【文献】
J.Li et al.,Strain-induced reorientational and mobility in nematic liquid-crystalline elastmers as studeied by time-resolved FTIR spectroscopy.,The European Physical Journal E,2005年 8月 1日,Vol.17, No.4,pp.423-428
【文献】
Kawatsuki Nobuhiro et al.,New photocrosslinkable copolymers for non-linear optical applications,Makromol. Chem., Rapid Commun.,1993年10月 1日,Vol.14 No.10,pp.625-632
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配向層表面に対して液晶分子の垂直配向を促進することができるポリマー化合物の少なくとも1種を含む表面ダイレクタ配向層であって、
該ポリマー化合物が:
繰返し単位(204、205)を含むポリマー骨格(209);
該繰返し単位の少なくともいくつかに結合した第一側基(206)であって、少なくとも一つのベンゾフェノン部分又はその誘導体を含む光官能性部分(208)を含む該第一側基;
該繰返し単位の少なくともいくつかに結合した第二側基(207)であって;前記
繰返し単位にエンド−オン結合し、液晶材料の垂直配向を誘導することのできる顕著な形状異方性を有する第二側基(207)
を含み、
前記第一側基は、下記一般式(I):
【化1】
(式中、L
1は前記繰返し単位に結合する連結基を表し、該L
1は5乃至15の結合原子を含み、
R
1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数1乃至20のアルケニル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルケニル基、炭素原子数1乃至20のアルキニル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルキニル基、炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基、又は置換された炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基を表し、
nは0乃至4であり、
R
2及びR
3は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至3のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアルキル基、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基を表す。)を有し、
前記第二側基は、下記一般式(II):
【化2】
(式中、L
2は、前記繰返し単位に結合した連結基を表し、該L
2は5乃至15の連結原子を含み、
mは、0又は1であり、
Xは、−COO−、−CH=CH−、又は−C≡C−を表し、
R
4は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至炭素原子数20のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至炭素原子数20のアルキル基を表し、炭素原子数1乃至炭素原子数20のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至炭素原子数20のアルコキシ基、炭素原子数1乃至炭素原子数20のアルケニル基、置換された炭素原子数1乃至炭素原子数20のアルケニル基、炭素原子数1乃至炭素原子数20のアルキニル基、置換された炭素原子数1乃至炭素原子数20のアルキニル基、炭素原子数1乃至炭素原子数20のアミノアルキル基、置換された炭素原子数1乃至炭素原子数20のアミノアルキル基を表し、
nは0乃至4であり、
R
5及びR
6は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至3のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアルキル基、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基を表す。)を有する、
表面ダイレクタ配向層。
前記ポリマー化合物における、前記第一側基の数と、前記第二側基の数との割合が、10:1乃至1:100の範囲にある、請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の表面ダイレクタ配向層。
前記ポリマー化合物における、前記第一側基の数と、前記繰返し単位の総数との割合が、1:1乃至1:100の範囲内にある、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の表面ダイレクタ配向層。
前記繰返し単位が、マレイミド、アクリレート、メタクリレート、ビニル、スチレン、N−ビニルラクタムモノマー、及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物から選択された第一繰返し単位を含む、請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の表面ダイレクタ配向層。
前記繰返し単位が、更に、マレイミド、アクリレート、メタクリレート、ビニル、スチレン、N−ビニルラクタムモノマー又はそれらの混合物、及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物、の少なくとも一種から選択される繰返し単位の第二種を含み、
該繰返し単位の第二種は、前記第一繰返し単位とは異なり、そして
前記繰返し単位の第二種の少なくともいくつかは、前記第一側基で官能基化されており、及び/又は前記繰返し単位の第二種の少なくともいくつかは、前記第二側基で官能基化されている、
請求項8に記載の表面ダイレクタ配向層。
【背景技術】
【0002】
液晶デバイスは、一般に、基板上に配列された、又は一対の基板間に挟まれた、液晶材料層を含む。
【0003】
液晶分子は、典型的には、特定の好ましい方向の長軸に沿って自己集合するための能力を有する形状異方性を示す、相対的に固定された分子である。分子の平均方向は、ベクトル量によって特定され、そしてダイレクタと呼ばれる。
【0004】
液晶ディスプレイ(LCDs)において、電場のような外部場の非存在中の液晶分子の所望の初期配列は、一般に、閉じ込め固体基板の適切な表面処理、典型的には、液晶バルクに面する閉じ込め基板の表面上にいわゆる配向層を塗布することによって達成される。初期液晶配向性は、液晶層及び配向層間の界面での固体表面/液晶の相互作用によって規定される。
【0005】
閉じ込め表面に隣接した液晶分子の配向性は、弾性力によってバルク中の液晶分子に伝達され、したがって、本質的に全ての液晶バルク分子に同じ配列を与える。
【0006】
液晶層及び配向層間の界面近くの液晶分子のダイレクタ(本明細書では表面ダイレクタともいう)は、閉じ込め基板表面に対して垂直、またホメオトロピック配向若しくは垂直配向(VA)といわれる、又は閉じられた基板表面と平行に、いわゆるホモジニアス配向若しくは平面配向(PA)といわれる、または事前に規定されたチルト角、また閉じ込め基板表面に対するプレチルト角といわれる、おおよその垂直配向及び平面配間、チルト角(TA)といわれるなどの、特定の方向を向くように制約される。液晶ディスプレイ中に望まれる配列の種類はデバイスの意図する用途によってきまる。
【0007】
配向層を設定するための既知の方法は、例えば、有機膜ラビング方法及び無機膜蒸着法である。
【0008】
有機膜ラビング法によれば、例えばポリイミド等の有機被膜が基板表面に形成される。有機被膜は、その後、綿、ナイロン又はポリエステル等の生地を使用して所定の方向にラビングされる。結果として、有機層と接触した液晶分子は、ラビング方向に沿って配向される。しかしながら、ラビング方法は、機械的なラビングに起因して配向膜の表面にひっかき傷が生じ得るという問題、並びに埃及び液晶ディスプレイデバイス中の薄膜トランジスタに損害をもたらし得る静電気を生じ得るという問題を有する。
【0009】
無機膜蒸着法では、無機膜は、閉じ込め基板に対して斜方に、酸化ケイ素基板のような無機基板の蒸着により基板表面に形成され、そのため、液晶分子は、無機材料及び蒸着条件に依存して特定の方向に、無機膜により配向される。製造コストが高いので、この方法は大量生産に適しておらず、それゆえ、この方法は実際には使用されない。
【0010】
配向層を設定するためのより最近の技術は、光に配向層を露光することを含む光配向であり、それにより、今度は液晶の特定の配向方向を誘導する配向層表面の物理的性質の異方性を生じさせる。光配向法の一つの利点は、それが非接触プロセスであることであり、
及びそれにより、有機膜ラビング法に関連づけられる上記問題が回避される。
【0011】
垂直(ホメオトロピック)配向(VA)及び平面配向(PA)は、LCDsで採用された液晶配向の二つの主要な種類である。垂直配向は、優れたコントラスト比における非常に低伝送暗状態としてLCD TVsにおいて特に有利である。多くの場合、例えば、電場の印加時に液晶材料の応答時間をより短くし得る及び/又は電場が印加された場合に液晶分子のより均一な再配向を促進し得る、所定のチルト角(TA)で、液晶分子を向けることは有利である。基板面の法線に対して液晶分子のわずかなプレチルトとほぼ垂直な配向を誘導することによって(基板面に対して計算して例えば85−88°)、LCDの液晶分子の高速スイッチングは、LCDのコントラストの大幅な劣化なしに達成され得る。
【0012】
欧州特許第2131233号明細書は、液晶分子の平均プレチルト角が87乃至89.5°となる様に液晶分子の配列を制御するために、配向膜がそれらの光照射により順応し得る、液晶ディスプレイデバイスに使用される配向膜材料のためのポリマーを開示する。このポリマーは、シンナメート基、アゾベンゼン基、スチルベン基、シンナモイル基、及びクマリン基からなる基から選択される光官能性基を含む。しかし、これら光官能性基はラジカル重合のような多くの慣用の重合方法で非特異的に反応する可能性があり、そしてその結果として、欧州特許第2131233号明細書に従うポリマーの製造は、例えば、縮合反応の第一工程とそれに続く硬化工程を含むポリイミドの製造などの時間のかかる重合方法に限定される。その結果、欧州特許第2131233号明細書に従うポリマー骨格に使用するための適したモノマーの選択もまた制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記及び先行技術の他の欠点を考慮して、本発明の一般的な目的は、液晶材料の所望のプレチルト角が達成できるように容易に構成することができる表面ダイレクタ配向層のためのポリマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、この目的及び他の目的が、本発明に係るポリマー化合物を利用することによって達成できることを見出した。本発明は、ベンゾフェノン部分又はその誘導体が、ポリマーの光照射によって液晶デバイス中の液晶分子の所望のプレチルト角の非常に正確な制御のための表面ダイレクタ配向層中のポリマー化合物における光官能性部位として有利に使用できるという理解に基づく。特に、本発明者らは、ベンゾフェノン部分又はその誘導体が、高い光安定性及び熱安定性を促進するという優れた光機能特性を示すこと、並びに加えて、本発明に係るベンゾフェノン部分を含むポリマー化合物がラジカル重合法を使用して容易に製造され得ることを見出した。本発明によれば、全液晶デバイス領域にわたって、不均一に分布した液晶材料の所望のプレチルト角を誘導する配向層を得ることができる。
【0016】
第一の実施態様によれば、本発明は、表面ダイレクタ配向層に使用するためのポリマー化合物を提供する。該ポリマー化合物は、繰返し単位を含むポリマー骨格;繰返し単位の少なくともいくつかに結合した第一側基であって、少なくとも一つのベンゾフェノン部分又はその誘導体を含む光官能性部分を含む該第一側基;そして該繰返し単位の少なくともいくつかに結合した第二側基であって;液晶材料の垂直配向を誘導することができる顕著な形状異方性を有する第二側基、を含む。
【0017】
このポリマー化合物はまた、随意に、例えばアンカー側基、アルキル側鎖又はイオン移動阻害側基のような他の官能性側性側基を含む。
【0018】
本明細書で使用される用語“顕著な形状異方性を有する側基”は、実際の環境における顕著な形状異方性を有する分子をいう。顕著な異方性を有する側基は、その短い軸(軸ら)及びその長い軸(軸ら)間の明確な違いを示し、そしてその構造中で比較的固定されている。
【0019】
本発明のポリマー化合物が表面ダイレクタ配向層に使用される場合、このポリマーの第二側基は、典型的には、配向層(及び基板)の平面に対して実質的に垂直に向けられており、したがって隣接した液晶材料の垂直配向を誘導する。液晶材料の所望のプレチルトを達成するために、本発明のポリマー化合物は、更に、光放射によって制御され得る配向性の、少なくとも一つの光機能性ベンゾフェノン部分又はその誘導体を含む第一側基を含む。ポリマー化合物の光照射は、第一側基にチルト配向性の導入をもたらす。しかし、例えば第一及び第二側基の分子構造及び/又は光官能性部分(以下で更に説明する)の光反応特性に依存して、光照射は、第二側基の再配向に加えて、又は代わりに第一側基の再配向をもたらしえる。いずれの場合も、光照射は、第一及び第二側基の全体の配向を達成するために実施され、液晶分子と第一及び第二側基との間の立体的及び極性の相互作用を経て、液晶分子の所望のプレチルト角を促進する。
【0020】
典型的には、本発明の光官能性部分は、光反応性である。“光反応性”とは、照射に応じて化学反応を受けることができることを意味する。このような化学反応は、例えば二量化反応、重合反応及び異性化反応等を含む。上記反応は、第一側基内の、第一側基の二つ以上の間の、第一側基及び第二側基間の、並びに/又は第一側基及びポリマー骨格間の反応を含み得る。したがって、本発明に係るポリマー化合物が、表面ダイレクタ配向層として又は表面ダイレクタ配向層中に使用される場合、光反応部分を含む第一側基の配向性及び/又は他の側基の配向性は、表面ダイレクタ配向層に接触した液晶分子の所望のプレチルト角を提供することを制御することができる。弾性力を介して、液晶バルクは、同じプレチルト角を採用している。
【0021】
有利には、本発明の実施態様において、第一側基は下記一般式(I):
【化1】
(式中、L
1は、前記繰返し単位に結合した連結基を表し、L
1は3乃至30の結合原子、例えば5乃至15の結合原子を含み;
R
1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数1乃至20のアルケニル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルケニル基、炭素原子数1乃至20のアルキニル基、置換され
た炭素原子数1乃至20のアルキニル基、炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基、置換された炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基を表し、典型例としては水素原子、又は炭素原子数1乃至11のアルキル基又は炭素原子数1乃至11のアルコキシ基を含み;
nは0乃至4であり、
R
2及びR
3は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至3のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアルキル基、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基を表す。)を有し得る。
【0022】
本発明の実施態様において、第二側基は、第二側基の主延長に沿って延びる長軸及び長軸に垂直な短軸を有する直鎖形状異方性を有し、並びに繰返し単位にエンド−オンで結合している。
【0023】
有利には、本発明の実施態様において、第二側基は下記式(II)
【化2】
(式中、L
2は上記繰返し単位に結合した連結基した連結基を表し、L
2は3乃至30結合原子、例えば5乃至15結合原子を含み;
mは、0又は1であり、
Xは、−COO−、−CH=CH−、又は−C≡C−を表し、
R
4は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数1乃至20のアルケニル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルケニル基、炭素原子数1乃至20のアルキニル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルキニル基、炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基、置換された炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基を表し、典型例としてはハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至11のアルキル基又は炭素原子数1乃至11のアルコキシ基を含み;
nは、0乃至4であり、
R
5及びR
6は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至3のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアルキル基、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基を表す。)を有し得る。
【0024】
ポリマー化合物が表面ダイレクタ配向層として使用される場合、液晶材料の液晶分子は第一及び第二測基の両方の配向性によって影響されることが望ましい。このことを達成するために、有利には、第一側基及び第二側基は同じ長さであってもよい。したがって、本発明の実施態様において、連結基L
1は、連結基L
2よりも最大で10多い連結原子、例えば最大で6多い連結原子を含み得る。
【0025】
例えば、本発明の実施態様において、L
1は、L
2よりも最大6以上の連結原子を含み得、そして上記式中、R
1は、水素原子又はハロゲン原子を表し得、そしてR
4は炭素原子数3乃至6のアルキル基又は炭素原子数3乃至6のアルコキシ基、例えばヘキシルオキシ基を表し得る。この実施態様において、第一及び第二側基はポリマー骨格から同様の延長を有している。
【0026】
連結基L
1及びL
2は、互いに、随意に置換された飽和の又は不飽和の炭化水素鎖、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アルコキシ基又はポリエーテル基、アリールオキシ基、シロキサン鎖を含み得る。例えば、L
1及びL
2は、互いに独立して、炭素原子数1乃至30のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至30のアルキル基、炭素原子数1乃至30のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至30のアルコキシ基、炭素原子数1乃至30のアルケニル基、置換された炭素原子数1乃至30のアルケニル基、炭素原子数1乃至30のアルキニル基、置換された炭素原子数1乃至30のアルキニル基、炭素原子数1乃至30のアミノアルキル基、又は置換された炭素原子数1乃至30のアミノアルキル基であり得る。典型的な例としては、炭素原子数1乃至15のアルキル基又は炭素原子数1乃至15のアルコキシ基、例えば炭素原子数3乃至11のアルキル基又は炭素原子数3乃至11のアルコキシ基を含む。
【0027】
本発明の例となる実施態様において、ポリマー骨格の繰返し単位はマレイミドを表し、L
1は炭素原子数11のアルコキシ基を表し;R
1、R
2及びR
3は水素原子を表し;L
2及びR
4は炭素原子数6のアルコキシ基を表し、R
5は水素原子又はN−アルキルアミド基を表し、R
6は水素原子又はN−アルキルアミド基を表し、mは1であり;そしてXは−COO−を表す。
【0028】
本発明の他の例となる実施態様において、ポリマー骨格の繰返し単位はヘキシルアクリレートを表し、L
1は炭素原子数11のアルコキシ基を表し;R
1、R
2及びR
3は水素原子を表し;L
2及びR
4は炭素原子数6のアルコキシ基を表し、R
5は水素原子又はN−アルキルアミド基を表し、R
6は水素原子又はN−アルキルアミド基を表し、mは1であり;そしてXは−COO−である。
【0029】
本発明の実施態様において、ポリマー化合物中の第一側基の数と第二側基の数との比は、10:1乃至1:100の範囲、例えば2:1乃至1:10、例えば1:1の範囲であり得る。これらの比を用いて、第一及び/又は第二側基の再配向性の所望の程度は、ポリマーの光照射により達成できる。
【0030】
本発明の実施態様において、第一側基の数及びポリマー化合物の繰返し単位の総数の割合は、1:1乃至1:100、例えば1:10の範囲にある。
【0031】
繰返し単位の総数に対する第一及び第二側基の数は、典型的には、ポリマーが配向層として使用される場合、液晶層とポリマーを含む配向層との界面で適切な固体表面/液晶相互作用を達成するためにポリマー骨格に沿って十分な側基があり、液晶材料の液晶分子に所望のプレチルト角を伴う配向になるように、ポリマー骨格の長さに沿って側基の所望の分布を与えるために構成され得る。
【0032】
ポリマー中の第二側基に対する第一側基の数の割合、及び繰返し単位の総数に対する第一及び/又は第二側基の数の割合は、有利には、ポリマーの光照射で所望のプレチルト角を付与するために適応させ得る。最適な割合は、典型的には、例えば直線偏光電磁放射の方向及び/又はその波長、及び/又は露光時間、温度、及び周囲の雰囲気に応じる、光照射に使用される方法に依存するであろう。しかし、所望のプレチルトを達成するための最適な割合はまた、第一及び第二側基の各々の構造に依存し得る。
【0033】
本発明の実施態様において、繰返し単位は、マレイミド、アクリレート、メタクリレート、ビニル、スチレン、及びN−ビニルラクタムモノマーの少なくとも一種、及びそれらの誘導体、及びそれらの混合物から得ることができる。
【0034】
本発明の実施態様において、ポリマー骨格は、繰返し単位の第一種、また“第一繰返し単位”という、加えて繰返し単位の第二種、本明細書で“第二繰返し単位”という、を含み得る。前記第一及び第二繰り返単位の各々は、マレイミド、アクリレート、メタクリレート、ビニル、スチレン、及びN−ビニルラクタムモノマー、及びそれらの誘導体、及びそれらの混合物から選択され得る。第一繰返し単位は、典型的には、第二繰返し単位とは異なる。
【0035】
いくつかの実施態様では、第一繰返し単位の少なくともいくつかは、第一側基又は第二側基で官能化され得、及び第二繰返し単位の少なくともいくつかはまた、随意に第一又は第二官能基で官能化され得る。他の実施態様において、第二繰返し単位のいくつかは、第一側基で官能化され、及び/又は第二繰返し単位の少なくともいくつかは、第二側基で官能基化され、そして第一繰返し単位は、随意に、第一及び第二側基を欠いていても良い。さらに他の実施態様においては、第一繰返し単位の少なくともいくつかは、第一側基で官能化されえ、そして第二繰返し単位の少なくともいくつかは、第二側基で官能化され得、逆もまた同様である。
【0036】
本発明の実施態様では、繰返し単位の少なくともいくつかは、例えば第一及び/又は第二繰返し単位のいくつかは、典型的には、炭素原子数2乃至20のアルキル基又は置換された炭素原子数2乃至20のアルキル基、例えば炭素原子数2乃至11のアルキル基、例えば炭素原子数8のアルキル基であり得る第三の側基で官能化され得る。例えば、第三側基はN−アルキルマレイミドを含みえる。
【0037】
さらに、第二の態様では、本発明は、表面上に上述した被覆物としてポリマー化合物を含む、表面ダイレクタ配向層に関する。
【0038】
第三の態様では、本発明は、基板を準備する工程;基板の表面上に上述したポリマー化合物を塗布し、表面ダイレクタ配向層を準備する工程;そして
基板の法線に対して1°乃至89°の範囲の入射角で、電磁波放射、入射面で線形偏光してなり、及び200nm乃至400nm、例えば250乃至320nmの範囲の波長を有する電磁波照射を用いて表面ダイレクタ配向層を照射する工程、を含む表面ダイレクタ配向層の光配向性のための方法に関する。入射面は、入射光及び基板の法線を含有する面として定義される。
【0039】
第4の態様において、本発明は、少なくとも1つの閉じ込め基板;液晶バルク材料;及び少なくとも1つの閉じ込め基板及び液晶バルク材料の間に配置された表面ダイレクタ配向層であって、液晶バルク材料中含まれる液晶分子に、印加された電場の非存在下で、表面ダイレクタ配向層の表面に対して所望のプレチルト角の形成させる、液晶バルク材料の表面と接触してなる表面ダイレクタ配向層を含む液晶デバイスに関し、ここで、表面ダイレクタ配向層は上述したポリマー化合物を含む。
【0040】
本発明の実施態様において、プレチルト角は表面ダイレクタ配向層を光照射することにより調節できる。
【0041】
本発明の実施態様において、プレチルト角は85乃至89.5°、例えば87乃至89.5°、例えば87.5乃至88.5°の範囲であり得る。垂直配向(プレチルト)から
のこの様な小さい偏差は、液晶材料の応答時間を減少させ、及び/又は電場の印加により、液晶分子のより均質な再配向性を促進する。
【0042】
第五の態様において、本発明は上述した液晶デバイスの製造方法に関する。この方法は基板を準備する工程;
基板上に第一電極層を準備する工程;
第一電極層の表面上に本明細書に記載したポリマー化合物を塗布し、表面ダイレクタ配向層を準備する工程;
基板の法線に対して1乃至89°の範囲の入射角で電磁波放射、入射面に線形偏光してなり、そして200乃至400nm、例えば250乃至320nmの範囲の波長を有する電磁波放射を用いて表面ダイレクタ配向層を照射する工程;そして
配向層と接触した液晶材料を配向させる工程;
を含む。
【0043】
第六の態様において、本発明は、液晶デバイスのための配向層中の上述したポリマー化合物の使用に関する。
【0044】
第七の態様において、本発明は、上述した液晶デバイスを含む又は上述した液晶デバイスの製造方法によって製造された液晶ディスプレイに関する。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下の説明において、本発明は、表面ダイレクタ配向層に使用するために適したポリマー化合物、このようなポリマー化合物の合成、及び液晶ディスプレイのような液晶デバイスの、表面ダイレクタ配向層としての又は表面ダイレクタ配向層中へのこのようなポリマーを使用すること、を参照して説明する。
【0048】
本発明者らは、驚くべきことに、ベンゾフェノン部分又はその誘導体が、有利には、表面ダイレクタ配向層に使用するためのポリマー化合物のペンダント基中の光官能性部分として使用することができることを見出した。ベンゾフェノン又はベンゾフェノン誘導体の光官能化特性のために、ポリマー化合物は、表面ダイレクタ配向層中に使用された場合、液晶分子の所望のプレチルト角を促進するために容易に制御することができる。このような制御は、電磁波照射を用いたベンゾフェノン部分を含むポリマー化合物を光照射することによって実施される。
【0049】
本発明に従う表面ダイレクタ配向層及びこの表面ダイレクタ配向層の光再配向のための方法の実施態様は、これから、この方法を説明するフローチャート図である
図1、及び概略的に
図1に対応する方法工程に従う状態における表面ダイレクタ配向層を示す
図2を参照して説明する。
【0050】
第一工程として、基板201を準備した。例えば、基板はガラス基板であり得る。典型的には、電極層がすでに基板の表面に与えられているが、もしそうでないなら、慣用の電極層を、配向層を塗布する前に基板201上に塗布され得る。
【0051】
第二工程として、本発明の実施態様に従うポリマー化合物は、基板201上に塗布される。このポリマーは、典型的には、まず、揮発性溶剤等の溶媒中に溶解、分散又は懸濁(dispended)させる前に、溶液中でモノマー混合物の重合化によって製造され、そして、その溶液/分散液/懸濁液は基板表面上に被覆され、ついで溶媒を除去する。適した被覆方法は、但しこれに限定されるわけではないが、スピンコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、ロールコーティング、フレックス印刷、インクジェット印刷、ディッピング法等の慣用の方法を含む。或いは、本発明のその他の実施態様では、モノマー及び/又はプレポリマーの混合物を含む反応混合物が基板表面上に被覆されえ、続いてそのまま基板表面上で直接反応混合物が重合される。
【0052】
図2bに示すように、ポリマー化合物は、繰返し単位204、205を含むポリマー骨格209を含み、いくつかの繰返し単位204はそれに結合した第一側基206を有し及び他の繰返し単位205はそれに結合した第二側基207を有している。第一側基206は、ベンゾフェノン部分又はその誘導体を含む少なくとも一つの光官能性部分208を含む。
【0053】
図2bでは、第一側基206及び第二側基207の両方共は顕著な形状異方性、即ち第一及び第二側基は第二側基の主延長に沿って伸びる長軸及び長軸に垂直な短軸に伴う線形異方性を有する。第一及び第二側基の両方は、上記繰返し単位にエンド−オン結合している。したがって、
図2aに図示されるように、第一側基及び第二側基の両方は、電場が印加されない場合及び電磁波照射への配向層の露出なしに、表面ダイレクタ配向層の平面に対して略垂直である配向性を有する。
【0054】
本明細書で使用する場合、用語“エンド−オン結合された”は、側基分子の長軸の末端で又は末端近くで、ポリマー骨格に側基の結合を意味する。例えば、カラミチックメソゲン基(calamitic mesogenic group)のような棒様の側基では、結合点が側基の端末側終端の一つで又はその一つの近くである。
【0055】
また
図2cに図示されている本方法の第三工程は、200乃至400nm、例えば250乃至320nmの範囲の波長を有する直線偏光電磁波照射210でポリマー化合物を照射することを含む。ポリマー化合物は、基板の法線Nから1°乃至89°、例えば20°乃至70°、例として30°乃至60°の範囲の入射角で照射され得る。光の偏光方向は入射面P内にある(
図3参照)。基板の法線N、光入射角α及び入射平面Pは、
図3に図示されている。
【0056】
照射は、少なくとも30秒間、例えば少なくとも40秒、例えば少なくとも1分間行われてもよい。照射は、最大5及び10分、例えば最大3分、又は最大2分行われても良い。
【0057】
光照射の結果として、
図2cに示すように、少なくとも第一側基206、及び同様に所望により第二側基207のチルト配向性は、典型的には、達成された。光照射への露光によって、ベンゾフェノンン由来の光官能性部分は化学反応を受けるように開始される。化学反応は、例えば、第一側基と隣接した第一側基及び/又は第二側基及び/又は一種以上のポリマー骨格の繰返し単位との間の不可逆の共有結合(図に示さず)の形成を生じる架橋反応の何れかの種類を含んでも良い。
図2cに示すように、斯様な反応は第二側基の配
向性の変化を生じ得ることに注意すべきである。しかし、本発明の代わりの態様(
図2cに示さず)においては、配向層と液晶層との間の界面で液晶分子のプレチルトの不均質な分布を課する、全てがチルト配向を有するとは限らない第一及び第二側基の混合物が存在しえる。しかし、液晶の弾性特性により、液晶分子のプレチルトの斯様な不均一な表面分布は、配向層から一定の距離、典型的には100nm未満で、液晶バルク中で均一になり、所望のプレチルトを備えた液晶層の配向性を生じる。
【0058】
液晶材料の液晶分子に表面ダイレクタ配向層の表面に対して85°乃至89.5°、例えば87.5°乃至89.5°の範囲のプレチルト角の配向を引き起こすことのできる表面ダイレクタ配向層を達成することは、典型的には望ましい。従って、ポリマーの照射が第一及び第二側基の全て又はほとんどのチルト配向を生じさせる場合、全体の配向性はまた、液晶分子の所望のプレチルト角を達成するために、表面ダイレクタ配向層の表面に対して85°乃至89.5°の範囲とするべきである。しかし、第一側基のみがポリマー化合物の光照射中に再配向した場合、第一側基の配向性は、第二側基が依然として垂直配向を促進ために配向されてもよいという事実に関して補わなければならないので、液晶材料の所望のプレチルト(85°乃至89.5°の範囲)を達成するために、個々の第一側基の最終的な配向性は、典型的には、85°未満、例えば80乃至85°となる。最終プレチルト角はまた、照射条件(光照射角αを含む)、温度、周囲の雰囲気等によって影響され得る。側基の再配向の程度は、例えば、線形偏光電磁波放射線及び/又はその波長の方向、及び光照射の露光時間を適応することによって、適合させることができる。しかし、光照射による結果はまた、例えば、光官能性部分の数、第一及び第二側基の化学構造及び光官能性部の化学構造(即ち、異なるベンゾフェノン誘導体)並びにポリマー骨格の構造に依存し得る。
【0059】
本発明のポリマー化合物は、そこに結合した第一側基を有する繰返し単位、そこに結合した第二側基を有する繰返し単位、及び前記第一及び第二側基を十分に有していない繰返し単位を含むランダムコポリマーであってもよい。繰返し単位は、前記側基に関して以外は、同一種類であってもよい。
【0060】
“ランダムコポリマー”とは、ポリマー骨格の長さに沿ってランダムに分布された、少なくとも2種以上の異なるモノマー単位を含むポリマーを意味する。例としては、そこに結合した第一側基を有する第一の繰返し単位と、同じ種類であるが、第一側基に代えてそこに結合した第二側基を有する他の繰返し単位とを含むコポリマーである。その他の例は、そこに結合した第一側基を有する第一の繰返し単位と、そこに結合する第二側基を有する第二の繰返し単位とを含むコポリマーである。
【0061】
ランダムコポリマーは、当該技術分野において周知の方法、例えばラジカル付加重合により、少なくとも二種類の異なるモノマー単位の混合物の重合により得ることができる。
【0062】
ラジカル重合法は、ラジカル重合のポリマー生成物は硬化することを必要とせず、そして、配向層は、基板上に被覆した後溶媒を単に蒸発させることによって容易に形成することができるので、配向材料中に使用するためのポリマーの製造方法として特に有利である。このことは、過剰な加熱が配向層を製造するために必要とされないので、例えばプラスチック基板のような温度感受性基板の使用を可能にする。さらに、ポリマーは被覆後に硬化を必要としないので、基板上に配向層を形成するための総時間は、短くなる−それは、単に、本発明に係るポリマー化合物を含有する溶液から非常に薄い配向膜の被覆、それに続く溶媒の蒸発を含む。その上、使用する溶媒の少量のおかげで、この方法は、低コストであり、そしてより環境にやさしい。加えて、多くの異なるモノマーのブレンドをラジカル重合する方法の使用は、簡易に、所望のコポリマー化合物を与えるために重合することができる。
【0063】
本発明の実施態様において、ポリマー化合物は、繰返し単位の第一種(また、“第一繰返し単位”とも称する)と、繰返し単位の第二種(また、“第二繰返し単位”とも称する)とを含むランダムコポリマーであり得、ここで、第一繰返し単位は第二繰返し単位と異なる。例えば、本発明の実施態様において、ポリマー化合物は、少なくともいくつかが第一側基で官能基化されていてもよい第一繰返し単位と、そして更に少なくともいくつかが第二側基で官能基化されていてもよい第二繰返し単位とを含むランダムコポリマーであり得る。その代わりに、第一及び第二繰返し単位は第一及び第二官能基で官能基化され得る。本発明の他の実施態様において、第一及び第二繰返し単位の一つだけが第一側基及び/又は第二側基で官能基化されていても良い。
【0064】
典型的には、第一繰返し単位及び/又は第二繰返し単位は、独立して、マレイミド、アクリレート、メタクリレート、ビニル、スチレン及びN−ビニルラクタムモノマー、及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物の少なくとも一種から誘導され得る。
【0065】
例えば、本発明の実施態様において、ポリマー化合物は、第一側基か、又は第二側基か、又は第三若しくは更なる側基の何れかで官能基化されたマレイミドの第一繰返し単位と、N−ビニルピロリドンの第二繰返し単位とを含むランダムコポリマーである。
【0066】
例えば、本発明の実施態様において、ポリマー化合物は、第一側基か、又は第二側基か、又は第三若しくは更なる側基で官能基化されたアクリレートの第一繰返し単位を含むランダムコポリマーである。
【0067】
本発明の実施態様によれば、第一側基はまた、S
1で示され、有利には、以下の式(I):
【化3】
(式中、L
1は第一繰返し単位に結合した連結基を表し、該L
1は3乃至30結合原子、例えば5乃至15結合原子を含み;
R
1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数1乃至20のアルケニル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルケニル基、炭素原子数1乃至20のアルキニル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルキニル基、炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基、置換された炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基、典型例としてはハロゲン原子、又は炭素原子数1乃至11のアルキル基もしくは炭素原子数1乃至11のアルコキシ基を表し;
nは0乃至4であり;
R
2及びR
3は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至3のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアルキル基、炭素原子数1乃至3のアルコキ
シ基、置換された炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基を表す。)を有し得る。
【0068】
本発明の実施態様によれば、第二側基はまた、S
2で示され、有利には、下記一般式(II):
【化4】
(式中、L
2は、第一繰返し単位に結合した連結基を表し、該L
2は3乃至30の連結原子、例えば5乃至15の連結原子を含み;
mは、0又は1であり、
Xは、−COO−、−CH=CH−、又は−C≡C−を表し;
R
4は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、炭素原子数1乃至20のアルケニル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルケニル基、炭素原子数1乃至20のアルキニル基、置換された炭素原子数1乃至20のアルキニル基、炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基、置換された炭素原子数1乃至20のアミノアルキル基、典型例としては水素原子、又は炭素原子数1乃至11のアルキル基もしくは炭素原子数1乃至11のアルコキシ基を表し;
nは、0乃至4であり、
R
5及びR6は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至3のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアルキル基、炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、置換された炭素原子数1乃至3のアルコキシ基、炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基、置換された炭素原子数1乃至3のアミノアルキル基を表す。)を有し得る。
【0069】
本発明の実施態様において、L
1はL
2よりも最大で10多い連結原子、例えば最大で6多い連結原子を含み得る。この連結基L
1及びL
2は、所望により置換された、飽和又は不飽和の炭化水素鎖、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アルコキシ基又はポリエーテル基、アリールオキシ基、シロキサン鎖等を含んでいても良い。例えば、L
1及びL
2は、互いに独立して、炭素原子数1乃至30のアルキル基、置換された炭素原子数1乃至30のアルキル基、炭素原子数1乃至30のアルコキシ基、炭素原子数1乃至30のアルコキシ基、炭素原子数1乃至30のアルケニル基、置換された炭素原子数1乃至30のアルケニル基、炭素原子数1乃至30のアルキニル基、置換された炭素原子数1乃至30のアルキニル基、炭素原子数1乃至30のアミノアルキル基、又は置換された炭素原子数1乃至30のアミノアルキル基であり得る。典型例は、炭素原子数1乃至15のアルキニル基、炭素原子数1乃至15のアルコキシ基、例えば炭素原子数3乃至11のアルキル基又は炭素原子数3乃至11のアルコキシ基を含む。
【0070】
本発明の実施態様において、ポリマー化合物中の第一側基の数と第二側基の数との割合は、有利には、10:1乃至1:100、例えば2:1乃至1:10、例えば1:1であり得る。
【0071】
本発明の実施態様において、ポリマー化合物中の第一側基の数と第一繰返し単位の総数との割合は、有利には、1:1乃至1:100、例えば1:10の範囲であり得る。
【0072】
ポリマー中の第一及び第二側基の数間の割合、及び第一繰返し単位の総数に対する第一及び/又は第二側基の数間の割合は、有利には、ポリマーの光照射時の側基の全体の(チルト)配向性が、配向層として使用した場合に、液晶材料の液晶分子を所望のプレチルト角に配列させることができるように、適応し得る。任意の割合が、典型的には、例えば直線偏光電磁波照射の方向及び/又はその波長、温度及び/又は光照射の照射量に応じて、光照射のために使用される方法に依存するであろう。しかし、所望のプレチルトを達成するための任意の割合はまた、第一及び第二側基の個々の構造に依存し得る。
【0073】
本発明の実施態様において、第一及び/又は第二繰返し単位は、典型的には、炭素原子数2乃至20のアルキル基、又は置換された炭素原子数2乃至20のアルキル基、例えば、炭素原子数2乃至11のアルキル基、例として炭素原子数8のアルキル基であり得る、側基の第三種で官能基化されても良い。例えば、第三側基はN−アルキルマレイミドを含み得る。
【0074】
本発明の実施態様において、第一側基及び第二側基に加えて、任意のポリマー化合物は、更に下記の側基の種類の一種以上を含んでもよい:
−脂肪族基及び芳香族基から選択される側基の第三種S
3;
−ポリマー化合物を基板に固着させることができるペンダント側基を形成する側基の第四種S
4(本明細書中でアンカー側基ともいう);
−イオン移動阻害側基を形成する側基の第五種S
5。
【0075】
側基S
3及びS
4は、必要であれば、各々、上述した様な連結基Lによってポリマー骨格に結合し得る。
【0076】
ポリマー化合物は、いずれの側基も含まない繰返し単位を含んでもよいことに留意する。骨格に結合した側基のないポリマー骨格の繰返し単位の含有物は、上述した側基間に規則的又は不規則的な空間を生じ得る。
【0077】
本発明の実施態様に係るポリマー化合物の物理化学特性、例えば、ガラス転移温度T
g、弾性率、体積膜のコヒーレンス、膜平滑性、濡れ性、表面エネルギー等は、ヘテロ原子で置換された、例えばフッ素化された等のハロゲン化された、例えばアルキル基、アリール基又はアルキルアリール基等の枝分かれ鎖の若しくは直鎖の脂肪族基及び芳香族基などで任意に置換された、ポリエーテル、シロキサン又はアルコールから選択される側基S
3を含むポリマー骨格繰返し単位中に組み入れることによって、所望の値に調節することができる。
【0078】
S
3側基の典型的な例は、任意にフルオロ化された、例えばパーフルオロ化された、炭素原子数1乃至18のアルキル基、例えば炭素原子数4乃至12のアルキル基又はアルコール基、スペーサLとして上記で定義されたそれらの基を含む。例えば、アルキル鎖からなるS
3基は、一般に、ポリマーのT
gを低下させ、一方、アリール基からなるS
3基は、一般に、ポリマーのT
gを上昇させる。側基S
3は、好ましくは線形である。本発明の実施態様において、側基Sは、液晶材料の垂直配向に寄与し得る。
【0079】
本発明の実施態様において、アンカー側基S
4は、好ましくは、ポリマーを下部の基板に固着させるために使用され得る。アンカー側基S
4は、典型的には、ポリマー骨格から離れた端部中に又は端部で官能基を有する、任意に置換された炭素原子数2乃至20の、例えば炭素原子数2乃至8の炭化水素鎖であり、該官能基は、例えば、これに限定されることはないが、ガラス表面のフリーヒドロキシ基又は基板表面の予備活性化により誘導された例えばエポキシ基、アミノ基、チオール基又はイソシアノ基等の、基板の表面の化学基と、共有結合、イオン結合、又は水素結合のような結合を形成することができる。
【0080】
アンカー側基に適したこのような官能基の非制限例としては、アミノ基、ヒドロキシ基、イソシアノ基、及びグリシジル基を含む。当業者であれば、基板材料に応じてアンカー側基の適した官能基を選択することができるであろう。
【0081】
アンカー側基S
4の非制限例は、下記の構造式(III)乃至(VI):
【化5】
(式中、Zは、ポリマー骨格部分を表し、そしてLは、好ましくは1乃至10、例えば1乃至5のスペーサ原子長を有するスペーサ基、例えばアルキルスペーサ基を表す。)に開示されている。
【0082】
イオン移動阻害基S
5は、ポリマー化合物が配向層として使用される場合に、液晶バルク材料中の可動性イオンの濃度を減少させるために、ポリマー中に利用され得、したがって、液晶バルク材料の伝導性を減少させる。イオン移動阻害基は、典型的には、イオンを引き付ける、強い極性基、非イオン性基である。イオン移動阻害基の例としては、コロナンド等の慣用のイオントラップとして知られている材料を含む、ヒドロキシル基及びその他である。
【0083】
本発明の実施態様において、ポリマー化合物は少なくとも180℃のガラス転移温度(T
g)を有する。高いTgを有するポリマーは、より温度安定な液晶配向を生じる。
【0084】
図4は、本発明に係る両面液晶デバイスを示す。液晶デバイス300は、相互に離間した、第一閉じ込め基板301及び第二閉じ込め基板302を含む。基板301、302間の空間に、液晶材料303は、基板301及び302間に挟まれ、配置されている。
【0085】
第一基板301上に、表面ダイレクタ配向層304が、液晶材料303に接触して配置される。本発明のポリマー上のアンカー側基の存在に応じて、上面ダイレクタ配向層304は、基板301と化学的に結合され得る。
【0086】
表面ダイレクタ配向層304は、本発明の実施態様に係る少なくとも一種のポリマーを含む。したがって、表面ダイレクタ配向層304は、少なくとも又はそれに近い表面ダイレクタ配向層304に向けた界面で、液晶材料303の小さいプレチルトを有するホメオトロピック配向を促進する。
【0087】
当業者は、本発明の液晶デバイス300が、液晶材料303に電場を発生させるための手段を含んでも良いことを認識するであろう。電場の変化は、典型的には、液晶を再配向する、即ち液晶ダイレクタの切替えを引き起こす。例えば、このような手法は一対の電極によって表すことができる。
図4に示される実施態様によれば、第一電極305は配向層304と基板301の間に配置され、そして第二電極307は第二基板302上に配置される。
【0088】
表面ダイレクタ配向層304は、印加電場の非存在では、液晶材料303の表面ダイレクタのプレチルト配向を誘導する。
【0089】
第二配向層306は第二基板と液晶材料303との間に配置された。この第二配向層は、本発明の実施態様のポリマーを含み得るか、或いは代わりに配向層材料のその他の種類のものであってもよい。
【0090】
加えて、本実施態様に開示されるバリエーションは、図面、明細書及び添付された請求の範囲の研究から、請求項に係る発明の実施に、当業者によって理解されそして達成できる。
【実施例】
【0091】
本発明は、ここで、本発明をさらに示す以下の例を参照して説明する。実施例は、本発明を例示するために提供され、そして発明の範囲を限定するものでないことに留意すべきである。本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0092】
全ての実施例は、他の指示があった場合を除いて、室温及び通常の大気条件下で行った。
【0093】
市販の入手可能な化学化合物は、下記の例外を除いて使用された:
i)N−ビニル−ピロリドン(NVP)及びN−ビニル−カプロラクタムは、添加された安定剤を除去するために、使用する前に酸化アルミニウムに通し、
ii)乾燥THFが必要な場合、通常のTHFは使用する前に、それを酸化アルミニウムに通すことによって乾燥させた。活性、中性、ブロックマン1.58Åの酸化アルミニウム(CAS 1344−28−1)が、THFの乾燥及びNVPの精製のために使用された。
【0094】
下記の全ての実施例において、当業者に周知の標準的な反応を、ポリマーの合成に使用した。ポリマー配向材料は、例えば、官能化されたマレイミドとN−ピロリドンとの共重合によって製造することができる。これら材料の製造及び使用される側基を、下記に示す。
【化6】
【0095】
N−オクチルマレイミド(VIII):オクチルアミンをクロロホルムに溶解し、そして無水マレイン酸 当量を添加した。二時間室温で撹拌した後、溶媒を取り除いた。形成されたアミド酸を、精製せずに無水酢酸に溶解し、そして酢酸ナトリウム 当量を添加した。この混合物を、6乃至8時間還流し、次いでこの溶媒を真空化で取り除いた。残渣を、溶出液として石油エーテル/酢酸エチル2/1又は4/1を使用して短いシリカゲルカラムに通した。次いで、マレイミドを、エタノール又はメタノールをから再結晶した。この手順は、アミンオクチル基乃至少なくともヘキサデシル基に対して十分に役に立つ。ヘキシル基及びより短いもの由来のイミドは液体であり、そしてより慎重に、上記と同じ条件を使用したクロマトグラフィで分離しなければならない。
【0096】
マレイミド(XI):II 4.2g(9.55mmol)、マレイミド0.93g(9.55mol)、及びトリフェニルホスファイト2.5g(9.55mmol)を、乾
燥テトラヒドロフラン40mLに溶解した。ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)9.55mmol(トルエン中、4.4mLの40%の溶液)を、反応混合物に滴下添加した。この混合物を、3時間室温で撹拌し、そして乾固するまで蒸発させた。残渣を、石油エーテル/酢酸エチル2/1に採取し、シリカゲルのクロマトグラフィによって精製した。収量:2.8g、56%。
1H NMR(CDCl
3、δ、パターン、プロトン数;1.0,t,3;1.1-1.63つのm,20周辺;1.8,m,4;3.5,t,2;4,t,2;4.4,t,2;6.7,s,2;7.0,d,2;7.6,2d,4;8.1,d,2.
【0097】
マレイミド(XIII):IX 6.5g(13mmol)、マレイミド1.26g(13mmol)、及びトリフェニルホスフィン3.4g(13mmol)を、乾燥テトラヒドロフラン100mLに溶解した。ジエチルアゾジカルボキレート13mmol(トルエン中、5.9mLの40%溶液)を反応混合物に滴下添加した。この混合物を3時間室温で撹拌し、そして乾固するまで蒸発させた。残渣を、トルエン/酢酸エチル4/1に採取し、そしてシリカゲルのクロマトグラフィによって精製した。収量:4.0g 53%。
1H NMR(CDCl
3、δ、パターン、プロトン数;0.9,t,3;1.1-1.6,3m;1.8,m,4;3.5,t,2;3.9,t,2;4.1,t,2;6.7,s,2;6.9,2d,4;7.1,d,2;8.1,d,2.
【0098】
マレイミド(XV):XIV 1.5g(4mmol)、マレイミド0.40g(4.1mmol)及びトリフェニルホスフィン1.13g(4.1mmol)を、乾燥THF20mLに溶解し、そしてジエチルアゾジカルボキシレート0.72g(4.1mmol)を2.19M溶液として添加した。この反応混合物を、5時間室温で撹拌した。溶媒を取り除き、そして残渣を石油エーテル/酢酸エチル2/1中で還流し、そして熱濾過した。溶媒を減圧下で除去し、そして残渣をメタノールから再結晶し、不純物入り生成物を得た。抽出液として石油エーテル/酢酸エチル2/1を使用したクロマトグラフィは、再結晶化実験の間の損失に起因する、純水な生成物の低い収率を与えた。収量:0.3g、0.6mmol、17%。
1H NMR(CDCl
3、δ、パターン、プロトン数;0.9,t,3;1.3,−1.7,3m,12;1.8,m,4;3.6,t,2;4,t,4;6.7,s,2;6.93,m,4;7.45,m,4.
【0099】
【化7】
【0100】
4−(11−ヒドロキシウンデシロキシ)−ベンゾフェノン(XX):4−ヒドロキシベンゾフェノン20mmol(4g)、11−ブロモ−1−ウンデカノール20mmol(5g)及び無水炭酸カリウム25mmol(3.4g)を、ブタノン100mLに添加し、そして6日間80℃で加熱した。この混合物を熱濾過し、溶媒を除去し、そして残渣をメタノールから再結晶化した。収量:4.8g(64%)。
1H NMR(CDCl
3、δ、パターン、プロトン数;1.3bs,12;1.4-1.6,2m,4;1.8,
m,2;3.65,t,2;4.05,t,2;6.95,d, 2;7.47,m,2;7.58,m,1;7.75,d,2;7.82,d,2.
【0101】
4−(11−マレイミドウンデシロキシ)−ベンゾフェノン(XVI):XX 1.5g(4.0mmol)、マレイミド0.40g(4.1mmol)及びトリフェニルホスフィン1.13g(4.1mmol)を乾燥THF20mLに溶解し、そしてジエチルアゾジカルボキシレート0.72g(4.1mmol)を、2.19Mトルエン溶液として添加した。この反応混合物を、一晩室温で撹拌した。溶媒を除去し、そして残渣を加熱した石油エーテル/酢酸エチル2/1に採取し、そして濾過した。この溶媒を減圧下で除去し、適した量にし、そして抽出液として石油エーテル/酢酸エチル2/1を使用してカラムクロマトグラフィに供した。収量:1.2g、67%。
1H NMR(CDCl
3):δ、パターン、プロトン数:1.2-1.65,3m,16;1.8,m,2;3.5,t,2;4.05,t,2;6.7, s,2;7,d,2;7.47,m,2;7.58,m,1;7.75,d2;7.82,d,2.
【0102】
【化8】
【0103】
XVIII:マレイミドXVII 0.3mmol(150mg)、XVI 0.2mmol(90mg)、N−オクチルマレイミド 1.5mmol(313mg)、N−ビニルピロリドン 2.0mmol(222mg)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN) 15mgを、ベンゼン15mLに溶解した。重合を、60℃の湯浴中で18時間行った。クロロホルム数mLからメタノール中へ、3回再沈殿させることにより精製した。収率66%。NMRに従い、公正した割合に一致する相対的な側基の割合を付け加える。第二側基に対する第一側基(ベンゾフェノン)の割合は2:3であった。
【0104】
【化9】
【0105】
11−(4−ベンゾイルフェノキシ)ウンデシルプロぺ−2−エノエート)(XIX):([4−(11−ヒドロキシウンデコキシ)ベンゾフェノン](XX)1.84g(5mmol)をクロロホルム25mLに溶解し、そしてトリエチルアミン2g(28mmol)を添加した。混合物を氷浴で冷却し、そして塩化アクリロイル0.5g(5.1mmol)をシリンジを用いて添加した。混合物を冷却しながら2時間撹拌し、そして室温で2時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、塩酸で酸性化し、次いで二つの相を分離した。水層をクロロホルムで抽出し、そして混合した有機層を水及び塩水で洗った。乾燥させそして乾固するまで蒸発させた後、生成物を抽出液として石油エーテル/酢酸エチル1/2を使用してシリカゲルのクロマトグラフィで分離した。収量1.0g47%。
1H−NMRスペクトルは構造と一致した。
【0106】
(4−ヘキソキシフェニル)4−(6−プロぺ−2−ノイルオキシヘキソキシ)ベンゾエート(XXI):(4−ヘキソキシフェニル)4−(6−ヒドロキシヘキソキシ)ベンゾエート 1.6g(3.9mmol)、トリエチルアミン 0.9g(12.7mmol)及び塩化アクリロイル0.36g(4mmol)をクロロホルム25mL中で反応させた。この混合物を一晩撹拌した。抽出液として石油エーテル/酢酸エチル4/1を使用したことを除いて、XIXと同じワークアップ手順を使用した。収量:1.14g 62%。
1H−NMRスペクトルは構造と一致した。
【0107】
アクリレートポリマー(XXII):XXI 140mg(0.3mmol)、ヘキシルアクリレート 218mg(1.4mmol)及びAIBN9mg(0.06mmol)をベンゼン10mLに溶解した。ヘキシルアクリレート中の安定剤を、酸化アルミニウ
ムに通過させることによって取り除いた。この反応混合物を、真空及び窒素注入の適用を10回繰り返いして脱気した。攪拌した混合物を、80℃で18時間重合化した。次いで、溶媒のほとんどを取り除き、残渣をメタノール中に沈殿させた。このポリマーを、クロロホルムからメタノールへ3回再沈殿させた。収量0.20g 41%。1H−NMRスペクトルは、ポリマー組成物が添加した成分の割合と一致していたことを示した。第一側基(ベンゾフェノン)と第二側基との割合は1:1であった。
【0108】
チルトを付与する高いTg光配向材料
【化10】
【0109】
XXIII:VAマレイミドXV 0.1mmol(45mg)、ベンゾフェノンXVI 0.1mmol(45mg)、フェニルマレイミド 0.3mmol(52mg)、N−ビニルピロリドン 0.5mmol(56mg)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN) 4mgを、ベンゼン4mLに溶解した。重合を、60℃の湯浴で47時間行った。数mLのクロロホルムからメタノール中に2回再結晶させることにより精製した。収率55%。110mg。第一側基(ベンゾフェノン)と第二側基との割合は2:3であった。
【0110】
XXIV:VAマレイミドXV 0.1mmol(45mg)、ベンゾフェノンXVI
0.05mmol(23mg)、フェニルマレイミド 0.35mmol(60mg)、N−ビニルピロリドン 0.5mmol(56mg)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN) 4mgを、ベンゼン4mLに溶解した。重合を60℃の油浴で48時間実施した。数mLのクロロホルムからメタノール中へ2回再沈殿させることにより精製した。収率22%、40mg.第一側基(ベンゾフェノン)と第二側基との割合は1:1であった。
【0111】
液晶セルの一般的な製造方法
a)ポリマー溶液の調製:本発明のコポリマーから作られる配向層は、NMP及びPGMEAのような溶媒中のコポリマーの0.2−5%溶液から被覆させる。このコポリマー溶液を、まず、0.2μmフィルターを通じて濾過した。
b)コポリマーの被覆:コポリマー溶液は、ITOから作られる既成の透明導電性電極を有する清浄なガラス基板上に、例えば、スピナー法により(速度3000rps)広げられる。基板は、溶媒を蒸発させるために室温で数時間維持される。このプロセスは、基板が昇温されて(例えば、80−120℃)維持されれば、短くすることができる。
c)コポリマーの光配向性:光感受性コポリマーで被覆された実験基板のUV照射は、フィルターなしの高圧水銀UVランプから5mW/cm
2直線偏光を与える、標準的なU
SHIO装置(典型的なUV粗ステムUSHIO DEEP、型番:UIS−S2511KK−AKB01)で実施した。本発明で使用されるランプは、夫々250nm乃至320nm及び365nmの有効な光波長を有する。試料を、290nm以下の全波長をカットするUVフィルターを通して照射した。光偏光方向は入射面内にある。
d)セル製造:実験用の液晶セルは、互いに平行に組み立てられそして数μmの距離で隔てられた二つの基板からなる。この基板間の距離は、通常、ガラス又はポリマースペーサーで固定されている。この基板は、配向層で被覆された表面で互いに面している。それらで形成されるセルギャップは毛細管力によって液晶で充填されている。
e)コポリマーの配向性の評価:本発明のコポリマーから作られる配向層によって促進された、実験用のセル中の液晶の配向の評価は、光学偏光顕微鏡及び/又はミューラーマトリクス分光計(Muller matrix spectrometer)(アイ.ダール,Meas.SCI.Technol.第12巻,第1938頁、2001年)によって実施された。
【0112】
配向層として化合物XVIII及びXXIIIを使用したセル及びチルト角研究の準備
PGMEA中の1%XVIIIの使用:PGMEA中XVIII 1質量%を、基板上にスピンコートし(30秒間2000rpm)、そして15分間100℃で維持した。基板を直線偏光されたUVライト(290nmフィルターが290nmより低いUV光を取り除くために使用された)を用いて45°(斜入射角)で照射した。光偏光は入射面であった。この方法で製造された二つの基板は、互いに面する表面上を被覆する配向膜を有した、互いに平行した慣用のサンドイッチセルに組み立てられた。基板は液晶で充填された約4μmのギャップを形成して配置した。基板を、基板の照射方向が、いわゆる非並行液晶セル形成する、非並行であるように正確に配置した。液晶材料、MLC6608(メルク社)(Δε<0)を、等方性温度でセルギャップに注入した。
【0113】
液晶分子のプレチルトは露光時間にともなって増加したことが分かった(表1参照)。
【0114】
【表1】
【0115】
PGMEA中の1%XXIIIの使用:PGMEA中XXIII 1質量%を、基板上にスピンコートし(30秒間2000rpm)、そして15分間100℃で維持した。基板を直線偏光されたUVライト(290nmフィルターを290nmより低いUV光を取り除くために使用した)を用いて45°(斜入射角)で照射した。光偏光は入射面であった。この方法で製造された二つの基板は、互いに面する表面上を被覆する配向膜を有した、互いに平行した慣用のサンドイッチセルに組み立てられた。基板は液晶で充填された約4μmのギャップを形成して配置された。基板を、基板の照射方向が、いわゆる非並行液
晶セル形成する、非並行であるように正しく配置した。液晶材料、MLC6608(メルク社)(Δε<0)を、等方性温度でセルギャップに注入した。
【0116】
この場合もまた、液晶分子のチルトが露光時間にともなって増加したことが分かった(表2参照)。
【0117】
【表2】
【0118】
当業者は、本発明が、決して上記の好ましい態様に制限されるものでないことを理解する。一方、多くの変更及び変形が添付された請求の範囲の範囲内で可能である。
【0119】
請求の範囲において、用語“含む”は他の要素又はステップを除外せず、及び不定冠詞“a”又は“an”は複数を除該しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求の範囲に列挙されるいくつかの項目の機能を満たし得る。特定の手段が互いに異なる従属請求項で引用されという事実は、これら手段が有利に使用できないことを示すものではない。