特許第6193030号(P6193030)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6193030
(24)【登録日】2017年8月18日
(45)【発行日】2017年9月6日
(54)【発明の名称】データ伝送方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/26 20090101AFI20170828BHJP
   H04W 40/20 20090101ALI20170828BHJP
   H04W 40/22 20090101ALI20170828BHJP
【FI】
   H04W16/26
   H04W40/20
   H04W40/22
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-147235(P2013-147235)
(22)【出願日】2013年7月16日
(65)【公開番号】特開2014-23154(P2014-23154A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2016年6月30日
(31)【優先権主張番号】201210249255.2
(32)【優先日】2012年7月18日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100158528
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】王 暁利
(72)【発明者】
【氏名】趙 群
(72)【発明者】
【氏名】張 永生
(72)【発明者】
【氏名】須田 博人
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0220644(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101325549(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102394733(CN,A)
【文献】 Potevio,on the application of type II and type I relay,3GPP TSG-RAN WG1#57 R1-091968,フランス,3GPP,2009年 4月28日,Paragraph 2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ伝送方法であって、
基地局は、中継ノードに対し、上りMARC−NC機能を起動するよう通知し、
基地局は、中継ノードに対し、下りMSMD−NC機能を起動するよう通知し、
基地局は、中継ノードの位置情報を取得して、該中継ノードがセルの境界にあるかどうかを判断し、該中継ノードがセルの境界にある場合、中継ノードに対し、上りMSMD−NC機能を起動するよう通知し、
基地局、中継ノード、およびユーザは、中継ノードに配置されたMARC−NC機能またはMSMD−NC機能に基づいてデータ伝送を行う、
ことを含むことを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項2】
データ伝送方法であって、
基地局は、中継ノードに対し、上りMARC−NC機能を起動するよう通知し、
基地局は、ユーザの干渉状況報告を受信し、隣接セルの負荷が予め設定された負荷閾値を超える場合、中継ノードに対し、下りMSMD−NC機能を起動するよう通知し、
基地局は、中継ノードの位置情報を取得して、該中継ノードがセルの境界にあるかどうかを判断し、該中継ノードがセルの境界にある場合、中継ノードに対し、上りMSMD−NC機能を起動するよう通知し、
基地局、中継ノード、およびユーザは、中継ノードに配置されたMARC−NC機能またはMSMD−NC機能に基づいてデータ伝送を行う、
ことを含むことを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項3】
前記セルの境界は、異なるセルに属する2つのユーザがMSMD−NC方式を採用してデータ伝送を行ったときの性能が、同一のセルに属する2つのユーザがMARC−NC方式を採用してデータ伝送を行ったときの性能よりよい中継ノードの領域である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ伝送方法。
【請求項4】
前記基地局、中継ノード、およびユーザが、中継ノードに配置されたMARC−NC機能またはMSMD−NC機能に基づいてデータ伝送を行うことは、
自局のMARC−NC方式候補リストに前記ユーザがあるかどうか、および、自局のMSMD−NC方式候補リストに前記ユーザがあるかどうかを判断し、
自局のMARC−NC方式候補リストにも前記ユーザがあるし、自局のMSMD−NC方式候補リストにも前記ユーザがあると、前記ユーザの、MSMD−NC方式を採用するときのスループットとMARC−NC方式を採用するときのスループットとを比較し、MSMD−NC方式を採用するときのスループットがMARC−NC方式を採用するときのスループットより高い場合、MSMD−NC方式を採用してデータ伝送を行い、MSMD−NC方式を採用するときのスループットがMARC−NC方式を採用するときのスループットより高くない場合、MARC−NC方式を採用してデータ伝送を行い、
自局のMARC−NC方式候補リストのみに前記ユーザがあると、MARC−NC方式を採用してデータ伝送を行い、
自局のMSMD−NC方式候補リストのみに前記ユーザがあると、MSMD−NC方式を採用してデータ伝送を行い、
自局のMSMD−NC方式候補リストにも前記ユーザがないし、自局のMARC−NC方式候補リストにも前記ユーザがないと、データ伝送を直接に行う、
ことを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ伝送方法。
【請求項5】
MARC−NC方式候補リストおよびMSMD−NC方式候補リストを作成することをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ伝送方法。
【請求項6】
前記MARC−NC方式候補リストを作成することは、
ユーザから直接リンクを介して送信された第1参照信号および転送リンクを介して送信された第2参照信号をそれぞれ受信し、
前記第1参照信号と第2参照信号との強度を比較し、第2参照信号の強度が第1参照信号の強度より高くて、かつ該ユーザが上りトラフィックフローを有する場合、該ユーザをMARC−NC方式候補リストに追加する、
ことを含むことを特徴とする請求項5に記載のデータ伝送方法。
【請求項7】
前記MSMD−NC方式候補リストを作成することは、
ユーザが本セルおよび隣接セルの参照信号を測定し、
本セルと隣接セルとの参照信号強度の差が予め設定された参照信号閾値より小さい場合、該ユーザが隣接セルのIDおよび本セルの直接リンクのチャネル状態情報を本セルの基地局に報告し、
中継ノードがMSMD−NCを起動した場合、基地局が、ユーザに対し、転送リンクを介して転送された本セルの参照信号を測定するよう通知し、
ユーザが、測定により得られた、転送リンクを介して転送された本セルの参照信号に基づいて、転送リンクのチャネル条件を得て、転送リンクのチャネル条件を本セルの基地局に報告し、
本セルの直接リンクのチャネル条件および転送リンクのチャネル条件に基づいて、転送リンクの品質が直接リンクよりよいかどうかを判断し、転送リンクの品質が直接リンクよりよい場合、該ユーザをMSMD−NC方式候補リストに追加する、
ことを含むことを特徴とする請求項5に記載のデータ伝送方法。
【請求項8】
前記MSMD−NC方式候補リストを作成することは、
中継ノードがすべてのユーザから送信された参照信号を測定し、
2つのセルからのユーザの参照信号強度の差が所定の第1閾値より小さくて、かつ前記2つのセルからのユーザの参照信号強度がいずれも所定の第2閾値より大きい場合、前記2つのセルからのユーザの参照信号フォーマットを前記2つのセルの基地局に通知し、
前記2つのセルの基地局がそれぞれ、受信された参照信号フォーマットに基づいてユーザ身分識別子(ID)を決定して、該ユーザIDに対応するユーザを自局のMSMD−NC方式候補リストに追加する、
ことを含むことを特徴とする請求項5に記載のデータ伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はセルラ移動通信技術に関し、特に、セルラ移動通信システムにおけるデータ伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ移動通信システムにおいて、中継ノード(Relay)を導入して、中継ノードと送信ノードとの間の協力を実現することにより、空間ダイバーシティを十分に利用し、システム全体のスループットを向上させる。現在の中継ノードの配置において、1つの方式は、中継ノードをマクロセルの内部に置くことである。このとき、1つの中継ノードは、1つのみのマクロセル内のユーザに対してサービスを提供する。この方式は、このマクロセルのユーザのスループットを向上させることを目的とする。もう1つの方式は、中継ノードをマクロセルの境界に置くことである。このとき、1つの中継ノードは、2つまたは3つのマクロセルのユーザに対してサービスを提供することができる。この方式は、セル端ユーザの干渉を減少することを目的とする。説明の便宜上、中継ノードが同時に複数のマクロ基地局と通信する能力を有する場合、その中継ノードを共有中継と呼び、ある時点で中継ノードが1つのみの基地局と通信する場合、その中継ノードを専用中継と呼ぶ。
【0003】
専用中継について、システム全体のスループットを向上させる方法の1つは、図1に示すような多元接続中継チャネル(MARC:Multiple Access Relay Channel)構成を利用して、ネットワークコーディングを導入し、複数のソースノードが同時に宛先ノードと通信することを許可することにより、スペクトル効率を向上させ、さらにマクロセルのユーザのスループットを向上させることである。
【0004】
共有中継について、セル間干渉を低減させる方法の1つは、図2に示すようなMSMD(Multiple Sources Multiple Destinations)構成を利用して、ネットワークコーディングを導入し、複数のソースノードが同時に複数の宛先ノードと通信するとき、共有中継を介して混合信号を複数の宛先ノードへブロードキャストすることにより、宛先ノードがマルチチャネル混合信号により干渉を除去することである。
【0005】
上記のMARCおよびMSMDの構成に基づき、現在では、ユーザのスループットの向上、またはセル端ユーザの干渉の低減のために、複数のネットワークコーディング(NC:network coding)方式が提案されている。そのうち、MARCに基づくネットワークコーディング方式がMARC−NC方式と呼ばれてよく、MSMDに基づくネットワークコーディング方式がMSMD−NC方式と呼ばれてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、実際のシステムにおいて、ネットワーク配置方式が定められた後に、ある中継ノードには、いったい、MARC−NC機能を配置するか、それともMSMD−NC機能を配置するかについて、今まで具体的な解決策はまだない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の実施例は、中継ノードに配置するネットワークコーディング機能を決定できるデータ伝送方法を提供している。
【0008】
本発明の実施例に係るデータ伝送方法は、基地局が、中継ノードに対し、上りMARC−NC機能を起動するよう通知し、基地局が、中継ノードに対し、下りMSMD−NC機能を起動するよう通知し、基地局が、中継ノードの位置情報を取得して、該中継ノードがセルの境界にあるかどうかを判断し、該中継ノードがセルの境界にある場合、中継ノードに対し、上りMSMD−NC機能を起動するよう通知し、基地局、中継ノード、およびユーザは、中継ノードに配置されたMARC−NC機能またはMSMD−NC機能に基づいてデータ伝送を行う、ことを含む。
【0009】
本発明の別の実施例に係るデータ伝送方法は、基地局が、中継ノードに対し、上りMARC−NC機能を起動するよう通知し、基地局が、ユーザの干渉状況報告を受信し、隣接セルの負荷が予め設定された負荷閾値を超える場合、中継ノードに対し、下りMSMD−NC機能を起動するよう通知し、基地局が、中継ノードの位置情報を取得して、該中継ノードがセルの境界にあるかどうかを判断し、該中継ノードがセルの境界にある場合、中継ノードに対し、上りMSMD−NC機能を起動するよう通知し、基地局、中継ノード、およびユーザは、中継ノードに配置されたMARC−NC機能またはMSMD−NC機能に基づいてデータ伝送を行う、ことを含む。
【0010】
ここで、セルの境界は、異なるセルに属する2つのユーザがMSMD−NC方式を採用してデータ伝送を行ったときの性能が、同一のセルに属する2つのユーザがMARC−NC方式を採用してデータ伝送を行ったときの性能よりよい中継ノードの領域である。
【0011】
上記の基地局、中継ノード、およびユーザが、中継ノードに配置されたMARC−NC機能またはMSMD−NC機能に基づいてデータ伝送を行うことは、自局のMARC−NC方式候補リストに前記ユーザがあるかどうか、および、自局のMSMD−NC方式候補リストに前記ユーザがあるかどうかを判断し、自局のMARC−NC方式候補リストにも前記ユーザがあるし、自局のMSMD−NC方式候補リストにも前記ユーザがあると、前記ユーザの、MSMD−NC方式を採用するときのスループットとMARC−NC方式を採用するときのスループットとを比較し、MSMD−NC方式を採用するときのスループットがMARC−NC方式を採用するときのスループットより高い場合、MSMD−NC方式を採用してデータ伝送を行い、MSMD−NC方式を採用するときのスループットがMARC−NC方式を採用するときのスループットより高くない場合、MARC−NC方式を採用してデータ伝送を行い、自局のMARC−NC方式候補リストのみに前記ユーザがあると、MARC−NC方式を採用してデータ伝送を行い、自局のMSMD−NC方式候補リストのみに前記ユーザがあると、MSMD−NC方式を採用してデータ伝送を行い、自局のMSMD−NC方式候補リストにも前記ユーザがないし、自局のMARC−NC方式候補リストにも前記ユーザがないと、データ伝送を直接に行う、ことを含む。
【0012】
上記方法は、MARC−NC方式候補リストおよびMSMD−NC方式候補リストを作成することをさらに含む。
【0013】
ここで、MARC−NC方式候補リストを作成することは、ユーザから直接リンクを介して送信された第1参照信号および転送リンクを介して送信された第2参照信号をそれぞれ受信し、前記第1参照信号と第2参照信号との強度を比較し、第2参照信号の強度が第1参照信号の強度より高くて、かつ該ユーザが上りトラフィックフローを有する場合、該ユーザをMARC−NC方式候補リストに追加する、ことを含む。
【0014】
MSMD−NC方式候補リストを作成することは、ユーザが本セルおよび隣接セルの参照信号を測定し、本セルと隣接セルとの参照信号強度の差が予め設定された参照信号閾値より小さい場合、該ユーザが隣接セルのIDおよび本セルの直接リンクのチャネル状態情報を本セルの基地局に報告し、中継ノードがMSMD−NCを起動した場合、基地局が、ユーザに対し、転送リンクを介して転送された本セルの参照信号を測定するよう通知し、ユーザが、測定により得られた、転送リンクを介して転送された本セルの参照信号に基づいて、転送リンクのチャネル条件を得て、転送リンクのチャネル条件を本セルの基地局に報告し、本セルの直接リンクのチャネル条件および転送リンクのチャネル条件に基づいて、転送リンクの品質が直接リンクよりよいかどうかを判断し、転送リンクの品質が直接リンクよりよい場合、該ユーザをMSMD−NC方式候補リストに追加する、ことを含む。
【0015】
または、MSMD−NC方式候補リストを作成することは、中継ノードがすべてのユーザから送信された参照信号を測定し、2つのセルからのユーザの参照信号強度の差が所定の第1閾値より小さくて、かつ前記2つのセルからのユーザの参照信号強度がいずれも所定の第2閾値より大きい場合、前記2つのセルからのユーザの参照信号フォーマットを前記2つのセルの基地局に通知し、前記2つのセルの基地局がそれぞれ、受信された参照信号フォーマットに基づいてユーザ身分識別子(ID)を決定して、該ユーザIDに対応するユーザを自局のMSMD−NC方式候補リストに追加する、ことを含む。
【発明の効果】
【0016】
ここから分かるように、本発明の実施例において、中継ノードの位置に基づいて(または、さらにセルの負荷状況に基づいて)、中継ノードにMARC−NC機能またはMSMD−NC機能を配置するかどうかを決定することができる。このように、中継ノードに相応のネットワークコーディング機能を配置した後に、基地局およびユーザは、中継ノードに配置されたネットワークコーディング機能に基づいてデータ伝送を行うことができる。これにより、より大きなスループットを得、システムの性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来のMARC構成を示す図である。
図2】従来のMSMD構成を示す図である。
図3】MARC−NC方式を下りトラフィックフローに用いる一例を示す図である。
図4】ネットワークのトポロジー構成を示す図である。
図5】本発明の実施例に係るデータ伝送方法のフローチャートである。
図6】本発明の別の実施例に係るデータ伝送方法のフローチャートである。
図7】本発明の実施例において基地局とユーザとは中継ノードに配置されたMARC−NC機能またはMSMD−NC機能に基づいてデータ伝送を行う方法のフローチャートである。
図8】MARC−NC方式候補リストを作成する方法のフローチャートである。
図9】MSMD−NC方式候補リストを作成する方法のフローチャートである。
図10】MSMD−NC方式候補リストを作成する別の方法のフローチャートである。
図11】MARC−NC方式を採用するときのシステムの総スループットと中継ノードから基地局までの距離との間の関係、および、MSMD−NC方式を採用するときのシステムの総スループットと中継ノードから基地局までの距離との間の関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実際のネットワーク配置において、MARC−NC方式およびMSMD−NC方式を合理的に利用してデータ伝送を行うために、本発明は、中継ノードが同時にMARC−NC機能およびMSMD−NC機能を配置できるときのデータ伝送ポリシーを提供している。
【0019】
選択ポリシーを提供するために、まず、異なる条件でのMARC−NC方式とMSMD−NC方式との特性を比較する。具体的に、例えば表1に示す通りである。
【0020】
【表1】
【0021】
以下、上りおよび下りトラフィックフローにおけるMARC−NC方式とMSMD−NC方式との性能をそれぞれ詳しく比較する。
【0022】
まず、下りトラフィックフローにおけるMARC−NC方式とMSMD−NC方式との性能を比較する。
【0023】
図1に示すMARCの構成図からわかるように、MARC−NC方式を上り伝送に用いるのは非常に自然であるが、特別に設計してはじめて、MARC構成を下りデータ伝送に用いることができる。図3は、MARC−NC方式を下りトラフィックフローに用いる例を示す。この例では、基地局1と基地局2とは、まず、それぞれのデータ情報を交換する必要がある。そして、前の2つのタイムスロットで、基地局1、基地局2、中継ノード、およびユーザ1は1つのMARC構成を構成し、後ろの2つのタイムスロットで、基地局1、基地局2、中継ノード、およびユーザ2はもう1つのMARC構成を構成する。図3図2とを比較することから、実際、図3に示す構成そのものはMSMD構成であることが分かる。従って、下りトラフィックフローにおけるMARC−NC方式とMSMD−NC方式との性能を比較することは、即ち、4タイムスロットのMARC−NCと従来のMSMD−NC方式との性能を比較することである。一般性を失うことなく、図2における受信ノード1および図3におけるユーザ1の性能のみを分析および比較してもよい。
【0024】
MSMD−NC方式を採用するとき、ユーザ1が前の2つのタイムスロットで受信した信号は下記の数式1に示すことが知られている。
【数1】
ここで、Hijはチャネル条件を表し、i、j=0または1であり、その具体的な意味が図3に示す通りであり、例えば、H11は基地局1からユーザ1までのチャネル条件を代表し、P、PおよびPrはそれぞれ基地局1、基地局2および中継ノードの送信電力を表し、NおよびNrはそれぞれユーザ1における熱雑音および中継ノードにおける熱雑音を表し、ここで、N(1)およびN(2)はそれぞれ第1タイムスロットおよび第2タイムスロットにおけるユーザ1の熱雑音を表し、XおよびXはそれぞれ基地局1および基地局2から送信されたデータを代表する。
【0025】
MSMD−NC方式を採用するとき、Xのみはユーザ1の必要なデータであり、Xはユーザ2からの干渉に属することが知られている。このとき、最小平均二乗誤差(MMSE)受信機を採用してこの信号を処理するとすると、得られるXのSINRの表現式は下記の数式2に示す通りである。
【0026】
【数2】
【0027】
また、MARC−NC方式を採用するとき、前の2つのタイムスロットでユーザ1が受信した信号は数式1と同じであることが知られている。ただ1つの区別として、XおよびXはいずれもユーザ1の必要なデータである。同様に、MMSE受信機を採用してこの信号を処理するとすると、得られるXのSINRの表現式は下記の数式3に示す通りである。
【0028】
【数3】
【0029】
従って、上記の分析から、SINRの性能からみて、MARC−NC方式を採用するか、MSMD−NC方式を採用するかにかかわらず、得られるSINR性能は同じであることが発見される。しかし、MARC−NC方式を採用するとき、基地局の間で余計なデータ交換を行うことが必要となるため、下りトラフィックフローの方向では、ユーザ間干渉の除去およびシステムのスループットの向上を必要とする場合であって、かつセル負荷などのほかの要素の影響を考慮しない場合、MSMD−NC方式を採用すべきである。
【0030】
上りトラフィックフローについて、研究から、中継ノードがセルの境界にあるかどうかにかかわらず、MARC−NC方式を採用すると、一定の程度でシステムの性能を向上できることが発見される。
【0031】
次に、上りトラフィックフローにおけるMARC−NC方式とMSMD−NC方式との性能を比較する。
【0032】
上りトラフィックフローの性能分析は、下りトラフィックフローの性能分析より複雑である。上りトラフィックフローでは、送信ノード(即ち、ユーザ)の位置がその性能に極めて大きな影響を与えるためである。MARC構成そのものは、上りトラフィックフローのために設計されるものである。図1に示すMARC構成から分かるように、中継ノードの位置は2つのユーザ(送信ノード)と基地局(受信ノード)との間にあったほうがよい。MSMD−NC方式を採用するとき、2つのユーザは異なるセルからのものであるため、中継ノードの位置はこの2つのセルの境界にあったほうがよい。しかしながら、どのような位置がセルの境界と呼ぶことができるかが問題となる。本開示では、セルの境界を以下のように定義する。中継ノードがある領域Aにあることで、異なるセルに属する2つのユーザがMSMD−NC方式を採用してデータ伝送を行ったときの性能が、同一のセルに属する2つのユーザがMARC−NC方式を採用してデータ伝送を行ったときの性能よりよい場合、領域Aをセルの境界と呼ぶ。実際の応用において、ネットワークの実際のトポロジー構成に基づいて、シミュレーションまたは実際の測定などの手段によりセルの境界を決定することができる。
【0033】
以下、TS 36.814に定義されたチャネルモデルを例として、シミュレーション手段によりセルの境界を決定する方法を簡単に説明する。ネットワークのトポロジー構成は、図4に示すようなものとする。図4に示すように、基地局1および基地局2は隣接する2つの基地局であり、ここで、ユーザ1およびユーザ2のサービング基地局は基地局1であり、ユーザ3のサービング基地局は基地局2である。MARC−NC方式を採用するとき、ユーザ1および2が基地局1から遠くて、そして、中継ノードも基地局1から遠いため、得られる性能は比較的に悪い。しかし、MSMD−NC方式を採用するとき、中継ノードが基地局1と基地局2との間に位置し、かつユーザ3が中継ノードから近いため、得られる性能は比較的によい。このような場合、中継ノードが基地局1へ移動すると、MARC−NC方式を採用して得られる性能はますますよくなるが、MSMD−NC方式を採用して得られる性能はますます悪くなる。従って、MARC−NC方式を採用して得られる性能がMSMD−NC方式を採用して得られる性能と等しくなるように、1つの中継ノードの位置を探せれば、セルの境界を決定することができる。シミュレーションから、中継ノードと基地局1との間の距離が0.83rに等しい場合、MARC−NC方式を採用して得られる性能がMSMD−NC方式を採用して得られる性能と等しくなり、中継ノードと基地局1との間の距離が0.83rより小さい場合、MARC−NC方式を採用して得られる性能がMSMD−NC方式を採用して得られる性能よりよくなり、中継ノードと基地局1との間の距離が0.83rより大きい場合、MARC−NC方式を採用して得られる性能がMSMD−NC方式を採用して得られる性能より悪くなることが発見され、ここで、rは基地局1と基地局2との間の距離の半分を代表する。従って、上記のシミュレーション結果から、中継ノードが(0.83r,r)の間にあるとき、中継ノードがセルの境界にあると認めることを決定することができる。
【0034】
説明すべきところとして、上記の結論はTS 36.814に定義されたチャネルモデルに基づき得られるものであるが、ほかのチャネルモデルを採用しても、上記の方法によりセルの境界の正確な範囲を得ることができる。
【0035】
また、シミュレーションの方法以外に、上記の考え方に従って実際の測定を行うこともでき、このように得られるセルの境界はもっと正確なものになる。
【0036】
上記の説明から、以下のような結論を得ることができる。即ち、上りトラフィックフローにとって、いったい、MARC−NC方式を採用する方がよいか、それともMSMD−NC方式を採用する方がよいかを直ちに判断することができないが、まず、中継ノードの位置がセルの境界にあるかどうかを判断する必要があり、中継ノードの位置がセルの境界にある場合、MSMD−NC方式を採用してよく、中継ノードの位置がセルの境界にない場合、MARC−NC方式を採用してよい。
【0037】
以上の研究結果に基づき、プリコーディング方式を選択するための第1の基本原則を決定することができる。即ち、
1)下りトラフィックフローについて、中継ノードはMSMD−NC機能を起動し、
2)上りトラフィックフローについて、中継ノードは、MARC−NC機能を起動し、中継ノードがセルの境界にある場合、さらにMSMD−NC機能を起動する。
【0038】
ここで、上記のMARC−NC機能を起動する意味は、中継ノードが、自局と接続されるユーザを自局のMARC−NC方式候補リストに入れ、自局のMARC−NC方式候補リストに複数のユーザがある場合、そのうちの2つのユーザを選択してペアにして、MARC構成を構成し、MARC−NC方式を採用してデータ伝送を行うことを可能にすることであり、上記のMSMD−NC機能を起動する意味は、中継ノードが、自局と接続されるユーザを自局のMSMD−NC方式候補リストに入れ、MSMD−NC方式候補リストに複数のユーザがある場合、そのうちの2つのユーザを選択してペアにして、MSMD構成を構成し、MSMD−NC方式を採用してデータ伝送を行うことを可能にすることである。
【0039】
上記のプリコーディング方式を選択するための第1の基本原則を基にして、セルの負荷をさらに考慮して、上記の基本原則を改善することができる。MSMD−NC方式を採用する主な目的は、セル間干渉を低減することであるため、2つの隣接セルの負荷がいずれも重くない場合、従来のスケジューリング方法によりリソースのスケジューリングを行って、隣接セルに異なるリソースを使用させることにより、干渉を回避することができ、MSMD−NC方式を採用する必要はない。その原因として、隣接セルの負荷がいずれも重くない場合でも中継ノードでMSMD−NC機能を起動すると、かえって中継ノードがパイロットを転送するためのエネルギーを余計に消耗してしまい、伝送性能の低下につながる。上記の研究結果に基づき、さらに、プリコーディング方式を選択するための第2の基本原則を決定することができる。即ち、
1)下りトラフィックフローについて、セル負荷が予め設定された負荷閾値より大きい場合、中継ノードはMSMD−NC機能を起動し、
2)上りトラフィックフローについて、中継ノードは、MARC−NC機能を起動し、中継ノードがセルの境界にあって、かつ、セル負荷が予め設定された負荷閾値より大きい場合、さらにMSMD−NC機能を起動する。
【0040】
上記の2つの基本原則のうちの第1の原則に基づき、本発明の実施例はデータ伝送方法を提供している。相対的に基地局の方がグローバル制御の能力を有するため、上記のフローは基地局により実行することができる。本発明の実施例で提供されているデータ伝送方法の具体的なフローは、図5に示すように、主に以下のステップを含む。
【0041】
ステップ101で、中継ノードに対し、上りMARC−NC機能を起動するよう通知する。
【0042】
ステップ102で、中継ノードに対し、下りMSMD−NC機能を起動するよう通知する。
【0043】
ステップ103で、中継ノードの位置情報を取得して、該中継ノードがセルの境界にあるかどうかを判断し、該中継ノードがセルの境界にある場合、ステップ104に進み、中継ノードに対し、上りMSMD−NC機能を起動するよう通知する。
【0044】
上記の2つの基本原則のうちの第2の原則に基づき、本発明の実施例はデータ伝送方法を提供している。相対的に基地局の方がグローバル制御の能力を有するため、上記のフローも基地局により実行することができる。本発明の実施例で提供されているデータ伝送方法の具体的なフローは、図6に示すように、主に以下のステップを含む。
【0045】
ステップ101で、中継ノードに対し、上りMARC−NC機能を起動するよう通知する。
【0046】
ステップ102’で、ユーザの干渉状況報告を受信し、隣接セルの負荷が予め設定された負荷閾値を超える場合、中継ノードに対し、下りMSMD−NC機能を起動するよう通知する。通常の場合で、ユーザは、サービングセルと隣接セルとのチャネル条件の差が所定の閾値より小さいことを検出するとき、自局のサービングセルの基地局へ干渉状況報告を報告する。
【0047】
具体的に、上記のサービングセルおよび隣接セルのチャネル条件は、サービング基地局からのパイロット信号強度および隣接基地局からのパイロット信号強度により表すことができ、例えば、ユーザが検出した、サービング基地局からのパイロット信号強度と隣接基地局からのパイロット信号強度との差が所定の閾値(例えば5dB)より小さい場合、ユーザは自局のサービング基地局へ干渉状況報告を報告する。
【0048】
ステップ103で、中継ノードの位置情報を取得して、該中継ノードがセルの境界にあるかどうかを判断し、該中継ノードがセルの境界にある場合、ステップ104に進み、中継ノードに対し、上りMSMD−NC機能を起動するよう通知し、その後、ステップ105に進み、該中継ノードがセルの境界にない場合、直接にステップ105に進む。
【0049】
ステップ105で、基地局、中継ノード、およびユーザは、中継ノードに配置されたMARC−NC機能またはMSMD−NC機能に基づいてデータ伝送を行う。
【0050】
上記の2つの方式から分かるように、本発明の実施例において、中継ノードの位置に基づいて(または、さらにセルの負荷状況に基づいて)、中継ノードにMARC−NC機能またはMSMD−NC機能を配置するかどうかを決定することができる。中継ノードに相応のネットワークコーディング機能を配置した後に、基地局およびユーザは、中継ノードに配置されたネットワークコーディング機能に基づいてデータ伝送を行うことができる。これにより、より大きなスループットを得、システムの性能を向上させる。
【0051】
上記のデータ伝送方法に基づき、本発明の実施例は、上記のステップ105において、基地局、中継ノード、およびユーザが中継ノードに配置されたMARC−NC機能またはMSMD−NC機能に基づいてデータ伝送を行う方法をさらに提供している。図7に示すように、上記のステップ105は以下のようなステップを含む。
【0052】
ステップ1051で、自局のMARC−NC方式候補リストに該ユーザがあるかどうかを判断し、自局のMARC−NC方式候補リストに該ユーザがある場合、ステップ1052に進み、自局のMARC−NC方式候補リストに該ユーザがない場合、ステップ1053に進む。
【0053】
ステップ1052で、自局のMSMD−NC方式候補リストに該ユーザがあるかどうかを判断し、自局のMSMD−NC方式候補リストに該ユーザがある場合、ステップ1054に進み、自局のMSMD−NC方式候補リストに該ユーザがない場合、ステップ1055に進む。
【0054】
ステップ1053で、自局のMSMD−NC方式候補リストに該ユーザがあるかどうかを判断し、自局のMSMD−NC方式候補リストに該ユーザがある場合、ステップ1056に進み、自局のMSMD−NC方式候補リストに該ユーザがない場合、ステップ1057に進む。
【0055】
ステップ1054で、該ユーザの、MSMD−NC方式を採用するときのスループットとMARC−NC方式を採用するときのスループットとを比較し、MSMD−NC方式を採用するときのスループットがMARC−NC方式を採用するときのスループットより高い場合、MSMD−NC方式を採用してデータ伝送を行い、MSMD−NC方式を採用するときのスループットがMARC−NC方式を採用するときのスループットより高くない場合、MARC−NC方式を採用してデータ伝送を行う。
【0056】
ステップ1055で、MARC−NC方式を採用してデータ伝送を行う。
【0057】
ステップ1056で、MSMD−NC方式を採用してデータ伝送を行う。
【0058】
ステップ1057で、データ伝送を直接に行う。
【0059】
ここから分かるように、ユーザのペアリングの選択について、本発明の実施例では、中継ノードに配置された機能に基づいて、または、さらにユーザのスループットに基づいて、ユーザをMARCユーザペアにペアリングすることによりMARC−NC方式を採用してデータ伝送を行うか、それともMSMDユーザペアにペアリングすることによりMSMD−NC方式を採用してデータ伝送を行うかを決定することができる。
【0060】
上記の方式をさらに改善するために、本発明の実施例は、基地局がMARC−NC方式候補リストおよびMSMD−NC方式候補リストを作成する具体的な方法も提供している。
【0061】
具体的に、上記のMARC−NC方式候補リストを作成する方法は、基地局により実行することができる。図8に示すように、この方法は以下のようなステップを含む。
【0062】
ステップ201で、ユーザから直接リンクを介して送信された第1参照信号および転送リンクを介して送信された第2参照信号をそれぞれ受信する。
【0063】
説明すべきところとして、説明の便宜上、ユーザと基地局との間に中継ノードの転送を経ないデータ伝送リンクを直接リンクと呼ぶが、ユーザと基地局との間に中継ノードの転送を経るデータ伝送リンクを転送リンクと呼ぶ。
【0064】
ステップ202で、前記第1参照信号と第2参照信号との強度を比較し、第2参照信号の強度が第1参照信号の強度より高くて、かつ該ユーザが上りトラフィックフローを有する場合、該ユーザをMARC−NC方式候補リストに追加する。
【0065】
上記のMSMD−NC方式候補リストを作成する方法は、ユーザと基地局とが協力して実行することができ、図9に示すように、以下のようなステップを含む。
【0066】
ステップ301で、ユーザは本セルおよび隣接セルの参照信号を測定する。
【0067】
ステップ302で、本セルと隣接セルとの参照信号強度の差が予め設定された参照信号閾値より小さい場合、該ユーザは隣接セルのIDおよび本セルの直接リンクのチャネル状態情報を本セルの基地局に報告する。
【0068】
ステップ303で、中継ノードがMSMD−NCを起動した場合、基地局は、ユーザに対し、転送リンクを介して転送された本セルの参照信号を測定するよう通知する。
【0069】
ステップ304で、ユーザは、測定により得られた、転送リンクを介して転送された本セルの参照信号に基づいて、転送リンクのチャネル条件を得て、転送リンクのチャネル条件を本セルの基地局に報告する。
【0070】
ステップ305で、本セルの直接リンクのチャネル条件および転送リンクのチャネル条件に基づいて、転送リンクの品質が直接リンクよりよいかどうかを判断し、転送リンクの品質が直接リンクよりよい場合、該ユーザをMSMD−NC方式候補リストに追加する。
【0071】
具体的に、上記の本セルの直接リンクのチャネル条件および転送リンクのチャネル条件は、直接リンクを介して受信されたパイロット信号の強度および転送リンクを介して受信されたパイロット信号の強度により表すことができ、例えば、転送リンクを介して受信されたパイロット信号の強度が直接リンクを介して受信されたパイロット信号の強度より大きい場合、該ユーザをMSMD−NC方式候補リストに追加することができる。
【0072】
MSMD−NC方式候補リストを作成するもう1つの方法は、ユーザと基地局とが共同して実行することができ、図10に示すように、以下のようなステップを含む。
【0073】
ステップ401で、中継ノードはすべてのユーザから送信された参照信号を測定する。
【0074】
ステップ402で、2つのセルからのユーザの参照信号強度の差が所定の第1閾値より小さくて、かつ前記2つのセルからのユーザの参照信号強度がいずれも所定の第2閾値より大きい場合、前記2つのセルからのユーザの参照信号フォーマットを前記2つのセルの基地局に通知する。
【0075】
ステップ403で、前記2つのセルの基地局はそれぞれ、受信された参照信号フォーマットに基づいてユーザ身分識別子(ID)を決定して、該ユーザIDに対応するユーザを自局のMSMD−NC方式候補リストに追加する。
【0076】
このように、上記の方法により、基地局は自局のMARC−NC方式候補リストおよびMSMD−NC方式候補リストを作成することができる。
【0077】
上記のように、本発明の実施例は、中継ノードの位置に基づいて中継ノードにMARC−NC機能またはMSMD−NC機能を配置するかどうかを決定できるため、よりよいネットワークコーディング方式を選択してシステムのスループットを向上させることができる。以下、シミュレーションにより、本発明の実施例の上記の技術的効果を詳しく説明する。
【0078】
まず、シミュレーションに用いるパラメータは、表2に示す通りである。
【0079】
【表2】
【0080】
上記のパラメータ設定に基づき、MARC−NC方式を採用するときのシステムの総スループット(総容量)と中継ノードから基地局までの距離との間の関係、および、MSMD−NC方式を採用するときのシステムの総スループット(総容量)と中継ノードから基地局までの距離との間の関係をシミュレーションした。シミュレーション結果は、図11に示す通りである。図11において、正方形印の曲線はMARC−NC方式を採用するときのシステムの総スループットと中継ノードから基地局までの距離との間の関係を示し、菱形印の曲線はMSMD−NC方式を採用するときのシステムの総スループットと中継ノードから基地局までの距離との間の関係を示し、丸印の曲線は中継ノードにネットワークコーディング方式を採用しないときの総スループットと中継ノードから基地局までの距離との間の関係を示す。図11から分かるように、いかなる条件でも最適な性能を表現できるネットワークコーディング方式は1つもない。従って、中継ノードの位置に基づいて、使用するネットワークコーディング方式を適応的に選択することにより、システムの性能が一定の条件で最適になることを可能にする。また、上記のように、ネットワークコーディング方式を適応的に選択するとき、ユーザの位置およびセル負荷などの要素をさらに考慮できれば、システムのスループットをさらに向上させ、よりよい性能表現を得ることができる。
【0081】
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の精神と原則内で行われる種々の修正、均等置換え、改善などは全て本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11