特許第6192893号(P6192893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192893
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】スライドボード用制動装置
(51)【国際特許分類】
   B43L 1/04 20060101AFI20170828BHJP
【FI】
   B43L1/04 G
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-4789(P2012-4789)
(22)【出願日】2012年1月13日
(65)【公開番号】特開2013-144367(P2013-144367A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2015年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226183
【氏名又は名称】日学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080528
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 冨士男
(74)【代理人】
【識別番号】100073601
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 和男
(72)【発明者】
【氏名】吉田 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】林下 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 真弘
(72)【発明者】
【氏名】若松 雅通
(72)【発明者】
【氏名】青木 崇
【審査官】 櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−113446(JP,A)
【文献】 特開2011−083921(JP,A)
【文献】 特開2000−289676(JP,A)
【文献】 特開2002−128500(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02025532(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L1/00−1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設置された筆記用ボードの前面を覆って移動自在に使用されるスライドボードを制動する制動装置において、
スライドボードに配置されたブレーキ操作レバーと、該ブレーキ操作レバーに一端を接続し他端をスライドボードに配置されたブレーキシューに接続する連結手段と、前記ブレーキシューと前記ブレーキ操作レバーとの間に配設され、ブレーキ操作レバーが操作されない状態で前記ブレーキシューを前記筆記用ボードもしくは筆記用ボードと一体化した部位に接触させる方向に押動付勢し、かつ前記ブレーキ操作レバーを、操作後の位置から離間して位置させるべく付勢する付勢部材とを備え、
前記ブレーキ操作レバーが操作されると前記ブレーキシューが前記筆記用ボードもしくは筆記用ボードと一体化した部位から離間して制動を解除してスライドボードを移動自在とし、
前記ブレーキ操作レバーは前記スライドボードの側部に配設され、前記ブレーキ操作レバーが操作されない状態の位置は前記スライドボードの側部から離れた位置で、かつ前記ブレーキ操作レバーの操作後の位置は前記スライドボードの側端に密接する位置とし、前記ブレーキ操作レバーが操作され前記スライドボードの側部に密接した状態で前記ブレーキシューが前記筆記用ボードもしくは前記筆記用ボードと一体化した部位から離間し制動を解除して前記スライドボードを移動自在とし、前記ブレーキ操作レバーの操作が解除されると付勢部材が前記ブレーキ操作レバーを前記スライドボードの側部から離れた位置に移動させるとともに前記ブレーキシューを前記筆記用ボードもしくは前記筆記用ボードと一体化した部位に接触させて前記スライドボードを制動する
ことを特徴とするスライドボード用制動装置。
【請求項2】
前記連結手段は、アウターチューブと該アウターチューブ内を移動自在なインナーワイヤとからなるワイヤラインとすることを特徴とする請求項1に記載のスライドボード用制動装置。
【請求項3】
前記連結手段は、ロッド、てこ及ピボットを組み合わせて連結したロッド式ブレーキとし、前記スライドボードの制動の解除操作をすることにより、前記スライドボードを移動させることができるとともに、解除操作をやめることにより、自動的に前記スライドボードを制動し停止させることを特徴とする請求項1に記載のスライドボード用制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に設置された黒板の前面に重ねるように移動して使用する電子黒板やインタラクティブボードなどのスライドボードに係り、特に、スライドボードの移動に際して安全かつ確実に制動することができる制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、教室、会議室、事務室などには、壁面に黒板やホワイトボードなどの筆記用ボードが取り付けられて使用されている。そして、このような施設においては、黒板等の従来からの筆記用ボードに加えて、各種の機能を備えた電子黒板や、プロジェクタスクリーン機能を備えたインタラクティブボードなどのデジタル機器等を用いた表示ボードも兼用して使用されるようになっている。
【0003】
これら電子黒板やインタラクティブボードは、通常は移動自在なスタンドに設置されているものの、縦横とも1メートル程もしくはそれ以上の大きさで重いことから万が一転倒した場合に危険であり、またその脚部が広い設置面積を占めることから収納・移動・設置のいずれの状態においても困難性を有しており、そこで壁面に設置されている既存の黒板等の筆記用ボードに対して、電子黒板やインタラクティブボードを取り付けるという解決策が案出されている。
【0004】
それは、黒板の天地にそれぞれ水平方向にレール部材を並設した上で、電子黒板等を配設したフレーム体の上下四隅に車輪等の移動部材を設けて、これがレール部材を滑走してスムーズに移動させるものである。(特許文献1参照)
そして、通常はレール部材の端に退避している電子黒板等を、使用時に黒板の前面に移動させて固定し、終了後は黒板を使用することができるように、電子黒板等をレール部材の端に移動退避させて収納固定するものである。このように既存の黒板と電子黒板等をスペース効率良く共存させ、かつ選択的に使用することができる利便性から、この電子黒板等の移動方式は普及しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−201807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような電子黒板等の移動方式は、いくつか問題を抱えていた。それは、この大きく重たい電子黒板等を移動させて手を離すと、惰性でそのまま滑り続けてしまい、近くに居る人にぶつかったり、手指を挟んだりする危険があった。それに加え、多くの精密部品や電子回路を搭載した電子黒板等にあっては、勢いよくストッパーにぶつかる衝撃によって破損してしまう虞もあった。
すなわち、電子黒板等のスライドボードを移動する人が意図せずに操作の手を離した場合でも、スライドボードは移動し続けてしまうという、この種の製品にとって重要な安全面での配慮に欠けていた。
特に、図1に示すように、プロジェクターやイメージスキャナー等の光学部材6を前方に張り出して備えるスライドボード5にあっては、ストッパーにぶつかる強い衝撃を受けると、スライドボード5と光学部材6を連結するアーム7が、光学部材6の受ける加速度とアーム7の長さにより曲げモーメントが作用して破損してしまう虞があった。
【0007】
そこで本発明は、上述の従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。すなわち、本発明は、スライドボードを移動する人の手が離れたら、確実にスライドボードを停止させることができるスライドボード用制動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の解決課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者は、スライドボードを移動させる操作により制動を解除してスライドボードを移動自在とするとともに、スライドボードから手が離れると自動的に制動することで、課題を解決することに想到した。
【0009】
すなわち、本発明は、壁面に設置された筆記用ボードの前面を覆って移動自在に使用されるスライドボードを制動する制動装置において、スライドボードに配置されたブレーキ操作レバーと、該ブレーキ操作レバーに一端を接続し他端をスライドボードに配置されたブレーキシューに接続する連結手段と、前記ブレーキシューと前記ブレーキ操作レバーとの間に配設され、ブレーキ操作レバーが操作されない状態で前記ブレーキシューを前記筆記用ボードもしくは筆記用ボードと一体化した部位に接触させる方向に押動付勢し、かつ前記ブレーキ操作レバーを、操作後の位置から離間して位置させるべく付勢する付勢部材とを備え、前記ブレーキ操作レバーが操作されると前記ブレーキシューが前記筆記用ボードもしくは筆記用ボードと一体化した部位から離間して制動を解除してスライドボードを移動自在とすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、ブレーキ操作レバーがスライドボードの側部に配設され、ブレーキ操作レバーが操作されない状態の位置はスライドボードの側部から離れた位置で、かつブレーキ操作レバーの操作後の位置はスライドボードの側端に密接する位置とし、ブレーキ操作レバーが操作されスライドボードの側部に密接した状態でブレーキシューが前記筆記用ボードもしくは筆記用ボードと一体化した部位から離間し制動を解除してスライドボードを移動自在とし、ブレーキ操作レバーの操作が解除されると付勢部材がブレーキ操作レバーをスライドボードの側部から離れた位置に移動させるとともに前記ブレーキシューを前記筆記用ボードもしくは筆記用ボードと一体化した部位に接触させてスライドボードを制動することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、連結手段が、アウターチューブと該アウターチューブ内を移動自在なインナーワイヤとからなるワイヤラインとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上、説明したように、本発明によれば、移動自在なスライドボードにおいて、スライドボードを移動すべく操作する人の手が離れたら、確実にスライドボードを停止させることができるスライドボード用制動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】黒板にスライドボードを移動自在に設置した状態を示す、途中部分を省略した側面図である。
図2】実施形態の制動装置を備えたスライドボードを黒板に設置した状態を示す斜視図である。
図3図2からスライドボードを取り外した状態を示す拡大斜視図である。
図4】実施形態のスライドボード用制動装置を示す正面図である。
図5】実施形態のスライドボード用制動装置を示す説明図である。
図6】実施形態のスライドボード用制動装置の制動状態を示す、(A)はブレーキ操作レバー部分、(B)はブレーキシュー部分の説明図である。
図7】実施形態のスライドボード用制動装置の制動解除状態を示す、(A)はブレーキ操作レバー部分、(B)はブレーキシュー部分の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のスライドボード用制動装置を実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1図7は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び作用は同様であるものとする。
【0015】
<構成>
図1は、壁面1に取り付けられた黒板やホワイトボードなどの筆記用ボード2に対して、その上辺と下辺に並設してそれぞれレール部材3を配置するとともに、そのレール部材3に対して、レール内を滑走する車輪等の移動部材を備えたフレーム体4を配置し、さらにそのフレーム体4に電子黒板やインタラクティブボード等のスライドボード5を取り付けている。6は、スライドボード5の前面上方にアーム7を介して取り付けられたプロジェクターやイメージスキャナー等の光学部材である。
【0016】
図2は、スライドボード5が筆記用ボード2の前面を覆って水平(左右)方向に移動自在な状態を示しており、スライドボード5が筆記用ボード2の中央部に位置した状態で使用され、使用後にスライドボード5は図2の左方向に移動し、筆記用ボード2の使用の妨げにならない位置に退避して固定される。
8は、スライドボード5を取り付けたフレーム体4の左右の移動範囲を規制する、伸縮することなく可撓性を有するクローラーである。
【0017】
図3は、フレーム体4からスライドボード5を取り外して、本実施形態のスライドボード用制動装置が現れた状態を示し、図4は、図3のスライドボード用制動装置を正面から見た状態を表し、図5はスライドボード用制動装置を他の構成要素から切り離して表している。
スライドボード用制動装置は、スライドボード5を取り付けたフレーム体4を使用者が移動させる際に掌で押して操作する部分であって、下端から少し上の部分を軸支されてシーソー状に一定角度範囲を回動するブレーキ操作レバー10と、レール部材3の前面に当接して制動するゴム等からなるブレーキシュー11と、ブレーキ操作レバー10とブレーキシュー11を連結する、鋼帯を密着巻きしたアウターチューブ21とその中を移動するインナーワイヤ22とからなる可撓性を有するワイヤライン20を備えている。このワイヤライン20は、スライドボード5の裏面に隠して配置している。図中12は、ブレーキ操作レバー10の下方の中途部分を回動自在に軸支する回動軸である。
【0018】
図5に示すように、ワイヤライン20のアウターチューブ21の一端は、ブレーキ操作レバー10に近接したフレーム体4に配設された固定部材23に固定されるとともに、アウターチューブ21の他端はブレーキ操作レバー10の上方のフレーム体4に配設されたブラケット24に固定されている。
そして、インナーワイヤ22は、両端部分を除いた中途部分がアウターチューブ21内を挿通して位置しつつ、アウターチューブ21から延出した一端がブレーキ操作レバー10の下端近傍に、固定位置を調節自在に固定されるとともに、他端はブレーキシュー11またはこれを支持する部材の後端に接続されている。
なお、本実施形態にあっては、スライドボードを使用する人が触れることがないように、上方のレール部材に対向させてブレーキシュー11を配置した場合について説明したが、それ以外に下方のレール部材に対向させて配置してもよいものである。
【0019】
ブラケット24のレール部材3側には、インナーワイヤ22に接続されたブレーキシュー11が、前後方向に一定のストローク、例えば数ミリメートルの範囲で移動自在に配置されるとともに、ブレーキシュー11とブラケット24との間(またはインナーワイヤ22とアウターチューブ21との間とも言い換えられる)には、ブレーキシュー11をレール部材3側に押し当てるべくインナーワイヤ22をレール部材3方向に牽引する圧縮コイルばねからなる付勢部材25が配設されている。
すなわち、スライドボードの使用者がブレーキ操作レバー10を操作していない状態では、付勢部材25はブレーキシュー11をレール部材3前面に押し当てて制動し続けるとともに、ブレーキ操作レバー10はその上方の操作部分が縦のフレーム体4から離れた位置、すなわち非操作位置に位置させている。
【0020】
<動作>
このような構成からなるスライドボード用制動装置の動作について、図6及び図7に基づいて以下に説明する。
図7(A)は、スライドボードの使用者がブレーキ操作レバー10を操作して縦のフレーム体4に密接する位置、すなわち操作位置まで傾け、この状態で使用者はブレーキ操作レバー10と縦のフレーム体4を一緒に把持することができ、これによりスライドボードを取り付けたフレーム体4を左右方向に容易に移動させることができる。
ブレーキ操作レバー10の上方部分を、図7(A)の左方向に操作位置まで移動させることにより、シーソー状に動作するブレーキ操作レバー10の下端近傍に一端を固定されたインナーワイヤ22は、付勢部材25による左方向への付勢に抗して右方向に牽引される。この際、使用者が行う操作としては、ブレーキ操作レバー10を軸支する支点が下方に位置していることから、てこの原理により力点に作用する力と比べて小さな力で行うことができる。
そして、インナーワイヤ22の一端が牽引されることにより、図7(B)に示すように、ブレーキシュー11はレール部材3前面から離れて制動が解除され、これによりスライドボードを取り付けたフレーム体4はレール部材3に沿って自在に移動することができる。
【0021】
図6(A)は、スライドボードの使用者が把持していたブレーキ操作レバー10を離した状態を表し、操作を解除されたブレーキ操作レバー10は、縦のフレーム体4に密接する操作位置から離れた非操作位置へと付勢部材25の付勢により自動的に移動する。それと同時に、図6(B)に示すように、付勢部材25の付勢によりブレーキシュー11がレール部材3前面に当接して制動が働き、スライドボードを取り付けたフレーム体4はレール部材3に対して停止した状態となるものである。なお、図中13は、ブレーキ操作レバー10が過度に傾斜することを防ぐためのストッパーである。
【0022】
なお、上述した実施形態にあっては、ブレーキ操作レバーとブレーキシューとをワイヤラインを用いて連結するワイヤ式ブレーキについて説明したが、これに限定されることなく、ワイヤラインの代わりに、ロッド(棒)、てこ及びピボットなどを組み合わせて連結したロッド式ブレーキを用いてもよく、さらにブレーキ操作レバーの代わりにスイッチ、連結部材の代わりにソレノイドアクチュエータ等を用いて電気的に操作してもよいものである。
いずれにしても、スライドボードを移動させようとする操作者が、スライドボードの制動の解除操作をすることにより、スライドボードを移動させることができるとともに、操作者がスライドボードから手を離すことにより自動的にスライドボードを制動し停止させる構成であればよいものである。
【0023】
以上、本発明について、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記実施形態における構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のスライドボード用制動装置は、黒板、ホワイトボード等の筆記用ボードと、電子黒板やインタラクティブボードを併用して利用する教育産業、一般企業などにおいて広く利用することができるものである。
【符号の説明】
【0025】
1…壁面
2…筆記用ボード
3…レール部材
4…フレーム体
5…スライドボード
10…ブレーキ操作レバー
11…ブレーキシュー
20…ワイヤライン
21…アウターチューブ
22…インナーワイヤ
24…ブラケット
25…付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7