(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプラスチック製または紙製の会員証は、学会の事務局側で作成されて会員に送付されている。そのため、結婚により名前に変更が生じた場合や会員証を紛失した場合には会員証を再発行しなければならない。会員証はプラスチック製または紙製であることから、再発行には手間と時間がかかる。また、会員から学会事務局への会員証の再発行申請も必要となり面倒である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、会員の会員情報に変更が生じても事務局側で再発行をする必要がない会員証を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、以下に示す態様を含む。
(項1)
表示画面を備える携帯情報端末であって、
学会の会員の会員情報を前記表示画面に表示する表示手段を備える携帯情報端末。
(項2)
前記表示手段が、前記会員の顔写真を前記表示画面に表示する、項1に記載の携帯情報端末。
(項3)
前記会員情報は、前記会員の名前および会員IDを含む、項1から2のいずれかに記載の携帯情報端末。
(項4)
前記会員が、前記学会に関連するイベントに参加する会員であり、前記イベントが、学術集会、セミナー、研修、講義または専門医の試験である、項1から3のいずれかに記載の携帯情報端末。
(項5)
前記表示手段が、前記会員情報を二次元コードまたは一次元コードの形式で表示する、項1から4のいずれかに記載の携帯情報端末。
(項6)
前記二次元コードまたは前記一次元コードは、前記表示手段によって前記会員情報が表示された時刻の情報を含む、項5に記載の携帯情報端末。
(項7)
前記携帯情報端末が、前記会員情報を記録した管理装置にネットワークを介して接続されており、
前記携帯情報端末毎に固有の端末識別コードを取得する端末識別コード取得手段と、
前記端末識別コードを前記会員情報と対応付けて前記管理装置に送信する端末識別コード送信手段と、
をさらに備える、項1から6のいずれかに記載の携帯情報端末。
(項8)
項1から7のいずれかに記載の携帯情報端末と、
前記携帯情報端末にネットワークを介して接続され、前記会員情報を記録した会員情報記録手段を備えた管理装置と、を備えたシステムであって、
前記管理装置は、
前記会員情報に含まれる会員認証情報を読み取る会員認証情報読取手段と、
前記会員認証情報読取手段が読み取った前記会員認証情報が有効であるか否かを判定する会員認証情報判定手段と、
を備えた、システム。
(項9)
前記携帯情報端末は、項6に記載の携帯情報端末であり、
前記管理装置の前記会員認証情報判定手段は、前記会員認証情報読取手段が前記会員認証情報を読み取った時刻と、前記会員情報が表示された前記時刻とが所定の有効時間内にある場合に、前記会員認証情報が有効であると判定する、項8に記載のシステム。
(項10)
前記管理装置は、前記会員認証情報判定手段が前記会員認証情報が有効であると判定した場合に、前記会員情報に前記イベントの参加情報を記録する参加情報記録手段をさらに備える、項8または9に記載のシステム。
(項11)
前記学会が、医学分野または歯学分野の学会であり、
前記イベントが専門医の試験であり、
前記参加情報が、前記学会の前記専門医の認定に使用される、項10に記載のシステム。
(項12)
前記携帯情報端末は、項7に記載の携帯情報端末であり、
前記管理装置の前記会員情報記録手段は、各会員の前記端末識別コードと前記会員情報とが対応付けられたデータベースを記憶しており、
前記管理装置は、
前記携帯情報端末から送信された前記端末識別コードおよび前記会員情報を前記データベースと照合することにより、前記表示手段に前記会員情報の表示を許可するか否かを判断する認証手段をさらに備える、項8に記載のシステム。
(項13)
前記管理装置が、
少なくとも前記会員情報記録手段を備えたサーバ装置と、
前記サーバ装置に接続され、少なくとも前記会員認証情報読取手段を備えた受付装置とで構成されている、項8から12のいずれかに記載のシステム。
(項14)
項1から7のいずれかに記載の携帯情報端末の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
(項15)
項14に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(項16)
項8から13のいずれかに記載の管理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
(項17)
項16に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、携帯情報端末が表示画面を備え、会員の会員情報を表示画面に表示することができる。表示画面に表示する会員情報は、学会の事務局側が管理する管理装置内のデータベースから取得しているので、会員証画面には常に最新の会員情報が表示画面に表示される。よって、会員の会員情報に変更が生じても、会員証を再発行する必要はない。また、携帯情報端末の表示画面に会員の会員情報を表示しているので、会員証を紛失する心配もなく、プラスチック製または紙製の会員証を別途所持する必要もない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する説明を省略する。
(システム概要)
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る携帯情報端末100と管理装置200とを備えるシステムを説明するための模式図である。本発明の実施の形態では、従来のプラスチック製の会員証の機能は、例えばスマートフォンやラップトップ・コンピュータ等の携帯情報端末を用いて実現されている。すなわち、会員自身が所持するスマートフォンに、会員証の機能を備えるアプリケーションプログラム(会員アプリ)をインストールすることにより、従来の会員証の表示内容をスマートフォンの表示画面上に表示している。
【0011】
携帯情報端末100は、会員自身が所持しており、会員の会員情報を表示画面に表示している。これにより従来のプラスチック製の会員証を代替する。管理装置200は、学会の事務局が管理しており、学会に所属する各会員の会員情報をデータベースとして記録している。携帯情報端末100と管理装置200とはインターネット99を介して接続されており、携帯情報端末100の表示画面に表示される会員情報は、管理装置200内のデータベースから常に最新のものが取得されている。
【0012】
なお、後述する追加の機能として、管理装置200はサーバ装置200Sと受付装置200Rとを備える構成とすることができ、学術集会やセミナー等のイベントの開催現場において、会員の参加登録を認証することもできる。この場合の会員の参加登録の認証は、携帯情報端末100の表示画面に記載されているコード化された会員情報57を、開催現場に設置された受付装置200Rのコード読取機にかざして会員情報を読み取ることにより実現される。受付装置200Rとサーバ装置200Sとは例えばインターネットにより接続されている。コード読取機は、例えばQRコード(登録商標)リーダまたはバーコードリーダである。
【0013】
(ハードウェア構成)
図2は、本発明の実施の形態に係る携帯情報端末100および管理装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。携帯情報端末100は、演算装置10と入力部16と表示部17とを備える。入力部16および表示部17は演算装置10に接続されている。任意の構成として、携帯情報端末100は撮像部を備えることができる。管理装置200は、演算装置20と入力部26と出力部27とを備える。入力部26および出力部27は、演算装置20に接続されている。
【0014】
演算装置10,20は、例えば汎用コンピュータで構成されており、後述するデータ処理を行うCPU11,21と、データ処理の作業領域に使用するメモリ12,22と、処理データを記録する記録部13,23と、各部の間でデータを伝送するバス14,24と、外部機器とのデータの入出力を行うインタフェース部15,25(以下、I/F部と記す)とを備えている。
【0015】
本実施形態では、携帯情報端末100はカメラ付きのスマートフォンであり、入力部16と表示部17とは一体化されてタッチパネル式の表示装置として構成されている。また、任意の撮像部はCMOSイメージセンサまたはCCDイメージセンサ等の撮像素子で構成することができる。また、本実施形態では、管理装置200の演算装置20はサーバ装置200Sであり、管理装置200の入力部26および出力部27のそれぞれは、受付装置200Rのコード読取機および印刷機としてそれぞれ構成されている。
【0016】
以下の説明においては、特に断らない限り、演算装置10,20が行う処理は、記録部13,23またはメモリ12,22に格納されたプログラムに基づいて、実際には演算装置10,20のCPU11,21が行う処理を意味する。CPU11,21はメモリ12,22を作業領域として必要なデータ(処理途中の中間データ等)を一時記憶し、記録部13,23に演算結果等の長期保存するデータを適宜記録する。
【0017】
また、演算装置10,20は、以下の
図8、
図10および
図11で説明するステップS1〜S24の処理を行うために、本発明に係るプログラムを、例えば実行形式(例えばプログラミング言語からコンパイラにより変換されて生成される)で記録部13,23に予め記録しており、演算装置10,20は、記録部13,23に記録したプログラムを使用して処理を行う。
【0018】
(機能ブロック)
図3は、本発明の実施の形態に係る携帯情報端末100および管理装置200の機能を説明するためのブロック図である。
【0019】
図3(a)に示すように、携帯情報端末100の演算装置10は、会員サービス提供手段30を備える。会員サービス提供手段30は、
図5−1〜
図5−8の例示的な画面表示例に示す各種会員サービスを、携帯情報端末100を所持する会員に提供する。会員サービス提供手段30は、会員認証手段31と、会員証表示手段32と、会員情報変更手段33と、お知らせ情報表示手段34と、イベントカレンダー表示手段35と、問合先表示手段36と、イベント参加登録受付手段37とを備える。これらの機能ブロックは、本発明に係るプログラムを演算装置10の記録部13またはメモリ12にインストールし、このプログラムをCPU11が実行することにより実現される。
【0020】
図3(b)に示すように、管理装置200の演算装置20は、会員情報記録手段40と、端末認証手段41と、参加登録認証手段42とを備える。会員情報記録手段40は、学会に所属する各会員の会員情報のデータや、会員サービスの提供に必要なデータ等を記録するためのデータベースであり、会員情報データベース40Aと、お知らせ情報データベース40Bと、イベント情報データベース40Cとを備える。これら各種データベースは、例えばMySQLやOracle(登録商標)Database等のミドルウェアにより、関係データベースとして構築することができる。これらの機能ブロックは、本発明に係るプログラムを演算装置20の記録部23またはメモリ22にインストールし、このプログラムをCPU21が実行することにより実現される。
【0021】
なお、管理装置200がサーバ装置200Sと受付装置200Rとを備える構成とする場合、サーバ装置200Sは、少なくとも会員情報記録手段40を備え、受付装置200Rは、少なくとも、参加登録認証手段42の会員認証情報読取手段421を備える。
【0022】
(会員サービスの概要)
図4は、本発明の実施の形態に係る携帯情報端末100によって提供される各種会員サービスの画面遷移図であり、
図5−1〜
図5−8は、各種会員サービスの例示的な画面表示例である。本発明の実施の形態に係る携帯情報端末100では、会員の会員情報を表示画面に表示することにより、従来のプラスチック製の会員証を代替している。以下、携帯情報端末100が提供する各種会員サービスについて、
図4および
図5−1〜
図5−8を参照して概要を説明する。
【0023】
・ログイン認証
図5−1(a)に示すログイン画面SS1では、入力部16を介して会員認証情報が入力されることにより、会員および端末の認証処理(ログイン処理)が行われる。会員認証情報は、例えば会員IDおよびパスワードであり、会員IDは、例えば半角の英数字(ログイン名)で表される。本実施形態では、会員IDは、所定の桁数の数字で表される会員番号である。認証処理は、携帯情報端末100側の会員認証手段31と管理装置200側の端末認証手段41とにより行われる。認証処理の詳細は
図7を参照して後述する。
【0024】
会員のログインが許可されると、
図5−1(b)に示すトップ画面SS2が表示される。トップ画面SS2の右下に表示されているメニューボタン51が押下されると、
図5−2(a)に示すメニュー画面SS3が表示される。メニュー画面SS3には、会員証ボタン52、お知らせボタン53、カレンダーボタン54、コンタクト(問合先)ボタン55、および参加登録ボタン56が表示されており、各ボタンに対応付けられたそれぞれの会員サービスを提供するための画面を表示する。
【0025】
・会員証表示
会員証ボタン52が押下されると会員証を表示する。
図5−2(b)に示す会員証画面SS4では、会員の会員情報として、例えば会員の氏名、会員番号および所属が表示される。表示する会員情報は、管理装置200内の会員情報データベース40Aから取得する。さらに会員証画面SS4には、コード化された会員情報57と、会員の顔写真58とを表示することができる。なお、会員証は身分証明書として使用することができることから、他人による成りすましを防止するために、コード化された会員情報57を時間制限付きのものとすることができる。すなわち、コード化された会員情報57は、更新ボタン59が押下される度に、会員証画面SS4が表示された時刻の情報を含んで更新される。会員証の表示処理は、会員証表示手段32がこれらの手順を実行することにより行われる。
【0026】
任意の機能として、会員情報およびパスワードは、内容に修正がある場合には、会員情報変更手段33により変更することができる。修正内容は入力部16を介して入力され、会員情報変更手段33は、修正された会員情報の内容で、管理装置200内の会員情報データベース40Aを更新する。
【0027】
・お知らせ情報の表示
お知らせボタン53が押下されると、お知らせ情報を表示する。
図5−3(a)に示すお知らせ情報画面SS5では、管理装置200内のお知らせ情報データベース40Bから取得したお知らせ情報を表示する。表示されているそれぞれのお知らせ項目を押下すると、
図5−3(b)の詳細画面SS51に示すように、それぞれのお知らせ項目の詳細を表示する。表示するお知らせ情報の項目は、会員種別毎にフィルタリングが可能である。お知らせ情報の表示は、お知らせ情報表示手段34がこれらの手順を実行することにより行われる。
【0028】
・イベントカレンダーの表示
カレンダーボタン54が押下されると、イベントカレンダーを表示する。
図5−4(a)、(b)に示すイベントカレンダー画面SS6,SS61では、管理装置200内のイベント情報データベース40Cから取得したイベント情報をカレンダー形式で日付順に表示する。表示するイベントは、学術集会や研究会、学会の理事会や総会だけではなく、例えば関連する製薬メーカが主催するイベントを含むことができる。また、表示するイベントは、本日以降の未開催のものと、既に開催済みのものとを切り替えることができる。イベント情報の表示は、イベントカレンダー表示手段35がこれらの手順を実行することにより行われる。
【0029】
・問合先の表示
コンタクトボタン55が押下されると、
図5−5に示す問合先画面SS7を表示する。問合先の表示は、問合先表示手段36により行われる。
【0030】
・イベント参加登録の受付
イベント参加登録の受付は、イベント参加登録受付手段37が以下の手順を実行することにより行われる。
【0031】
参加登録ボタン56が押下されると、
図5−6(a)に示す参加登録画面SS8を表示する。会員が対象のイベントの参加登録をまだ行っていない場合には、参加登録ボタン61が表示され、参加登録ボタン61が押下されると、
図5−6(b)に示す申込画面SS81が表示される。会員が対象のイベントの参加登録を既に完了している場合には、
図5−8に示す参加登録済画面SS9が表示される。
【0032】
申込画面SS81では、会員は、会員のカテゴリをラジオボタンで選択し、懇親会の参加の有無をチェックボックスにチェックする。また、対象イベント用のネームカードに印字する所属および氏名に修正がある場合には、入力ボックスに表示されている所属および氏名の修正を行う。入力ボックスに表示する所属および氏名のデフォルト値は、管理装置200内の会員情報データベース40Aから取得することができる。ネームカードには、会員の所属、氏名、参加登録の証明、および領収金額等が印字される。ネームカードは、学術集会やセミナー等のイベントの開催現場において、会員の参加登録の認証時に、事務局側の受付装置200Rに接続された印刷機によって印刷され、会員に配布される。支払いボタン62が押下されると、
図5−7(a)に示す支払い画面SS82が表示される。
【0033】
支払い画面SS82では、会員は、表示されている申込内容と、決済方法(例えば、クレジットカードによる支払い)とを確認し、間違いがなければ決済ボタン63を押下する。決済ボタン63が押下されると、
図5−7(b)に示す完了画面SS83が表示される。決済ボタン63押下後の決済処理の手順は、公知の処理手順に基づく。完了画面SS83が表示されると、当該イベントの参加登録の申込内容に基づいて、管理装置200内の会員情報データベース40Aおよびイベント情報データベース40Cが更新される。完了画面SS83内のチケット表示ボタン64が押下されると、会員は対象のイベントの参加登録を既に完了しているので、
図5−8に示す参加登録済画面SS9が表示される。
【0034】
参加登録済画面SS9では、管理装置200内の会員情報データベース40Aおよびイベント情報データベース40Cから取得した、当該イベントの参加登録の申込内容が表示される。また、参加登録済画面SS9には、コード化された申込内容65が表示されている。コード化された申込内容65は、当該イベントの参加登録の申込内容の情報を含んでいる。このコード化された申込内容65は、時間制限付きのものとすることができる。すなわち、コード化された申込内容65は、更新ボタン66が押下される度に、参加登録済画面SS9が表示された時刻の情報を含んで更新される。
【0035】
任意の機能として、コード化された申込内容65は、例えばiOSのPassbook(登録商標)またはWallet機能によるチェックイン・チケットまたはパスとして含まれることができる。
【0036】
(成りすまし防止対策)
本発明の実施の形態に係る携帯情報端末100によって提供される各種会員サービスでは、他人による成りすましを防止するために、いくつかの成りすまし防止対策を施している。以下、成りすまし防止対策について説明する。本実施形態において施している成りすまし防止対策は、端末識別コードによる認証処理と、時間制限付きの会員情報の表示処理との2種類である。
【0037】
・端末識別コード(端末ID)による認証処理
図6は、本発明の実施の形態に係る端末識別コード(端末ID)による認証処理の概念を説明するための模式図である。本実施形態では、会員のログイン認証時に、端末識別コードを用いた端末レベルでの認証をあわせて行うことにより、会員が所持していない別の端末からの、会員以外の第三者による成りすましによるログインを防止する。
【0038】
図6では、会員がログインを行う際に想定される例示的な一連の3つのケースについて説明する。なお、会員情報データベース40A内には、会員の会員番号と端末IDとが対応付けられて、1つのレコードとして記録されるものとする。端末IDは、携帯情報端末毎に固有の識別コードである。
【0039】
第1のケースは、会員が新規の端末Aを使用して会員サービスを初めて利用するときである。第2のケースは、第1のケースの後、会員が端末Aから別の端末Bに機種変更したときである。第3のケースは、第2のケースの後、会員以外の第三者が、会員の機種変更前の元の端末Aを何らかの方法で入手し、第三者が会員に成りすまして端末Aを使用して会員サービスを利用するときである。
【0040】
まず、第1のケースの時点での認証を考える。この時点では、会員サービスの利用は初めてであるので、会員情報データベース40A内には、会員の会員番号と端末IDとは対応付けられて記録されていない。したがって、会員のログイン情報として、会員番号「100001」と端末Aの端末ID「ACXB」とが対応付けられて、時間の情報と共に会員情報データベース40A内に新規に登録される。管理装置200側の端末認証手段41は、端末Aからの会員「100001」のログインを許可する。
【0041】
次に、第2のケースの時点での認証を考える。この時点では、既に会員サービスの利用経験があり、会員情報データベース40A内には、会員の会員番号「100001」と端末ID「ACXB」とが対応付けられて記録されている。例えば、会員が、機種変更後の新たな端末Bを使用してログインしようとすると、会員のログイン情報として、会員番号「100001」と端末Bの端末ID「XABY」とが、端末Bから管理装置200側の端末認証手段41に送信される。会員情報データベース40A内には、会員番号「100001」と端末ID「XABY」とのセットは記録されていないので、端末認証手段41は、機種変更後の新たな端末Bからの会員「100001」のログインを許可する。この際、端末認証手段41は、任意の機能として、別の端末Bからのログインであることを示す警告を、端末Bの表示画面に表示してもよい。端末Bからのログインを許可すると、端末認証手段41は、会員番号「100001」と端末Bの端末ID「XABY」とを対応付けて、時間の情報と共に会員情報データベース40A内に新たに登録し、この新たに登録したログイン情報である、会員番号「100001」と端末Bの端末ID「XABY」とのセットを、最新のログイン情報として記録する。
【0042】
その後、第3のケースの時点での認証を考える。会員以外の第三者が、会員の機種変更前の元の端末Aを何らかの方法で入手し、会員に成りすまして端末Aを使用してログインしようとすると、会員のログイン情報として、会員番号「100001」と端末Aの端末ID「ACXB」とが、端末Aから端末認証手段41に送信される。しかしながら、この会員番号と端末IDとのセットは、会員情報データベース40A内に登録されている、会員番号「100001」についての最新のログイン情報ではないので、端末認証手段41は、機種変更前の元の端末Aからの会員「100001」のログインを許可しない。すなわち、会員の機種変更前の元の端末Aを入手した、会員以外の第三者による成りすましによるログインを防止することができる。
【0043】
図7は、本発明の実施の形態に係る携帯情報端末100および管理装置200の間で行う認証処理の機能を説明するためのブロック図であり、
図8は、本発明の実施の形態に係る会員認証手段31および端末認証手段41が行うデータ処理の手順を示すフローチャートである。
図7に示すように、会員認証手段31は、端末識別コード取得手段311と、端末識別コード送信手段312と、ログイン許可手段313とを備える。
【0044】
ステップS1では、会員認証手段31は、会員認証情報の入力を入力部16から受け取る。会員認証情報は、本実施形態では会員の会員番号およびパスワードである。
【0045】
ステップS2では、端末識別コード取得手段311が、携帯情報端末100毎に備えられている固有の識別コードを取得する。端末識別コードの一例としては、例えばiPhone(登録商標)で採用されている基本ソフトウェアiOSでは、UIID (Unique Installation Identifier)やUUID (Universally Unique Identifier)であり、例えばGoogle社で開発されている基本ソフトウェアAndroid(登録商標)では、Android IDである。
【0046】
ステップS3では、ステップS1で入力部16から受け取った会員認証情報と、ステップS2で取得した端末識別コードとを、端末識別コード送信手段312が、管理装置200の端末認証手段41に送信する。
【0047】
ステップS4では、端末認証手段41が、携帯情報端末100から受け取った会員認証情報と端末識別コードとのセットの有無を、会員情報データベース40Aに照会する。ステップS5において、端末識別コードが最新のセットか否かを判断し、端末識別コードが最新のセットの場合には、ステップS6において、ログイン許可手段313が会員のログインを許可し、例えば
図5−1(b)のトップ画面SS2を表示して、携帯情報端末100にて会員サービスの提供を開始する。ステップS5において、端末識別コードが最新のセットではないと判断された場合には、会員のログインを許可せず、ステップS1の処理に戻る。
【0048】
・時間制限付きの会員情報の表示処理およびこれを利用した専門単位の認定処理
学術集会やセミナー等のイベントの開催現場において、会員の参加登録を認証する際に、プラスチック製の会員証を受付の係員に提示することにより、本人確認が行われている。これは例えば、医学分野や歯学分野の一部の学会では、予め指定された学術集会への参加が、その学会が認定する専門医の認定の要件となっているからである。本発明の実施の形態では、会員の会員情報を携帯情報端末100の表示画面に表示することにより、従来のプラスチック製の会員証を代替している。
【0049】
しかしながら、スマートフォン等の携帯情報端末の画面表示は、基本ソフトウェア(OS)のスクリーンショット機能により、表示されている画面の画像データの保存が可能であることから、会員が、会員証画面のスクリーンショットを、会員から第三者へ電子メール等で送信することにより、第三者の別の携帯情報端末の表示画面に、会員の会員証画面を偽装して表示することが考えられる。これにより、会員が第三者に依頼をし、第三者が会員に成りすまして、専門医の認定に指定されている学術集会に参加すること、つまり代返をすることが可能となる。
【0050】
本実施形態では、携帯情報端末100の表示画面に表示されるコード化された会員情報57を時間制限付きのものとすることにより、会員以外の第三者による成りすましを防止している。
【0051】
図9は、本発明の実施の形態に係る携帯情報端末100および管理装置200の間で行う会員情報表示処理および参加登録認証処理の機能を説明するためのブロック図である。
【0052】
図9に示すように、会員証表示手段32は、会員情報取得手段321と、二次元コード生成手段322と、会員情報表示手段323とを備える。会員証表示手段32は、任意の構成として、顔写真表示手段324を備えることができる。参加登録認証手段42は、会員認証情報読取手段421と、会員認証情報判定手段422と、参加情報記録手段423とを備える。参加登録認証手段42は、任意の構成として、専門単位付与手段424を備えることができる。
【0053】
図10は、本発明の実施の形態に係る会員証表示手段32が行うデータ処理の手順を示すフローチャートである。例示的な画面表示例を
図5−2(b)の会員証画面SS4に示す。
【0054】
ステップS11では、会員情報取得手段321が、管理装置200内の会員情報データベース40Aから会員の会員情報を取得する。会員情報は、例えば会員の氏名、会員番号および所属を含んでいる。
【0055】
次に、ステップS12において、取得した会員情報に表示時刻の情報を含め、ステップS13において、二次元コード生成手段322が、表示時刻の情報を含む会員情報を二次元コードに変換する。このコード化された会員情報57には、表示画面に会員情報を表示する時刻の情報が含まれており、この表示時刻の情報は、後述する管理装置200の会員認証情報判定手段において、会員認証情報(例えば、会員番号およびパスワード)が有効か否かの判定に使用される。ステップS12〜S14の処理は実質的に瞬時であるので、表示時刻の情報は、例えばステップS12を処理する時刻の情報とすることができる。二次元コード生成手段322には、例えば公知のQRコード生成プログラムを用いることができる。
【0056】
なお、二次元コード生成手段322は、会員証画面SS4に表示されている更新ボタン59が押下される度に、ステップS12〜S13の処理を実行して、最新の表示時刻の情報を含んだ、コード化された会員情報57を生成する。
【0057】
ステップS14では、会員情報表示手段323が、コード化された会員情報57を、携帯情報端末100の表示部17に表示する。
【0058】
さらに任意の処理として、ステップS15において、会員の顔写真58を、コード化された会員情報57と共に表示部17に表示することができる。会員の顔写真58は、例えば携帯情報端末100の撮像部を用いて予め撮像され、携帯情報端末100の記録部13に予め記録されている。
【0059】
図11は、本発明の実施の形態に係る参加登録認証手段42が行うデータ処理の手順を示すフローチャートである。この参加登録認証手段42の機能は、学術集会やセミナー等のイベントの開催現場において、会員の参加登録を認証することである。すなわち、会員が会員アプリを起動して、携帯情報端末100の表示画面に会員証画面SS4を表示し、表示画面に記載されているコード化された会員情報57を、開催現場に設置された受付装置200Rのコード読取機にかざして会員情報を読み取ることにより、会員の参加登録の認証が実現される。
【0060】
ステップS21では、会員認証情報読取手段421が、開催現場に設置された受付装置200Rのコード読取機から、携帯情報端末100の表示画面に記載されているコード化された会員情報57を読み取る。読み取った会員情報には、会員認証情報(例えば、会員番号およびパスワード)と、表示画面に会員情報を表示した時刻の情報とが含まれている。会員認証情報読取手段421には、例えば公知のQRコードリーダのプログラムを用いることができ、コード化された会員情報57をデコードすることができる。
【0061】
次に、ステップS22において、読み取った会員情報内の会員認証情報が、有効期間内であるか否かを判定する。会員認証情報判定手段422は、読み取った会員情報内に含まれている、表示画面に会員情報を表示した時刻の情報と、ステップS21において、コード読取機からコード化された会員情報57を読み取った時刻とが、所定の有効時間内(例えば、1分間)であるか否かを判定する。
【0062】
所定の有効時間内であると判定された場合には、コード読取機から実際に読み取った会員情報は有効である(第三者のなりすましによるものではないと推定される)ので、ステップS23において、参加情報記録手段423が、読み取った会員情報内に含まれている会員番号の会員について、対象とするイベントに参加した旨の情報を、管理装置200内の会員情報データベース40Aに記録する。
【0063】
さらに任意の処理として、対象とするイベントが専門医の認定に必要なイベントである場合には、ステップS24において、専門単位付与手段424が、読み取った会員情報内に含まれている会員番号の会員について、専門医単位を会員情報データベース40Aに記録する。
【0064】
なお、ステップS23において、所定の有効時間内ではないと判定された場合には、受付装置200Rのコード読取機から実際に読み取った会員情報は有効ではない(第三者のなりすましによるものであると推定される)ので、会員情報データベース40Aは更新されない。
【0065】
このように、携帯情報端末100の表示画面に表示されるコード化された会員情報57を時間制限付きのものとし、管理装置200側にて、その表示画面に表示されているコード化された会員情報57が所定の有効時間内であるか否かを判定することにより、会員以外の第三者による成りすましを防止することができる。
【0066】
会員が第三者に依頼をし、第三者が会員に成りすまして、会員の会員証画面を第三者の別の携帯情報端末の表示画面に偽装して表示するには、会員と第三者との間のメールの送受信や第三者側での携帯情報端末の設定等の作業が必要とされる。この作業を瞬時に行うことは困難である。したがって、コード化された会員情報57の所定の有効時間を比較的短い時間(例えば1分間)に設定しておけば、このような第三者による表示画面の偽装表示を防止することができ、会員以外の第三者による成りすましを防止することができる。よって、専門医の認定に指定されている学術集会に第三者が代理で参加すること、つまり代返を防止することができる。
【0067】
(付記事項)
以上、本発明を特定の実施の形態によって説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0068】
上記実施の形態では、携帯情報端末100の入力部16と表示部17とは一体化されてタッチパネル式の表示装置として実現されているが、入力部16をキーボードまたはマウス等で構成し、表示部17を液晶ディスプレイ等で構成してもよい。
【0069】
上記実施の形態では、二次元コードであるQRコードを用いて会員情報をコード化しているが、QRコード以外の他の二次元コードであってもよい。他の二次元コードの例としては、例えばマトリックス式のDataMatrixや、スタック式のPDF417が挙げられる。または、二次元コードに代えて、バーコード等の一次元コードを用いて会員情報をコード化してもよい。バーコードの規格の例としては、例えばJAN8、CODE39、ITF、NW-7、CODE128などが挙げられる。バーコード以外の他の一次元コードの例としては、例えば郵便事業で使用されているカスタマバーコード(日本国外では“Intelligent Mail barcode”)が挙げられる。カスタマバーコードは、バーの縦方向の長さや突き出し方向が異なるロングバー、セミロングバー(上)、セミロングバー(下)およびタイミングバーの4種類のバーで構成されるバーコードである。
【0070】
上記実施の形態では、学会が主催するイベントを学術集会やセミナーとしているが、イベントはこれらに限定されず、イベントは、例えば、研修、講義、および専門医の試験であってもよい。
【0071】
上記実施の形態では、コード化された会員情報57の有効時間を1分間としているが、有効時間は1分間に限られず、会員が第三者に依頼をし、第三者が会員に成りすまして、会員の会員証画面を第三者の別の携帯情報端末の表示画面に偽装して表示するのに必要な手順を防止できる程度の時間であればよい。偽装に必要とされる、会員と第三者との間のメールの送受信や第三者側での携帯情報端末の設定等の手順は、通常、人の手を介して行われることから、瞬時に行うことは困難であり、コード化された会員情報57の有効時間は、例えば1分程度の比較的短い時間であれば十分であると推定される。あるいは、スクリプト言語による偽装手順の処理の自動化を想定して、例えば10秒から5秒程度のより短い時間を有効時間として設定してもよい。
【0072】
上記実施の形態では、携帯情報端末100毎の固有の識別コードとして、UIIDやUUID、Android IDを用いているが、識別コードはこれらに限定されず、携帯情報端末毎に固有の識別コードであれば、種々の識別コードを用いることができる。
【0073】
上記実施の形態では、会員認証手段31は会員番号とパスワードとを用いて会員のログイン処理を行っているが、パスワードに代えて、会員の生体情報(例えば、指紋の情報)を用いて会員のログイン処理を行ってもよい。
【0074】
上記実施の形態では、会員の顔写真58は携帯情報端末100の記録部13に予め記録されているが、携帯情報端末100の撮像部を用いて、会員の顔写真をその場で撮像して、コード化された会員情報57と共に表示部17に表示してもよい。
【0075】
上記実施の形態では、演算装置10は一体の装置として実現されているが、演算装置10は一体の装置である必要はなく、CPU11、メモリ12、記録部13等が別所に配置され、これらがネットワークで接続されていてもよい。演算装置10と、入力部16と、表示部17と、撮像部とについても、一ヶ所に配置される必要は必ずしもなく、それぞれ別所に配置されて互いにネットワークで通信可能に接続されていてもよい。演算装置20についても演算装置10と同様である。
【0076】
上記実施の形態では、演算装置10の会員サービス提供手段30の各機能ブロックは単一のCPU11で実行されているが、これら各機能ブロックは単一のCPU11で実行される必要は必ずしもなく、複数のCPUで分散して処理されてもよい。演算装置20についても演算装置10と同様に、演算装置20の会員情報記録手段40、端末認証手段41および参加登録認証手段42は、単一のCPU21で実行されているが、これら各機能ブロックは単一のCPU21で実行される必要は必ずしもなく、複数のCPUで分散して処理されてもよい。
【0077】
上記実施の形態では、ステップS1〜S24の処理を行うためのプログラムを記録部13,23に予め記録しているが、プログラムは、CD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能であって一時的でない有形の記録媒体(図示せず)から演算装置10,20にインストールしてもよいし、演算装置10,20をインターネット99と接続し、インターネット99を介して例えば外部のサーバ(図示せず)からプログラムをダウンロードしてインストールしてもよい。
【0078】
上記実施の形態では、会員情報データベース40A、お知らせ情報データベース40B、およびイベント情報データベース40Cは、演算装置20の記録部23に予め記録されているが、これらお知らせ情報データベース40B、およびイベント情報データベース40Cは、例えば演算装置20の外部のサーバ(図示せず)に記録されて、インターネット99を介して演算装置20に取り込まれてもよい。
【0079】
上記実施の形態では、管理装置200は学会の事務局が管理しているが、管理装置200の管理者は限定されず、例えば事務局から管理を委託された第三者が管理装置200を管理してもよい。
【0080】
上記実施の形態では、携帯情報端末100と管理装置200とはインターネット99を介して接続されているが、両者の接続態様はこれに限定されない。携帯情報端末100と管理装置200とは、例えばイーサネット(登録商標)のクロスケーブルを用いて直接的にローカル接続されてもよく、あるいは、Wi−Fi通信や赤外線通信、近距離無線通信(Near field radio communication)等の種々の無線通信方式で接続されていてもよい。サーバ装置200Sと受付装置200Rとの接続も同様に、インターネットを介した接続や、直接的なローカル接続が可能であり、上記したWi−Fi通信や赤外線通信、近距離無線通信(NFC)等の種々の無線通信方式で接続することも可能である。
【0081】
上記実施の形態では、イベント参加登録受付手段37が表示する申込画面SS81において、懇親会の参加の有無が入力されているが、懇親会の参加の問い合わせは任意の機能である。また、懇親会に代えて、付随する他のセミナーやワークショップ、ツアー等への参加の有無を問い合わせてもよい。
【0082】
上記実施の形態では、会員がログインを行う際に想定される一連の3つのケースを一例として、会員以外の第三者による成りすましによるログインを防止できることを説明しているが、ログインを防止することができるのは、上記したケースに限定されない。例えば、第2のケースにおいて、会員が知り合いの第三者に依頼をして、第三者が自身の端末Bで、会員に成りすまして会員サービスにログインし、その後第3のケースにおいて、会員が自身の端末Aで、会員サービスにログインすることを防止することができる。この際の認証処理の手順は、上記実施の形態での手順と同じである。このように、会員は、一度でも知り合いの第三者に別の端末Bでの会員サービスでのログインを許可する(これは「代返」に相当する)と、会員は、会員自身の端末Aでは、会員サービスにログインすることができなくなる。よって、代返を依頼した会員自身のログインが防止され、継続的な代返といった不正を防止することができる。なお、このようなケースにおいて会員が会員サービスにログインするためには、会員は、第三者の別の端末Bを第三者から譲り受けて使用する必要があり、非常に面倒であることから、代返防止の抑止力となる。
【解決手段】表示画面17を備える携帯情報端末100であって、学会の会員の会員情報を表示画面17に表示する表示手段を備える。表示手段は会員の顔写真を表示画面17に表示することができ、会員情報は会員の名前および会員IDを含むことができる。