特許第6192909号(P6192909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー イノテック カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6192909-ボイスコイルモータ 図000002
  • 特許6192909-ボイスコイルモータ 図000003
  • 特許6192909-ボイスコイルモータ 図000004
  • 特許6192909-ボイスコイルモータ 図000005
  • 特許6192909-ボイスコイルモータ 図000006
  • 特許6192909-ボイスコイルモータ 図000007
  • 特許6192909-ボイスコイルモータ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192909
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ボイスコイルモータ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20060101AFI20170828BHJP
   H02K 33/18 20060101ALI20170828BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   G02B7/04 E
   H02K33/18 B
   G02B7/04 D
   H04N5/225 700
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-179202(P2012-179202)
(22)【出願日】2012年8月13日
(65)【公開番号】特開2013-76985(P2013-76985A)
(43)【公開日】2013年4月25日
【審査請求日】2015年8月12日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0098861
(32)【優先日】2011年9月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】サンへ リー
【審査官】 高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−175343(JP,A)
【文献】 特開2010−079271(JP,A)
【文献】 特開2010−190923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
H02K 33/18
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を含み、略立方体の形状を有し、被写体側に面する上部面を有するベースと、
記ベースに配置されてレンズを支持し光軸方向に移動するように構成されたボビン、
前記ボビンの外周面に配置されたコイルブロック、
前記コイルブロックと相対するように配置されたマグネット、
前記ボビン及び前記ベースと結合され、前記ボビンを弾性的に支持し弾性部を有する弾性部材と、
を含み、
前記ベースは前記ベースの開口部周辺に沿って形成された収容溝と前記弾性部材の弾性部に対応する位置に形成された弾性部材領域を含み、
前記弾性部材領域は、前記弾性部材の一部が配置されるように前記ベースの被写体側の面に設けられており、
前記ベースの前記上部面において前記収容溝から離隔されて前記収容溝を囲むリング状の突出部が形成され、
前記ベースの前記弾性部材領域を除いた前記上部面において前記収容と前記突出部との間に粘性を有する異物捕集膜が備えられて異物を捕集するボイスコイルモータ。
【請求項2】
開口を含み、略立方体の形状を有し、被写体側に上部面を有するベースと、
前記ベースに配置されてレンズを支持し光軸方向に移動するように構成されたボビン、
前記ボビンの外周面に配置されたコイルブロック、
前記コイルブロックと相対するように配置されたマグネット、
前記ボビン及び前記ベースと結合され、前記ボビンを弾性的に支持し弾性部を有する弾性部材と、
を含み、
前記ベースは前記ベースの開口部周辺に沿って形成された突出部と前記弾性部材の弾性部に対応する位置に形成された弾性部材領域を含み、
前記弾性部材領域は、前記弾性部材の一部が配置されるように前記ベースの被写体側の面に設けられており、
前記ベースの前記上部面において前記突出部から離隔されて前記突出部を囲む収容溝が形成され、
記ベースの前記上部面上の弾性部材領域を除いた前記収容と前記突出部との間に粘性を有する異物捕集膜が備えられて異物を捕集するボイスコイルモータ。
【請求項3】
前記収容は、閉ループ状に形成される、請求項1または2に記載のボイスコイルモータ。
【請求項4】
前記収容は、複数個が互いに隔たって形成される、請求項1または2に記載のボイスコイルモータ。
【請求項5】
前記収容は、前記ベースの前記上部面において前記弾性部材の弾性部に対応する弾性部材領域と前記異物捕集膜との間に形成される、請求項1または2に記載のボイスコイルモータ。
【請求項6】
前記弾性部材領域は、前記ベースの前記上部面の4つの隅部に形成され、前記収容は、平面視で閉ループ状に形成される、請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載のボイスコイルモータ。
【請求項7】
前記収容は、前記弾性部材領域に対応する位置に選択的に形成される、請求項2に記載のボイスコイルモータ。
【請求項8】
前記収容は、前記ベースの前記上部面に凹んで形成される、請求項1乃至7のうちいずれか一つに記載のボイスコイルモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイスコイルモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、超小型デジタルカメラ付きの携帯電話のような携帯用電子機器が開発されている。
【0003】
携帯電話に装着された超小型デジタルカメラは、主に、外部光をデジタルイメージに変更するイメージセンサーと、イメージセンサーに対向して配置された光学レンズと、を含む。
【0004】
従来の超小型デジタルカメラは、イメージセンサーと光学レンズとの間の距離が調節し難くなっていたが、最近では、イメージセンサーと光学レンズとの間の距離を調節するためのボイスコイルモータ(VCM)のようなレンズ駆動装置が開発されている。
【0005】
ボイスコイルモータは、レンズが装着されるボビン及びボビンに巻線されたコイルブロックを含む可動子と、可動子を駆動するための固定子と、可動子を弾性的に固定する弾性部材と、可動子及び固定子が固定され、裏面にIRフィルター及びイメージセンサーが装着されるベースと、を含む。
【0006】
従来のボイスコイルモータは、可動子がベースに対して往復運動をするため、可動子の駆動中にまたはボイスコイルモータの組み立て中に、微小な埃のようなパーティクルや可動子から発生した異物が、ベースに固定されているIRフィルターに付着されると、イメージセンサーから生成されたイメージ品質が大きく低下することにつながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、外部からの異物または組立工程中に発生した異物がIRフィルターに侵入することを防止できるボイスコイルモータを提供する。
【0008】
また、本発明は、異物がIRフィルターに侵入することを防止するために、IRフィルターの装着されているベースに塗布した異物侵入防止膜の移動による汚染及び不良も防止できるボイスコイルモータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施例として、ボイスコイルモータは、開口と弾性部材領域を含むベースと、前記ベースの開口と弾性部材領域との間で水平方向に配置された異物捕集膜と、前記ベースに配置されてレンズを支持し垂直方向に移動するように構成されたボビン、前記ボビンの外周面に配置されたコイルブロック、前記コイルブロックと相対するように配置されたマグネット前記ボビン及び前記ベースと結合され、前記ボビンを弾性的に支持し弾性部を有する弾性部材と、を含み、前記ベースの上面には、前記異物捕集膜の周囲に少なくとも一つの収容部と突出部が形成され、前記弾性部は前記ベースの関連する弾性部材領域に対応する位置に配置される。
【0010】
一実施例として、ボイスコイルモータは、開口と弾性部材領域を含むベースと、レンズを支持するように前記ベースに配置され垂直方向に移動するように構成されたボビン、前記ボビンの外周面に配置されたコイルブロック、前記コイルブロックに相対するように配置されたマグネット、前記ボビン及び前記ベースに結合されて、前記ボビンを弾性的に支持弾性部を含む弾性部材と、前記ベースの開口と弾性部材領域との間で水平方向に配置された異物捕集膜と、を含み、前記ベースの上面には、前記弾性部及び前記ベースの前記開口の少なくとも一方に前記異物が侵入することを防止するように構成された収容溝が形成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るボイスコイルモータによれば、ベースの上面に異物を捕集する異物捕集膜を形成するとともに、異物捕集膜の過塗布によって異物捕集膜が弾性部材領域及び/またはIRフィルターが装着される開口に侵入することを防止することによって、異物及び異物捕集膜による汚染を防止する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例に係るボイスコイルモータを示す分解斜視図である。
図2図1のベースの平面図である。
図3図2のI−I’線断面図である。
図4】本発明の他の実施例に係るボイスコイルモータのベースを示す平面図である。
図5】本発明のさらに他の実施例に係るボイスコイルモータのベースを示す平面図である。
図6】本発明のさらに他の実施例に係るボイスコイルモータのベースを示す平面図である。
図7】本発明のさらに他の実施例に係るボイスコイルモータのベースを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施例に係るボイスコイルモータを示す分解斜視図である。図2は、図1のベースの平面図である。図3は、図2のI−I’線断面図である。
【0014】
図1乃至図3を参照すると、ボイスコイルモータ800は、ベース100、異物捕集膜200、可動子300、固定子400及び弾性部材500を含む。ボイスコイルモータ800は、カバー部材600をさらに含むことができる。
【0015】
ベース100は、直方体プレート状に形成され、ベース100の中央部には開口110が形成される。ベース100の裏面において、開口110に対応する部分にはIRフィルター120が配置され、IRフィルター120の裏面にはイメージセンサー(図示せず)が配置されることが可能である。
【0016】
ベース100の上面には、後述される弾性部材500の一部が配置される弾性部材領域ERが形成され、弾性部材領域ERは、ベース100の上面における4個の隅部にそれぞれ形成される。
【0017】
異物捕集膜200は、ベース100の上面に形成されるもので、後述される可動子300が上下する時に発生する異物、またはボイスコイルモータ800を組み立てる時に発生する異物を捕集して、異物がIRフィルター120へ侵入することを防止する。
【0018】
異物捕集膜200は、粘性を有する液体をベース100の上面に塗布して薄い膜厚に形成されるとともに、弾性部材領域ER以外のベース100の上面に形成される。
【0019】
粘性を有する異物捕集膜200をベース100の上面に形成するときに、指定された量よりも多い量が塗布されると、異物捕集膜200の一部が弾性部材領域ERに侵入することがある。このように異物捕集膜200の一部が弾性部材領域ERに侵入すると、異物捕集膜200が、弾性部材領域ERに配置されている弾性部材500の一部に被着されて、弾性部材500の機能を大きく低下させる。
【0020】
なお、粘性を有する異物捕集膜200をベース100の上面に形成するときに、指定された量よりも多い量が塗布されると、粘性を有する異物捕集膜200がベース100の開口110を通ってIRフィルター120に侵入することもある。このように異物捕集膜200の一部が開口110を通ってIRフィルター120に侵入すると、IRフィルター120が汚染され、イメージセンサーから生成されたデジタルイメージまたは動画像の品質が低下する。
【0021】
本発明の一実施例では、粘性を有する異物捕集膜200がベース100の開口110または弾性部材領域ERに侵入することを防止するために、ベース100の上面には、異物捕集膜200の境界に沿って形成された収容部(または収容溝)130が形成される。
【0022】
本発明の一実施例において、収容部130は、塗布しすぎた異物捕集膜200の一部を受け入れ、異物捕集膜200がベース100の開口110及び弾性部材領域ERに侵入することを防止する役割を果たす。
【0023】
収容部130は、第1収容部132及び第2収容部134を含む。
【0024】
第1収容部132は、ベース100の上面に形成され、ベース100の開口110に沿ってトレンチ(trench)状に形成される。本発明の一実施例において、第1収容部132は、平面視で閉ループ状に形成される。
【0025】
第1収容部132の幅及び深さは、異物捕集膜200の過塗布量を勘案して調節すればよい。
【0026】
第2収容部134は、ベース100の上面に形成され、弾性部材領域ERに沿ってトレンチ(trench)状に形成される。本発明の一実施例において、第2収容部134は、平面視で閉ループ状に形成される。
【0027】
第2収容部134の幅及び深さも、異物捕集膜200の過塗布量を勘案して調節すればよい。
【0028】
図4は、本発明の他の実施例に係るボイスコイルモータのベースを示す平面図である。
【0029】
図1及び図4を参照すると、開口110の形成されているベース100の上面には、粘性を有する異物捕集膜200が形成され、ベース100では、塗布しすぎた異物捕集膜200の一部が開口110を通ってIRフィルター120に侵入することを防止するために、ベース100の開口110の周囲にトレンチ状の収容部140が形成される。トレンチ状の収容部140は平面視で閉ループ状に形成できる。
【0030】
一方、異物捕集膜200が弾性部材領域ERに侵入することを防止するために、弾性部材領域ER及び異物捕集膜200との間には、環状の突出部145が形成される。
【0031】
図5は、本発明のさらに他の実施例に係るボイスコイルモータのベースを示す平面図である。
【0032】
図1及び図5を参照すると、開口110の形成されているベース100の上面には、粘性を有する異物捕集膜200が形成され、ベース100では、塗布しすぎた異物捕集膜200の一部が開口110を通ってIRフィルター120に侵入することを防止するために、ベース100の開口110周辺にトレンチ状の収容部150が形成される。トレンチ状の収容部150は、断続的に形成される。すなわち、トレンチ状の収容部150は、平面視で互いに隔たって複数個が配置される。
【0033】
一方、異物捕集膜200が弾性部材領域ERに侵入することを防止するために、弾性部材領域ERと異物捕集膜200との間には環状の突出部155が形成される。
【0034】
図6は、本発明のさらに他の実施例に係るボイスコイルモータのベースを示す平面図である。
【0035】
開口110の形成されているベース100の上面には粘性を有する異物捕集膜200が形成され、ベース100では、塗布しすぎた異物捕集膜200の一部が弾性部材領域ERに侵入することを防止するために、ベース100の弾性部材領域ERと異物捕集膜200との間にトレンチ状の収容部160が形成される。トレンチ状の収容部160は、平面視で閉ループ状に形成できる。
【0036】
一方、異物捕集膜200が開口110に侵入することを防止するために、開口110に沿って環状の突出部165が形成される。
【0037】
図7は、本発明のさらに他の実施例に係るボイスコイルモータのベースを示す平面図である。
【0038】
開口110の形成されているベース100の上面には、粘性を有する異物捕集膜200が形成され、ベース100では、塗布しすぎた異物捕集膜200の一部が弾性部材領域ERに侵入することを防止するために、ベース100の弾性部材領域ERと異物捕集膜200との間にはトレンチ状の収容部170が形成される。トレンチ状の収容部170は、平面視で、互いに隔たって複数個が形成され、特に、収容部170は、弾性部材領域ERに対応する位置に選択的に形成されてもよい。
【0039】
一方、異物捕集膜200が開口110に侵入することを防止するために、開口110に沿って環状の突出部175が形成される。
【0040】
図1を再び参照すると、可動子300は、レンズを収納するボビン310、及びボビン310の外周面に結合したコイルブロック320を含む。
【0041】
ボビン310は、レンズを収納するために円筒形にすればよく、コイルブロック320は、絶縁樹脂によって絶縁された長い電線をボビン310の外周面に直接巻着したものであってもよく、巻線された状態でボビン310に結合してもよい。
【0042】
固定子400は、ヨーク410及びマグネット420を含む。ヨーク410は、四角筒形に形成され、ヨーク410の内部にはマグネット420が配置され、マグネット420は、ボビン310の外周面に結合しているコイルブロック320に相対するように配置される。
【0043】
弾性部材500は、下部弾性部材510及び上部弾性部材520を含む。
【0044】
下部弾性部材510は一対で形成され、各下部弾性部材510は、ボビン310の下面に結合し、かつコイルブロック320の両側端部に電気的に連結される。
【0045】
各下部弾性部材510は、ジグザグ状に弾性を発生させる弾性部を含み、弾性部は、ベース100の弾性部材領域ERに対応する位置に配置される。
【0046】
上部弾性部材520は、ヨーク410上に配置され、ボビン310の上端と結合する。
【0047】
カバー部材600は、ベース100と結合し、かつ上部弾性部材520を押圧して固定する役割を果たす。
【0048】
以上詳細に説明したように、ベースの上面に異物を捕集する異物捕集膜を形成する他、異物捕集膜の過塗布により異物捕集膜が弾性部材領域及び/またはIRフィルターの装着される開口に侵入することを防止することによって、異物及び異物捕集膜による汚染を防止する効果を奏する。
【0049】
以上本発明の具体的な実施例が説明されたが、これは例示的なもので、当該分野における通常の知識を有する者には、それらの実施例から様々な変形及び均等な範囲における実施例が可能であるということが理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付した特許請求の範囲により定められるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7