(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオレフィン中に含まれるソルビトール系化合物を定量分析する方法において、ポリオレフィン試料を、一種又は二種以上のSP値が8〜11、比誘電率(20℃)が7〜30および沸点が100℃以下の分子中にフラン環構造を有する溶媒(A)を含む抽出溶媒に含浸させ、抽出溶媒の温度が40〜70℃の範囲で超音波溶媒抽出する操作を含むことを特徴とするソルビトール系化合物を定量分析する方法。
ポリオレフィン中に含まれるソルビトール系化合物を定量分析する方法において、ポリオレフィン試料を、一種又は二種以上のSP値が8〜11、比誘電率が7〜30および沸点が100℃以下の分子中にフラン環構造を有する溶媒(A)と、クロロホルムおよび/又は一種又は二種以上の比誘電率が7〜30および沸点が100℃以下のアルコール(溶媒(C))含む抽出溶媒に含浸させ、抽出溶媒の温度が40〜70℃の範囲で超音波溶媒抽出する操作を含むことを特徴とするソルビトール系化合物を定量分析する方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
溶媒抽出法によって定量分析する方法は、一般的に、以下のような操作により行なわれる。
(1)試料を、フィルム状又はパウダー状にする。(試料作製操作)
(2)(1)で作製した試料から定量する対象物質を抽出、分離して、抽出試料を得る。(抽出操作)
(3)(2)で得られた抽出試料から対象物質を定量的に検出する。(定量操作)
本発明の方法は、ポリオレフィン中に含まれるソルビトール系化合物を定量分析する方法において、ポリオレフィン試料を、特定の溶媒を含む抽出溶媒に含浸させ、抽出溶媒の温度が40〜70℃の範囲で超音波溶媒抽出する操作を含むことを特徴とする。以下、本発明のポリオレフィン中に含まれるソルビトール系化合物を定量分析する方法について、操作毎に、詳細に説明する。
【0012】
(1)試料作製操作
まず、試料を作製する操作(試料作製操作)を行うことができる。
試料の形状はフィルム状またはパウダー状であることが好ましい。試料を熱プレス等して、フィルムにすることができる。より表面積を大きくするために、フィルムを細かく切断してもよい。フィルムの厚みは、抽出効率がより向上するため、100μm以下とすることが好ましい。
プレス温度は、試料の融点、試料の劣化や添加剤の分解などを考慮して定めることができる。例えば試料がポリプロピレンの場合、プレス温度は、190〜250℃程度が好ましい。プレス圧力は、低すぎるとフィルムの厚みが十分に薄くならず、高すぎるとプレス装置が故障する原因となることから、例えば試料がポリプロピレンの場合、プレス圧は、5〜20MPa程度が好ましい。プレス時間は、短すぎると試料が十分に溶融しないためフィルムの厚みが十分に薄くならず、長すぎると試料の劣化や添加剤の分解が生じる原因となることから、例えば試料がポリプロピレンの場合、プレス時間は、30〜300秒程度が好ましい。
試料を凍結粉砕等して、パウダー状にすることができる。ペレット等の状態から直接粉砕することもできるし、フィルム又は切断されたフィルムの状態から粉砕することもできる。パウダーの粒径は、抽出効率がより向上するため、1mm以下とすることが好ましく、粒径100μm以下とすることがより好ましい。
【0013】
(2)抽出操作
次に、試料から定量する対象物質を抽出、分離して、抽出試料を得る、抽出操作を行うことができる。
試料には(1)試料作製操作で作製した試料を用いることができる。
本発明においては、抽出操作は、以下の通りの手順で行うことが好ましい。試料を抽出溶媒と共にフラスコ等の容器に入れ、超音波抽出器に固定する。この状態で超音波抽出し、濾紙等を用いて濾別し、抽出液をナスフラスコ等の容器へ回収する。抽出液から抽出溶媒をエバポレーター等で完全に除去して、抽出試料を得る。
【0014】
ポリオレフィンからソルビトール系化合物を高い抽出率で抽出するには、本発明者らは、ポリオレフィンを好ましい状態に膨潤させる必要があると考えた。そして、溶解度パラメーター(SP値)に着目して詳細に検討した結果、抽出溶媒のSP値を所定の範囲にすることで、好ましい膨潤状態にすることができ、ソルビトール系化合物の抽出を促進できることが判明した。本発明に用いる抽出溶媒は、SP値が、ポリオレフィンのSP値(=7.7〜9.1)に近いことが好ましい。それには、本発明に用いる抽出溶媒は、SP値が8〜11が好ましく、8〜9.5の溶媒がより好ましい
SP値は、POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION (ISBN 0−471−16628−6)に記載の方法に準じて求めることができる。
【0015】
ソルビトール系化合物を高い抽出率で抽出するには、本発明者らは、分子間の水素結合によるネットワーク構造の形成を阻害する必要があると考えた。そして、抽出溶媒の極性に着目して詳細に検討した結果、比誘電率を所定の範囲にすることで、ネットワーク構造の形成を阻害できることが判明した。本発明に用いる抽出溶媒は、比誘電率が7〜30の溶媒が好ましい。
比誘電率は、化学便覧 基礎編 改5版(ISBN 4−621−07341−9 C3543)に記載の方法に準じて求めることができる。
【0016】
本発明に用いる抽出溶媒は、沸点が、100℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。
【0017】
本発明に用いる抽出溶媒は、上述のSP値、比誘電率および沸点を同時に満足する溶媒(A)を用いることができる。溶媒(A)は、一種でも二種以上の併用であってもよい。
また、本発明に用いる抽出溶媒は、上述の比誘電率を満足するしないにかかわらず、上述のSP値および沸点を同時に満足する溶媒(B)と、上述のSP値を満足するしないにかかわらず、上述の比誘電率および沸点を同時に満足する溶媒(C)との混合溶媒を用いることができる。溶媒(B)、一種でも二種以上の併用であってもよい。溶媒(C)、一種でも二種以上の併用であってもよい。
さらに、本発明に用いる抽出溶媒は、上述のSP値、比誘電率および沸点を同時に満足する溶媒(A)と、上述の比誘電率を満足するしないにかかわらず、上述のSP値および沸点を同時に満足する溶媒(B)および/または上述のSP値を満足するしないにかかわらず、上述の比誘電率および沸点を同時に満足する溶媒(C)との混合溶媒を用いることができる。溶媒(A)は、一種でも二種以上の併用であってもよい。溶媒(B)および/または溶媒(C)、一種でも二種以上の併用であってもよい。
【0018】
本発明に用いる抽出溶媒は、第一の態様として、SP値が8〜11、比誘電率が7〜30および沸点が100℃以下の溶媒(A)を含む抽出溶媒、第二の態様として、SP値が8〜11および沸点が100℃以下の溶媒(B)と、比誘電率が7〜30および沸点が100℃以下の溶媒(C)とを含む抽出溶媒、または、第三の態様として、SP値が8〜11、比誘電率が7〜30および沸点が100℃以下の溶媒(A)と、SP値が8〜11および沸点が100℃以下の溶媒(B)および/又は比誘電率が7〜30および沸点が100℃以下の溶媒(C)含む抽出溶媒であることが好ましい。
【0019】
本発明に用いる抽出溶媒としては、分子中にフラン環構造を有する溶媒、クロロホルムとアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。分子中にフラン環構造を有する溶媒は上述の溶媒(A)、クロロホルムは上述の溶媒(B)、アルコールは上述の溶媒(C)の代表例でもあり、好ましい。
【0020】
分子中にフラン環構造を有する溶媒としては、テトラヒドロフラン、2,5−ジメチルフラン、ベンゾフラン、ジベンゾフランなどが挙げられる。テトラヒドロフランが好ましい。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブタノールなどが挙げられる。1−プロパノール、エタノール、メタノールが好ましく、特に1−プロパノールが好適である。
【0021】
第二の態様において、アルコール等の溶媒(C)の使用量は、クロロホルム等の溶媒(B)の容積に対して0.3〜0.7倍が好ましく、0.4〜0.6倍がより好ましい。
第三の態様において、クロロホルム等の溶媒(B)の使用量は、テトラフドロフラン等の溶媒(A)の容積に対して0.1〜0.9倍が好ましく、0.2〜0.8がより好ましい。アルコール等の溶媒(C)の使用量は、テトラフドロフラン等の溶媒(A)の容積に対して0.1〜0.9倍が好ましく、0.2〜0.8がより好ましい。
【0022】
本発明の抽出操作は、抽出溶媒の温度が40〜70℃の範囲であることが好ましく、50〜65℃の範囲であることがより好ましい。抽出溶媒の温度を上述の範囲のうちの上限値以下とすることで、試料を全溶解させることなく、ソルビトール系化合物を選択的に抽出することができる。すなわち、ポリオレフィンとソルビトール系化合物を分離する追加の作業の必要がなく、効率的にソルビトール系化合物を重合体から抽出、分離することが可能となる。抽出溶媒の温度を上述の範囲のうちの下限値以上とすることで、溶媒への試料の膨潤が進行して、抽出率をより高くできる。
【0023】
本発明の抽出操作は、超音波抽出法によることが好ましい。超音波を当てながら溶媒抽出することで、高い抽出率を短時間で達成することが可能となるので、効率的である。
【0024】
時間が短すぎると、ソルビトール系化合物を全量抽出することができず、長すぎるとソルビトール系化合物が分解し、定量値が低くなる原因となる。抽出時間は60〜120分が好ましい。
試料の絶対量が少なすぎると、抽出されるソルビトール系化合物の濃度が薄く、分析装置の定量限界未満となり、定量性に欠ける恐れがある。また、試料の量が相対的に多すぎたり、抽出溶媒の量が相対的に少なすぎたりすると、抽出溶媒に試料フィルムが十分浸漬せず、抽出率が低くなる恐れがある。また、抽出溶媒の絶対量が多すぎると、抽出後の溶媒除去の時間が長く、効率が悪くなる恐れがある。そこで、試料の量は0.5〜3gが好ましく、抽出溶媒の量は30〜100mlが好ましい。
【0025】
(3)定量操作
そして、抽出試料を用いてソルビトール系化合物を定量的に検出する、定量操作を行うことができる。検出方法は、特に限定されないが、GC、GC−MS、LC、LC−MSまたはNMRの分析機器を用いる方法が好ましい。
【0026】
本発明の方法の対象になる樹脂成分は、ポリオレフィンである。試料であるポリオレフィンとしては、ポリオレフィンであれば特に限定されないが、結晶性を持つポリオレフィンであることが好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体の混合物であるブロックポリプロピレン、これらの混合物などが挙げられる。
【0027】
本発明の方法の分析対象となる成分は、ソルビトール系化合物である。ソルビトール系化合物としては、ベンジリデンソルビトール骨格「DBS」を有する化合物であることが、好ましい。ソルビトール系化合物としては、例えば、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール(ミリケン・ジャパン社製、商品名Millad 3988)、ノニトール,1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−o−[(4−プロピルフェニル)メチレン](ミリケン・ジャパン社製、商品名Millad NX8000)、1,3,2,4−ジ−(p−エチルベンジリデン)ソルビトール(三井化学ファイン社製 商品名NC−4)、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール(APIコーポレーション社製 商品名EC−1)、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール−ジベンジリデンソルビトール(新日本理化社製 商品名ゲルオールD)、1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール(新日本理化社製 商品名ゲルオールMD)などが挙げられる。
【0028】
本発明の方法においては、上記のような試料であっても、極めて精密に、効率よくソルビトール系化合物を定量分析することができる。
【0029】
本発明のポリオレフィン中に含まれるソルビトール系化合物を定量分析する方法は、上記の特徴を有しているために、ポリオレフィン樹脂の品質管理の方法、ポリオレフィン樹脂の製造方法等に応用することができる。
【0030】
ポリオレフィン樹脂の品質管理の方法の一例として、ポリオレフィン中に配合するソルビトール系化合物の量の規格値と、前記の方法によって求まるソルビトール系化合物の量の分析値とを比較するステップと、当該ポリオレフィンを販売するか否かを決定するステップとを含む品質管理方法が挙げられる。
ソルビトール系化合物は、ポリオレフィンに対して、造核剤として作用することがあり、ポリオレフィン樹脂の透明性、剛性等の物性を改質する添加剤として利用されることが多い。物性の改質幅は添加量に依存するので、所望の改質幅が安定的に得られるように、添加量が規格値化されるのが一般的である。
【0031】
本発明の品質管理方法において、規格値とは、例えば、所望の改質幅が安定的に得られるように予め実験的、人為的に定められる値であり、ピンポイントの数値であっても、上限値および/または下限値を有する数値範囲であってもよい。当該規格値とポリオレフィン樹脂の代表サンプルについて前記の方法によって求まるソルビトール系化合物の量の分析値とを比較するステップを設けることにより、試料中のソルビトール系化合物の量が規格値を満たしているかどうかを判定することができる。比較の際にはバイアスを設けてもよい。規格値を満たしていないと判定される場合、所望の改質幅が安定的に得られないと判断して、当該ポリオレフィン樹脂を販売しないと判断することができ、規格値を満たしていると判定される場合、所望の改質幅が安定的に得られると判断して、当該ポリオレフィン樹脂を販売すると判断することができる。ポリオレフィン樹脂の代表サンプルは、分析値が、統計的に代表値となるようにサンプリングすることが好ましい。
【0032】
ポリオレフィン樹脂の製造方法の一例として、ポリオレフィン中に配合するソルビトール系化合物の量の規格値と、前記の方法によって求まるソルビトール系化合物の量の分析値との差を求めるステップと、前記差の大小に応じて配合するソルビトール系化合物の使用量を調整するフィードバックのステップを含む製造方法が挙げられる。
【0033】
本発明の製造方法において、規格値とは、例えば、所望の改質幅が安定的に得られるように予め実験的、人為的に定められる値であり、ピンポイントの数値であっても、上限値および/または下限値を有する数値範囲であってもよい。当該規格値とポリオレフィン樹脂の代表サンプルについて前記の方法によって求まるソルビトール系化合物の量の分析値との差を求めるステップを設けることにより、試料中のソルビトール系化合物の量が規格値を満たしているかどうかを判定することができる。差を求める際にはバイアスを設けてもよい。規格値を満たしていないと判定される場合、フィードバックによって前記差の大小に応じて配合するソルビトール系化合物の使用量を調整することができる。ポリオレフィン樹脂の代表サンプルは、分析値が、統計的に代表値となるようにサンプリングすることが好ましい。本発明の製造方法において、差は、比であってもよく、算式であってもよい。
【実施例】
【0034】
以下の実施例と比較例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0035】
以下に、実験に用いた試料、溶媒、分析条件を記載する。溶媒のSP値 (cal/cm
3)
1/2はPOLYMER HANDBOOK 4th(ISBN 0−471−16628−6)に記載されている値、比誘電率(20℃)および沸点は、CRC HANDBOOK OF CHEMISTRY and PHYSICS 88th(IBSN−0−849−0488−1)またはCRC CHEMISTRY and PHYSICS 73rd(IBSN−0−8493−0473−3)または化学便覧 基礎編 改5版(ISBN 4−621-07341−9 C3543)に掲載されている値を用いた。
【0036】
(1)試料
試料1:ソルビトール化合物Aを0.16重量%添加したポリプロピレン
試料2:ソルビトール化合物Bを0.45重量%添加したポリプロピレン
ソルビトール化合物A:1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール
ソルビトール化合物B:ノニトール,1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−o−[(4−プロピルフェニル)メチレン]
【0037】
(2)抽出溶媒
溶媒1:テトラヒドロフラン
テトラヒドロフラン:SP値9.1、比誘電率7.6、沸点65℃
溶媒2:クロロホルム/1−プロパノール=2/1(体積比)の混合溶媒
クロロホルム:SP値9.3、比誘電率4.81、沸点61.1℃
1−プロパノール:SP値11.9、比誘電率20.8、沸点97.2℃
溶媒3:クロロホルム/2−プロパノール=2/1(体積比)の混合溶媒
クロロホルム:SP値9.3、比誘電率4.81、沸点61.1℃
2−プロパノール:SP値11.5、比誘電率20.18、沸点82.3℃
溶媒4:クロロホルム/エタノール=2/1(体積比)の混合溶媒
クロロホルム:SP値9.3、比誘電率4.81、沸点61.1℃
エタノール:SP値12.7、比誘電率25.3、沸点78.2℃
【0038】
溶媒5:酢酸エチル
酢酸エチル:SP値9.1、比誘電率6.08、沸点77.1℃
溶媒6:1−プロパノール
1−プロパノール:SP値11.9、比誘電率20.8、沸点97.2℃
溶媒7:N,N−ジメチルホルムアミド
N,N−ジメチルホルムアミド:SP値12.1、比誘電率38.25、沸点153℃
溶媒8:クロロホルム
クロロホルム:SP値9.3、比誘電率4.81、沸点61.1℃
溶媒9:クロロホルム/メタノール=2/1(体積比)の混合溶媒
クロロホルム:SP値9.3、比誘電率4.81、沸点61.1℃
メタノール:SP値14.5、比誘電率33.0、沸点64.6℃
【0039】
(3)分析条件
ソルビトール化合物を超音波溶媒抽出した抽出試料に10mlのクロロホルムを加えて試料溶液を調製する。0.2μmのシリンジフィルターで試料溶液を濾過し、表1のガスクロマトグラフィーの条件で測定し定量する。
【0040】
【表1】
【0041】
[実施例1] ソルビトール化合物Aを0.16重量%添加したポリプロピレン(試料1)を、熱プレスを用いて、厚さが約80μmのフィルムとした。このフィルム1gを50mlの溶媒1と共に三角フラスコに採取し、湯浴が60℃に設定された超音波抽出器に固定した。抽出溶媒の温度は60℃であった。この状態で超音波抽出を1時間30分行った後、#5濾紙を用いて濾過し抽出液をナスフラスコへ回収する。抽出液の溶媒をエバポレーターで完全に除去し、ナスフラスコへ10mlのクロロホルムを加え、試料溶液とした。
15mgのソルビトール化合物Aをクロロホルム100mlに溶解したものを標準液とした。試料溶液と標準液をそれぞれガスクロマトグラフィーで測定し、試料溶液のクロマトグラムのソルビトール化合物Aに帰属されるピークの面積と標準液のクロマトグラムのソルビトール化合物Aのピークの面積とを用いて定量した。
[実施例2] 試料には試料1を、抽出溶媒には溶媒2を用い、実施例1と同様の条件でソルビトール化合物Aを抽出し、測定と定量をした。
【0042】
[実施例3] 試料にはソルビトール化合物Bを0.45重量%添加しポリプロピレン(試料2)を、抽出溶媒には溶媒1を、標準液には15mgのソルビトール化合物Bをクロロホルム100mlに溶解したもの用いた。その他の条件は実施例1と同様とし、ソルビトール化合物Bの抽出、測定と定量をした。
[実施例4] 試料には試料2を、抽出溶媒には溶媒2を用い、実施例3と同様の条件でソルビトール化合物Bを抽出し、測定と定量をした。
[実施例5] 試料には試料2を、抽出溶媒には溶媒3を用い、実施例3と同様の条件でソルビトール化合物Bを抽出し、測定と定量をした。
[実施例6] 試料には試料2を、抽出溶媒には溶媒4を用い、実施例3と同様の条件でソルビトール化合物Bを抽出し、測定と定量をした。
【0043】
[比較例1] 試料には試料2を、抽出溶媒には溶媒5を用い、実施例3と同様の条件でソルビトール化合物Bを抽出し、測定と定量をした。
[比較例2] 試料には試料2を、抽出溶媒には溶媒6を用い、実施例3と同様の条件でソルビトール化合物Bを抽出し、測定と定量をした。
[比較例3] 試料には試料1を、抽出溶媒には溶媒7を用い、実施例1と同様の条件でソルビトール化合物Aを抽出し、測定と定量をした。
[比較例4] 試料には試料1を、抽出溶媒には溶媒8を用い、実施例1と同様の条件でソルビトール化合物Aを抽出し、測定と定量をした。
[比較例5] 試料には試料1を、抽出溶媒には溶媒9を用い、実施例1と同様の条件でソルビトール化合物Aを抽出し、測定と定量をした。
[比較例6] 試料には試料1を、抽出溶媒には溶媒1を用い、超音波を当てず実験をした。その他は実施例1と同様の条件でソルビトール化合物Aを抽出し、測定と定量をした。
[比較例7] 試料には試料1を、抽出溶媒には溶媒1を用い、抽出温度を30℃とした。その他は実施例1と同様の条件でソルビトール化合物Aを抽出し、測定と定量をした。
【0044】
各試料のソルビトール化合物Aまたソルビトール化合物Bの定量値は表2のとおりである。
【0045】
【表2】
【0046】
表2から、明らかなように、本発明の方法による抽出溶媒を用いると、85%以上という高い抽出率が得られる。一方、本発明の方法によらない抽出溶媒の場合には、抽出率は高々80%強にしかならない。本発明の有用性が確認できた。