リードスイッチ43と中心角で略180°隔てた位置)に、例えば、耐熱性の接着剤(図示省略)により固定される。
リードスイッチ43のオンオフ状態を判定するためのリード線46は、前述のコネクタ34に接続され、リードスイッチ43のオンオフ状態が前述の制御部に入力されるように構成されている。
【0042】
筒状の磁気遮蔽体45は、
図1及び
図3(a)に示すように、昇降体20が上限位置に上昇した状態(被加熱物が五徳5上に載置されない状態)で、磁石44の磁界がリードスイッチ43に印加されるのを遮蔽すべく、リードスイッチ43と磁石44との間に位置する状態(近接状態)となり、且つ、
図2及び
図3(b)に示すように、被加熱物が五徳5上に載置されて昇降体20が下降するのに伴って、磁石44の磁界がリードスイッチ43に印加されるべく、リードスイッチ43と磁石44の間から筒状支持体10の基端側辺部12側の端部の側にはみ出る状態(離間状態)となるように、位置を定めて、ピアノ線51に取り付けられている。
【0043】
つまり、昇降体20が上限位置に上昇してリードスイッチ43と磁気遮蔽体45とが近接した状態(
図1及び
図3(a))では、リードスイッチ43がオフ状態となり、昇降体20が下降してリードスイッチ43と磁気遮蔽体45とが離間した状態(
図2及び
図3(b))では、リードスイッチ43がオン状態となる形態で、操作部42としての磁気遮蔽体45が検知部41としてのリードスイッチ43に対して近接、離間することにより、リードスイッチ43をオン状態とオフ状態とに切り換えるように構成されている。
【0044】
次に、図示を省略するが、上述のように構成される温度検出装置Sの製造方法について、簡単に説明する。
先ず、筒状支持体10を構成するための直線状のパイプ材14の一端に、バネ受け部24を係止すると共に、昇降体20の本体部22を、バネ受け部24にて抜け止めされた状態で、パイプ材14の一端部に配置する。
又、ピアノ線51を、当接部21の裏面に付設したセンサ支持部23に接続し、且つ、磁気遮蔽体45を、ピアノ線51の所定箇所に固定する。
又、耐熱チューブ33で被覆されたリード線32がつながった検出部31を、昇降体20の当接部21の裏面に付設したセンサ支持部23内に固定する。
そして、耐熱チューブ33で被覆されたリード線32及び磁気遮蔽体45を付設したピアノ線51をパイプ材14内に配置した状態で、昇降体20の当接部21を、内部にコイルバネ25を配置した本体部22の大径部の開口端部に固定することにより、昇降体20をパイプ材14の一端部に支持する。すると、コイルバネ25が、当接部21の裏面とバネ受け部24との間に圧縮状態で設けられることになる。
【0045】
次いで、周知のベンダー(曲げ加工機、図示省略)により、パイプ材14を概略L字状に屈曲成形して、筒状支持体10を概略L字状に構成する。
次いで、リードスイッチ43及び磁石44夫々を筒状支持体10の基端側辺部12の夫々の所定箇所に設け、又、温度検出手段30のリード線32及びリードスイッチ43のリード線46にコネクタ34を接続する。
【0046】
上述のように構成した温度検出装置Sは、
図5に示すように、筒状支持体10の先端側辺部11が環状のバーナ本体4aの略中央部で立ち姿勢となり、且つ、五徳5に被加熱物を載置していない状態では、昇降体20の当接部21が五徳5の上面よりも突出する状態で、筒状支持体10の基端側辺部12が、センサ固定具(図示省略)によりグリル排気筒8の上方に固定されることにより、ガスコンロのケーシング1内に設けられる。
【0047】
そして、被加熱物を五徳5上に載置していない状態では、昇降体20がコイルバネ25の付勢力により上限位置に上昇した状態となって、リードスイッチ43がオフ状態となり、五徳5上に被加熱物が載置されていない被加熱物否載置状態が検知される。
又、被加熱物を五徳5に載置すると、被加熱物の底部が昇降体20の当接部21に当接して、昇降体20がコイルバネ25の付勢力に抗して下降し、それに伴って、リードスイッチ43がオン状態となり、五徳5上に被加熱物が載置されている被加熱物載置状態が検知される。
そのように被加熱物を五徳5上に載置した状態から、被加熱物を持ち上げて五徳5上から取り外すと、コイルバネ25の付勢力により、昇降体20が上限位置に復帰し、リードスイッチ43がオフ状態となって被加熱物否載置状態が検知される。
【0048】
本願の温度検出装置Sでは、上述のように、ピアノ線51の基端側辺部12内に延びる方の端部が、自由端であるため、基端側辺部12の軸心方向に沿う方向での移動が規制されない。しかも、筒状の磁気遮蔽体45の内径が耐熱チューブ33の外径よりも大きくて、リード線32の長さ方向に沿う方向での磁気遮蔽体45と耐熱チューブ33で被覆されたリード線32との相対位置が、変化自在である。
これにより、被加熱物が五徳5上に載置されて昇降体20が下降する際に、耐熱チューブ33にて被覆されたリード線32が形状を保てず曲がったとしても、ピアノ線51は、概略L字状の筒状支持体10の軸心に沿う形態を保持したままで座屈することなく、筒状支持体10内をその軸芯方向に沿って基端側辺部12の端部側に移動するので、操作部42としての磁気遮蔽体45が、昇降体20が下降する距離と同等の距離、筒状支持体10の基端側辺部12内をその軸芯方向に沿う方向に移動する。
従って、被加熱物検知手段4により、昇降体20の昇降による位置変位を的確に検知でき、もって、五徳5上に被加熱物が載置されているか否かを的確に検知することができる。
【0049】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 索状体50の具体例としては、上記の実施形態において例示したピアノ線に限定されるものではなく、例えば、図示を省略するが、カメラのシャッター操作用のケーブルレリーズや、樹脂製のワイヤを用いることができる。
【0050】
(ロ) 被加熱物検知手段40の具体構成は、上記の実施形態において例示した構成、即ち、リードスイッチ43、磁石44及び磁気遮蔽体45を備えた構成に限定されるものではない。
例えば、検知部41としてリードスイッチを備え、操作部42として磁石を備えた構成を用いることができる。
この場合、リードスイッチを筒状支持体10の基端側辺部12に設け、磁石を索状体50における基端側辺部12内の部分に設けたり、逆に、リードスイッチを索状体50における基端側辺部12内の部分に設け、磁石を筒状支持体10の基端側辺部12に設けることができる。
【0051】
又、検知部41として反射型光センサを備え、操作部42として反射型光センサからの光を反射する反射体を備えた構成や、検知部41として透過型光センサを備え、操作部42として、透過型光センサの発光部と受光部との間で光を遮る光遮蔽体を備えた構成を用いることができる。
【0052】
(ハ) 上記の実施形態では、リードスイッチ43として、ノーマルオープンのものを用いたが、ノーマルクローズのものを用いても良い。
【0053】
(ニ) 基端側辺部12の軸心方向に沿う方向での検知部41と操作部42との相対位置関係として、上記の実施形態では、昇降体20が上限位置に上昇した状態では、検知部41と操作部42とが近接状態となり、昇降体20が下降するのに伴って、検知部41と操作部42とが離間状態となる相対位置関係とした。逆に、昇降体20が上限位置に上昇した状態では、検知部41と操作部42とが離間状態となり、昇降体20が下降するのに伴って、検知部41と操作部42とが近接状態となる相対位置関係としても良い。
【0054】
(ホ) 筒状支持体10の概略L字状の形状において、先端側辺部11と基端側辺部12とが湾曲部13を介して連なる角度は、直角よりも多少小さい角度でも良く、又、直角よりも多少大きい角度でも良い。
【0055】
(ヘ) 筒状支持体10を概略L字状に構成するに、先端側辺部11を形成する直線状の先端側辺部形成管11p、湾曲部13を形成するための円弧状の湾曲部形成管13p、及び、基端側辺部12を形成するための基端側辺部形成管12pの3本の管部材を連結することにより構成しても良い。
【0056】
(ト) 本発明の加熱調理器用の温度検出装置は、上記の実施形態において例示したガスコンロ以外に、電気コンロ等、種々の加熱調理器にて用いることが可能である。