(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192767
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】デュアルバンドアンテナ及びアンテナシステム
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/30 20060101AFI20170828BHJP
H01Q 5/28 20150101ALI20170828BHJP
H01Q 5/357 20150101ALI20170828BHJP
【FI】
H01Q21/30
H01Q5/28
H01Q5/357
【請求項の数】14
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-88674(P2016-88674)
(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公開番号】特開2016-213831(P2016-213831A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年4月27日
(31)【優先権主張番号】62/154,743
(32)【優先日】2015年4月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】201510979677.9
(32)【優先日】2015年12月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508024599
【氏名又は名称】▲啓▼碁科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】陶 宇
(72)【発明者】
【氏名】游 上賢
【審査官】
橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0057400(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第10303540(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0217910(US,A1)
【文献】
特表2008−503941(JP,A)
【文献】
特開2005−079969(JP,A)
【文献】
特開2005−101744(JP,A)
【文献】
特開2001−144524(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0262025(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュアルバンドアンテナであって、
第1の面と平行であるとともに、第1の周波数帯で動作する第1の放射素子であって、該第1の放射素子は、第1の端部を有する第1の放射部及び第2の端部を有する第2の放射部を含み、該第1の放射部及び該第2の放射部はそれぞれ実質的にひし形状であるとともに、中央部を通じて連結されて対称構造を形成する、第1の放射素子と、
第2の面と平行であるとともに、第2の周波数帯で動作し、前記第1の端部、前記第2の端部及び前記中央部の第1の側に隣接する第2の放射素子と、
を含み、
前記第1の面は前記第2の面に垂直であり、
前記第1の端部及び前記第2の端部は前記中央部に隣接するとともに前記第2の面に対して傾斜している、デュアルバンドアンテナ。
【請求項2】
前記第1の面と平行な接地素子と、
前記接地素子と前記中央部の第2の側との間に連結された短絡素子と、
をさらに含む、請求項1に記載のデュアルバンドアンテナ。
【請求項3】
前記短絡素子は前記第2の面と平行である、請求項2に記載のデュアルバンドアンテナ。
【請求項4】
前記第1の面と平行な整合素子と、
前記整合素子と前記中央部の第1の側との間に連結された連結素子と、
をさらに含む、請求項1に記載のデュアルバンドアンテナ。
【請求項5】
前記連結素子は前記第2の面と平行である、請求項4に記載のデュアルバンドアンテナ。
【請求項6】
前記第2の放射素子は実質的にT字状である、請求項1に記載のデュアルバンドアンテナ。
【請求項7】
前記第1の放射素子は実質的に二重のひし形状である、請求項1に記載のデュアルバンドアンテナ。
【請求項8】
アンテナシステムであって、当該アンテナシステムは、
少なくとも1つのデュアルバンドアンテナであって、
第1の面と平行であるとともに、第1の周波数帯で動作する第1の放射素子であって、該第1の放射素子は、第1の端部を有する第1の放射部及び第2の端部を有する第2の放射部を含み、該第1の放射部及び該第2の放射部はそれぞれ実質的に菱形状であるとともに、中央部を通じて連結されて対称構造を形成する、第1の放射素子、及び
第2の面と平行であるとともに、第2の周波数帯で動作し、前記第1の端部、前記第2の端部及び前記中央部の第1の側に隣接する第2の放射素子を含み、
前記第1の面は前記第2の面に垂直であり、前記第1の端部及び前記第2の端部は前記中央部に隣接するとともに前記第2の面に対して傾斜している、少なくとも1つのデュアルバンドアンテナと、
前記少なくとも1つのデュアルバンドアンテナに連結された無線周波数(RF)処理モジュールと、
を含むアンテナシステム。
【請求項9】
前記第1の面と平行な接地素子と、
前記接地素子と前記中央部の第2の側との間に連結された短絡素子と、
をさらに含む、請求項8に記載のアンテナシステム。
【請求項10】
前記短絡素子は前記第2の面と平行である、請求項9に記載のアンテナシステム。
【請求項11】
前記第1の面と平行な整合素子と、
前記整合素子と前記中央部の第1の側との間に連結された連結素子と、
をさらに含む、請求項9に記載のアンテナシステム。
【請求項12】
前記連結素子は前記第2の面と平行である、請求項11に記載のアンテナシステム。
【請求項13】
前記第2の放射素子は実質的にT字状である、請求項8に記載のアンテナシステム。
【請求項14】
前記第1の放射素子は実質的に二重のひし形状である、請求項8に記載のアンテナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアルバンドアンテナ及びアンテナシステムに関し、より具体的には、干渉を低減可能なデュアルバンドアンテナ及びアンテナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術が発展するにつれて、無線ネットワークに対する需要が高まっている。次世代では、伝送速度を高めるためにMU−MIMO(multi-user multiple input multiple output)技術を活用するIEEE802.11ac規格が、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)における通信機器のために業界により幅広く採用されている。
【0003】
802.11ac規格に基づく無線装置の動作周波数は主に5GHzである。しかしながら、高周波数動作によって高散乱効果がもたらされ、それによって無線装置の伝送距離が短くなってしまう。高いデータレート及び長い伝送距離の両方を得るために、無線ルーター、無線ベースステーション、無線アクセスポイント等のWLANにおける無線装置は、2.4GHz及び5GHzの両方で動作し得る。別の視点として、無線装置は通常複数のアンテナを備える。それらのアンテナのうちの一部は2.4GHz及び5GHzの両方で動作し得る一方、それらのアンテナのうちの他の一部は5GHzで動作し得る。アンテナの配置空間が限られていることから、2.4GHz及び5GHzの両方で動作するアンテナは、5GHzで動作するアンテナによる干渉を受け易い。そのため、先行技術を改善する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、先行技術の欠点を改善するために、干渉を低減可能なデュアルバンドアンテナ及びアンテナシステムを提供することを主な目的とする。
【0005】
本発明の一実施形態は、デュアルバンドアンテナを開示する。当該デュアルバンドアンテナは、第1の面と平行であるとともに、第1の周波数帯で動作する第1の放射素子であって、該第1の放射素子は第1の端部及び第2の端部を含み、該第1の端部と該第2の端部とは中央部を通じて連結されている、第1の放射素子と、第2の面と平行であるとともに、第2の周波数帯で動作し、前記第1の端部、前記第2の端部及び前記中央部の第1の側に隣接する第2の放射素子とを含み、前記第1の面は前記第2の面に垂直である。
【0006】
本発明の一実施形態は、アンテナシステムをさらに開示する。当該アンテナシステムは、少なくとも1つのデュアルバンドアンテナであって、第1の面と平行であるとともに、第1の周波数帯で動作する第1の放射素子であって、該第1の放射素子は第1の端部及び第2の端部を含み、該第1の端部と該第2の端部とは中央部を通じて連結されている、第1の放射素子、及び第2の面と平行であるとともに、第2の周波数帯で動作し、前記第1の端部、前記第2の端部及び前記中央部の第1の側に隣接する第2の放射素子を含み、前記第1の面は前記第2の面に垂直である、少なくとも1つのデュアルバンドアンテナと、前記少なくとも1つのデュアルバンドアンテナに連結された無線周波数(RF)処理モジュールとを含む。
【0007】
様々な図面に図示する下記の好ましい実施形態の詳細な説明を読み終えた後、本発明の上記の目的及び他の目的が当業者に間違いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一実施形態に係るデュアルバンドアンテナの概略等角図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るアンテナシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1A〜
図1Cは、本発明の一実施形態に係るデュアルバンドアンテナ10の概略等角図、概略上面図及び概略側面図をそれぞれ示す。説明を目的として、
図1A〜
図1Cには、X軸、Y軸及びZ軸で標示した座標システムが含まれている。
図1A〜
図1Cに示すように、デュアルバンドアンテナ10は、第1の放射素子100、第2の放射素子102、接地素子(grounding element)106、整合素子(matching element)108、短絡素子(shorting element)110及び連結素子(connecting element)112を含む。XY面(請求項に記載の第1の面に対応)と平行な第1の放射素子100は第1の周波数帯で動作する。第1の放射素子100は対称構造を有する。具体的には、第1の放射素子100は、二重のひし形(double-diamond)状であり得る。即ち、第1の放射素子100はひし形状の放射部を2つ含み、2つのひし形状の放射部はそれらの頂点を通じて互いに連結されている。第1の放射素子100は、端部sd_1、sd_2及び中央部ctを有する。端部sd_1、sd_2は、第1の放射素子100の中央部ctを通じて連結されている。第2の放射素子102はT字状であり得る。YZ面(請求項に記載の第2の面に対応)に平行な第2の放射素子102は第2の周波数帯で動作する。デュアルバンドアンテナ10は、第2の放射素子102の底部にある給電点(fed-in point)104を通じて給電され得る。第2の放射素子102は、端部sd_1、sd_2の間でそれらに隣接して配置されている。さらに、第2の放射素子102は、中央部ctの第1の側s1にも隣接している。接地素子106及び整合素子108の双方はXY面に平行である。接地素子106及び整合素子108の間には間隙GPが存在する。短絡素子110及び連結素子112の双方はYZ面に平行である。短絡素子110は、第1の放射素子100の中央部ctの第2の側s2と接地素子106とを連結するように構成されている。連結素子112は、第1の放射素子100の中央部ctの第1の側s1と整合素子108とを連結するように構成されている。第2の放射素子102は整合素子108に連結されている。
【0010】
とりわけ、デュアルバンドアンテナ10は、YZ面に平行な偏波方向を主に生成し得る。具体的には、第1の放射素子100の対称構造により、XY面に平行な第1の放射素子100により放射される電磁エネルギーは抑制され、偏波方向がYZ面に平行な第2の放射素子102により放射される電磁エネルギーに殆ど影響を与えない。一実施形態では、デュアルバンドアンテナ10は、垂直偏波アンテナであり得る。第1の放射素子100は水平偏波方向に電磁エネルギーを放射するが、第1の放射素子100によって放射される電磁エネルギーの水平成分は、第1の放射素子100の対称構造によって抑制され得る。そのため、デュアルバンドアンテナ10によって放射される電磁エネルギーの垂直成分は、電磁エネルギーの水平成分よりも大きくなり得る。
【0011】
それに加えて、デュアルバンドアンテナ10はアンテナシステムに適用され得る。例えば、
図2は本発明の一実施形態に係るアンテナシステム20の概略図である。アンテナシステム20は、例えばWLANシステムに基づく無線装置内に配置され得る。アンテナシステム20は無線周波数(RF)処理モジュール200及びデュアルバンドアンテナ10を含む。RF処理モジュール200はデュアルバンドアンテナ10に連結されるとともに、デュアルバンドアンテナ10によって送受信されるRF信号を処理するように構成されている。
【0012】
とりわけ、前で説明した実施形態は、本発明の概念を説明するために利用されている。当業者であれば変更及び修正を加え得るため、前で説明した実施形態に限定されない。例えば、デュアルバンドアンテナ10の給電点104の位置は第2の放射素子102の底部に限定されない。給電点104は、限定されないが整合素子108にあってもよい。それに加えて、第1の放射素子の形状は2重のひし形に限定されない。第1の放射素子が対称構造を有するとともに、中央部に連結された2つの端部を有し、第2の放射素子が第1の放射素子の2つの端部及び中央部に隣接してさえいれば本発明の要件は満たされる。それに加えて、第1の放射素子のサイズを大きくしてもよいし小さくしてもよい。それに加えて、第2の放射素子の形状はT字状に限定されず、円形、三角形、台形等の他の種類の形状であってもよい。第1の放射素子が第2の放射素子に対して垂直であれさえすれば、本発明の要件は満たされる。それに加えて、本発明のアンテナシステムは1つのデュアルバンドアンテナを含むことに限定されない。アンテナシステムは複数のデュアルバンドアンテナを含んでもよいし、シングルバンドアンテナ又はマルチバンドアンテナを含んでもよく、そのような構成も本発明の範囲に含まれる。
【0013】
要約すると、本発明のデュアルバンドアンテナは、2つの異なる偏波方向でデュアルバンド動作を実現できるように、第1の周波数帯で無線信号を送信するのに対称構造を有する第1の放射素子を用い、第2の周波数帯で無線信号を送信するのに第1の放射素子に垂直な第2の放射素子を用いる。
【0014】
当業者であれば、本発明の教示を維持しながら多くの変更及び改良が装置及び方法に加えられ得ることに容易に気付く。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0015】
10 デュアルバンドアンテナ
20 アンテナシステム
100 第1の放射素子
102 第2の放射素子
104 給電点
106 接地素子
108 整合素子
110 短絡素子
112 連結素子
200 RF処理モジュール
s1 第1の側
s2 第2の側
sd_1 第1の端部
sd_2 第2の端部
ct 中央部
GP 間隙