(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリマー(A)100重量部の総量に対して、前記エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)の使用量が1重量部〜15重量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〈液晶配向剤〉
本発明は、ポリマー(A)、エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)、および溶媒(C)を含む液晶配向剤を提供する。また、液晶配向剤は、必要に応じて添加剤(D)をさらに含むことができる。
【0020】
以下において、本発明の液晶配向剤の各成分について詳細に説明する。
【0021】
以下において、(メタ)アクリル酸はアクリル酸および/またはメタクリル酸を表し、そして(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートを表すことが言及されるべきである。同様に、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を表す。
【0023】
ポリマー(A)は、混合物を反応させることにより得られる。混合物は、テトラカルボン酸二無水物成分(a1)およびジアミン成分(a2)を含む。
【0024】
具体的には、ポリマー(A)としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸-ポリイミドブロック共重合体、または該ポリマーの組合せが挙げられる。特に、ポリイミド系ブロック共重合体としては、ポリアミック酸ブロック共重合体、ポリイミドブロック共重合体、ポリアミック酸-ポリイミドブロック共重合体、または該ポリマーの組合せが挙げられる。ポリアミック酸ポリマー、ポリイミドポリマー、およびポリアミック酸-ポリイミドブロック共重合体は全て、テトラカルボン酸二無水物成分(a1)およびジアミン成分(a2)の混合物を反応させることにより得ることができる。
【0025】
テトラカルボン酸二無水物成分(a1)
【0026】
テトラカルボン酸二無水物成分(a1)としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物化合物、脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物、芳香族テトラカルボン酸二無水物化合物、式(A1-1)〜式(A1-6)で表されるテトラカルボン酸二無水物化合物の少なくとも1つ、または該化合物の組み合わせが挙げられる。
【0027】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、または該化合物の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
脂環式テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジクロロ-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、シス-3,7-ジシクロヘプチル-1,5-ジエン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、または該化合物の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
芳香族テトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-コハク酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物化合物、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3',3,4,4'-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルエタンテトラカルボン酸二無水物、3,3',-4,4'-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4'-ペルフルオロイソプロピリデンジフェニルジカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキシドテトラカルボン酸二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルスルホン酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルスルホン酸)二無水物、ビス(トリフェニル酸)-4,4'-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニル酸)-4,4'-ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール-ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール-ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4-ブタンジオール-ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6-ヘキサンジオール-ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8-オクタン-ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-メチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-エチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-7-メチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-7-エチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-8-メチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-8-エチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5,8-ジメチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラール)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、または該化合物の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
式(A1-1)〜式(A1-6)で表されるテトラカルボン酸二無水物化合物は、以下に示される通りである。
【化3】
式(A1-1)
【化4】
式(A1-2)
【化5】
式(A1-3)
【化6】
式(A1-4)
【化7】
式(A1-5)
一般式(A1-5)において、A
1は芳香族環を含む二価の基を表し;rは1〜2の整数を表し;そしてA
2およびA
3は同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表すことができる。一般式(A1-5)で表されるテトラカルボン酸二無水物化合物の具体例としては、式(A1-5-1)〜式(A1-5-3)で表される化合物の少なくとも1つが挙げられる。
【化8】
式(A1-5-1)
【化9】
式(A1-5-2)
【化10】
式(A1-5-3)
【化11】
式(A1-6)
一般式(A1-6)において、A
4は芳香族環を含む二価の基を表し;A
5およびA
6は同一または異なっていてもよく、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。一般式(A1-6)で表されるテトラカルボン酸二無水物化合物は、好ましくは式(A1-6-1)で表される化合物である。
【化12】
式(A1-6-1)
【0031】
テトラカルボン酸二無水物成分(a)は、単独でまたは複数の組み合わせで使用することができる。
【0033】
ジアミン成分(a2)としては、脂肪族ジアミン化合物、脂環式ジアミン化合物、芳香族ジアミン化合物、式(A2-1)〜(A2-30)を有するジアミン化合物、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0034】
脂肪族ジアミン化合物の具体例としては、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1 10-ジアミノデカン、4,4'-ジアミノヘプタン、1,3-ジアミノ-2,2-ジメチルプロパン、1,6-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、1,7-ジアミノ-2,5-ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-4,4-ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-3-メチルヘプタン、1,9-ジアミノ-5-メチルノナン、2,11-ジアミノドデカン、1,12-ジアミノオクタデカン、1,2-ビス(3-アミノプロポキシ)エタン、または該化合物の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
脂環式ジアミン化合物の具体例としては、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジシクロヘキシルアミン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエンジアミン、トリシクロ[6.2.1.0
2,7] -ウンデセンジメチルジアミン、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、または該化合物の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
芳香族ジアミン化合物の具体例としては、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルエタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノベンゾイルアニリン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、1,5-ジアミノナフタレン、5-アミノ-1-(4'-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインデン、6-アミノ-1-(4'-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインデン、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダニレンジメチレンジアミン、3,3'-ジアミノベンゾフェノン、3,4'-ジアミノベンゾフェノン、4,4'-ジアミノベンゾフェノン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、9.9-ビス(4-アミノフェニル)-10-ヒドロアントラセン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,7-ジアミノフルオレン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4'-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、4,4'-(p-フェニレンイソプロピリデン)ビサニリン、4,4'-(m-フェニレンイソプロピリデン)ビサニリン、2,2'-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'-ビス[(4-アミノ-2-トリフルオロメチル)フェノキシ]-オクタフルオロビフェニル、5-[4-(4-N-ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニルメチレン-1,3-ジアミノベンゼン、1,1-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-4-(4-エチルフェニル)シクロヘキサン、または該化合物の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
式(A2-1)〜式(A2-30)を有するジアミン化合物は、以下に示される通りである。
【化13】
式(A2-1)
一般式(A2-1)において、B
1は
を表し;B
2はステロイド骨格を有する基、トリフルオロメチル基、フッ素基、C
2〜C
30アルキル基、または、例えばピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジン、もしくはピペラジンに由来する窒素原子を含む環構造の一価の基を表す。
【0038】
一般式(A2-1)で表される化合物の具体例としては、2,4-ジアミノフェニルギ酸エチル、3,5-ジアミノフェニルギ酸エチル、2,4-ジアミノフェニルギ酸プロピル、3,5-ジアミノフェニルギ酸プロピル、1-ドデコキシ-2,4-ジアミノベンゼン、1-ヘキサデコキシ-2,4-ジアミノベンゼン、1-オクタデコキシ-2,4-ジアミノベンゼン、式(A2-1-1)〜式(A2-1-6)で表される化合物の少なくとも1つ、または該化合物の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
式(A2-1-1)〜式(A2-1-6)で表される化合物は、以下に示される通りである。
【化14】
式(A2-1-1)
【化15】
式(A2-1-2)
【化16】
式(A2-1-3)
【化17】
式(A2-1-4)
【化18】
式(A2-1-5)
【化19】
式(A2-1-6)
【0040】
【化20】
式(A2-2)
式(A2-2)において、B
1は式(A2-1)中のB
1と同じであり、B
3およびB
4はそれぞれ独立して二価の脂肪族環、二価の芳香環、または二価の複素環基を表し;B
5はC
3〜C
18アルキル基、C
3〜C
18アルコキシ基、C
1〜C
5フルオロアルキル基、C
1〜C
5フルオロアルキルオキシ基、シアノ基、またはハロゲン原子を表す。
【0041】
一般式(A2-2)で表される化合物の具体例としては、式(A2-2-1)〜式(A2-2-13)で表される化合物の少なくとも1つが挙げられる。具体的には、式(A2-2-1)〜式(A2-2-13)で表される化合物は、以下の通りである。
【化21】
式(A2-2-1)
【化22】
式(A2-2-2)
【化23】
式(A2-2-3)
【化24】
式(A2-2-4)
【化25】
式(A2-2-5)
【化26】
式(A2-2-6)
【化27】
式(A2-2-7)
【化28】
式(A2-2-8)
【化29】
式(A2-2-9)
【化30】
式(A2-2-10)
【化31】
式(A2-2-11)
【化32】
式(A2-2-12)
【化33】
式(A2-2-13)
式(A2-2-10)〜式(A2-2-13)において、sは3〜12の整数を表す。
【0042】
【化34】
式(A2-3)
一般式(A2-3)において、B
6はそれぞれ独立して水素原子、C
1〜C
5アシル基、C
1〜C
5アルキル基、C
1〜C
5アルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、各繰り返し単位におけるB
6は同一または異なっていてもよく;そしてuは1〜3の整数を表す。
【0043】
一般式(A2-3)で表される化合物の具体例としては、uが1である場合:p-ジアミノベンゼン、m-ジアミノベンゼン、o-ジアミノベンゼン、もしくは2,5-ジアミノトルエンなど;uが2である場合:4,4'-ジアミノビフェニル、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、2,2'-ジクロロ-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノビフェニル、2,2',5,5'-テトラクロロ-4,4'-ジアミノビフェニル、2,2'-ジクロロ-4,4'-ジアミノ-5,5'-ジメトキシビフェニル、もしくは4,4'-ジアミノ-2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニルなど;またはuが3である場合:1,4-ビス(4'-アミノフェニル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0044】
一般式(A2-3)で表される化合物の具体例としては、好ましくはp-ジアミノベンゼン、2,5-ジアミノトルエン、4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、1,4-ビス(4'-アミノフェニル)ベンゼン、または該化合物の組み合わせが挙げられる。
【0045】
【化35】
式(A2-4)
一般式(A2-4)において、vは2〜12の整数を表す。
【0046】
【化36】
式(A2-5)
一般式(A2-5)において、wは1〜5の整数を表す。式(A2-5)で表される化合物は、好ましくは4,4'-ジアミノ-ジフェニルスルフィドである。
【0047】
【化37】
式(A2-6)
一般式(A2-6)において、B
7およびB
9はそれぞれ独立して二価の有機基を表し、そしてB
7およびB
9は同一または異なっていてもよく;B
8は、例えばピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジン、またはピペラジンに由来する窒素原子を含む環構造の二価の基を表す。
【0048】
【化38】
式(A2-7)
一般式(A2-7)において、B
10、B
11、B
12、およびB
13はそれぞれ独立してC
1〜C
12炭化水素基を表し、そしてB
10、B
11、B
12、およびB
13は同一または異なっていてもよく;X1はそれぞれ独立して1〜3の整数を表し;そしてX2は1〜20の整数を表す。
【0049】
【化39】
式(A2-8)
一般式(A2-8)において、B
14は酸素原子またはシクロヘキシレン基を表し;B
15はメチレン基(-CH
2)を表し;B
16はフェニレン基またはシクロヘキシレン基を表し;そしてB
17は水素原子またはヘプチル基を表す。
【0050】
式(A2-8)で表される化合物の具体例としては、式(A2-8-1)で表される化合物、式(A2-8-2)で表される化合物、または該化合物の組み合わせが挙げられる。
【化40】
式(A2-8-1)
【化41】
式(A2-8-2)
【0051】
式(A2-9)〜式(A2-30)で表される化合物は、以下に示される通りである。
【化42】
式(A2-9)
【化43】
式(A2-10)
【化44】
式(A2-11)
【化45】
式(A2-12)
【化46】
式(A2-13)
【化47】
式(A2-14)
【化48】
式(A2-15)
【化49】
式(A2-16)
【化50】
式(A2-17)
【化51】
式(A2-18)
【化52】
式(A2-19)
【化53】
式(A2-20)
【化54】
式(A2-21)
【化55】
式(A2-22)
【化56】
式(A2-23)
【化57】
式(A2-24)
【化58】
式(A2-25)
【化59】
式(A2-26)
【化60】
式(A2-27)
【化61】
式(A2-28)
【化62】
式(A2-29)
【化63】
式(A2-30)
式(A2-17)〜式(A2-25)において、B
18は好ましくはC
1〜C
10アルキル基またはC
1〜C
10アルコキシ基を表し;B
19は好ましくは水素原子、C
1〜C
10アルキル基、またはC
1〜C
10アルコキシ基を表す。
【0052】
ジアミン成分(a2)は、単独でまたは複数の組み合わせで使用することができる。
【0053】
ジアミン成分(a2)の具体例としては、好ましくは1,2-ジアミノエタン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、5-[4-(4-n-ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキシル]フェニルメチレン-1,3-ジアミノベンゼン、1,1-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-4-(4-エチルフェニル)シクロヘキサン、2,4-ジアミノフェニルギ酸エチル、1-オクタデコキシ-2,4-ジアミノベンゼン、式(A2-1-1)で表される化合物、式(A2-1-2)で表される化合物、式(A2-1-4)で表される化合物、式(A2-1-5)で表される化合物、式(A2-2-1)で表される化合物、式(A2-2-11)で表される化合物、p-ジアミノベンゼン、m-ジアミノベンゼン、o-ジアミノベンゼン、式(A2-8-1)で表される化合物、式(A2-26)〜式(A2-30)で表される化合物、または該化合物の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
液晶配向剤中のポリマー(A)が、式(A2-1)、式(A2-2)、および式(A2-26)〜式(A2-30)で表されるジアミン化合物(a2)の少なくとも1つを含む場合、液晶表示素子の耐環境性をさらに向上させることができる。
【0056】
ポリマー(A)は、ポリアミック酸およびポリイミドの少なくとも1つを含むことができる。また、ポリマー(A)は、ポリイミド系ブロック共重合体をさらに含むことができる。種々の上記ポリマーのそれぞれの調製方法を、以下にさらに記載する。
【0058】
ポリアミック酸の調製方法は、最初に混合物を溶媒に溶解させることを含み、ここで混合物はテトラカルボン酸二無水物成分(a1)およびジアミン成分(a2)を含む。重縮合反応をその後0℃〜100℃の温度で実施する。1時間〜24時間反応させた後、反応溶液をエバポレーターで減圧蒸留し、ポリアミック酸を得る。あるいは、反応溶液を大量の貧溶媒に注ぎ、沈殿物を得る。その後、沈殿物を減圧乾燥方法で乾燥させ、ポリアミック酸を得る。
【0059】
ジアミン成分(a2)100モルの総モル数に対して、テトラカルボン酸二無水物成分(a1)の使用量は20モル〜200モルであり;好ましくは、テトラカルボン酸二無水物成分(a1)の使用量は30モル〜120モルである。
【0060】
重縮合反応に用いる溶媒は、下記の液晶配向剤中の溶媒と同一または異なっていてもよく、そして重縮合反応に用いる溶媒は、溶媒が反応物および生成物を溶解することができるならば、特に限定されるものではない。溶媒には、好ましくは(1)N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、もしくはヘキサメチルホスホルアミドなどの非プロトン性極性溶媒;または(2)m-クレゾール、キシレノール、フェノール、もしくはハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。混合物100重量部の総使用量に対して、重縮合反応に用いる溶媒の使用量は、好ましくは200重量部〜2000重量部であり、より好ましくは300重量部〜1800重量部である。
【0061】
特に、重縮合反応において、溶媒は、適当量の貧溶媒と組み合わせることができる。ここで貧溶媒は、ポリアミック酸の沈殿を引き起こさない。貧溶媒は、単独でまたは複数の組み合わせで使用することができ、そして(1)メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、もしくはトリグリコールなどのアルコール;(2)アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、もしくはシクロヘキサノンなどのケトン;(3)酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、もしくは酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエステル;(4)ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコール-n-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、もしくはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル;(5)ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、もしくはo-ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;もしくは(6)テトラヒドロフラン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、もしくはキシレンなどの炭化水素、または該溶媒の任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ジアミン成分(a2)100重量部の使用量に対して、貧溶媒の使用量は、好ましくは0重量部〜60重量部であり、より好ましくは0重量部〜50重量部である。
【0063】
ポリイミドの調製方法は、脱水剤および触媒の存在下でのポリアミック酸の上記調製方法で得られたポリアミック酸を加熱することを含む。加熱工程の間に、ポリアミック酸中のアミド酸官能基を、脱水環化反応(すなわち、イミド化)によりイミド官能基に変換することができる。
【0064】
脱水環化反応に用いる溶媒は、液晶配向剤中の溶媒(C)と同じであってもよく、したがって、ここでは繰り返し述べない。ポリアミック酸100重量部の使用量に対して、脱水環化反応に用いられる溶媒の使用量は、好ましくは200重量部〜2000重量部であり、より好ましくは300重量部〜1800重量部である。
【0065】
ポリアミック酸の好適なイミド化率を得るために、脱水環化反応の操作温度は、好ましくは40℃〜200℃であり、より好ましくは40℃〜150℃である。脱水環化反応の操作温度が40℃未満である場合、イミド化反応は不完全となり、それによりポリアミック酸のイミド化率は低下する。しかし、脱水環化反応の操作温度が200℃よりも高い場合、得られたポリイミドの重量平均分子量はより低くなる。
【0066】
脱水環化反応に用いられる脱水剤を酸無水物化合物から選択することができ、その具体例としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、または無水トリフルオロ酢酸が挙げられる。ポリアミック酸1モルに対して、脱水剤の使用量は0.01モル〜20モルである。脱水環化反応に用いられる触媒を、(1)ピリジン、トリメチルピリジン、もしくはジメチルピリジンなどのピリジン化合物;または(2)トリエチルアミンなどの第3級アミン化合物から選択することができる。脱水剤1モルの使用量に対して、触媒の使用量を0.5モル〜10モルとすることができる。
【0067】
ポリマー(A)のイミド化率を30%〜90%、好ましくは35%〜85%、より好ましくは40%〜80%とすることができる。液晶配向剤中のポリマー(A)のイミド化率が上記範囲内である場合、形成した液晶配向膜の耐環境性をさらに向上させることができる。
【0068】
ポリイミド系ブロック共重合体の調製方法
【0069】
ポリイミド系ブロック共重合体は、ポリアミック酸ブロック共重合体、ポリイミドブロック共重合体、ポリアミック酸-ポリイミドブロック共重合体、または該ポリマーの任意の組み合わせから選択される。
【0070】
ポリイミド系ブロック共重合体の調製方法は、好ましくは、最初に開始剤を溶媒に溶解させること、およびその後重縮合反応を実施することを含み、ここで開始剤は、少なくとも1種類のポリアミック酸および/または少なくとも1種類のポリイミドを含み、そしてさらにカルボン酸無水物成分およびジアミン成分を含むことができる。
【0071】
開始剤中のカルボン酸無水物成分およびジアミン成分は、ポリアミック酸の調製方法で使用するテトラカルボン酸二無水物成分(a1)およびジアミン成分(a2)と同じであってもよい。また、重縮合反応に用いる溶媒は、以下の液晶配向剤中の溶媒(C)と同じであってもよく、ここでは繰り返し述べない。
【0072】
開始剤100重量部の使用量に対して、重縮合反応に用いる溶媒の使用量は、好ましくは200重量部〜2000重量部であり、より好ましくは300重量部〜1800重量部である。重縮合反応の操作温度は、好ましくは0℃〜200℃であり、より好ましくは0℃〜100℃である。
【0073】
開始剤としては、好ましくは、(1)末端基が異なり、かつ構造が異なる2つのポリアミック酸;(2)末端基が異なり、かつ構造が異なる2つのポリイミド;(3)末端基が異なり、かつ構造が異なるポリアミック酸およびポリイミド;(4)ポリアミック酸、カルボン酸無水物成分およびジアミン成分、ここでカルボン酸無水物成分およびジアミン成分の少なくとも一方の構造は、ポリアミック酸を形成するために使用されるカルボン酸無水物成分およびジアミン成分の構造と異なる;(5)ポリイミド、カルボン酸無水物成分およびジアミン成分、ここでカルボン酸無水物成分およびジアミン成分の少なくとも一方の構造は、ポリイミドを形成するために使用されるカルボン酸無水物成分およびジアミン成分の構造と異なる;(6)ポリアミック酸、ポリイミド、カルボン酸無水物成分およびジアミン成分、ここでカルボン酸無水物成分およびジアミン成分の少なくとも一方の構造は、ポリアミック酸またはポリイミドを形成するために使用されるカルボン酸無水物成分およびジアミン成分の構造と異なる;(7)異なる構造を有する2つのポリアミック酸、カルボン酸無水物成分およびジアミン成分;(8)異なる構造を有する2つのポリイミド、カルボン酸無水物成分およびジアミン成分;(9)末端基として無水物基を有し、かつ異なる構造を有する2つのポリアミック酸、およびジアミン成分;(10)末端基としてアミン基を有し、かつ異なる構造を有する2つのポリアミック酸、およびカルボン酸無水物成分;(11)末端基として無水物基を有し、かつ異なる構造を有する2つのポリイミド、およびジアミン成分;または(12)末端基としてアミン基を有し、かつ異なる構造を有する2つのポリイミド、およびカルボン酸無水物成分が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
本発明の有効性に影響を与えることなく、ポリアミック酸、ポリイミド、およびポリイミド系ブロック共重合体は、好ましくは、分子量の調節が最初に実行される末端修飾ポリマーである。末端修飾ポリマーを使用することにより、液晶配向剤の塗膜性能を向上させることができる。末端修飾ポリマーの調製方法は、重縮合反応をポリアミック酸に対して行うと同時に、単官能基化合物を添加することを含むことができる。
【0075】
単官能基化合物の具体例としては、(1)無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n-デシル無水コハク酸、n-ドデシル無水コハク酸、n-テトラデシル無水コハク酸、もしくはn-ヘキサデシル無水コハク酸などの一無水物;(2)アニリン、シクロヘキシルアミン、n-ブチルアミン、n-アミルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、n-ノニルアミン、n-デシルアミン、n-ウンデシルアミン、n-ドデシルアミン、n-トリデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ペンタデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、n-ヘプタデシルアミン、n-オクタデシルアミン、もしくはn-エイコシルアミンなどのモノアミン化合物;または(3)フェニルイソシアネートもしくはナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
本発明のポリマー(A)において、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により得られたポリスチレン換算重量平均分子量は2,000〜200,000であり、好ましくは3,000〜100,000であり、より好ましくは4,000〜50,000である。
【0077】
エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)
【0078】
エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)中のエポキシ基は、一般式(B-1)および一般式(B-2)で表される官能基からなる群の少なくとも1つから選択される。
【0079】
【化64】
一般式(B-1)
一般式(B-1)において、Aは単結合、エーテル基、エステル基、またはウレタン基を表し;X
1はC
1〜C
5アルキレン基を表し;X
2は単結合またはC
1〜C
6アルキレン基を表し;*は結合部位を表す。
【0080】
特に、一般式(B-1)において、好ましくは、Aはエーテル基、エステル基、またはウレタン基を表し;X
1はC
1〜C
3アルキレン基を表し;X
2は単結合またはC
1〜C
4アルキレン基を表す。より好ましくは、Aはエーテル基またはエステル基を表し;X
1はC
1〜C
3アルキレン基を表し;X
2は単結合またはC
1〜C
3アルキレン基を表す。
【0081】
【化65】
一般式(B-2)
一般式(B-2)において、X
3は単結合またはC
1〜C
6アルキレン基を表し;*は結合部位を表す。
【0082】
特に、一般式(B-2)において、好ましくは、X
3は単結合またはC
1〜C
4アルキレン基を表す。より好ましくは、X
3は単結合またはC
1〜C
3アルキレン基を表す。
【0083】
一般式(B-1)または一般式(B-2)で表される官能基の具体例としては、以下の官能基の少なくとも1つが挙げられるが、特定の具体例に限定されるものではない。
【0085】
より具体的には、エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)は、好ましくは一般式(B-3)〜(B-4)で表される構造を有し、
【化67】
一般式(B-3)
一般式(B-3)において、X
4およびX
6はそれぞれ独立して単結合、C
1〜C
6エステル基、炭素原子の一部はケイ素原子で置換されているか、または置換されていないC
1〜C
15エーテル基またはC
1〜C
20ウレタン基を表し;X
5およびX
7はそれぞれ独立して一般式(B-1)または一般式(B-2)で表される官能基の基を表し;X
8はC
1〜C
5炭化水素基、C
1〜C
10エステル基、またはC
1〜C
15ウレタン基を表し;Y1は0〜3の整数を表し;Y2は0〜2の整数を表し、Y3は0〜2の整数を表し、そしてY4は0〜2の整数を表すが、Y2およびY3は同時に0となることはできない。
【化68】
一般式(B-4)
一般式(B-4)において、X
9は単結合、C
1〜C
6エステル基、炭素原子の一部はケイ素原子で置換されているか、または置換されていないC
1〜C
15エーテル基またはC
1〜C
20ウレタン基を表し;X
10は、一般式(B-1)または一般式(B-2)で表される官能基の基を表し;Y5は0〜2の整数を表し;そしてY6は1〜2の整数を表す。
【0086】
一般式(B-3)および(B-4)で表されるエポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)の具体例は、例えば、式(B-3-1)〜(B-3-12)ならびに式(B-4-1)および(B-4-2)で表される化合物であるが、これらの具体例に限定されるものではない。
【化69】
式(B-3-1)
【化70】
式(B-3-2)
【化71】
式(B-3-3)
【化72】
式(B-3-4)
【化73】
式(B-3-5)
【化74】
式(B-3-6)
【化75】
式(B-3-7)
【化76】
式(B-3-8)
【化77】
式(B-3-9)
【化78】
式(B-3-10)
【化79】
式(B-3-11)
【化80】
式(B-3-12)
【化81】
式(B-4-1)
【化82】
式(B-4-2)
【0087】
ポリマー(A)100重量部の総量に対して、エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)の使用量を1重量部〜15重量部、好ましくは2重量部〜12重量部、より好ましくは3重量部〜10重量部とすることができる。
【0088】
液晶配向剤がエポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)を含まない場合、液晶表示素子の耐環境性は乏しい。エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)が少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する場合、液晶表示素子の耐環境性をさらに向上させることができる。
【0089】
エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)の調製方法
【0090】
エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、(i)ヒドロキシル基含有ベンゾトリアゾール誘導体と、エポキシ基含有ハロアルカン化合物とを、窒素雰囲気において、アルカリ(炭酸カリウムなど)の存在下で反応させること;(ii)ヒドロキシル基含有ベンゾトリアゾール誘導体と、エポキシ基含有イソシアネート化合物とを、窒素雰囲気において、触媒(ジブチルスズジラウレートなど)の存在下で反応させること;(iii)ヒドロキシル基含有ベンゾトリアゾール誘導体と、エポキシ基含有カルボン酸化合物とを、窒素雰囲気において、触媒(硫酸など)の存在下で反応させること;または(iv)ビニル基含有ベンゾトリアゾール誘導体と、エポキシ基含有シロキサン化合物とに、カールシュテット(Karstedt)触媒を用いてヒドロシリル化反応を行うことなどの一般的な有機合成法を、本発明のエポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)の調製に使用することができる。
【0091】
ヒドロキシル基含有ベンゾトリアゾール誘導体の具体例としては、例えば、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-( 2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-{2'ヒドロキシ-3'-(3",4",5 ",6" -テトラヒドロフタルイミドメチル)-5'-メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス{4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール}、2-(2'-ヒドロキシ-4'-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-5'-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-5'-(3-ヒドロキシプロピル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1-ヒドロキシエチル)フェノール、2-(2H-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェノール、2-(2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-オール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-オール、2-(2,4,6-トリヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-オール、または2-(2,4,6-トリヒドロキシフェニル)-1,3-ビス-(2H-ベンゾトリアゾール)が挙げられる。
【0093】
本発明の液晶配向剤に用いられる溶媒は、特に限定されるものではなく、ポリマー(A)および任意の他の成分を、それらと反応せずに溶解させることができればよい。溶媒は、好ましくは、ポリアミック酸の合成で使用する溶媒と同じであり、同時に、ポリアミック酸の合成で使用する貧溶媒も一緒に使用することができる。
【0094】
溶媒(C)の具体例としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン、γ-ブチロラクタム、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコール-n-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、酢酸エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、またはN,N-ジメチルアセトアミドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。溶媒(C)は、単独でまたは複数の組み合わせで使用することができる。
【0095】
ポリマー(A)100重量部の使用量に対して、溶媒(C)の使用量は500重量部〜5000重量部であり、好ましくは900重量部〜3500重量部、そしてより好ましくは1000重量部〜3000重量部である。
【0097】
本発明の有効性に影響を与えることなく、添加剤(D)をさらに必要に応じて液晶配向剤に添加することができ、ここで添加剤(D)は、少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物、官能基を有するシラン化合物、またはそれらの組み合わせを含む。
【0098】
少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、2,2-ジブロモ-ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6-テトラグリシジル-2,4-ヘキサンジオール、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3-(N,N-ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、または該化合物の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物は、単独でまたは複数の組み合わせで使用することができる。
【0100】
ポリマー(A)100重量部の使用量に対して、少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物の使用量を、0重量部〜40重量部、好ましくは0.1重量部〜30重量部とすることができる。
【0101】
官能基を有するシラン化合物の具体例としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルジメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-エトキシカルボニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N-トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10-トリメトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、10-トリエトキシシリル-1,4,7-トリアザデカン、9-トリメトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセタート、9-トリエトキシシリル-3,6-ジアザノニルアセタート、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ベンジル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ビス(オキシエチレン)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、または該化合物の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0102】
官能基を有するケイ素化合物は、単独でまたは複数の組み合わせで使用することができる。
【0103】
ポリマー(A)100重量部の使用量に対して、官能基を有するシラン化合物の使用量を、0重量部〜10重量部、好ましくは0.5重量部〜10重量部とすることができる。
【0104】
ポリマー(A)100重量部の総使用量に対して、添加剤(D)の使用量は、好ましくは0.5重量部〜50重量部であり、より好ましくは1部重量〜45重量部である。
【0105】
<液晶配向剤の調製方法>
液晶配向剤の調製方法は、特に限定されるものではなく、一般的な混合方法を調製に使用することができる。例えば、ポリマー(A)およびエポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)を、0℃〜200℃の温度で溶媒(C)に最初に添加し、そして添加剤(D)を任意に添加する。次に、混合物が溶解するまで、撹拌装置を用いることにより混合物を連続的に撹拌する。また、溶媒(C)を、好ましくは20℃〜60℃の温度下で添加する。
【0106】
<液晶配向膜の調製方法>
本発明の液晶配向膜は、上記の液晶配向剤により形成することができる。
【0107】
具体的には、液晶配向膜の調製方法は、例えば;ロールコーティング法、スピンコーティング法、印刷法、またはインクジェット法などの方法で、基板の表面上に液晶配向剤を塗布し、プレコート層を形成することを含むことができる。その後、プリベーク処理、ポストベーク処理、および配向処理をプレコート層に施し、液晶配向膜が形成されている基材を得る。
【0108】
プリベーク処理の目的は、プレコート層中の有機溶媒を揮発させることである。プリベーク処理の操作温度は、好ましくは30℃〜120℃であり、より好ましくは40℃〜110℃であり、さらにより好ましくは50℃〜100℃である。
【0109】
配向処理は、特に限定されるものではなく、ナイロン、レーヨン、または綿などの繊維から作られた布をローラに巻くこと、および一定方向に擦ることにより配向を行うことを含むことができる。
【0110】
ポストベーク処理の目的は、プレコート層中のポリマーに対して脱水環化(イミド化)反応をさらに行うことである。ポストベーク処理の操作温度は、好ましくは150℃〜300℃であり、より好ましくは180℃〜280℃であり、さらにより好ましくは200℃〜250℃である。
【0111】
<液晶表示素子およびその調製方法>
本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤により形成された液晶配向膜を含む。本発明の液晶表示素子を、以下の方法に従って製造することができる。
【0112】
液晶配向膜が形成された2枚の基板を用意し、液晶を2枚の基板の間に配置して液晶セルを作る。液晶セルを作るために、以下の2つの方法が提供され得る。
【0113】
第1の方法は、各液晶配向膜が互いに対向するように、2枚の基板を、その間に間隙(セルギャップ)を設けて互いに対向させて配置することを含む。その後、2枚の基板の周囲をシール剤で貼り合わせる。次に、液晶を、基板の表面およびシール剤により分割されたセルギャップ内に注入し、その後注入口を封止して液晶セルを得る。
【0114】
第2の方法は、ODF(液晶滴下、点滴)と呼ばれている。最初に、例えば紫外線硬化性シール剤を、液晶配向膜が形成されている2枚の基板の一方の所定の部分に塗布する。その後、液晶を液晶配向膜上に滴下し、その後もう一方の基板を、液晶配向膜が互いに対向するように貼り合わせる。次に、シール剤が硬化するように、紫外線を基板全面に照射する。液晶セルは、このように作ることができる。
【0115】
上記方法のいずれかを使用する場合、好ましくは、次に、使用する液晶が等方相となる温度にまで液晶セルを加熱した後、液晶セルをゆっくりと室温にまで冷却し、液晶を充填する際の流れ配向を除去する。
【0116】
次に、液晶セルの外表面に偏光板を積層することにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
【0117】
シール剤としては、例えば、スペーサーとして使用されるアルミナボール及び硬化剤を含有するエポキシ樹脂が挙げられる。
【0118】
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、例えば、酢酸セルロース保護膜で固定することによりポリビニルアルコールが延伸配向されるのと同時にヨウ素が吸着されたときに得られる「H膜」として知られている偏光膜により形成された偏光板、または「H膜」それ自体により形成された偏光板が挙げられる。
【0119】
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶表示素子の側面図である。液晶表示素子100は、第1ユニット110、第2ユニット120、および液晶ユニット130を含み、ここで第2ユニット120および第1ユニット110は離れて配置されており、そして液晶ユニット130は、第1ユニット110と第2ユニット120との間に配置されている。
【0120】
第1ユニット110は、第1基板112、第1導電膜114、および第1液晶配向膜116を含み、ここで第1導電膜114は、第1基板112の表面上に形成されている。また、第1導電膜114は、第1基板112と第1液晶配向膜116との間に位置しており、そして第1液晶配向膜116は、液晶ユニット130の一側面に位置している。
【0121】
第2ユニット120は、第2基板122、第2導電膜124、および第2液晶配向膜126を含み、ここで第2導電膜124は、第2基板122の表面上に形成されている。また、第2導電膜124は、第2基板122と第2液晶配向膜126との間に位置しており、そして第2液晶配向膜126は、液晶ユニット130の別の側面に位置している。言い換えれば、液晶ユニット130は、第1液晶配向膜116と第2液晶配向膜126との間に位置している。
【0122】
第1基板112および第2基板122は、例えば、透明材料から選択され、ここで透明材料としては、例えば、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、硬質ガラス(パイレックスガラス)、石英ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、または液晶表示装置用ポリカーボネートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0123】
第1導電膜114および第2導電膜124のそれぞれの材料は、例えば、酸化スズ(SnO
2)または酸化インジウム-酸化スズ(In
2O
3-SnO
2)から選択される。
【0124】
第1液晶配向膜116および第2液晶配向膜126はそれぞれ上記液晶配向膜であり、そしてその機能は、液晶ユニット130がプレチルト角を形成するようにすることである。また、第1導電膜114および第2導電膜124に電圧を印加した場合、第1導電膜114と第2導電膜124との間に電界を発生させることができる。電界は液晶ユニット130を駆動することができ、これにより、液晶ユニット130の液晶分子の配列に変化を引き起こす。
【0125】
液晶ユニット130に使用する液晶は、単独でまたは混合物として使用することができ、そして液晶としては、例えば、ジアミノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフ塩基系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、テルフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、またはキュバン系液晶が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、コレステリルクロライド、コレステリルノナノエート、もしくはコレステリルカーボネートなどのコレステロール型液晶、C-15もしくはCB-15(メルク(Merck)社製)などのキラル剤、またはケイ皮酸-p-デシルオキシベンジリデン-p-アミノ-2-メチルブチルなどの強誘電体系液晶を、必要に応じてさらに添加することができる。
【0126】
このようにして作られた本発明の液晶表示素子は、優れた表示性能を有し、そして高温高湿環境下であっても、表示性能は悪化しない。
【実施例】
【0127】
ポリマー(A)の合成例
【0128】
以下では、ポリマー(A)の合成例A-1-1〜合成例A-1-4を記載する:
【0129】
合成例A-1-1
【0130】
窒素注入口、撹拌機、冷却管、および温度計を、500mLの容積を有する四ツ口フラスコに備え付け、その後窒素ガスを導入した。その後、四ツ口フラスコ内に、p-ジアミノベンゼン(以下、a2-1)1.08g(0.01モル)、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(以下、a2-2)7.93g(0.04モル)、およびN-メチル-2-ピロリドン(以下、NMP)80gを添加し、成分を室温下で溶解するまで撹拌した。次に、ピロメリット酸二無水物(以下、a1-1)10.9g(0.05モル)およびNMP 20gを添加し、混合物を室温で2時間反応させた。反応が完了した後、反応溶液を水1500ml中に注ぎ、ポリマーを沈殿させた。その後、得られたポリマーをろ過し、繰り返しメタノールで洗浄し、そして3回ろ過した。ポリマーをその後真空オーブンに入れ、60℃の温度で乾燥させることにより、ポリマー(A-1-1)を得た。
【0131】
合成例A-1-2〜合成例A-1-4
【0132】
合成例A-1-2〜合成例A-1-4のポリマー(A-1-2)〜ポリマー(A-1-4)を、合成例A-1-1と同じ手順でそれぞれ調製し、それらの違いは:(表1に示すように)モノマーの種類および使用量を変更したことである。
【0133】
以下では、ポリマー(A)の合成例A-2-1〜合成例A-2-10を記載する:
【0134】
合成例A-2-1
【0135】
窒素注入口、撹拌機、冷却管、および温度計を、500mLの容積を有する四ツ口フラスコに備え付け、その後窒素ガスを導入した。その後、四ツ口フラスコ内に、p-ジアミノベンゼン(以下、a2-1)1.08g(0.01モル)、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(以下、a2-2)7.93g(0.04モル)、およびNMP 80gを添加し、成分を室温下で溶解するまで撹拌した。次に、ピロメリット酸二無水物(以下、a1-1)10.9g(0.05モル)およびNMP 20gを添加した。混合物を室温で6時間反応させた後、NMP 97g、無水酢酸2.55g、およびピリジン19.75gを添加した。その後、温度を60℃にまで昇温させ、混合物を連続的に2時間撹拌し、イミド化反応を行った。反応が完了した後、反応溶液を水1500ml中に注ぎ、ポリマーを沈殿させた。その後、得られたポリマーをろ過し、繰り返しメタノールで洗浄し、そして3回ろ過した。ポリマーをその後真空オーブンに入れ、60℃の温度で乾燥させることにより、ポリマー(A-2-1)を得た。
【0136】
合成例A-2-2〜合成例A-2-10
【0137】
合成例A-2-2〜合成例A-2-10のポリマー(A-2-2)〜ポリマー(A-2-10)を、合成例A-2-1と同じ手順でそれぞれ調製し、それらの違いは:(表1に示すように)モノマーの種類および使用量を変更したことである。
【0138】
表1のラベルに対応する化合物は、以下に示される通りである。
【0139】
【表1】
【0140】
エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)の合成例
【0141】
エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)の合成例B-1〜合成例B-6を、以下に記載する:
【0142】
(合成例B-1:化合物(B-3-4))
窒素注入口、撹拌機、冷却管、および温度計を、500mLの容積を有する三ツ口フラスコに備え付け、その後窒素ガスを導入した。その後、三ツ口フラスコ内に、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチルアルコール51.0g(0.2モル)およびメチルエチルケトン150mlを添加した。そして、注入器を用いてエピクロロヒドリン(以下、ECH)18.5g(0.2モル)を添加した後、炭酸カリウム55.3g(0.4モル)を撹拌しながら添加した。そして、50℃の温度で11時間反応させた後、混合物を室温にまで冷却し、真空ろ過を行い、その後水酸化ナトリウム5%水溶液および硫酸ナトリウム10%水溶液で洗浄を行った。最後に、硫酸マグネシウムを使用して有機層を乾燥させ、そして溶媒を蒸留により除去し、化合物(B-3-4a)を得た。
窒素注入口、撹拌機、冷却管、滴下漏斗、および温度計を、500mLの容積を有する別の三ツ口フラスコに備え付け、その後窒素ガスを導入した。その後、三ツ口フラスコ内に、3-イソプロペニル-α,αジメチルベンジルイソシアネート(以下、m-TMI)30.2g(0.15モル)およびトルエン50mLを添加した。混合物を撹拌して溶解させた後、混合物を70℃にまで加熱し、そしてジラウリン酸ジブチルスズ0.01当量を撹拌状態で添加した。そして、得られた化合物(B-3-4a)46.6g(0.15モル)をトルエン50mLに溶解させた後、混合物を窒素雰囲気中で滴下漏斗に添加し、その後混合物を三ツ口フラスコに30分以内に滴下した。そして、3時間70℃で反応させた後、混合物を室温にまで冷却し、蒸留水で3回洗浄し、その後硫酸マグネシウムを使用して有機層を乾燥させた。その後、溶媒を蒸留により除去し、エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B-3-4)を得た。
【化83】
【0143】
(合成例B-2:化合物(B-3-5))
窒素注入口、撹拌機、滴下漏斗、および温度計を、500mLの容積を有する三ツ口フラスコに備え付け、その後窒素ガスを導入した。その後、三ツ口フラスコ内に、合成例B-1で得られた化合物(B-3-4a)57.54g(0.185モル)、アセトン150mL、およびトリエチルアミン150mlを添加し、混合物を溶解するまで撹拌し、その後0℃にまで冷却した。そして、ジケテン20.16g(0.24モル)をアセトン20mLに溶解させた後、混合物を窒素雰囲気中で滴下漏斗に添加し、その後混合物を三ツ口フラスコに30分以内に滴下した。そして、室温で5時間反応させた後、減圧蒸留を行い、溶媒を除去した。最後に、得られた生成物を水およびヘキサンで順番に洗浄した後、乾燥させてエポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B-3-5)を得た。
【化84】
【0144】
(合成例B-3:化合物(B-3-9))
窒素注入口、撹拌機、冷却管、および温度計を、500mLの容積を有する三ツ口フラスコに備え付け、その後窒素ガスを導入した。その後、三ツ口フラスコ内に、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン6.21g(0.05モル)、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン6.70g(0.05モル)、およびトルエン10mLを添加し、混合物を溶解するまで撹拌した。その後、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド8mgを添加し、混合物を85℃にまで加熱し、6時間反応させた。反応が完了した後、混合物を室温にまで冷却させて真空ろ過を行い、化合物(B-3-9a)を得た。
窒素注入口、撹拌機、冷却管、および温度計を、500mLの容積を有する別の三ツ口フラスコに備え付け、その後窒素ガスを導入した。その後、三ツ口フラスコ内に、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチルアリルエーテル14.75g(0.05モル)およびトルエン10mLを添加し、混合物を溶解するまで撹拌した。その後、上記で得られた化合物(B-3-9a)12.90g(0.05モル)を添加し、60℃にまで加熱した後、カールシュテット触媒1滴を添加した。そして、60℃の温度で3時間反応させた後、混合物を室温にまで冷却し、沈殿させるためにメタノールを混合物に注ぎ、そしてメタノールで3回洗浄およびろ過した後、混合物を真空オーブンに入れた。乾燥を60℃で8時間行った後、エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B-3-9)を得た。
【化85】
【0145】
(合成例B-4:化合物(B-3-11))
窒素注入口、撹拌機、および温度計を、5Lの容積を有する三ツ口フラスコに備え付け、その後窒素ガスを導入した。その後、三ツ口フラスコ内に、4-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-3-ヒドロキシフェネチルアルコール255g(1.0モル)、無水コハク酸200g(2.0モル)、N,N-ジメチルアミノピリジン15g、トリエチルアミン180mL、および酢酸エチル2Lを添加し、90℃で8時間反応させた後、酢酸エチルを減圧蒸留により除去した。その後、トリクロロメタン2Lを添加し、有機層を希塩酸および水で順番に4回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、回転濃縮機(アイラ(EYELA)製;モデル:N-1000)を使用して1時間処理し、その後メタノールを混合物に注ぎ、沈殿させた。最後に、沈殿物をろ過した後、溶媒を蒸留により除去し、化合物(B-3-11a)を得た。
窒素注入口、撹拌機、および温度計を、5Lの容積を有する別の三ツ口フラスコに備え付け、その後窒素ガスを導入した。その後、三ツ口フラスコ内に、上記で得られた化合物(B-3-11a)35.5g(0.1モル)、グリシドール7.4g(0.1モル)、およびテトラヒドロフラン500mLを添加し、混合物を0℃で溶解するまで撹拌した。その後、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド25gおよびN,N-ジメチルアミノピリジン2.4gを添加し、混合物を室温で4時間撹拌した後、トリクロロメタン2Lを添加し、そして混合物を希塩酸および水で順番に4回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして溶媒を蒸留により除去し、エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B-3-11)を得た。
【化86】
【0146】
(合成例B-5:化合物(B-3-8))
窒素注入口、撹拌機、冷却管、および温度計を、500mLの容積を有する三ツ口フラスコに備え付け、その後窒素ガスを導入した。その後、三ツ口フラスコ内に、5-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール45.4g(0.2モル)およびメチルエチルケトン150mlを添加した。そして、注入器を用いてECH18.5g(0.2モル)を添加した後、炭酸カリウム55.3g(0.4モル)を撹拌しながら添加した。そして、50℃の温度で11時間反応させた後、混合物を室温にまで冷却し、真空ろ過を行い、その後水酸化ナトリウム5%水溶液および硫酸ナトリウム10%水溶液で洗浄を行った。最後に、硫酸マグネシウムを使用して有機層を乾燥させ、そして溶媒を蒸留により除去し、化合物(B-3-8)を得た。
【化87】
【0147】
(合成例B-6:化合物(B-4-1))
窒素注入口、撹拌機、冷却管、および温度計を、500mLの容積を有する三ツ口フラスコに備え付け、その後窒素ガスを導入した。その後、三ツ口フラスコ内に、2-(2,4,6-トリヒドロキシフェニル)-1,3-ジ-(2H-ベンゾトリアゾール)72.0g(0.2モル)およびメチルエチルケトン150mlを添加した。そして、注入器を用いてECH18.5g(0.2モル)を添加した後、炭酸カリウム55.3g(0.4モル)を撹拌しながら添加した。そして、50℃の温度で11時間反応させた後、混合物を室温にまで冷却し、真空ろ過を行い、その後水酸化ナトリウム5%水溶液および硫酸ナトリウム10%水溶液で洗浄を行った。最後に、硫酸マグネシウムを使用して有機層を乾燥させ、そして溶媒を蒸留により除去し、化合物(B-4-1)を得た。
【化88】
【0148】
液晶配向剤、液晶配向膜、および液晶表示素子の実施例ならびに比較例
【0149】
液晶配向剤、液晶配向膜、および液晶表示素子の実施例1〜実施例13ならびに比較例1〜比較例6を、以下に記載する:
【0150】
a.液晶配向剤
【0151】
ポリマー(A-1-1)100重量部、エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B-1)3重量部、N-メチル-2-ピロリドン(以下、C-1)800重量部、およびエチレングリコール-n-ブチルエーテル(以下、C-2)800重量部を秤量した。その後、成分を室温で撹拌および混合し、実施例1の液晶配向剤を形成した。
【0152】
b.液晶配向膜および液晶表示素子
【0153】
上記の液晶配向剤を、インジウムスズ酸化物(ITO)により形成された導電膜を有する2枚のガラス基板上にそれぞれ、印刷機(日本写真印刷株式会社製、モデル:S15-036)により塗布し、プレコート層を形成した。その後、ガラス基板を加熱プレート上に置き、100℃の温度および5分の時間でプリベークした。次に、循環式オーブン内で、220℃の温度および30分の時間でポストベークした。最後に、配向処理した後、実施例1の液晶配向膜が形成されたガラス基板を得た。
【0154】
シール剤熱圧接着剤を、液晶配向膜が形成された2枚の得られたガラス基板の一方に塗布し、そして4μmのスペーサーをもう一方に散布した。次に、2枚のガラス基板を貼り合わせ、そして熱圧装置で10kgの圧力を加え、150℃の温度で貼り合わせをした。その後、液晶注入機(島津製作所製、モデル:ALIS-100X-CH)を用いて、液晶の注入を行った。次に、液晶の注入口を紫外線硬化性シール剤で封じ、紫外線ランプを使用して、照射により紫外線硬化性シール剤を硬化させ、そして液晶アニール処理を60℃の温度のオーブン内で30分間実施し、これにより実施例1の液晶表示素子を得た。
【0155】
実施例1の液晶表示素子を以下の評価方法のそれぞれで評価し、その結果を表2に示す。
【0156】
実施例2〜実施例13
【0157】
実施例2〜実施例13の液晶配向剤、液晶配向膜、および液晶表示素子を、実施例1と同じ手順によりそれぞれ調製し、それらの違いは:成分の種類および使用量を、表2に示すように変更したことである。実施例2〜13のそれぞれの液晶表示素子を以下の評価方法で評価し、その結果を表2に示す。
【0158】
比較例1〜比較例6
【0159】
比較例1〜比較例6の液晶配向剤、液晶配向膜、および液晶表示素子を、実施例1と同じ手順によりそれぞれ調製し、それらの違いは:成分の種類および使用量を、表3に示すように変更したことである。比較例1〜比較例6のそれぞれで得られた液晶表示素子を以下の評価方法で評価し、その結果を表3に示す。
【0160】
表2および表3における略号に対応する化合物は、以下に示される通りである。
【0161】
評価方法
【0162】
a.イミド化率
【0163】
イミド化率は、ポリマー中のアミド酸官能基数およびイミド環数の合計に対するイミド環数の割合を意味し、パーセンテージで表される。
【0164】
検出方法は、合成例のポリマーを、それぞれ減圧乾燥を行った後に、適切な重水素化溶媒(例えば、重水素化ジメチルスルホキシド)に溶解させることを含む。そして、
1H核磁気共鳴(
1H-NMR)の結果を、室温下(25℃など)で、テトラメチルシランを基準物質として用いて検出した。イミド化率(%)を、方程式(1)で得た。
【数1】
Δ1:10ppm付近のNH基のプロトンの化学シフトに起因して発生したピーク面積;
Δ2:他のプロトンのピーク面積;
α:NH基の1つのプロトンの、ポリマーの前駆体の他のプロトン(ポリアミック酸)に対する数の比。
【0165】
b.耐環境性
【0166】
実施例および比較例の液晶表示素子を、65℃の温度および85%の相対湿度の環境下にそれぞれ配置し、120時間後、実施例1〜実施例13および比較例1〜比較例6の液晶表示素子のイオン密度を、電気測定機(東洋社製、モデル6254)を用いてそれぞれ測定した。試験条件は、60℃の温度での1.7 Vの電圧および0.01Hzの三角波の印加を含み、そして電流・電圧波形において0V〜1Vの範囲でピーク面積を計算し、イオン密度(pC)を測定した。低イオン密度は、より良好な耐環境性を表す。
【0167】
イオン密度の評価基準は、以下に示される通りである。
◎:イオン密度<20
○:20≦イオン密度<40
△:40≦イオン密度<50
×:50≦イオン密度
【0168】
【表2】
【0169】
【表3】
【0170】
〈評価結果〉
表2および表3から、エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)を用いた液晶配向剤により形成された液晶配向膜(実施例1〜実施例13)と比較して、エポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)を含まない液晶配向剤により形成された液晶配向膜(比較例1〜3および6)の耐環境性は乏しく;そしてエポキシ基を含有しないベンゾトリアゾール化合物(B')を用いた液晶配向剤により形成された液晶配向膜の耐環境性(比較例4および5)もまた乏しいことが分かる。
【0171】
また、液晶配向剤中のポリマー(A)のイミド化率が30%〜90%である場合、形成された液晶配向膜(実施例6〜12)の耐環境性は特に良好である。
【0172】
また、液晶配向剤中のポリマー(A)が、式(A2-1)〜式(A2-2)および式(A2-26)〜式(A2-30)で表されるジアミン化合物(a2)を含有する場合、形成された液晶配向膜(実施例2、5、10、および12)の耐環境性は特に良好である。
【0173】
また、液晶配向剤中のエポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)が少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する場合、形成された液晶配向膜(実施例3、4、7、9、11、および12)の耐環境性は特に良好である。
【0174】
上記に基づき、本発明の液晶配向剤はエポキシ基含有ベンゾトリアゾール化合物(B)を含有するため、液晶配向剤を液晶配向膜に塗布した場合、液晶配向膜はより良好な耐環境性を有し、したがって、液晶配向膜は液晶表示素子に適している。
【0175】
本発明を上記の実施形態を参照して説明したが、説明した実施形態の変更が本発明の精神から逸脱することなくなされ得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の詳細な説明によってではなく、添付の特許請求の範囲により定義される。