(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193007
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】車輌用遠心式電動コンプレッサ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/058 20060101AFI20170828BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20170828BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20170828BHJP
H02K 7/09 20060101ALI20170828BHJP
F16C 32/04 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
F04D29/058
F04D29/00 B
H02K7/14 A
H02K7/09
F16C32/04 A
F16C32/04 B
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-130344(P2013-130344)
(22)【出願日】2013年6月21日
(65)【公開番号】特開2014-5833(P2014-5833A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2016年5月18日
(31)【優先権主張番号】12305730.9
(32)【優先日】2012年6月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513157198
【氏名又は名称】エスカエフ・マニュティック・メシャトロニク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ランダーヌ・ラテブ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ・シュローダー
(72)【発明者】
【氏名】ジョアキム・ダ・シルヴァ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・エレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ポンソン
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−068595(JP,A)
【文献】
特表2005−519214(JP,A)
【文献】
特表2004−535531(JP,A)
【文献】
特開2006−152994(JP,A)
【文献】
特開2002−325490(JP,A)
【文献】
米国特許第05857348(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/058
F16C 32/04
H02K 7/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌用冷暖房空調システムのための電動コンプレッサであって、
該電動コンプレッサが、モータ部分(20)と、シャフト(15)を通じて前記モータ部分(20)によって駆動される遠心式コンプレッサ部分(10)とを備え、
該電動コンプレッサの機能動作中に前記シャフト(15)を浮揚させるための電磁式手段と、補助接地ベアリング(8)とをさらに備え、
前記モータ部分(20)は、軸方向ベアリングレスモータ(130)と、前記シャフト(15)を浮揚させるための径方向電磁式手段とを備え、
前記径方向電磁式手段は、第1径方向ベアリングレスモータ及び第2径方向ベアリングレスモータ(180)を備えていることを特徴とする、電動コンプレッサ。
【請求項2】
前記軸方向ベアリングレスモータ(130)と前記鉄シャフト(15)を浮揚させるための前記径方向電磁式手段との間にセパレータ(9)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動コンプレッサ。
【請求項3】
前記軸方向ベアリングレスモータ(130)は、複数の極の対を持つ電機子(138)を有したロータ部分(131)と、第1ステータ部分及び第2ステータ部分(132,133)と、を備え、各第1ステータ部分及び第2ステータ部分(132,133)は、モータトルク及び軸方向支持力を与えるように構成された巻線部を受けるためのスロット(134,135)をそれぞれ有したコアを備え、前記第1ステータ部分及び第2ステータ部分(132,133)は、前記ロータ部分(131)の両側に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動コンプレッサ。
【請求項4】
モータトルク及び軸方向支持力をそれぞれ与えるために、前記第1ステータ部分及び前記第2ステータ部分(132,133)の前記スロット(134,135)に、個別の巻線部が、設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電動コンプレッサ。
【請求項5】
モータトルク及び軸方向支持力を与えるために、前記第1ステータ部分及び第2ステータ部分(132,133)の前記スロット(134,135)に、共通の巻線部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電動コンプレッサ。
【請求項6】
前記軸方向ベアリングレスモータ(130)は、誘導ロータ、永久磁石ロータ、ヒステリシスロータ及びリラクタンスロータのうちから選択されるロータ部分(131)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電動コンプレッサ。
【請求項7】
前記遠心式コンプレッサ部分(10)は、前記シャフト(15)の第1端にホイール(11)を備え、
前記軸方向ベアリングレスモータ(130)及び前記径方向電磁式手段と結合された制御回路(70)が、前記シャフト(15)の第2端に設置され、且つフィードスルー(74)を介して前記軸方向ベアリングレスモータ(130)及び前記径方向電磁式手段に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電動コンプレッサ。
【請求項8】
前記遠心式コンプレッサ部分(10A,10B)は、直列型のホイール(11,12)を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電動コンプレッサ。
【請求項9】
前記遠心式コンプレッサ部分(10A,10B)は、二重直列型のホイール(11,13,12,14)を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電動コンプレッサ。
【請求項10】
前記遠心式コンプレッサ部分(10)は、二重ホイール(11,13)を備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電動コンプレッサ。
【請求項11】
前記モータ部分(20)は電気モータ(30)を備え、かつ、前記シャフト(15)を浮揚させるための前記電磁式手段は、能動型軸方向磁気ベアリング(60)と、前記電気モータ(30)の両側に設置された第1能動型径方向磁気ベアリング及び第2能動型径方向磁気ベアリング(40,50)と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電動コンプレッサ。
【請求項12】
遠心式コンプレッサ部分(10)は、前記シャフト(15)の第1端に少なくとも1つのホイール(11)を備え、
能動型軸方向磁気ベアリング(60)は、前記遠心式コンプレッサ部分(10)の近傍に設置され、
前記電気モータ(30)と、前記能動型軸方向磁気ベアリング(60)と、前記第1能動型径方向磁気ベアリング及び前記第2能動型径方向磁気ベアリング(40,50)と、に結合された制御回路(70)は、前記シャフト(15)の第2端に設置され、且つフィードスルー(74)を介して前記電気モータ(30)と、前記能動型軸方向磁気ベアリング(60)と、前記第1能動型径方向磁気ベアリング及び前記第2能動型径方向磁気ベアリング(40,50)と、に接続されていることを特徴とする請求項11に記載の電動コンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心式電動コンプレッサに関し、より具体的には、車輌用の冷暖房空調(HVAC)設備に用いられるように構成された遠心式電動コンプレッサに関する。
【0002】
車輌は、特に陸上車輌、例えばハイブリッド電気車輌(HEV)または電気車輌(EV)及び航空機もしくは他の種類の車輌を含んでもよい。
【背景技術】
【0003】
従来の電動コンプレッサ、例えば車輌用のHVAC用コンプレッサは、通常、電気モータと結合されている。
【0004】
このような電気モータに駆動されるコンプレッサの例は、特許文献1に示される。
【0005】
このような型の電気モータに駆動されるコンプレッサは、潤滑、冷媒、低い動作速度、摩擦損失及び小型でないことに関連する多くの欠点を有している。
【0006】
HEV/EV車輌では主に2つのカテゴリーのHVAC用電動コンプレッサが用いられる:ベーンコンプレッサのような回転するもの、スクロール型コンプレッサのような揺動するものである。
【0007】
電気モータと結合されるこれらの種類の電動コンプレッサ双方は、以下の欠点を有している。
− さまざまな機械的部分に対して潤滑が必要とされる。
− 潤滑オイル及び冷媒(例えばハロアルカン冷媒R134aまたは最近さらに使用されているハイドロフルオロオレフィン冷媒HFO−1234yf)の適合性を確かめる必要がある。
− 電気モータの巻線部を絶縁不良の危険性から保護するために、潤滑剤は、注意して選択されるべきである。
− オイルセパレータ及び漏れ検出装置が、EV/HEV車輌内の電気システムが汚れることを防ぐために必要とされる。
− 従来の電動コンプレッサは、制限された速度を有し、10,000rpmを超えることができない。
− 摩擦損失は、電動コンプレッサの動作に対して好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6183215号明細書
【特許文献2】米国特許第6727618号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、これら問題の多くを解決することができる電動コンプレッサを提供することが望まれている。
【0010】
本発明は特に、排他的ではないが、自動車用空調利用を目的としており、従って、車輌で発生する高レベルの振動を考慮した電動コンプレッサを提供することをさらに目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態によれば、車輌用冷暖房空調システムのための電動コンプレッサが提供され、該電動コンプレッサは、モータ部分と、シャフトを通じて該モータ部分によって駆動される遠心式コンプレッサ部分と、を備え、前記電動コンプレッサの機能動作中に前記シャフトを空中浮揚させるための電磁式手段と、補助接地ベアリングと、を備えている。
【0012】
好ましい実施形態によれば、前記モータ部分は、軸方向ベアリングレスモータと、前記シャフトを浮揚させるための径方向電磁式手段と、を備えている。
【0013】
径方向電磁式手段は、第1能動型径方向磁気ベアリング及び第2能動型径方向磁気ベアリングを備えてもよい。
【0014】
別の実施形態によれば、径方向電磁式手段は、第1径方向ベアリングレスモータ及び第2径方向ベアリングレスモータを備えている。
【0015】
遠心式コンプレッサ部分は、単一のホイール、二重ホイール、直列型のホイールまたは二重直列型のホイールを備えてもよい。
【0016】
特別な特性によれば、軸方向ベアリングレスモータと鉄シャフトを浮揚させるための径方向電磁式手段との間にセパレータが設けられている。
【0017】
有利には、軸方向ベアリングレスモータは、複数の極の対を持つ電機子を有したロータ部分と、第1ステータ部分及び第2ステータ部分と、を備え、各第1ステータ部分及び第2ステータ部分は、モータトルク及び軸方向支持力を与えるように構成された巻線部を受けるためのスロットをそれぞれ有したコアを備え、第1ステータ部分及び第2ステータ部分は、ロータ部分の両側に設置されている。
【0018】
モータトルク及び軸方向支持力をそれぞれ与えるために、第1ステータ部分及び第2ステータ部分のスロットに、個別の巻線部が設けられてもよい。
【0019】
あるいは、モータトルク及び軸方向支持力を与えるために、第1ステータ部分及び第2ステータ部分のスロットに、共通の巻線部が設けられている。
【0020】
軸方向ベアリングレスモータは、誘導ロータ、永久磁石ロータ、ヒステリシスロータ及びリラクタンスロータのうちから選択されるロータ部分を備えてもよい。
【0021】
特別な実施形態によれば、遠心式コンプレッサ部分は、前記シャフトの第1端にホイールを備え、軸方向ベアリングレスモータと結合された制御回路及び前記径方向電磁式手段が、前記シャフトの第2端に設置され、且つフィードスルーを介して前記軸方向ベアリングレスモータ及び前記径方向電磁式手段に接続されている。
【0022】
本発明は、車輌用電動コンプレッサにさらに関し、前記モータ部分は、電気モータを備え、且つ、シャフトを浮揚させるための前記電磁式手段は、能動型軸方向磁気ベアリングと、電気モータの両側に設置された第1能動型径方向磁気ベアリング及び第2能動型径方向磁気ベアリングと、を備えている。
【0023】
このような場合には、遠心式コンプレッサ部分は、前記シャフトの第1端に少なくとも1つのホイールを備え、能動型軸方向磁気ベアリングは、前記遠心式コンプレッサ部分の近傍に設置され、電気モータと、能動型軸方向磁気ベアリングと、前記第1能動型径方向磁気ベアリング及び前記第2能動型径方向磁気ベアリングと、に結合された制御回路は、前記シャフトの第2端に設置され、且つフィードスルーを介して前記電気モータと、能動型軸方向磁気ベアリングと、前記第1能動型径方向磁気ベアリング及び前記第2能動型径方向磁気ベアリングと、に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】コンプレッサ部分と、電気モータを備えるモータ部分と、2つの径方向磁気ベアリングと、磁気スラストベアリングと、さらに概略的に示す制御装置と、を備えた電動コンプレッサの概略的な長手方向の断面図である。
【
図2】コンプレッサ部分と、電気モータを備えたモータ部分と、2つの径方向磁気ベアリングと、磁気スラストベアリングと、を備えた電動コンプレッサの別の概略的な長手方向の断面図である。
【
図3】コンプレッサ部分と、電気モータを備えたモータ部分と、2つの径方向磁気ベアリングと、2つの部材に分割された磁気スラストベアリングと、を備えた電動コンプレッサの別の概略的な長手方向の断面図である。
【
図4】コンプレッサ部分(図示せず)と、軸方向ベアリングレスモータを備えたモータ部分と、2つの径方向磁気ベアリングまたは2つの径方向ベアリングレスモータと、を備えた電動コンプレッサの概略的な長手方向の断面図である。
【
図5】軸方向ベアリングレスモータ(巻線部が示されていない)の斜視図である。
【
図6】径方向ベアリングレスモータ(巻線部が示されていない)の斜視図である。
【
図7】二重ホイールを備えたコンプレッサ部分の実施例の概略図である。
【
図8】直列型のホイールを備えたコンプレッサ部分の実施例の概略図である。
【
図9】二重直列型のホイールを備えたコンプレッサ部分の実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、例のために示される好ましい実施形態に関連して説明される。
【0026】
図2は、冷暖房空調(HVAC)のための遠心式電動コンプレッサの実施例を示しており、この遠心式電動コンプレッサは、ハイブリッド電気車輌(HEV)もしくは電気車輌(EV)あるいは航空機または他の種類の車輌に対して利用される。上記遠心式電動コンプレッサは、ターボチャージャを強化するために適用されてもよい。
【0027】
モータ部分20のロータシャフト15は、遠心式コンプレッサホイール11を駆動するために、コンプレッサ部分10の遠心式コンプレッサホイール11に連結されている。
【0028】
電気モータ30は、ロータ31を備えており、ロータ31は、誘導ロータ、永久磁石ロータ、ヒステリシスロータ及びリラクタンスロータのうちから選択される任意の種類からなる。電気モータ30は、巻線部32aを有したステータ32をさらに備えている。
【0029】
第1能動型径方向磁気ベアリング及び第2能動型径方向磁気ベアリング40,50が、電気モータ30の両側に設置され、これにより、電動コンプレッサの機能動作中にシャフト15を浮揚した状態で支持する。各能動型径方向磁気ベアリング40,50は、シャフト15にしっかりと固定されたロータ41,51と、巻線部42a,52aを有したステータ42,52とを備えている。
【0030】
図2に示すように、能動型軸方向磁気ベアリング60(スラストベアリング)が、一方ではシャフト15の軸に対して垂直に取り付けられ且つロータ電機子を構成するディスク61と、他方では第1ステータ及び第2ステータ62,63であって、それぞれが、C字状のコアを有したステータ62,63に設置された少なくとも1つの環状コイルまたは巻線部62a,63aを有した、第1ステータ及び第2ステータ62,63と、を備えている。あるいは、各ステータ62,63は、2つのコイルを有するE字状のコアを有してもよい。
【0031】
径方向ベアリングロータ41,51は、ステータ42,52の電磁石によって作り出された磁界によって適切な位置に保持された強磁性積層体を備えている。
【0032】
シャフト15は、径方向磁気ベアリングにより接触せずに浮揚している。シャフトの位置は、例えば可変誘導型からなるセンサ(図示せず)によってモニターされている。センサは、所定位置からの如何なるずれも検出して制御システム(
図2には示していない)で使用される信号を出し、これにより、シャフト15をその所定位置に戻すように導くために径方向ベアリングの巻線部42a,52aに電流を流すことを命令する。軸方向ベアリング60は、同じ原理に基づいており、センサ(図示せず)は、制御装置へ信号を送り、軸方向ベアリング60のコイル62a,63aにおける電流の命令を調整してシャフト15の軸方向位置を調整する。
【0033】
補助接地ベアリング8が、基本的にはモータ部分20の開始動作または停止動作中に、ただし通常、車輌に存在する高レベルの振動に起因する衝突荷重が生じる短時間の断続的な期間中にも、シャフト15を支持するために使用されている。
【0034】
一般的に言えば、回転シャフトの位置を検出するためのセンサに基づいてサーボ制御された能動型磁気サスペンションにより回転シャフトが一時停止する場合に、非常用ベアリングとして公知の補助ベアリングが設けられ、これにより、機械が停止している間、または磁気サスペンションの完全なもしくは部分的な故障の場合にシャフトを支持する。これにより、ステータの電磁石の巻線部が適切に電力を供給されないときに、ロータの磁気回路と、磁気ベアリングのステータまたはベアリングレスモータとが直接接触することを防止し、従って、その積層体の損傷を防ぐ。通常動作時には、補助ベアリングは、回転シャフトの周囲にクリアランスを残し、それ自体回転しない。補助ベアリングのために設けられるクリアランスは、通常、磁気ベアリングまたはベアリングレスモータにおける空隙の幅の約半分である。
【0035】
補助接地/タッチダウンベアリング8は、さまざまな構成を有してもよく、例えば転がりベアリング、針状ベアリング、滑りベアリング、ブッシングなどであってもよい。
【0036】
セパレータ9が、磁気ベアリング40,50,60及び電気モータ30のステータの巻線部間に設置されている。
【0037】
ケーシングまたはフランジ及び冷媒を有する冷却システムは、従来型であり、図面には示さない。
【0038】
図2において、軸方向ベアリング60は、ディスク電機子61及びシャフト15の一端に設置された2つのステータ62,63を備えており、コンプレッサホイールは、シャフトの他端に設置されている。しかしながら、
図1に示すように、軸方向ベアリング60は、コンプレッサホイール11と同じ側に設置されてもよい。
【0039】
図1に示すように、電気モータ30及び径方向電磁式ベアリング40,50,60に結合され、可変周波数駆動部71及び増幅器72を備えた制御回路70が、フランジに統合され、且つ鉄シャフト15の第2端に設置されている。制御回路70は、フィードスルー74を介して、電気モータ30と、径方向電磁式ベアリング及び軸方向電磁式ベアリングと、に接続されている。コネクタ73が、制御回路70を電動コンプレッサから離れて設置されたさらなる制御装置へ接続させる働きをする。
【0040】
図3は、
図2の実施形態と同様の実施形態を示している。ただし、軸方向磁気ベアリングは、シャフト15の端部双方に設置された2つの部分60A,60Bに分けられている。シャフト15と一体化されたディスク電機子61Aが、コンプレッサホイール11に近いシャフト15の第1端に設置され、且つ
図1のステータ62と同様である第1コイル62aを有した第1ステータ62と協働する。シャフト15と一体化されたディスク電機子61Bが、シャフト15の第2端に設置され、且つ
図1のステータ63と同様である第2コイル63aを有した第2ステータ63と協働する。
【0041】
図1から
図3は、単一のホイールを有したコンプレッサ部分10を示している。しかしながら、コンプレッサ部分10の他の構成は、本明細書に開示される異なる実施形態と組み合わせて用いられてもよい。
【0042】
従って
図7に示すように、コンプレッサ部分10は、二重ホイール11,13を含んでもよい。
図8に示すように、コンプレッサ部分10A,10Bは、直列型のホイール11,12を含んでもよい。
図9に示すように、コンプレッサ部分10A,10Bは、二重直列型のホイール11,13,12,14を含んでもよい。
図7から
図9によるコンプレッサホイールの構造は、圧縮比を増大させるか、流量を増大させるものである。
【0043】
以下、本発明の好ましい実施形態を、
図4から
図6を参照して説明する。
【0044】
図4は、電気モータ30及び軸方向ベアリング60もしくは60A,60Bが単一の軸方向ベアリングレスモータ130によって置換されたので、
図1から
図3の実施形態よりもよりコンパクトである鉄シャフト15及びモータ部分20を有する実施形態を示している。
図4では、コンプレッサ部分10は省略されているが、
図1から
図3及び
図7から
図9を参照して上述したものとして実現される。
【0045】
図4の実施形態は、シャフト長の減少を可能にし、従って全体的な配置を改善する。
【0046】
軸方向ベアリングレスモータ130は、シャフト15と一体化されたディスク状の中央電機子131と、巻線部132a,133aを有した第1ステータ132及び第2ステータ133と、を備えている。
【0047】
図5は、軸方向ベアリングレスモータ130の考えられる構造の実施例を斜視図で示している。
図5における軸方向ベアリングレスモータ130は、複数の極の対を持つ電機子138を有したロータ部分131と、第1ステータ部分及び第2ステータ部分132,133と、を備えている。各第1ステータ部分及び第2ステータ部分132,133は、モータトルク及び軸方向の支持力を与えるように構成された巻線部(
図5には示していない)を受けるためにスロット134,135をそれぞれ有したコアを備え、第1ステータ部分及び第2ステータ部分132,133は、ロータ部分131の両側に設置されている。
【0048】
コイルから独立した軸方向ベアリングレスモータのステータ部分132,133は、支持力及びモータトルクを与えるために使用される。
【0049】
あるいは、必要とされる支持力及びモータトルクが、組み合わせられた巻線部によって各コイルで発生されてもよい。このような場合には、必要とされるモータのアンペア回数及び支持のアンペア回数が単一のコイルによってもたらされる。
【0050】
複数の極の対を持つ電機子138は、例のために
図5に示される。しかしながら、ロータ131は、選択された原理(永久磁石式、誘導式、スイッチトリラクタンス式、ヒステリシス式)に応じて異なる構造的部材を有してもよい。
【0051】
限定されない例として、ステータ132及び永久磁石138を有するロータ131は、永久磁石モータを構成し、ロータの表面上の永久磁石138は、第1方向(
図5の構造における上向きの方向)の軸方向力を生み出し、ステータ133及びロータ131は、同期リラクタンスモータを構成し、同期リラクタンスモータの巻線部の電流は、第1方向に対する反対方向(
図5の構造における下向きの方向)への調節可能な軸方向力を生み出す。従って、ロータの軸方向位置は、同期型モータの電流によって制御することができる。しかしながら、上述したように、軸方向ベアリングレスモータ130がモータトルク及び軸方向支持力を与える2つの機能を達成するのであれば、他の種類のモータの組み合わせが選択されてもよい。
【0052】
上述した能動型径方向磁気ベアリング40及び50と同様であり且つロータ電機子141,151及び巻線部142a,152aを有したステータ142,152を備えた能動型径方向磁気ベアリング140及び150は、軸方向ベアリングレスモータ130の両側に設置されている。
【0053】
しかしながら、別の実施形態によれば、各能動型径方向磁気ベアリング140,150は、径方向ベアリングレスモータ180によって置換されてもよい。
【0054】
径方向ベアリングレスモータ180の実施例は、
図6に示されている。このような径方向ベアリングレスモータ180は、シャフト15と一体化されたロータ181と、コイル185を受けるためのスロット184を有したステータ182と、を備えている。ロータ181は、選択された原理(永久磁石式、誘導式、スイッチトリラクタンス式、ヒステリシス式)に応じて異なる構造的部材183を有している。
【0055】
基本的には、ステータの巻線部185は、トルク用巻線部及び停止力用巻線部の機能双方を達成する。実施例として、一組の異なる極を有する2つの巻線部のセットによって作り出される2つの磁界が重ね合わせられると、トルク及び径方向力が生じる。従って、例えばリラクタンスモータの4極のモータ巻線部を2極のベアリング巻線部と組み合わせることが可能であるが、多くの他の実施形態が考えられる。
【0056】
特許文献2は、ベアリングレススイッチトリラクタンスモータの例を開示している。
【0057】
好ましい実施形態が示され且つ説明されたが、任意の変更及び改良が、添付の特許請求の範囲に規定されるように本発明の範囲から逸脱することなく本開示の中でなされてもよいことを理解するべきである。
【0058】
図4において、参照符号130は、シャフト15を支持するために2つの径方向電磁式手段140,150間に設置された軸方向ベアリングレスモータを示している。径方向電磁式手段140,150が、例えば
図6に開示された第1径方向ベアリングレスモータ及び第2径方向ベアリングレスモータ180を備え、軸方向能動型磁気ベアリング、例えば
図2に示されたスラストベアリング60が軸方向ベアリングレスモータ130に対して置換されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
8 補助接地ベアリング、9 セパレータ、10 遠心式コンプレッサ部分、11 ホイール、12 ホイール、13 ホイール、14 ホイール、15 シャフト、20 モータ部分、30 電気モータ、40 第1能動型径方向磁気ベアリング、50 第2能動型径方向磁気ベアリング、60 能動型軸方向磁気ベアリング、70 制御回路、74 フィードスルー、130 軸方向ベアリングレスモータ、131 ロータ部分、132 第1ステータ部分、133 第2ステータ部分、134 スロット、135 スロット、138 電機子、140 第1能動型径方向磁気ベアリング、150 第2能動型径方向磁気ベアリング、180 径方向ベアリングレスモータ