(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0008】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るVリブドベルトB(伝動ベルト)を示す。この実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、自動車のエンジンルーム内に設けられる補機駆動用のベルト伝動装置等に用いられるエンドレスのものである。実施形態1に係るVリブドベルトBは、例えば、ベルト長さが500〜3000mm、ベルト幅が10〜36mm、及びベルト厚さが4.0〜4.8mmである。
【0009】
実施形態に係るVリブドベルトBは、外側部分の接着ゴム層11と内側部分の圧縮ゴム層12との二重層に構成されたVリブドベルト本体10を備える。そして、そのVリブドベルト本体10の外側表面に補強布13が貼設されている。また、接着ゴム層11には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配された心線14が埋設されている。
【0010】
接着ゴム層11は、断面横長矩形の帯状に構成され、例えば、厚さ0.4〜1.5mmに形成されている。接着ゴム層11は、ゴム成分に配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して、硫黄により架橋されたゴム組成物で形成されている。
【0011】
接着ゴム層11を形成するゴム組成物のゴム成分は、エチレン−α−オレフィンエラストマーである。かかるエチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体ゴム等が挙げられ、具体的には、例えば、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンコポリマーゴム(EPM)、エチレン−ブテンコポリマーゴム(EBM)、エチレン−オクテンコポリマーゴム(EOM)等が挙げられる。α−オレフィンは、プロピレン、ブテン、ヘキセン、及びオクテンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらのうち優れた耐熱性と耐寒性を示すことからエチレン−α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムを用いることが好ましい。エチレン−α−オレフィンエラストマーは、一部がハロゲン置換されていてもよい。ゴム成分は、単一種のエチレン−α−オレフィンエラストマーを用いてもよく、また、複数種のエチレン−α−オレフィンエラストマーをブレンドして用いてもよい。なお、ゴム成分には、その50質量%未満の含有量でエチレン−α−オレフィンエラストマー以外のゴム成分を含んでいてもよい。
【0012】
接着ゴム層11を形成するゴム組成物には、配合剤として、硫黄及びα,β−不飽和脂肪酸金属塩が配合されている。また、これら以外の配合剤として、例えば、カーボンブラック、シリカ、有機補強剤、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤、シランカップリング剤等が配合されている。
【0013】
硫黄の配合量は、接着ゴム層11と心線14との接着力を向上させ、また、ベルト走行時におけるVリブドベルトBの発熱を抑えて接着ゴム層11と心線14との界面での剥離を抑制する観点から、ゴム成分100質量部に対して2質量部以上であることが好ましく、2.5質量部以上であることがより好ましい。一方、硫黄の配合量は、同様の観点から、ゴム成分100質量部に対して4質量部以下であることが好ましく、3.5質量部以下であることがより好ましい。
【0014】
α,β−不飽和脂肪酸金属塩は、α,β−不飽和脂肪酸と金属酸化物とを反応させたものである。α,β−不飽和脂肪酸としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸などのα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸等が挙げられる。金属としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、アルミニウム等が挙げられ、とくに二価の金属である亜鉛またはマグネシウムが好ましい。α,β−不飽和脂肪酸金属塩としては、具体的には、例えば、ジメタクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸マグネシウム、ジアクリル酸亜鉛等が挙げられる。α,β−不飽和脂肪酸金属塩は、単一種を用いてもよく、また、複数種を用いてもよい。
【0015】
α,β−不飽和脂肪酸金属塩の配合量は、接着ゴム層11と心線14との接着力を向上させる観点から、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、1.0質量部以上であることがより好ましい。一方、α,β−不飽和脂肪酸金属塩の配合量は、同様の観点から、ゴム成分100質量部に対して5.0質量部以下であることが好ましく、4.0質量部以下であることがより好ましい。
【0016】
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック(SAF、ISAF、N−339、HAF、N−351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF、N−234など)、サーマルブラック(FT、MTなど)、チャネルブラック((EPC、CCなど)、アセチレンブラック等が挙げられる。カーボンブラックは、単一種を用いてもよく、また、複数種を用いてもよい。カーボンブラックの配合量は、接着ゴム層11と心線14との接着力を向上させ、また、接着ゴム層11を優れた耐屈曲性を有しつつしなやかなゴム弾性を有するものとし、それによって心線14が接着ゴム層11から飛び出すことを防止する観点から、ゴム成分100質量部に対して10質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましい。また、カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100質量部に対して60質量部以下であることが好ましく、55質量部以下であることがより好ましい。
【0017】
シリカとしては、ゾル−ゲル法、湿式法、乾式法等の各種製法により得られたものが挙げられる。特に、補強効果並びに低発熱性と湿潤時の摩擦特性等の観点から湿式法で製造したシリカが好ましい。シリカのミクロ構造は特に制限されないが、ゴム分子との相互作用を高めることからBET吸着比表面積が50〜200cm
2/gであることが好ましい。シリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対して20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましい。また、シリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対して100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましい。シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して75質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して1000質量%以下であることが好ましく、900質量%以下であることがより好ましい。
【0018】
シリカ及びカーボンブラックの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して70質量部以上であることが好ましく、75質量部以上であることがより好ましい。一方、シリカ及びカーボンブラックの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましい。
【0019】
有機補強剤としては、例えば、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂、クマロンインデン樹脂、アミノ樹脂、ビニルトルエン樹脂、リグニン樹脂、ブチルフェノールアセチレン樹脂、キシレンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。これらのうち接着ゴム層11と心線14との接着力をより一層向上させることができ、また、接着ゴム層11と心線14との界面での剥離を抑制してVリブドベルトBの耐久性向上効果がより顕著になるという観点からは、熱硬化性のフェノール樹脂及びメラミン樹脂が好ましい。有機補強剤は、単一種を用いてもよく、また、複数種を用いてもよい。有機補強剤の配合量は、接着ゴム層11を優れた耐摩耗性、耐屈曲性を有しつつしなやかなゴム弾性を有するものとする観点から、ゴム成分100質量部に対して0.5〜3.0質量部であることが好ましい。
【0020】
加硫助剤としては、例えば、酸化マグネシウムや酸化亜鉛などの金属酸化物、金属炭酸塩、ステアリン酸などの脂肪酸及びその誘導体等が挙げられる。加硫助剤は、単一種を用いてもよく、また、複数種を用いてもよい。加硫助剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して3.0〜10質量部であることが好ましい。
【0021】
接着ゴム層11を形成するゴム組成物は、心線14が接着ゴム層11から飛び出すのを抑制する観点から、120℃における複素弾性率が20MPa以上であることが好ましい。一方、接着ゴム層11を形成するゴム組成物は、同様の観点から、120℃における複素弾性率が30MPa以下であることが好ましい。
【0022】
圧縮ゴム層12は、プーリ接触部分を構成する複数のVリブ15が内側に垂下するように設けられている。これらの複数のVリブ15は、各々が周方向に延びる断面略逆三角形の突条に形成されていると共に、ベルト幅方向に並列に設けられている。各Vリブ15は、例えば、リブ高さが1.5〜2.5mm、基端間の幅が2.3〜4.7mmに形成されている。また、リブ数は、例えば、3〜10個である(
図1では6個)。
【0023】
圧縮ゴム層12は、ゴム成分に種々の配合剤が配合されたゴム組成物で形成されている。ゴム成分としては、例えば、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、補強材、充填材、短繊維、中空粒子等が挙げられる。なお、圧縮ゴム層12を形成するゴム組成物は、ゴム成分に配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋させたものである。このゴム組成物は、硫黄を架橋剤として架橋したものであってもよく、また、有機過酸化物を架橋剤として架橋したものであってもよい。
【0024】
圧縮ゴム層12を形成するゴム組成物には、ナイロン短繊維等の短繊維16が配合されていてもよい。その場合、短繊維16が圧縮ゴム層12にベルト幅方向に配向するように含まれていることが好ましく、また、短繊維16が圧縮ゴム層12の表面から突出するように設けられていることが好ましい。なお、圧縮ゴム層12を形成するゴム組成物に短繊維16を配合した構成ではなく、圧縮ゴム層12の表面に短繊維16を付着させた構成であってもよい。
【0025】
補強布13は、ポリエステル繊維や綿等の経糸及び緯糸からなる平織り等の織布で構成されている。補強布13には、Vリブドベルト本体10に対する接着性を付与するために、成形加工前にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス水溶液(以下「RFL水溶液」という。)に浸漬して加熱する処理及びVリブドベルト本体10側となる表面にゴム糊をコーティングして乾燥させる接着処理が施されている。補強布13は、例えば、厚さが0.5〜2.0mmである。
【0026】
心線14は、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように配されているが、その螺旋のピッチは例えば0.6〜1.5mmである。
【0027】
心線14は繊維材料で形成されている。心線14を形成する繊維材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリビニルアルコール繊維(PVA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、4,6ナイロン繊維、6,6ナイロン繊維、カーボン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。心線14は、単一種の繊維材料で構成されていてもよく、また、複数種の繊維材料が混在して構成されていてもよい。心線14を構成する繊維材料の繊度は例えば200〜5000dtexであり、フィラメント径は例えば0.003〜0.030mmである。心線14を構成する繊維材料のトータル繊度は例えば2000〜18000dtexである。心線14の外径は例えば0.4〜2.2mm以上である。
【0028】
心線14の糸構成としては、例えば、片撚り糸、諸撚り糸、ラング撚り糸、組紐が挙げられる。これらのうち片撚り糸及び諸撚り糸が好ましい。
【0029】
心線14が片撚り糸の場合、撚り数は例えば2〜60T/10cmである。片撚り糸の心線14は、S撚り糸であってもよく、また、Z撚り糸であってもよく、さらに、S撚り糸及びZ撚り糸の両方を二重螺旋を形成するように設けてもよい。
【0030】
心線14が諸撚り糸の場合、下撚り糸の繊度は例えば600〜5000dtexである。下撚り数は、例えば2〜60T/10cmである。下撚り糸の本数は例えば2〜20本である。上撚り数は例えば2T/10cm以上である。諸撚り糸の心線14は、上撚りがS撚りであるS撚り糸であってもよく、また、上撚りがZ撚りであるZ撚り糸であってもよく、さらに、S撚り糸及びZ撚り糸の両方を二重螺旋を形成するように設けてもよい。
【0031】
心線14には、Vリブドベルト本体10の接着ゴム層11に対する接着性を付与するために、成形加工前に、RFL水溶液に浸漬した後に加熱する接着処理及び/又はゴム糊に浸漬した後に乾燥させる接着処理が施されている。
【0032】
接着処理で用いるRFL水溶液は、レゾルシンとホルムアルデヒドとの初期縮合物にラテックスを混合したものである。レゾルシン(R)とホルマリン(F)とのモル比は例えばR/F=1/1〜1/2である。ラテックスとしては、例えば、ビニルピリジンスチレンブタジエンゴムラテックス(Vp・SBR)、クロロプレンゴムラテックス(CR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴムラテックス(CSM)等が挙げられる。ラテックスは、単一種を用いてもよく、また、複数種を用いてもよい。レゾルシンとホルムアルデヒドとの初期縮合物(RF)とラテックス(L)の質量比は例えばRF/L=1/5〜1/20である。
【0033】
接着処理で用いるゴム糊は、未架橋ゴム組成物をトルエン等の溶剤に溶解させたものである。ゴム糊に含まれる未架橋ゴム組成物としては、例えば、接着ゴム層11の形成前の未架橋ゴム組成物等が挙げられる。従って、ゴム糊に含まれる未架橋ゴム組成物は、ゴム成分がエチレン−α−オレフィンエラストマーであり、α,β−不飽和脂肪酸金属塩が配合されていてもよい。
【0034】
心線14には、RFL水溶液及び/又はゴム糊による接着処理の前に、エポキシやイソシアネート(ブロックイソシアネート)をトルエン等の溶剤に溶解させた、或いは、水に分散させた下地処理剤に浸漬して加熱する接着処理が施されていることが好ましい。
【0035】
ところで、特許文献1に開示された伝動ベルトのように、単に接着ゴム層を形成するゴム組成物の複素弾性率を大きくしただけでは、ベルト長さ方向の剛性が高くなりすぎ、とりわけ小プーリに巻き掛けて用いた場合、接着ゴム層の復元力が大きいために耐久性が悪化しやすい。また、特許文献2に開示された伝動ベルトのように、接着ゴム層を形成するゴム組成物の125℃でのベルト長さ方向の10%伸び時の引張り応力を1.1〜1.7MPaとなるようにしただけでは、とりわけ伝動ベルトが高張力でプーリに巻き掛けて用いた場合、耐久性が低下しやすい。
【0036】
しかしながら、以上の構成の実施形態1に係るVリブドベルトBによれば、Vリブドベルト本体10のうち心線14が接触する接着ゴム層11が、エチレン−α−オレフィンエラストマーをゴム成分とし、そのゴム成分に対してα,β−不飽和脂肪酸金属塩が配合されると共に硫黄により架橋されたゴム組成物で形成されているので、心線14とVリブドベルト本体10との接着力を向上させることができ、そのため心線14が接着ゴム層を形成するゴム組成物から剥離するのを抑制することができ、その結果、高張力でプーリに巻き掛けられて、或いは、小径のプーリに巻き掛けられて用いられた場合でも十分な耐久性を得ることができる。
【0037】
図2は、実施形態1に係るVリブドベルトBを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置20のプーリレイアウトを示す。この補機駆動ベルト伝動装置20は、VリブドベルトBが4つのリブプーリ及び2つの平プーリの6つのプーリに巻き掛けられて動力を伝達するサーペンタインドライブ方式のものである。
【0038】
この補機駆動ベルト伝動装置20は、最上位置のパワーステアリングプーリ21と、そのパワーステアリングプーリ21のやや右斜め下方に配置されたACジェネレータプーリ22と、パワーステアリングプーリ21の左斜め下方で且つACジェネレータプーリ22の左斜め上方に配置された平プーリのテンショナプーリ23と、ACジェネレータプーリ22の左斜め下方で且つテンショナプーリ23の直下方に配置された平プーリのウォーターポンププーリ24と、テンショナプーリ23及びウォーターポンププーリ24の左斜め下方に配置されたクランクシャフトプーリ25と、ウォーターポンププーリ24及びクランクシャフトプーリ25の右斜め下方に配置されたエアコンプーリ26とを備えている。これらのうち、平プーリであるテンショナプーリ23及びウォーターポンププーリ24以外は全てリブプーリである。これらのリブプーリ及び平プーリは、例えば、金属のプレス加工品や鋳物、ナイロン樹脂、フェノール樹脂などの樹脂成形品で構成されており、また、プーリ径がφ50〜150mmである。
【0039】
この補機駆動ベルト伝動装置20では、VリブドベルトBは、Vリブ15側が接触するようにパワーステアリングプーリ21に巻き掛けられ、次いで、ベルト背面が接触するようにテンショナプーリ23に巻き掛けられた後、Vリブ15側が接触するようにクランクシャフトプーリ25及びエアコンプーリ26に順に巻き掛けられ、さらに、ベルト背面が接触するようにウォーターポンププーリ24に巻き掛けられ、そして、Vリブ15側が接触するようにACジェネレータプーリ22に巻き掛けられ、最後にパワーステアリングプーリ21へと戻るように設けられている。
【0040】
実施形態1に係るVリブドベルトBを用いたこの補機駆動ベルト伝動装置20では、VリブドベルトBのVリブドベルト本体10のうち心線14が接触する接着ゴム層11が、エチレン−α−オレフィンエラストマーをゴム成分とし、そのゴム成分に対してα,β−不飽和脂肪酸金属塩が配合されると共に硫黄により架橋されたゴム組成物で形成されているので、高張力でプーリに巻き掛けられて用いられても、或いは、プーリが小径化しても、十分な耐久性を得ることができる。
【0041】
次に、実施形態1に係るVリブドベルトBの製造方法について
図3(a)〜(c)に基づいて説明する。
【0042】
実施形態1に係るVリブドベルトBの製造において、まず、原料ゴムに各配合物を配合し、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で混練し、得られた未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形して接着ゴム層11用の未架橋ゴムシート11’(ベルト形成用の未架橋ゴム組成物)を作製する。同様に、圧縮ゴム層12用の未架橋ゴムシート12’も作製する。このとき、圧縮ゴム層12にベルト幅方向に配向するように短繊維16を含有させる場合には、シート状に成形したものを所定長さに切断し、それらを短繊維16が幅方向に配向するように連結して未架橋ゴムシート12’を形成すればよい。さらに、補強布13となる織布13’に、RFL水溶液に浸漬して加熱する処理及びVリブドベルト本体10側となる表面にゴム糊をコーティングして乾燥させる接着処理を行い、両端辺を接合して筒状に形成する。また、心線14となる撚り糸14’を下地処理剤及びRFL水溶液のそれぞれに浸漬して加熱する接着処理を行った後、ゴム糊に浸漬して加熱乾燥する接着処理を行う。
【0043】
次いで、
図3(a)に示すように、円筒状の内金型30の外周に補強布13となる織布13’を被せた後、その上に接着ゴム層11の外側部分を形成するための未架橋ゴムシート11’を巻き付け、次いで、その上に心線14となる接着処理済の撚り糸14’を螺旋状に巻き付けた後、その上に接着ゴム層11の内側部分を形成するための未架橋ゴムシート11’を巻き付け、さらにその上に圧縮ゴム層12を形成するための未架橋ゴムシート12’を巻き付ける。
【0044】
しかる後、内金型30上の成形体にゴムスリーブを被せてそれを成形釜にセットし、内金型30を高熱の水蒸気などにより加熱すると共に、高圧をかけてゴムスリーブを半径方向内方に押圧する。このとき、ゴム成分が流動すると共に架橋反応が進行し、加えて、撚り糸14’のゴムへの接着反応も進行して
図3(b)に示すように複合化する。これによって、筒状のベルトスラブB’(ベルト本体プリフォーム)が成形される。
【0045】
そして、内金型30からベルトスラブB’を取り外し、それを長さ方向に数個に分割した後、
図3(c)に示すように、それぞれの外周を研磨切削してVリブ15を形成する。
【0046】
最後に、分割されて外周にVリブ15が形成されたベルトスラブB’を所定幅に幅切りし、それぞれの表裏を裏返すことによりVリブドベルトBが得られる。
【0047】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る平ベルトCを示す。
【0048】
この実施形態2に係る平ベルトCは、例えば、送風機、コンプレッサー若しくは発電機の駆動伝達用途又は搬送用途等に用いられるエンドレスのものである。実施形態2に係る平ベルトCは、例えば、ベルト長さが600〜3000mm、ベルト幅が10〜100mm、及びベルト厚さが1.0〜5.0mmである。
【0049】
実施形態2に係る平ベルトCは、ベルト外側の帯状の接着ゴム部(心線埋設部分)41aとベルト内側の帯状の底ゴム部41bとが積層されて一体となってエンドレスの平ベルト本体が構成されている。また、この平ベルトCは、接着ゴム部41aの厚さ方向の中央にベルト幅方向に一定ピッチの螺旋を形成するように心線42が埋設されている。さらに、この平ベルトCは、ベルト外側表面が補強布43で被覆されている。
【0050】
接着ゴム部41aは、断面横長矩形の帯状に構成され、例えば、厚さが0.4〜1.5mmである。接着ゴム部41aは、ゴム成分に種々の配合剤が配合されたゴム組成物で形成されており、その組成としては実施形態1の接着ゴム層11と同一である。
【0051】
底ゴム部41bは、断面横長矩形の帯状に構成され、例えば、厚さ0.5〜2.0mmである。底ゴム部41bは、ゴム成分に種々の配合剤が配合されたゴム組成物で形成されている。ゴム成分としては、実施形態1の圧縮ゴム層12の場合と同様、例えば、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)等が挙げられる。配合剤としては、実施形態1の圧縮ゴム層12の場合と同様、例えば、架橋剤、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、補強材、充填材、短繊維、中空粒子等が挙げられる。なお、底ゴム部41bを形成するゴム組成物は、ゴム成分に配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物を加熱及び加圧して架橋させたものである。このゴム組成物は、硫黄を架橋剤として架橋したものであってもよく、また、有機過酸化物を架橋剤として架橋したものであってもよい。
【0052】
心線42は、実施形態1と同様、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリビニルアルコール繊維(PVA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、4,6ナイロン繊維、6,6ナイロン繊維、カーボン繊維、又はガラス繊維で形成された撚り糸に、成形加工前にRFL水溶液等による接着処理が施されたもので構成されている。心線42は、例えば、外径が0.4〜2.2mm、ベルト幅方向のピッチは外径の1.2〜2倍である。
【0053】
補強布43は、実施形態1と同様、ポリエステル繊維や綿等の経糸及び緯糸からなる平織り等の織布で構成されている。補強布43は、平ベルトCに対する接着性を付与するために、成形加工前にRFL水溶液に浸漬して加熱する処理及び平ベルトC側となる表面にゴム糊をコーティングして乾燥させる処理が施されている。補強布43は、例えば、厚さが0.5〜2.0mmである。
【0054】
なお、以上のような構成の平ベルトCは、公知の製造方法によって製造することができる。
【0055】
図5は、実施形態2に係る平ベルトCを用いたベルト伝動装置50のプーリレイアウトを示す。
【0056】
このベルト伝動装置50は、平ベルトCが駆動プーリ51及び従動プーリ52の一対の平プーリに巻き掛けられて動力を伝達する構成のものである。駆動プーリ51のプーリ径は例えば50〜200mmであり、従動プーリ52のプーリ径は例えば50〜200mmである。
【0057】
(その他の実施形態)
上記実施形態1及び2では、VリブドベルトB及び平ベルトCを伝動ベルトの例としたが、特にこれに限定されるものではなく、Vベルト、歯付ベルト等であってもよい。
【実施例】
【0058】
(Vリブドベルト)
以下の実施例1〜12及び比較例1〜12のVリブドベルトを作製した。それぞれの特徴的構成については表1〜3にも示す。
【0059】
<実施例1>
上記実施形態1と同一の方法により実施例1のVリブドベルトを作製した。具体的には、この実施例1のVリブドベルトでは、ゴム成分をエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)(JSR社製 商品名:EP22)とし、そのゴム成分100質量部に対して、シリカ(エボニックデグサジャパン社製 商品名:ウルトラジルVN3、BET比表面積が175cm
2/g)40質量部、FEFカーボンブラック(東海カーボン社製 商品名:シーストSO、DBP吸油量115cm
3/100g)40質量部、オイル(日本サン石油社製 商品名:SUNPAR2280)15質量部、ステアリン酸(日本油脂社製 商品名:ステアリン酸つばき)1質量部、酸化亜鉛(堺化学工業社製 商品名:酸化亜鉛3種)5質量部、ジメタクリル酸亜鉛(川口化学社製 商品面:アクターZMA)2質量部、フェノール樹脂(住友ベークライト社製 商品名:スミライトレジンPR12687)1.5質量部、硫黄(日本乾溜工業社製 商品名:セイミOT)3質量部、チアゾール系加硫促進剤(大内新興化学工業社製 商品名:ノクセラーDM)1質量部、及びチウラム系加硫促進剤加硫促進材(大内新興化学工業社製 商品名:ノクセラーTBT)2質量部を配合して密閉式混練機で混練したものをカレンダーロールで圧延したシート状の未架橋ゴム組成物を用いて接着ゴム層を形成した。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0060】
圧縮ゴム層は、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)にナイロン短繊維及び硫黄を配合したゴム組成物で形成した。心線は、パラ系アラミド繊維(帝人社製 商品名:テクノーラ)で形成された撚り糸に、成形加工前に、レゾルシンとホルムアルデヒドとの初期縮合物にラテックスを混合したRFL水溶液に浸漬した後に加熱する接着処理を施したもので構成されている。補強布は、ゴム引き帆布で構成されている。
【0061】
実施例1のVリブドベルトは、ベルト周長が1180mm、ベルト厚さが4.0mm、Vリブ高さが2.0mm、及びリブ数が3個のもの(ベルト幅10.68mm)であった。
【0062】
<実施例2>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して30質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例2とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して75質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して70質量部である。
【0063】
<実施例3>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して45質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して55質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例3とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して82質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して100質量部である。
【0064】
<実施例4>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して60質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して40質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例4とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して150質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して100質量部である。
【0065】
<実施例5>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して50質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して30質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例5とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して167質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0066】
<実施例6>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して60質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して10質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例6とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して600質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して70質量部である。
【0067】
<実施例7>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して90質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して10質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例7とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して900質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して100質量部である。
【0068】
<実施例8>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のジメタクリル酸亜鉛の配合量をEPDMポリマー100質量部に対して0.5質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例8とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0069】
<実施例9>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のジメタクリル酸亜鉛の配合量をEPDMポリマー100質量部に対して3質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例9とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0070】
<実施例10>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のジメタクリル酸亜鉛の配合量をEPDMポリマー100質量部に対して5質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例10とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0071】
<実施例11>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物の硫黄の配合量をEPDMポリマー100質量部に対して2質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例11とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0072】
<実施例12>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物の硫黄の配合量をEPDMポリマー100質量部に対して4質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例12とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0073】
<比較例1>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して20質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して60質量部とし、ジメタクリル酸亜鉛の配合量をEPDMポリマー100質量部に対して0質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例1とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して33質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0074】
<比較例2>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のジメタクリル酸亜鉛の配合量をEPDMポリマー100質量部に対して0質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例2とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0075】
<比較例3>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して20質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して50質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例3とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して40質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して70質量部である。
【0076】
<比較例4>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して30質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して70質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例4とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して43質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して100質量部である。
【0077】
<比較例5>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して100質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して10質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例5とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して1000質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して110質量部である。
【0078】
<比較例6>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して80質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して0質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例6とした。
【0079】
<比較例7>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して60質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して60質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例7とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して120質量部である。
【0080】
<比較例8>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して80質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して40質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例8とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して200質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して120質量部である。
【0081】
<比較例9>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のシリカの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して30質量部とし、カーボンブラックの配合量をEPDMポリマー100質量部に対して30質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例9とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して60質量部である。
【0082】
<比較例10>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物のジメタクリル酸亜鉛の配合量をEPDMポリマー100質量部に対して7質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例10とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0083】
<比較例11>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物の硫黄の配合量をEPDMポリマー100質量部に対して1質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例11とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0084】
<比較例12>
接着ゴム層を形成する未架橋ゴム組成物の硫黄の配合量をEPDMポリマー100質量部に対して5質量部としたことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例12とした。従って、シリカの配合量は、カーボンブラックの配合量に対して100質量%である。また、FEFカーボンブラック及びシリカの合計配合量は、ゴム成分100質量部に対して80質量部である。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
(試験評価方法)
<動的粘弾性測定>
実施例1〜12及び比較例1〜12のそれぞれのVリブドベルトの接着ゴム層を形成するゴム組成物について、プレス成形により同じ組成のゴムシートを作製し、そして、そこからベルト長さ方向に対応する列理方向を長さ方向とする短冊状のテストピースを切り出し、JIS K6394に準じて、動的粘弾性測定装置(DMA)(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製;RSAIII)を用いて動的粘弾性を測定して複素弾性率を求めた。測定条件は、120℃の温度雰囲気、引張りモード、周波数10Hz、動歪1.0%、及び静荷重0.294MPaとした。
【0089】
<接着力測定>
実施例1〜12及び比較例1〜12のそれぞれのVリブドベルトについて、
図6に示すように、幅方向に切断して長さ150mmに切り出した短冊状ベルト片から補強布を剥離して心線側面を露出させたテストピースTを作成した。このテストピースTの長さ方向の一端の中央付近から、心線1本を他端の方に約80mm剥離した。そして、120℃の雰囲気下において、テストピースTの一端と剥離した心線端とをそれぞれ引張試験機のチャックに固定し、引張速度50mm/minで心線の剥離接着力の測定を行い、比較例1の接着力を1.00とし、実施例1〜12、比較例2〜12のそれぞれの接着力の相対値を算出した。なお、テストチャートは、
図7のように得られ、このうちピーク値を低いものから5つ選び、それらの平均値を剥離接着力とした。また、各ベルトで2つのテストピースTについて試験を行い、データは剥離接着力の低い方のデータを採用した。
【0090】
<耐久性試験>
図8は、Vリブドベルトにおける耐久性試験用のベルト走行試験機60を示す。
【0091】
このベルト走行試験機60は、プーリ径120mmのリブドプーリである駆動プーリ61と、その左斜め上方に設けられたプーリ径85mmの平プーリであるアイドラープーリ62と、アイドラープーリ62の右斜め上方に設けられたプーリ径120mmのリブドプーリである第1従動プーリ63と、駆動プーリ61の右斜め上方で且つ第1従動プーリ63の右斜め下方に設けられたプーリ径45mmのリブドプーリであるテンションプーリ64とを備えている。アイドラープーリ62にはベルト巻き付け角度(θ
1)が120度となるように、また、テンションプーリ64にはベルト巻き付け角度(θ
2)が90度となるように、それぞれVリブドベルトBが巻き付けられる。テンションプーリ64は、巻き掛けられたVリブドベルトBにベルト張力が負荷できるように、左右可動で且つ右方に一定のデッドウェイトDWによる軸荷重が負荷できるように構成されている。
【0092】
実施例1〜12及び比較例1〜12のそれぞれのVリブドベルトBについて、上記ベルト走行試験機60の駆動プーリ61、被動プーリ63、及びテンションプーリ64に圧縮ゴム層12のVリブ15が接触し、また、アイドラープーリ62に補強布13の表面が接触するように巻き掛けた後、テンションプーリ61には9.06NのデッドウェイトDWを右方に負荷した。続いて120℃の雰囲気下において、駆動プーリ61を4900rpmの回転数で回転させてVリブドベルトを走行させた。そして、ベルトに最初に欠陥が生じた箇所の状態を記録した。また、ベルトに最初に欠陥が生じた後も、心線の周辺に不具合が生じるまで走行し、ベルトの走行を開始してから心線の周辺に不具合が生じるまでの走行時間を測定し、比較例1の走行時間を1.00とし、それぞれの走行時間の相対値を算出した。
【0093】
(試験評価結果)
試験評価結果を表4〜6に示す。
【0094】
【表4】
【0095】
接着ゴム層の120℃における複素弾性率は、実施例1が22.87MPa、実施例2が20.46MPa、実施例3が26.98NPa、実施例4が27.58MPa、実施例5が23.12MPa、実施例6が22.75MPa、実施例7が29.71MPa、実施例8が23.21MPa、実施例9が21.73MPa、実施例10が20.71MPa、実施例11が21.10MPa、及び実施例12が25.39MPa、並びに比較例1が22.81MPa、比較例2が23.86MPa、比較例3が19.15MPa、比較例4が25.77MPa、比較例5が33.20MPa、及び比較例6が26.98MPa、比較例7が35.31MPa、比較例8が37.12MPa、比較例9が18.15MPa、比較例10が18.52MPa、比較例11が20.30MPa、及び比較例12が27.27MPaであった。
【0096】
【表5】
【0097】
心線の接着力は、比較例1の接着力を1.00とすると、実施例1が1.58、実施例2が1.45、実施例3が1.40NPa、実施例4が1.49、実施例5が1.67、実施例6が1.71、実施例7が1.68、実施例8が1.40、実施例9が1.79、実施例10が1.95、実施例11が1.44、及び実施例12が1.63、並びに比較例2が1.15、比較例3が1.35、比較例4が1.32、比較例5が1.64、及び比較例6が1.65、比較例7が1.33、比較例8が1.38、比較例9が1.40、比較例10が1.19、比較例11が1.25、及び比較例12が1.67であった。
【0098】
【表6】
【0099】
ベルトの走行を開始してから心線の周辺に不具合が生じるまでの走行時間は、比較例1の接着力を1.00とすると、実施例1が2.55、実施例2が2.33、実施例3が2.11NPa、実施例4が2.49、実施例5が2.67、実施例6が2.42、実施例7が2.03、実施例8が2.08、実施例9が2.75、実施例10が2.50、実施例11が2.11、及び実施例12が2.39、並びに比較例2が1.10、比較例3が1.49、比較例4が1.31、比較例5が1.68、及び比較例6が1.79、比較例7が1.59、比較例8が1.63、比較例9が1.29、比較例10が1.91、比較例11が1.85、及び比較例12が1.93であった。
【0100】
また、ベルトを走行させた際に最初に欠陥が生じた箇所の状態は、実施例1〜12では、圧縮ゴム層のクラックであったのに対し、比較例1〜5及び比較例7〜9では、Vリブドベルトの分解であり、比較例6及び比較例10〜12では、接着ゴム層からの心線の剥離であった。