(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6192950
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】ボックスパレット
(51)【国際特許分類】
B65D 19/06 20060101AFI20170828BHJP
B65D 21/032 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
B65D19/06
B65D21/032
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-38249(P2013-38249)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-162551(P2014-162551A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】岩田 貴雄
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−192938(JP,A)
【文献】
特開2008−056304(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3101839(JP,U)
【文献】
特開2005−219754(JP,A)
【文献】
特開2010−222009(JP,A)
【文献】
特開2009−154912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/06
B65D 21/032
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット部材と、相対する一方の側壁部材と、相対するもう一方の側壁部材とからなるボックスパレットにおいて、
自身とは異なる骨格型ボックスパレット上に、自身を段積みした場合に、前記パレット部材の側部桁の長手方向に沿った長辺側の外側垂直面と、側部桁の短辺方向に沿った短辺側の外側垂直面とにより形成される角部に、前記骨格型ボックスパレットに形成された段積み用受け具が嵌合される切欠部が形成されているとともに、
前記相対する一方の側壁部材と、相対するもう一方の側壁部材とには、それぞれ、上方に突出する凸部が形成され、
自身と同型のボックスパレット上に、自身を段積みした場合に、前記パレット部材の前記角部とは異なる部位に、前記自身と同型のボックスパレットの前記凸部が嵌合される凹部が形成され、当該凹部は、前記切欠部よりも奥行き方向に深く切り欠かれていることを特徴とするボックスパレット。
【請求項2】
ボックスパレットに形成された段積み用受け具が嵌合される側部桁の切欠部付近の角部付近に位置するリブ構造内には、角部区画室が形成されており、角部区画室内には、区画対角リブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のボックスパレット。
【請求項3】
角部区画室内には、土手部の外壁に垂直で、且つ、区画対角リブまで達しない補助リブが形成されていることを特徴とする請求項2に記載のボックスパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーク挿入口が形成されているパレット部材と側壁部材とからなるボックスパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フォーク挿入口が形成されているパレット部材と、箱型に組み立てられた状態の垂直状態の一方の相対する側壁部材を、引き抜くことにより、パレット部材から取り外すことが可能な一方の相対する側壁部材と、一方の相対する側壁部材が取り外された後に、パレット部材にヒンジ連結された、もう一方の相対する側壁部材をパレット部材に重なるように倒し、その後、一方の相対する側壁部材を、倒されたもう一方の相対する側壁部材に重ねることにより、ボックスパレットの一方の相対する側壁部材及びもう一方の相対する側壁部材を、折り畳むことができるように構成されたボックスパレットが、一例として、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−192938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図7に示されているように、パレット部材1’と、パレット部材1’の4つの角部に立設された角部支柱2’と、角部支柱2’の上端部を連結する水平バー3’等からなるボックスパレットB’が知られている。このような、ボックスパレットB’を構成する水平バー3’の角部には、平面形状がL字状のずれ防止用受け具4’が取り付けられており、また、ずれ防止用受け具4’は、上端角部を形成する隣接する2本の水平バー3’の端部に跨がるように取り付けられている。以下、便宜的に、このようなボックスパレットB’を、骨格型のボックスパレットと称する。
【0005】
上述した骨格型のボックスパレットB’に、特許文献1に開示されているようなボックスパレットを段積みする際には、特許文献1に開示されているボックスパレットのパレット部材には、下に位置する骨格型のボックスパレットB’に形成されている段積み用受け具4’が嵌合される嵌合部が形成されていないために、下に位置する骨格型のボックスパレットB’に、特許文献1に開示されているようなボックスパレットを段積みすることができないという問題があった。
【0006】
また、骨格型のボックスパレットB’に、特許文献1に開示されているようなボックスパレットを段積みする際には、特許文献1に開示されているボックスパレットのパレット部材に、単に、骨格型のボックスパレットB’に形成されている段積み用受け具4’が嵌合される切欠部を形成しただけでは、特許文献1に開示されているボックスパレットのパレット部材の角部に、負荷が集中するために、特許文献1に開示されているボックスパレットのパレット部材の角部が損傷するという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来のボックスパレットが有する課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した目的を達成するために、
パレット部材と、相対する一方の側壁部材と、相対するもう一方の側壁部材とからなるボックスパレットにおいて、第1には、
自身とは異なる骨格型ボックスパレット上に、自身を段積みした場合に、前記パレット部材の側部桁の長手方向に沿った長辺側の外側垂直面と、側部桁の短辺方向に沿った短辺側の外側垂直面とにより形成される角部に、
前記骨格型ボックスパレットに形成された段積み用受け具が嵌合される切欠部が形成されている
とともに、
前記相対する一方の側壁部材と、相対するもう一方の側壁部材とには、それぞれ、上方に突出する凸部が形成され、
自身と同型のボックスパレット上に、自身を段積みした場合に、前記パレット部材の前記角部とは異なる部位に、前記自身と同型のボックスパレットの前記凸部が嵌合される凹部が形成され、当該凹部は、前記切欠部よりも奥行き方向に深く切り欠かれているものであり、
第2には、ボックスパレットに形成された段積み用受け具が嵌合される側部桁の切欠部付近の角部付近に位置するリブ構造には、角部区画室が形成されており、角部区画室内に、区画対角リブを形成したものであり、
第3には、角部区画室内に、土手部の外壁に垂直で、且つ、区画対角リブまで達しない補助リブを形成したものである。
【発明の効果】
【0009】
パレット部材と、相対する一方の側壁部材と、相対するもう一方の側壁部材とからなるボックスパレットにおいて、側部桁の長手方向に沿った長辺側の外側垂直面と、側部桁の短辺方向に沿った短辺側の外側垂直面とにより形成される角部に、
骨格型ボックスパレットに形成された段積み用受け具が嵌合される切欠部を形成したので、既存の
骨格型ボックスパレットの上に、発明のボックスパレットを段積みすることができるとともに、発明のボックスパレットの水平移動を阻止することができる。
【0010】
ボックスパレットに形成された段積み用受け具が嵌合される側部桁の切欠部付近の角部付近に位置するリブ構造には、角部区画室が形成されており、角部区画室内に、区画対角リブを形成したので、側部桁の角部の強度や剛性を向上させることができ、ひいては、パレット部材の強度や剛性を向上させることができる。
【0011】
角部区画室内に、土手部の外壁に垂直で、且つ、区画対角リブまで達しない補助リブを形成したので、側部桁の角部の強度や剛性を更に向上させることができ、ひいては、パレット部材の強度や剛性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明のボックスパレットの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明のボックスパレットを構成するパレット部材の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明のボックスパレットを構成するパレット部材の部分拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明のボックスパレットは、骨格型のボックスパレットに段積みされた状態の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明のボックスパレットは、骨格型のボックスパレットに段積みされた状態の部分拡大斜視図である。
【
図6】
図6は、ボックスパレットを構成するパレット部材の部分拡大水平断面図である。
【
図7】
図7は、骨格型のボックスパレットの斜視図である。
【実施例】
【0013】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら、本発明の実施例に限定されるものではない。
【0014】
図1において、Bは、ボックスパレットであり、ボックスパレットBは、特許文献1に記載されているように、パレット部材1と、箱型に組み立てられた状態から、上方に引く抜くことができる、相対する一方の側壁部材2と、パレット部材1に重なるように、パレット部材1にヒンジ連結された相対するもう一方の側壁部材3とから構成されている。
【0015】
パレット部材1は、パレット部材1の相対する一方の辺部に形成された土手部1aと、パレット部材1の相対するもう一方の辺部に形成された土手部1bとを有しており、相対する一方の辺部に形成された土手部1aは、相対するもう一方の辺部に形成された土手部1bより高く形成されている。以下、相対する一方の辺部に形成された土手部1aを、高部土手部と称し、また、高部土手部1aより低い、相対するもう一方の辺部に形成された土手部1bを、以下、低部土手部と称する。
【0016】
図1に示されているように、ボックスパレットBのパレット部材1の裏面には、相対する低部土手部1bに沿って、側部桁1cが形成されており、また、相対する側部桁1cの中間部には、側部桁1cと平行な中間桁1dが形成されている。パレット部材1の裏面に形成された側部桁1cと中間桁1dとの間に、フォーク挿入部1eが形成されている。
【0017】
側部桁1cには、骨格型のボックスパレットB’を構成する、隣接する2本の水平バー3’の端部に跨がるように取り付けられた段積み用受け具4’が嵌合される切欠部Cが形成されている。
【0018】
側部桁1cの長手方向に沿った長辺側の外側垂直面1b1と、側部桁1cの短辺方向に沿った短辺側の外側垂直面1b2とにより形成される角部に、上述した骨格型のボックスパレットB’に形成された段積み用受け具4’が嵌合される切欠部Cが形成されている。切欠部Cは、長辺側の外側垂直面1b1と短辺側の外側垂直面1b2とにより形成されるパレット部材1の角部1fに、該角部1f挟んで位置する長辺側の外側垂直面1b1と短辺側の外側垂直面1b2とに跨がって、平面形状がL字状のずれ防止用受け具4’に対応してL字状に形成されている。切欠部Cは、下部と側部が開放された裏面形状が、L字状に形成されている。
【0019】
図4及び
図5に示されているように、骨格型のボックスパレットB’の水平バー3’の上端面に、ボックスパレットBのパレット部材1を載置した際には、上方に位置する骨格型のボックスパレットB’の水平バー3’の角部に取り付けられた平面形状がL字状のずれ防止用受け具4’の上部が、上方に位置するボックスパレットBのパレット部材1を構成する側部桁1cの長辺側の外側垂直面1b1と短辺側の外側垂直面1b2とにより形成される角部1fに形成されたL字状の切欠部Cに嵌合されるように構成されている。
【0020】
図6には、ボックスパレットBのパレット部材1の部分拡大水平断面が示されている。パレット部材1の内部は、相対する高部土手部1aに平行な多数のリブ4aと、相対する低部土手部1bに平行な多数のリブ4bとからなるリブ構造4として形成されている。
【0021】
パレット部材1の内部に形成されたリブ構造4のうち、パレット部材1の長辺側の外側垂直面1b1と短辺側の外側垂直面1b2とにより形成されるパレット部材1の角部1fに形成された切欠部C付近には、側部桁1cの長辺側の外側垂直面1b1に平行なリブ、換言すれば、低部土手部1bに平行なリブ5aと、側部桁1cの短辺側の外側垂直面1b2に平行なリブ、換言すれば、高部土手部1aに平行なリブ5bと、高部土手部1aの外壁と、低部土手部1bの外壁とにより囲まれた角部区画室5が形成されている。
【0022】
パレット部材1の内部に形成されたリブ構造4のうち、側部桁1cの角部1fに形成された角部区画室5内には、側部桁1cの長辺側の外側垂直面1b1に平行なリブ5aと側部桁1cの短辺側の外側垂直面1b2に平行なリブ5bとの接点部5cとパレット部材1の角部1fとの間を連結する区画対角リブ5dが形成されている。このような区画対角リブ5dを、角部区画室5内に形成することにより、側部桁1cの角部f1の強度や剛性を向上させることができ、ひいては、パレット部材1の強度や剛性を向上させることができる。
【0023】
また、角部区画室5内には、低部土手部1bの外壁に垂直で、且つ、区画対角リブ5dまで達しない補助リブ5e1が形成されており、更に、角部区画室5内には、高部土手部1aの外壁に垂直で、且つ、区画対角リブ5dまで達しない補助リブ5e2が形成されている。このような補助リブ5e1、5e2を形成することにより、側部桁1cの角部f1の強度や剛性を更に向上させることができ、ひいては、パレット部材1の強度や剛性を更に向上させることができる。
【0024】
なお、上述した実施例においては、水平バー3’の角部に、平面形状がL字状のずれ防止用受け具4’が形成されている骨格型のボックスパレットB’の例が示されているが、角部に、平面形状がL字状のずれ防止用受け具4’が形成されていれば、骨格型のボックスパレットB’に限らず、どのようなボックスパレットに、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
B・・・・・・・・・・・ボックスパレット
C・・・・・・・・・・・切欠部
1・・・・・・・・・・・パレット部材
1a・・・・・・・・・・高部土手部
1b・・・・・・・・・・低部土手部
2、3・・・・・・・・・側壁部材
4・・・・・・・・・・・リブ構造
4’・・・・・・・・・・ずれ防止用受け具
5・・・・・・・・・・・角部区画室
5d・・・・・・・・・・区画対角リブ
5e1、5e2・・・・・補助対角リブ