(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1設置工程では、前記溝渠連結体の流水直交方向の外側に向けてU字状に突出する変形部が形成された前記自在継手で、前記溝渠連結体の上流側の溝渠部材と下流側の溝渠部材とを略直線状に接続させることにより形成された前記溝渠連結体を用いること
を特徴とする請求項1に記載の溝渠連結体の設置方法。
前記掘削工程では、水路の屈曲箇所の形状に合わせて地面を掘削するとともに、所定の角度で屈曲された前記地面溝の屈曲箇所に、前記変形部を収容する収容溝を形成させて地面を掘削すること
を特徴とする請求項2に記載の溝渠連結体の設置方法。
前記溝渠連結体は、前記溝渠部材が山部と谷部とを流水方向で連続して形成させたコルゲート状であり、前記溝渠部材の谷部の内側に沿うように形成された前記固定金具が、前記溝渠部材の谷部に前記自在継手の端部を介して嵌め込まれること
を特徴とする請求項4に記載の溝渠連結体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された可撓性U字溝や特許文献2に開示されたU字溝自在エルボは、可撓性を有する蛇腹状部がU字溝に設けられることで、水路の屈曲箇所に対応することができる。しかし、これらの蛇腹状部が設けられたU字溝は、あらかじめ所定の角度に固定されたエルボや溶接接合部材を用いるのとは異なり、水路の屈曲箇所に配置される場合に、上流側の直線部分のU字溝と下流側の直線部分のU字溝との接続作業が困難であるという問題点があった。
【0008】
即ち、これらの蛇腹状部が設けられたU字溝は、水路が構築される現場の状況に合わせて、上流側の直線部分のU字溝と下流側の直線部分のU字溝との角度調整が可能となる反面、水路としてのU字形状の保持や砂等の流下による磨耗に対抗できる程度に、蛇腹状部が十分な剛性を有することが必要となり、容易に変形しない強度を備えた蛇腹状部となっている。
【0009】
このため、これらの蛇腹状部が設けられたU字溝は、蛇腹状部が容易に変形しないことから、上流側の直線部分のU字溝と下流側の直線部分のU字溝との屈曲角度に合わせて蛇腹状部を変形させることが困難であるだけでなく、蛇腹状部を変形させながら上流側の直線部分のU字溝と下流側の直線部分のU字溝とを接続させることが困難であるという問題点があった。
【0010】
特に、これらの蛇腹状部が設けられたU字溝は、例えば、蛇腹状部の代わりにゴム製の弾性材料を用いた場合でも、水路の屈曲箇所に対する自在性を十分に備えるものとなる反面、弾性材料を変形させた際の弾性変形によって、上流側の直線部分のU字溝と下流側の直線部分のU字溝とが直線状となるように復元しようとする復元力が作用することになる。このため、ゴム製の弾性材料を用いた場合には、上流側の直線部分のU字溝と下流側の直線部分のU字溝とを屈曲させた状態で接続するために、多大な労力を要することになるという問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、十分な剛性を備える自在継手を用いて溝渠連結体を変形させて、流水方向に屈曲箇所が形成された水路を構築するための溝渠連結体の設置方法及び溝渠連結体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明に係る溝渠連結体の設置方法は、屈曲箇所が形成された水路を構築するための溝渠連結体の設置方法であって、水路の屈曲箇所の形状に合わせて地面を掘削し、所定の角度で屈曲された屈曲箇所を有する地面溝を形成する掘削工程と、前記地面溝の外側で上流側の溝渠部材と下流側の溝渠部材とを自在継手で略直線状に接続させることにより形成された溝渠連結体を用いて、
前記溝渠連結体を下方に向けて傾斜させながら、前記溝渠連結体の上流側の溝渠部材又は下流側の溝渠部材の何れか一方を前記地面溝に嵌め込む第1設置工程と、
前記溝渠連結体を下方に向けて傾斜させたまま、前記地面溝に嵌め込まれた前記溝渠連結体の上流側の溝渠部材又は下流側の溝渠部材の何れか一方を
前記地面溝の側壁から支点反力を得ながら位置保持させて支点とし、前記溝渠連結体の上流側の溝渠部材又は下流側の溝渠部材の何れか他方を
前記地面溝から露出させながら前記地面溝の屈曲箇所の角度に合わせて動かして、前記溝渠連結体の上流側の溝渠部材又は下流側の溝渠部材の何れか他方を前記地面溝に嵌め込む第2設置工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
第2発明に係る溝渠連結体の設置方法は、第1発明において、前記第1設置工程では、前記溝渠連結体の流水直交方向の外側に向けてU字状に突出する変形部が形成された前記自在継手で、前記溝渠連結体の上流側の溝渠部材と下流側の溝渠部材とを略直線状に接続させることにより形成された前記溝渠連結体を用いることを特徴とする。
【0014】
第3発明に係る溝渠連結体の設置方法は、第2発明において、前記掘削工程では、水路の屈曲箇所の形状に合わせて地面を掘削するとともに、所定の角度で屈曲された前記地面溝の屈曲箇所に、前記変形部を収容する収容溝を形成させて地面を掘削することを特徴とする。
【0015】
第4発明に係る溝渠連結体は、第1発明〜第3発明の何れかの溝渠連結体の設置方法に用いられる溝渠連結体であって、前記溝渠連結体は、流水方向で前記溝渠部材の端部に前記自在継手の端部が載せられて、前記自在継手の端部の上側に固定金具が配置されてボルトにより固定されることを特徴とする。
【0016】
第5発明に係る溝渠連結体は、第4発明において、前記溝渠連結体は、前記溝渠部材が山部と谷部とを流水方向で連続して形成させたコルゲート状であり、前記溝渠部材の谷部の内側に沿うように形成された前記固定金具が、前記溝渠部材の谷部に前記自在継手の端部を介して嵌め込まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1発明〜第3発明によれば、上流側溝渠部材と下流側溝渠部材とが自在継手で略直線状に接続させて形成されるため、あらかじめ自在継手を変形させることなく、上流側溝渠部材と下流側溝渠部材とを自在継手で容易に接続することが可能となる。
【0019】
また、第1発明〜第3発明によれば、地面溝に嵌め込まれた上流側溝渠部材又は下流側溝渠部材の何れか一方を支点として、自在継手を作用点、上流側溝渠部材又は下流側溝渠部材の何れか他方を力点とすることで、自在継手が所定の剛性を備えるものであっても、溝渠連結体の自在継手を後から容易に変形させることが可能となる。
【0020】
さらに、第1発明〜第3発明によれば、上流側溝渠部材と下流側溝渠部材とを水平方向で相対的に屈曲させることができるとともに、上流側溝渠部材と下流側溝渠部材とを鉛直方向で相対的に屈曲させることができ、さらに、水平方向と鉛直方向との合成方向で3次元的に屈曲させて、屈曲箇所の角度を自在なものとして、水路を構築することが可能となる。
【0021】
特に、第2発明によれば、地面溝の屈曲箇所で自在継手の変形部がU字状に突出するものとなり、上流側溝渠部材と下流側溝渠部材との屈曲角度に応じて、自在継手を変形部で自在に変形させて、水路の屈曲角度に応じて溝渠連結体を自在に屈曲させることが可能となる。
【0022】
特に、第3発明によれば、掘削工程において、地面溝の屈曲箇所に収容溝が形成され、第2設置工程において、自在継手のU字状の変形部が収容溝に収容されるため、地面溝の底部及び側壁と、自在継手の変形部とが干渉することを回避することができ、溝渠連結体が地面溝から浮き上がることを防止して、水路で流水が阻害されることを回避することが可能となる。
【0023】
第4発明によれば、溝渠部材の内側に固定金具が自在継手の端部を介して取り付けられるため、自在継手の端部が溝渠部材に固定金具で上方から押さえつけられた状態となり、上流側溝渠部材の端部及び下流側溝渠部材の端部から自在継手の各々の端部が外れないように、水密性を確保して自在継手の端部を強固に接続することが可能となる。
【0024】
第5発明によれば、コルゲート状の溝渠部材の谷部の内側に固定金具が自在継手の端部を介して嵌め込まれるため、自在継手の端部をより強固に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る溝渠連結体の設置方法により構築された水路を示す斜視図である。
【
図2】(a)は、本発明に係る溝渠連結体を示す平面図であり、(b)は、その側面図である。
【
図3】(a)は、本発明に係る溝渠連結体の溝渠部材を示す側面図であり、(b)は、その正面図である。
【
図4】本発明に係る溝渠連結体の溝渠部材を示す一部破断拡大側面図である。
【
図5】(a)は、本発明に係る溝渠連結体の自在継手に用いられるゴム板を丸める前の状態を示す斜視図であり、(b)は、その丸めた後の自在継手を示す斜視図である。
【
図6】(a)は、本発明に係る溝渠連結体の変形例の自在継手に用いられるゴム板を丸める前の状態を示す斜視図であり、(b)は、その丸めた後の自在継手を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係る溝渠連結体を示す分解斜視図である。
【
図8】本発明に係る溝渠連結体の自在継手の端部を上流側溝渠部材の端部と下流側溝渠部材の端部とに取り付ける固定金具を示す平面図である。
【
図9】本発明に係る溝渠連結体の他の実施形態において、自在継手の端部を上流側溝渠部材の端部と下流側溝渠部材の端部とに取り付ける固定金具を示す平面図である。
【
図10】(a)は、本発明に係る溝渠連結体の他の実施形態において、固定金具を上流側溝渠部材の端部又は下流側溝渠部材の端部に固定するボルトを示す斜視図であり、(b)は、その変形例を示す斜視図である。
【
図11】本発明に係る溝渠連結体の他の実施形態において、固定金具によって自在継手の端部が上流側溝渠部材の端部又は下流側溝渠部材の端部に接続された状態を示す一部破断拡大側面図である。
【
図12】(a)は、本発明を適用した溝渠連結体の設置方法の掘削工程を説明する平面図であり、(b)は、その側面図である。
【
図13】(a)は、本発明を適用した溝渠連結体の設置方法の掘削工程を説明する
図12におけるE−E断面図であり、(b)は、その変形例を示す断面図である。
【
図14】(a)は、本発明を適用した溝渠連結体の設置方法の第1設置工程を説明する平面図であり、(b)は、その側面図である。
【
図15】(a)は、本発明を適用した溝渠連結体の設置方法の第2設置工程を説明する平面図であり、(b)は、その側面図である。
【
図16】本発明に係る溝渠連結体の自在継手が上流側溝渠部材と下流側溝渠部材との間で変形する態様を示す平面図である。
【
図17】本発明に係る溝渠連結体の他の実施形態において、自在継手が上流側溝渠部材と下流側溝渠部材との間で変形する態様を示す平面図である。
【
図18】(a)は、本発明に係る溝渠連結体の上流側溝渠部材と下流側溝渠部材とが鉛直方向で屈曲する態様を示す平面図であり、(b)は、その側面図である。
【
図19】(a)は、本発明に係る溝渠連結体の上流側溝渠部材と下流側溝渠部材との水平方向の屈曲を説明する正面図であり、(b)は、その鉛直方向の屈曲を説明する正面図であり、(c)は、その水平方向と鉛直方向とが合成された屈曲を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を適用した溝渠連結体の設置方法及び溝渠連結体1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、
図1に示すように、流水方向Xに屈曲箇所が形成された水路8を構築するものであり、本発明を適用した溝渠連結体1を地面9に設置することによって水路8が構築されるものとなる。
【0029】
水路8は、流水方向Xの上流側Aから下流側Bに向けて水を流すことを目的として、農業用水路、工業用水路又は工事用仮設水路等の開渠又は暗渠として構築される。
【0030】
本発明を適用した溝渠連結体1は、一対の溝渠部材2と、これらを連結する自在継手5とを備えるものであり、
図2に示すように、流水方向Xの上流側Aに設置される上流側溝渠部材3と、流水方向Xの下流側Bに設置される下流側溝渠部材4と、上流側溝渠部材3と下流側溝渠部材4とを略直線状に接続させる自在継手5とを備える。
【0031】
溝渠部材2は、上流側溝渠部材3及び下流側溝渠部材4の何れにおいても、山部2aと谷部2bとが流水方向Xで波状に連続して形成されたコルゲート状のものが用いられる。溝渠部材2は、これに限らず、山部2aと谷部2bとが流水直交方向の高さ方向Y及び幅方向Zで連続して形成されたコルゲート状のものが用いられてもよい。溝渠部材2は、上流側溝渠部材3及び下流側溝渠部材4の何れか一方又は両方でコルゲート状のものが用いられなくてもよい。
【0032】
溝渠部材2は、
図3に示すように、鋼板を湾曲させることによって、上方に向けて開口させて形成された断面略U字形状の鋼製U字溝が用いられる。溝渠部材2は、これに限らず、樹脂製、コンクリート製等、如何なる材質のものが用いられてもよく、断面略円形状の管体が用いられてもよい。溝渠部材2は、流水直交方向の幅方向Zの両側端にフランジ25が形成される。
【0033】
溝渠部材2は、
図3(a)に示すように、自在継手5との重ね代を約19mmとして、全体の長さLが流水方向Xで約1058mmとなるように形成される。溝渠部材2は、
図3(b)に示すように、流水直交方向で高さhが約450mm、幅bが約500mmとなるように形成される。溝渠部材2は、これに限らず、如何なる寸法で形成されてもよい。
【0034】
溝渠部材2は、
図4に示すように、板厚が約1.6mm〜4.0mmの鋼板を用いて、山部2aと谷部2bとが波状に連続して形成される。溝渠部材2は、流水方向Xで谷部2bの両側に形成される山部2aのピッチPを約68mmとし、山部2aと谷部2bとの間の深さdを約13mmとする。溝渠部材2は、これに限らず、如何なる寸法の波状に形成されてもよい。
【0035】
自在継手5は、
図5に示すように、U字状に突出して形成される変形部55と、変形部55の両側に形成される平板部56とを備える。自在継手5は、
図5(a)に示すように、CRゴム等の樹脂材を材料とするゴム板を用いるものであり、変形部55の高さhが約160mm、全体の幅bが約720mmの長尺のゴム板を切断することによって、丸める前の状態のゴム板が形成される。自在継手5は、
図5(b)に示すように、このゴム板を丸めることによって、流水直交方向の高さ方向Y及び幅方向Zで外側に向けて、変形部55がU字状に突出するものとなる。
【0036】
自在継手5は、変形例において、
図6(a)に示すように、全体の幅bが約1000mmの長尺のゴム板を切断することによって、丸める前の状態のゴム板が平面略矩形状に形成される。自在継手5は、これに限らず、幅bの大きさを両端で異ならせることによって、平面略扇形状に形成されてもよい。自在継手5は、変形例において、
図6(b)に示すように、このゴム板を丸めることによって形成される。また、自在継手5は、これに限らず、如何なる材料が用いられてもよく、如何なる寸法によって、如何なる方法で製作されてもよい。
【0037】
本発明を適用した溝渠連結体1は、地上の平場等で製作されるものであり、
図7に示すように、流水方向Xの上流側溝渠部材3の端部31と、流水方向Xの下流側溝渠部材4の端部41とに、自在継手5の各々の端部51が載せられて、自在継手5の各々の端部51の上側に固定金具6が配置されて取り付けられることにより、上流側溝渠部材3と下流側溝渠部材4とを略直線状に接続させて形成される。
【0038】
本発明を適用した溝渠連結体1は、固定金具6に鋼製のプレートが用いられ、このプレートを湾曲させて固定金具6がU字状に形成される。固定金具6は、
図8に示すように、上流側溝渠部材3の端部31及び下流側溝渠部材4の端部41の上側に自在継手5の端部51が載せられた状態で、この自在継手5の端部51の上側に配置される。固定金具6は、
図4に示すボルト孔26に挿通されたボルト62によって、自在継手5の端部51に沿って固定される。
【0039】
このとき、本発明を適用した溝渠連結体1は、溝渠部材2の山部2aの内側に配置された止水材61によって水密性を向上させた状態で、プレートの固定金具6が上流側溝渠部材3の端部31及び下流側溝渠部材4の端部41に自在継手5の端部51を介して固定される。
【0040】
これにより、本発明を適用した溝渠連結体1は、止水材61によって水密性を向上させた状態で、自在継手5の端部51が溝渠部材2の山部2aに固定金具6で上方から押さえつけられた状態となり、上流側溝渠部材3の端部31又は下流側溝渠部材4の端部41から自在継手5の各々の端部51が外れないように、自在継手5の端部51を強固に接続することが可能となる。
【0041】
本発明を適用した溝渠連結体1は、他の実施形態において、
図9に示すように、固定金具6に鋼製の丸棒が用いられ、この丸棒を湾曲させて、溝渠部材2の谷部2bの内側に沿うように固定金具6がU字状に形成される。固定金具6は、上流側溝渠部材3の端部31及び下流側溝渠部材4の端部41の上側に自在継手5の端部51が載せられた状態で、この自在継手5の端部51の上側に配置されてボルト62によって固定される。
【0042】
このとき、固定金具6は、上流側溝渠部材3の端部31及び下流側溝渠部材4の端部41と自在継手5の端部51との間で、溝渠部材2の谷部2bにゴムパッキン等の止水材61が配置され、
図10(a)に示すように、溝渠部材2のフランジ25に設けられたボルト孔26にU字状のボルト62の両端を挿通させて、ナット63を締結させることによって固定される。
【0043】
また、固定金具6は、変形例において、
図10(b)に示すように、フック状の取付部64が設けられたボルト62が用いられ、溝渠部材2のフランジ25に取付部64を引っ掛けた状態で、溝渠部材2のフランジ25に設けられたボルト孔26にボルト62の一端を挿通させて、ナット63を締結させることによって固定されてもよい。
【0044】
このとき、本発明を適用した溝渠連結体1は、他の実施形態において、
図11に示すように、溝渠部材2の谷部2bの内側に配置された止水材61によって水密性を向上させた状態で、丸棒の固定金具6が溝渠部材2の谷部2bの内側に自在継手5の端部51を介して嵌め込まれる。
【0045】
これにより、本発明を適用した溝渠連結体1は、他の実施形態において、止水材61によって水密性を向上させた状態で、自在継手5の端部51が溝渠部材2の谷部2bに固定金具6で上方から押さえつけられた状態となり、
図9に示すように、上流側溝渠部材3の端部31又は下流側溝渠部材4の端部41から自在継手5の各々の端部51が外れないように、自在継手5の端部51をより強固に接続することが可能となる。
【0046】
また、本発明を適用した溝渠連結体1は、他の実施形態において、溝渠部材2の谷部2bに丸棒の固定金具6が嵌まり込み、固定金具6で水路8の流水が阻害されることが防止されるとともに、流水中の小石等が固定金具6に衝突することを回避することができ、さらに、流水中の落葉等がボルト62に引っ掛かって、流水が阻害されることを防止することが可能となる。
【0047】
本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、
図12、
図13に示すように、地面9を掘削して地面溝7を形成する掘削工程と、
図14に示すように、上流側溝渠部材3を地面溝7に嵌め込む第1設置工程と、
図15に示すように、下流側溝渠部材4を地面溝7に嵌め込む第2設置工程とを備えるものである。
【0048】
本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、最初に、
図12(a)に示すように、掘削工程において、
図1に示す水路8の屈曲箇所の形状に合わせて地面9を掘削し、所定の角度で屈曲された屈曲箇所7aを有する地面溝7を形成するものである。
【0049】
地面溝7は、屈曲箇所7aの上流側Aで上流側地面溝71が形成されるとともに、下流側Bで下流側地面溝72が形成される。また、地面溝7は、
図12(b)に示すように、屈曲箇所7aで上流側地面溝71及び下流側地面溝72より深く掘削することで収容溝75が形成される。地面溝7は、
図13(a)に示すように、底部7bに対して側壁7cが略垂直に形成されるものとなる。地面溝7は、これに限らず、
図13(b)に示すように、底部7bに対して側壁7cを傾斜させて形成されてもよい。
【0050】
本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、次に、
図14(a)に示すように、第1設置工程において、地面溝7の外側の平場等で組み立てられた溝渠連結体1を用いるものであり、
図14(b)に示すように、溝渠連結体1の下流端から上流端にかけて溝渠連結体1を下方に向けて傾斜させて、上流側溝渠部材3の一部を上流側地面溝71に嵌め込むものとなる。
【0051】
本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、最後に、
図15(a)に示すように、第2設置工程において、上流側溝渠部材3が上流側地面溝71の側壁7cから支点反力Rを得ながら、上流側地面溝71に嵌め込まれた上流側溝渠部材3の一部を支点として、下流側溝渠部材4を地面溝7の屈曲箇所7aの角度に合わせて動かして、
図15(b)に示すように、下流側溝渠部材4を下流側地面溝72に嵌め込むものとなる。
【0052】
なお、本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、これに限らず、第1設置工程において、溝渠連結体1の上流端から下流端にかけて溝渠連結体1を下方に向けて傾斜させて、先に下流側溝渠部材4を下流側地面溝72に嵌め込むものとして、第2設置工程において、後から上流側溝渠部材3を上流側地面溝71に嵌め込むものともよい。
【0053】
自在継手5は、水路8を水平方向に屈曲させる場合に、
図16に示すように、屈曲箇所7aの外角側Cにおいて、一対の平板部56が互いに離間するように移動して、U字状の変形部55が広がるように変形するとともに、屈曲箇所7aの内角側Dにおいて、一対の平板部56が互いに接近するように移動して、U字状の変形部55が狭まるように変形する。
【0054】
また、自在継手5は、
図6に示す変形例において、水路8を水平方向に屈曲させる場合に、
図17に示すように、屈曲箇所7aの外角側Cで自在継手5が延びるように広がって変形するとともに、屈曲箇所7aの内角側Dで流水直交方向の外側に向けて自在継手5がたるむように変形し、U字状に突出する変形部55が形成されるものとなる。
【0055】
これにより、本発明を適用した溝渠連結体1は、上流側溝渠部材3と下流側溝渠部材4との屈曲角度に応じて、自在継手5を変形部55で自在に変形させて、水路8の屈曲角度に応じて溝渠連結体1を自在に屈曲させることが可能となる。
【0056】
本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、掘削工程において、
図12に示すように、地面溝7の屈曲箇所7aで収容溝75が形成され、第2設置工程において、
図15に示すように、自在継手5のU字状の変形部55が収容溝75に収容されるため、
図13に示す地面溝7の底部7b及び側壁7cと、自在継手5のU字状の変形部55とが干渉することを回避することができ、溝渠連結体1が地面溝7から浮き上がることを防止することができる。
【0057】
これにより、本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、地面溝7の屈曲箇所7aで収容溝75に自在継手5の変形部55が収容され、溝渠連結体1が地面溝7から浮き上がることを防止して、水路8を水が流れる際に流水が阻害されることを回避することが可能となる。
【0058】
本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、第2設置工程において、
図15に示すように、地面溝7に嵌め込まれた上流側溝渠部材3又は下流側溝渠部材4の何れか一方を支点として、自在継手5を作用点、上流側溝渠部材3又は下流側溝渠部材4の何れか他方を力点とすることで、自在継手5が所定の剛性を備えるものであっても、上流側溝渠部材3と下流側溝渠部材4とを水平方向で容易に屈曲させることが可能となる。
【0059】
ここで、本発明を適用した溝渠連結体1は、
図2に示すように、上流側溝渠部材3と下流側溝渠部材4とが自在継手5で略直線状に接続させて形成されるため、あらかじめ自在継手5を変形させることなく、上流側溝渠部材3と下流側溝渠部材4とを自在継手5で容易に接続して、溝渠連結体1を形成させることができるものである。これにより、本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、第2設置工程において、
図15に示すように、自在継手5を後から容易に変形させることが可能となる。
【0060】
また、本発明を適用した溝渠連結体1は、流水直交方向で高さ方向Y及び幅方向Zに延びるようにして自在継手5にU字状の変形部55が形成されるため、
図18(a)に示すように、変形部55の上端が広がるように変形するとともに、
図18(b)に示すように、変形部55の下端が狭まるように変形することで、上流側溝渠部材3と下流側溝渠部材4とを鉛直方向で容易に屈曲させることも可能となる。
【0061】
これにより、本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、
図19(a)に示すように、上流側溝渠部材3と下流側溝渠部材4とを、水平方向となる幅方向Zで相対的に屈曲させて水路8を構築することを可能とするものとなる。また、本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、
図19(b)に示すように、上流側溝渠部材3と下流側溝渠部材4とを、鉛直方向となる高さ方向Yで相対的に屈曲させることを可能とするものとなる。さらに、本発明を適用した溝渠連結体の設置方法は、
図19(c)に示すように、水平方向となる高さ方向Yと鉛直方向となる幅方向Zの合成方向で3次元的に屈曲させて、屈曲箇所の角度を自在なものとして、水路8を構築することを可能とするものとなる。
【0062】
本発明を適用した溝渠連結体1は、地滑りや地震による外力が水路8に作用した場合であっても、上流側溝渠部材3と下流側溝渠部材4との相対的な屈曲変形を自在継手5で吸収し、水路8が破損することを防止することが可能となる。また、本発明を適用した溝渠連結体1は、水路8が構築される現場の状況に合わせて、上流側溝渠部材3と下流側溝渠部材4とを相対的に自在に屈曲させることができ、屈曲角度ごとに角度を変えて製作することが必要とされないため、製作コストを抑制して短い納期で製作することが可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。