(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリエステル系樹脂が芳香族系溶剤およびケトン系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤に溶解されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル系接着剤。
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル系接着剤が、フラットケーブルにおける樹脂基材と導体との間に介在する接着剤として用いられることを特徴とするフラットケーブル形成用接着剤。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ、液晶表示装置、携帯電話、プリンタ、自動車、家電製品、複写機、その他の各種の電気器具製品においては、機器内配線の複雑化に対応して、配線作業の省力化や誤配線防止のために、フラットケーブルが広く使用されてきている。
【0003】
フラットケーブルは、一般に、フィルム(テープおよびシートの概念を包含する。以下同じ。)状の基材(絶縁層)に接着剤層を積層した絶縁性フィルムを作製し、2枚の絶縁性フィルムの接着剤層間に複数本の導体を並列させ、接着剤層同士を重ね合わせて導体を挟み、熱融着することにより製造される。すなわち、フラットケーブルは、接着剤層内に導体を含み、かつケーブルの外側の両面に絶縁層が設けられた構造を有する。フラットケーブルの形成に用いられる接着剤としては、例えば特許文献1に開示されたポリエステル系接着剤が挙げられる。
【0004】
ポリエステル系接着剤は、無溶剤型のホットメルト接着剤と、溶剤型の溶剤系接着剤に大別することができる。近年は、公害問題等の関係から無溶剤型のホットメルト接着剤が多用される傾向にあるが、薄膜コーティングが可能であることや作業の簡便さ等の理由により、溶剤系接着剤の需要はまだまだ大きく、樹脂基材同士あるいは樹脂基材と金属等の非樹脂基材とのドライラミネート用接着剤、各種材料へのコーティン剤等の用途に、溶剤系接着剤が多用されているのが現状である。
【0005】
溶剤系接着剤は、一般に、ポリエステル系樹脂をトルエン、メチルエチルケトン等の汎用溶剤に溶解させたものである。ポリエステル系樹脂のうち結晶性のポリエステル系樹脂は、凝集力に優れ、接着性が良好であるものの、一般に溶剤に難溶である。逆に、非結晶性のポリエステル系樹脂は、溶剤に易溶であるが、一般に凝集力に乏しい。即ち、凝集力に優れ、かつ溶剤に易溶である溶剤系のポリエステル系接着剤を得ることは非常に困難である。
【0006】
かかる問題点を解決すべく、例えば特許文献2には、特定組成の酸成分と特定組成のグリコール成分を反応させて得られた飽和ポリエステル樹脂を特定組成の混合溶媒に溶解した接着剤組成物が開示されている。
この接着剤組成物によれば、結晶性ポリエステル樹脂の溶剤溶解性や溶解後の安定性を向上させることができるので、樹脂基材に対する接着力が向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
【0016】
<ポリエステル系接着剤>
本発明のポリエステル系接着剤は、多価カルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)とが重合されてなるポリエステル系樹脂を含有する。まず、多価カルボン酸成分(A)およびポリオール成分(B)について順次説明する。
【0017】
〔多価カルボン酸成分(A)〕
本発明で用いられる多価カルボン酸成分(A)は、テレフタル酸およびイソフタル酸を少なくとも含有する。
多価カルボン酸成分(A)全体に対するテレフタル酸の含有量は、50〜99モル%であることが好ましく、特に好ましくは60〜95モル%、更に好ましくは65〜90モル%である。テレフタル酸の含有量が少なすぎると接着力が低下する傾向があり、多すぎると溶液安定性が低下する傾向がある。
【0018】
多価カルボン酸成分(A)全体に対するイソフタル酸の含有量は、1〜50モル%であることが好ましく、特に好ましくは5〜40モル%、更に好ましくは10〜35モル%である。イソフタル酸の含有量が少なすぎると溶液安定性が低下する傾向があり、多すぎると融点が低下する傾向がある。
【0019】
本発明で用いられる多価カルボン酸成分(A)は、アジピン酸を含有していてもよい。多価カルボン酸成分(A)全体に対するアジピン酸の含有量は、10モル%以下であり、5モル%以下であることが好ましく、特に好ましくは1モル%以下、更には含有しないことが好ましい。アジピン酸の含有量が多すぎると金属等の非樹脂基材への接着力が低下する傾向がある。
【0020】
本発明で用いられる多価カルボン酸成分(A)は、上記多価カルボン酸以外に、その他の多価カルボン酸を更に含有していてもよい。
その他の多価カルボン酸としては、例えば、ベンジルマロン酸、ジフェン酸、4,4′−オキシジ安息香酸等の芳香族ジカルボン酸;
マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、チオジプロピオン酸、ジグリコール酸等の脂肪族ジカルボン酸;
1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;
等が挙げられる。これらその他の多価カルボン酸の中から選ばれる1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
また、本発明で用いられる多価カルボン酸成分(A)は、上記の各種ジカルボン酸の他に、三価以上の多価カルボン酸を少量用いることができる。例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、アダマンタントリカルボン酸、トリメシン酸等も使用することができる。
【0021】
〔ポリオール成分(B)〕
本発明で用いられるポリオール成分(B)は、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオールおよびエチレングリコールを含有する。
ポリオール成分(B)全体に対する1,6−ヘキサンジオールの含有量は、35モル%以上であり、好ましくは35〜90モル%、特に好ましくは35〜80モル%、更に好ましくは35〜70モル%である。1,6−ヘキサンジオールの含有量が少なすぎると溶液安定性が低下する傾向があり、多すぎると接着力が低下する傾向がある。
【0022】
ポリオール成分(B)全体に対する1,4−ブタンジオールの含有量は、好ましくは5〜60モル%、特に好ましくは10〜60モル%、更に好ましくは20〜60モル%である。1,4−ブタンジオールの含有量が少なすぎると融点が低下する傾向があり、多すぎると溶液安定性が低下する傾向がある。
【0023】
1,6−ヘキサンジオールと1,4−ブタンジオールの含有割合(モル比)は、好ましくは35:65〜95:5、特に好ましくは35:65〜85:15、更に好ましくは35:65〜75:25である。1,4−ブタンジオールに対する1,6−ヘキサンジオールの含有割合が高すぎると接着力が低下する傾向があり、低すぎると溶液安定性が低下する傾向がある。
【0024】
1,6−ヘキサンジオールとエチレングリコールの含有割合(モル比)は、好ましくは55:45〜95:5、特に好ましくは60:40〜90:10、更に好ましくは65:35〜85:15である。エチレングリコールに対する1,6−ヘキサンジオールの含有割合が高すぎると接着力が低下する傾向があり、低すぎると溶液安定性が低下する傾向がある。
【0025】
ポリオール成分(B)全体に対するエチレングリコールの含有量は、好ましくは5〜30モル%、特に好ましくは5〜25モル%、更に好ましくは10〜25モル%である。エチレングリコールの含有量が少なすぎると接着力が低下する傾向があり、多すぎると融点が低下する傾向がある。
【0026】
本発明で用いられるポリオール成分(B)は、上記ポリオール以外に、その他のポリオールを更に含有していてもよい。
上記その他のポリオールとしては、例えば、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;
1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環族ジオール;
4,4′−チオジフェノール、4,4′−メチレンジフェノール、ビスフェノールS,ビスフェノールA、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、o−,m−およびp−ジヒドロキシベンゼン、2,5−ナフタレンジオールおよびp−キシレンジオール等の芳香族ジオール;
等が挙げられる。
これらその他のポリオールの中から選ばれる1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。
【0027】
本発明で用いられるポリオール成分(B)は、上記の各種ポリオールの他に、三価以上のポリオール、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,3,6−ヘキサントリオール、アダマンタントリオール等を少量用いることができる。
【0028】
〔ポリエステル系樹脂の製造方法〕
上記多価カルボン酸成分(A)と上記ポリオール成分(B)とからポリエステル系樹脂を製造する方法について説明する。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂は、例えば、多価カルボン酸成分(A)とポリオール成分(B)を所定の割合で配合し、好ましくは触媒存在下、エステル化反応および重合反応を行うことにより得ることができる。
【0029】
上記エステル化反応においては好ましくは触媒が用いられ、上記触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒、三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム系触媒、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、ジブチル錫オキサイド等が挙げられる。これらの中から選ばれる1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併せて用いてもよい。これらのなかでも、触媒活性が高い点から、テトラブチルチタネート、三酸化アンチモンが好ましい。
【0030】
上記触媒の配合量は、多価カルボン酸成分(A)に対して0.0001〜0.1倍モルであることが好ましく、0.0001〜0.05倍モルであることが特に好ましく、0.0001〜0.01倍モルであることが更に好ましい。触媒の配合量が少なすぎると重合反応が充分に進行しない傾向があり、多すぎても反応時間短縮等の利点はなく、副反応が起こりやすい傾向がある。
【0031】
エステル化反応時の温度は、140〜260℃が好ましく、160〜250℃が特に好ましく、180〜250℃が更に好ましい。エステル化反応時の温度が低すぎると反応が充分に進まない傾向があり、高すぎると分解等の副反応が起こる傾向がある。また、エステル化反応は、常圧下で実施されることが好ましい。
【0032】
エステル化反応が行われた後、重縮合反応が行われる。この重縮合反応に際しては、エステル化反応で使用され得る上記触媒を上記配合量で更に配合し、反応温度を好ましくは220〜280℃、特に好ましくは230〜270℃に設定し、反応系を徐々に減圧して最終的には5hPa以下で反応させることが好ましい。反応温度が低すぎると反応が充分に進行し難くなる傾向があり、高すぎると分解等の副反応が起こる傾向がある。
【0033】
かくして得られるポリエステル系樹脂の融点は、60℃以上であることが好ましく、特に好ましくは70〜180℃、更に好ましくは80〜160℃である。融点が低すぎると、耐熱性が低下する傾向がある。
なお、本発明において融点は、例えば、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC2920により測定することができる。
【0034】
上記ポリエステル系樹脂の数平均分子量は、5,000〜50,000であることが好ましく、特に好ましくは6,000〜40,000、更に好ましくは7,000〜30,000である。数平均分子量が大きすぎると溶液安定性が低下する傾向があり、小さすぎると接着力が低下する傾向がある。
【0035】
また、上記ポリエステル系樹脂の酸価は、5mgKOH/g以下であることが好ましく、特に好ましくは4mgKOH/g以下、更に好ましくは3mgKOH/g以下である。酸価が高すぎると、加水分解で分子量が低下する傾向がある。
【0036】
なお、本発明において数平均分子量は、例えば、末端基定量法により酸価と水酸基価から下記の計算式によって算出することができ、酸価および水酸基価は、JIS K 0070に準拠して測定することができる。
数平均分子量=56.11×1000×2/(酸価+水酸基価)
【0037】
上記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、45℃以下であることが好ましく、特に好ましくは−10〜45℃、更に好ましくは−5〜40℃、より更に好ましくは0〜35℃である。ガラス転移温度(Tg)が高すぎると接着力が低下する傾向があり、低すぎるとタック感が強くなり、例えば、本接着剤を塗布したフィルム等の基材をいったん巻き取る際にくっついてしまい、巻き出しが困難となる傾向がある。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えば、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC2920を用いて測定することができる。
【0038】
本発明のポリエステル系接着剤は、上記ポリエステル系樹脂が有機溶剤に溶解されることにより得られる。
上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、芳香族炭化水素化合物等の芳香族系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソホロン、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキノン等のケトン系溶剤、ジエチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤等が挙げられ、これら有機溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤を用いることができる。好ましくは、芳香族系溶剤およびケトン系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤であり、例えばトルエンおよびメチルエチルケトンの混合溶剤である。
本発明のポリエステル系接着剤全体に対する有機溶剤の配合割合は、通常、20〜90重量%であり、好ましくは40〜90重量%、特に好ましくは60〜85重量%である。かかる配合割合が少なすぎると溶液安定性が低下する傾向があり、多すぎると十分な接着剤の厚みを確保するのが困難となる傾向がある。
【0039】
本発明のポリエステル系接着剤には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、耐電防止剤等の添加剤、無機または有機の充填剤、金属粉や顔料等の粉体,粒子状等の添加剤等を、必要に応じて、配合することができる。
【0040】
本発明のポリエステル系接着剤は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂基材のみならず、金属、木材、紙、皮革等の非樹脂基材に対しても接着性に優れるので、樹脂基材同士の接着に有用であるだけでなく、非樹脂基材と樹脂基材との接着にも有用である。したがって、本発明のポリエステル系接着剤は、導体である金属配線と樹脂基材とを接着させるフラットケーブル形成用接着剤やその他の接着剤として有用である。また、本発明のポリエステル系接着剤は、接着剤以外の用途として、塗料、コーティング剤、インキのバインダーなどの用途にも有用である。
【0041】
<フラットケーブル形成用接着剤・フラットケーブル>
本発明のポリエステル系接着剤をフラットケーブル形成用接着剤として用いる場合をフラットケーブルとともに説明する。
本発明のフラットケーブル形成用接着剤は、フラットケーブルにおける樹脂基材と導体との間に介在する接着剤として用いられる。また、本発明のフラットケーブルは、本発明のフラットケーブル形成用接着剤が樹脂基材と導体との間に介在されてなる構成のものである。
【0042】
フラットケーブルにおける導体としては、錫メッキ銅や銅等からなる金属配線が挙げられる。
フラットケーブルにおける樹脂基材の樹脂としては、機械的強度、寸法安定性等に優れ、かつ耐熱性、可撓性、耐薬品性、耐溶剤性、屈曲性、絶縁性等に富む樹脂が好適に使用でき、中でも、ポリエステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂としては、例えば、PET、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を挙げることができる。また、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン6等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等も用いることができる。
【0043】
樹脂基材は、未延伸のもの、または一軸方向もしくは二軸方向に延伸されたもののいずれでもよい。樹脂基材の厚さは、その表面に接着剤層等を積層する工程の作業性やコスト等の観点から、5〜100μm程度が好ましく、9〜50μm程度が特に好ましく、9〜20μm程度が更に好ましい。また、樹脂基材の表面には、必要に応じて、コロナ処理、ブラズマ処理、オゾン処理、その他の前処理等を任意に施すことができる。また、樹脂基材上にアンカーコート層を設けてもよく、これにより樹脂基材と接着剤との密着力を向上させ、その層間剥離等を抑制するとともに、熱接着加工速度を向上させ、耐熱接着性を向上させることができる。
【0044】
本発明のフラットケーブル形成用接着剤には、難燃剤、ポリアミド系ワックス類、シリカ微粒子、タルク、炭酸カルシウム、有機顔料、酸化チタン等の無機顔料、カ−ボン、ワックス類等を、必要に応じて、配合することができる。
【0045】
本発明のフラットケーブル形成用接着剤を用いて本発明のフラットケーブルを製造する方法を以下に例示的に説明する。
まず、本発明の接着剤を有機溶剤に溶解した後、樹脂基材上に塗布し、溶媒を揮発させて、樹脂基材上に接着剤層が積層されたフラットケーブル用フィルムを調製する。接着剤層の乾燥後の厚さは、15〜100μm程度が好ましく、20〜40μm程度が特に好ましい。なお、樹脂基材上に接着剤層を形成する方法は、接着剤の溶液を塗布する方法に限定されない。例えば、多軸の溶融押出機を用いて、樹脂基材と接着剤層とを一体成形してもよい。
次に、フラットケーブル用フィルムを2枚用い、各々の接着剤層の面が対向するように配置し、その層間に金属等の導体を介在させる。加熱ロ−ルまたは加熱板等を用いて加熱加圧し、接着剤層を軟化、溶融させて接着剤層と導体とを密接着させる。これにより、導体が接着剤層中に埋め込まれ、接着剤層を相互に自己密接着させて導体との間に空隙等の発生が防止されながら、導体を挟んで2枚のフラットケーブル用フィルムが一体化される。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「%」および「部」とあるのは重量基準を意味する。
【0047】
〔実施例1〕
温度計、攪拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸成分(A)としてテレフタル酸305.9部(1.84mol)およびイソフタル酸131.1部(0.79mol)、ポリオール成分(B)としてエチレングリコール49.0部(0.79mol)、1,4−ブタンジオール189.6部(2.10mol)および1,6−ヘキサンジオール124.3部(1.05mol)、触媒としてテトラブチルチタネート0.3部(0.0009mol、多価カルボン酸成分(A)に対して0.00034倍モル)を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.3部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂を製造した。
さらに、100℃まで冷却し冷却管を取り付け、20%溶液になるようにトルエン/メチルエチルケトン〔80/20(重量比)〕の混合溶剤を加えて攪拌しながら冷却し、ポリエステル系接着剤(20%樹脂溶液)を得た。
【0048】
〔実施例2〕
実施例1のポリエステル系樹脂の製造において、モノマー組成を、テレフタル酸321.8部(1.94mol)、イソフタル酸107.3部(0.65mol)、エチレングリコール48.1部(0.77mol)、1,4−ブタンジオール139.7部(1.55mol)および1,6−ヘキサンジオール183.1部(1.55mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル系樹脂を製造し、さらに同様にしてポリエステル系接着剤(20%樹脂溶液)を得た。
【0049】
〔実施例3〕
実施例1のポリエステル系樹脂の製造において、モノマー組成を、テレフタル酸306.9部(1.85mol)、イソフタル酸109.6部(0.66mol)、アジピン酸19.3部(0.13mol)、エチレングリコール49.1部(0.79mol)、1,4−ブタンジオール190.3部(2.11mol)および1,6−ヘキサングリコール124.8部(1.06mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル系樹脂を製造し、さらに同様にしてポリエステル系接着剤(20%樹脂溶液)を得た。
【0050】
〔比較例1〕
実施例1のポリエステル系樹脂の製造において、モノマー組成を、テレフタル酸273.0部(1.64mol)、イソフタル酸117.0部(0.70mol)、エチレングリコール65.6部(1.06mol)、1,4−ブタンジオール275.0部(3.05mol)および1,6−ヘキサンジオール69.4部(0.59mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル系樹脂を製造し、さらに同様にしてポリエステル系接着剤(20%樹脂溶液)を得た。
【0051】
〔比較例2〕
実施例1のポリエステル系樹脂の製造において、モノマー組成を、テレフタル酸265.0部(1.60mol)、イソフタル酸44.2部(0.27mol)、アジピン酸116.6部(0.80mol)、エチレングリコール33.0部(0.53mol)、1,4−ブタンジオール215.6部(2.39mol)および1,6−ヘキサングリコール125.7部(1.06mol)に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリエステル系樹脂を製造し、さらに同様にしてポリエステル系接着剤(20%樹脂溶液)を得た。
【0052】
〔ポリエステル系樹脂の測定およびポリエステル系接着剤の評価〕
上記実施例1〜3および比較例1、2で得られたポリエステル系樹脂およびポリエステル系接着剤について、以下の測定および評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0053】
[樹脂組成モル比]
得られたポリエステル系樹脂をd−クロロホルムに溶解した後、バリヤン社製「200MHZ−NMR」を用いて、H−NMRを測定し、各モノマー成分のモル比(mol%)を求めた。
【0054】
[酸価および水酸基価]
得られたポリエステル系樹脂の酸価および水酸基価を、JIS K 0070に準拠して測定した。
【0055】
[数平均分子量]
末端基定量法により酸価と水酸基価より計算した。
数平均分子量=56.11×1000×2/(酸価+水酸基価)
【0056】
[ガラス転移温度(Tg)、融点]
得られたポリエステル系樹脂に対して、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC2920を用いて、昇温速度10℃/分で測定した。
【0057】
[錫接着力]
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)に、上記ポリエステル系接着剤を乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工し、その後、錫メッキ銅シート(厚み1mm)と熱ロール機(ロール温度150℃、圧力0.1MPa、速度1.5m/分)で貼り合せて、積層体を得た。得られた積層体を23℃、65%RHの環境下に1日放置した後、オートグラフ(島津製作所製「オートグラフAGS−H 500N」)を用いて、剥離速度100mm/分で180度剥離強度(N/10mm)を測定した。評価基準は以下のとおりである。
(評価)
○・・・10N/10mm以上
△・・・5N/10mm以上〜10N/10mm未満
×・・・5N/10mm未満
【0058】
[PET接着力]
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)に、上記ポリエステル系接着剤を乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工し、その後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み50μm)と熱ロール機(ロール温度150℃、圧力0.1MPa、速度1.5m/分)で貼り合せて、積層体を得た。得られた積層体を23℃、65%RHの環境下に1日放置した後、オートグラフ(島津製作所製「オートグラフAGS−H 500N」)を用いて、剥離速度100mm/分で180度剥離強度(N/10mm)を測定した。評価基準は以下のとおりである。
(評価)
○・・・10N/10mm以上
△・・・5N/10mm以上〜10N/10mm未満
×・・・5N/10mm未満
【0059】
[溶液安定性] 得られたポリエステル系接着剤(20%樹脂溶液〔トルエン/メチルエチルケトン=4/1(重量比)〕)を23℃、65%RHに1週間放置して、溶液安定性の評価を目視により行った。評価基準は以下のとおりである。
(評価)
○・・・7日でゲル化しない。
△・・・2〜6日でゲル化した。
×・・・1日以内でゲル化した。
【0060】
【表1】
【0061】
上記結果から、実施例1〜3のポリエステル系接着剤は、錫とPETの両方に対する接着力が高く、溶液安定性も良好であるのがわかる。
一方で、1,6−ヘキサンジオールの含有量が少ない比較例1のポリエステル系接着剤は、錫に対する接着力が低いことに加え、溶液安定性が悪いものであることがわかる。
また、1,6−ヘキサンジオールの含有量は多いものの、アジピン酸含有量が多い比較例2のポリエステル系接着剤は、錫およびPETに対する接着力が極めて低く接着性に劣ることがわかる。