特許第6192569号(P6192569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192569
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】排気熱回収装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 5/02 20060101AFI20170828BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20170828BHJP
【FI】
   F01N5/02 B
   F01N13/08 B
   F01N5/02 G
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-34489(P2014-34489)
(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-158192(P2015-158192A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年9月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年1月23日に、トヨタ自動車株式会社サプライヤーズセンターにおいて展示を行った。
(73)【特許権者】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】西野 寿
(72)【発明者】
【氏名】大久保 公雄
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−157211(JP,A)
【文献】 特開2011−231714(JP,A)
【文献】 特開2010−229850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 5/02
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関などの排気系で、排気ガスと媒体との熱交換を行う熱交換器を排気ガスが通る第1流路と、排気ガスが前記熱交換器を迂回する第2流路と、該第2流路を開閉する弁体と、前記媒体の温度が所定の値以上になった際に前記弁体を開動作させるサーモエレメントを有し、
前記サーモエレメントは受熱部を有し、
前記熱交換器において前記媒体が流通する媒体流路内と、前記受熱部の外周とを連通するとともに、媒体流路内の媒体が、受熱部の外周を通った後、媒体流路内へと戻る連通路を設け、
前記媒体流路内に、前記媒体を前記連通路へと誘導する誘導板を設けたことを特徴とする排気熱回収装置。
【請求項2】
前記熱交換器における媒体流路の外縁部と前記誘導板の外側端との間を、前記媒体が流通できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の排気熱回収装置。
【請求項3】
前記誘導板を、前記媒体流路の軸と直交するように設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の排気熱回収装置。
【請求項4】
前記連通路を、誘導板の外側端を跨ぐようにして設けたことを特徴とする請求項1又は2又は3記載の排気熱回収装置。
【請求項5】
前記連通路を、前記熱交換器の上部に設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の排気熱回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気熱回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、両等に搭載される排気ガスの排気熱回収装置として、熱交換器から排出される冷却水の温度に応じて温度作動アクチュエータであるサーモエレメントにより、弁体を開閉さて、熱交換器を通る第1流路と、熱交換器を迂回する第2流路に切替制御を行う排気熱回収装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−214529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の排気熱回収装置では、弁体の弁軸が排気熱回収装置の第2流路の軸と直交する方向に設けられている。この弁体の弁軸を、サーモエレメントで回動すると共に、サーモエレメントの受熱部を、熱交換器から排出される冷却水が通る配管内に設ける必要があるため、熱交換器から排出される冷却水の配管は、排気熱回収装置の第2流路の軸に対して左右の何れかに設ける必要がある。
【0005】
冷却水の配管が、排気熱回収装置の第2流路の軸に対して左右の何れかに設けられているため、排気熱回収装置を搭載する車両側において、冷却水を通す配管の位置が制約されてしまったり、車両側の冷却水の配管と、サーモエレメントの位置が第2流路の軸に対して逆側に位置した場合には、車両側の冷却水の配管を、排気熱回収装置の本体部を迂回して熱交換器の入口に接続する必要があり、配管経路が長くなってしまうという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点を解決した排気熱回収装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、内燃機関などの排気系で、排気ガスと媒体との熱交換を行う熱交換器を排気ガスが通る第1流路と、排気ガスが前記熱交換器を迂回する第2流路と、該第2流路を開閉する弁体と、前記媒体の温度が所定の値以上になった際に前記弁体を開動作させるサーモエレメントを有し、
前記サーモエレメントは受熱部を有し、
前記熱交換器において前記媒体が流通する媒体流路内と、前記受熱部の外周とを連通するとともに、媒体流路内の媒体が、受熱部の外周を通った後、媒体流路内へと戻る連通路を設け、
前記媒体流路内に、前記媒体を前記連通路へと誘導する誘導板を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記熱交換器における媒体流路の外縁部と前記誘導板の外側端との間を、前記媒体が流通できるようにしたことを特徴とするるものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記誘導板を、前記媒体流路の軸と直交するように設けたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2又は3記載の発明において、前記連通路を、誘導板の外側端を跨ぐようにして設けたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の発明において、前記連通路を、前記熱交換器の上部に設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サーモエレメントの受熱部を、媒体が熱交換器から排出される流路内ではなく、媒体流路内の媒体が、受熱部の外周を通った後、媒体流路内へと戻る連通路内に設けたことにより、熱交換器へ導入又は熱交換器から排出される媒体の配管の位置を、サーモエレメントの位置に関係なく自由に設定することが出来、例えば、熱交換器における媒体の出入口を第2流路の軸に対する左右方向の略中央に設けることができ、排気熱回収装置を搭載する車両側において、媒体を通す配管の位置に制約が生じることを防ぐことが出来、排気熱回収装置に汎用性を持たせることが出来る。
【0013】
また、熱交換器における媒体の出入口を第2流路の軸に対する左右方向の略中央に設けた場合には、前記従来技術のように、車両側の媒体の配管と、サーモエレメントの位置が第2流路の軸に対して逆側に位置することがなく、配管経路を短く出来、重量を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1の排気熱回収装置の正面図。
図2図1の上面図。
図3図1の左側面図。
図4図2のA−A線断面図。
図5図4の状態から第1弁体を開動させた状態の断面図。
図6図4のB−B線断面図。
図7図2のC−C線断面図。
図8図4のD−D線断面図。
図9図1のE−E線断面図。
図10図4のF−F線断面図。
図11図2のG−G線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
図1乃至図11は本発明の実施例1を示す。
【0016】
本実施例1の排気熱回収装置1は、内燃機関を使用する車両などの排気系に配設され、上流側に設けた流入口1aには図示しない上流側排気管が、下流側に設けた排出口1bには図示しない下流側排気管がそれぞれ接続される。
【0017】
排気熱回収装置1は、図4に示すように、ケース2を有し、ケース2内には熱交換器3と、この熱交換器3を通る第1流路4と、熱交換器3を迂回する第2流路5が設けられている。第2流路5は、上流側排気管と下流側排気管に連通している。
【0018】
ケース2は、図1図3に示すように、円筒状の本体部2aと、本体部2aの下流側に設けた縮径部2bで構成されている。また、第2流路5は、図3図6に示すように、両端が開口する円筒管で形成され、図5に示すように、ケース2の本体部2aの中央部に配設されている。
【0019】
熱交換器3は、図8に示すように、ケース2の本体部2aと第2流路5との間で、第2流路5の軸芯の両側に位置するように2個設けられている。両熱交換器3,3は、図8に示すように、本体部2aの軸芯を中心とする円弧状に形成されている。熱交換器3には、内燃機関などの冷却系の冷却水等の媒体が流通する媒体流路3aと、排気ガスの流体が流れる流体流路3bを有している。媒体流路3aは、図1図5に示すように、媒体入口10aと媒体出口10bとを有し、この媒体入口10aと媒体出口10bとは、内燃機関などの冷却系に接続されている。これにより、熱交換器3において、媒体と排気ガスとの間で熱交換できるようになっている。
【0020】
排気熱回収装置1を車両等に設置した状態において、図1図4に示すように、媒体入口10aは、第2流路5の下方で、かつ、排気熱回収装置1の第2流路5の軸に対する左右方向の略中央に位置し、媒体出口10bは、第2流路5の上方で、かつ、排気熱回収装置1の第2流路5の軸に対する左右方向の略中央に位置するように設けられている。媒体は、媒体入口10aから流入して、分岐部10cで左右の媒体流路3a,3aに分岐され、各媒体流路3a,3a内を下方から上方へ上昇流通した後に、媒体合流部10dで合流し、媒体出口10bから排出されるようになっている。
【0021】
流体流路3bにおけるケース2の本体部2aの軸に直交する断面は、図8に示すように円弧状に形成されている。また、流体流路3bは、図4に示すように、上流側から下流側に向かって並行に複数設けられている。流体流路3bの数は任意であるが本実施例では、左右の熱交換器3,3に、夫々4つの流体流路3bを設けた。また、流体流路3bの形状は任意に形成するが、その内周面の外縁部3cを曲面形状に形成することが好ましい。
【0022】
媒体流路3a内には、その軸芯と直交するように板状の誘導板11が設けられている。誘導板11は、図8に示すように、媒体流路3aの内側端から、流体流路3bの外縁部に亘って設けられ、誘導板11は、媒体流路3aの外縁部分、すなわち、媒体流路3aの外縁部3dと、誘導板11の外側端11aとの間には設けられておらず、これらの間に設けた連通部3eを通じて、媒体が流通することが出来るようになっている。また、誘導板11は、媒体流路3a内にのみ設けられ、流体流路3b内には設けられていない。
【0023】
ケース2の本体部2a内には、熱交換器3の下部に位置して、流体流路3b内で排気ガスが熱交換等した際に生じる凝縮水を回収する回収空間13が設けられ、熱交換器3の上部に、左右の流体流路3bを流通した排気ガスが合流する空間14が設けられ、流体流路3bは、回収空間13と空間14に連通し、流体流路3bと回収空間13と空間14等で、第1流路4が構成されている。このように、熱交換器3,3は、ケース2内の両側部に設けられ、ケース2の上部と下部には設けられていない。
【0024】
第2流路5の下部には、図4図6に示すように、連通穴18が形成され、連通穴18により、第2流路5は、回収空間13と連通するとともに、熱交換器3の流体流路3bとも連通している。
【0025】
連通穴18より下流側には、第2流路5と第1流路4が合流する合流部21が設けられている。第2流路5には、第2流路5と合流部21を連通する第1連通部24が形成されている。また、第1流路4には、第1流路4の空間14と合流部21とのを連通する第2連通部25が開口形成されている。第2連通部25は、第1連通部24より上部に位置するように形成されている。第2連通部25は、空間14の下流側に設けたハウジング26に形成されている。ハウジング26は、上流側と下流側の第2連通部25のみが開口し、上流側の開口は空間14と連通している。
【0026】
第2連通部25より上流側には、図9に示すように、ハウジング26の左右の壁を貫通するように、弁軸27が備えられている。ハウジング26の下流端部は、図4図5に示すように、弁軸27を中心とする円弧状に形成され、この円弧部に第2連通部25が形成されている。
【0027】
弁軸27は、ハウジング26内の両側部に設けた軸受29,29により支持されている。軸受29,29の外周部には、第1流路4の左右方向全体に亘って軸受ケース34が設けられている。ハウジング26と軸受ケース34により、第1流路4内の排気ガスが、弁軸27と接触することを抑制するようになっている。
【0028】
ハウジング26から軸方向の左右に突出している弁軸27には、スイングアーム型の第1弁体30に形成した一対の腕部30a,30aが固設され、弁軸27の正逆回動により、第1弁体30が正逆回動し、第2流路5を開閉することができるようになっている。一対の腕部30a,30aは、図10に示すように、弁軸27の軸方向に第2連通部25の左右方向の長さより長く離間して設けられている。第1弁体30の第2流路5の側面には、第1連通部24に接離するシール材30bが固設されている。
【0029】
弁軸27は、図9に示すように、一端側がケース2を貫通するように設けられ、弁軸27の外周で、かつ、ケース2を貫通するようにシール部材28が設けられている。シール部材28は、排気ガスがケース2の外部へと漏出することを防止するラビリンス構造を有している。
【0030】
前記従来技術の排気熱回収装置では、軸受を、ケースを貫通するように設けているために、この軸受は、弁軸を支持することに加えて、排気ガスがケースの外部に漏出することを抑制する必要があるために、軸受が大きくなる。それに対し、本実施例では、軸受29とシール部材28を別々の部材で構成し、軸受29をケース2内に設けたことにより、シール部材28は、軸受の機能は必要とせず、排気ガスがケース2外に漏出することを抑制することができればよいため、シール部材28の軸方向の長さも短くできる。また、軸受29は、軸受としての耐久性のみを考慮すればよいため、軸受29の径を、前記従来技術の排気熱回収装置の軸受の径よりも小さくすることができ、排気熱回収装置1を前記従来技術の排気熱回収装置よりも小型化することができる。
【0031】
第1弁体30には、その腕部30a,30a間に位置して、第2弁体31が第1弁体30と一体に形成されている。第2弁体31は、弁軸27を中心とする円弧状に形成され、弁軸27を正逆回動することにより、第2弁体31が、ハウジング26の下流側部に形成された円弧部に沿って、上下方向に移動し、第2連通部25を開閉できるようになっている。第2弁体31の上流側面には、シール材を設けても設けなくてもよい。本実施例ではシール材を設けていない。
【0032】
第1弁体30と第2弁体31とは、弁軸27を中心として一体に回動し、図5に示すように、第1弁体30が開動した際には、第2弁体31は閉動して第2連通部25を閉塞し、また、図4に示すように、第1弁体30が閉動した際には、第2弁体31は開動し、第2連通部25を開放するようになっている。
【0033】
合流部21と回収空間13は、これらの間に設けた仕切壁23の下端部に形成した排出穴23aで連通しており、回収空間13内に回収された凝縮水は、排出穴23aを通じて、合流部21に排出された後に、排気ガスと共に外部へと排出されるようになっている。
【0034】
熱交換器3におけるケース2の上部には、図11に示すように、媒体の取出口33aと媒体の戻口34aが離間して形成され、この取出口33aと戻口34aとの間に、誘導板11の外側端11aが位置するようになっている。取出口33aには媒体流路3a内の媒体を、ケース2外に設けた温度作動アクチュエータであるサーモエレメント36の受熱部36aの外周部35へと導く誘導通路33が接続され、戻口34aには、サーモエレメント36の受熱部36aの外周部35から媒体流路3a内へと戻す戻し通路34が接続されている。誘導通路33と戻し通路34間には、取出口33a部と戻口34a部を区画する隔壁41が設けられている。
【0035】
誘導通路33、取出口33a、戻し通路34、戻口34a、外周部35により、連通路32が構成されている。連通路32は、図11に示すように、誘導板11の外側端11aを跨ぐようにして形成されている。
【0036】
媒体は、熱交換器3の媒体流路3a内を下方から上方へ移動する際に、誘導板11により、取出口33a側へ導かれ、誘導通路33を通ってサーモエレメント36の受熱部36aと接触することが出来るようになっている。この後、媒体は、戻し通路34を通って戻口34aから媒体流路3a内に戻るようになっている。
【0037】
誘導板11を、媒体流路3aの軸芯と直交するように設けたことにより、媒体の流れに対して直交方向に誘導板11が位置し、効率よく媒体を誘導通路33へと導くことが出来るようになっている。
【0038】
なお、仮に、誘導板11を、媒体流路3aの外縁部まで設けて、誘導板11により媒体流路3aを仕切ってしまうと、媒体流路3aの外縁部で、かつ、取出口33aと戻口34aとの間における媒体の流れが悪くなりその部分で媒体が沸騰して気泡が発生し、その気泡が移動しにくいため空焚きが生じる虞がある。そのため、誘導板11は、媒体流路3aの外縁部には設けず、媒体を、媒体流路3aの外縁部3dと、誘導板11の外側端11aとの間を流通させることにより、空焚きの発生を抑制できるようになっている。
【0039】
サーモエレメント36の受熱部36a内には、ワックスが収納されている。サーモエレメント36の先端部には、付勢部材37によりサーモエレメント36側に付勢されたロッド38が当接している。サーモエレメント36内のワックスが、所定の温度以上になると熱膨張し、その先端部が伸張して、先端部によりロッド38を押移動することにより弁軸27が回動して、図5に示すように、第1弁体30が開作動して第2流路5を開放するとともに、第2弁体31を閉動して第1流路4を閉塞するようになっている。
【0040】
また、サーモエレメント36内のワックスが、所定の温度より低くなると収縮し、その先端部が収縮して、ロッド38は付勢部材37により付勢されて弁軸27が回動して、図4に示すように、第1弁体30が閉作動して第2流路5を閉塞するとともに、第2弁体31を開動して第1流路4を開放するようになっている。
【0041】
サーモエレメント36の受熱部36aの外周部35の媒体が所定の温度より低い場合には、図4に示すように、第2流路5を閉塞し、第1流路4が開放されていることから、排気ガスは、第2流路5から、連通穴18を通った後、回収空間13、熱交換器3の流体流路3b、空間14を通り、第2連通部25から合流部21へと流れるようになっている。
【0042】
サーモエレメント36の受熱部36aを、熱交換器3の媒体流路3a内から媒体を取出す連通路32内に設けたことにより、熱交換器3へ導入又は熱交換器3から排出される媒体の配管の位置を、サーモエレメント36の位置に関係なく自由に設定することが出来、熱交換器3における媒体の出入口10a,10bを第2流路4の軸に対する左右方向の略中央に設けることができ、排気熱回収装置1を搭載する車両側において、媒体を通す配管の位置の制約を減少させることが出来る。これにより、搭載する車両毎に排気熱回収装置1を設計する必要がなく、排気熱回収装置1に汎用性を持たせることが出来る。
【0043】
更に、熱交換器3における媒体の出入口10a,10bを第2流路5の軸に対する左右方向の略中央に設けたことにより、前記従来技術の排気熱回収装置のように、車両側の媒体を通す配管と、サーモエレメントの位置が第2流路の軸に対して逆側に位置することがなく、媒体の配管経路を短く出来、重量を軽減できる。
【0044】
温度作動アクチュエータであるサーモエレメント36の受熱部36aは、熱交換器3の媒体流路3a内から取り出した媒体と接触できるようになっているため、熱交換器3内の媒体の温度に即応してサーモエレメント36が作動し、熱交換器3の媒体温度が高くなりすぎることを防止できる。
【0045】
熱交換器3内の媒体温度は上部ほど高くなるため、連通路32を熱交換器3の上部に設けたことにより、高い温度の媒体を、サーモエレメント36の受熱部36aに接触させることが出来るため、熱交換器3における高温部分の媒体から受熱して、サーモエレメント36を作動させ、弁体30,31を開閉して流路4,5の切替を行うことが出来るため、熱交換器3内の媒体の状態に即応して、適切なタイミングで流路4,5の切替を行うことが出来る。
【0046】
排気ガスが熱交換された際に生じる凝縮水は、その自重で流体流路3b内を容易に下方に移動し、回収空間13へと回収された後に、排出穴23a及び合流部21を通じて、排気熱回収装置1の下流へと排出されるようになっている。また、複数の流体流路3bを、上流側から下流側に並設するとともに、上下方向に流通可能な円弧状に形成したことにより、凝縮水が回収空間13へと容易に排出されると共に、媒体流路3a内の媒体が沸騰等して気体(気泡)が発生した際には、上方へと気体が容易に移動しやすく、媒体流路3a内での気体の上方への抜けが良い。
【0047】
また、流体流路3bにおける内周面の外縁部3cを曲面形状に形成した場合には、流体流路3b内を流体が流れる際に、常に、流体が内周面の外縁部3cに当たるため、流通する排気ガスの乱流が促進され、熱交換器3の熱交換効率を向上させることが出来る。
【0048】
一方、熱交換器3の媒体が所定の温度以上の場合には、図5に示すように、第2流路5が開放され、第1流路4が閉塞されていることから、排気ガスは、第2流路5を通り、合流部21へと流れるようになっている。
【0049】
第2弁体31を、第1弁体30の一対の腕部30a,30a間に配設すると共に、第1弁体30と第2弁体31を一体に形成したことにより、第2弁体31を、第1弁体30の回動空間内に配置することが出来るため、排気熱回収装置1を小型化することが出来る。また、第1弁体30を製造する材料における第1弁体30の腕部30a,30a間の材料で第2弁体31を同時に一連に製造することが出来るため、第1弁体30の材料の歩留まりを上げ、コスト及び工数を削減することが出来る。
【0050】
熱交換器3の下部に回収空間13を設けたことにより、排気熱回収装置1を車両の下部に搭載した際に、熱交換器3の路面干渉を抑制することができる。
【0051】
ケース2内のハウジング26に軸受29,29を設けて支持したことにより、ケース2の外周壁には、弁軸27が貫通する部分にシール部材28を設けるだけでよく、排気熱回収装置1の弁軸27方向の長さを短くすることが出来、また、軸受29,29は、軸受としての耐久性を確保すればよいために、軸受29の径を小さくすることができ、排気熱回収装置1を小型化することができる。
【0052】
なお、温度作動アクチュエータは、バイメタルや形状記憶合金を用い、これらの形状変化によって弁体の回動運動を行わせるようにしてもよい。
【0053】
また、排気ガスの流量に応じて開閉動作するバルブシステムは、所謂可変バルブとして排気装置では周知であり、任意の機構を用いることが出来る。
【0054】
また、誘導通路33と戻し通路34間に設けた隔壁41は設けなくても良い。また、第1弁体30と第2弁体31を一体に形成したが、第1弁体30と第2弁体31を別体に形成しても良い。
【0055】
[その他の実施例]
誘導板が、熱交換器の媒体流路の軸芯に対して直交するように設けるとともに、誘導板により媒体が連通路へと誘導されていれば、熱交換器、すなわち、媒体流路、流体流路の配置や形状、及び、誘導板の形状、位置は任意に設定することが出来る。なお、誘導板は、媒体流路の外縁部には設けず、また、連通路は、誘導板の外側端を跨ぐようにして形成することが好ましい。
【0056】
例えば、熱交換器の媒体流路、流体流路を上下に積層して、熱交換器内を媒体が横方向に流通するように熱交換器を形成するとともに、熱交換器の媒体流路の軸芯に対して誘導板を直交するようにして設け、誘導板により媒体が連通路へと誘導されえるようにしても良い。
【0057】
また、本発明は、媒体への熱回収を主目的とする狭義の熱回収器(ヒートコレクタやオイルウォーマ等)に限らず、排気ガスの冷却を主目的とする熱交換器(排気クーラーやEGRクーラー等)も熱回収装置として包含する。更に、適用対象は車両等の内燃機関用に限定するものではなく、汎用エンジンや据置式燃焼装置等、あらゆる排気ガスが発生する装置の排気系に適用可能である。
【0058】
以上、本発明の実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に包含されるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 排気熱回収装置。
3 熱交換器
3a 媒体流路
4 第1流路
5 第2流路
11 誘導板
36 サーモエレメント
36a 受熱部
32 連通路
図1
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図11