【文献】
西野洋一 他,シフト不変スパースコーディングにより学習された基底系を用いた画像超解像,電子情報通信学会技術研究報告 SIP2008-27,日本,社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2008年 5月,第108巻,第71号,p1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記下位分解レベル画像において一以上の類似パッチを検索するステップにおいて、各現在パッチの平均と各類似パッチの平均とを計算し、それぞれのパッチの各画素値から減算し、前記パッチを置換するステップにおいて、各現在パッチの平均を、その現在パッチに対応するアップサンプルされたパッチの各画素値に加算する、
請求項1に記載の方法。
前記加重するステップと集積するステップは、加重された組み合わせを計算するステップを有し、前記加重された組み合わせの加重値は制約下の最小二乗問題を解くことにより決定される、
請求項1ないし5いずれか一項に記載の方法。
前記下位分解レベル画像において一以上の類似パッチを検索する検索ユニットにおいて、各現在パッチの平均と各類似パッチの平均とを計算し、それぞれのパッチの各画素値から減算し、前記挿入ユニットにおいて、各現在パッチの平均を、その現在パッチに対応するアップサンプルされたパッチの各画素値に加算する、
請求項9に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、across-scale neighbor embeddingによる単一画像超解像を示す図である。以下に説明する。低解像度入力画像I0の超解像を実行するアルゴリズムは下記のように再開され得る。
【0019】
アルゴリズムの高レベルフローチャートは、
図9に示すように、ステップA1のL+1レベルピラミッド再構成と、ステップA2の低解像度パッチ推定及び高解像度パッチ再構成と、ステップA3の低解像度/高解像度パッチ推定の重複とを有する。
最初に、L+1レベルのピラミッド構成プロセスA1を説明する。これは次のステップを有し、
図1を参照して説明する。
【0020】
入力I0(低解像度、ピラミッドレベルI=0)画像は、フィルタされ、ローパスフィルタにより所与の割合rdだけダウンサンプルされる。低解像度画像I−1が得られる前にダウンサンプルされた画像I−1がフィルタされ、ローパスフィルタにより再びダウンサンプルされる。低周波数画像I−2が得られる。このプロセスを繰り返すことにより、より多くの空間的分解レベルが得られる。最後に、ダウンサンプルされた画像I−L+2がフィルタされ、ローパスフィルタによりダウンサンプルされる。最後の低周波数画像I−L+1が得られる。空の高解像度画像I1が生成される。I1とI0のサイズの比率は、I0対I−1の逆数であり、すなわちI1/I0=I0/I−1である。または、アップサンプリング計数ruはダウンサンプリング係数rdの逆数である。
【0021】
最後に、ピラミッドは、(再構成されるべき)高解像度の画像解像度であるレベル1(
図1に示した逆さまピラミッドの底面)と、入力低解像度画像であるレベル0と、最低解像度画像であるレベル−L+2(
図1の逆さまピラミッドのトップ)とにより構成されている。
【0022】
第2に、ステップA2の低解像度パッチ推定と低周波数パッチからの高解像度パッチ再構成を説明する。2つの代替的実施形態を開示する。一方は「輝度ベース(Luminance based)」と呼ばれ、他方は「勾配ベース(Gradient based)」と呼ばれる。
【0023】
輝度ベースソリューションは、次のように、低解像度パッチ推定、高解像度パッチ再構成、及び高解像度画像再構成を含む。
【0024】
低解像度パッチ推定は、入力画像I
0において第1の位置にある第1のパッチP
nを決定する、nはI
0中の現在のパスのインデックスであるステップと、低解像度画像I
0の下位スケールI
−1、I
−2、・・・、I
−L+1からK個の最近傍(K−NN)を検索するステップと、それぞれの加重係数w
n,kで、K−NN PN
n,kから、入力低解像度パッチP
nの再構成係数を、局所的に線形なエンベディング(locally linear embedding)(例えば、引用文献13のLocally Linear Embedding (LLE))で線形に特徴づけるステップとを有する。K−NNは、所与の基準(例えば、SAD、SSE)による(前の第1のパッチP
0と)K個のベストマッチングパッチPN
n,kである。SAD(絶対値差分の和)とSSE(二乗誤差の和)は、問題の技術分野において広く知られている基準である。
【0025】
高解像度パッチ再構成は、入力低解像度パッチPN
n,kの見つかったK−NNの対応する高解像度ペアレントPPN
n,kから、それぞれ前の加重係数w
n,kで高解像度パッチPH
nを構成(合成とも言う)するステップを含む。I1画像の現在の高解像度PHnパッチは入力画像I
0のP
nパッチと対応するもの(homologous)であり、ピラミッドのI
0,I
−1,・・・、I
−L+2画像からの高解像度ペアレントPPN
n,kは、ピラミッドのI
−1,I
−2,・・・、I
−L+1画像から発するPN
n,kパッチと対応するもの(homologous)である。
【0026】
高解像度画像再構成は、低解像度/高解像度画像のすべてのパッチまたはパッチのカップルに対して、低解像度パッチ推定と、高解像度パッチ再構成とを有する。
【0027】
勾配ベースソリューション(すなわち、平均を差し引いた輝度(mean subtracted of luminance))は、次のように、低解像度パッチ推定、高解像度パッチ再構成、及び高解像度画像再構成を含む。
【0028】
低解像度パッチ推定は、入力画像I
0において第1の位置にある第1のパッチP
nを決定する、nはI
0中の現在のパスのインデックスであり、ブロックの平均が差し引かれるステップと、低解像度画像I
0の下位スケールI
−1、I
−2、・・・、I
−L+1からK個の最近傍(K−NN)を検索するステップと、それぞれの加重係数w
n,kで、K−NN PN
n,kから、入力低解像度パッチP
nの再構成係数を、局所的に線形なエンベディング(locally linear embedding)(例えば、LLE)で線形に特徴づけるステップとを有する。K−NNは、所与の基準(例えば、SAD、SSE)によるKベストマッチングパッチPN
n,k(前の第1のパッチP
0を有する)であり、各ブロックPN
n,kにおいて、平均(すなわち、それ自体の個別の平均)も差し引かれる。
【0029】
高解像度パッチ再構成は、入力低解像度パッチPN
n,kの見つかったK−NNの対応する(平均が、すなわちそれ自体の平均が、差し引かれた)高解像度ペアレントPPN
n,kから、それぞれ前の加重係数w
n,kで高解像度パッチPH
nを構成(合成とも言う)するステップを含む。I
1画像の現在の高解像度PHnパッチは入力画像I
0のP
nパッチと対応するもの(homologous)であり、ピラミッドのI
0,I
−1,・・・、I
−L+2画像からの高解像度ペアレントPPN
n,kは、ピラミッドのI
−1,I
−2,・・・、I
−L+1画像から発するPN
n,kパッチと対応するもの(homologous)である。最後に、入力低解像度(入力I
0画像)パッチの平均値は、現在の再構成された高解像度パッチに加算される。
【0030】
高解像度画像再構成は、低解像度/高解像度画像のすべてのパッチまたはパッチのカップルに対して、低解像度パッチ推定と、高解像度パッチ再構成とを有する。
【0031】
次のステップA3は、L+1レベルピラミッド再構成A1と、低解像度パッチ推定及び高解像度パッチ再構成A2の後に、低解像度/高解像度パッチ推定の重ね合わせ、すなわち低周波数パッチからの合成である。一実施形態では、平均アベレージング(mean averaging)と低密度化加重アベレージング(sparsity weighting averaging)とのうち少なくとも一方を含む。
【0032】
平均アベレージングは、低解像度画像I
0の各パッチについて、高解像度エンベディング(HR embedding)を計算した後、各高解像度画素について、各現在の画素とオーバーラップしている再構成されたブロックからのすべての画素の貢献をアベレージングするため、パッチ間のオーバーラップを許す。
【0033】
低密度化加重アベレージングは、推定されたオーバーラップ領域画素が、支配的構成を保存するため、sparsity-based measureにより加重されることを含む。加重アベレージは、オーバーラップされた画素をissueするブロックの低密度化程度により、実現される。低密度化加重係数は、ブロックのDCT係数の数の関数、またはより複雑には、「Matching Pursuit」(MP)や「Orthogonal Matching Pursuit」(OMP)などの低密度表現の場合に、ブロックを表すアトムの数の関数であり得る。
【0034】
一実施形態では、追加的最終ステップは、反復的後方投影(
図9には図示せず)である。このステップは、既知の反復的後方投影プロセスの適用を含む。これにより、回復された高解像度画像は見たように、同じ参照低解像度画像を生成する。そのアプローチは、(反復kにおいて、)再構成されたHRk画像結果に、元の入力低解像度画像I0とダウンサンプルされたHRk−1画像との間のアップサンプル(及びローパスフィルタ)された差分を反復的に加える。この動作は所定の反復最大回数だけ繰り返される。通常、例えば20回の反復で十分である。一般的に適用可能範囲は10回ないし30回の反復であるが、しかし場合よってはもっと少ない反復でも十分である。
【0035】
様々なパッチサイズを使える。低解像度で特に都合の良いパッチサイズは3×3、5×5、及び7×7画素である(5×5は少なくとも2×2アップスケーリングの場合に最良の結果となる)。高解像度の場合、対応するサイズは6×6、10×10、及び14×14画素である。また、一画像から次の画像への、2とは異なる他の様々なサブサンプリング係数を用いることができる。本方法を拡張でき、係数を例えば3や4にすることができる。この拡張は、低解像度と高解像度のパッチサイズ、及び低解像度画像をダウンスケールしたものを調整することにより実現できる。さらに、他の一オプションとして、係数4のアップスケーリングをするために、係数2のアップサンプリングを2回適用できる。または、係数6のアップスケーリングをするために、係数3のアップサンプリングを2回適用できる。
【0036】
低解像度画像の各パッチについて、低解像度近傍のローカルジオメトリを保存する高解像度エンベディングを計算する。ターゲット高解像度画像における平滑性制約を強制するため、パッチ間のオーバーラップが出来る限り許容される。典型的に、パッチは次元ごとに1画素または2画素だけオーバーラップする。
【0037】
スパース表現に基づく加重尺度(sparse representations based weighting measure)に応じて、オーバーラップ領域の画素を線形結合できる。この方法では、入力低解像度パッチと推定された高解像度パッチとの連結は、低解像度画像とそのスケールリングしたもの(across scales)から取られた低解像度及び高解像度画像パッチよりなるディクショナリにわたり分解できる。
【0038】
一実施形態では、パッチはその表現のスパース性に応じて加重される。すなわち、最もスパースな表現に最も高い加重が与えられ、以下同様である。一実施形態では、加重は、パッチの(閾値適用後の)非ゼロ係数(例えば、DCT係数)の数に依存する。一実施形態では、
図2に示したように、W=exp(f(非ゼロ係数の数))により、指数関数を用いて計算する。
【0039】
図2は、ブロック中の非ゼロ係数の数(実際に「非ゼロ」とはゼロに近い最小閾値より大きいことを意味する)と、そのブロックに使われる規格化加重係数との間の関係を示す。図示したように、より多くの非ゼロ係数がブロックにあれば、加重係数は小さい。
【0040】
パッチのスパース表現(例えば、MP、OMP)を使う場合、ここでは、スパース表現のコンテキストで、アトムと基底関数が空間領域で表現されていることが分かれば、(Nアトムよりなるディクショナリの)「アトム」はDCTの「基底関数」と同様である。ここで、加重は非ゼロ係数の数にも依存する。
【0041】
最後に、グローバル再構成制約(すなわち、回復された高解像度画像が、見るのと同じ低解像度画像を生成しなければならない)を満たすため、一実施形態では、引用文献1、2に記載の反復的後方投影法を当てはめる。次に、最終的高解像度画像推定は、後方投影アルゴリズムS9から得られると仮定する。
【0042】
一実施形態では、アルゴリズム全体は次のステップよりなる:
・ ピラミッド超解像アルゴリズム、例えばLLEベースのもの、
・ プラス、(再構成されオーバーラップされたブロックの)スパース性アベレージング
・ 及び(任意的に)+後方投影。
有利にも、本発明によるアルゴリズムは、本技術分野で知られたアルゴリズムより優れている。
【0043】
図3は、本発明の一実施形態による、入力画像の階層的超解像を実行する方法を示すフローチャートである。この実施形態では、入力画像I
0の階層的超解像を実行する方法10は次のステップを有する:
入力画像I
0をパッチPnに分割するステップS1、
入力画像I
0の、少なくとも2つの下位分割レベルへの空間的分割を実行するステップS2、
ここで、少なくとも2つの下位分割レベル画像I
−1、I
−2が得られる、及び
空のアップサンプルされたフレームI
1を生成するステップS3、
ここで、入力画像の各パッチP
nについて、アップサンプルされたフレームI
1の対応するアップサンプルされたパッチが生成される。次に、入力画像I
0の各現在パッチP
nについて、次のステップを実行する。
【0044】
下位分割レベル画像I
−1、I
−2では、現在のパッチと同じサイズの一以上の同様のパッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3を検索する(ステップS4)。検索ステップにおいて見つかった同様のパッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3のそれぞれについて、次に高位の分割レベルI
0、I
−1中のペアレントパッチPPN
n,1、PPN
n,2、PPN
n,3を決定する(ステップS5)。決定されたペアレントパッチPPN
n,1、PPN
n,2、PPN
n,3を加重係数w
1、w
2、w
3で加重する(ステップS6)。ここで、決定され加重されたペアレントパッチが得られる。決定され加重されたペアレントパッチが集積され(ステップS7)、ここでアップサンプルされた高解像度パッチPH
nが得られる。最後に、アップサンプルされたフレームI
1において、現在パッチI
0に対応するアップサンプルされたパッチが、アップサンプルされた高解像度パッチPH
nで置換される(ステップS8)。
【0045】
第1の決定ステップD1により、(様々な下位レベルにおいて)すべての潜在的に同様なパッチが調べられたか否か判断し、第2の決定ステップD2により、入力画像のすべてのパッチが処理されたか判断する。
【0046】
決定ステップS5において、次の高位分解レベルI
0、I
−1に見つかったペアレントパッチPPN
n,1、PPN
n,2、PPN
n,3は、それぞれの現在パッチより大きいことに留意されたい。
【0047】
図4は、下位分解レベル画像の類似パッチを検索する方法を示す詳細フローチャートである。この実施形態では、各現在パッチの平均を計算し(ステップS41)、各類似パッチの平均を計算する(ステップS42)。現在パッチの平均は、現在パッチの各画素値から差し引かれる(ステップS43)。各類似パッチの平均は、それぞれの類似パッチの各画素値から差し引かれる(ステップS44)。これは、下位分解レベル画像I−1、I−2から一以上の類似パッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3を検索するステップで実行される。ステップS43はステップS42の前でも後でも実行できることに留意されたい。
【0048】
図5は、アップサンプルされたフレームのアップサンプルされたパッチを置換するステップの一実施形態を示す詳細フローチャートである。この実施形態では、各現在パッチの平均は現在パッチに対応するアップサンプルされたパッチの各画素値に加算され(ステップS81)、アップサンプルされたフレームI1中のアップサンプルされたパッチの実際の挿入(ステップS82)が行われ、それによりアップサンプルされたパッチが高解像度画像中のデフォルトパッチを置換する。
【0049】
図6は、本発明の一実施形態による、超解像の実行において画素をアベレージングする方法を示すフローチャートである。ブロックベース予測の利用により超解像を実行するにあたり画素のアベレージングをする、LLEが利用され、画素はオーバーラップしたソースブロックからのものである方法60は、ソースブロックのスパース性係数を決定するステップ(S6_1)と、加重係数に応じてソースブロックからの画素を結合するステップ(S6_2)とを有し、各ソースブロックのスパース性係数をその画素の加重係数として用いる。
【0050】
図7は、入力画像の階層的超解像を実行する装置の構成を示す図である。入力画像I
0は複数のパッチP
nに分割されている。装置70は、空間的分解ユニットSDU、アップサンプリングユニットUPU、及び処理ユニットPUを有する。さらに別のユニットは、別のユニットでも処理ユニットの一部であってもよいが、検索ユニットP_SU、ペアレントパッチ決定ユニットP_PDU、加重ユニットP_WU、集積ユニットP_AU、及びパッチ挿入ユニットP_PIU(またはパッチ置換ユニット、上記参照)である。
【0051】
空間的分解ユニットSDUは、入力画像の、少なくとも2つの下位分解レベルへの空間的分解を実行する。ここで、空間的解像度が異なる少なくとも2つの下位分解レベル画像I
−1,I
−2が得られる。
【0052】
アップサンプリングユニットUPUは、空のアップサンプルされたフレームI
1を生成する。ここで、入力画像の各パッチPnについて、アップサンプルされたフレームI
1中の対応するアップサンプルされたパッチが生成される。
【0053】
一実施形態では、処理ユニットPUは、入力画像I0の各現在パッチPnについて、下位分解レベル画像I
−1,I
−2中を、現在パッチと同じサイズの一以上の類似パッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3を検索するステップと、
検索ステップにおいて見つかった同様のパッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3のそれぞれについて、次に高位の分割レベルI
0、I
−1中のペアレントパッチPPN
n,1、PPN
n,2、PPN
n,3を決定するステップとを実行し、
ここで、ペアレントパッチは現在パッチより大きく、
決定されたペアレントパッチPPN
n,1、PPN
n,2、PPN
n,3を加重するステップと、
ここで、決定され加重されたペアレントパッチが得られ、
加重され決定されたペアレントパッチが集積され、
ここでアップサンプルされた高解像度パッチPH
nが得られ、
アップサンプルされたフレームI
1において、現在パッチI
0に対応するアップサンプルされたパッチが、アップサンプルされた高解像度パッチPHnで置換されるステップとを実行する。
【0054】
他の実施形態では、次のユニットのうち一以上を用いる。
【0055】
一実施形態では、下位分割レベル画像I
−1、I
−2では、現在のパッチと同じサイズの一以上の同様のパッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3を検索するステップは、検索ユニットP_SUにより行われる。
【0056】
一実施形態では、検索ステップにおいて見つかった同様のパッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3のそれぞれについて、次に高位の分割レベルI
0、I
−1中のペアレントパッチPPN
n,1、PPN
n,2、PPN
n,3を決定するステップは、ペアレントパッチ決定ユニットP_PDUにより行われる。一般的に、ペアレントパッチは現在パッチより大きいことに留意されたい(
図1参照)。
【0057】
一実施形態では、決定され加重されたペアレントパッチを求めるために、決定されたペアレントパッチPPN
n,1、PPN
n,2、PPN
n,3を加重するステップは、加重ユニットP_WUにより行われる。
【0058】
一実施形態では、アップサンプルされた高解像度パッチPH
nを取得するために、決定され加重されたペアレントパッチを集積するステップは、集積ユニットP_AUにより行われる。
【0059】
一実施形態では、現在パッチI
0に対応するアップサンプルされたパッチを、アップサンプルフレームI
1中のアップサンプルされた高解像度パッチPH
nで置換するステップは、挿入ユニットP_PIUにより行われる。
【0060】
図8は、超解像を実行するにあたり画素のアベレージングをする装置の構成を示す。ローカルリニアエンベディング(LLE)を用い、画素はオーバーラップしているソースブロックからのものである。本装置80は、
ソースブロックのスパース性係数を決定する第1の処理ユニット、例えば、スパース性決定処理ユニットSFPUと、
加重係数に応じてソースブロックからの画素を合成する第2の処理ユニット、例えば、画素剛性処理ユニットPCPUとを有する。各ソースブロックのスパース性係数はその画素の加重係数として用いられる。
【0061】
概して、本発明は、ブロックの平均を減算するまたはしない、ピラミッド型分解に基づくセルフコンテント近傍パッチ情報に基づく階層的超解像アルゴリズムと、LLE SR法のクラシカルアベレージングではなく、スパース性係数を用いるブロックベース予測の最適画素アベレージングとのうち少なくとも一方に関する。
【0062】
本発明の利点は、本発明がアップサンプル画像のレンダリング性能を改善する点にある。アップサンプルされた画像を、より速く少ない計算でレンダリングできる。
【0063】
本発明の可能性のある有利なアプリケーションは、ビデオ配信とディスプレイ技術、及びビデオ圧縮(例えば、空間的スケーラビリティ)とコンテンツ表現に関するアプリケーションを含む。
【0064】
開示の方法は、方法を実行する装置であって、複数の別々のユニットを有し、各ユニットがステップの1つを実行する装置で実施することができる。さらに、本方法は、プロセッサで実行するためコンピュータ実施可能である。
【0065】
本発明の一実施形態では、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、プログラムデータを含む。このプログラムデータは、プロセッサで実行されたとき、プロセッサに、
図1と
図3を参照して上記した入力画像の階層的超解像を実行する方法を実行させる。
【0066】
本発明の一実施形態では、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、プログラムデータを含む。このプログラムデータは、プロセッサで実行されたとき、プロセッサに、
図6を参照して上記した、ブロックベース予測を用いることにより超解像を実行するときに画素をアベレージングする方法を実行させる。
【0067】
一実施形態では、本発明は、ピラミッド型分解のステップを有する、セルフコンテント近傍パッチ情報に基づく階層的超解像を実行する方法に関する。一実施形態では、ブロックの平均を差し引く。他の一実施形態では、ブロックの平均を差し引かない。一実施形態では、ピラミッド型超解像アルゴリズムは、加重結合を与えるアルゴリズムを含む。ここで、前記加重結合の加重は、近傍エンベディングアルゴリズムなどの制約下での最小二乗問題を解くことにより決定される。一実施形態では、ピラミッド型超解像アルゴリズムは、LLEや非負行列因数分解(NMF)などの近傍エンベディングアルゴリズムである。
【0068】
一実施形態では、本発明は、ブロックベース予測の最適画素アベレージングの方法に関し、特に、LLE超解像の場合には、(クラシカルアベレージングではなく)スパース性係数を用いる方法に関する。一実施形態では、スパース性係数は加重係数として用いられる。
【0069】
本発明の一実施形態では、入力画像I
0の階層的超解像を実行する方法10は次のステップを有する:
入力画像I
0をパッチP
nに分割するステップS1、
入力画像の、少なくとも2つの下位分解レベルへの空間的分解を実行するステップであって、少なくとも2つの下位分解レベル画像が得られるステップS2、
空のアップサンプルされたフレームI
1を生成するステップであって、入力画像の各パッチP
nについて、アップサンプルされたフレームI
1中の対応するアップサンプルされたパッチが生成されるステップS3と、
入力画像I
0の各現在パッチP
nについて、次のステップを実行する:
下位分割レベル画像I
−1、I
−2において、現在のパッチと同じサイズの一以上の同様のパッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3を検索するステップS4、
検索ステップにおいて見つかった同様のパッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3のそれぞれについて、次に高位の分割レベルI
0、I
−1中のペアレントパッチPPN
n,1、PPN
n,2、PPN
n,3を決定するステップであって、ペアレントパッチは現在パッチより大きいステップS5、
個別加重w
1,w
2,w
3を用いて、決定されたペアレントパッチPPN
n,1、PPN
n,2、PPN
n,3を加重するステップであって、決定され加重されたペアレントパッチが得られるステップS6、
決定され加重されたペアレントパッチを集積するステップであって、アップサンプルされた高解像度パッチPH
nが得られるステップS7、
アップサンプルされたフレームI
1において、現在パッチI
0に対応するアップサンプルされたパッチが、アップサンプルされた高解像度パッチPH
nで置換されるステップS8。
【0070】
一実施形態では、本方法は、下位分解レベル画像中の類似パッチを検索するステップにおいて、各現在のパッチの平均を計算し(ステップS41)、各類似パッチの平均を計算し(ステップS42)、それぞれのパッチの各画素値から平均を差し引く(ステップS43、S44)。さらに、置換するステップにおいて、各現在のパッチの平均を、現在のパッチに対応するアップサンプルされたパッチの各画素値に加算する(ステップS81)。
【0071】
一実施形態では、本方法は、下位分解レベル画像において、一以上の類似パッチを検索するステップと、そのパッチ中の画素の輝度値に応じて類似性を決定するステップとを有する。
【0072】
一実施形態では、本方法は、下位分解レベル画像において、一以上の類似パッチを検索するステップと、そのパッチの輝度勾配に応じて類似性を決定するステップとを有する。
【0073】
一実施形態において、本方法は、パッチのスパース性から前記加重に用いる加重値を決定するステップであって、スパース性はパッチの非ゼロDCT係数の数に対応するステップを有する。
【0074】
一実施形態において、本方法は、入力画像のパッチは部分的にオーバーラップしており、それゆえ、アップサンプルされた画像の対応するアップサンプルされたパッチも部分的にオーバーラップしている。
【0075】
一実施形態において、本方法は、加重するステップと集積するステップにおいて、加重された組み合わせを計算するステップを有し、前記加重された組み合わせの加重値は制約下の最小二乗問題を解くことにより決定される。上記の一例は、周知の最小二乗アルゴリズムである。
【0076】
一実施形態において、本方法は、ピラミッド型超解像アルゴリズムにおいて、近傍エンベディングアルゴリズムを含む。例としては、ローカルリニアエンベディング(LLE)や非負行列因数分解(NMF)がある。
【0077】
一実施形態において、本方法は、反復的後方投影(IBP)を実行する追加的な最終ステップを有する。
【0078】
一実施形態において、本方法は、相対座標により次に高い分解レベルのペアレントパッチを決定するすなわち、下位レベルのパッチの相対座標と上位分解レベルのペアレントパッチの相対座標とは同じである(例えば、高さ10%と幅40%など)。これは、原理的には、下位レベルのパッチの相対座標を決定するステップと、上位分解レベルの同じ相対座標を有する位置を決定するステップと、上位分解レベルの決定された位置にペアレントパッチを配置するステップとを有する。
【0079】
一実施形態では、本発明は、ブロックベース予測を用いることにより超解像を実行するときに画素をアベレージングする、ローカルリニアエンベディングを用い、画素はオーバーラップしているソースブロックからのものである方法60に関する。本方法は、ソースブロックのスパース性係数を決定するステップS6_1と、加重係数により、ソースブロックからの画素を結合するステップS6_2とを有し、各ソースブロックのスパース性係数はその画素の加重係数として用いられる。
【0080】
一実施形態では、本発明は、入力画像の階層的超解像を実行する装置に関連する。入力画像I
0は複数のパッチPnに分割される。本装置は、
入力画像の、少なくとも2つの下位分解レベルへの空間的分解を実行する、少なくとも2つの下位分解レベル画像(I
−1,I
−2)が得られる空間的分解ユニットSDUと、
空のアップサンプルされたフレームI
1を生成する、入力画像の各パッチP
nについて、アップサンプルされたフレームI
1中の対応するアップサンプルされたパッチが生成されるアップサンプリングユニットUPUと、
入力画像I
0の各現在パッチP
nについて、次のステップを実行する処理ユニットPUとを有する:
下位分割レベル画像I
−1、I
−2において、現在のパッチと同じサイズの一以上の同様のパッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3を検索するステップ、
検索ステップにおいて見つかった同様のパッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3のそれぞれについて、次に高位の分割レベルI
0、I
−1中のペアレントパッチPPN
n,1、PPN
n,2、PPN
n,3を決定するステップであって、ペアレントパッチは現在パッチより大きいステップ、
決定されたペアレントパッチPPN
n,1、PPN
n,2、PPN
n,3を加重する、決定され加重されたペアレントパッチが得られるステップと、
決定され加重されたペアレントパッチを集積するステップであって、アップサンプルされた高解像度パッチPH
nが得られるステップ。
【0081】
アップサンプルされたフレームI
1において、現在パッチI
0に対応するアップサンプルされたパッチが、アップサンプルされた高解像度パッチPH
nで置換または挿入されるステップ。概して、本装置は、入力画像I
0を複数のパッチP
nに分割し、まだ分割されていない画像を処理できるようにする画像分割ユニットも含み得る。
【0082】
上記の通り、本装置は、検索ユニットP_SU、ペアレントパッチ決定ユニットP_PDU、加重ユニットP_WU、集積ユニットP_AU及びパッチ挿入ユニットP_PIUという一以上のユニットを有する。
【0083】
本送致の一実施形態では、下位分解レベル画像I
−1,I
−2において一以上の類似パッチPN
n,1、PN
n,2、PN
n,3を検索するユニットにおいて、各現在パッチの平均と各類似パッチの平均とを計算し、それぞれのパッチの各画素値から減算する。また、パッチ挿入またはパッチ置換をするユニットP_PIUにおいて、各現在パッチの平均を、その現在パッチに対応するアップサンプルされたパッチの各画素値に加算する。
【0084】
一実施形態において、本送致はさらに追加的反復的後方投影ユニットを有する。
【0085】
一実施形態において、一実施形態では、本発明は、ブロックベース予測を用いることにより超解像を実行するときに画素をアベレージングする、ローカルリニアエンベディングを用い、画素はオーバーラップしているソースブロックからのものである装置80に関する。本装置は、ソースブロックのスパース性係数を決定する第1の処理ユニットSFPUと、加重係数によりソースブロックからの画素を結合する第2の処理ユニットPCPUとを有し、各ソースブロックのスパース性係数はその画素の荷重係数として用いられる。
【0086】
本発明の基本的かつ新規な特徴を好ましい実施形態に適用して図示し、説明し、指摘したが、言うまでもなく、本発明の精神から離れることなく、当業者は、説明した装置と方法における、開示した装置の形体や詳細事項、及びその動作の様々な省略、代替、変更を行うことができる。同じ結果を達成する実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を実行するこれらの要素のすべての組み合わせは、本発明の範囲内にある。説明した一実施形態から他の実施形態への要素の置き換えも、完全に想定の範囲内である。
【0087】
いうまでもなく、本発明を例示によって説明した。本発明の範囲から逸脱することなく細かい点で修正を加えることは可能である。
【0088】
明細書、特許請求の範囲、及び図面に開示した各特徴は、独立に設けることもできるし、適切に組み合わせて設けることもできる。必要に応じて、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせで本発明の特徴を実現することができる。接続は場合に応じて無線接続でも有線接続でもよく、必ずしも直接的または専用の接続でなくてもよい。
実施形態に関して次の付記を記す。
(付記1) 入力画像の階層的超解像を実行する方法であって、
前記入力画像を複数のパッチに分割するステップと、
前記入力画像の、少なくとも2つの下位分解レベルへの空間的分解を実行するステップであって、少なくとも2つの下位分解レベル画像が得られるステップと、
アップサンプルされた空のフレームを生成するステップであって、前記入力画像の各パッチについて、アップサンプルされたフレーム中の対応するアップサンプルされたパッチが生成されるステップと、
前記入力画像の各現在パッチについて、
前記下位分解レベル画像において、前記現在パッチと同じサイズの一以上の類似パッチを検索するステップと、
前記検索ステップにおいて見つかった類似パッチのそれぞれについて、次の高位分割レベル中のペアレントパッチを決定するステップであって、ペアレントパッチは現在パッチより大きいステップと、
前記決定されたペアレントパッチを加重するステップであって、パッチの加重に用いる加重値は前記パッチのスパース性から決定され、前記スパース性は前記パッチの非ゼロDCT係数の数に対応する、決定され加重されたペアレントパッチが得られるステップと、
前記決定され加重されたペアレントパッチを集積するステップであって、アップサンプルされた高解像度パッチが得られるステップと、
前記アップサンプルされたフレームにおいて、前記現在パッチに対応するアップサンプルされたパッチを、前記アップサンプルされた高解像度パッチで置換するステップとを実行する、
方法。
(付記2) 前記下位分解レベル画像において一以上の類似パッチを検索するステップにおいて、各現在パッチの平均と各類似パッチの平均とを計算し、それぞれのパッチの各画素値から減算し、前記パッチを置換するステップにおいて、各現在パッチの平均を、その現在パッチに対応するアップサンプルされたパッチの各画素値に加算する、
付記1に記載の方法。
(付記3) 前記下位分解レベル画像において、一以上の類似パッチを検索し、そのパッチ中の画素の輝度値に応じて類似性を決定する、
付記1または2に記載の方法。
(付記4) 前記下位分解レベル画像において、一以上の類似パッチを検索し、そのパッチ中の画素の輝度値により類似性を決定する、
付記1または2に記載の方法。
(付記5) 前記入力画像のパッチは部分的にオーバーラップし、対応するアップサンプルされたパッチは部分的にオーバーラップしている、
付記1ないし4いずれか一項に記載の方法。
(付記6) 前記加重するステップと集積するステップは、加重された組み合わせを計算するステップを有し、前記加重された組み合わせの加重値は制約下の最小二乗問題を解くことにより決定される、
付記1ないし5いずれか一項に記載の方法。
(付記7) ピラミッド型超解像アルゴリズムは近傍エンベディングアルゴリズムである、
付記1ないし6いずれか一項に記載の方法。
(付記8) 後方投影を実行する追加的ステップをさらに有する、
付記1ないし7いずれか一項に記載の方法。
(付記9) 前記次の上位分解レベルのペアレントパッチはその相対座標により決定される、
付記1ないし8いずれか一項に記載の方法。
(付記10) ブロックベース予測を用いることにより超解像を実行するときに画素をアベレージングする、ローカルリニアエンベディングを用い、前記画素はオーバーラップしているソースブロックからのものである方法は、
前記ソースブロックのスパース性係数を決定するステップと、
加重係数により前記ソースブロックからの画素を結合する、各ソースブロックのスパース性係数がその画素の加重係数として用いられるステップとを有する、
方法。
(付記11) 複数のパッチに分割された入力画像の階層的超解像を実行する装置であって、
前記入力画像の、少なくとも2つの下位分解レベルへの空間的分解を実行する、少なくとも2つの下位分解レベル画像が得られる空間的分解ユニットと、
アップサンプルされた空のフレームを生成する、入力画像の各パッチについて、アップサンプルされたフレーム中の対応するアップサンプルされたパッチが生成されるアップサンプリングユニットと、
前記入力画像の各現在パッチについて、
検索ユニットにおいて、前記下位分解レベル画像において、前記現在パッチと同じサイズの一以上の類似パッチを検索するステップと、
前記検索ステップにおいて見つかった類似パッチのそれぞれについて、ペアレントパッチ決定ユニットにおいて、次の高位分割レベル中のペアレントパッチを決定するステップであって、ペアレントパッチは現在パッチより大きいステップと、
加重ユニットにおいて、前記決定されたペアレントパッチを加重するステップであって、パッチの加重に用いる加重値は前記パッチのスパース性から決定され、前記スパース性は前記パッチの非ゼロDCT係数の数に対応する、決定され加重されたペアレントパッチが得られるステップと、
集積ユニットにおいて、前記決定され加重されたペアレントパッチを集積するステップであって、アップサンプルされた高解像度パッチが得られるステップと、
挿入ユニットにおいて、前記アップサンプルされたフレームにおいて、前記現在パッチに対応するアップサンプルされたパッチを、前記アップサンプルされた高解像度パッチで置換するステップとを実行する、処理ユニットとを有する、
装置。
(付記12) 前記下位分解レベル画像において一以上の類似パッチを検索する検索ユニットにおいて、各現在パッチの平均と各類似パッチの平均とを計算し、それぞれのパッチの各画素値から減算し、前記挿入ユニットにおいて、各現在パッチの平均を、その現在パッチに対応するアップサンプルされたパッチの各画素値に加算する、
付記11に記載の装置。
(付記13) 前記入力画像のパッチは部分的にオーバーラップし、対応するアップサンプルされたパッチは部分的にオーバーラップしている、
付記11に記載の装置。
(付記14) ブロックベース予測を用いることにより超解像を実行するときに画素をアベレージングする、ローカルリニアエンベディングを用い、前記画素はオーバーラップしているソースブロックからのものである装置であって、
前記ソースブロックのスパース性係数を決定する第1の処理ユニットと、
加重係数により前記ソースブロックからの画素を結合する、各ソースブロックのスパース性係数がその画素の加重係数として用いられる、第2の処理ユニットとを有する、
装置。
(付記15) プロセッサ上で実行されると、付記1ないし10いずれか一項に記載の方法を前記プロセッサに実行させるプログラムデータを有するコンピュータ読み取り可能記憶媒体。