特許第6192568号(P6192568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192568
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20170828BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H01R12/71
   H01R13/631
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-32263(P2014-32263)
(22)【出願日】2014年2月21日
(65)【公開番号】特開2015-158991(P2015-158991A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105338
【氏名又は名称】ケル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 崇史
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−231961(JP,A)
【文献】 特開平04−061767(JP,A)
【文献】 特開2003−317831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
H01R 13/631
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に固定される固定ハウジングと、
前記固定ハウジングに並んで設けられ、基端側に前記基板に接続される接合部を有する複数のコンタクト部材と
前記複数のコンタクト部材の先端側に取り付けられ、相手コネクタと嵌合する嵌合部を有する可動ハウジングとを備え
前記コンタクト部材の弾性変形により、前記可動ハウジングが前記固定ハウジングに対して相対移動可能に構成されたコネクタにおいて
前記複数のコンタクト部材は、先端部において上下に並ぶとともに中間部において下方に折れ曲がって前後方向に2列となって左右方向に並んで設けられ、前方側のコンタクト部材の接合部が前記固定ハウジングの前方側に延びて配設され、後方側のコンタクト部材の接合部が前記固定ハウジングの後方側に延びて配設され、
前記可動ハウジングは、前記嵌合部が前方に延びて設けられ、前記嵌合部の下壁部に左右に延びて形成された切り欠き部を有し、この切り欠き部により前記前方側のコンタクト部材の接合部を前方斜め上方から視認可能に構成され、
前記固定ハウジングおよび前記可動ハウジングはそれぞれ後方側が開口し、この開口により前記後方側のコンタクト部材の接合部を後方から視認可能に構成されたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記2列のコンタクト部材の前後間隔を保つための接触規制突起部が前記固定ハウジングに設けられたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング部材とコンタクト部材とを有して構成され、基板に接合された状態で基板に沿う方向に相手コネクタが嵌合する横向きタイプのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
このような横向きタイプのコネクタのハウジング部材は、基板に接合されるベース部と、基板に沿う方向に延びて形成され、先端側が開放されてこの先端側から相手コネクタを受容する嵌合凹部を備えた嵌合部とから構成される。また、コンタクト部材は、先端側の接触部が嵌合部に露出して取り付けられ、基端側の接合部がベース部に取り付けられる。
【0003】
この横向きタイプのコネクタの一例として、特許文献1に開示されたフローティング型コネクタが知られている。この特許文献1に開示されたレセプタクルコネクタ1(フローティング型コネクタ)は、基板に接合される固定側ハウジング10(ベース部)と、相手コネクタと嵌合接続する可動側ハウジング20(嵌合部)とにレセプタクル側コンタクト30(コンタクト部材)を取り付けて構成される。なお、このレセプタクルコネクタ1は、相手コネクタと嵌合する嵌合部(嵌合凹部)が可動側ハウジング20に前方に向けて開放されて形成され、一方、レセプタクル側コンタクト30の接合部が嵌合部とは反対に後方に引き出されて構成される。
【0004】
このような横向きタイプのコネクタは、コンタクト部材の接合部を基板の配線パターン上に載置させた状態で表面実装されて基板に接合される。この表面実装の際に短絡等の実装不良が発生することがあるため、表面実装後に接合部の目視検査が行われる。そして、目視検査において実装不良と判断された部分(接合部)は、半田ごてを用いて手作業で半田接続の修正が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−164525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、横向きタイプのコネクタには、嵌合部に前方に向けて開放された嵌合凹部が形成され、一方で、コンタクト部材の接合部がベース部から前方に引き出されて構成されるものも存在する。この構成のコネクタにおいては、コンタクト部材の接合部の上方に嵌合部(嵌合凹部を形成する壁部)が位置するので、嵌合凹部を形成する壁部が邪魔になって表面実装後の接合部の目視検査や半田ごてを用いた修正がしづらいという課題があった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、嵌合凹部を形成する壁部の下方に位置する接合部の目視検査等が行い易いコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るコネクタ(例えば、実施形態におけるレセプタクルコネクタ1)は、基板(例えば、実施形態におけるレセプタクル側基板2)上に固定される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに並んで設けられ、基端側に前記基板に接続される接合部を有する複数のコンタクト部材(例えば、実施形態におけるレセプタクルコンタクト30)と、前記複数のコンタクト部材の先端側に取り付けられ、相手コネクタ(例えば、実施形態におけるプラグコネクタ100)と嵌合する嵌合部を有する可動ハウジングとを備え、前記コンタクト部材の弾性変形により、前記可動ハウジングが前記固定ハウジングに対して相対移動可能に構成される。その上で、前記複数のコンタクト部材は、先端部において上下に並ぶとともに中間部において下方に折れ曲がって前後方向に2列となって左右方向に並んで設けられ、前方側のコンタクト部材の接合部(例えば、実施形態における先端接合部41)が前記固定ハウジングの前方側に延びて配設され、後方側のコンタクト部材の接合部(例えば、実施形態における先端接合部31)が前記固定ハウジングの後方側に延びて配設される。そして、前記可動ハウジングは、前記嵌合部が前方に延びて設けられ、前記嵌合部の下壁部に左右に延びて形成された切り欠き部を有し、この切り欠き部により前記前方側のコンタクト部材の接合部を前方斜め上方から視認可能に構成され、前記固定ハウジングおよび前記可動ハウジングはそれぞれ後方側が開口し、この開口により前記後方側のコンタクト部材の接合部を後方から視認可能に構成される
【0009】
上記構成のコネクタにおいて、前記2列のコンタクト部材の前後間隔を保つための接触規制突起部が前記固定ハウジングに設けられることが好ましい
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るコネクタは、可動ハウジングの嵌合部の下壁部に左右に延びて形成された切り欠き部を有し、この切り欠き部により前方側のコンタクト部材の接合部を前方斜め上方から視認可能に構成される。このため、表面実装後に接合部の目視検査を行うとき、切り欠き部を通して接合部が見えやすくなるので、目視検査を行いやすくなる。また、半田ごてを用いて手作業で接合部の半田接続を修正するときも、切り欠き部を通して半田ごての先端部を接合部に容易に到達させることができるので、この修正作業が行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を適用した一例としてのレセプタクルコネクタとプラグコネクタとが嵌合した状態を示す斜視図である。
図2図1中のII−II部分を示す断面図である。
図3図1中のIII−III部分を示す断面図である。
図4図2に示す断面図を、矢印IV方向から見た状態を示す斜視図である。
図5図1中のV−V部分を示す断面図である。
図6図1中のVI−VI部分を示す断面図である。
図7】レセプタクルコネクタを構成する固定ハウジンを示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は右側面図である。
図8】レセプタクルコネクタを構成する可動ハウジングを示す図であって、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)は背面図、(d)は左側面図である。
図9】(a)はレセプタクルコンタクトを示す斜視図であって、(b)はプラグコンタクトを示す斜視図である。
図10】(a)はレセプタクル側固定金具の正面図であり、(b)はプラグ側固定金具の正面図である。
図11】プラグコネクタを構成するプラグハウジングを示す図であって、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)は背面図、(d)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1に、本発明の一実施形態に係るフローティング型コネクタであるレセプタクルコネクタ1と、相手方コネクタであるプラグコネクタ100とが嵌合した状態を示している。まず、このレセプタクルコネクタ1の構成について、図1図5および図7図10を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、各図中に付記する矢印方向で前後、左右および上下方向を定義して説明を行う。
【0013】
レセプタクルコネクタ1は、図1に示すように、所定の配線パターン(図示せず)が形成されたレセプタクル側基板2(図3参照)に固定される固定ハウジング10と、この固定ハウジング10の上側に配置された可動ハウジング20と、左右に並んで設けられた複数のレセプタクルコンタクト30と、固定ハウジング10の左右両端部に取り付けられたレセプタクル側固定金具50(図4および図5も参照)とを有して構成される。なお、図2および図3に示すように、レセプタクルコンタクト30は、形状の異なる2種類の上側コンタクト30aと、下側コンタクト30bとから構成される。
【0014】
図7(a)〜図7(d)に、固定ハウジング10を各方向から見た状態を示している。固定ハウジング10は、電気絶縁性を有する樹脂等を用いて、図7(b)に示すように正面視略コの字状に形状される。具体的には、固定ハウジング10は、略矩形平板状に形成されて左右に延びる固定側本体部11と、固定側本体部11の左右両端部において上方に向けて立設された左右一対の固定側移動規制部15,15と、固定側移動規制部15,15の左右内側において固定側移動規制部15,15よりも上方に突出して形成された左右一対の当接突起部16,16とを備えて構成される。なお、固定側移動規制部15と当接突起部16とにより、特許請求の範囲における「ベース部側移動規制部」が構成される。
【0015】
固定側本体部11は、図7(a)に示すように、後側縁部に上側コンタクト30aの各々が圧入される後側圧入溝12aが左右に並んで形成され、一方、前側縁部に下側コンタクト30bの各々が圧入される前側圧入溝12bが左右に並んで形成されている。固定側本体部11の上面には、上方に向けて突出する接触規制突起14が左右に延びて形成されている。
【0016】
この接触規制突起14の後側部分に、上方に盛り上がって左右に延びる後側盛上り部が形成され、この後側盛上り部に、後側圧入溝12aに対応して左右に並ぶ後側整列溝部13aが形成されている。上側コンタクト30aは、この後側整列溝部13a内に位置して、左右に整列された状態に保持される。一方、接触規制突起14の前側部分に、上方に盛り上がって左右に延びる前側盛上り部が形成され、この前側盛上り部に、前側圧入溝12bに対応して左右に並ぶ前側整列溝部13bが形成されている。下側コンタクト30bは、この前側整列溝部13b内に位置して、左右に整列された状態に保持される。
【0017】
固定側移動規制部15は、図7(d)に示すように、側面視略コの字状に形成されており、上方に向けて開放された受容空間15aを有する。この受容空間15aは、前側に位置する前側当接面15cと、後側に位置する後側当接面15dと、下側に位置する下側当接面15eとに囲まれて形成される。また、図7(a)〜図7(c)に示すように、固定側移動規制部15にはスリット状の金具挿入溝15bが形成されており、この金具挿入溝15bに対して上方からレセプタクル側固定金具50が圧入される。当接突起部16は、固定側本体部11と固定側移動規制部15との間における後側部分に、上方に突出して形成されており、前面側に当接面16aを備える。
【0018】
図8(a)〜図8(d)に、可動ハウジング20を各方向から見た状態を示している。可動ハウジング20は、電気絶縁性を有する樹脂等を用いて、図8に示すように略直方体に形状される。具体的には、可動ハウジング20は、略直方体に形成された可動側本体部21と、可動側本体部21の左右両端部から左右外側に突出して形成された左右一対の可動側移動規制部25,25とを備えて構成される。可動側本体部21は、上側コンタクト30aおよび下側コンタクト30bを保持するコンタクト保持部22と、このコンタクト保持部22の前部に設けられたレセプタクル側嵌合部23とを備えて構成される。
【0019】
コンタクト保持部22は、その前側部分に、上側コンタクト30aの圧入接触部37(図3参照)を圧入させて保持する上側圧入溝22aと、下側コンタクト30bの圧入接触部47(図3参照)を圧入させて保持する下側圧入溝22bとを備える(以下、上側圧入溝22aおよび下側圧入溝22bをまとめて「可動側圧入溝」と称する)。コンタクト保持部22は、その後側における左右両端部に当接面22c,22cを備える。
【0020】
レセプタクル側嵌合部23は、可動側圧入溝の周囲を囲むように形成されており、可動側圧入溝の上側に形成された上側壁部23Uと、可動側圧入溝の左側に形成された左側壁部23Lと、可動側圧入溝の右側に形成された右側壁部23Rと、可動側圧入溝の下側に形成された下側壁部23Dとから構成される。図8(b)から分かるように、下側壁部23Dは、その前側先端部に切り欠き部24を有しており、上側壁部23U、左側壁部23Lおよび右側壁部23Rよりも前後長さが短くなるように形成されている。
【0021】
可動側移動規制部25は、図8(a)および図8(d)に示すように、略直方体状に形成されており、前部に前側当接面25a、後部に後側当接面25b、下部に下側当接面25cを備える。この可動側移動規制部25には、上方に向けて開放されて前後に延びる金具受容凹部26が形成されている。この金具受容凹部26は、左右側方に位置する凹部側面26a,26aと、下側に位置する凹部底面26bとに囲まれて形成される。図5に示すように、可動側移動規制部25は、受容空間15aよりも小さな前後寸法を有して、固定ハウジング10の受容空間15aに上方から挿入可能に形成されている。
【0022】
レセプタクルコンタクト30を構成する上側コンタクト30aは、弾性を有する導電性金属板を針金状に打ち抜き加工した後、図9(a)に示すように所定の形状に曲げ成形されて構成される。この上側コンタクト30aは、前後に延びて形成されレセプタクル側基板2の配線パターンに半田接続される先端接合部31と、先端接合部31の前部を上方に折り曲げて形成され固定ハウジング10の後側圧入溝12aに圧入される固定側圧入部32と、可動ハウジング20の上側圧入溝22aに圧入される圧入接触部37と、固定側圧入部32および圧入接触部37を繋ぐ上側中間部38とから構成される。
【0023】
上側中間部38は、固定側圧入部32の上部を前方に折り曲げて形成された第1中間部33と、第1中間部33の前部を上方に折り曲げて形成された第2中間部34と、第2中間部34の上部を前方に折り曲げて形成された第3中間部35と、第3中間部35の前部を上方に折り曲げて形成された第4中間部36とを有して構成される。このように上側中間部38は、合計3つの折り曲げ部(第1中間部33と第2中間部34との間に形成された第1折り曲げ部33a、第2中間部34と第3中間部35との間に形成された第2折り曲げ部34a、および第3中間部35と第4中間部36との間に形成された第3折り曲げ部35a)を備える。
【0024】
レセプタクルコンタクト30を構成する下側コンタクト30bは、弾性を有する導電性金属板を針金状に打ち抜き加工した後、図9(a)に示すように所定の形状に曲げ成形されて構成される。この下側コンタクト30bは、前後に延びて形成されてレセプタクル側基板2の配線パターンに半田接続される先端接合部41と、先端接合部41の後部を上方に折り曲げて形成され固定ハウジング10の前側圧入溝12bに圧入される固定側圧入部42と、可動ハウジング20の下側圧入溝22bに圧入される圧入接触部47と、固定側圧入部42および圧入接触部47を繋ぐ下側中間部48とから構成される。
【0025】
下側中間部48は、固定側圧入部42の上部を後方に折り曲げて形成された第1中間部43と、第1中間部43の後部を上方に折り曲げて形成された第2中間部44と、第2中間部44の上部を前方に折り曲げて形成された第3中間部45と、第3中間部45の前部を上方に折り曲げて形成された第4中間部46とを有して構成される。このように下側中間部48は、合計3つの折り曲げ部(第1中間部43と第2中間部44との間に形成された第1折り曲げ部43a、第2中間部44と第3中間部45との間に形成された第2折り曲げ部44a、および第3中間部45と第4中間部46との間に形成された第3折り曲げ部45a)を備える。
【0026】
レセプタクル側固定金具50は、金属板を図10(a)に示すような略コの字状に打ち抜き加工して形成される。レセプタクル側固定金具50は、レセプタクル側基板2に形成された固定用パターンに半田接続される接合部51,51と、接合部51,51から上方に延びて固定ハウジング10の金具挿入溝15bに圧入される圧入部52,52と、前後に延びて形成されて圧入部52,52を繋ぐ中間部53とを備えて構成される。なお、可動ハウジング20の金具受容凹部26の左右幅は、レセプタクル側固定金具50の厚みよりも大きくなるように形成されている。
【0027】
次に、このレセプタクルコネクタ1の嵌合相手であるプラグコネクタ100の構成について、図6および図11を追加参照して説明する。
【0028】
プラグコネクタ100は、図1および図2に示すように、所定の配線パターン(図示せず)が形成されたプラグ側基板102(図3参照)に固定されるプラグハウジング110と、プラグハウジング110内に左右に並んで設けられた複数のプラグコンタクト130と、プラグハウジング110の左右両端部に取り付けられたプラグ側固定金具150(図4および図6も参照)とを有して構成される。なお、図2および図3に示すように、プラグコンタクト120は、形状の異なる2種類の上側コンタクト130aと、下側コンタクト130bとから構成される。
【0029】
図11(a)〜図11(d)に、プラグハウジング110を各方向から見た状態を示している。プラグハウジング110は、電気絶縁性を有する樹脂等を用いて、図11に示すように略直方体に形状される。具体的には、プラグハウジング110は、略直方体に形成されたハウジング本体部111と、ハウジング本体111の左右両端部から左右外側に突出して形成された左右一対の固定金具取付部115,115とを備えて構成される。ハウジング本体部111は、後方に突出して形成され、可動ハウジング20のレセプタクル側嵌合部23内に挿入されて嵌合されるプラグ側嵌合部112と、前部において上下に延びて形成され上側コンタクト130aおよび下側コンタクト130bが圧入される前側圧入溝113aと、下部において前後に延びて形成され下側コンタクト130bが挿入される後側挿入部113bとを有する(図3も参照)。
【0030】
プラグ側嵌合部112は内部に受容空間を有し、この受容空間内に、レセプタクルコネクタ1の圧入接触部37,47を前後に受容可能に構成される(図3も参照)。プラグ側嵌合部112の内側上壁面に、前後に延びて形成されて上側コンタクト130aが圧入される上側圧入溝112aが形成され、内側下壁面に前後に延びて形成されて下側コンタクト130bが圧入される下側圧入溝112bが形成されている。ハウジング本体111(プラグ側嵌合部112)の上部前端に、上側コンタクト130a(中間部132)よりも後方に突出するコンタクト保護用庇部114が設けられている(図3も参照)。固定金具取付部115,115には、スリット状の金具取付溝115aが形成されている。
【0031】
プラグコンタクト130を構成する上側コンタクト130aは、弾性を有する導電性金属板を針金状に打ち抜き加工した後、図9(b)に示すように所定の形状に曲げ成形されて構成される。この上側コンタクト130aは、前後に延びて形成されプラグ側基板102の配線パターンに半田接続される先端接合部131と、先端接合部131の後部を上方に折り曲げて形成されプラグハウジング110の前側圧入溝113aに圧入される中間部132と、中間部132の上部を後方に折り曲げて形成されプラグハウジング110の上側圧入溝112aに圧入される圧入部133と、圧入部133の後部を斜め下方に折り曲げて上下に弾性変形可能に形成された接触部134とから構成される。
【0032】
プラグコンタクト130を構成する下側コンタクト130bは、弾性を有する導電性金属板を針金状に打ち抜き加工した後、図9(b)に示すように所定の形状に曲げ成形されて構成される。この下側コンタクト130bは、前後に延びて形成されプラグ側基板102の配線パターンに半田接続される先端接合部141と、先端接合部141の前部を上方に折り曲げて形成されプラグハウジング110の前側圧入溝113aに圧入される中間部142と、中間部142の上部を後方に折り曲げて形成されプラグハウジング110の下側圧入溝112bに圧入される圧入部143と、圧入部143の後部を斜め上方に折り曲げて上下に弾性変形可能に形成された接触部144とから構成される。
【0033】
プラグ側固定金具150は、金属板を図10(b)に示すような略コの字状に打ち抜き加工して形成される。プラグ側固定金具150は、プラグ側基板102の固定用パターンに半田接続される接合部151,151と、接合部151,151から上方に延びてプラグハウジング110の金具取付溝115aに圧入される圧入部152,152と、前後に延びて形成されて圧入部152,152を繋ぐ中間部153とを備えて構成される。
【0034】
次に、レセプタクルコネクタ1の組立構成について説明する。
【0035】
まず、上側コンタクト30aおよび下側コンタクト30bそれぞれを、可動ハウジング20に圧入して保持させる。具体的には、図3に示すように、可動ハウジン20の下側圧入溝22bに対して、後方から下側コンタクト30bの圧入接触部47を圧入する。同様に、可動ハウジン20の上側圧入溝22aに対して、後方から上側コンタクト30aの圧入接触部37を圧入する。
【0036】
次に、可動ハウジング20に保持された上側コンタクト30aおよび下側コンタクト30bを、固定ハウジング10に圧入して保持させる。具体的には、固定ハウジング10の受容空間15a,15aに、上方から可動ハウジング20の可動側移動規制部25,25を挿入して受容させるとともに、固定ハウジン10の後側圧入部12aに対して、上方から上側コンタクト30aの固定側圧入部32を圧入する。これにより、複数の上側コンタクト30aは、第1折り曲げ部33aが後側整列溝部13a内に位置して、左右に整列された状態に保持される。同様に、固定ハウジン10の前側圧入部12bに対して、上方から下側コンタクト30bの固定側圧入部42を圧入する。これにより、複数の下側コンタクト30bは、第1折り曲げ部43aが前側整列溝部13b内に位置して、左右に整列された状態に保持される。
【0037】
この状態で、固定ハウジング10の金具挿入溝15bに、上方からレセプタクル側固定金具50の圧入部52を圧入して、固定ハウジング10にレセプタクル側固定金具50を取り付ける。これにより、可動側移動規制部25は、図5に示すように、固定側移動規制部15およびレセプタクル側固定金具50によって上下および前後が囲まれる空間内に保持される。すなわち、レセプタクル側固定金具50を兼用して、可動側移動規制部25を囲む構成になっている。このようにして組み立てられたレセプタクルコネクタ1は、上側コンタクト30aの先端接合部31および下側コンタクト30bの先端接合部41が、レセプタクル側基板2に形成された対応する配線パターンに載置されるとともに、レセプタクル側固定金具50の接合部51がレセプタクル側基板2に形成された固定パターンに載置され、この状態で表面実装される。
【0038】
表面実装後、表面実装による半田接続に問題(例えば短絡等)がないかを、目視により検査する。このとき、レセプタクルコネクタ1には、先端接合部41の配列に対応するように、下側壁部23Dの前側先端部に切り欠き部24が設けられているので、先端接合部41が見やすくなって目視検査を行いやすい。目視検査の結果、半田接続に問題がある場合、半田ごてを用いて手作業により半田接続の修正が行われる。このとき、切り欠き部24が設けられているので、図3に示すように、半田ごて200の先端部を先端接合部41に容易に到達させ、手作業による半田接続の修正を容易に行うことができる。このように、嵌合部の下方にコンタクトの接合部が位置する構成のコネクタにおいて、嵌合部における接合部と対向する部分に切り欠き部を設けると、目視検査および半田ごてによる修正が行い易くなる。
【0039】
次に、プラグコネクタ100の組立構成について説明する。
【0040】
まず、上側コンタクト130aおよび下側コンタクト130bのそれぞれを、プラグハウジング110に圧入して保持させる。下側コンタクト130bについて具体的に説明すると、プラグハウジング110の下側圧入溝112bに対して、前方から圧入部143を圧入するとともに、前側圧入溝113aに対して前方から中間部142を圧入して、下側コンタクト130をプラグハウジング110に保持させる。上側コンタクト130aについて具体的に説明すると、プラグハウジング110の上側圧入溝112aに対して、前方から圧入部133を圧入するとともに、前側圧入溝113aに対して前方から中間部132を圧入して、上側コンタクト130aをプラグハウジング110に保持させる。このようにして、コンタクト130a,130bをプラグハウジング110に保持させると、図3に示すように、中間部132を上方から覆うようにコンタクト保護用庇部114が位置するので、このコンタクト保護用庇部114により中間部132が保護される。
【0041】
次に、プラグハウジング110の金具取付溝115aに対して、上方からプラグ側固定金具150の圧入部152を圧入して、プラグハウジング110にプラグ側固定金具150を取り付ける。このようにして組み立てられたプラグコネクタ100は、上側コンタクト130aの先端接合部131および下側コンタクト130bの先端接合部141が、プラグ側基板102に形成された対応する配線パターンに載置されるとともに、プラグ側固定金具150の接合部151がプラグ側基板102に形成された固定パターンに載置され、この状態で表面実装される。
【0042】
次に、レセプタクル側基板2に表面実装されたレセプタクルコネクタ1と、プラグ側基板102に表面実装されたプラグコネクタ100とを嵌合させるときの作用について説明する。
【0043】
両コネクタ1,100は、プラグコネクタ100のプラグ側嵌合部112を、レセプタクルコネクタ1のレセプタクル側嵌合部23に対して前後に挿入することにより嵌合される。このようにして両コネクタ1,100が嵌合されると、接触部134が圧入接触部37に弾性的に接触するとともに、接触部144が圧入接触部47に弾性的に接触し、コンタクト30,130を介して各基板2,102の配線パターン同士が電気的に接続される。
【0044】
両コネクタ1,100を嵌合させる際、レセプタクル側嵌合部23に対してプラグ側嵌合部112が、上下もしくは左右にずれた状態で挿入される場合があり得る。例えばプラグ側嵌合部112が上方にずれた状態で挿入される場合、レセプタクル側嵌合部23にプラグ側嵌合部112が当接することにより、レセプタクル側嵌合部23に上方への力が作用する。この力を受けて、レセプタクルコネクタ1の上側中間部38および下側中間部48が弾性変形し、プラグ側嵌合部112との位置ずれを吸収するようにレセプタクル側嵌合部23(可動ハウジング20)が上方へ移動する。このように、レセプタクルコネクタ1の上側中間部38および下側中間部48の弾性変形により、プラグ側嵌合部112との位置ずれを吸収し、その状態で両コネクタ1,100を嵌合させることができるようになっている。
【0045】
このようにして、プラグ側嵌合部112をレセプタクル側嵌合部23に対して前後に挿入すると、レセプタクル側嵌合部23(可動ハウジング20)に後方への力が作用する。このとき、図5に示すように、可動ハウジング20の当接面22cが固定ハウジング10の当接面16aにするとともに、可動ハウジング20の後側当接面25bが固定ハウジング10の後側当接面15dに当接して、可動ハウジング20に作用する後方への力が受け止められる。なお、嵌合されたプラグコネクタ100をレセプタクルコネクタ1から抜去する際、レセプタクル側嵌合部23(可動ハウジング20)に前方への力が作用する。このとき、可動ハウジング20の前側当接面25aが固定ハウジング10の前側当接面15cに当接して、可動ハウジング20に作用する前方への力が受け止められる。
【0046】
ところで、レセプタクルコネクタ1の上側中間部38および下側中間部48は、所定範囲を超えて変形すると塑性変形するため、上側中間部38および下側中間部48の変形を所定範囲(弾性変形可能な範囲)に規制する必要がある。そこで、レセプタクルコネクタ1は、可動ハウジング20の移動範囲を規制することにより、上側中間部38および下側中間部48を弾性変形可能な範囲において変形させる構成となっており、その構成について以下に説明する。
【0047】
まず、可動ハウジング20の左右への移動範囲を規制する構成について説明する。図2および図4に示すように、レセプタクル側固定金具50が固定ハウジング10に取り付けられて、中間部53が金具受容凹部26内に位置している。このため、可動ハウジング20は、左右方向における凹部側面26aと中間部53との隙間分だけ左右への移動が許容されるが、凹部側面26aが中間部53に当接することによりそれ以上の左右への移動が規制される。
【0048】
次に、可動ハウジング20の下方への移動範囲を規制する構成について説明する。図2に示すように、固定ハウジング10と可動ハウジング20とに跨って複数のレセプタクルコンタクト30が取り付けられると、固定ハウジング10の下側当接面15eと可動ハウジング20の下側当接面25cとが、上下に隙間を有した状態に保持される。このため、可動ハウジング20は、上下方向における下側当接面15eと下側当接面25cとの隙間分だけ下方への移動が許容されるが、下側当接面25cが下側当接面15eに当接することによりそれ以上の下方への移動が規制される。
【0049】
次に、可動ハウジング20の上方への移動範囲を規制する構成について説明する。図2および図4に示すように、レセプタクル側固定金具50が固定ハウジング10に取り付けられて、中間部53が金具受容凹部26内に位置している。このため、可動ハウジング20は、上下方向における凹部底面26bと中間部53(中間部53の下面)との隙間分だけ上方への移動が許容されるが、凹部底面26bが中間部53に当接することによりそれ以上の上方への移動が規制される。
【0050】
また、レセプタクルコネクタ1は、図5に示すように、当接面22cと当接面16a、後側当接面25bと後側当接面15d、前側当接面25aと前側当接面15cとが、それぞれ前後に隙間を有した状態に組み立てられる。また、上述したように、可動側移動規制部25は、上下方向にも間隙を有して受容空間15a内に保持されている。このため、可動ハウジング20の前部に下方への力が作用した場合、可動側移動規制部25が受容空間15a内において搖動するとともに、固定側移動規制部15の内面またはレセプタクル側固定金具50の中間部53に当接するまでの範囲内において搖動が許容される。そして、可動側移動規制部25が搖動して、固定側移動規制部15の内面またはレセプタクル側固定金具50の中間部53に当接すると、その位置を越える可動ハウジング20の斜め下方への揺動が規制される。
【0051】
また、可動ハウジング20の前部に上方への力が作用した場合にも、可動側移動規制部25が固定側移動規制部15の内面またはレセプタクル側固定金具50の中間部53に当接するまでの範囲内において、可動ハウジング20の斜め上方への揺動が許容される。そして、可動側移動規制部25が搖動して、固定側移動規制部15の内面またはレセプタクル側固定金具50の中間部53に当接すると、その位置を越える可動ハウジング20の斜め上方への揺動が規制される。
【0052】
このように、レセプタクルコネクタ1は、レセプタクルコンタクト30(上側コンタクト30aおよび下側コンタクト30b)の弾性変形を利用して、固定ハウジング10に対して可動ハウジング20が移動可能に構成される。このため、レセプタクルコネクタ1には、弾性変形する上側コンタクト30aと下側コンタクト30bとの接触を防止する構成が求められる。そこで、レセプタクルコネクタ1は固定ハウジング10の底面に、第1折り曲げ部33aと第1折り曲げ部43aとの前後間隔を保つための接触規制突起14を備える(図3および図7参照)。この接触規制突起14により、第1折り曲げ部33aおよび第1折り曲げ部43a近傍において、上側コンタクト30aと側コンタクト30bとの接触が防止される。
【0053】
また、レセプタクルコネクタ1は、図5に示す側面から見た状態において、固定側移動規制部15および可動側移動規制部25の前後方向における中心線C1が、レセプタクルコネクタ1全体の前後方向における中心線C2に対して後方に位置するように構成されている。このため、レセプタクルコネクタ1を、前後幅をコンパクトにしつつレセプタクル側嵌合部23の前後幅を確保できる構成とすることができる。
【0054】
上述の実施形態では、上側コンタクト30aおよび下側コンタクト30bとして、中間部38,48が合計3つの折り曲げ部を有した構成を例示して説明したが、この構成に代えて、中間部が合計4つ以上の折り曲げ部を有した構成でも良い。
【0055】
上述の実施形態では、嵌合可能に構成されたレセプタクルコネクタとプラグコネクタのうち、固定ハウジングに対して可動ハウジングが移動可能なレセプタクルコネクタに本発明を適用した例について説明した。これに代えて、プラグコネクタを固定ハウジングに対して可動ハウジングが移動可能な構成とし、このプラグコネクタに本発明を適用することも可能である。
【0056】
上述の実施形態では、固定ハウジング10と可動ハウジング20とが別体構成となったフローティング型のレセプタクルコネクタ1に、切り欠き部24を設けた構成を例示して説明した。例えばフローティング構造を備えないコネクタ、すなわち、固定ハウジング10と可動ハウジングとが一体に構成されたコネクタに切り欠き部24を設けた場合にも、先端接合部41の目視検査や手作業による修正がしやすくなる。
【符号の説明】
【0057】
1 レセプタクルコネクタ(コネクタ)
2 レセプタクル側基板(基板)
10 固定ハウジング(ベース部)
20 可動ハウジング(嵌合部)
23 レセプタクル側嵌合部(嵌合壁部)
24 切り欠き部
30 レセプタクルコンタクト(コンタクト部材)
31 先端接合部(接合部、外側接合部)
32 固定側圧入部(接合部、内側接合部)
37 圧入接触部(接触部)
38 上側中間部(中間部)
41 先端接合部(接合部、外側接合部)
42 固定側圧入部(接合部、内側接合部)
47 圧入接触部(接触部)
48 下側中間部(中間部)
100 プラグコネクタ(相手コネクタ)

図1
図2
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図5
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図11