特許第6193023号(P6193023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6193023-粉粒体処理装置を収容するアイソレータ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193023
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】粉粒体処理装置を収容するアイソレータ
(51)【国際特許分類】
   B02C 23/00 20060101AFI20170828BHJP
   B02C 13/06 20060101ALI20170828BHJP
【FI】
   B02C23/00 Z
   B02C13/06
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-143513(P2013-143513)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2015-16398(P2015-16398A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133467
【氏名又は名称】株式会社ダルトン
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140969
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中澤 研一
(72)【発明者】
【氏名】小筆 良次
(72)【発明者】
【氏名】小泉 一郎
(72)【発明者】
【氏名】玄甫 亮一
(72)【発明者】
【氏名】津張 正光
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−296889(JP,A)
【文献】 特開2005−345285(JP,A)
【文献】 特開2001−327892(JP,A)
【文献】 特表平09−503704(JP,A)
【文献】 特開2001−353447(JP,A)
【文献】 特開2002−200431(JP,A)
【文献】 特開2013−61057(JP,A)
【文献】 特開2006−250307(JP,A)
【文献】 特開2002−22018(JP,A)
【文献】 特開2014−4660(JP,A)
【文献】 特開2010−264394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C
B25J 21/00−21/02
B01L 1/00− 1/04
F16J 15/00−15/56
G21F 7/00− 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉可能な作業室を有し、
この作業室は、粉粒体処理装置の粉粒体処理部が配置される第一室と、
前記粉粒体処理装置の駆動部が配置される第二室とに隔壁により分けられ、
前記第二室には、第二室内へエアを供給するエア供給管と、第二室内のエアを排出するエア排出管が設けられており、
前記エア供給管および前記エア排出管にはフィルタが取り付けられている
ことを特徴とするアイソレータ。
【請求項2】
前記エア供給管および前記エア排出管には、開閉可能な弁が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のアイソレータ。
【請求項3】
粉粒体処理装置をさらに備え、
前記粉粒体処理装置に設けられ、モータに接続される軸材は、前記作業室内に設けられる隔壁を貫通して設けられて、一端部が前記第一室に配置され、他端部が前記第二室に配置され、
前記他端部にモータが接続される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアイソレータ。
【請求項4】
前記軸材を回転可能に保持する部材には、
前記軸材の外周部にエアを供給するエア供給路が形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のアイソレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬などを製造する際に使用されるアイソレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種粉粒体から薬などを製造する場合、異物が混入しないように、また、粉粒体が外部に飛散しないように、密閉された空間内で作業する必要があり、密閉可能な作業室を有するアイソレータが用いられることがある。アイソレータ内には、たとえば粉砕装置が配置され、この粉砕装置により原料が粉砕される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
粉砕装置をアイソレータ内に収容することで、外部からの異物の進入を防止できるが、粉砕装置のモータから摩耗粉が発生し、混入するおそれがあった。また、原料の粉体がモータ内に進入してモータが故障するおそれがあった。
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、内部に収容する粉粒体処理装置のモータから発生する異物の混入を防止できると共に、粉粒体が粉粒体処理装置のモータ内に進入することを防止できるアイソレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、密閉可能な作業室を有し、この作業室は、粉粒体処理装置の粉粒体処理部が配置される第一室と、前記粉粒体処理装置の駆動部が配置される第二室とに隔壁により分けられ、前記第二室には、第二室内へエアを供給するエア供給管と、第二室内のエアを排出するエア排出管が設けられており、前記エア供給管および前記エア排出管にはフィルタが取り付けられていることを特徴とするアイソレータである。
【0007】
請求項に記載の発明は、前記エア供給管および前記エア排出管には、開閉可能な弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアイソレータである。
【0008】
請求項に記載の発明は、粉粒体処理装置をさらに備え、前記粉粒体処理装置に設けられ、モータに接続される軸材は、前記作業室内に設けられる隔壁を貫通して設けられて、一端部が前記第一室に配置され、他端部が前記第二室に配置され、前記他端部にモータが接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアイソレータである。
【0009】
さらに、請求項に記載の発明は、前記軸材を回転可能に保持する部材には、前記軸材の外周部にエアを供給するエア供給路が形成されていることを特徴とする請求項に記載のアイソレータである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内部に収容した粉粒体処理装置のモータから発生する異物の混入を防止できると共に、粉粒体が粉粒体処理装置のモータ内に進入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のアイソレータの一実施例を示す概略正面図である。
図2図1のアイソレータの背面図である。
図3図1のアイソレータの側面図であり、断面にして示している。
図4図3の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のアイソレータの一実施例について図面に基づいて具体的に説明する。
【0013】
図1図4は、本発明のアイソレータの一実施例を示す概略図であり、図1は正面図、図2は背面図、図3は、側面図であり断面にして示しており、図4図3の一部拡大図である。
【0014】
アイソレータ1は、矩形箱状とされ、内部は密閉可能な作業室3とされる。図示例では、アイソレータ1は、台5に載せ置かれている。
【0015】
作業室3の前面には、矩形状の開口部6が形成されており、この開口部6には矩形状のガラス板7がはめ込まれて構成される扉9が開閉可能に設けられている。扉9は、その右端辺まわりに開閉可能に設けられており、この扉9のガラス板7を介して作業室3内が視認可能とされる。
【0016】
作業室3は、作業室3内に設けられる隔壁11により第一室13と第二室15とに前後に分割されている。図示例では、第二室15は、第一室13より天井が低く形成されている。
【0017】
アイソレータ1には、複数のグローブ19が設けられている。本実施例では、扉9に9つのグローブ19が3列で設けられている。グローブ19は、合成樹脂製とされ、気密状態で扉9に取り付けられている。
【0018】
作業室3内には、粉粒体処理装置が設けられている。本実施例では、粉粒体処理装置として粉砕装置21が設けられており、粉砕装置21は、第一室13と第二室15とをまたぐように配置される。
【0019】
粉砕装置21は、原料を貯留する貯留部23と、貯留部23の原料を搬送する搬送部材25と、搬送部材25により搬送された原料を粉砕する粉砕部材29と、搬送部材25および粉砕部材29を駆動させるモータ31,33とを主要部に備える。
【0020】
搬送部材25は、円筒状の搬送筒34と、この搬送筒34内に収容される搬送軸材35とを備える。搬送筒34は、軸線を前後方向(図3および図4において左右方向)に配置して設けられている。搬送筒34は、接続部材36を介して隔壁11に固定されている。
【0021】
接続部材36は、その内穴が搬送筒34の内穴と連続するように搬送筒34の後端部に固定されている。接続部材36には、その軸方向中途部に径方向外側へ突出してフランジ39が形成されている。
【0022】
接続部材36は、その後端部が、隔壁11に前後方向に沿って形成された貫通穴にはめ込まれ、フランジ39が環状のシール材を介して隔壁11の前面に当接される。そして、ボルト45によりフランジ39が隔壁11に気密状態で固定される。
【0023】
接続部材36に連続するように、隔壁11の後面側に、補助ケーシング47が取り付けられる。補助ケーシング47は、円筒状とされ、軸線を前後に沿うように配置される。補助ケーシング47の前端部および後端部には、それぞれ径方向外側へ拡径してフランジ49,51が形成されている。
【0024】
補助ケーシング47は、その前端部のフランジ49が隔壁11の後面に当接されてボルトにより固定される。この際、補助ケーシング47の内穴と、接続部材36の内穴とが前後に沿うように補助ケーシング47が隔壁11に取り付けられる。つまり、搬送筒34、接続部材36および補助ケーシング47は、同軸線上に配置される。
【0025】
搬送軸材35は、丸棒状とされ、その前端部65の外周部には、軸方向に沿って螺旋状に溝が形成されて、搬送軸材35の前端部65はスクリュ状に形成されている。
【0026】
搬送軸材35は、補助ケーシング47内に設けられた軸受63に保持されて、搬送筒34および接続部材36内に前後方向に沿って回転可能に収容されている。つまり、搬送軸材35は、搬送筒34内、接続部材36内および補助ケーシング47内に配置されて、第一室13と第二室15とをまたぐように設けられる。
【0027】
第二室15へ延出する搬送軸材35の後端部に、モータ31が接続されている。このモータ31は、補助ケーシング47の後端部に固定されている。
【0028】
貯留部23は、上方へ行くにしたがって拡径する円錐形状とされ、その下端部が搬送筒34に連通して接続されている。貯留部23は、第一室13に配置されている。
【0029】
搬送筒34の前端部は、円筒状の接続管53にはめ込まれており、この接続管53の前端部には、移送管55が連続して設けられている。移送管55は、接続管53の前端部から下方へ円筒状に延出した後、後方へ湾曲して設けられており、この移送管55の下端部に粉砕室部57が形成されている。
具体的には、移送管55の下端部から径方向外側へ拡径し、後方へ延出して粉砕室部57が形成されている。
【0030】
この粉砕室部57の後端部に円筒状の軸保持材59が設けられている。軸保持材59の内穴は、粉砕室部57の内径より小径とされる。
【0031】
軸保持材59は、その軸線を前後方向に配置して設けられ、その後端面が隔壁11の前面に当接して設けられて、ボルト60で隔壁11に固定されている。この際、軸保持材59と隔壁11との間に環状のシール材が設けられて、軸保持材59は、隔壁11に気密状態で固定される。
【0032】
本実施例では、軸保持材59の前端部に、円板状のカバー61が被せられている。つまり、粉砕室部57と軸保持材59との間に、カバー61が介在している。軸保持材59の前端部中央部は、後方へ凹んで形成され、カバー61の中央部は、前方へ突出して形成されており、カバー61と軸保持材59の前端部との間には隙間Sが形成されている。
【0033】
粉砕部材29は、棒状のハンマー保持軸材71と、このハンマー保持軸材71の前端部にアーム72を介して設けられるハンマー部材73とを備える。ハンマー保持軸材71は、軸保持材59内に設けられる軸受75に保持されて、軸保持材59内に回転可能に収容されており、その前端部は、カバー61の中央部に形成された穴に通されて、粉砕室部57内に配置されている。
【0034】
ハンマー保持軸材71の後端部は、隔壁11に前後方向に沿って形成された貫通穴を介して第二室15へ延出している。ハンマー保持軸材71の後端部には、プーリ77が設けられており、第二室15の底壁に載置されたモータ33の回転軸とベルト79により接続されている。
【0035】
ハンマー保持軸材71の前端部には、周方向等間隔に離隔して、4本のアーム72が径方向外側へ延出して設けられており、このアーム72の先端部に矩形板状のハンマー部材73が設けられている。ハンマー部材73は、粉砕室部57の内周面の近傍を周方向に沿って移動する。
【0036】
粉砕室部57の下端部には、下方へ開口する開口部85が形成されており、この開口部85を覆うように、スクリーン87が粉砕室部57内に設けられている。スクリーン87は、多数の小径の穴が形成された板材により形成されている。
【0037】
粉砕室部57の開口部85の下部には、回収具89が設けられている。回収具89は、筒状とされ、その上端部には上方へ突出して円筒状の接続部91が設けられている。回収具89は、その接続部91が粉砕室部57の開口部85に下方からはめ込まれて設けられる。回収具89は、アイソレータ1の底壁の開口部を介して下方へ延出している。この際、回収具89は、アイソレータ1の底壁に気密状態で取り付けられている。回収具89の下部には、細長い回収袋(連続ライナーチューブ)93が設けられており、この回収袋93に粉砕された原料が回収される。
【0038】
本実施例では、搬送筒34、接続部材36および補助ケーシング47と搬送軸材35との隙間、および軸保持材59とハンマー保持軸材71との隙間にエアを供給するエア封止装置が設けられている。
【0039】
具体的には、補助ケーシング47の外周部から径方向内側へ向けて第一穴101が形成され、この第一穴101の端部から前方へ延出して第二穴102が形成されている。つまり、補助ケーシング47には、略L字形の穴(101,102)が形成されている。そして、第二穴102と連通するように、搬送筒34の後端面から前方へ向けて第三穴103が形成されており、この第三穴103の前端部から径方向内側へ向けて第四穴104が形成されており、この第四穴104は、接続部材36の内穴に開口している。
本実施例では、接続部材36の内周面に周方向に沿って環状の溝104aが形成されており、第四穴104は、この環状溝104aに開口している。このように、本実施例では、第一穴101、第二穴102、第三穴103、第四穴104および環状溝104aによりエア供給路が形成されている。また、実施例では、補助ケーシング47および搬送筒34に、径方向に対向した二か所にそれぞれ穴(101〜104)が形成されている。
【0040】
軸保持材59には、前後方向に貫通して第五穴105が形成されており、第五穴105の前端部は、軸保持材59とカバー61との隙間Sに開口している。また、隔壁11には、第五穴105に連通するように前後方向に沿って貫通穴が形成されており、この貫通穴にL字管108が取り付けられている。
【0041】
第一穴101および第五穴105へエアを供給するパイプ109,111には、電磁弁が設けられており、制御装置により開閉可能とされる。
【0042】
また、本実施例では、第二室15内の温度上昇を防止するエア循環装置が設けられている。具体的には、エア循環装置は、第二室15の後壁114に一端部が接続されて第二室15内へエアを供給するエア供給管115と、このエア供給管115の他端部に設けられるフィルタ117と、エア供給管115の中途部に設けられる弁119と、第二室15の後壁114に一端部が接続されて外部へエアを排気するエア排出管121と、エア排出管121の他端部に設けられるフィルタ123と、エア排出管121の中途部に設けられる弁125とを備える。
【0043】
本実施例では、第二室15の後壁114の幅方向中央部に、上下に離隔して、エア排出管121とエア供給管115とが設けられている。
【0044】
エア供給管115およびエア排出管121は、略L字形の管とされ、それぞれ一端部が第二室15の後壁114に接続されている。また、本実施例では、エア供給管115およびエア排出管121の他端部に取り付けられるフィルタ117,123は、HEPAフィルタとされる。さらに、エア供給管115およびエア排出管121の中途部に設けられる弁119,125は、気密性を有したバルブとされ、制御装置により開閉が制御可能とされるが、場合により開度調整も可能とされてもよい。
【0045】
粉砕装置21が収容された本実施例のアイソレータ1は、扉9を閉じて、各弁119,125を閉じた状態では、作業室3内は密閉空間とされる。このように密閉された状態において、モータ31,33を駆動させて、搬送軸材35およびハンマー保持軸材71を回転させる。また、第一穴101および第五穴105にエアを供給すると共に、弁119,125を開放する。本実施例では、弁119,125は、モータ31,33が駆動する際に、開放され、モータ31,33が停止すると弁119,125は閉鎖される。
【0046】
搬送軸材35が回転することで、貯留部23から搬送筒34に降下する原料が、搬送軸材35のスクリュ状の前端部65により前方へ搬送され、移送管55を介して粉砕室部57内へ送り出される。粉砕室部57内に送り出された原料は、ハンマー部材73により粉砕室部57の内周面に押し付けられて粉砕され、スクリーン87の穴より小径となると、スクリーン87を通過して回収具89に取り付けられた回収袋93に回収される。
【0047】
本実施例では、粉砕装置21が作業室3内に配置されることで、外部からの異物の進入が防止されると共に、原料が外部へ飛散することが防止される。
【0048】
また、本実施例では、作業室3の前後方向中途部に設けられた隔壁11により、作業室3が二つの部屋に分けられており、一方の第一室13において原料を粉砕する作業が行われ、他方の第二室15にモータ31,33が配置される。
具体的には、貯留部に貯留される原料が搬送されて粉砕される一連の処理部が第一室13に設けられており、この原料が処理される第一室13と隔離された第二室15にモータ31,33が収容されることで、モータ31,33から発生する摩耗粉などが混入することがないと共に、原料の粉体がモータ31,33内に進入することがなくモータ31,33の故障が防止される。
【0049】
さらに、本実施例では、粉砕作業中において、エア封止装置によりエアが搬送軸材35とハンマー保持軸材71の周囲に供給される。
具体的には、第一穴101からエアが供給されて、このエアは、第二穴102、第三穴103、第四穴104および環状溝104aを介して接続部材36の内穴に進入し、搬送軸材35の外周部に沿って、前方および後方へエアが放出される。
また、第五穴105からエアが供給されて、このエアは、軸保持材59とカバー61との隙間Sに進入し、ハンマー保持軸材71の外周部に沿って、前方および後方へエアが放出される。
【0050】
このように、搬送軸材35およびハンマー保持軸材71に沿って、前後方向にエアが放出されることで、モータ31,33から発生する摩耗粉が第一室13へ進入することをより一層防止することができる。また、第一室13内の原料が、モータ31,33へ進入することをより一層防止することができる。
【0051】
さらに本実施例では、搬送軸材35を保持する軸受63や、搬送軸材35の外周部に設けられるオイルシール127より前方側においてエアが放出されて、前後方向にエアが放出されることで、軸受63の摩耗粉やオイルシール127のオイルなどの混入が防止される。
【0052】
また、モータ31,33が第二室15内で駆動することで熱が発生するが、本実施例では、第二室15にエア循環装置を設けていることで、第二室15内の温度上昇を防止することができる。具体的には、モータ31,33の駆動により熱が発生すると、暖かいエアが上方へ移動しようとすることで、第二室15内でエアの対流が自然に発生する。この際、エア排出管121からエアが排出される一方、エア供給管115からエアが取り込まれてエアが循環し、第二室15内の温度上昇を防止することができ、モータ31,33の故障や過負荷を防止することができる。本実施例では、エア供給管115に取り付けられたHEPAフィルタを介してエアが第二室15内に取り込まれることで、異物の進入が防止される。
【0053】
さらに、本実施例では、第一室13内の粉砕装置21を水で洗浄する際、隔壁11によりモータ31,33が隔離されていることで、直接水がモータ31,33にかからず故障のおそれがない。
【0054】
本実施例では、第二室15は、その周側壁が隔壁11に着脱可能に設けられており、周側壁を取り外した状態で、モータ31,33の修理などを行うことができる。なお、第二室15の後壁114を第二室15の周側壁に対して着脱可能としてもよい。
【0055】
本発明のアイソレータは、上記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。
たとえば、上記実施例では、作業室3内に、粉粒体処理装置として、粉砕装置を収容したが、粉体や粒体を処理する他の装置であってもよい。たとえば、造粒装置、整粒装置、または混合装置(ミキサー)などであってもよい。
【0056】
また上記実施例では、作業者がグローブ19を介して作業室3内に手を入れて作業可能なアイソレータとしたが、作業者が服状のカバーを介して作業室3内に上半身を入れて作業可能な構成であってもよい。
【0057】
また上記実施例では、エア供給管115およびエア排出管121により第二室15内に自然にエアを循環させたが、エア供給管115にフィルタ117を介して強制的にエアを供給してエアを循環させるようにしてもよい。
【0058】
さらに上記実施例では、作業室3を前後に分割して粉粒体が処理される第一室13と駆動部となるモータが配置される第二室15とし、水平に設けられる各軸材を第一室13と第二室15とにまたがるように設けたが、モータに接続される軸材が垂直に設けられる場合には、作業室を上下に分割すればよい。つまり、粉粒体が処理される第一室と、駆動部となるモータが配置される第二室を上下に配置するようにすればよい。
【符号の説明】
【0059】
1 アイソレータ
3 作業室
13 第一室
15 第二室
31 モータ(駆動部)
33 モータ(駆動部)
105 第五穴(エア供給路)
115 エア供給管
121 エア排出管
図1
図2
図3
図4