(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192730
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】断熱性混合物の製造法
(51)【国際特許分類】
F16L 59/02 20060101AFI20170828BHJP
B02C 21/00 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
F16L59/02
B02C21/00 A
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-538369(P2015-538369)
(86)(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公表番号】特表2016-506478(P2016-506478A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】EP2013071459
(87)【国際公開番号】WO2014063949
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2015年7月15日
(31)【優先権主張番号】12007388.7
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フランク メンツェル
(72)【発明者】
【氏名】トビアス バーナート
(72)【発明者】
【氏名】フーベアト ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ガイスラー
(72)【発明者】
【氏名】トアステン シュルツ
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−219324(JP,A)
【文献】
特開2000−015123(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102007020716(DE,A1)
【文献】
特開平02−268840(JP,A)
【文献】
特開2003−181324(JP,A)
【文献】
特開2007−130627(JP,A)
【文献】
特開2008−100188(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/069923(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/02
B02C 13/14
B02C 13/18
B02C 19/06
B02C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状混合物に対して、シリカ粒子として150〜500m2/gのBET表面積を有する熱分解法シリカ70〜90質量%および不透明化剤粒子として炭化ケイ素10〜30質量%を含有し、300Kの温度で、粉末状混合物中の炭化ケイ素の質量画分により除した、有効質量比全吸光係数として規定された、規格化された有効質量比全吸光係数が3.5〜4.5m2/kgである断熱材用粉末状混合物、又は
粉末状混合物に対して、シリカ粒子として150〜500m2/gのBET表面積を有する熱分解法シリカ70〜90質量%および不透明化剤粒子としてカーボンブラック10〜30質量%を含有し、300Kの温度で、粉末状混合物中のカーボンブラックの質量画分により除した、有効質量比全吸光係数として規定された、規格化された有効質量比全吸光係数が9〜10m2/kgである断熱材用粉末状混合物を連続的に製造する方法において、
キャリヤーガス、シリカ粒子および不透明化剤粒子を含む予め混合された流れを、ファインインパクトミル中に導入し、そこで微粉砕かつ混合し、その後に固体をガス流から分離し、その際に、前記ファインインパクトミルは、回転可能な軸上に上下に配置された複数の微粉砕トラックを含むエアストリームミルであることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記エアストリームミルの周速は、200ms-1までに達することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記エアストリームミル中でのシリカ粒子および不透明化剤粒子の平均滞留時間は、10秒未満であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記キャリヤーガスは、100℃〜450℃へ予熱されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
予め混合された流れは、そのつどキャリヤーガス流中に、そのつど1個の計量供給ユニットを介して、シリカ粒子と不透明化剤粒子とを一緒に導入することにより得られることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ファインインパクトミルに輸送される、混合物の粒子画分は、粒子画分の総和に対して、シリカ粒子を30〜95質量%および粒子状不透明化剤を5〜70質量%含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記キャリヤーガスの負荷量は、キャリヤーガス1N m3当たり固体0.2〜2kgであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
繊維を、最後の微粉砕トラックの上方であって、なおエアストリームミルの内部の、粒子を含む流れの中に導入することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
シリカ粒子、不透明化剤粒子および任意に繊維の処理量が合計で少なくとも200kg/hであることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記繊維は、ガラスウール、ロックウール、セラミックファイバー、二酸化ケイ素繊維、セルロース繊維、紡織繊維およびプラスチック繊維からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
粉末成分として、そのつど粉末状混合物に対して、150〜500m2/gのBET表面積を有する熱分解法シリカ70〜90質量%および炭化ケイ素10〜30質量%を含有する、断熱材用粉末状混合物において、
300Kの温度で、粉末状混合物中の炭化ケイ素の質量画分により除した、有効質量比全吸光係数として規定された、規格化された有効質量比全吸光係数が、3.5〜4.5m2/kgであることを特徴とする、前記断熱材用粉末状混合物。
【請求項12】
前記炭化ケイ素の平均粒径d50が2〜8μmであることを特徴とする、請求項11に記載の断熱材用粉末状混合物。
【請求項13】
粉末成分として、そのつど粉末状混合物に対して、150〜500m2/gのBET表面積を有する熱分解法シリカ70〜90質量%およびカーボンブラック10〜30質量%を含有する、断熱材用粉末状混合物において、
300Kの温度で、粉末状混合物中のカーボンブラックの質量画分により除した、有効質量比全吸光係数として規定された、規格化された有効質量比全吸光係数が、9〜10m2/kgであることを特徴とする、前記断熱材用粉末状混合物。
【請求項14】
請求項11から13までのいずれか1項に記載の粉末状混合物および該粉末状混合物に対して、そのつど繊維2〜10質量%を含有する、断熱材用粉末繊維混合物。
【請求項15】
断熱材用成形体を製造するための、請求項11または12に記載の粉末状炭化ケイ素含有混合物または請求項13に記載の粉末状カーボンブラック含有混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱性混合物を製造する連続的方法、ならびに前記混合物自体および該混合物から製造された成形体に関する。
【0002】
シリカ、不透明化剤および繊維を含有する断熱性混合物は、公知である。前記断熱性混合物を製造するために、例えば、欧州特許出願公開第1988228号明細書中に開示された遊星型ミキサーが使用されるか、またはドイツ連邦共和国特許出願公開第102010029513号明細書中に開示されたディソルバー、遊星型ディソルバー、サイクロンミキサー、流動ミキサーおよび分級機ミルが使用される。方法は、好ましくは、まずシリカを予め分散させ、その後に初めて全体量の繊維を一種のマスターバッチとしてのシリカの一部と予め混合して実施される。それとは別に、前記マスターバッチは、IR不透明化剤および繊維の全体量を含んでいてもよい。強力に分散させた後に、予め分散されたシリカが添加されかつ強力に混入される。
【0003】
技術水準には、断熱性混合物の製造の際に、より良好な制御可能性の理由から、原料の微粉砕と混合とは、別々に、しばしば他の集成装置を用いて実施されることが証明されている。それによって、典型的には、高い取扱い費用および高いプラント設置費用で、僅かな処理量だけが実現可能である。このことは、他方で、高い特有の製造原価、僅かな生産性および高い投資需要をまねく。
【0004】
したがって、本発明の技術的課題は、原料の微粉砕および混合を連続的に行ないかつ高い処理量を可能にする、断熱性混合物を製造する方法を提供することにあった。
【0005】
さらなる技術的課題は、断熱のために改善された粉末状混合物を提供することにあった。
【0006】
本発明の対象は、キャリヤーガス、シリカ粒子および不透明化剤粒子を含む予め混合された流れをファインインパクトミル中に導入し、そこで微粉砕かつ混合し、その後に固体をガス流から分離することにより、シリカ粒子および不透明化剤粒子を含むかまたはこれらのシリカ粒子と不透明化剤粒子とからなる粉末状断熱性混合物を連続的に製造する方法である。
【0007】
ファインインパクトミルとして、殊にピンミルおよびエアストリームミルが有効であることが実証された。エアストリームミルが断熱性混合物の処理量および品質に関連して最も良好な結果を提供する。粒子をキャリヤーガス流によって捕捉し、乱流状態に変え、粒子同士の衝突およびミルの構成要素との衝突によって微粉砕する、エアストリームミルの作用形式は、公知である。前記エアストリームミルは、上下に配置された複数の微粉砕トラックを回転子として備えた共通の固定子を有する複数の微粉砕段を含む。
【0008】
エアストリームミルは、軸に固定して取り付けられた、高速で回転する回転子を含む。回転により渦が発生され、この渦は、微粉砕および混合すべき粒子を吸い上げる。引き続く分級機帯域は、微細生成物を粗大生成物と分け、粗大生成物は、連続的に下方の微粉砕帯域内に返送される。前記エアストリームミルは、選択的に分級機システムが組み込まれていてよい、後方に接続されたフィルターサイクロンを装備していてよく、この分級機システムは、空気を製造された製品と分け、得られた製品は、例えばセルラーホイールスルースによりフィルターから搬出される。
【0009】
“予め混合された流れ”の概念は、流れの粒子状成分が単にできるだけ均一に混合されかつ微粉砕されないかまたは二次的範囲でのみ微粉砕されることを意味する。生じる混合物は、本発明により製造された材料の良好な断熱特性を有しない。
【0010】
好ましいキャリヤーガスは、空気である。このキャリヤーガスは、有利に100℃〜450℃、特に有利に150℃〜300℃の温度へ予熱されていてよい。当該実施態様は、殊に、粉末状混合物の製造にさらなる工程、例えば疎水化および/または成形体への圧縮が設けられている場合に好ましい。この後方の工程は、せいぜい、粉末状混合物がたいてい0.3質量%ないし0.5質量%以下の僅かな残留湿分および100℃以上、たいてい120〜150℃の温度を有する場合にだけ実施されうる。この実施態様の技術的利点は、混合すべき成分が最大の分散状態にあり、それによって乾燥が極めて短い時間内で可能であることにある。
【0011】
本発明の好ましい実施態様において、予め混合された流れは、連続的にそのつどキャリヤーガス流により、例えば計量供給スクリューおよびセルラーホイールスルースを含む各1個の計量供給ユニットを介して、シリカ粒子を含む質量流および不透明化剤粒子を含む質量流を形成させ、これらの質量流を一緒に導入することにより得られる。
【0012】
本発明による方法の場合、エアストリームミルの周速は、200m/秒までに達することができる。適当な周速は、意図した処理量および混合成分のシリカ粒子対不透明化剤粒子の比に従う。一般に、低すぎる周速が混合品質を劣化させるのにひきかえ、高い周速は、ミルのより高い材料摩滅をまねく。30〜100m/秒の周速の範囲が好ましく、50〜80m/秒の範囲が特に好ましい。
【0013】
エアストリームミル中での混合成分のシリカ粒子および不透明化剤粒子の平均滞留時間は、有利に10秒未満である。一般に、低いガス処理量が使用されるであろう。それというのも、より高いガス量は、より高い技術的複雑さを必要とするからである。ガス処理量が低すぎる場合には、エアストリームミル中で固体の沈降、ひいては不安定な運転形式をまねきうる。また、前記周速の場合と同様に、前記平均滞留時間は、意図した処理量および混合成分のシリカ粒子対不透明化剤粒子の比に従う。0.05〜5秒の平均滞留時間が特に好ましく、0.1〜1秒の平均滞留時間が殊に好ましい。
【0014】
ファインインパクトミルに輸送される、シリカおよび不透明化剤の粒子画分は、広い範囲内で変動されうる。そのつど前記粒子画分の総和に対して、30〜95質量%のシリカ粒子画分および5〜70質量%の不透明化剤粒子画分が好ましい。70〜90質量%のシリカ粒子画分および10〜30質量%の不透明化剤画分が特に好ましい。
【0015】
同様に、キャリヤーガスの負荷量も広い範囲にわたり変動されうる。好ましくは、前記負荷量は、キャリヤーガス1Nm
3当たり固体0.2〜2kgであり、特に好ましくは、キャリヤーガス1Nm
3当たり固体0.5〜1.2kgである。固体は、シリカ粒子および不透明化剤粒子を含むかまたはシリカ粒子と不透明化剤粒子とからなる。
【0016】
本発明による方法の特別な実施態様において、繊維は、粒子を含む流れに導入される。このことは、好ましくは、微粉砕帯域の最後の四分の一に到るまで行なわれないか、またはむしろ微粉砕帯域の外側で初めて行なわれ、最後の微粉砕トラックの上方にまで行なわれるが、それでもなお、エアストリームミルの内部でも行なわれる。ここで、高い剪断負荷を有する回転部は、もはや粒子および繊維に作用しない。それによって、繊維は、特に注意深く個々に別々にされ、かつ粒子と混合される。
【0017】
本発明による方法の場合、シリカ粒子、不透明化剤粒子および任意に繊維の処理量は、合計で、有利に少なくとも200kg/h、特に有利に200〜1500kg/h、殊に有利に400〜1000kg/hである。
【0018】
シリカ粒子として、二酸化ケイ素エーロゲル、沈降シリカおよび熱分解法シリカがこれに該当する。最も良好な結果は、熱分解法シリカを用いて得られる。
【0019】
熱分解法シリカは、ケイ素化合物、例えばクロロシランを火炎加水分解することによって製造される。この方法の場合、加水分解可能なハロゲン化ケイ素は、水素および酸素含有ガスを燃焼させることによって形成された火炎と反応される。その際に、燃焼火炎は、ハロゲン化ケイ素の加水分解のために水を使用し、かつこの加水分解反応のために十分に熱を使用する。こうして製造されたシリカは、熱分解法シリカと呼称される。このプロセスの場合、最初に一次粒子が形成され、この一次粒子は、ほとんど内部細孔を含まない。この一次粒子は、前記プロセス中にいわゆる“焼結頸部(Sinterhaelse)”を介して溶融して凝集体となる。この構造のために、熱分解法シリカは、理想的な断熱材である。それというのも、この凝集体の構造は、十分な機械的安定性を生じさせ、“焼結頸部”を介する固体伝導性によって熱伝達を最小化し、かつ十分に高い多孔度を形成させるからである。
【0020】
シリカの表面は、オルガノシランとの反応によって変性されていてよい。例示的に、R
n−Si−X
4-n、R
3Si−Y−SiR
3、R
nSi
nO
n、(CH
3)
3−Si−(O−Si(CH
3)
2)
n−OH、HO−Si(CH
3)
2−(O−Si(CH
3)
2)
n−OH、(但し、n=1〜8;R=−H、−CH
3、−C
2H
5;X=−Cl、−Br;−OCH
3、−OC
2H
5、−OC
3H
8、Y=NH、Oであるものとする)、が挙げられる。明示的には、(CH
3)
3SiCl、(CH
3)
2SiCl
2、CH
3SiCl
3、(CH
3)
3SiOC
2H
5、(CH
3)
2Si(OC
2H
5)
2、CH
3Si(OC
2H
5)
3、(CH
3)
3SiNHSi(CH
3)
3、(CH
3)
3SiOSi(CH
3)
3、(CH
3)
8Si
4O
4[オクタメチルテトラシクロヘキサン]、(CH
3)
6Si
3O
3[ヘキサメチルトリシクロシロキサン]および(CH
3)
3Si(OSi(CH
3)
2)
4OH[低分子量ポリシロキサノール]が挙げられる。
【0021】
しかし、本発明による方法の場合、表面変性されていないシリカ粒子は、より良好な結果を提供する。殊に、90m
2/g以上、特に有利に150〜500m
2/gのBET表面積を有する熱分解法シリカ粒子が使用される。
【0022】
本発明による方法において使用される不透明化剤粒子は、有利に、酸化チタン、酸化ジルコニウム、イルメナイト、チタン酸鉄、酸化鉄、シリカジルコニウム、炭化ケイ素、酸化マンガン、グラファイトおよび/またはカーボンブラックであるか、または前記成分の少なくとも1つを含む物質混合物である。特に有利には、炭化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄またはカーボンブラックである。不透明化剤の粒径は、たいてい0.1〜25μmである。炭化ケイ素および酸化チタンの場合、平均粒径d
50は、有利に1〜10μm、特に有利に2〜8μmである。全混合物に対する不透明化剤粒子画分は、有利に10〜30質量%である。
【0023】
機械的強化のために、さらに繊維が使用されてよい。この繊維は、無機起源または有機起源であってよく、かつ、たいていシリカと不透明化剤との総和に対して、2〜10質量%である。使用可能な無機繊維の例は、ガラスウール、ロックウール、バサルトファイバー、スラグウールおよびセラミックファイバーであり、これらは、酸化アルミニウムおよび/または二酸化ケイ素、ならびにさらなる無機金属酸化物の溶融液からなる。純粋な二酸化ケイ素繊維は、例えばシリカファイバーである。使用可能な有機繊維の例は、セルロース繊維、紡織繊維またはプラスチック繊維である。前記繊維の直径は、有利に1〜30μm、特に有利に5〜15μm、殊に有利に6〜9μmであり、かつ長さは、1〜25mm、特に有利に3〜12mmである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による方法を実施するための装置の略示フローチャート。
【0025】
本発明のさらなる対象は、本発明による方法により得られた断熱材用粉末状混合物である。
【0026】
さらに、本発明の対象は、粉末成分として、そのつど粉末状混合物に対して、150〜500m
2/g、有利に200〜400m
2/gのBET表面積を有する熱分解法シリカ70〜90質量%および炭化ケイ素10〜30質量%を含有する、断熱材用粉末状混合物であり、この場合300Kの温度で、粉末状混合物中の炭化ケイ素の質量画分により除した、有効質量比全吸光係数として規定された、規格化された有効質量比全吸光係数は、少なくとも3.5m
2/kg、有利に3.5〜4.5m
2/kg、特に有利に3.8〜4.3m
2kgである。
【0027】
その際に、炭化ケイ素の平均粒径d
50は、有利に1〜8μmである。
【0028】
さらに、本発明の対象は、粉末成分として、そのつど粉末状混合物に対して、150〜500m
2/g、有利に200〜400m
2/gのBET表面積を有する熱分解法シリカ70〜90質量%およびカーボンブラック、有利にフレームカーボンブラック10〜30質量%を含有する、断熱材用粉末状混合物であり、この場合300Kの温度で、粉末状混合物中のカーボンブラックの質量画分により除した、効果的な質量比全吸光係数として規定された、効果的な規格化された質量比全吸光係数は、少なくとも9m
2/kg、有利に9〜10m
2/kgである。
【0029】
炭化ケイ素ならびにカーボンブラックを含有する粉末状混合物は、粉末状混合物に対して、繊維を2〜10質量%含有することができる。繊維は、既に本明細書中に記載された当該繊維である。
【0030】
本発明のさらなる対象は、成形体を製造するための、また、真空絶縁パネルにおけるコア構造体として、断熱材のための、本発明による方法により得られた粉末状混合物または少なくとも3.5m
2/kgの規格化された、300Kの温度での有効質量比全吸光係数を有する、粉末状炭化ケイ素含有混合物または少なくとも9m
2/kgの規格化された有効質量比全吸光係数を有する、粉末状カーボンブラック含有混合物、または粉末繊維混合物の使用である。
【実施例】
【0031】
例:
原料
A:AEROSIL(登録商標)300、熱分解法シリカ;Evonik Industries;BET表面積300m
2/g、
B:フレームカーボンブラック 101、ORION Engineered Carbon社;d
50=2.17m;
C:炭化ケイ素、Silcar G14;ESK社;d
50=2.73μm;
D:グラスファイバー、平均繊維直径約9μm;長さ約6mm;
平均粒径d
50は、HORIBA LA−950測定器を使用してレーザー回折により測定される。
エアストリームミル:HOSOKAWA ALPINE社の型式LGM4。
【0032】
例1:AEROSIL(登録商標)300およびフレームカーボンブラック101を、それぞれ空気を用いてエアストリームミル中に吸引する。前記原料をそれぞれ容量測定法により計量供給スクリューを介して供給する。計量供給スクリューとプラントとの間の気密密閉装置として、そのつどセルラーホイールスルースを使用する。前記原料を、そのつどバッチサイズ25kgに対して、シリカ80質量%と炭化ケイ素20質量%との混合物が生じる程度に計量供給する。エアストリームミルの周速は、約80ms
-1であり、物質混合物の平均滞留時間は、約0.1秒である。処理量は、394.7kg/hをもたらす。エアストリームミル中に導入される空気量は、350m
3/hである。
【0033】
例2〜7は、同様に実施される。原料および運転パラメーターは、第1表から確認することができる。
【0034】
例8〜10は、例1と同様に実施されるが、しかし、エアストリームミルの上部で、さらにガラス繊維を供給ステーションを介して吸い込む。原料および運転パラメーターは、第1表から確認することができる。
【0035】
例11(比較):試験6から得られる混合物3kgをガラスファイバー150gと、コニカルミキサー中で約30分間混合する。前記ファイバーは、前記ミキサー中で明らかに損傷を与えていることが判明した。
【0036】
例12(比較):Minox社、タイプFSM 300 HM/1MKの鋤刃形ミキサー中で、AEROSIL(登録商標)300 4kgおよびフレームカーボンブラック101 1kgを、全回転周期数でそのつど3分間測定ヘッドなしに混合し、かつその後に3分間測定ヘッドを用いて全回転数で混合する。
【0037】
例13(比較):Minox社、タイプFSM 300 HM/1MKの鋤刃形ミキサー中で、AEROSIL(登録商標)300 4kgおよび炭化ケイ素1kgを、全回転周期数でそのつど3分間測定ヘッドなしに混合し、かつその後に3分間測定ヘッドを用いて全回転数で混合する。
【0038】
規格化された有効質量比全吸光係数em*の測定−例1、5、12および13
有効質量比吸光係数e
m*を、Kellerら、High temperatures−high pressures、第297〜314頁、2010に記載された測定法により測定した。この中で、項目3.1.、3.2.および3.2.2には、試料の調製が記載されている。e
m*の計算は、項目2.2.に言及されている。その際に、e
m*は、方程式18中に記載されたe
*(T)の逆数に相当する。
【0039】
Kellerらによる方法の場合、本発明による材料および比較材料は、Bruker社のフーリエ変換赤外(FTIR)分光光度計を用いて1.4μm〜35μmの波長範囲内で試験される。試料は、Galai Instruments社の真空分散システムGALAI PD−10を用いて調製された。有効質量比全吸光係数の引き続く規格化は、粉末混合物中のIR不透明化剤の質量画分によって除することにより行なわれた。この規格化された、300Kの温度での有効質量比全吸光係数は、選択された例について第2表中に示されている。
【0040】
【表1】
【0041】
e
m*のより高い値は、例12および13による技術水準からの放射熱伝導率に比べて、例1および5の本発明による材料の放射熱伝導率がより低いことを表わす。特に、排気されたシステム内で、放射熱伝導率は、全熱伝導率に対する重要な割合である。
【0042】
【表2】
【符号の説明】
【0043】
A シリカ、 B 不透明化剤、 C 繊維、 D 空気、 E ファインインパクトミル、 F フィルター