(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つ又は複数のエコー信号を受信するように、及び、それぞれ、前記1つ又は複数のエコー信号のいくつかの信号強度に基づいて、それぞれ、前記1つ又は複数のエコー信号に対応する第1の減衰エコー信号のセットを生成するように構成される第1の減衰器と、
前記第1の減衰エコー信号のセットを受信して増幅し、それぞれ、前記1つ又は複数の第1の減衰エコー信号に対応する第1の増幅エコー信号のセットを生成するように構成される第1のアンプと、
前記第1の増幅エコー信号のセットを受信するように、及び、それぞれ、前記第1の増幅エコー信号のセットのいくつかの信号強度に基づいて、それぞれ、前記第1の増幅エコー信号のセットに対応する第2の減衰エコー信号のセットを生成するように構成される第2の減衰器と、
を含むシステムであって、
前記第1の減衰器が、
第1の入力端子と第2の入力端子と出力端子とを含むバッファであって、前記第1の入力端子が入力レジスタと結合され、前記第2の入力端子が前記バッファの前記出力端子と結合され、前記入力レジスタが前記1つ又は複数のエコー信号を受け取るように構成される、前記バッファと、
第1の端子と第2の端子とを含むコンデンサであって、前記第1の端子が前記バッファの前記出力端子と結合され、前記第2の端子が電圧基準点と結合される、前記コンデンサと、
前記コンデンサと結合される第1の可変分路レジスタと、
を含み、
前記バッファと前記コンデンサとがローパスフィルタを構成し、前記第1の可変分路レジスタの値が前記1つ又は複数のエコー信号の前記いくつかの信号強度に基づいて変化して、前記第1の減衰器により提供される減衰を変化させる、システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
或る例示の状況に従って、人間、動物、距離の測定などの様々な応用例において定量測定のために超音波技術が用いれ得る。1つの例示の状況において、超音波画像化システムが、検査すべき物体に超音波信号を発し、これらの信号の戻りエコーを受信する1つ又は複数のトランスデューサ要素を含み、これらのエコーは処理されて物体の画像が求められる。
図1で超音波システムの例示ブロック図を説明する。
【0014】
図1は、或る例示実施形態に従った超音波システム100のブロック図を示す。超音波システム100は、トランスデューサ102、トランスミッタ104、レシーバアナログフロントエンド(AFE)106、送信−受信(T/R)スイッチ108、及びケーブル110を含む。
【0015】
トランスミッタ104は、トランスデューサ102を励起して超音波振動を励起するのに十分な送信励起パルスを発する。トランスデューサ102は、圧電セラミックスなどの圧電材料を含むか、又は圧電材料から構成される。トランスデューサ102は、変換を実施するための単一のトランスデューサ又はトランスデューサのアレイを含み得ることに留意されたい。例えば、トランスデューサ102は、例えばトランスデューサが並んで一列に配置される線形配置など、あらかじめ選択されるパターンで空間的に配置される複数のトランスデューサを有するトランスデューサアレイを含み得る。或る実施形態において、トランスデューサアレイの各トランスデューサが、別個のトランスミッタから生成される個別の送信信号によって励起され得る。各トランスデューサへの入力として提供される送信信号の特性を制御することによって、トランスデューサアレイは、あらかじめ選択される方向に又はあらかじめ選択される角度でパルス(例えば、送信信号)を送信するようにさせられ得る。
【0016】
或る実施形態において、トランスデューサ102は、送信モード及び受信モードで動作するように構成される。送信モードでは、トランスデューサ102は、電気信号を機械振動に変換し、送信超音波信号を生成する。送信超音波信号が或る媒体、例えば一連の対象物又は組織、内を進むとき、送信超音波信号は、散乱、吸収、及び他の伝播効果による減衰を受ける。送信超音波信号は、受信超音波信号の形式で媒体から反射され、トランスデューサ102によって受信される。受信モードでは、受信超音波信号がトランスデューサ102の圧電要素を振動させ、トランスデューサ102は機械信号を電気信号に変換する。
【0017】
より深い組織からの受信超音波信号は、近接場組織からの受信信号より大きく減衰される。また、より深い組織からの反射信号は、近接場組織から反射される信号よりも、トランスデューサに到達するのにより長い時間がかかり得る。下記では、反射又は受信超音波信号をエコー又はエコー信号と称することがある。
【0018】
或る実施形態において、トランスミッタ104によって送信超音波信号が送信される間、トランスミッタ104の出力が、レールツーレール間で約±100Vで切り替わり、それによって、トランスデューサ102が励起される。或る実施形態において、T/Rスイッチ108は、トランスミッタ104から送信される高電圧超音波信号からレシーバAFEを保護するように構成される。一実施形態において、T/Rスイッチ108はダイオードブリッジとして実装され得る。或る実施形態において、T/Rスイッチ108は、トランスミッタ104の±100V出力を±1Vにクランプするための電圧クランパのように実装され、この信号が±1V未満の場合にはこの信号を複製する。したがって、レシーバAFE106は、送信中は±1V矩形波を受け、その後、トランスミッタ104から到来する小信号が続く。
【0019】
T/Rスイッチ108の後には、受信信号を受信し処理するための様々な構成要素を含むレシーバAFE106がある。例えば、レシーバAFE106は、反射信号に対して、減衰、増幅、フィルタリング、及びアナログ−デジタル変換などのオペレーションを実施し、処理された情報を、統合受信ビームを形成するように構成される受信ビームフォーマに提供する。「レシーバAFE」は「レシーバフロントエンド」と称してもよく、したがって、「レシーバフロントエンド」と「レシーバAFE」という用語は、本明細書の記載を通して交換可能に用いられ得る。
図2に、超音波システム100のレシーバAFEのブロック図を示す。
【0020】
或る実施形態において、超音波システム100は、レシーバAFE106において生じる内部反射を回避するように構成される終端を含む。このような反射は、超音波システム100において干渉を生じさせるので望ましくない。或る実施形態において、この終端は、レシーバAFE106の入力に設けられ、それによって、ケーブル110における反射が回避される。或る実施形態において、この終端は、システム入力インピーダンスと整合して信号反射を最小限とするように設計される。或る実施形態において、この終端は動的な終端である。ただし、終端はレシーバAFE106のノイズフロアを悪化させる。「ノイズフロア」という用語は、レシーバAFE106の所与の回路又はシステムが有用になるノイズの最低レベルを指し得、したがって、「ノイズフロア」の値は低いことが望ましいことに留意されたい。
【0021】
図2は、例示の実施形態における
図1の超音波システム100のレシーバAFE106のブロック図を示す。レシーバAFE106は、レシーバAFE106が反射信号(又はエコー)に対して実施する、減衰、増幅、フィルタリング、及びアナログ−デジタル変換などの様々なオペレーションを表すブロックを有するレシーバ処理チェーンを含む。下記では、レシーバAFE106において実施される様々なオペレーションをレシーバ処理チェーンと称することがある。
図2のレシーバAFE106は、トランスデューサ(例えば、トランスデューサ102)から入力信号を受信するように構成される単一のレシーバ処理チェーンを含むように示されている。ただし、レシーバAFE106は、各レシーバ処理チェーンがトランスデューサアレイの或るトランスデューサから入力を受信するように、複数のレシーバ処理チェーンを含み得ることを理解されたい。また、レシーバAFE106は、反射信号(又はエコー)を処理するためのレシーバ処理チェーンを含むので、「レシーバ処理チェーン」と「レシーバAFE」という用語は、本明細書における記載を通して交換可能に用いられ得る。
【0022】
図2に示すように、反射信号或いは1つ又は複数のエコー202は、レシーバAFE106に入力され処理されて、レシーバAFE106の出力において受信信号204が生成される。レシーバAFE106は、低ノイズアンプ(LNA)206、電圧制御減衰器(VCA)208、固定利得アンプ(FGA)210、フィルタ212、及びアナログ−デジタルコンバータ(ADC)214を含む。LNA206は、受信信号エコー202を最小ノイズ付加で増幅する。LNA206への入力は、2Vピークツーピーク(p−p)程度の大きさから、レシーバ処理チェーンのノイズフロア程度の低さまで変動する。ADC214に関連するノイズフロアを上回る低入力信号を得るために、LNA206及びFGA210において利得が提供される。LNA206は、増幅された信号をVCA208に送る。
【0023】
或る実施形態において、エコーは、体の種々の部分の異なる深さから反射されるので、異なる減衰を受ける。エコー信号に関連する信号強度の損失を補償するために、受信エコー信号は、時間利得補償による可変利得(時間とともに変化する)を受け、そのため、すべての受信エコーが実質的に同様の振幅に増幅され得る。或る実施形態において、VCA208はFGA210に結合又は接続され、VCA208及びFGA210は集合的に時間利得補償を提供して、(単一の送信パルスに対応する)すべての受信エコーを同じ又は実質的に同様のあらかじめ選択される振幅レベルまで増幅し得る。或る実施形態において、同じ又は同様のあらかじめ選択される振幅レベルは、レシーバ処理チェーンのADC214のフルスケールレンジと等しくし得る(例えば、
図2に示すレシーバ処理チェーンに対するADC214)。或る実施形態において、高信号レベル又は強度において、VCA208は、ADC214の入力をそのダイナミックレンジ内に収めるために用いられる。「ダイナミックレンジ」という用語は、広範囲の利用可能なエコー信号から考えられる範囲を指し得る。例えば、最大入力において、VCA208は、ADC214の入力をあらかじめ選択される振幅範囲内に維持するように、比較的大きな又は最大の減衰を提供する。信号レベルが小さくなると、(例えば、ADC214への入力を可能な限り大きく維持することにより)ADC214への入力の振幅が小さくならないようにするため、VCA208によって提供される減衰は小さくされる。
【0024】
FGA206の出力はフィルタ212に提供される。フィルタ212は、FGA206の出力から、あらかじめ選択される周波数(例えば、ADC214のサンプリング周波数(又はナイキスト周波数)の半分よりも少なくとも大きい)を上回る周波数成分を除去する。ADC214は、フィルタ212の出力から受信される、利得が施されアンチエイリアスフィルタリングされた信号を、対応するサンプリングタイムインスタンスでサンプリングして、対応するデジタルコード(例えば出力信号204)を生成/出力する。ADC214は、デジタルコードを受信ビームフォーマに送り、受信ビームフォーマは統合レシーバ信号又はいくつかのビームを生成し得る。レシーバビームは処理されて画像が生成される。
【0025】
或る実施形態において、超音波システム100のレシーバ処理チェーンにおける良好なノイズ性能は、レシーバ処理チェーン(又はレシーバAFE106)の始めのLNA206に依存し、LNA206は後続のVCA208におけるノイズの寄与を最小限にするか又は小さくする。
図1を参照すると、或る実施形態において、T/Rスイッチ108が継続的に受信モードであるとき、レシーバAFE106の入力において(又はLNA206の入力において)終端が含まれる。したがって、2Vp−p程度に大きな入力信号(これは、受信エコーを表し得る)をサポートするために、LNA206に関連する供給レールを少なくとも3Vとする。また、入力が2Vp−pに近く振れると、入力の非線形性(HD2及びHD3)も悪化する。したがって、或る例示の状況に従って、LNA206の入力に配置される終端は、レシーバ処理チェーンのノイズ性能を悪化させるが、これは一実施形態に従って回避されるべきである。
【0026】
或る実施形態において、このノイズは、レシーバAFEの出力(例えば、画像)の品質を劣化させ、超音波システムを利用する応用例、例えば臨床診断、に悪影響を及ぼす。或る実施形態において、レシーバAFE106のノイズフロアが悪化することにより、レシーバAFE、例えばレシーバAFE106、が飽和し得る。例えば、2Vp−pの信号は、レシーバAFE106を飽和させることがあり、過負荷状態となり得る。或る実施形態において、レシーバAFE106における過負荷状態が回避され、レシーバAFE106は過負荷状態から可能な限り早く回復する。しかし、レシーバAFE106における低周波数時定数により、レシーバAFE106における過負荷状態からの回復が遅れる。「過負荷状態からの回復」という用語は、下記では「過負荷回復」と称することがあることに留意されたい。したがって、或る実施形態において、入力信号(又はエコー)の低周波数成分がレシーバAFE106によって回避又は除去される。入力信号及びその成分を
図3を参照してより詳細に説明する。
【0027】
図3A及び
図3Bは、例えば、例示の実施形態に従って、
図1及び
図2の超音波システム100のレシーバAFE106などのレシーバAFEに入力される、エコー信号(例えば、エコー信号202)の成分を示すタイミング図である。また、
図3C及び
図3Dは、AFE106の、結果の入力及び出力波形を示すタイミング図である。
【0028】
エコー信号202は、例えばレシーバAFE(例えば、レシーバAFE106)のLNA206などのLNAへの入力として提供される。或る実施形態において、エコー信号202は、様々な周波数に関連する複数の成分を含む。例えば、
図3に示すように、エコー信号202は、低周波数成分302及び高周波数成分304を含む。低周波数成分302は、T/Rスイッチ(例えば、T/Rスイッチ108)のオペレーションにより導入され、エコー信号202の高周波数成分304は、トランスデューサ(例えば、トランスデューサ102)から生成される。低周波数成分302及び高周波数成分304は各々、単一成分、又は複数の低周波数成分と複数の高周波数成分の組合せであり得ることに留意されたい。
【0029】
或る実施形態において、エコー信号202の信号強度は、エコー信号202が体の種々の部分の異なる深さから反射されるために変化し、そのため、異なるレベルの減衰を受ける。エコー信号に関連する信号強度の損失を補償するために、受信エコー信号に時間利得補償による可変利得(時間とともに変化する)を施し、それによって、すべての受信エコーが実質的に同様の振幅に増幅され得る。
図3に示すように、時間利得補償後のレシーバAFE106の出力は、204で示す信号波形によって示される。
【0030】
或る実施形態において、レシーバAFE106を適切に機能させるために、レシーバAFE106は、低周波数成分がレシーバノイズに関連するので高周波数成分にのみ応答すべきである。また、エコー信号に関連する大きな信号スイングのために、LNA206に関連する供給レールを高くする必要があり、これはレシーバAFE106における電力消費の増大につながる。したがって、LNA206が受ける信号スイング及びレシーバAFE106における電力消費はあらかじめ低く選択される。
【0031】
或る実施形態において、レシーバAFEのVCAは、2つの減衰器(例えば、第1の減衰器及び第2の減衰器)に分割され得、これらの減衰器の一方(例えば、第1の減衰器)がレシーバAFE内でLNAの前に実装されるようにし得る。第1の減衰器及び第2の減衰器は、エコー信号をエコー信号の強度に基づいて選択的に減衰させ得る。例えば、エコー信号の強度が最大であるとき、第1の減衰器及び第2の減衰器はいずれも最大の減衰を提供し得る。また、エコー信号の強度が小さくなると、第1の減衰器によって提供される減衰も小さくなる。或る実施形態において、エコー信号の信号強度が所定の閾値未満であるとき、第2の減衰器によって減衰が提供され、第1の減衰器によって提供される減衰は無効とされる。或る実施形態において、1つ又は複数のエコー信号の所定の閾値は、エコー信号が主に低周波数成分を含む場合、エコー信号の強度に関連し得る。第1の減衰器及び第2の減衰器を含むシステムの実装を
図4を参照して説明する。
【0032】
図4は、或る実施形態に従った1つ又は複数のエコーを受信するためのシステム400のブロック図を示す。或る実施形態において、システム400は、第1の減衰器402、第1のアンプ404、及び第2の減衰器406を含む。或る実施形態において、第1の減衰器402及び第2の減衰器406は、1つ又は複数のエコー信号を、この1つ又は複数のエコー信号の強度に基づいて選択的に減衰させるように構成される。まず、(1つ又は複数のエコー信号を有する)入力信号の強度が大きいとき、第1の減衰器402及び第2の減衰器406はいずれも最大の減衰を提供する。入力信号の強度が小さくなると、第1の減衰器402によって提供される減衰は低減される。1つ又は複数のエコー信号の信号強度が小さくなるために、第1の減衰器402によって提供される減衰が最小化されるか又はなくなると、第2の減衰器406によって提供される減衰が減少し始める。
【0033】
或る実施形態において、第1の減衰器402は、例えばエコー信号202などの1つ又は複数のエコー信号を受信するように、及び、1つ又は複数のエコー信号202のいくつかの信号強度に基づいて、それぞれ、この1つ又は複数のエコー信号に対応する第1の減衰エコー信号のセットを生成するように構成される。
図3に示すように、或る実施形態において、エコー信号202は、高周波数成分(例えば、高周波数成分304)及び低周波数成分(例えば、低周波数成分302)を含み得る。一実施形態において、第1の減衰器402は、1つ又は複数のエコー信号の信号のそれぞれの信号強度に基づいて第1の減衰エコー信号のセットを生成するように構成される。或る実施形態において、エコー信号の第1のセットは、高周波数エコー信号に関連している。一実施形態において、第1の減衰器402は高周波数エコー信号に応答するように構成される。応答する信号は、高周波数エコー信号のみではないが、低周波数エコー信号には応答しないように構成される。
【0034】
或る実施形態において、第1の減衰器402は電圧制御減衰器(VCA)である。或る実施形態において、第1の減衰器402は、第1のアンプ404の入力における第1のレジスタネットワークを用いて実現される。特に、第1のレジスタネットワークは、可変レジスタ−コンデンサ配列に結合又は接続されるバッファを含む。このバッファは、コンデンサとともに、低周波数エコー信号にローパスフィルタ構成を提供するように構成され、したがって、低周波数入力信号に対して、第1の減衰器402の出力が入力と等しいか又は実質的に同等となる。ただし、高周波数エコー信号は、第1の減衰器402によって減衰される。或る実施形態において、第1の減衰器402による高周波数エコー信号の減衰は、入力レジスタと第1の可変分路レジスタのインピーダンス値のインピーダンス比に基づいて決まる。
【0035】
或る実施形態において、第1の減衰器への入力信号が大きいとき、第1の可変レジスタ506の値は小さく、それによってより良好な終端を提供し、入力信号の振幅が小さくなると、第1の可変レジスタの値は大きく、それによってより良好なノイズレベルを提供する。
図5を参照して第1の減衰器402の例示の実装形態を詳細に説明する。
【0036】
第1の減衰器402は、第1のアンプ404に結合又は接続される。或る実施形態において、第1のアンプは例えばLNA206(
図2参照)などのLNAである。第1のアンプ404は、第1の減衰器402から受信される第1の減衰エコー信号のセットを受信及び増幅して、それぞれ、この1つ又は複数の第1の減衰エコー信号に対応する第1の増幅エコー信号のセットを生成するように構成される。また、第1のアンプ404は、第1の増幅エコー信号のセットを第2の減衰器406に送るように構成される。第2の減衰器406は、第1のアンプ404から第1の増幅エコー信号のセットを受信し、それに応答して、それぞれ、第1の増幅エコー信号のこのセットのいくつかの信号強度に基づいて、それぞれ、第1の増幅エコー信号のこのセットに対応する第2の減衰エコー信号のセットを生成するように構成される。或る実施形態において、第1のアンプ402は、第1のアンプ404のハイパスフィルタ特性により排斥される低周波数信号を受信する。
【0037】
或る実施形態において、第2の減衰器406はVCAである。或る実施形態において、第2の減衰器406は、第2の直列抵抗及び第2の可変分路抵抗を有する電圧分割器ネットワークを用いて実現される。或る実施形態において、第2の減衰器406によるエコー信号の減衰は、第2の直列抵抗及び第2の可変分路抵抗に基づいて決まる。第2の減衰器406の例示の実装形態を
図6を参照して詳細に説明する。
【0038】
本実施形態では、第1のアンプ404は、第1の減衰器402の後、及び、第2の減衰器406の前に実装される。エコー信号202の信号強度が最大のとき、第1の減衰器402によって提供される減衰が最大レベルになり、それによって、第1のアンプ404が受ける信号スイングの低減の助けとなる。したがって、第1のアンプ404の供給レールを低くすることができ、それによって、レシーバAFE400の電力低減の助けとなる。或る実施形態において、入力の非線形性が小さくなる。
【0039】
或る実施形態において、レシーバAFE400はさらに、第2のアンプ408、フィルタ412、及びコンバータ414を含む。或る実施形態において、第2のアンプ408は固定利得アンプ(FGA)である。或る実施形態において、第2のアンプ408は、第2の減衰器406と結合又は接続される。或る実施形態において、エコー信号202が例えば人体などの媒体の中を進むとき、エコー信号202は、対数的に減衰され、人体の異なる部分から到来するエコー信号に提供される信号減衰について補償される。或る実施形態において、第2のアンプ408及び第2の減衰器406は集合的に、時間利得補償に基づいて第1のアンプ404の出力から受信される第1の増幅エコー信号のセットの電圧レベルを均一にするように構成される。或る実施形態において、第2のアンプ408及び第2の減衰器406は、第1のアンプ404及び第1の減衰器402とともに、時間利得補償に基づいて受信エコー信号の減衰(時間の関数として)を補償するための可変利得アンプ(VGA)410を構成する。
【0040】
フィルタ412は、第2のアンプ408に結合又は接続され、第2の減衰エコー信号のセットから、所定の周波数範囲内の信号周波数を含むいくつかのエコー信号をフィルタリングして、1つ又は複数のフィルタリングされたエコー信号を生成するように構成される。或る実施形態において、所定の周波数範囲とは、フィルタ412がこの範囲外の周波数を有するいくつかのエコー信号をフィルタリング又は遮断するように構成される周波数範囲を指し得る。或る実施形態において、フィルタ412はアンチエイリアスフィルタ(AAF)である。
【0041】
コンバータ414は、フィルタ412に結合又は接続され、フィルタ412から出力される1つ又は複数のフィルタリングされたエコー信号を、例えば受信信号416などの受信信号に変換するように構成される。或る実施形態において、コンバータ414はアナログ−デジタルコンバータ(ADC)である。
【0042】
システム400は、エコーが受信され処理されるシステムに含まれる。一実施形態に従って、システム400は超音波システムにおいて具現化される。したがって、レシーバシステム400は、レシーバフロントエンド(又はAFE)内に含まれる。したがって、一実施形態において、システム400のブロック図はレシーバAFEも示し、数字400は、レシーバAFE、レシーバフロントエンド、及びシステムを指すために交換可能に用いられ得る。また、システム400はエコー受信及び処理システムに含まれるので、レシーバAFE106(
図1参照)のLNA206、FGA210、フィルタ212、及びADC214は、レシーバシステム400の第1のアンプ404、第2のアンプ408、フィルタ412、及びコンバータ414の代わりに用いられ得、VCA208は、第1の減衰器402及び第2の減衰器406で置き換えられる。
図4の第1のアンプ404、第2のアンプ408、フィルタ412、及びコンバータ414は
図2のそれぞれの構成要素に類似し、本明細書では簡潔のためにこれらの説明を省略することに留意されたい。
【0043】
図5は、或る実施形態に従った、
図4のレシーバAFE400の第1の減衰器402の回路図を示す。或る実施形態において、第1の減衰器402は、低周波数成分に応答しないように実装される。第1の減衰器402の入力におけるエコー信号の低周波数成分(例えば、低周波数成分302)の、第1の減衰器402の減衰での乗算による対応する一層高い周波数信号への変換を防ぐために、第1の減衰器402にバッファ及びコンデンサが含まれる。
【0044】
本技術の範囲を限定することなく、或る実施形態において、第1の減衰器402は、バッファ502、コンデンサ504、及び可変分路レジスタ506を含む。バッファ502は、第1の入力端子508、第2の入力端子510、及び出力端子512を含む。バッファ502の第1の入力端子508は、入力レジスタ514に結合又は接続される。或る実施形態において、入力レジスタ514は、トランスデューサの等価レジスタを表す。或る実施形態において、入力レジスタ514は、第1の端子516及び第2の端子518を含み、第1の端子516がエコー信号202などの1つ又は複数のエコー信号を受け取るように構成されるようにする。入力レジスタ514の第2の端子518は、バッファ502の第1の入力端子508に結合又は接続される。バッファ502の第2の入力端子510は、バッファ502の出力端子512に結合又は接続される。また、バッファ502の出力端子512はコンデンサ504と結合される。例えば、
図5に示すように、バッファ502の出力端子512は、コンデンサ504の第1の端子に結合又は接続され、コンデンサ504の出力端子が、電圧基準点520(例えば、接地面)に結合又は接続される。或る実施形態において、バッファ502及びコンデンサはローパスフィルタを構成する。
【0045】
或る実施形態において、第1の減衰器402によって提供される減衰は、入力レジスタ514のインピーダンス値と第1の可変分路レジスタ506のインピーダンス値のインピーダンス比に基づいて決まる。例えば、信号強度が大きいとき又はエコー信号が高周波数信号を含むとき、第1の可変レジスタ506の値は最小レベルに設定され、それにより、受信エコー信号が最も大きく減衰され得る。
【0046】
或る実施形態において、高周波数成分及び低周波数成分を含むエコー信号がレシーバAFE(又は第1の減衰器402)の入力で受信されると、バッファ502及びコンデンサ504は、入力エコー信号をフィルタリングし、低周波数信号を第1の可変分路レジスタ506の他の端部に供給又は送る。第1の可変分路レジスタ506は、無限レジスタとして機能し、エコー信号の低周波数成分に対していかなる減衰も導入しない。第1の減衰器402によって提供される減衰は、下記の式によって表され得る。
Attenuation
(First VCA1)=R
shunt/(R
shunt+R
Source)
ここで、R
sourceは入力レジスタ514(トランスデューサ抵抗を示す)のインピーダンス値を表し、R
shuntは第1の可変分路レジスタ506のインピーダンス値を表す。
【0047】
一実施形態において、R
shuntは、レシーバAFEにおける個別の終端が回避され得るように終端抵抗としても機能する。
【0048】
図6は、或る実施形態に従った、
図4のレシーバAFE400の第2の減衰器406の回路図を示す。本技術の範囲を限定することなく、或る実施形態において、第2の減衰器406は、インピーダンス比を提供するように構成され得る第2の直列レジスタ602及び第2の可変分路レジスタ604を含む。或る実施形態において、第2の減衰器406によって提供される減衰は、このインピーダンス比によって決まる。例えば、第2の減衰器406によって提供される減衰は、下記の式によって表され得る。
Attenuation
(Second VCA)=R
1/(R
1+R
in)
ここで、R
1は第2の可変分路レジスタ604のインピーダンス値を表し、R
inは第2の直列レジスタ602のインピーダンス値を表す。
【0049】
或る実施形態において、第2のVCA406の入力と出力の関係は、下記の式によって表される。
第2の減衰器406の出力608=R1/(R1+Rin)×第2のVCA406の入力606
【0050】
図5及び
図6は、第1の減衰器402及び第2の減衰器406の回路構成を示す。ただし、本技術は
図5及び
図6に示す第1の減衰器402及び第2の減衰器406の例示の回路構成に限定されないことに留意されたい。そうではなく、第1の減衰器402及び第2の減衰器406は、異なる構成を呈していてもよく、ここで提示されるもの以外の回路構成要素を用いて実現されてもよい。したがって、本技術の様々な実施形態により、様々な応用例におけるレシーバAFEにおいて用いられ得る配置及び回路が得られる。例えば、
図4を参照して説明したレシーバAFE400、及びレシーバAFE400の他の変形が、医療デバイス、超音波デバイスなどで利用され得る。本明細書で開示するレシーバAFE400を組み込む例示の超音波デバイスを
図7を参照して説明する。
【0051】
図7は、或る実施形態における、
図4のレシーバAFE400を組み込む超音波システム700のブロック図である。
図7に示すように、超音波システム700は、トランスミッタ702、少なくとも1つのトランスデューサ(例えば、トランスデューサ704)、及びレシーバフロントエンド(例えば、レシーバAFE400)を含む。トランスミッタ702は、1つ又は複数の励起信号を生成し送信するように構成される。或る実施形態において、少なくとも1つのトランスデューサを励起するために用いられるこれら1つ又は複数の励起信号は、100ボルト程度の高電圧振幅を有する。例えばトランスデューサ704などの、この少なくとも1つのトランスデューサは、例えばケーブル706などのケーブルを介してトランスミッタ702に結合又は接続され、1つ又は複数の励起信号を受け取るように、及び、それに応答して、送信信号を生成するように構成される。T/Rスイッチ708などのT/Rスイッチが、レシーバAFE400で受信されているエコー信号を制御するように構成される。或る実施形態において、トランスミッタ702、少なくとも1つのトランスデューサ704、ケーブル706、及びT/Rスイッチ708は、対応する構成要素、例えば、(
図1を参照して説明した)超音波システム100の、それぞれ、トランスミッタ104、少なくとも1つのトランスデューサ102、ケーブル110、及びT/Rスイッチ108、と機能及びオペレーションの点で類似しており、したがって、本明細書ではこれらの説明を省略する。
【0052】
例えばレシーバフロントエンド400などのレシーバフロントエンドは、送信信号に応答して生成される1つ又は複数のエコー信号を受信するように構成される。レシーバフロントエンド400はさらに、反射信号に対して減衰、増幅、フィルタリング、及びアナログ−デジタル変換などを実施することによって、これら1つ又は複数のエコー信号を処理するように構成される。レシーバフロントエンド400の様々な例示の構成要素及びそれらの機能は既に
図4を参照して説明した。
【0053】
上述のように、本開示のシステム、デバイス(例えば、装置)、及び方法は、超音波システムなどの様々な応用例においてレシーバAFEを実施するための解決策を含む。したがって、本開示はレシーバAFEのオペレーションを電力効率良く可能にするいくつかの特徴を開示していることに留意されたい。また、開示される技術は、より低い信号レベルでノイズを低減する助けとなる。
【0054】
開示される様々なシステムは、第1の減衰器及び第2の減衰器を有するアーキテクチャを含み、第1の減衰器はアンプの前に配置され、第2の減衰器はアンプの後に配置される。或る実施形態において、信号スイングが最大のとき、第1の減衰器における減衰も最大レベルになる。第2の減衰器をアンプの後に配置することにより、アンプが受ける信号スイングが小さくなる。これにより、アンプに関連する供給レールが低くなり得るので、電力低減の助けとなる。また、入力の非線形性が低減される。
【0055】
或る実施形態において、T/Rスイッチのオペレーションに起因して生じる反射を低減するために、レシーバAFEの前に終端が適用される。ただし、一実施形態に従って、T/Rスイッチが閉じると、信号スイングが最大レベルになり、それにしたがって、第1の減衰器により提供される減衰も最大レベルになる。入力信号(又はエコー)の強度が小さくなると、信号スイングも小さくなる。したがって、第1の減衰器によって提供される減衰も小さくなる。特に、第1の減衰器及び第2の減衰器は、レシーバAFEで受信されるエコー信号の減衰を選択的に制御する。また、第1の減衰器の第1の可変抵抗は終端抵抗として機能して、別個の終端が不要になる。また、或る実施形態において、信号スイングが小さくなると、第1の減衰器の第1の可変抵抗が解放されるか、又は、第1の可変レジスタの抵抗値が著しく増加して、一層低い信号レベルでノイズが低減される。
【0056】
特徴、利点についての本明細書における言及、又は類似の言葉は、これらの特徴及び利点のすべてが任意の単一の実施形態にあに取りるべきであること又はあることを含意しないことに留意されたい。そうではなく、特徴及び利点について言及する言葉は、或る実施形態に関連して説明される、特定の特徴、利点、又は特性が、本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味することを理解されたい。そのため、本明細書を通して、これらの特徴及び利点並びに類似の言葉の記載は同じ実施形態を指し得るが、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。
【0057】
上述したような本開示の様々な実施形態は、異なる順序の工程及び/又はオペレーションと共に、且つ/又は、開示されたものと異なる構成におけるハードウェア要素と共に実施され得る。したがって、本技術をこれらの例示の実施形態に基づいて説明してきたが、或る種の改変、変形、及び代替構造が、明らかであり得、十分に本技術の趣旨及び範囲内にあり得ることに留意されたい。
【0058】
本発明の特許請求の範囲内で、多くの他の実施形態及び変形が可能であることが当業者には理解されよう。