【文献】
“技術”, [online],2014年,[平成29年6月8日検索], インターネット<URL:http://www.medec.jp/technology/>
【文献】
“解析診断プロセス”, [online],2014年,[平成29年6月8日検索], インターネット<URL:http://www.medec.jp/process/>
【文献】
“新着情報”, [online],2014年,[平成29年6月8日検索], インターネット<URL:http://www.medec.jp/news/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記温度割当て部は、前記赤外線画像を構成する前記画素のうち隣接する画素の温度を前記素数Pにより分割し、前記微小画素に割り当てるべき温度を、隣接する画素の方向を考慮して決定する、請求項1または2に記載の画像処理システム。
前記温度割当て部は、前記赤外線画像を構成する前記画素のうち隣接する画素の温度を前記素数Pにより分割し、前記微小画素に割り当てるべき温度を、隣接する画素の方向を考慮して決定する、請求項6に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を、実施形態を以て説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態の画像処理システム100の実施形態を示す。
図1に示した画像処理システム100は、構造物101の赤外線画像を専ら取得し、構造物101の表面温度を取得し、構造物101の表面温度の分布から、構造物101内の損傷状態、劣化状態などを判定することを可能としている。
【0014】
画像処理システム100は、撮像装置102と、撮像装置102が取得した画像情報を処理するための情報処理装置104とを含んでいる。本実施形態の画像処理は、情報処理装置104が実行する。また、情報処理装置104は、構造物101の内部構造を検査する処理も実行することができる。この実施形態の場合には、情報処理装置104は、データベース105に格納された構造物の構造、材料物性、熱伝導性、構造物の履歴、気温情報などの情報を読み込んで、構造物101の表面温度の分布から構造物101の内部損傷などの計算を実行する。
【0015】
なお、画像処理を専ら実行する情報処理装置104は、構造物101を非破壊検査するための情報処理装置(図示せず)と別に用意することができる。この実施形態の場合、
図1に示した情報処理装置104は、構造物検査のために別に用意された情報処理装置に対し、構造物検査のために画像処理後の画像情報を渡す。構造物検査のための情報処理装置は、情報処理装置104が処理した後の画像情報を読み込んで解析することができれば、いかなる構成のものでも使用することができる。
【0016】
図2は、本実施形態の撮像装置102のハードウェア・ブロック200を示す。撮像装置102は、いわゆる赤外線カメラとして実装することができる。撮像装置102は、撮像素子201と、ADコンバータ202と、記憶装置203とを含んで構成することができる。撮像素子201は、赤外線に感度を有する、光伝導型、光起電力型、焦電素子型、熱電対型、ボロメータ型などを使用することができ、金属酸化物、金属合金、化合物半導体、シリコン半導体などを素子素材として使用するものを使用することができる。
【0017】
撮像素子201は、画素サイズが、種々選択できるが、例えば、320×240ドット、640×480ドットなどのものを使用することができる。撮像素子201のドット数は、多ければ多いほうが高解像度を期待できるものの、素材の性質およびリソグラフィー技術による制限により、現状では、640×480ドットのものが市販されている実質的に最高のドット数ということができる。
【0018】
撮像素子201は、赤外線を感知して画素ごとに電圧出力を生成し、電圧出力を、ADコンバータ202に送付する。ADコンバータ202は、撮像素子201からの電圧出力を受領し、デジタル転換を行う。ADコンバータ202は、要求される精度の温度分解能を提供するためには、少なくとも16ビット以上の分解能が必要であり、好ましくは少なくとも24ビット以上または少なくとも32ビット以上のダイナミックレンジを有している。
【0019】
ADコンバータ202が生成したデジタル出力は、画素ドットに対応するマトリックスとして記憶装置203に格納される。記憶装置203は、必要に応じて画像情報を持続的に保持できる、不揮発性RAM、EEPROM(登録商標)、EPROM(登録商標)などとして実装することができる。他の実施形態では、後述するCPU204により出力電圧が温度に換算された温度情報として変換された後、記憶素子に画素−温度マトリックスとして格納される。本実施形態では、記憶装置203に記憶される情報は、出力電圧−画素情報とすることもできるし、温度−画素情報とすることもできる。なお説明の便宜上、本実施形態においては、ADコンバータ202の出力は、CPU204により温度情報に変換された後、温度−画素情報として記憶装置203に格納されるものとして説明する。
【0020】
さらに撮像装置102は、CPU204と、表示デバイス205と、I/Oデバイス206とを含んでいる。CPU204は、撮像装置102の全体の動作を制御し、画像情報の格納を可能としている。また、CPU204は、撮像素子201の電圧出力を温度換算する処理を実行することができる。この際、CPU204は、ROM207から例えばルックアップテーブルまたは数式などを読み込んで、出力電圧−温度変換を実行し、温度−画素情報を生成して、記憶装置203に記憶させる。
【0021】
表示デバイス205は、撮像素子201の出力を画像として表示させるものであり、例えば液晶表示装置、いわゆるLDCを使用して構成することができる。表示デバイス205は、また、温度変換された後の温度分布を、温度に対応した色を付して表示することにより、温度分布を表示することができる。
【0022】
I/Oデバイス206は、撮像装置102が取得した各種データを例えば、プリンタ、USBメモリ、ハードディスク装置などの外付け記憶装置に出力することを可能とする。さらに撮像装置102は、ROM207を含んでいる。ROM207は、CPU204の動作に必要なBIOS、プログラム、データなどを格納しており、CPU204が本実施形態に従い、画像情報を生成することを可能としている。
図2に示した各ハードウェア機能部は、バス208により相互接続されていて、画像情報の取得から画像情報の出力までを行う。
【0023】
図3は、本実施形態の情報処理装置104のハードウェア・ブロック300を示す。本実施形態の情報処理装置104は、パーソナル・コンピュータ、ワークステーション、またはサーバとして実装することができる。情報処理装置104が専ら画像処理を担当し、構造物101の検査を別体となった情報処理装置で行う場合も、両情報処理装置の構成は、実質的に同様なので、情報処理装置104のハードウェア構成について詳細に説明する。
【0024】
情報処理装置104は、CPU301と、RAM302と、ROM303とを含んでいる。CPU301は、例えば、PENTIUM(登録商標)、CORE2DUO(登録商標)、CORE2QUAD(登録商標)、COREi(登録商標)シリーズ、XEON(登録商標)、例えばCEMPROM(登録商標)、ATHRON(登録商標)といった互換プロセッサ、POWERPC(登録商標)といったプロセッサとすることができ、シングルコアでもマルチコアでも構わない。
【0025】
CPU301は、いわゆるL1〜Lnキャッシュとして参照されるキャッシュ313を備えており、その処理効率が改善されている。RAM302は、CPU301が処理を実行するための実行領域を提供し、CPU301の各種処理を可能とする。ROM303は、CPU301の動作を可能とするためのBIOSなどを格納する。
【0026】
さらに、情報処理装置104は、ディスプレイ装置304と、通信装置305とを含んでいる。ディスプレイ装置304は、VGA、HDMI(登録商標)、DVIといったインタフェースを介してCPU301の処理結果を表示する。ディスプレイ装置304は、特に限定するものではないが、液晶ディスプレイとすることができる。通信装置305は、ネットワーク・インタフェース・カードを含んで実装され、LAN、インターネットなどへの接続を可能としている。
【0027】
CPU301、RAM302、ROM303、ディスプレイ装置304、通信装置305は、それぞれシステムバス311を介して相互接続されていている。さらに情報処理装置104は、PCI、PCIExpressといった適切なバスブリッジ306を介してI/Oバス312に接続されている。I/Oバスには、ATA、STATAといった適切なバスを介して記憶装置307およびDVDドライブ308が接続されている。記憶装置307およびDVDドライブ308は、オペレーティング・システム、プログラム、データの読み込みを可能とするとともに、大容量情報を読み書きできるようにされている。
【0028】
さらにI/Oバス312には、マウス、キーボード、ディスプレイ装置といった入出力装置309および各種USBデバイス310が接続されていて、情報処理装置104の動作を改善している。
【0029】
図4は、本実施形態の情報処理装置104の機能ブロック400を示す。
図4に示す機能ブロック400は、CPU301がプログラムを読み込んで実行することにより情報処理装置104を、各機能ブロック400として機能させている。情報処理装置104は、その機能ブロックとして、画像読取り部401と、元画像記録部405とを含む。画像読取り部401は、撮像装置102が取得した画像情報を適切なインタフェースを介して読み込み以後の処理を可能とする。画像読取り部401が取得した画像情報は、元画像記録部405により、例えばRAM302、または記憶装置307に格納され、以後の処理に使用される。
【0030】
以下、本実施形態の情報処理装置104の機能ブロックを構成する意義を説明する。上述したように、本実施形態の撮像装置102は、画像情報を、640×480ドットで出力するものとする。撮像装置102は、構造物101の間近で撮影したとしても、その解像度は、高々640×480ドットである。また高温物体の場合や、高層建築物の場合には、被写体から遠くに離れて撮影することが必要となる。そうすると、写り込む被写体の面積が増加するので、撮像装置102が取得する1画素あたりがカバーする被写体面積が増加する。
【0031】
このことは、撮像装置102が取得する画像情報は、高々640×480ドットでしかなく、1画素が担当する被写体面積が相当広くなるということを意味する。一方で、ADコンバータ202の出力、またはCPU204が出力する温度情報は、ADコンバータ202のダイナミックレンジに対応し、24ビットの場合で、約8桁、32ビットの場合で10桁の出力が可能である。このため、数百度以下の温度測定の場合、小数点以下5桁〜7ケタの情報を1画素あたり出力することができる。
【0032】
このため、元画像の1画素を細分し、元画像の隣接する画素との間の温度勾配を考慮して細分化した画素に温度情報を割り当てることにより、温度情報を有効に利用して高解像度化を行うことができるものと考えられる。
【0033】
本実施形態では、1画素あたりの有する温度情報を、1画素を細分化し、当該細分化した画素(以下、本開示においては、微小画素として参照する。)に、隣接する画素との間の温度勾配を考慮して温度値を割り当てることで、高分解能の温度分布を生成するものである。
【0034】
以下、
図4に従い、本実施形態を詳細に説明する。画像読取り部401が取得した元画像は、画素分割部402、温度補間部403および色レンダリング部404に入力される。画素分割部402は、本実施形態に従い、元画像の画素を分割して微小画素を生成し、微小画素を元画像の画像領域にマッピングする。本実施形態で用語「マッピングする」とは、元画像の画素に対応した微小画素で画像領域を埋め尽くし、(x、y、z)の座標を割り当てる処理を言う。なお、x、yは、画像領域の平面座標であり、zは、保管された温度値である。
【0035】
なお、画素分割部402は、撮像装置102のレンズ系の収差情報を使用して、収差を補正したx、y座標を生成することで、被写体の正確な位置座標を生成する。なお、収差補正方法としては、糸巻き型歪み、タル型歪み、像面湾曲、非点収差、球面収差、コマ収差、縦収差、横収差の各補正を適用することができる。
【0036】
温度補間部403は、元画像の画素を取り囲む隣接画素の温度を滑らかに接続するように、微小画素に対して温度計算し、微小画素に対してzの値を生成する処理を実行する。また、色レンダリング部404は、計算された温度に割り当てられた色パレットを参照して、当該微小画素に対して色情報を割り当てる処理を実行する。
【0037】
温度割当て部406は、温度補間部403が生成した温度値を、該当する(x、y)座標を有する微小画素に割り当て、(x、y、z)座標を生成する処理を実行する。さらに情報処理装置104は、ノイズ・フィルタ部408と、高解像度画像記録部409とを含んでいる。ノイズ・フィルタ部408は、画像が含む例えば熱雑音といったノイズを、例えば、移動平均フィルタ、メディアン・フィルタ、ガウシアンフィルタ、ソーベル・フィルタ、マスキングなどの方法を使用して除去し、画像の鮮明度を向上させる。
【0038】
高解像度画像記録部409は、色レンダリング部404の出力cを、ノイズ・フィルタ部後の微小画素値に結合し、(x、y、z、c)の例示的構成として例えば記憶装置307、USBメモリなどに格納し、以後の処理において利用することを可能とする。
【0039】
また、アプリケーション実行部410は、高解像度画像記録部409が格納した高解像度画像をインタフェース部407からのユーザ指令により読み込んで、例えば構造物101の検査の処理を実行する。なお、他の実施形態では、アプリケーション実行部410を他の情報処理装置として別の構成とすることができる。インタフェース部407は、ユーザからの指令を受領して、本実施形態の画像処理を実行させる。この他、アプリケーション実行部410による構造物検査の処理を開始させることができる。さらにインタフェース部407は、ユーザからの各種の指令、設定に応じて、本実施形態の画像処理を制御することを可能とさせている。
【0040】
図5は、本実施形態の画像処理のフローチャートを示す。処理は、ステップS500から開始し、ステップS501で元画像を読み出す。元画像の解像度は、640×480ドットである。ステップS502で高解像度化処理を実行する。ステップS503では、隣接画素間の温度差を考慮し、微小画素に対して温度補間を行う。なお、高解像度化処理および温度補間についてはより詳細に後述する。
【0041】
ステップS504では、ノイズ除去処理を行う。ノイズとして除去される情報は、熱雑音であり、例えば風により生じた色情報のノイズを、移動平均フィルタやメディアン・フィルタなどを使用して除去する。ステップS505では、収差補正処理をx、y座標に対して適用し、レンズ系を通して発生した被写体のゆがみを補正し、高解像度画像情報(x、y、z)を生成し処理を終了する。なお、例示的実施形態では、ステップS505の収差補正ステップの前後においてカラーパレットを参照した色情報の割り当てを行うこともできる。
【0042】
図6は、本実施形態において取得される元画像のデータ構造600を、俯瞰的に見て示した図である。元画像のデータ構造600は、640×480ドットとして生成される。元画像を構成する画素602には、出力電圧または出力電圧から換算された温度値603が小数点以下5〜7ケタで出力されている。
【0043】
一方、元画像の画素602は、撮像装置102の倍率、被写体からの距離に応じて、被写体の異なる面積の情報をいわゆる積分した値として温度値603を生成する。しかしながら、画素602が有する温度情報は、小数点以下遥かに高精度の情報を含んでいる。このため、本実施形態では、画素602を細分割して微小画素を生成し、隣接する画素間の温度に矛盾を生じないようにして、微小画素に温度を補間して割り当てることで、光学系を通過して積分された画素602の温度情報を生成する。以下、
図7〜
図9を使用して本実施形態の高解像度化処理および温度補間処理を説明する。
【0044】
図7は、本実施形態の高解像度化処理の概念図を示す。本実施形態では、画像情報を、行列として捉え、行列の(x、y)要素を拡張することにより、高解像度化を行う。その際、画像情報の中心画素、説明する実施形態では、元画像701の(320、240)の位置を中心として、要素数がP
2の行列を高解像度画像のために用意する。ここで、Pは、2以上の素数(primary number)である。2以上の素数とすることで、中心画素に対して、(P−1)/2倍の要素として安定して対称な拡張行列702を定義することができる。
【0045】
本実施形態では、上述した処理により生成した拡張行列に対して温度を補間する。
図8は、温度補間処理の実施形態の概念図である。元画像の画素801に対して処理を適用するものとして説明する。画素801には、その周囲に隣接する画素802が存在する。
図8で説明する実施形態では、P=5、すなわち、25倍高解像度化する実施形態である。
【0046】
温度補間における要請は、(1)隣接する画素の隣接領域で温度に矛盾を生じないこと、および(2)分割数に対応した補間であること、である。ここで、
図8に示すように、中心画素の温度値をT、隣接画素の温度を時計回りに、T1〜T4とする。隣接画素の中心まで、本実施形態に従い、5微細画素が割り当てられる。温度補間は、説明する例示的な実施形態では、例えば、中心画素の縦方向では、T+(T1−T)/5×nとした線形補間を、補間方向を識別して行う(nは、中心画素からみた微小画素の数であり、中心画素の中心の微小画素では、n=0であり5以下の数である。より一般には、0≦n≦Pである。)。
【0047】
その他、T1、T、T3の間で多項式補間を行うこともできる。また、
図8に示した実施形態の横方向についても同様にして温度補間を行うことができる。また、
図8の中心画素の十字から外れた微小画素に関しては、縦方向からの補間の他、横方からの補間の両方想定できる。この場合、縦方向からの補間値と横方向からの補間値の平均を計算し、該当する微小画素の温度値として決定することができる。
【0048】
温度補間は、好ましい実施形態では、画像中心の画素から画像周辺に向かって行うことができる。画像の端縁においては補間するべき画像が存在しないがこの場合、最縁部の画素については、補間を行わず当該画像の温度値を、微小画素に割り当てる処理を行うこともできる。また、同様の処理は、画像の最縁部から処理を行う場合にも適用することができる。
【0049】
以上、本実施形態によれば、元画像の温度情報をその分布を変えることなくより詳細にマップすることが可能となる。例えば、温度変化が
図8の対角線方向に向かって連続しているような場合、微小画素の温度値は、温度変化の連続している方向にライン状に延びることになり、より微細な温度変化を視覚的に認識させることが可能となる。
【0050】
図9は、本実施形態により生成された拡張行列900の実施形態を示す。画素の拡張は、説明の便宜上、縦横方向に示し、対角線要素901は省略して示す。
図9に示すように、中心画素801を中心として、画素が微小画素803に分割されており、中心画像801に温度変化のライン902が示されている。この変化が拡張行列900の所定の領域に発生することで、構造物101の表面における系統的な温度変化を明確にトレースすることが可能となる。
【0051】
図10〜
図12は、本実施形態により高精細化の実施例および比較例を示す。
図10は、比較例1000として従来の640×480画素で撮影した構造物1001の可視画像(a)および赤外線画像(b)を示す。
図10(a)で示すように、構造物1001は窓1002を備えており、窓の内側の室内には、白色のカーテン1003がかけられているのが示されている。
【0052】
図10(b)は、同一の構造物1001の赤外線画像であり、可視画像の情報が、構造物1001の温度情報に置換されて示されている。構造物1001には、窓1002があることが示されているが、白のカーテン1003は、日光を反射して周囲より温度が低いため見失われているのが示されている。
【0053】
図11は、
図10に示した構造物1001を、本実施形態の画像処理を適用し、説明の便宜上、画像を微小画素および温度を使用したワイヤフレームとして表現し、回転させて示した実施例である。構造物1001の表面は、タイルおよびタイル目地に対応する温度変化が明確に示されている。また構造物1001の窓1002は、周囲よりも低温であることが示されている。さらに
図11に示す実施例では、窓枠に接して高温となったものと推定されるカーテンの縁部が明確に識別されている。
【0054】
当該カーテン1003は、一点だけではなく温度変化の等高線として、窓1002から明確に異なるものとして識別することができているのが示される。以上の通り、本実施形態の画像処理によれば、撮像装置102が取得した元画像の有する温度情報をより高精細かつ矛盾なく使用して高解像度化が可能であることが示された。
【0055】
図12は、内燃機関の赤外線画像1200を示す。画像1201は、可視光画像であり、画像1202は、従来方により取得した赤外線画像であり、画像1203が本実施形態により取得した赤外線画像である。画像1202と、画像1203とを比較すると、本実施形態により生成した赤外線画像は、内燃機関の温度分布をより高い分解能で、かつ高精細に示すことができることがわかる。
【0056】
図13は、本実施形態の画像処理方法のフローチャートである。
図13の処理は、ステップS1300から開始し、ステップS1301で高解像度画像を読み込む。ステップS1302で高解像度画像の(x、y、z)情報から3次元メッシュ化を実行する、ステップS1303でバックグラウンドとするべき温度を設定し、ステップS1304で温度に色パレットを参照して色をレンダリングする。本実施形態におけるレンダリングは、高精細画像を3次元メッシュで表示するため、(x、y、z)の位置座標間を連結するラインに該当する色を割り当てる処理を実行する。
【0057】
ステップS1305では、ディスプレイ装置に表示させる際の視点位置座標を決定し、ステップS1306では、視点位置座標から見たときの位置座標に画像メッシュを回転変換する。その後、ステップS1307では、視点位置から見た3次元メッシュ画像をディスプレイ画面に表示させる。なお、視点位置は、ユーザによるマウス、ジョイスティック、コントローラからの入力により、変更することができる。本実施形態では、ユーザによる視点位置の変更指令に応答して、3次元メッシュを回転させることができるので、より詳細に温度分布を判断することができる。
【0058】
なお、本実施形態では、視点位置は、360度回転させることができ、視点位置を、物体背面から見たときの表面温度分布として表示させることが可能となる。このため、より表面温度の分布を詳細に検査することが可能となる。
【0059】
図14は、本実施形態の画像処理方法を使用する、検査システム1400の実施形態を示す。
図14に示す実施形態は、橋梁などの構造物の内部劣化を非破壊的に検査するためのシステムとして例示的に示すが、本実施形態は、非破壊に物体内部の検査を行うことができる限り特に用途に制限はない。
【0060】
撮像装置1404は、河川1403上に架け渡された道路1402用の橋梁1401の赤外線画像を撮影している。この際、撮影する角度、周囲温度、距離その他の環境情報が記録される。撮像装置1404は、撮影した画像を、RAMといった記憶装置203に格納する。特定の実施形態では、SDカード、USBメモリなどの取り外し可能な記憶装置に画像を格納することができる。なお、この段階で取得される赤外線画像は、低分解能の640×480ドットである。
【0061】
撮像装置1404が取得した赤外線画像は、オフライン、ネットワーク通信などにより情報処理装置1405に入力される。情報処理装置1405は、被写体となる構造物の材質、材料構成、経過年数、修理履歴などの情報を格納するデータベース1406を管理する。
【0062】
情報処理装置1405は、本開示に従って取得した低解像度の赤外線画像を画像処理して高精細画像を生成し、画面に表示させている。なお、本実施形態の好ましい実施形態においては、情報処理装置取得した高解像度画像の温度分布から、内部における熱伝導性を解析し、橋梁1401といった構造物内部の欠陥または劣化の存在を発見し、そのサイズを計算することができる。
【0063】
図15は、本実施形態の検査システム1400が使用する情報処理装置1405の機能プロックを示す。なお、ハードウェア・ブロックは、概ね
図3に示したと同様の構成を有するので説明は省略する。情報処理装置1405は、画像読取り部1501と、画像処理部1502と、表面温度分布解析部1503とを含むことができる。
【0064】
画像読取り部1501は、本実施形態に従い生成された高精細画像を、マトリックスとして、撮影した時の角度、距離、周囲温度などと共に読み取る。なお、測定条件などは、測定条件データベース1505に蓄積しておくことができる。画像処理部1502は、読み取った画像を、デフオルト設定では、撮像装置1404のカメラ軸上の撮影した時の距離にある点として設定し、高精細画像に対して回転変換する。その後、画像処理部1502は、色パレットを参照してワイヤフレームを生成させるためのラインに色をレンダリングし、ディスプレイ装置に3次元メッシュとして表示させる。
【0065】
表面温度分布解析部1503は、3次元メッシュ画像上で認識された温度分布の不均一度を検査し、温度分布の不均一性が設定した閾値を超えた場合、温度変化領域として例えば、他の色をレンダリングするか、または矩形枠で囲って表示する。なお、本実施形態において、温度の不均一性とは、周囲の温度分布と比較して、局所的に大きな温度差を有する状態を意味する。そして、不均一性が設定した閾値を超えた場合とは、例えば、温度の最小値から最大値の差分を、当該差分が含む微小画素数で除算した値、すなわち温度傾斜が周囲領域の平均値を超える場合をいう。
【0066】
さらに情報処理装置1405は、物体内部構造判断部1504を備えている。物体内部構造判断部1504は、構造物を構成する材料情報などをデータベース1406から取得し、物体の熱伝導特性を解析し、物体内部の、空洞、崩壊その他の欠陥の存在を判断する。そしてその判断結果を、画面表示およびプリンタ出力などにより外部出力させている。本実施形態の検査システム1400は、以上の構成を採用することにより、物体内部の欠陥を非破壊で高精細な温度分布から判定することを可能としている。
【0067】
図16は、本実施形態の検査システムが実行する検査方法のフローチャートである。
図16の処理は、ステップS1600から開始し、ステップS1601で高解像度画像を読み出す。ステップS1602で高解像度画像から3次元メッシュを作成するとともに色パレットを参照して温度に対応する色をレンダリングする。
従来から使用されている浮動式の色レンダリング方法は、浮動式になっているため、解析表示操作の過程で1画像毎に色コードバーを選択しなければならない。このため、解析表示操作の過程で表示温度分解能感度を変更すると、すでに割り当てた色コードバーと高分解能化した表示温度とは、常時色コードバーで指定した色に色ズレが生じる。
【0068】
このことから、従来のレンダリング方法をそのまま適用すると、温度分布表示ポイント(素子)と色コードバーが不一致になるという不都合が生じる。本実施形態では、色レンダリング方法に関しては、従来の浮動式から、プログラムによる固定式の新しい色コードバーを設計する。そして色コードバーを、自動的に配列組合せる新規方法を採用する自動設定に際しては、日射受熱と気象条件及び周囲の状況を受ける屋外型と、測定対象面付近大気温度の変動が微差の屋内型に分けて用意する。レンダリング方法については、本開示の要旨とするものではないので、これ以上の説明は省略する。
【0069】
ステップS1603では、表面温度を解析し、ステップS1604で特徴的な温度変化があるか否かを判断する。特徴的、すなわち周囲の温度分布と比較して大きな温度傾斜がある領域が見いだされた場合(yes)ステップS1605で表面温度の解析から物体の内部構造を判定し、ステップS1606で判定結果を外部出力して処理を終了する。
一方、ステップS1604で特徴的な温度変化がない場合(no)、処理をステップS1606に分岐させて処理を終了する。
【0070】
以上、本実施形態によれば、従来の熱2次元画像の問題点に鑑みてなされたものであり、赤外線センサが取得した情報を効果的に解析し、高精度に熱の2次元分布を取得し、さらに当該熱の2次元分布を3次元化することを可能とする、画像処理システム、画像処理装置、画像処理方法、検査システムおよびプログラムを提供することが可能となる。
【0071】
これまで本発明を、実施形態をもって説明してきたが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。