(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
90%超の純度のCO2を供給されると、COを90%超の純度で製造する装置であって、該装置は、アノード側及びカソード側を備えた少なくとも1つの固体酸化物型電解セルを含み、そして、該装置は、出力ガス分離ユニットをさらに含み、その際、該装置は、0℃〜50℃の温度で運転され、
その際、前記装置が、少なくとも1つの固体酸化物型電解セルを収容するコンパートメントを含み、そしてその際、該コンパートメントが、そのコンパートメントによって取り囲まれた空間をフラッシュする手段を含み、そして、前記カソード側の圧力が、前記アノード側の圧力よりも高く、該アノード側の圧力が、前記コンパートメントの圧力よりも高く、そして、該コンパートメントの圧力が大気圧よりも低く、そしてその際、該コンパートメントは、CO2でフラッシュされ、そして、該CO2パージは、該コンパートメントから、アルミナ又はTiO2ベースの担体上のPt及び/又はPdの貴金属触媒を含む触媒を利用する接触酸化反応器に向かって方向付けられ、そして該触媒は、100℃超で作用する、上記の装置。
前記装置が、スタックに配置された複数の固体酸化物型電解セルを含み、そして、その際、該装置が、選択された固体酸化物型電解セルにわたって通る電流を個別に制御する手段をさらに含む、請求項1に記載の装置。
前記装置が、少なくとも1つの固体酸化物型電解セルのアノード側をCO2でフラッシュ(flush)する手段をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一つに記載の装置。
メタルダスティングに曝され得る選択された構成要素が、InconelのようなNiリッチ金属で造られているか、又は該構成要素が、Cu又はSn/Ni被膜で被覆される、請求項1〜8のいずれか一つに記載の装置。
メタルダスティングに曝され得る選択された構成要素が二重管からなり、その際、内側の管は銅管からなり、その銅管がこの銅管よりも高い機械的強度を有する外側の管の内側に配置され、それによって、メタルダスティング保護を達成すると同時に、該外側の管の機械的強度を、該銅管のメタルダスティングに対する耐性と組み合わせることができる、請求項1〜9のいずれか一つに記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上述の問題を解決する、COの製造装置及び製造方法を提供することである。
【0007】
より詳細には、本発明の課題は、現在知られている技術よりも低い費用でCOを製造するためのSOEC装置及び方法を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる課題は、低温技術を使用することなく、低い費用でかつ高純度でCOを製造するためのSOEC装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、COの製造及び精製の方法に関し、該方法は、CO2の電気分解を、簡単で安価な“室温”ガス清浄法及びガス分離法を組み合わせることに基づいている。この発明は、高純度のCOを、少量で、例えば、消費する現場又は地方の流通センターで製造するのを技術的及び経済的に可能にする。
【0010】
CO2の電気分解は、CO2の電気分解のために利用できる技術が少ないために、水の電気分解よりも知られていない。CO2の電気分解に非常に有効な技術の一つは、固体酸化物型電解セルである。
【0011】
CO2の電解槽の基本は、電解槽のカソードに(ある程度のCOを含む可能性のある)CO2を供給することである。電流が印加されると、CO2はCOに転化されて、高濃度のCOを有する出力流が生成される。
2CO2(カソード)→2CO(カソード)+O2(アノード)
【0012】
純粋なCO2がSOEC中に挿入されると、出力は転化されたCO及び未転化のCO2である。必要に応じて、−100℃超の温度で稼働されるCO/CO2分離装置で未転化のCO2を除去して、最終的に高純度のCOを生成することができる。
【0013】
−100℃超の温度で稼働される公知のガス分離技術に伴う特別な問題の一つとは、そのような技術が、一般に、一種又は数種の分子に対して選択的でしかなく、そのために、CO+CO2の電解槽の出力流から、例えば、Ar又はN2を、除去するのが困難になることである。
【0014】
それ故、本発明の実施形態は、次の特徴を備える。
・電解槽の供給原料として高純度のCO2を使用すること。
・たとえ、電解槽スタック中に漏れが存在しているとしても、生成物流に不純物が添加されない、というスキームでSOEC電解槽が運転される。
【0015】
ここで、純度とは、
濃度(CO2)+濃度(CO)
と定義される。
【0016】
ガス分離
CO2又はCOをガス流から分離するための、従来知られている4つの技術がある。これらは、吸収、吸着、膜ろ過及び凝縮として特徴付けられ、そしてそれらの全ては本発明に使用することができる。
【0017】
溶媒吸収は、ガス流から直接、CO2又はCOが液体、典型的には、水又はアミン中に吸収される、周期的なプロセスを包含する。典型的には、CO2は除去され、そして、その際、処理されたガス流は最終的な精製CO流である。吸収液は、CO2を除去するように処理することができ、その後、さらなる電気分解で再利用することができる。結果として得られるCO2不含の液体は、再び、吸収に使用され、プロセスは継続される。この技術は、極めて広範な用途で使用されているが、溶媒を再生するのに多大な電力を必要とする。
【0018】
吸着は、ガス流から固体、典型的に、鉱物ゼオライトの表面上にCO2又はCOが吸着される、周期的なプロセスに基づいている。典型的に、CO2は除去され、そして、処理されたガス流は、その際、最終的な精製CO流である。固体は、次いで、CO2を除去するために、圧力か又は温度のいずれかにおける差を用いる段階で精製される。普通の吸着技術はいわゆる圧力スイング吸着法(PSA)と呼ばれ、産業界で広く用いられているが、小規模な運転(<2000Nm3/時)では非常に高価となる恐れがある。
【0019】
ポリマー又はセラミックから製造される膜は、ガス流からCO2又はCOを効率的にろ別するのに使用することができる。膜材料は、混合物中の分子を優先的に分離するよう特別に設計される。構成の範囲は、単純にガス分離装置か、又は導入液吸着段階のいずれかとして存在する。しかしながら、この方法は大規模で適用されていないため、入力ガスの組成及び温度に関する複数の課題が存在する。さらに、膜の選択率には限界があり、高純度(例えば、>99.5%)のガス出力を得るには、典型的には、多くの再生利用が必要となる。
【0020】
凝縮技術は、電解槽のガス流からCO2を冷却して凝縮するのに低温を使用する。一方でCO2が凝縮され(例えば、−90℃)、他方からCO2が(例えば、−40℃で)放出される2つの冷却器を使用することにより、凝縮CO2除去ユニットを連続して運転することが可能となる。
【0021】
SOECベースのガス清浄
上述の慣用的なガス清浄技術に代わるものとして、本発明は、CO+CO2流から必要量のCO2を除去するのに使用される、専用の電解槽の設計を有する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明による実施形態の範囲が開示され、そしてそれらの利点が説明される。
【0024】
原則的に、正しい電流及び電圧を印加することによって、電解槽に供給された全てのCO2をCOに転化することができる。典型的には、高い転化比率に対する実際の制約は、スタックを通過する単流、及びスタック中の異なるセル間を若干不均質なガス流で稼働することである。
図2は、スタックのガス及び電流の流れを図式的に示している。ガスは底部から供給され、次いで、スタックを上方に向かってセルを横断するように進行する。上に向かうフローチャンネルにおける圧力損失及び異なるセルにわたる圧力損失における不可避的な差に起因して、異なるセルにわたる流れ(フロー)中には常にある程度の変化がある。
【0025】
最大の電流が、最小の流量による1つのセル中での100%の転化率に相当するように、スタック中の全てのセルに印加できる電流は、最小の流量で1つのセルを横断する流れに制限される。この最小の流量のセルのための100%超の転化率に相当する電流が印加される場合、その電流は、最小の流量のセルにおける構造的変化を引き起こし、そして、そのセルは、スタックと一緒に急速に劣化する。典型的には、、これは、70個のセルスタックで80%、そして10個のセルスタックで90%の最大転化率をもたらす。
【0026】
図1に示す本発明の一実施形態では、高純度CO2の入力ガスのSOEC電気分解後に、CO2からCOを分離する必要がある。CO2分離装置は、従来公知のいずれのものであってもよく、そして、さらなるSOECは以下に記載するとおりである。分離されたCO2は、SOEC電解槽の入力側に再循環させることができる。
【0027】
本発明のさらなる実施形態において、SOECスタックが非常に高い転化率で稼働することで、非常に高純度の(例えば、90%超、そして例えば、99%超)CO出力流が直接生成できるスキームが提案される。この実施形態は、各セルを通した電圧の監視に基づいて、各セルを横断する電流を個別に制御することに基づいている。
【0028】
SOECのセルを通した電圧は、次の式によって表すことができる。
【0029】
【数1】
式中、I
cell及びR
cellは、それぞれ、関連するセルの抵抗率である。p
CO2、p
CO及びp
O2は、それぞれ、CO2、CO及びO2の分圧(bar)である。
【0030】
これは、ガス中のCO2の割合が減少するに従って、各セルを通じる電圧が著しく増大することを暗示している。
【0031】
本発明の実施形態において、SOECスタックは、高純度のCOを直接製造するのに使用される。これは、各セルを通した電圧を監視し、そして所望レベルのCO2に相当する所望のセル電圧を付与するように各セルを通る電流を個別に調節することによって達成される。
【0032】
このことは
図3に示されており、その場合、スタックには、CO2の不均一な流量及び共通電流(I
Common)が供給される。各セルを通る電流(例えば、セル“i”)は、次いで、セルに特定の電流(例えば、I
i=I
common+ΔI
i)を提供するように(電流ΔI
iで)調節され、それにより、個々のセルを通る所望の電圧(例えば、V
ref)及びCO濃度が得られる。
【0033】
この電流の調節スキームは、多くのやり方で実現できる。これは、比較的大きな共通電流を提供し、次いで、ダイオードか、又は、より自由にトランジスタ及びトランジスタ電流制御回路で余剰の電流を除去することで実現できた。エネルギー的により効率的な代替法は、比較的低い共通電流を提供し、次いで、追加の電流(例えば、スイッチモード技術に基づく)を加えて所望のセル電圧を得ることである。
【0034】
図4に示すような本発明のさらなる実施形態では、電圧及び電流の個別の制御は、CO2からCOへの転化の最終段階にのみ適用される。その際、バルクのCO2転化は、全てのセルが同じ電流で運転される
慣用的なスタック中で行われる。これにより、例えば、全てのセルで共通の電流でゆっくりと稼働する慣用的なスタックでは、100%CO2の流れを、15%のCO2及び85%のCOに転化することができた。第二段階(典型的には、より少ないセル及び高い流れを含む)において、異なるセル又はセルのグループについて電流が個別に制御されるスタック中で、その15%のCO2及び85%のCOは、高純度のCO、例えば、99.7%のCO、及び0.3%のCO2に転化される。バルクのCO2転化のための比較的安価で慣用的なSOECスタックを、そして小規模な転化のための比較的高価な電圧及び電流の個別制御SOECスタックを提供するために、この実施形態は費用効率が高い。
【0035】
SOEC関連の不純物の回避
この発明の出力段階では、高価なCO2の分離を避けるためには、SOEC電解槽が、ガス流に不純物を追加しないことが重要な意味をもっている。
【0036】
そのような潜在的な不純物の主要源は、SOECスタックにおける漏れである。これは、
図5に示されるように、スタックのカソード側とアノード側との間の漏れである場合があり、及び、スタックと外部大気との間の漏れである場合がある。これらの漏れのタイプは、固体酸化物型のスタックでしばしば経験される。漏れは、セルとインターコネクタとの間の不完全なシーリングによって部分的に生じる。というのも、製造後の固体酸化物型電解質には小さい亀裂が存在し易かったり、システムの寿命の間にそのような亀裂が進行したりする場合があるからである。もし、電解槽が、アノード側で純粋な酸素により運転される場合、酸素が、COと燃焼してCO2が生成するため、アノード側とカソード側との間の漏れは、生成されたガスの純度(CO2濃度+CO濃度と定義される)には影響を及ぼさない。しかしながら、高純度の酸素は、それがSOEC電解槽で生成される約800℃の高い温度での取扱いが非常に困難である。これらの問題は腐食に関連し、そして、高温の金属部品を燃焼する可能性さえある。したがって、酸素濃度を低減するために電解槽の酸素側をフラッシュすることは魅力的な案であり得る。
【0037】
本発明の実施形態では、酸素側(アノード)は、SOECスタックが内部の漏れに曝される場合であっても、CO2でフラッシュされて、SOECの出力ガスのCO2+CO純度が低減することなく、酸素濃度が低減される。
【0038】
本発明のさらなる実施形態では、
図6に示されるように、一つのSOECスタック又は複数のスタックは、閉じたコンパートメント中に封入され、それがCO2でフラッシュされる。これにより、SOECスタックが外部の漏れに曝される場合であってもSOECの出力ガスのCO2+CO純度は維持される。
【0039】
本発明のさらなる実施形態において、SOECスタックの異なるコンパートメントが、異なる圧力で稼働する。アノード(O2)側に対する圧力がP1であり、カソード(CO2)側に対する圧力はP2であり、そしてスタックの外側の圧力はP0である場合、スタックは、例えば、次の条件で運転することができた。すなわち、
P0<P1<P2。
【0040】
これにより、外部側からスタック中に浸透する不純物がほとんどなく、そして、COが製造される、アノード側からカソード側への拡散もほとんどないことが確実となる。
【0041】
コンパートメントP0は、CO2によりさらにパージすることができ、その際、そのパージ流は、空気の追加後に接触酸化段階を通過する(
図6を参照)。接触酸化段階は、COとO2との間の酸化反応に活性な触媒を含むべきである。
2CO+O
2→2CO2
触媒は、例えば、アルミナ又はTiO
2ベースの担体上で任意にV
2O
5及びWO
3と組み合わされたPt及び/又はPdのような貴金属触媒であることができる。その局所環境に放出されるCOを確実に除去するために、触媒は、100℃超、好ましくは150〜250℃で作用させるべきである。
【0042】
さらに、COのP0中への漏れが、どのような環境下でも周囲に逃れることができないことを保証すべく、P0で示されるコンパートメント中の絶対圧は大気圧よりも低くなるように選択することができる。
【0043】
SOEC出力ガスの純度の向上
非常に高価なCO2の供給原料の使用を避けるために、本発明は、CO2の供給ガスが、望ましくない“汚染”ガスをいく分か有することを考慮しなければならない。このことは、2つの望ましくない影響をシステムにもたらす。すなわち、
・汚染ガスは、SOEC又はCO/CO2分離装置の運転に影響を及ぼすか、あるいはそれらを汚染し得る。
・良好に設計されたCO/CO2分離装置に関して、汚染ガスは、一般に、CO2流に分離される。この流れをSOECに再循環させるのが典型的には有利であるため、その汚染ガスがシステム内に蓄積される可能性がある。
【0044】
これらの潜在的な問題に取り組むために、本発明は、
図10に見られるような実施形態を含み、その形態では、
・望ましくないガス汚染物質を除去するために、SOECの前に吸収剤又は吸着剤が使用される。特に、硫黄種及びシロキサンは固体酸化物型セルを汚染することが知られている。これらは、例えば、活性炭又はNi−又はCuベースの吸収剤で吸収できる。
・汚染ガスの蓄積を回避するために“パージ”を再循環流中に構築することができる。しかしながら、再循環流は、典型的には、多くの場合、安全に排気できないCOを含む。本発明の実施形態の一つは、空気からか又はSOECの酸素出力からの酸素と組み合わされる再循環流のパージアウトレットを含み、その際、CO及び過剰のO2は、酸化触媒(CatOx)上でCO2を形成する。
【0045】
炭素の形成及びメタルダスティングの回避
高められた温度で稼働する高純度CO製造装置に関連した実用上の問題の一つとは、いわゆるBoudouard反応によって、一酸化炭素から炭素が形成され得ることである。
CO+CO→C+CO2
【0046】
大体700℃未満の温度領域では、炭素の堆積は熱力学的に有利であり、そしてCOリッチガスが冷却すると、炭素は、例えば、管や熱交換器の金属表面上に堆積し得る。これにより、メタルダスティングとして知られる機構によって金属の腐食を招く場合があり、これは、供される金属部品を最終的に破壊する恐れがある。供される表面に、特定の金属又は特定のコーティングを使用することによって、COリッチ環境における炭素の堆積及びメタルダスティングをより回避することができる。本発明の特定の実施形態では、選択された金属又はコーティングが使用されて、SOEC電解槽の出力区域での炭素の形成及びメタルダスティングが防止される。
【0047】
この実施形態は、Ni−リッチ金属、例えば、Inconel、より具体的にはInconel 693の使用を含む。この実施形態はまた、金属表面の特別なコーティング、例えば、55〜65%Snを有する例えばCu又はSn/Niコーティングで被覆された表面も含む。
【0048】
上述したコーティングに加えて、他の可能性とは二重管配置を使用することである。Cuの場合、実行可能な選択肢とは、要求される機械的強度を有する管の内部に銅の管を挿入することである。銅管は、高められた温度ではその機械的強度は弱まるが、銅管を、例えば、高級合金ステンレス鋼の管の内側に適用し、そして管表面間の密着を確保することにより、鋼管の機械強的強度を銅管のメタルダスティングに対する抵抗性と組み合わせることができる。メタルダスティングに対する保護は、Cu表面がガスの大部分に曝されることに起因する。ライニングの不完全さによって、少量のガスはコンパートメントへの過程に存在し得るが、これらのコンパートメント中のメタルダスティング作用の強いガスは流れずに停滞するため、金属表面に対してそれほど影響を及ぼし得るものではない。システムの圧力低下時に、管を分離する力が、システムにおける圧力レベルに直接依存するため、このことは、大気圧に対して密閉して運転される用途において特に有利である。
【0049】
本発明の特徴
1.90%超の純度のCO2が供給されると、COを90%超の純度で製造する装置であって、該装置は、アノード側及びカソード側を備えた少なくとも1つの固体酸化物型電解セルを含み、そして、該装置は、出力ガス分離ユニットをさらに含み、その際、該装置は、0℃〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度、好ましくは室温で運転される、上記の装置。
【0050】
2.上記の装置が、スタックに配置された複数の固体酸化物型電解セルを含み、そして、その際、該装置が、選択された固体酸化物型電解セルにわる電流を個別に制御する手段をさらに含む、上記の1の項に記載の装置。
【0051】
3.該電流の個別の制御が、選択された固体酸化物型電解セルにわたって通した電圧を監視することに基づく、上記の2の項に記載の装置。
【0052】
4.該出力ガス分離ユニットが、前記スタックに統合される、上記の2又は3の項に記載の装置。
【0053】
5.該出力ガス分離ユニットが、ガス分離の固体酸化物型電解セルスタックに配置された複数のセルを含み、そしてその際、該スタックは、選択されたセルにわたって通る電流を個別に制御する手段を含む、上記の1〜3の項のいずれか一つに記載の装置。
【0054】
6.該装置が、少なくとも1つの固体酸化物型電解セルのアノード側をCO2でフラッシュ(flush)する手段をさらに含む、上記の1〜5の項のいずれか一つに記載の装置。
【0055】
7.該装置が、少なくとも1つの固体酸化物型電解セルを収容するコンパートメントを含み、そしてその際、該コンパートメントが、そのコンパートメントによって取り囲まれた空間をフラッシュする手段を含む、上記の1〜6の項のいずれか一つに記載の装置。
【0056】
8.該カソード側の圧力が、前記アノード側の圧力よりも高く、該アノード側の圧力が、前記コンパートメントの圧力よりも高く、そして、該コンパートメントの圧力が大気圧よりも低く、そしてその際、該コンパートメントは、CO
2でフラッシュされ、そして、該CO
2パージは、該コンパートメントから、アルミナ又はTiO
2ベースの担体上で任意にV
2O
5及びWO
3と組み合わされたPt及びPdのような貴金属触媒を含む触媒を利用する接触酸化反応器に向かって方向付けられ、そして該触媒は、100℃超、好ましくは150℃〜250℃で作用する、上記の7の項に記載の装置。
【0057】
9.該出力ガス分離ユニットが、水/アミンウォッシュ、圧力スイング吸着装置又は選択膜のうちの一つである、上記の1〜8の項のいずれか一つに記載の装置。
【0058】
10.複数のスタックされた固体酸化物型電解セル及び複数のスタックを含み、その際、該スタックが、ネットワーク通信に接続さていれる、上記の1〜9の項のいずれか一つに記載の装置。
【0059】
11.メタルダスティングに供される選択された構成要素が、Inconel、好ましくはInconel 693のようなNiリッチ金属から造られているか、又は該構成要素が、Cu又はSn/Ni被膜、好ましくは55〜65%Sn、で被覆されている、上記の1〜10の項のいずれか一つに記載の装置。
【0060】
12.メタルダスティングに供される選択された構成要素が二重管からなり、その際、内側の管は銅管からなり、その銅管は、それよりも高い機械的強度を有する外側の管の内側に配置され、それによって、メタルダスティングの保護を達成すると同時に、該外側の管の機械的強度を、該銅管のメタルダスティングに対する耐性と組み合わされている、上記の1〜11の項のいずれか一つに記載の装置。
【0061】
13.高純度のCOを製造する方法であって、次の、
・少なくとも1つの固体酸化物型電解セルを含み、かつ、ガス分離ユニットを含む装置に90%超の純度の第一のCO2ガスを供給する工程、
・少なくとも1つの固体酸化物型電解セルに電流を供給し、そして、その固体酸化物型電解セル中で、CO2の電気分解を利用してCOを含む第二のガスを生成する工程、
・前記出力ガス分離ユニットに前記第二のガスを供給する工程、
・前記ガス分離ユニットを、0℃〜50℃の温度で、好ましくは10℃〜40℃、好ましくは室温で運転することよって、90%超の純度のCOを含む第三の出力ガスを製造する工程、
を含む、上記の方法。
【0062】
14.上記の装置が、スタックに配置された複数の固体酸化物型電解セルを含み、そして上記の方法が、
・選択された固体酸化物型電解セルにわたって通る電流を個別に制御する工程、
をさらに含む、上記の13の項に記載の方法。
【0063】
15.・前記少なくとも1つの固体酸化物型電解セルのアノード側をCO2でフラッシュする工程、
をさらに含む、上記の13又は14の項に記載の方法。
【0064】
16.上記の少なくとも1つの固体酸化物型電解セルを収容するコンパートメントをさらに含み、そして、
・該コンパートメントによって取り囲まれた空間をフラッシュする工程、
をさらに含む、上記の13〜15の項のいずれか一つに記載の方法。
【0065】
17.・上記のコンパートメント、上記の固体酸化物型電解セルのアノード室、及び上記の固体酸化物型電解セルのカソード室における圧力を、該カソード室中への拡散を低減する異なるレベルに制御する工程、
をさらに含む、上記の16の項に記載の方法。
【0066】
18.上記のガスの分離が、次の、
・ガス分離固体酸化物型電解セルスタックに前記第二のガスを供給する工程、
・前記ガス分離固体酸化物型電解セルスタック中のそれぞれの個別のセルにわたって通る電流を制御する工程、
を含む、上記の13〜16の項のいずれか一つに記載の方法。
【0067】
19.純度が95%超、好ましくは99%超、特に好ましくは99.5%超のCOを製造するための、上記の13〜18の項のいずれか一つに記載の方法。
【0068】
20.上記の1〜12の項のいずれか一つに記載の装置によって製造されたCOの、CH
3COOHを製造するための使用。
【実施例】
【0069】
完全なシステム
図7は、本発明の可能な一実施形態の図式図を示している。
【0070】
高純度のCO2は、SOECスタックの‘燃料’側及び‘酸素’側の両方にフラッシュされる。システムからの熱のほとんどを回収するために、燃料側への入力CO2を2つの熱交換器に通し、その一方で、‘酸素’側の入力側では1つの熱交換器だけが使用される。この非対称の構成の理由は、燃料側から酸素側へ酸素が通過するため、そして燃料供給流及び酸素排出流でその熱容量が最も高くなるからである。このことはまた、
図7に示されるように、異なる熱交換器の温度及び負荷においてもまた反映される。
【0071】
メタルダスティング及び炭素の形成を回避するために、SOECの燃料側(カソード側)における熱交換器は、Ni−リッチ金属、例えば、Inconel、具体的にはInconel 693で製造されるか、又は例えば、Sn/Ni被覆部品のような被覆金属部品で製造される。
【0072】
この構成により、スタックに最も近い熱交換器の出力温度は、それぞれ、燃料側で675℃、及び酸素側では750℃である。SOECスタックは、800℃の温度における常温運転温度で運転されることが想定される。したがって、入力CO2流は、2つの電熱器で800℃に加熱される。この構成の簡単な変更は、燃料入力において1つの電熱器を使用し、そこでの流れを約825℃に加熱し、そしてSOECスタックの熱交換容量により、酸素側入力を加熱することである。
【0073】
この構成では、SOECスタックは、約1.2Nm3/時のCO製造能を有する。これにより、例えば、有効面積10×10cmの50個のセルに基づくスタックを実現できた。これらのセルは、0.75A/Cm2のオーダーの電流密度、1.25Vのセル電圧、及び3.1kWh/Nm3のSOEC有効転化率で稼働できた。
【0074】
SOECセルは、Ni/YSZ支持層、Ni/YSZ燃料側電極、YSZ電解質及び酸素側のLSM電極をベースとすることができた。
【0075】
ここで、CO2入力流は、燃料側及び酸素側の両方で約2Nm3/時となるように選択される。これにより、出力において、わずか63%である、適正に管理されたCO濃度が与えられる。このことは、スタック中に不均一な流量分布を可能にするように選択されるが、より高い出力濃度は、例えば、個々のセル電流の制御を利用することによって可能である。
【0076】
出力において、O2濃度が50%をはるかに下回るのを確実にするために、酸素側への2Nm3/時の入力流量が選択される。これにより、酸素側の出力における腐食速度が低減され、そして、熱交換器及び配管のための材料の選択が容易になる。
【0077】
燃料側の出力では、ガス流が冷却され、そしてCOの大部分が、例えば、薄膜ベースであることができる分離装置中で除去される。この例では、残存するCO2は、単に空気中に送られるが、燃料側入力中へ再循環させることもまたできた(いく分かの潜在的なCO画分を含む)。この構成では、SOEC出力の画分は入力へ再循環され、その際、残存するCOもまた、SOECスタックの燃料側の入力における酸化を回避するのに役立つことができる。
【0078】
スタックのネットワーク構築の例
図8は、スタックのネットワーク構築の例を示している。下方のスタックは20個のセルで製造され、上方のスタックは、10個のセルで製造される。この場合、両方のスタックの底部は、中間のマニホールドプレートに面している。
【0079】
SOECスタックの漏れに由来する汚染の回避
図9は、スタックの漏れによる、SOECシステムの出力流に取り込まれる恐れのある不純物を積極的に取り扱うことの重要性を示している。
【0080】
試験1は、均一な圧力で運転され、そして酸素側のフラッシングに空気が使用されるスタックの不純物(N2及びO2)を示している。
【0081】
試験2では、酸素側をフラッシュするのに空気に替えてCO2が使用され、そして、この場合、不純物のレベルは、おおよそ1.5モル%から0.75モル%未満に低減された。
【0082】
試験3では、燃料側(カソード)の圧力が、酸素側に対する圧力及び外部のスタックコンパートメント中の圧力よりもおおよそ100ミリバール高められた。酸素側のフラッシングにはCO2が使用された。この試験の場合、不純物のレベルは0.3モル%未満であり、これは、例えば、瓶詰めにされたCOのための標準的な産業等級に十分適合する。