(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、上記特許文献1には、ロボット玩具が発音用スピーカを有していることが開示されている。しかし、これは単に送信機に設けたワイヤレスマイクから入力した音声を受信してそのまま出力するものであって、送信機からの駆動信号に対応して音声を出力するものではない。
また、エアコン等の家電製品には、リモートコントロール装置が発信した駆動信号を受信して、この駆動信号に対応した音声を出力するものがある。しかし、これは受信機側が予め記憶してある音声を出力するものであって、送信機側が駆動信号とともに発信した音声を出力するものではない。
【0005】
リモートコントロール装置において、送信機側が発信した操作の内容を受信機側が音声によって報知することは玩具や家電製品に限らず用途が有り有用である。しかし、このような機能を搭載した商品を言語の異なる様々な国に提供しようとした場合、各国の言語ごとに予め音声を記憶させておかなければならない。また、例えば日本国のような一つの国に限っても様々な国の出身者が居住しており、このような方々にとって送信機側が発信した操作内容を自身が理解できるような内容の音声で確認できるようにすることは極めて有用である。本発明はこのような事情に鑑み発明されたものであって、簡便な方法によって、送信機側が行った操作内容を受信機側が出力する音声によって知ることができるリモートコントロール装置およびリモートコントロール方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。すなわち、
送信機と受信機を有するリモートコントロール装置であって、
前記送信機は、
制御手段と当該制御手段によって制御される録音手段、無線信号送信手段および当該制御手段に対する入力操作を行う入力手段および前記受信機に対して送信する操作信号を前記入力手段の操作に対応させて記憶する記憶手段を有し、
前記受信機は、
制御手段と当該制御手段によって制御される記憶手段、音響出力手段、無線信号受信手段を有し、
前記送信機を、前記録音手段を介して入力した音声を前記操作信号に対応付けた音声情報として記録するように構成し、
前記受信機を、前記送信機が送信した操作信号と音声情報を受信した場合に、当該操作信号に応じた制御を実行するとともに受信した前記音声情報に基づく音声を音響出力手段を介して出力するように構成したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は以下の構成を有することを特徴とする。すなわち、
送信機と受信機を有するリモートコントロール装置であって、
前記送信機は、
制御手段と当該制御手段によって制御される無線信号送信手段および当該制御手段に対する入力操作を行う入力手段および前記受信機に対して送信する操作信号を前記入力手段の操作に対応させて記憶する記憶手段を有し、
前記受信機は、
制御手段と当該制御手段によって制御される記憶手段、音響出力手段、無線信号受信手段を有し、
前記送信機若しくは受信機の少なくとも一方に録音手段を設けるとともに、当該録音手段によって取得した音声を前記操作信号に対応付けた音声情報として記録するように構成し、
前記受信機を、前記送信機が送信した操作信号に応じて制御するとともに、前記操作信号に対応付けた音声情報に基づく音声を音響出力手段を介して出力するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、リモートコントロールしようとする操作に連動して、操作する者が自ら録音した音声を受信機側の装置から出力させるものである。したがって、出力させた音声によってどのような操作が行われたのかを容易に認識することができるという効果を有している。また、リモートコントロール装置を提供する側にとって、利用者が使用する国の言語等を予め録音しておく必要が無いという効果を有している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るリモートコントロール装置の一実施の形態として、遠隔操作によって動作する模型自動車を例に説明する。
図1は、本実施の形態に係るリモートコントロール装置(以下「本装置」という)100を構成する送信機10と受信機20の構成を表したブロック図である。
送信機10は、主な構成として制御手段11、記憶手段12、録音手段13、無線信号送信手段14および入力手段15を有している。
制御手段11は、演算処理機能を有したCPUおよびCPUを動作させる各種制御回路から構成される。制御手段11は、制御手段11に接続した各デバイス間での情報の入出力および制御信号の出力等を行うものである。制御手段11は汎用的なCPUを中心に構成した基板上の回路によって形成する場合の他、ワンチップ型のマイクロコンピュータや専用のIC等のパッケージ化されたデバイスとして構成したものでもよく、その形態はどのようなものでも差し支えがないものである。
【0011】
記憶手段12は所謂RAMおよびROMによって構成したものであり、書き換えを許容しない情報や、制御手段11の制御に伴って書き換える各種の情報を記憶するものである。なお、制御手段11をワンチップ型のICによって構成する場合には、このICに搭載した記憶領域を記憶手段12として使用してもよい。また、制御手段11を駆動するプログラムやシーケンス、固定的な情報は書き換えを許容しないROM等に記憶している。
録音手段13は、マイク16およびマイク16に入力された音響信号をデジタル信号に変換するA/D変換器17とから構成されている。なお、A/D変換器17は、必ずしも独立したデバイスとして設ける必要はなく、制御手段11の一機能とし設けても差し支えがないものである。
【0012】
無線信号送信手段14は、制御手段11が出力した情報を無線信号に変調して受信機20に対して送信する手段である。本実施例では、電波を使用して情報を送信するように構成しているので通信用のアンテナ18を有している。なお、電波を使用した通信に代えて赤外線を利用した通信など他の伝送方式を利用しても差し支えない。
入力手段15は、一例として押圧によって接点を開閉する複数個の操作スイッチ(1〜7、16a)によって構成したものである。なお、スイッチの形態は押圧式に限らず、操作部がダイヤル式であったり、スライド式であるなどどのような形態でも差し支えがないものである。
【0013】
受信機20は、制御手段21、記憶手段22、音響出力手段23、無線信号受信手段24から構成されている。
制御手段21は、前述した制御手段11と同様に演算処理機能を有したCPUおよびCPUを動作させる各種制御回路から構成されるものである。制御手段21は、接続した各デバイス間での情報の入出力および制御信号や駆動信号の出力等を行うものである。
制御手段21は汎用的なCPUを中心に構成した基板上の回路によって形成する場合の他、ワンチップ型のマイクロコンピュータや専用のICとしてパッケージ化されたデバイスとして構成したものでもよく、その形態はどのようなものでも差し支えがないものである。
【0014】
記憶手段22は所謂RAMおよびROMによって構成したものであり、書き換えを許容しない情報や、制御手段21の制御に伴って書き換える各種の情報を記憶するものである。なお、制御手段21をワンチップ型のICによって構成する場合には、このICに搭載した記憶領域を記憶手段22として使用してもよい。
音響出力手段23は、スピーカ25および制御手段21が出力したデジタル信号を音響信号に変換するD/A変換器26等から構成されている。なお、D/A変換器26は、必ずしも独立したデバイスとして設ける必要はなく、制御手段21の一機能として設けても差し支えがないものである。
【0015】
また、制御手段21は駆動手段30に対する駆動信号を出力するようになっている。本実施例の場合、制御手段21はリモートコントロール信号によって走行する走行玩具に搭載されている。駆動手段30は走行玩具の前進、後退、停止、右折、左折等といった各種の挙動を行わせるモータやソレノイド等で構成されるものである。
なお、本発明をエアコン等に用いる場合には、運転モードの切り替えや温度設定、送風量の調整といった制御を行う手段が駆動手段となるものである。このように、適用する装置に応じて駆動手段は異なるものである。
【0016】
図2は、一例として走行玩具用のコントローラーとして形成した送信機10の外観図を表している。送信機10は、入力手段15を構成する複数の操作ボタン(1〜7、16a)を有している。操作ボタン1〜7は、
図3に示した操作ボタン番号n(n=1〜7)に対応したスイッチである。また、送信機10を構成する筐体の正面側上部に、複数の小孔を形成したカバーによって覆われたマイク16を内蔵し、側面にマイク16を使用した録音を行う際に使用する録音スイッチ16aを設けている。
また、
図3は操作ボタン番号nに対応した操作信号番号n(n=1〜7)、機能名、機能、音声データ記憶領域番号n(n=1〜7)およびユーザが登録する音声の一例を表している。
【0017】
例えば、操作ボタン1を押すと、同表に示す操作信号番号1を表す情報が受信機20に送信される。操作信号番号1を表す情報とは、操作信号番号そのもの若しくは操作信号を特定するための情報のことであり、以下単に「操作信号番号」という。受信機20は、操作信号番号1に対応した機能名『前進』として定義されている『受信機が前進〜1秒後に停止』という機能を実行するための制御信号を、駆動手段30に対して出力する。以下、他の操作ボタンを押した場合には、その操作ボタンに対応した操作信号番号が受信機20に送信される。そして、受信機20は受信した操作信号番号に対応する機能を実行する制御信号を駆動手段30に対して出力する。
【0018】
次に、上記送信機10および受信機20を用いた本装置100の機能を説明する。送信機10は、主たる機能として使用者自身が録音した音声を、7個の操作ボタン番号nに対応させて録音するようになっている。これは、後に説明する音声による操作を行わせる際に、操作指示として入力した音声との対比のために、記憶手段12に予め音声を登録しておく処理である。また、この登録した音声は、何れかの操作ボタンを用いた手動による操作を行う際に受信機20に対して送信し、受信機20から出力する音声として使用するものである。
【0019】
以下、上記音声の登録処理の概要を
図4を用いて説明する。
音声を登録する場合、送信機10の電源を入れた後(S1)に録音スイッチ16aを押下する(S2)。録音スイッチ16aが押下されると、制御手段11はこのスイッチが押下されている時間を計測する。そして、この押下時間を判定し(S3)、押下時間が2秒未満であれば音声の録音モードに入り(S4)、押下時間が2秒以上である場合には各操作ボタンに対応させた音声を全て消去する(S5)。
上記の録音モードに入ると、制御手段11は何れかの操作ボタンの押下を待機する。そして、操作ボタン1〜7の何れかが押されると(S6)、その押下された操作ボタン番号n(n=1〜7)に対応した音声の録音状態になる。この際、LEDが速く点滅し音声入力がスタンバイ状態であることを示す(S7)。この状態において音声を発すると録音を行い(S8)、正常に録音が行われたか否かの判定を行う(S9)。なお、この音声は必ずしも言語を発声したものである必要はない。
【0020】
録音が正常に行われた場合にはLEDが1秒間点灯し(S10)、2回目の音声入力を待機する。この際、LEDが速く点滅して音声入力がスタンバイ状態であることを示す(S11)。録音が正常に行われなかった場合には再度録音状態を維持する。なお、録音が正常に行われなかった場合、電源スイッチをOFFにしてからONにすると録音が完了していない音声データが記憶手段12から消去されてリセットされる(S16)。
【0021】
前述したS11の状態において音声を入力すると音声の録音が行われる(S12)。次に、録音が正常に行われたか否かの判定を行い(S13)、正常に録音が行われた場合にはLEDを消灯して録音を終了する(S14)。上記2回の音声入力が適切に完了すると、前述した処理S6において指定した操作ボタン番号nに対応した記憶手段12の記憶領域n(n=1〜7)に対して音声データの格納が行われ(S15)、音声の登録処理を終了する。この処理によって記録された音声データは、後にマイク16を介して入力された音声との対比を行うための照合用データとして用いるものである。
【0022】
次に、送信機10を用いて受信機20を操作する場合について説明する。受信機20の操作方法には、音声を用いた指示による方法と操作ボタン1〜7を用いた手動操作による場合がある。はじめに、音声によって受信機20の操作を行う場合について
図5に示したフローチャートを用いて説明する。
送信機10の電源をONにすると、送信機10はマイク16から音声が入力されるのを待機する(S101)。この待機状態において、マイク16から音声を入力すると(S102)、入力された音声(音響信号)はA/D変換器17によってデジタル情報である被照合用データに変換される(S103、S104)。
なお、上記音声の待機状態において、操作ボタン16aが押下された場合には前述した音声の録音モードに移行する。また、操作ボタン1〜7の何れかが押下された場合には、手動操作として各操作ボタン番号nに対応した機能が実行される。
【0023】
被照合用データが生成されると、予め記憶手段12に記録されている音声データ(照合用データ)の中から、上記の被照合用データと一致する音声データを検索する(S105)。検索対象となる音声データは、操作ボタン番号nに対応させて録音した音声データである。一致する音声データが検索された場合には、この音声データに対応付けた操作信号番号nを呼び出し(S106)、受信機20に送信して(S107)一連の処理を終了する。当該処理を終了した後、または一致する音声データが検索されなかった場合には、再び次の音声が入力されるのを待機する。
なお、マイク16から入力した音声に基づく被照合用データと、操作ボタンに対応させて予め記録した照合用データとの対比は、音の周波数、強弱、抑揚等といった特徴を対比して一致若しくは不一致を判定するものであり、音声の言語変換を伴う処理ではない。このため、処理能力の高いCPUや言語変換に使用する辞書等を搭載する必要が無いものとなっている。
【0024】
図3に示したように、送信機10が受信機20に送信する操作信号は、送信機10に設けた各操作ボタン1〜7と互いに対応している。そして、予め各操作ボタン1〜7に対応させて記録した音声と一致する音声が入力された場合、その操作ボタンに対応する操作信号番号nが受信機20に対して送信される。
操作信号番号nを受信した受信機20は、各操作信号番号nに対応付けられた機能を実行するための制御信号を駆動手段30に出力する。例えば、操作信号番号1(n=1)を受信すると、走行玩具を前進させた後、1秒後に停止させるように駆動手段30を制御する。また、操作信号番号2(n=2)を受信すると、走行玩具を後進させた後、1秒後に停止させるように駆動手段30を制御する。
このように、操作ボタン1〜7の何れかが操作されると、この操作ボタンに対応する操作信号番号nが送信機10から送信され、
図3に示した機能を実行するように受信機20が駆動手段30の制御を行うようになっている。
【0025】
次に、送信機10の手動による操作によって受信機20を制御する場合を
図6に示したフローチャートを用いて説明する。
送信機10の電源をONにすると、送信機10は操作ボタン1〜7の押下を待機する(S201)。この状態において何れかの操作ボタンが押下されると、押下された操作ボタンに対応する操作信号番号nの送信と、対応する音声データ番号nの音声データの送信が並行して行われる。なお、この待機状態において録音スイッチ16aが押下された場合には前述した音声の録音モードに移行する。
【0026】
操作ボタン1〜7の何れかが押下されると、押下された操作ボタンの番号に対応する操作信号番号nを記憶手段12から呼び出し(S203)、無線信号送信手段14を介して送信する(S204)。操作信号番号nを受信した受信機20は、受信した操作信号番号に対応して
図3に示した機能を実行する制御信号を駆動手段30に送り走行玩具を動作させる(S205)。
【0027】
また、操作ボタン1〜7の何れかが押下されると、押下された操作ボタンの番号に対応する音声データn(n=1〜7)を記憶手段12内の音声データ記憶領域n(n=1〜7)から呼び出し(S210)、無線信号送信手段14を介して送信する(S211)。
受信機20は送信機10が送信した音声データnを受信して操作信号番号nに対応させて記憶手段22に登録する(S212)。次に、上記の記憶手段22に登録した音声データをD/A変換器26によって音響信号に変換し(S213)、スピーカ25を介して出力する(S214)。
【0028】
上記したように、操作信号の送信処理(S203〜S205)と音声データの送信処理(S210〜S214)は略同時に並行して行われる。例えば操作ボタン3を押下すると、走行玩具は左折動作を行い一秒後に停止する動作を行い、これと同時若しくは事前にスピーカ25を介して使用者が予め登録しておいた「ひだり」等の音声を出力する。同様に、他の操作ボタンが操作された場合には、これに対応する操作信号番号の送信と音声データの送信が行われ、受信機20側ではこれに対応する駆動手段30
の制御と、操作信号番号に対応して登録させた音声をスピーカ25から出力する。
【0029】
前述した通り、送信機10に登録する音は必ずしも言語として認識可能な音声である必要はない。操作信号に対応する音として、利用者が好ましいと思うものを録音すればよい。前述の例では走行玩具をリモートコントロールする場合について説明したが、各種の家電製品や設備に適用してもよいものである。
家電製品の中には、操作内容を音声によって報知するものもあるが、この音声は使用する国の言語によって行われるのが通常である。しかし、その国に居住する外国人にとって他国の言語で音声報知が行われても、本人にとっては理解不能である場合が考えられる。本発明をこのような製品に適用すると、操作内容を自分の理解できる音声で報知させることができるので、操作内容を正しく指示できたか否かを自身の声等で確認するといった使い方を提供できるものとなっている。
【0030】
また、前述した例では、送信機10に音声を録音するようにしているが、操作信号に対応した音声を受信機20に直接録音し、操作信号を受信した場合に録音した音声の出力とこれに対応する動作を行わせるようにしてもよい。
また、
図3に示した操作信号No.6、No.7のように、駆動手段30に対する複数の制御を組み合わせて連続的に実行するプログラムモードを設けても良い。この場合にも、複数の制御を組み合わせた操作指示に対応させて音声を登録し、機能の実行とともに音声を出力することができる。
以上説明した各種の実施例は、種々組み合わせて実施することが出来るものである。また、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々設計変更できることは勿論である。