(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192543
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】植物病原細菌用抗菌剤
(51)【国際特許分類】
A01N 37/34 20060101AFI20170828BHJP
A01N 37/44 20060101ALI20170828BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20170828BHJP
A01N 61/00 20060101ALI20170828BHJP
A01N 25/12 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
A01N37/34 101
A01N37/44
A01P3/00
A01N61/00 D
A01N25/12 101
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-554354(P2013-554354)
(86)(22)【出願日】2013年1月18日
(86)【国際出願番号】JP2013050925
(87)【国際公開番号】WO2013108871
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2016年1月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-8677(P2012-8677)
(32)【優先日】2012年1月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507066884
【氏名又は名称】城武 昇一
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城武 昇一
【審査官】
鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/101178(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/084494(WO,A1)
【文献】
国際公開第2008/032777(WO,A1)
【文献】
特表2005−529949(JP,A)
【文献】
特表平06−510197(JP,A)
【文献】
Christine Vauthier et al.,Advanced Drug Delivery Reviews,米国,2003年,55,519-548
【文献】
城武昇一,「新しい抗菌機序を有するナノポリマーと抗生物質耐性菌への応用」,コンバーテック,2011.02.15, 第39巻, 第2号,p.112-116
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 37/34
A01N 25/12
A01N 37/44
A01N 61/00
A01P 3/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン又はシステイン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、及びメチオニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸を含有し、グラム陰性植物病原細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まず、かつ、平均粒径が1000nm未満であるシアノアクリレートポリマー粒子を有効成分として含有する、グラム陰性植物病原細菌用抗菌剤であって、前記粒子のアミノ酸含有率が20%〜65%である、抗菌剤。
【請求項2】
前記アミノ酸がグリシン、アルギニン、アスパラギン酸、及びアラニンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1記載の抗菌剤。
【請求項3】
前記粒子が、前記少なくとも1種のアミノ酸が共存し、かつ、糖類及びポリソルベートのいずれも実質的に共存しない条件下において、シアノアクリレートモノマーをアニオン重合させることにより製造された粒子である、請求項1又は2記載の抗菌剤。
【請求項4】
前記粒子が、前記少なくとも1種のアミノ酸と、糖類及びポリソルベートから成る群より選択される少なくとも1種とが共存する条件下において、シアノアクリレートモノマーをアニオン重合させることにより製造された粒子である、請求項1又は2記載の抗菌剤。
【請求項5】
前記糖類が、水酸基を有する単糖類、水酸基を有する二糖類及び水酸基を有する多糖類からなる群より選択される少なくとも1種である請求項4記載の抗菌剤。
【請求項6】
前記シアノアクリレートがn−ブチルシアノアクリレートである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の抗菌剤。
【請求項7】
前記植物病原細菌が、ラルストニア(Ralstonia)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、エルウィニア(Erwinia)属細菌、キサントモナス(Xanthomonas)属細菌、及びバークホルデリア(Burkholderia)属細菌からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の抗菌剤。
【請求項8】
前記植物病原細菌が、ラルストニア(Ralstonia)属細菌である請求項7記載の抗菌剤。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の抗菌剤を含む、グラム陰性植物病原細菌による植物病害の防除剤。
【請求項10】
対象となる植物がナス科植物、マメ科植物、アブラナ科植物、イネ科植物、ウリ科植物、ユリ科植物、及びミカン科植物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項9記載の防除剤。
【請求項11】
対象となる植物がナス科植物である請求項10記載の防除剤。
【請求項12】
前記ナス科植物がトマト、ナス、ジャガイモ、タバコ、ピーマン、又はトウガラシである請求項11記載の防除剤。
【請求項13】
アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン又はシステイン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、及びメチオニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸を含有し、グラム陰性植物病原細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まず、かつ、平均粒径が1000nm未満であるシアノアクリレートポリマー粒子をグラム陰性植物病原細菌と接触させることを含む、グラム陰性植物病原細菌の抗菌方法であって、前記粒子のアミノ酸含有率が20%〜65%である、方法。
【請求項14】
アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン又はシステイン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、及びメチオニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸を含有し、グラム陰性植物病原細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まず、かつ、平均粒径が1000nm未満であるシアノアクリレートポリマー粒子を、植物体、植物の種子、土壌、鉢土、苗箱、農業機具、又は園芸器具と接触させることを含む、グラム陰性植物病原細菌による植物病害の防除方法であって、前記粒子のアミノ酸含有率が20%〜65%である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病原細菌用抗菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
糸状菌、細菌、ウイルス等の病原微生物による農園芸作物の病害はしばしば農業上深刻な問題となっている。各種病原微生物に対する防除剤が種々開発されているが、効果の高い薬剤は環境への負荷が小さくないことが多い。また、同一種類の防除剤の施用を繰り返すことで病原微生物が耐性を獲得してしまうことがあり、防除剤の使用が制限されることもある。人畜・魚類・鳥類に対する毒性がより低く、環境への負荷がより小さく、かつ効果も高い防除剤が常に求められている。
【0003】
一方、主としてヒトの医薬に応用すべく、薬物のデリバリーシステム(DDS)や徐放化による薬物の効果向上を目的に薬剤の微粒子化の研究が進んでおり、例えばシアノアクリレートポリマー粒子に薬剤を抱合させたDDSが公知である(特許文献1、2及び非特許文献1)。本願発明者らも、現在までに、粒径のばらつきが少ないシアノアクリレートポリマー粒子の製造方法、抗菌剤抱合粒子、及びプラスミド抱合粒子を開示している(特許文献3〜5)。従来のポリマー粒子合成法では、シアノアクリレートのアニオン重合反応の開始及び安定化の目的で、重合反応系内に糖類やポリソルベートを共存させる。これらの過去の研究は、薬物のDDSと徐放化が目的であった。
【0004】
その後、本願発明者は、シアノアクリレートポリマー粒子そのものに抗菌活性があることを見出した(特許文献6)。ナノサイズのポリマー粒子は、グラム陽性細菌の細胞壁に特異的に接着し、細菌を溶菌に導く。抗生物質とは全く異なる作用機序で抗菌活性を発揮し、MRSAやVRE等の多剤耐性菌に対しても有効である。
【0005】
さらに、本願発明者は、アミノ酸を抱合したシアノアクリレートポリマー粒子に抗がん活性があることを見出した(特許文献7)。アミノ酸自体に特別な薬理作用はないが、アミノ酸を抱合させることでポリマー粒子の抗がん作用が向上する。また、抱合させるアミノ酸の種類に応じて抗がん作用が変化し、アミノ酸の種類を選択することで各種のがんに対応可能である。
【0006】
しかしながら、特許文献6記載の抗菌剤は、グラム陽性細菌に特異的に抗菌力を発揮するというものである。また、特許文献7では、アミノ酸を抱合したシアノアクリレートポリマー粒子が抗がん活性を有することが記載されているが、アミノ酸を含んだポリマー粒子の抗菌活性は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表平11−503148号公報
【特許文献2】特表3002−504526号公報
【特許文献3】特開2008−127538号公報
【特許文献4】国際公開第2008/126846号公報
【特許文献5】特開2008−208070号公報
【特許文献6】国際公開第2009/084494号公報
【特許文献7】国際公開第2010/101178号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Christine Vauthier et al., Adv. Drug Deliv. Rev., 55, 519-548 (2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の目的は、植物病害を防除できる新規な手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は、鋭意研究の結果、アミノ酸を含むナノサイズのシアノアクリレートポリマー粒子が、グラム染色性を問わず植物病原細菌に対する抗菌作用を発揮できることを見出し、本願発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、
アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン又はシステイン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、及びメチオニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸を含有し、グラム陰性植物病原細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まず、かつ、平均粒径が1000nm未満であるシアノアクリレートポリマー粒子を有効成分として含有する、グラム陰性植物病原細菌用抗菌剤
であって、前記粒子のアミノ酸含有率が20%〜65%である、抗菌剤を提供する。また、本発明は、上記本発明のグラム陰性植物病原細菌用抗菌剤を含む、グラム陰性植物病原細菌による植物病害の防除剤を提供する。さらに、本発明は、
アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン又はシステイン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、及びメチオニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸を含有し、グラム陰性植物病原細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まず、かつ、平均粒径が1000nm未満であるシアノアクリレートポリマー粒子をグラム陰性植物病原細菌と接触させることを含む、グラム陰性植物病原細菌の抗菌方法
であって、前記粒子のアミノ酸含有率が20%〜65%である、方法を提供する。さらに、本発明は、
アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン又はシステイン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、及びメチオニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸を含有し、グラム陰性植物病原細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まず、かつ、平均粒径が1000nm未満であるシアノアクリレートポリマー粒子を、植物体、植物の種子、土壌、鉢土、苗箱、農業機具、又は園芸器具と接触させることを含む、グラム陰性植物病原細菌による植物病害の防除方法
であって、前記粒子のアミノ酸含有率が20%〜65%である、方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、新規な植物病原菌用抗菌剤が提供された。本発明で用いられる粒子はシアノアクリレートモノマーの重合により製造できるが、シアノアクリレートは既に外科領域において傷口の縫合のための接着剤として用いられており、実際に、マウスで当該粒子を静脈内投与等により与えても毒性がないことが確認されている。従って、本発明の剤は、人畜・魚類・鳥類への毒性の不安がなく、環境への負荷が少ない。また、既存の抗生物質とは全く異なる新規な抗菌剤であるため、薬剤耐性菌が出現した場合でも使用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明では、アミノ酸及びその誘導体並びにそれらのオリゴマー及びポリマーからなる群より選択される少なくとも1種(以下、これらをまとめて「アミノ酸等」ということがある)を含有するシアノアクリレートポリマーの粒子を有効成分として用いる。
【0014】
本発明において、「アミノ酸」とは、分子内にアミノ基とカルボキシ基とを持つ化合物をいい、一般的なアミノ酸の定義の通り、アミノ基の水素が分子内の他の部分と置換して二級アミンとなった環状化合物であるイミノ酸も包含する。本発明で使用できるアミノ酸の代表的な例としては、天然のタンパク質を構成する20種のα−アミノ酸が挙げられるが、これらに限定されず、β−、γ−及びδ−アミノ酸等も包含される。具体例を挙げると、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン又はシステイン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、メチオニン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸(GABA;神経伝達物質)、カルニチン、γ−アミノレブリン酸、γ−アミノ吉草酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
アミノ酸の「誘導体」とは、上記定義によるアミノ酸においていずれかの基が修飾又は置換された構造を有する化合物をいう。生物体成分として天然に存在するアミノ酸誘導体は、通常、本発明で好ましく使用することができる。使用可能なアミノ酸誘導体の具体例を挙げると、クレアチン(アルギニン誘導体で1-メチルグアニジノ酢酸)、オルニチン(アルギニン誘導体で尿素サイクル産物)、サイロキシン(芳香族アミノ酸類であるトリヨウドサイロニン;T4)、デスモシン(角質エラスチンやコラーゲンの構成成分;3分子のアリシンの側鎖と1分子のリシンの側鎖が結合した構造)、ヒドロキシプロリン及びヒドロキシリジン(ゼラチンやコラーゲン構成成分)、ホスホセリン(セリンとリン酸のエステル;カゼイン構成成分)、テアニン(茶成分、グルタミン酸誘導体)、カイニン酸(海人草の虫下し成分)、トリコロミン酸(シメジの成分)やサルコシン(卵黄・ハム・豆類成分;Nメチルグリシン)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明において、アミノ酸の「オリゴマー」とは、10個以下のアミノ酸残基がペプチド結合により結合したオリゴペプチドをいい、アミノ酸の「ポリマー」とは、11個以上のアミノ酸残基がペプチド結合により結合したポリペプチドをいう。いずれも、アミノ酸だけではなくアミノ酸誘導体を残基として含んでいてよい。ポリペプチドの残基数の上限は特に限定されないが、例えば500残基以下であり得る。ポリペプチドとしては、11〜100残基、11〜50残基、11〜30残基、11〜20残基、あるいは11〜15残基のものが好ましく用いられ得る。
【0017】
オリゴペプチドはポリペプチドよりも好ましく用いられ得る。中でも、2〜7残基、2〜5残基、あるいは2又は3残基のオリゴペプチドがより好ましく用いられ得る。
【0018】
下記実施例では、天然のタンパク質を構成する20種のα−アミノ酸(すなわち、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン又はシステイン、グルタミン、アスパラギン、プロリン、メチオニン)のいずれでも、糖類やポリソルベートを使用しない条件でナノサイズ(1000nm未満)のシアノアクリレートポリマー粒子を合成できることが示されている。中性・酸性・塩基性アミノ酸のいずれでも、そして直鎖・芳香族・イミノ・含硫黄構造のいずれでも、糖類もポリソルベートも使用せずにナノ粒子を製造できることが示されている。従って、下記実施例で実際に用いられている20種のα−アミノ酸のみならず、上記したその他のアミノ酸及びアミノ酸誘導体もナノ粒子合成に使用することができるし、また、オリゴペプチドやポリペプチドも分子内にアミノ酸構造を有するので、やはりナノ粒子合成に使用することができる。
【0019】
シアノアクリレートモノマーとしては、アルキルシアノアクリレートモノマー(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8)が好ましく、特に、外科領域において傷口の縫合のための接着剤として用いられている、下記式で表されるn-ブチル-2-シアノアクリレート(nBCA)が好ましい。
【0021】
アミノ酸等含有粒子は、次の2通りの方法で製造することができる。
(1) 糖類やポリソルベートを使用する合成方法(従来法)
(2) アミノ酸等を単独で用いる合成方法(アミノ酸等単独合成法)
【0022】
糖類やポリソルベートを用いた(1)の従来法によって所望の物質を抱合したシアノアクリレートポリマー粒子を製造する方法は、特許文献3、特許文献4(抗菌剤抱合)、特許文献5(プラスミド抱合)、特許文献7(アミノ酸抱合)等に記載され公知である。これら従来法に従って所望のアミノ酸等を含有する粒子を製造する場合、例えば、粒子に含有させるべきアミノ酸等と、糖類及びポリソルベートから選択される少なくとも1種を溶媒中に溶解させた後、撹拌下にてシアノアクリレートモノマーを加え、適宜撹拌を続けて重合反応を進行させればよい。
【0023】
糖類は特に限定されず、水酸基を有する単糖類(例えばグルコース、マンノース、リボース及びフルクトース等)、水酸基を有する二糖類(例えばマルトース、トレハロース、ラクトース及びスクロース等)及び水酸基を有する多糖類(例えばデキストランやマンナン等)のいずれであってもよい。これらの糖は、環状、鎖状のいずれの形態であってもよく、また、環状の場合、ピラノース型やフラノース型等のいずれであってもよい。また、糖には種々の異性体が存在するがそれらのいずれでもよい。
【0024】
ポリソルベートとしては、特に限定されず、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(商品名 Tween 20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(商品名 Tween 80)等の公知のTween系界面活性剤のいずれであってもよい。
【0025】
単糖類、二糖類及び多糖類並びにポリソルベートは、単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。上記した糖類及びポリソルベートのうち、グルコース、デキストラン、Tween 20(商品名)を好ましく使用できる。デキストランとしては、平均分子量5万程度以上の重合度であるデキストランが好ましい。デキストランの分子量の上限は特にないが、通常、分子量50万程度以下である。
【0026】
(1)の従来法では、反応開始時の重合反応液中の糖類及びポリソルベートの濃度(複数種類用いる場合はその合計濃度)は、特に限定されないが、通常、0.5%〜10%程度、好ましくは0.75%〜7.5%程度である。なお、糖類の濃度はw/v%、ポリソルベートの濃度はv/v%を意味し、例えば糖類を単独で用いる場合には、上記した濃度範囲はそれぞれ「0.5w/v%〜10w/v%」、「0.75w/v%〜7.5w/v%」を意味する。また、糖類を5w/v%、ポリソルベートを1v/v%で併せて用いる場合には、これらの合計濃度を6%というものとする。ただし、単糖類(例えばグルコース)のみを用いる場合には、2.5w/v%〜10w/v%程度で用いることが好ましい。
【0027】
重合反応の溶媒としては、水を主体とする水性溶媒(例えば水、低級アルコール水溶液など)を使用することができ、アミノ酸等含有粒子の製造の場合は、通常、水が好ましく用いられる。アニオン重合は水酸イオンにより開始されるので、反応液のpHは重合速度に影響する。反応液のpHが高い場合には、水酸イオンの濃度が高くなるので重合が速く、pHが低い場合には重合が遅くなる。アミノ酸等含有粒子を製造する場合には、通常、pHが1.5〜3.0程度の酸性下で適度な重合速度が得られる。反応液を酸性にするために添加する酸としては、特に限定されないが、反応に悪影響を与えず、反応後に揮散する塩酸を好ましく用いることができる。塩酸の濃度は、特に限定されないが、0.0005N〜0.5N程度の範囲で適宜選択可能である。
【0028】
反応開始時の重合反応液中のシアノアクリレートモノマーの濃度は、特に限定されないが、通常、0.5v/v%〜2.0v/v%程度、好ましくは0.8v/v%〜1.2v/v%程度である。
【0029】
反応温度は、特に限定されないが、室温で行なうことが簡便で好ましい。反応時間は、反応液のpH、溶媒の種類等に応じて反応速度が異なるため、これらの要素に応じて適宜選択される。特に限定されないが、通常、反応時間は10分〜5時間程度、好ましくは30分〜4時間程度である。得られたアミノ酸等含有粒子は、通常、中性の粒子として用いられるので、反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基を反応液に添加して中和することが好ましい。反応終了後の反応液をフィルター濾過し、適宜滅菌水で洗浄して粒子を回収すればよい。
【0030】
(2)のアミノ酸等単独合成法では、従来法で重合開始・安定化剤として使用されていた糖類及びポリソルベートを使用せず、アミノ酸構造により発揮される重合開始・安定化作用を利用する。従って、該方法で製造した場合、アミノ酸等含有粒子には糖類もポリソルベートも実質的に、好ましくは全く含まれない。例えば、粒子に含有させるべきアミノ酸等を溶媒中に溶解させた後、撹拌下にてシアノアクリレートモノマーを加え、適宜撹拌を続けて重合反応を進行させることで、粒径の揃ったナノサイズのシアノアクリレートポリマー粒子を得ることができる。粒子に含有させるアミノ酸等は1種類でもよいし、2種類以上を溶媒に溶解して同時に含有させてもよい。
【0031】
(2)の方法で粒子を合成する場合、反応開始時の重合反応液中のアミノ酸等の濃度は、特に限定されないが、通常0.1w/v%〜3w/v%程度である。(1)の従来法で製造する場合は、これより低い濃度であっても差し支えない。
【0032】
(2)の方法における重合反応の溶媒、反応開始時の重合反応液中のシアノアクリレートモノマーの濃度、反応温度及び反応時間の条件は、(1)の従来法と同様である。
【0033】
上記(1)及び(2)の方法によれば、平均粒径が1000nm未満であるナノサイズのアミノ酸等含有粒子を容易に製造することができる。粒子サイズの下限は特に限定されないが、上記の重合反応で製造される粒子の粒径は通常7nm程度以上となる。好ましくは、粒子の平均粒径は20nm〜600nm、より好ましくは50nm〜550nmである。粒子のサイズは、反応液中のシアノアクリレートモノマーの濃度やpH、反応時間を調節することによって調節することができる。また、重合開始・安定剤として糖類及びポリソルベートから選択される少なくとも1種を用いる場合には、該重合開始・安定剤の濃度や種類を変えることによっても、粒子サイズを調節することができる(特許文献3、4等参照)。一般に、反応液のpHを高めた場合、反応時間を長くした場合、及び反応液の糖濃度を低くした場合には粒子サイズが大きくなり、重合開始・安定剤としてポリソルベートを用いた場合には粒子サイズが小さくなる。これらの反応条件を適宜組み合わせることで、所望のサイズの粒子を製造することができる。
【0034】
アミノ酸等含有粒子の電荷(ゼータ電位)は、特に限定されないが、通常-50mV〜0mV程度である。ゼータ電位とは、粒子表面の電荷を示すもので、粒子の分散性の指標となる。粒子サイズとゼータ電位は、例えばHe・Neレーザーを用いた市販の装置(例えばMalvern Inst.UK社製のゼータサイザー等)を用いて容易に測定することができる。
【0035】
また、上記(1)及び(2)の方法によれば、アミノ酸等が単に粒子に付着して含有されるのみならず、アミノ酸構造中の-COO基がシアノアクリレートのエチレン末端の炭素に結合し、共有結合により粒子に含有される。共有結合によりポリマー部分に結合しているアミノ酸等の官能基を利用すれば、アミノ酸等含有粒子を所望の資材に共有結合により固定化することができる。なお、上記方法で得られる粒子のアミノ酸等含有率は、通常約20%〜約65%程度である。アミノ酸等含有率は、重合後にフィルター洗浄したときのフィルター通過液の吸光度を適当な波長で測定し、フィルター通過液中のアミノ酸等の量(すなわち粒子に結合しなかったアミノ酸等の量)を吸光度法により求めた後、下記の式によって算出することができる。
アミノ酸等含有量=(アミノ酸等添加量)−(フィルター通過液中のアミノ酸等の量)
アミノ酸等含有率(%)=アミノ酸等含有量÷アミノ酸等添加量×100
【0036】
本発明で用いるアミノ酸等含有粒子は、抗菌対象となる植物病原細菌に対する抗菌活性成分を実質的に含まない。「抗菌活性成分」とは、植物病原細菌の代謝経路ないしは生理機能に生化学的に作用して該細菌の発育を阻止することができる化学物質成分をいい、具体的には、対象の植物病原細菌の抗菌に利用可能な抗生物質その他の化学物質成分を言う。「実質的に含まない」とは、抗菌活性成分を全く含まないか、含んでいるとしても、その抗菌活性成分に対し感受性である植物病原細菌を抗菌することができない程度の微量にしか該抗菌活性成分を含んでいないことを意味する。「抗菌することができない程度の微量」とは、粒子単位体積当たりに含まれる粒子中の抗菌活性成分量を粒子中の含有濃度と定義し、この含有濃度と同濃度の抗菌活性成分を粒子に含有させず単独で感受性植物病原細菌に作用させた場合に、該感受性細菌の発育を阻止できない量のことを意味する。本発明で用いられる粒子としては、抗生物質等の抗菌活性成分を全く含まないものが好ましい。
【0037】
アミノ酸を含有しないシアノアクリレートポリマーナノ粒子はグラム陽性細菌に対し抗菌活性を発揮できることが知られている(特許文献6)。アミノ酸を含有するシアノアクリレートポリマーナノ粒子がグラム陽性細菌のみならずグラム陰性細菌に対しても抗菌活性を発揮できる原理の詳細は不明であり、本発明の範囲は理論に拘束されるものではないが、以下のことが推察される。すなわち、アミノ基は親油性であるが、アミノ酸をナノ粒子に含有させることによって親油性のアミノ基が粒子に導入され、これにより陰性菌表面のリピド層との親和性が増したため、陰性菌にも接着して抗菌できるようになったと考えられる。
【0038】
本発明で対象となる植物病原細菌の種類は特に限定されず、各種の植物病原菌に対して有効である。例えば、グラム陰性の植物病原細菌としては、Ralstonia属、Pseudomonas属、Erwinia属、Xanthomonas属、Burkholderia属、Agrobacterium属、Pantoea属、Rhizomonas属、Xylella属、Acidovorax属、Xylophilus属等が挙げられ、グラム陽性の植物病原細菌としてはClavibacter属、Streptomyces属、Curtobacterium属、Arthrobacter属、Rhodococcus属、Bacillus属及びClostridium属等が挙げられる。下記表1は、これらのうちで特に代表的なものの具体例であり、なかでもラルストニア属細菌、クラビバクター属細菌及びクルトバクテリウム属細菌に対して本発明の抗菌剤が特に効果的であり得るが、これらに限定されない。
【0040】
本発明の植物病原菌用抗菌剤は、アミノ酸等含有粒子のみからなっていてもよいし、適当な溶媒中に分散させた形態であってもよい。例えば、本発明の剤は、凍結乾燥した粒子の形態で、又は一般に使用される濃度よりも高い濃度若しくは使用時の濃度で粒子を含む粒子分散液の形態で提供され得る。単一種類のアミノ酸等含有粒子のみを含んでいてもよいし、また2種類以上のアミノ酸等含有粒子を含んでいてもよい。
【0041】
本発明の抗菌剤は、植物病害の防除剤として有用である。栽培中の植物に対して施用するほか、植物病原細菌に汚染された又はそのおそれのある農機具類・家庭用園芸器具類の殺菌洗浄に用いることができる。植物への施用量は、病害の発生の程度に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば0.1μg/ml〜1000mg/ml程度、又は0.1μg/ml〜100mg/ml程度、あるいは1μg/ml〜10mg/ml程度の濃度の粒子分散液を、植物体(根、茎、葉、果実、花などの、植物個体のあらゆる部位を包含する)、土壌、鉢土、又は苗箱等に散布すればよい。粒子分散液に種子を浸漬し、種子消毒を行なうこともできる。農器具類の殺菌には、適当な濃度、例えば上記した程度の濃度で水又はアルコール溶媒等に粒子を分散させ、これに農機具類を浸漬するか、又は農機具類に散布すればよい。アミノ酸等含有粒子の抗菌活性の強さ(MIC値及びMBC値)は、植物病原細菌の種類に応じても異なり得るが、概ね上記した程度の濃度で抗菌活性を発揮できる。
【0042】
対象となる植物としては、ナス科植物(トマト、ナス、ジャガイモ、タバコ、ピーマン、トウガラシ等)、マメ科植物(インゲン、ダイズ、ラッカセイ、ササゲ、アズキ等)、アブラナ科植物(ハクサイ、カブ、キャベツ、ダイコン、アブラナ等)、イネ科植物(イネ、コムギ、トウモロコシ、オオムギ、ライムギ、サトウキビ等)、ウリ科植物(キュウリ、メロン、スイカ、カボチャ、トウガン等)、ユリ科植物(チューリップ、ユリ、タマネギ、アスパラガス、ネギ、ニラ、ニンニク等)、ミカン科植物(特に柑橘類:ウンシュウミカン、ユズ、レモン、ブンタン、イヨカン、ハッサク、グレープフルーツ等)を挙げることができ、中でも好ましい例としてナス科植物、マメ科植物、アブラナ科植物及びウリ科植物、とりわけナス科植物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0044】
1.アミノ酸含有ナノ粒子の製造(その1)
塩基性アミノ酸(アルギニン、ヒスチジン、リジン)、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)及び中性アミノ酸(アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、シスチン、メチオニン、グルタミン、アスパラギン、プロリン)を用いて、各アミノ酸を含有するシアノアクリレートポリマー粒子を製造した。
【0045】
(1) Dex70-Amino acid合成系(製造例1)
10mLの0.01N HClに20mgのアミノ酸と100mgのデキストラン70Kを溶解し、その液性pHを要時1N塩酸を用いてpH=2に調整した。ただし、CysとMetについては、0.001N HCl溶液を使用し、pH=3に調整した。
【0046】
(2) Amino acid単独合成系(製造例2)
10 mLの0.001N HClに、100mgのアミノ酸を溶解して、その液性pHを要時1N塩酸を用いてpH=3に調整した。
【0047】
(1)(2)の各溶液を撹拌下、100μLのnBCAを加え、3時間撹拌し重合反応を実施した。1N NaOHを滴下して反応溶液を中和後(pH7.8)、さらに30分撹拌した。Centriprep(YM-10)フィルター(MILLIPORE社)を用いて反応溶液を3500rpm/15min遠心濾過した。フィルターを通過しなかった液に蒸留水を加えて再度遠心濾過することにより、重合粒子を洗浄した。この遠心洗浄操作を合計4回行ない、各種アミノ酸を含有する粒子を得た。
【0048】
市販のゼータサイザー(Malvern Inst.UK社製)を用いて粒子の平均粒径及びゼータ電位を測定した。製造例1(Dex70-Amino acid合成系)の粒子の測定結果を表2に、製造例2(Amino acid単独合成系)の粒子の測定結果を表3に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
2.アミノ酸含有ナノ粒子の製造(その2)
10mLの0.01N HClに20mgのアミノ酸(グリシン、アルギニン、アスパラギン酸、アラニン)と100mgのデキストラン60Kを溶解し、その液性pHを要時1N塩酸を用いてpH=2に調整した。この溶液を撹拌下、100μLのnBCAを加え、3時間撹拌し重合反応を実施した。1N NaOHを滴下して反応溶液を中和後(pH7.8)、さらに30分撹拌した。Centriprep(YM-10)フィルター(MILLIPORE社)を用いて反応溶液を3500rpm/15min遠心濾過した。フィルターを通過しなかった液に蒸留水を加えて再度遠心濾過することにより、重合粒子を洗浄した。この遠心洗浄操作を合計4回行ない、各種アミノ酸を含有する粒子を得た。市販のゼータサイザー(Malvern Inst.UK社製)を用いて粒子の平均粒径及びゼータ電位を測定した結果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】
3.農作物病原菌に対する抗菌活性(測定条件の検討)
[使用菌株]
(1) トマトかいよう病菌
Clavibacter michiganensis subsp.michiganensis(圃場分離株KNOB16、KNOB23)
(2) ナス青枯病菌
Ralstonia solanacearum(圃場分離株KNOB38、KNOB39)
【0054】
[培養培地]
ハートインフュージョン(HI)培地(日水製薬)
PSA培地(脇本処方:ジャガイモ300gの煎汁1リットル、ペプトン 5g、スクロース 20g、Na
2HPO
4・12H
2O 2g、Ca(NO
3)
2・4H
2O 0.5g、寒天15〜20g、pH6.8〜7.0)
【0055】
[使用抗菌薬]
アンピシリン(ABPC)、ストレプトマイシン(ST)、カスガマイシン(KAS)、エタノール、グリシン含有ナノ粒子(D60Gly)
【0056】
[方法]
(1) 凍結保存4菌株をハートインフュージョン培地とPSA培地に塗布。
(2) 25℃で48時間培養。
(3) 抗菌活性は微量液体希釈法に準拠し最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。液体培地は寒天をのぞいたHI培地とした。PSA液体培地は経時的にデンプン析出沈殿する為、試験前に遠心分離(3000rpm×10分)して上澄み液を用いた。液体培地に上記抗菌薬を各種濃度で添加し、これに(2)の培養後の菌株を接種、24時間後と48時間後に結果判定を行なった。試験回数は3回(n=3)。
【0057】
[結果]
トマトかいよう病菌(KNOB16、KNOB23)及びナス青枯病菌(KNOB38、KNOB39)に対するMICを下記表5に示す。ナス青枯病菌(KNOB38、KNOB39)はPSA培地では発育しなかった。
【0058】
【表5】
【0059】
[考察]
トマトかいよう病菌に対するナノ粒子の抗菌力は、農作物の各種病菌に対し消毒薬として用いられているKASと同等ないしより強く、エタノールと同等であった。ナス青枯病菌に対するナノ粒子の抗菌力は、KASより4倍弱めの結果が得られた。アルコールはKASやナノ粒子より抗菌力が強かった。
液体培地はPSA培地では沈殿が生じて判定が不明瞭になり、HI培地が適当である。MIC判定培養時間は24時間でも判定可能であった。故に、培養条件は寒天培地で48時間培養後、被験薬添加24時間後にMICを判定する方法が適当である。
【0060】
4.農作物病原菌に対する抗菌活性(各種アミノ酸含有粒子の抗菌活性)
上記で製造したGly、Arg、Asp、Alaを含有する各ナノ粒子の抗菌活性を調べた。供試細菌として、表6中に示す圃場分離株並びにトマトかいよう病菌標準株(JCM1370、JCM1373)及びインゲンマメ萎ちょう細菌病菌Curtobacterium flaccumfaciens pv. flaccumfaciens標準株(JCM1347)を用いた。HI培地で48時間培養後、被験薬を添加し、添加から24時間後にMIC判定を行なった。
【0061】
【表6】
【0062】
Gly以外の他のアミノ酸についても、アミノ酸含有ナノ粒子が植物病原菌に対して抗菌活性を発揮できることが確認された。
【0063】
5.アミノ酸含有ナノ粒子の毒性試験
マウス20g−24g体重に対し、上記で製造したアミノ酸含有ナノ粒子10mgを尾静脈中投与、腹腔内投与又は皮下投与、50mgを経口投与、さらに皮膚塗布試験を行なったところ、体重変化及び大小排泄、行動異常は観察されなかった。