特許第6192585号(P6192585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6192585パワー半導体モジュール及びそれを用いた電力変換装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192585
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】パワー半導体モジュール及びそれを用いた電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20170828BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H02M3/00 Y
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-90826(P2014-90826)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-211511(P2015-211511A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】志村 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】松下 晃
(72)【発明者】
【氏名】高木 佑輔
【審査官】 白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−257369(JP,A)
【文献】 特開2012−015224(JP,A)
【文献】 特開2010−212412(JP,A)
【文献】 特開2011−198998(JP,A)
【文献】 特開2004−119667(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0231810(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00〜 7/98
H02M 3/00〜 3/44
H01L23/34〜23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体素子を含んで構成される回路体と、
前記回路体を収納するケースと、
前記回路体の一方側に配置される第1放熱部材と、
前記回路体を挟んで前記第1放熱部材と対向して配置される第2放熱部材と、
押圧部材と、を備え、
前記ケースは、第1開口と、第2開口と、を形成し、
前記第1開口は、当該第1開口の開口面の外周長さが前記第1放熱部材の外周長さよりも小さくなるように形成され、
前記第2開口は、当該第2開口の開口面の外周長さが前記第1放熱部材の外周長さよりも大きくかつ前記第2放熱部材の外周長さよりも大きくなるように形成され、
前記第1放熱部材は、第1シール材を介して前記ケースの内壁側と接するように前記第1開口を覆い、
前記第2放熱部材は、第2シール材を介して前記第2開口を形成する前記ケースの厚み方向の壁と接するように前記第2開口を塞ぎ、
前記押圧部材は、前記ケースの外面及び前記第2放熱部材を挟み、その内側に配置された前記第1放熱部材と前記回路体を押圧するパワー半導体モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載されたパワー半導体モジュールであって、
前記押圧部材は、前記ケースの外面と接する第1押圧部と、前記第2放熱部材と接する第2押圧部と、を含んで構成され、
前記第2放熱部材は、前記回路体側に設けられた面と、その反対側の面であって複数のフィンが設けられた放熱面と、を有し、
前記第2放熱部材の前記放熱面の直角方向から投影した場合、前記第1押圧部と前記第2押圧部は、当該第1押圧部及び前記第2押圧部の射影部が前記第1シール材の射影部と重なるように形成されるパワー半導体モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたパワー半導体モジュールにおいて、
前記第1放熱部材又は前記第2放熱部材と前記回路体の間に配置されかつ接着性を有する絶縁性部材を備えるパワー半導体モジュール。
【請求項4】
請求項1ないし3に記載されたいずれかのパワー半導体モジュールを備えた電力変換装置であって、
前記パワー半導体モジュールを冷却する冷媒を流す流路を形成する流路形成体を備え、
前記流路は、前記流路形成体の内壁と前記第1放熱部材との間に形成される第1流路と、前記流路形成体の内壁と前記第2放熱部材との間に形成される第2流路と、を含んで構成される電力変換装置。
【請求項5】
請求項1ないし3に記載されたいずれかのパワー半導体モジュールを備えた電力変換装置であって、
前記パワー半導体モジュールを冷却する冷媒を流す流路を形成する流路形成体を備え、
前記流路形成体は、前記回路体から突出する端子を貫通させるための開口部を形成し、
前記ケースは、当該ケースと前記流路形成体との間に第3シール部を挟んだ状態で、固定部材によって前記流路形成体に固定され、
さらに前記ケースは、前記端子を前記開口部から突出させた状態で当該開口部を覆い、
前記第3シール部は、前記固定部材を囲む環状に形成される電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
産業用や電力用を含むパワー半導体モジュール及びそれを用いた電力変換装置に係り、特にハイブリッド自動車や電気自動車に用いられるパワー半導体モジュール及びそれを用いた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出力の増大とともに、電力変換装置の冷却性能の向上が求められている。一方で、電力変換装置の小型化も求められている。そのような状況で、パワー半導体素子を含む回路体を金属製のケースに収納し、そのケースを、冷媒が流れる流路内に浸漬するタイプの電力変換装置の開発が進められている(特許文献1)。
【0003】
このような浸漬するタイプの電力変換装置に搭載されるパワー半導体モジュールのケースは、放熱部と他の部位を分割する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-110143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、放熱部をケースから分割する為、当該分割部における水密性を確保することとともに回路体とケースとの熱伝導経路の熱伝導率を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパワー半導体モジュール及び電力変換装置は、パワー半導体素子を含んで構成される回路体と、前記回路体を収納するケースと、前記回路体の一方側に配置される第1放熱部材と、前記回路体を挟んで前記第1放熱部材と対向して配置される第2放熱部材と、押圧部材と、を備え、前記ケースは、第1開口と、第2開口と、を形成し、前記第1開口は、当該第1開口の開口面の外周長さが前記第1放熱部材の外周長さよりも小さくなるように形成され、前記第2開口は、当該第2開口の開口面の外周長さが前記第1放熱部材の外周長さよりも大きくかつ前記第2放熱部材の外周長さよりも大きくなるように形成され、前記第1放熱部材は、第1シール材を介して前記ケースの内壁側と接するように前記第1開口を覆い、前記第2放熱部材は、第2シール材を介して前記第2開口を形成する前記ケースの厚み方向の壁と接するように前記第2開口を塞ぎ、前記押圧部材は、前記ケースの外面及び前記第2放熱部材と接した状態で、前記第1放熱部材と前記回路体と前記第2放熱部材を押圧する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により水密性を確保することとともに回路体とケースとの熱伝導経路の熱伝導率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例に係るパワー半導体モジュール1の外観斜視図である。
図2】パワー半導体モジュール1を構成部品ごとに分解した展開斜視図である。
図3図1に示す断面Aで切断したときのパワー半導体モジュール1の断面図である。
図4】本実施形態に係るパワー半導体モジュールを用いた電力変換装置の流路構成例を示した断面図である。
図5】パワー半導体モジュールの流路への別の取付け例を示した断面図である
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を図面によって説明する。図1は、本実施例に係るパワー半導体モジュール1の外観斜視図である。図2は、パワー半導体モジュール1を構成部品ごとに分解した展開斜視図である。図3は、図1に示す断面Aで切断したときのパワー半導体モジュール1の断面図である。
【0010】
パワー半導体モジュール1は、パワー半導体素子を有する回路体2を内蔵する。回路体2は、ケース3内に挿入、設置される。本実施形態においては、回路体2は、インバータ回路の上アーム回路を構成するパワー半導体素子と、下アーム回路を構成するパワー半導体素子と、を含んで構成されているが、上アーム回路又は下アーム回路のいずれか一方のパワー半導体素子のみを含んで構成されるようにしてもよい。また回路体2は、複数の上下アーム回路を含むように構成してもよい。
【0011】
さらに回路体2は、パワー半導体素子とはんだ材等で接続される導体部材と、この導体部材とパワー半導体素子を封止する樹脂封止部材と、を含んで構成される。
【0012】
ケース3は、回路体2を挿入するための第3開口部3Cを形成する。またケース3は、第3開口部3Cの開口面とは略直角方向に放熱面を形成した第1放熱部材5及び第2放熱部材6を有する。
【0013】
第1放熱部材5及び第2放熱部材6は、外面に多数のフィンを備える。本実施形態においては、フィンを円柱状のピンフィンを用いているが、板状のストレートフィンであってもよい。第1放熱部材5と第2放熱部材6は、回路体2を挟むように互いに対向して配置される。
【0014】
押圧部材4は、第2放熱部材6をケース3に押し付けるための圧縮力をかけるとともに、ケース3にはこの圧縮力に対する反力をかける。図3に示されるように、押圧部材4の圧縮力は、ケース3又は第2放熱部材6を介し第1放熱部材5と回路体2にもかかる。つまり押圧部材4は、ケース3の外面及び第2放熱部材6と接した状態で、第1放熱部材5と回路体2と第2放熱部材6を押圧する。
【0015】
押圧部材4は、第2放熱部材6のフィンが設置されていない部位に引っかかるように配置される。または第2放熱部材6のフィンは、押圧部材4を避けるように形成される。
【0016】
本実施形態においては、押圧部材4は、絶縁性のシート9の四隅にそれぞれ対応するように4つ設けられている。しかし、ケース3の第3開口部3Cに近い側に、押圧部材4が2つ設けられ、第3開口部3Cが形成された側とは反対側のケース3の底部に押圧部材4が1つ設けてもよい。
【0017】
樹脂部材7は、ケース3、第1放熱部材5及び第2放熱部材6と回路体2の隙間に充填され、この樹脂部材7が硬化することにより、ケース3、第1放熱部材5、第2放熱部材6及び回路体2が互いに固定される。
【0018】
ケース3は、第1放熱部材5と第2放熱部材6を挿入する第2開口部3Bを形成する。またケース3は、第1放熱部材5を位置決めするための第1開口部3Aを形成する。
【0019】
第1開口部3Aは、第1放熱部材5の外形より小さく形成され、かつ第1放熱部材5のフィンが設置された範囲より大きく形成される。
【0020】
第1シール部材8は、ケース3と第1放熱部材5の間に配置され、弾性体により構成される。第1シール部材8は、第1放熱部材5の外形より小さく形成されかつ第1開口部3Aより大きく形成される。
【0021】
ケース3の第1内壁面3Dは、第1開口3Aの開口面と略平行に形成される。第2開口部3Bは、第1放熱部材5の外形より大きく形成される。第1シール部材8は、第2開口部3Bから挿入され、第1放熱部材5と第1内壁面3Dの間に配置される。
【0022】
絶縁性部材で構成されるシート9は、第2開口部3Bから挿入され、第1放熱部材5の第1シール部材8が設置される面とは反対側の面に配置される。
【0023】
回路体2は、第3開口部3Cから挿入された後、シート9と接触する。他方のシート9は、回路体2の他方の1面に接触するように配置される。他方のシート9は、回路体2を挿入した後、第2開口部3Bから挿入される。
【0024】
第2放熱部材6は、第2開口部3Bより小さく形成される。第2放熱部材6は、他方のシート9に接触するように取付けられる。第2放熱部材6の側面には、第2シール部材10が設けられ、第2放熱部材6と第2シール部材10は第2開口部3Bに挿入される。
【0025】
なお第2シール部材10は、第2放熱部材6に取付けられた状態で第2開口部3Bより大きくなるように形成される。そして第2シール部材10は、第2放熱部材6と第2開口部3Bとの間で圧縮され配置される。
【0026】
上記のように構成されることにより、第1放熱部材5は、第2開口部3Bと干渉することなく通過する。第2放熱部材6は、第2開口部3Bに干渉することなく挿入される。第2シール部材10は、第2放熱部材6と第2開口部3Bとの間で圧縮され、回路体2、シート9及び第2放熱部材6の接触面方向には荷重が発生しない。これにより、第1放熱部材5は、ケース3との間で面シール構造を形成し、第2放熱部材6は、ケース3との 間で軸シールを生成することができるので、回路体2、シート9、第1放熱部材5、第2放熱部材6の接触面には、第1シール部材8の反発力と押圧部材の押圧による圧縮力が 印加される。
なお、第1放熱部材5の外周の側壁を斜めに形成し、さらに第1開口3Aを形成するケース3の厚み方向の壁を第1放熱部材5の側壁と同じ方向に斜めに形成して、第1放熱部材5を第1開口3Aに嵌め込むようにしてもよい。この場合、第1シール部材8はケース3の厚み方向の壁に形成された溝に収納する。また、このようにケース3の厚み方向の壁が斜めに形成された場合には、この厚み方向の壁は、ケース3の内壁側と定義される。
【0027】
押圧部材4は、ケース3と第2放熱部材6を挟み込むように3箇所以上に取付けられる(本実施形態では4箇所)。
【0028】
押圧部材4は、第2放熱部材6を押圧する第1押圧部4Aと、ケース3を押圧する第2押圧部4Bと、第1押圧部4Aと第2押圧部4Bを繋ぐ結合部4Cと、により構成される。
【0029】
本実施形態では、第1シール部材8は、第1押圧部4Aと第2押圧部4Bの間に挟まれる位置に配置される。言い換えると、第2放熱部材6のフィン形成面(放熱面)の直角方向から見た場合、第1押圧部4Aと第2押圧部4Bは、第1押圧部4Aと第2押圧部4Bの射影部が第1シール部材8の射影部と重なるように形成される。これにより第1押圧部4Aと第2押圧部4Bによって第1シール部材8が押し付けられ、シール性が向上する。なお、第1シール部材8は、第1押圧部4Aと第2押圧部4Bの間の空間の近傍であってもよい。
【0030】
押圧部材4は、取付時に発生する荷重と取付け数の積が、第1シール部材8を全周に渡り10%以上圧縮する荷重にする。
【0031】
ケース3の外側の側面には、凸部3Gが形成される。この凸部3Gは、押圧部材4の結合部4Cを係り止めることにより、押圧部材4が脱落することを防止している。またケース3の外側の側面の底部付近には、突起部3Hが形成される。この突起部3Hは、押圧部材4の結合部4Cを係り止めることにより、押圧部材4が脱落することを防止している。
【0032】
図3に示されるように、第1放熱部材5は、シート9を介し回路体2と面する第1内面5Bと、第1内面5Bと対向する面に第1外面5Aと、を有する。
第1外面5Aには、複数の第1フィン5Dが配置される。さらに第1外面5Aには、外周に第1平面5Cを有する。
【0033】
第1開口内面3Dは、溝形状を形成する。第1シール部材8は、第1開口内面3Dと第1平面5Cの間で圧縮され第1開口3Aを塞ぐ。
【0034】
第2放熱部材6の側面には、溝6Bが形成される。第2シール部材10は、溝6Bに挿入される。そして第2シール部材10は、溝6Bと第2開口3Bの間で圧縮され第2開口3Bを塞ぐ。
【0035】
第2放熱部材6は、シート9を介し回路体2に面する第2内面6Dと、第2内面6Dと対向する面に第2外面6Aと、を有する。
【0036】
第2外面6Aは、複数の第2フィン6Eが配置される。さらに第2外面6Aは、外周に第2平面6Cを有する。第2平面6Cは、ケース3に対し同一平面か、低くなるように形成される。また第2平面6Cは、第2フィン6E先端より低くなるように形成される。
【0037】
押圧部材4は、第2平面6Cと第1開口外面3Eを挟み込む。第1開口外面3Eは、第1フィン5D先端より低くなるようにする。
押圧部材4は、第2放熱部材6と回路体2に対しシート9を介し圧縮力をかける。さらに押圧部材4は、回路体2と第1放熱部材5に対しシート9を介し圧縮力をかける。
【0038】
また押圧部材4は、第1放熱部材5と第1開口内面3Dの間に配置された第1シール部材8を圧縮する。
【0039】
押圧部材4は、第1フィン5D先端より低くなるように形成される。また押圧部材4は、第2フィン6E先端より低くなるように形成される。
【0040】
第1フィン5Dは、第2フィン6Eと同一高さにする。第1フィン5Dは、第2フィン6Eとフィン軸方向から見た時、同一範囲にする。ケース3は、第3開口部3Cと垂直を成すケース上面3Fを有する。
【0041】
なお図2に示されたシート9に接着性を有する絶縁性部材を用い、ケース3に挿入前の回路体2に予めシート9を接着し、シート9と一体になった回路体2をケース3に挿入するように構成してもよい。これにより、シート9は、回路体2の両面に固定され、外力による位置ずれが生じ難くなり、シート9の位置を精度良く所定の位置に配置することが出来る。
図4は、本実施形態に係るパワー半導体モジュールを用いた電力変換装置の流路構成例を示した断面図である。
パワー半導体モジュール1は、上側流路形成体11と下側流路形成体12により形成された収納空間に配置される。上側流路形成体11は開口部11Aを備え、回路体2のインターフェース部2Aは、開口部11Aから突出するようにする。
【0042】
上側流路形成体11は、流路内に開口部11Aと直角を成す上側流路外面11Bを形成する。接合部13は、上側流路外面11Bとケース上面3Fを接続させる。また接合部13は、開口部11Aを塞ぐ。
【0043】
開口部11Dは、開口部11Aと対向する側に上側流路外面11Eに形成される。上側流路外面11Eには、溝11Fが形成される。また開口部11Dは、第1放熱部材5及び第2放熱部材6と接触しない近傍の位置に形成される。
【0044】
下側流路形成体12は、流路凹部12Aを形成する。下側流路形成体12は、上側流路外面11Eと対面する下側流路外面12Bを有する。
【0045】
第3シール部材14は、溝11Fに挿入され下側流路外面12Bとの間で圧縮され、第3シール部材14は、第1流路下開口部11Dを塞ぐ。
【0046】
第1流路15は、第1放熱部材5と隣接する開口部11Dの面によって形成される。第1流路15は、第1フィン5D同士の隙間と第1フィン5D先端と開口部11Dの面の隙間から構成される。第1フィン5D同士の隙間面積は、第1フィン5D先端と開口部11Dの面の隙間面積の2倍以上確保する。
【0047】
第2流路16は、第2放熱部材6と隣接する開口部11Dの面によって形成される。第2流路16は、第2フィン6E同士の隙間と第2フィン6E先端と開口部11Dの面の隙間から構成される。第2フィン6E同士の隙間面積は、第2フィン6E先端と開口部11Dの面の隙間面積の2倍以上確保する。
【0048】
本実施形態においては、1つの流路を流れる冷媒は、パワー半導体モジュール1の押圧部材4側に衝突すると第1流路15と第2流路16に分流される。分流された冷媒は、第1放熱部材5の外面及び第2放熱部材6の外面を流れ、第1放熱部材5の外面及び第2放熱部材6の外面から熱量を奪う。これにより、半導体素子で発熱した熱量は、回路体2の両面から効率良く放熱される。半導体素子の熱量が放熱されることから、半導体素子の温度上昇は抑制される。
【0049】
流路凹部12Aは、第2平面6Cと第1開口外面3Eと隣接するように形成する。第1流路15と第2流路16は、下側流路形成体12近傍で合流する。流路凹部12Aは、第1流路15と第2流路16の合流した流路を形成する。
【0050】
開口部11Dの開口面の垂直方向から投影したとき、開口部11Dは、開口部11Dの射影部が第1放熱部材5のフィン部の射影部と第2放熱部材6のフィン部の射影部と重なるように形成される。
【0051】
同様に、開口部11Dの開口面の垂直方向から投影したとき、流れ迂回防止壁面11Cは、流れ迂回防止壁面11Cの射影部が第1放熱部材5のフィン部の射影部と第2放熱部材6のフィン部の射影部と重なるように形成される。そして、流れ迂回防止壁面11Cは、開口部11Dで形成される形状より小さく形成される。
【0052】
図5は、パワー半導体モジュールの流路への別の取付け例を示した断面図である。
【0053】
パワー半導体モジュール1は、上側流路形成体11と下側流路形成体12の内部に配置される。上側流路形成体11は、開口部11Aを備える。回路体2の端子を構成するインターフェース部2Aは、開口部11Aから突出する。つまりケース3は、端子を開口部11Aから突出させた状態で開口部11Aを覆う。上側流路形成体11は、上側流路内面11Gを形成する。上側流路内面11Gには、上流路溝11Hを形成する。
【0054】
第4シール部材17は、上流路溝11Hに挿入されケースシール面3Gとの間で圧縮される。つまりケース3は、当該ケース3と上側流路形成体11との間に第4シール部材17を挟んだ状態で、固定ネジ18(固定部材)によって上側流路形成体11に固定される
固定ネジ18は、上側流路形成体11にケース3を固定する。固定ネジ18は、第4シール部材17を圧縮させる軸力を発生させる。固定ネジ18は、ケース3の両端の2箇所に設置する。固定ネジ18は、第4シール部材17の内側に設置する。言い換えると、第4シール部材17は、固定ネジ18を囲む環状に形成される。
【0055】
ケース3は、固定ネジ18を締付ける為のネジ穴3Iを形成する。ネジ穴3Iは、流路19に貫通しないように設置する。
【0056】
これにより、パワー半導体モジュールは、流路からの冷媒漏れ発生を抑制しながら、流路形成体に強固に固定される。
【符号の説明】
【0057】
2…回路体
3…ケース
3A…第1開口部
3B…第2開口部
3C…第3開口部
3D…第1内壁面
3G…凸部
3H…突起部
3I…ネジ穴
4…押圧部材
4A…第1押圧部
4B…第2押圧部
4C…結合部
5…第1放熱部材
6…第2放熱部材
8…第1シール部材
9…シート
10…第2シール部材
図1
図2
図3
図4
図5