(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筐体より延出し当該筐体を据付箇所に固定するための固定片、又は前記筐体を保持するための把手が選択的に脱着可能に取り付けられる取付部を備えた燃料電池システムの筐体構造。
奥行より横幅が長い横長形状の筐体の短手方向の端部あるいは端部近傍及び長手方向の端部あるいは端部近傍に設けられ、該筐体より延出し当該筐体を据付箇所に固定するための固定片が脱着可能に取り付けられる取付部を備えた燃料電池システムの筐体構造。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態に係る燃料電池システムの筐体構造を
図1〜
図7を参照しつつ説明する。
【0023】
すなわち、燃料電池システム10は、
図1に示したように、燃料ガス及び水を用いて発電を行う蓄熱ユニット一体型の燃料電池ユニット12と、燃料電池ユニット12で加熱された上水を目的の温度まで加熱する給湯器ユニット14とを備えている。
【0024】
燃料電池ユニット12の筐体12aは、奥行寸法より幅寸法が長い直方体形状に形成されている。長手方向NHに位置する左側面12eから右側面12fまでの幅寸法をW1、底面12gから天面12hまでの高さ寸法をH1、短手方向THに位置する正面12dから背面12cまでの奥行寸法をD1とすると、奥行寸法D1より幅寸法W1が長い(D1<W1)。
【0025】
なお、燃料電池ユニット12の正面12d及び背面12cは、説明の都合上付した名称であり、表面の意匠性の違いや設置状態での向きを限定するものではない。また、燃料電池ユニット12の左側面12e及び右側面12fも、説明の都合上付した名称であり、表面の意匠性の違いや設置状態での向きを限定するものではない。
【0026】
筐体12aの右側面12fは、燃料電池側メンテナンス面12bを構成している。ここで、メンテナンス面とは、保守点検を行う際にその一部または全部が開放される面を言う。燃料電池側メンテナンス面12bは、例えばフレームにヒンジを介して固定された扉構造や、周縁部がネジで固定された取り外し可能なパネル構造が挙げられる。これにより、燃料電池側メンテナンス面12bを開放することで、燃料電池ユニット12内部のメンテナンス(保守点検)が行える。
【0027】
この燃料電池側メンテナンス面12bには、排気部の一例である排気口13が設けられている。また、燃料電池側メンテナンス面12bには、配管および配線の接続作業を行うための配管・配線部12iが設けられており、燃料電池ユニット12に接続された配管や配線類が延出するように構成されている。なお、このようなメンテナンス面を、追加的に例えば天面12h、背面12c、正面12dに設定しても良い。
【0028】
給湯器ユニット14は、高さ寸法が横幅や奥行寸法より長い直方体形状に形成されており、下側を構成する下部構成部16と、上側を構成する給湯器本体18と備えている。下部構成部16としては、一例として据置台が挙げられる。
【0029】
ここで、本実施形態では、給湯器本体18の下部に据置台等の下部構成部16を設けて給湯器本体18を設置する場合について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、給湯器本体18を建物壁に据え付ける壁掛けタイプの場合、据置台等の下部構成部16は不要となる。
【0030】
下部構成部16及び給湯器本体18からなる給湯器ユニット14の筐体14aは、横幅方向に位置する左側面14eから右側面14fまでの幅寸法をW2、底面14gから天面14hまでの高さ寸法をH2、正面14dから背面14cまでの奥行寸法をD2とすると、奥行寸法D2より幅寸法W2が長い(D2<W2)。
【0031】
なお、給湯器ユニット14の正面14d及び背面14cは、説明の都合上付した名称であり、表面の意匠性の違いや設置状態での向きを限定するものではない。また、給湯器ユニット14の左側面14e及び右側面14fも、説明の都合上付した名称であり、表面の意匠性の違いや設置状態での向きを限定するものではない。
【0032】
給湯器本体18の筐体18aの右側面(給湯器ユニット14の右側面14fの上部)は、排気口を有する給湯器側メンテナンス面18bを構成しており、給湯器側メンテナンス面18bは、例えばフレームにヒンジを介して固定された扉構造や、周縁部がネジで固定された取り外し可能なパネル構造が挙げられる。これにより、給湯器側メンテナンス面18bを開放することで、給湯器本体18内部のメンテナンスが行える。
【0033】
また、下部構成部16の筐体16aの右側面(給湯器ユニット14の右側面14fの下部)も、例えばメンテナンス面16bを構成しており、このメンテナンス面16bは、例えばフレームにヒンジを介して固定された扉構造や、周縁部がネジで固定された取り外し可能なパネル構造が挙げられる。これにより、メンテナンス面16bを開放することで、例えば給湯器本体18に接続された配管等のメンテナンスが行える。
【0034】
そして、給湯器ユニット14の奥行寸法D2は、燃料電池ユニット12の奥行寸法D1より短く設定されている。ここで、この給湯器ユニット14としては、外形寸法がそれぞれ異なる標準タイプやスリムタイプやコンパクトタイプが用意されており、どのタイプの給湯器ユニット14を利用しても良い。
【0035】
燃料電池システム10の燃料電池ユニット12は、
図2に示すように、発電を行う燃料電池モジュール20を備えている。燃料電池モジュール20は、ガス供給路21を介して、ガス継手22に接続されており、ガス継手22には、ガス管24が接続されている。ガス管24からは炭化水素原料の一例であるメタンを主成分とする都市ガスまたはプロパン・ブタンを主成分に持つ液化石油ガスが燃料として供給される。ガス供給路21には、脱硫部26が設けられており、供給されるガスに含まれた硫黄分や硫黄化合物が脱硫部26で除去されて燃料電池モジュール20に供給される。なお、
図2には、都市ガスを用いた場合が一例として挙げられている。
【0036】
また、燃料電池モジュール20は、供給ポンプ28を有する改質水流入路30を介して改質水タンク32に接続されており、燃料電池モジュール20には、改質水タンク32に貯留された改質水が供給ポンプ28で供給される。この燃料電池モジュール20は、都市ガスまたは液化石油ガスと改質水とを改質反応させて水素等を生成する図外の改質器を備えている。
【0037】
この燃料電池モジュール20は、改質器で生成した水素とブロア20aで送られた空気中の酸素を利用して発電を行う図示しない発電部を備えている。燃料電池モジュール20の発電部からの直流電力は、インバーター回路38によって交流電力に変換された後、接続端子40に接続された電源コード92を介して外部へ供給される。
【0038】
燃料電池モジュール20には、改質や発電でガスを利用する際に発生した排ガスを排出する排出路34が接続されている。排出路34には、排気熱交換機36が設けられており、排気熱交換機36より下流側が改質水タンク32に接続されている。燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスは、排気熱交換機36で冷却され、含有した水蒸気が凝縮される。これにより、燃焼排ガスは、液体と気体とに分けられ、液体は改質水タンク32へ送られて改質水として再利用される。また、気体は、
図1に示したように、燃料電池側メンテナンス面12bの排気口13より排気される。
【0039】
排気熱交換器36には、供給路42が接続されている。供給路42には、熱回収ポンプ44及びラジエータ46が設けられており、供給路42は、ラジエータ46の上流側が貯湯タンク48に接続されている。貯湯タンク48には、伝熱媒体50が貯留されており、伝熱媒体50としては、一例として水が使用されている。
【0040】
この供給路42は、貯湯タンク48の下部に接続されており、貯湯タンク48の下部に貯留した伝熱媒体50が優先的に排気熱交換機36へ送られる。貯湯タンク48から供給路42に供給された伝熱媒体50は、ラジエータ46で冷却された後、熱回収ポンプ44によって排気熱交換機36へ送られる。なお、ラジエータ46は、図示しないラジエータファンを備えており、供給される伝熱媒体50が高温の際など必要に応じてファンモータを作動する。
【0041】
排気熱交換機36には、排出路52が接続されており、排気熱交換機36を通過した伝熱媒体50は、排出路52を介して貯湯タンク48に戻される。排出路52は、貯湯タンク48の上部に接続されている。燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスの熱は、排気熱交換機36によって伝熱媒体50へ移動され、この熱で加熱された伝熱媒体50は、貯湯タンク48の上部に戻される。この排気熱交換器36や貯湯タンク48等によって蓄熱ユニットが構成される。
【0042】
貯湯タンク48に貯留された伝熱媒体50は、上水熱交換器54及び加熱ポンプ56を有した循環路58を介して貯湯タンク48へ戻される。加熱ポンプ56は、貯湯タンク48の伝熱媒体50で上水を加熱する際に作動する。
【0043】
循環路58の上流側は、貯湯タンク48の上部に接続されており、貯湯タンク48の上部に貯留された伝熱媒体50が優先的に上水熱交換器54へ供給される。循環路58の下流側は、貯湯タンク48の下部に接続されており、上水熱交換器54で熱が奪われた伝熱媒体50は、貯湯タンク48の下部側に戻される。
【0044】
上水熱交換器54には、流入側分岐点60aを有する流入路60が接続されている。流入路60は、入側管継手62に接続されている。入側管継手62は、例えば水道管の給水管64に接続されており、流入路60には、上水が供給される。
【0045】
上水熱交換器54には、流出路66が接続されている。流出路66には、流出側分岐点66aが設けられており、流出側分岐点66aには、補水弁68を有した補水路70が接続されている。補水路70は、貯湯タンク48の上部に接続されており、補水弁68を開作動することで、上水熱交換器54からの上水を伝熱媒体50として貯湯タンク48の上部から供給することができる。
【0046】
流出路66の流出側分岐点66aの下流には、混合弁72が設けられている。混合弁72は、バイパス路74を介して流入側分岐点60aに接続されている。混合弁72は、流入路60からの上水と上水熱交換器54からの上水とを混合する弁であり、例えば流出温が予め定められた設定温度となるように、流入路60からの上水と上水熱交換器54からの上水との混合比を調整する。
【0047】
流出路66の混合弁72より下流側は、出側継手76に接続されており、出側継手76は、出湯管78を介して、給湯器ユニット14の入水継手80に接続されている。
【0048】
給湯器ユニット14のガス継手82には、ガス管24が接続されており、給湯器ユニット14には、ガス管24から都市ガスまたはプロパン・ブタンを主成分に持つ液化石油ガスが供給される。また、給湯器ユニット14の給湯継手84には、給湯管86が接続されている。この給湯器ユニット14は、都市ガスまたはプロパン・ブタンを主成分に持つ液化石油ガスを燃焼することで、入水継手80より供給された上水を、図外のリモコンで設定された温度まで加熱し給湯管86によって供給する。
【0049】
なお、本実施形態では、燃料電池ユニット12からのガス管24と給湯器ユニット14からのガス管24とを互いに接続してガス供給源に接続する場合について説明したが、これに限定されるものではない。燃料電池ユニット12からのガス管24と給湯器ユニット14からのガス管24とを、それぞれ独立してガス供給源に接続してもよい。
【0050】
この燃料電池システム10は、例えば建物と、隣接した敷地との隣地境界線との間に形成された通路、あるいは集合住宅の開放廊下やバルコニーに設置され、燃料電池システム10を構成する燃料電池ユニット12及び給湯器ユニット14は、設置場所まで通路に沿って運搬される。
【0051】
図3は、本実施形態に係る燃料電池システムの筐体構造を示す図であり、燃料電池システムの筐体構造を燃料電池ユニット12に適用した場合を例として説明する。
【0052】
この燃料電池ユニット12の筐体12aは、各面12c〜12hが一例として金属パネルによって構成されている。筐体12aの正面12d及び左側面12eの第一角部100には、補強構造部を構成する第一補強構造部材102が内面に沿って設けられている。正面12d及び右側面12fの第二角部104には、補強構造部を構成する第二補強構造部材106が内面に沿って設けられている。また、背面12cと右側面12fの第三角部108には、補強構造部を構成する第三補強構造部材110が内面に沿って設けられている。背面12c及び左側面12eの第四角部112には、補強構造部を構成する第四補強構造部材114が内面に沿って設けられている。
【0053】
各補強構造部材102、106、110、114は、金属板が例えばL字状に屈曲された形状のアングル材によって構成されており、各補強構造部材102、106、110、114の一片116及び他片118の厚み寸法は、筐体12aの各面12c〜12hを構成する金属パネルの厚み寸法より肉厚に形成されていてもよい(
図5及び
図6参照)。
【0054】
第一補強構造部材102の一片116は、正面12dの内側面に面接触した状態で固定されており、第一補強構造部材102の他片118は、左側面12eの内側面に面接触した状態で固定されている。第二補強構造部材106の一片116は、正面12dの内側面に面接触した状態で固定されており、第二補強構造部材106の他片118は、右側面12fの内側面に面接触した状態で固定されている。
【0055】
第三補強構造部材110の一片116は、背面12cの内側面に面接触した状態で固定されており、第三補強構造部材110の他片118は、右側面12fの内側面に面接触した状態で固定されている。第四補強構造部材114の一片116は、背面12cの内側面に面接触した状態で固定されており、第四補強構造部材114の他片118は、左側面12eの内側面に面接触した状態で固定されている。
【0056】
これにより、筐体12aは、各角部100、104、108、112が各補強構造部材102、106、110、114によって補強されており、当該筐体12aが補強されている。
【0057】
なお、本実施形態では、筐体12aの各角部100、104、108、112に各補強構造部材102、106、110、114を設けて筐体12aを補強したが、これに限定されるものではなく、次の実施形態のようにしてもよい。
【0058】
例えば、他の実施形態として、
図4に示すように、筐体12aの周面を構成する各面12c〜12fと底面12gとの角部に補強構造部材を構成するアングル材Zを設けて筐体12aを補強しても良い。
【0059】
これに加えて、筐体12aの周面を構成する各面12c〜12fと天面12hとの角部に補強構造部材を構成するアングル材を設けて筐体12aを補強しても良い。さらに、これらのアングル材を本実施形態の各補強構造部材102、106、110、114に加えて設けてもよい。
【0060】
また、
図3に示したように、筐体12aの短手方向THに位置する正面12dの第一角部100側の下部には、第一取付部120が設けられている。第一取付部120は、正面12dに設けられた横長の開口部と、第一補強構造部材102の一片116に設けられた横長の開口部とからなり(符号省略)、正面12dの開口部と第一補強構造部材102の一片116の開口部とは互いに連通している。第一取付部120の下部には、第一ボルト固定穴122が設けられている。第一ボルト固定穴122は、正面12dに設けられた丸穴と、第一補強構造部材102の一片116に設けられたネジ穴とからなり、正面12dの丸穴と第一補強構造部材102の一片116のネジ穴とは互いに連通している(符号省略)。
【0061】
この正面12dの第二角部104側の下部には、第二取付部124が設けられおり、第二取付部124も第一取付部120と同構造とされている。第二取付部124の下部には、第二ボルト固定穴126が設けられており、第二ボルト固定穴126も第一ボルト固定穴122と同構造とされている。
【0062】
筐体12aの長手方向NHに位置する右側面12fの第二角部104側の下部には、第三取付部128が設けられており(
図4参照)、第三取付部128も第一取付部120と同構造とされている。第三取付部128の下部には、第三ボルト固定穴130が設けられており(
図4参照)、第三ボルト固定穴130も第一ボルト固定穴122と同構造とされている。この右側面12fの第三角部108側の下部には、第四取付部132が設けられており、第四取付部132も第一取付部120と同構造とされている。第四取付部132の下部には、第四ボルト固定穴134が設けられており、第四ボルト固定穴134も第一ボルト固定穴122と同構造とされている。
【0063】
筐体12aの短手方向THに位置する背面12cの第三角部108側の下部には、第五取付部136が設けられおり、第五取付部136も第一取付部120と同構造とされている。第五取付部136の下部には、第五ボルト固定穴138が設けられており、第五ボルト固定穴138も第一ボルト固定穴122と同構造とされている。この背面12cの第四角部112側の下部には、第六取付部140が設けられおり(
図4参照)、第六取付部140も第一取付部120と同構造とされている。第六取付部140の下部には、第六ボルト固定穴142が設けられており(
図4参照)、第六ボルト固定穴142も第一ボルト固定穴122と同構造とされている。
【0064】
筐体12aの長手方向NHに位置する左側面12eの第四角部112側の下部には、第七取付部144が設けられおり、第七取付部144も第一取付部120と同構造とされている。第七取付部144の下部には、第七ボルト固定穴146が設けられており、第七ボルト固定穴146も第一ボルト固定穴122と同構造とされている。この左側面12eの第一角部100側の下部には、第八取付部148が設けられおり、第八取付部148も第一取付部120と同構造とされている。第八取付部148の下部には、第八ボルト固定穴150が設けられており、第八ボルト固定穴150も第一ボルト固定穴122と同構造とされている。
【0065】
各取付部120、124、128、132、136、140、144、148には、
図5及び
図6に示すように、筐体12aを運搬する際に作業者が当該筐体12aを保持する為の把手160(
図5参照)、又は筐体12aを据付箇所に固定するための固定片170(
図6参照)を選択的に脱着できるように構成されている。これにより、把手160又は固定片170を、筐体12aの短手方向THの正面12dや背面12cに取り付けたり、筐体12aの長手方向NHである左側面12eや右側面12fに取り付けたりすることができる。
【0066】
なお、
図5及び
図6には、筐体12aの正面12dの第二角部104側に設けられた第二取付部124部分の断面を一例として図示した。
【0067】
(把手)
把手160は、
図5に示したように、縦長の金属板によって形成されている。この把手160は、把持部162と、把持部162の一端より下方へ向けて延出した把手本体164とを備えており、把持部162には、把持した手の指を入れる把持穴162aが設けられている。
【0068】
把手本体164の下端からは、把手延出部166が板厚方向の一方へ向けて延出しており、把手延出部166の先端からは、把手係止部168が下方へ向けて延出している。把手延出部166及び把手係止部168は、各取付部120、124、128、132、136、140、144、148へ選択的に挿入可能な幅寸法及び厚み寸法に設定されている。把手係止部168は、把手延出部166を各取付部120、124、128、132、136、140、144、148に挿通して下方へ延出させた状態で筐体12aの底面12gに接しない長さに設定されている。
【0069】
把手160は、把手係止部168を補強構造部材102、106、108、112の内側面に接触させた状態で、把手本体164が筐体12aと所定の距離をおいて筐体12aに沿って延在するように把手延出部166の長さが設定されている。把手本体164の上部には、例えば一方側へ向けて突出した弾性体であるゴム部材164aが設けられており、このゴム部材164aが筐体12aに当接することで、把手本体164の筐体12aへの干渉が防止される。
【0070】
(固定片)
固定片170は、
図6及び
図7に示すように、金属板によって形成されている。固定片170は、据付箇所180に固定される固定部172と、固定部172の筐体12a側に位置する一端より起立した起立部174とを備えている。起立部174の先端からは、起立部174より幅狭の固定片延出部176が筐体12a内側である一方側へ向けて延出している。固定片延出部176の先端からは、固定片係止部178が上方へ向けて延出している。固定片延出部176及び固定片係止部178は、各取付部120、124、128、132、136、140、144、148へ選択的に挿入可能な幅寸法及び厚み寸法に設定されている。
【0071】
この固定片170は、固定片延出部176を取付部120、124、128、132、136、140、144、148へ挿入した取付状態で、固定部172下面172aの高さ位置が筐体12aの下面12jの高さ位置と一致するように起立部174の高さが設定されている。また、固定片170は、固定片係止部178が補強構造部材102、106、108、112の内側面に接した状態で、起立部174が筐体12aの外側面に沿って延在するように固定片延出部176の長さが設定されている。
【0072】
なお、本実施形態では、固定片170が固定片係止部178を具備した場合について説明するが、これに限定されるものではなく、固定片係止部178をしなくても良い。
【0073】
固定片170の固定部172には、ボルト挿通穴172bが形成されており、起立部174にもボルト挿通穴174aが形成されている。起立部174のボルト挿通穴174aは、取付状態において、筐体12aに設けられたボルト固定穴122、126、134、138、146と合致する位置に設けられている。
【0074】
なお、本実施形態では、固定片170の固定部172にボルト挿通穴172bが形成された場合について説明するが、これに限定されるものではなく、ボルト挿通穴172bは無くてもよい。
【0075】
このため、係止ボルト182を起立部174のボルト挿通穴174aへ挿通し、筐体12aのボルト固定穴122、126、134、138、146を構成する補強構造部材102、106、108、112のネジ穴に螺入することができる。これにより、固定片170を筐体12aに固定することができる。この状態で、筐体12aより延出した固定部172のボルト挿通穴172bに係止ボルト182より大径の固定ボルト184を挿通する。そして、この固定ボルト184を、予め据付箇所180に設置された固定用プレート186のネジ穴186aに螺入すれば、筐体12aを、固定片170を介して据付箇所180に固定できる。
【0076】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0077】
(運搬)
燃料電池ユニット12の筐体12aには、取付部120、124、128、132、136、140、144、148が設けられている。この取付部120、124、128、132、136、140、144、148には、把手160又は固定片170を選択的に脱着することができる。
【0078】
これにより、筐体12aを運搬する際には、筐体12aの取付部120、124、128、132、136、140、144、148から固定片170を取り外した状態で運搬することができる。このため、筐体12aに固定片170が一体形成された場合と比較して、固定片170と通路側部の壁や建物の壁面との干渉を防止できる。したがって、筐体12aの通路への搬入性が向上する。
【0079】
この運搬時には、筐体12aの取付部120、124、128、132、136、140、144、148に把手160を選択的に取り付けることができる。このため、筐体12aの短手方向THの正面12d側の取付部120、124及び背面12c側の取付部136、140に把手160を取り付けることにより、筐体12aの短手方向TH両側に把手160を設けることができる。これにより、筐体12aが保持し易くなり、搬入作業性のさらなる向上を図ることができる。
【0080】
ここで、取付部120、124、128、132、136、140、144、148は、筐体12aの短手方向THの正面12d及び背面12cと、長手方向NHの左側面12e及び右側面12fに設けられている。
【0081】
このため、筐体12aの長手方向NHの左側面12e側の取付部144、148及び右側面12f側の取付部128、132に把手160を取り付けることにより、筐体12aの長手方向NH両側に把手160を設けることができる。
【0082】
このとき、筐体12aの長手方向NHに設けられた一方の把手160の長さを、他方より短くすれば、階段での運搬作業が容易となる。
【0083】
(固定)
そして、固定時には、筐体12aの取付部120、124、128、132、136、140、144、148に固定片170を取り付け、筐体12aから固定片170の固定部172を延出させる。次に、この固定片170を、据付箇所180に設置された固定用プレート186に固定ボルト184で固定する。これにより、筐体12aを据付箇所180に固定することができる。
【0084】
このとき、取付部120、124、128、132、136、140、144、148は、筐体12aの短手方向THの正面12d及び背面12cと、長手方向NHの左側面12e及び右側面12fに設けられている。
【0085】
このため、幅狭の通路に設置場所が設定され、筐体12aの方向NHを通路の長さ方向に合わせて設置する場合、筐体12aの長手方向NTの左側面12e及び右側面12fの取付部132、144、148に固定片170を取り付ける。これにより、固定片170の固定部172を通路の長さ方向に延出することができるため、通路脇の壁面等への固定片170の干渉を気にすることなく、筐体12aを据付箇所180に固定することができる。
【0086】
一方、幅広の通路に設置場所が設定されている場合、筐体12aの短手方向THの左側面12e及び右側面12fに設けられた取付部132、144、148に固定片170を取り付ける。これにより、筐体12aが倒れ易い短手方向THに固定片170の固定部172を延出することができるので、筐体12aの倒れ防止効果を高めつつ、筐体12aを据付箇所180に固定することができる。
【0087】
また、各取付部120、124、128、132、136、140、144、148は、補強構造部材102、106、108、112で補強された筐体12aの補強構造部に設けられている。そして、固定片170は、筐体12aの補強構造部を構成する補強構造部材102、106、108、112に取り付けられる。このため、固定片170が補強構造部材102、106、108、112を備えない各面12c〜12hの部位に取り付けられる場合と比較して、固定強度を高めることができる。
【0088】
また、各取付部120、124、128、132、136、140、144、148に取り付けられる把手160も筐体12aの補強構造部を構成する補強構造部材102、106、108、112に取り付けられる。このため、搬入時に把手160から加えられる荷重を補強構造部材102、106、108、112に入力することができる。このため、把手160が補強構造部材102、106、108、112を備えない各面12c〜12hの部位に取り付けられる場合と比較して、荷重入力による筐体12aの各面12c〜12hの変形を抑制することができる。
【0089】
ここで、
図4の他の実施形態で示したように、筐体12a下縁のアングル材Zに把手160を取り付ければ、筐体12aを下から支持することができる。これにより、荷重入力による筐体12aの各面12c〜12hの変形をさらに抑制することができる。
【0090】
なお、本実施形態において、筐体12aの各取付部120、124、128、132、136、140、144、148は、固定片170又は把手160を選択的に脱着可能な構造としたが、これに限定されるものではない。各取付部120、124、128、132、136、140、144、148は、固定片170が脱着可能であればよい。
【0091】
また、固定片170又は把手160が選択的に脱着可能な各取付部120、124、128、132、136、140、144、148を、筐体12aの短手方向TH側及び長手方向NH側に設けたが、これに限定されるものではない。例えば、各取付部120、124、128、132、136、140、144、148を筐体12aの短手方向TH側又は長手方向NH側のいずれか一方に設けてもよい。
【0092】
この場合でも、運搬時には、筐体12aから固定片170を取り外すことができるとともに、固定片170が取り外された取付部120、124、128、132、136、140、144、148に選択的に把手160を取り付けることができる。
【0093】
さらに、本実施形態では、各取付部120、124、128、132、136、140、144、148を、各補強構造部材102、106、110、114で補強された筐体12aの補強構造部に設けたが、これに限定されるものではない。例えば、各取付部120、124、128、132、136、140、144、148を、補強構造部材102、106、108、112を備えない各面12c〜12hの部位に設けてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、筐体12aの各取付部120〜148に、把手160の把手延出部166及び把手係止部168や、固定片170の固定片延出部176及び固定片係止部178を挿入して、把手160や固定片170を取り付ける取付構造を示した。しかし、この取付構造に限定されるものではない。
【0095】
他の取付構造としては、筐体12a及びその補強構造部に凹穴を設け、この凹穴に把手160や固定片170に設けた凸部を差し込む構造で構成しても良い。さらに、把手160や固定片170の凸部を凹穴に差し込んだ上で、ビス等で固定してもよい。
【0096】
また、本実施形態では、筐体12aに各取付部120〜148を設けたが、この構造に限定されるものではない。
【0097】
例えば、
図8に示すように、筐体12aの底面12gに四角棒状の金属脚200を設け、この金属脚200の端面に、把手160や固定片170が選択的に取り付けられる孔200aを設けて取付部を構成しても良い。
【0098】
なお、
図8では、取付部を構成する孔200aが筐体12aの正面12d側及び背面12c側に設けられた場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、取付部を構成する孔200aを、筐体12aの左側面12e側及び右側面12f側に設けても良い。また、取付部を構成する孔200aを、筐体12aの正面12d側及び背面12c側のみならず、筐体12aの左側面12e側及び右側面12f側に追加的に設けてもよい。
【0099】
この場合、金属脚200によって筐体12aの高さを確保し、水切り性を良くすることができる。また、この孔200aに運搬用の治具を取り付けることやベルトを通すこともできる。
【0100】
そして、固定片170は、
図6及び
図7に示したものに限らない。例えば、
図9に示すように、固定部172及び起立部174を長尺状とし、起立部174の両端部のそれぞれに固定片延出部176及び固定片係止部178を設けた構造であっても良い。
【0101】
この固定片170では、固定ボルト184が挿通される切欠き210が、固定部172の両端部にそれぞれ形成されている。
【解決手段】筐体12aより延出し当該筐体12aを据付箇所180に固定するための固定片170、又は前記筐体12aを保持するための把手160が選択的に脱着可能に取り付けられる取付部120、124、128、132、136、140、144、148を備えている。