(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の折り畳みコンテナには、複数の折り畳みコンテナを上下に積み重ねた際に、折り畳みコンテナの左右方向の位置ずれを規制するための規制構成が設けられる場合がある。例えば、底壁の周縁全体を切り欠いてなる凹部を設ける。そして、折り畳みコンテナを積み重ねる際に、上段の折り畳みコンテナの上記凹部に対して、下段の折り畳みコンテナの各側壁の上縁部分を嵌合可能な構成とする。これにより、上段の折り畳みコンテナの底壁の側端面と、下段の折り畳みコンテナの各側壁内面とが当接して、折り畳みコンテナ間の左右方向の位置ずれが規制される。
【0006】
しかしながら、上記規制構成においては、下段の折り畳みコンテナ内に上段の折り畳みコンテナが落ち込みやすいという問題があった。つまり、上段の折り畳みコンテナの重量が重い場合や、上段の折り畳みコンテナの積み重ね位置が僅かにずれている場合には、上段の折り畳みコンテナから下段の折り畳みコンテナに対して側壁を外方へ押す力が作用する。これにより、下段の折り畳みコンテナの開口が押し広げられて、下段の折り畳みコンテナ内に上段の折り畳みコンテナが落ち込む。
【0007】
また、折り畳みコンテナは、折り畳み状態で上下に積み重ねた際にも、左右方向の位置ずれを規制できることが好ましい。
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、組み立て状態及び折り畳み状態において安定的に積み重ねることのできる折り畳みコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の折り畳みコンテナは、四角板状の底壁と、前記底壁の周縁に立設され
て対向する
とともに中空板材からなる各一対の第1側壁及び第2側壁を備え、前記底壁上に前記第1側壁及び前記第2側壁を折り畳み可能に構成された折り畳みコンテナにおいて、前記第1側壁及び前記第2側壁の上端面側部には係合突部が設けられ、前記底壁の上面側の隅部には、その周縁に沿って設けられるとともに、折り畳み状態にある前記第1側壁及び前記第2側壁よりも上方に突出する突出壁部が設けられ、前記底壁の下面側の隅部には、組み立て状態のコンテナを積み重ねる際に、前記係合突部に係合可能な溝状の内側凹部と、前記内側凹部よりも周縁側に設けられて、折り畳み状態のコンテナを積み重ねる際に、前記突出壁部に係合可能な外側凹部とが設けら
れ、前記外側凹部は、下方に開放された形状の凹部であり、折り畳み状態のコンテナを積み重ねる際に、前記突出壁部の上端が前記外側凹部の下面に当接している。
【0009】
組み立て状態の折り畳みコンテナを積み重ねた場合には、下段の折り畳みコンテナの第1側壁及び第2側壁に設けられる係合突部が、上段の折り畳みコンテナの底壁に設けられる内側凹部に係合する。これにより、上下段の折り畳みコンテナ間の左右方向の位置ずれが規制される。そして、下段の折り畳みコンテナの各側壁の上部に対して、外側へ押す力が作用した場合には、上段の折り畳みコンテナに設けられる溝状の内側凹部の外側の壁部に係合突部が当接することにより、開口部分を広げる方向への側壁の変形が規制される。その結果、下段の折り畳みコンテナ内に上段の折り畳みコンテナが落ち込むことが抑制される。更に、下段の折り畳みコンテナの各側壁の上部に対して、内側へ押す力が作用した場合には、上段の折り畳みコンテナに設けられる溝状の内側凹部の内側の壁部に係合突部が当接することにより、開口部分を狭める方向への側壁の変形が規制される。
【0010】
また、折り畳み状態の折り畳みコンテナを積み重ねた場合には、下段の折り畳みコンテナの底壁11に設けられる突出壁部が、上段の折り畳みコンテナの底壁に設けられる外側凹部に係合する。これにより、上下段の折り畳みコンテナ間の左右方向の位置ずれが規制される。
【0011】
上記折り畳みコンテナにおいて、前記外側凹部は、外側方及び下方に開放された形状の凹部であることが好ましい。この場合には、外側凹部を下方に開口する溝状に形成した場合のように、外側凹部の外周側にも壁部を設ける必要がなく、折り畳みコンテナの下部の外周形状が大きくなってしまうことを回避できる。
【0012】
上記折り畳みコンテナにおいて、前記第1側壁は、中空構造を有する合成樹脂製の中空板材により形成される第1側壁部と、前記第1側壁部の両側部に取り付けられる第1係合部材とを備え、前記第2側壁は、前記中空板材により形成される第2側壁部と、前記第2側壁部の両側部に取り付けられるとともに、組み立て状態において前記第1係合部材と係合して前記第1側壁と前記第2側壁とを固定する第2係合部材とを備え、前記係合突部は、前記第1係合部材及び前記第2係合部材の上端面に設けられていることが好ましい。この場合には、折り畳みコンテナを軽量化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の折り畳みコンテナによれば、組み立て状態及び折り畳み状態において安定的に積み重ねることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の折り畳みコンテナを図面に基づいて説明する。
図2に示すように、上方に開口する有底箱状の折り畳みコンテナ10(以下、単にコンテナ10と記載する。)は、長四角板状の底壁11と、底壁11の対向する短側縁に沿って立設された一対の短側壁12(第1側壁)と、底壁11の対向する長側縁に沿って立設された一対の長側壁13(第2側壁)とを備えている。このコンテナ10は、
図1に示すように、一対の短側壁12を底壁11上に重ねて折り畳んだ後、一対の長側壁13を短側壁12上に重ねて折り畳むことによって、折り畳み可能に構成されている。
【0016】
図3に示すように、コンテナ10は、中空構造を有する合成樹脂製の中空板材からなる本体部10aを備えている。本体部10aは、底壁11を構成する底壁部11aと、底壁部11aの短側縁に沿って立設され、短側壁12を構成する短側壁部12a(第1側壁部)と、底壁部11aの長側縁に沿って立設され、長側壁13を構成する長側壁部13a(第2側壁部)とを備えている。
【0017】
詳述すると、底壁部11aとなる長四角部分の四側縁に短側壁部12aとなる部分及び長側壁部13aとなる部分をそれぞれ一体にした十字状の中空板材を、底壁部11aとなる部分の四側縁に沿って箱状に屈曲させることによって、底壁部11a、短側壁部12a、及び長側壁部13aがそれぞれ形成されている。また、
図5に示すように、上記中空板材は、内部に中空構造を形成するコア層21と、コア層21の両面に接合されるスキン層22,23とから構成されるものである。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本体部10aに対して、射出成形や押出し成形等により別体として成形される各種部材が取り付けられることによって、コンテナ10が構成されている。具体的には、本体部10aの短側壁部12aの上部に短側係合部材30(第1係合部材)が取り付けられて、短側壁部12aと短側係合部材30とによってコンテナ10の短側壁12が構成されている。
【0019】
また、本体部10aの長側壁部13aの両側部に長側係合部材50(第2係合部材)が取り付けられるとともに、長側壁部13aの上部に上縁フレーム60が取り付けられている。そして、短側壁部12aと長側係合部材50と上縁フレーム60とによってコンテナ10の長側壁13が構成されている。また、本体部10aの底壁部11aの隅部に嵌合部材70が取り付けられて、底壁部11aと嵌合部材70とによってコンテナ10の底壁11が構成されている。
【0020】
次に、短側壁12ついて記載する。
図3に示すように、短側壁12を構成する短側壁部12aは、横長四角形状に形成されるとともに、その上部両側部に対して、短側係合部材30を取り付けるための挿入突部121がそれぞれ設けられている。
【0021】
図4に示すように、短側壁12を構成する短側係合部材30は、正面視略四角形状の板状部材である。
図4(b)に示すように、短側係合部材30の下端面の両側部には、短側壁部12aの挿入突部121を挿入するための挿入凹部31が設けられている。
【0022】
図4(a)に示すように、短側係合部材30の外面側の両側部には、上下方向に延びる係合凹部32がそれぞれ設けられている。係合凹部32内には、短側係合部材30の厚さ方向に突出する3つの突部33が上下に並設されている。
【0023】
また、短側係合部材30の外面側の上部には、左右方向に延びる収容凹部34が設けられている。短側係合部材30の外面側において、収容凹部34と係合凹部32とは、間に区画壁35を挟んで区画形成されている。区画壁35における突部33よりも上方に位置する部位には、区画壁35を貫通する挿通孔35aが形成されている。
【0024】
短側係合部材30の収容凹部34内にはロックバー36が収容されている。ロックバー36は、収容凹部34内を上下方向にスライド移動可能に配置される四角板状の部材である。ロックバー36の両側端面には、区画壁35の挿通孔35aに挿通されて係合凹部32に突出する係合部36aが設けられている。また、ロックバー36の下端面には、収容凹部34内において、ロックバー36を上方へ付勢する一対の付勢板36bが一体形成されている。また、短側係合部材30の中央部には、コンテナ10を把持する際に指を挿入するための把持孔37が貫通形成されている。
【0025】
図4(b)に示すように、短側係合部材30の上端面両側部には、第1係合突部38がそれぞれ設けられている。第1係合突部38は、短側係合部材30の上端面において、両端縁から短側壁12の幅方向(左右方向)に延びる突条であり、短側係合部材30の内側の縁部に沿って形成されている。
【0026】
図3及び
図5(a)に示すように、短側壁12を構成する短側壁部12aの下部には、短側壁部12aの下辺に沿って幅方向に延びる切込部12bが設けられている。切込部12bは、短側壁部12aの外面側から形成され、短側壁部12aの内面側に位置するスキン層23を残しつつ、短側壁部12aの外面側に位置するスキン層22及びコア層21を切断してなるハーフカットである。短側壁部12a(短側壁12)は、切込部12bにおいて残存する内側のスキン層23部分を屈曲させて、切込部12bを開いた状態とすることによって内方へ折り畳むことが可能になっている。つまり、切込部12bにおいて残存する内側のスキン層23部分をヒンジとして機能させている。
【0027】
次に、長側壁13ついて記載する。
図3に示すように、長側壁13を構成する長側壁部13aは、横長四角形状に形成されている。
【0028】
図6に示すように、長側係合部材50は、全体として上下方向に延びる断面L字状の板状部材であって、長側壁部13aに固定される固定壁部51と、固定壁部51の側縁から内方(短側壁12側)へ突出する係合壁部52とを備えている。固定壁部51の内側端面には、長側壁部13aの側縁を挿入するための挿入凹部53が設けられている。固定壁部51の下端面には、所定間隔をおいて一対の回動軸部54が設けられている。回動軸部54の両側部には側方へ突出する軸体54aが形成されている。
【0029】
係合壁部52は、組み立て状態において、短側壁12を構成する短側係合部材30と係合する部位であって、固定壁部51の内面側の外側縁に沿って上下方向に延びるように形成されている。係合壁部52には、係合壁部52を貫通する3つの係合孔55が上下に並設されるとともに、係合壁部52の側端面には係合溝56が凹設されている。また、係合溝56の下部には、係合壁部52の内側に開口する開口部56aが形成されている。
【0030】
また、固定壁部51の上端面には、第2係合突部57が設けられている。第2係合突部57は、長側壁13の幅方向(左右方向)に延びる突条であり、固定壁部51の内側の縁部に沿って形成されている。
【0031】
図1及び
図2に示すように、上縁フレーム60は、その下面側に溝を有する断面U字状の棒状部材であって、上記溝内に長側壁部13aの上縁を挿入させた状態として長側壁部13aに固定されている。
【0032】
図3及び
図5(b)に示すように、長側壁13を構成する長側壁部13aの下部には、長側壁13の下辺に沿って幅方向に延びる切込部13bが設けられている。そして、長側壁13は、切込部13bにおいて残存する内側のスキン層23部分を屈曲させて切込部13bを開いた状態とすることによって内方へ折り畳むことが可能になっている。
【0033】
また、長側壁13の切込部13bは、短側壁12の切込部12bよりも高い位置に形成されている。具体的には、長側壁13の切込部13bは、底壁11の上面から短側壁12の厚さ以上に高い位置に形成されている。これにより、長側壁13を折り畳んだ際に、底壁11と長側壁13との間に短側壁12を収容可能な空間S1が確保される。
【0034】
次に、底壁11ついて記載する。
図3に示すように、底壁11を構成する底壁部11aは、横長四角形状に形成されている。
【0035】
図7に示すように、底壁11を構成する嵌合部材70は、略三角板状の下壁部70aと、下壁部70aの短側壁12側の側縁から立設される縦壁部70bと、下壁部70aの長側壁13側の側縁から立設される横壁部70cとを備えている。下壁部70aの下面には、底壁部11aの隅部を取り付けるための取り付け凹部71が設けられている。
【0036】
横壁部70cの上端面は水平面状に形成されて、長側係合部材50の下面が載置される載置面となる。そして、横壁部70cの上端面には、所定間隔をおいて一対の軸受け部72が略四角孔状に凹設されている。軸受け部72は、長側係合部材50の回動軸部54が軸支される部位であり、回動軸部54と共にヒンジを形成する。
【0037】
図7(b)に示すように、軸受け部72の側端面の内方位置には、内側から外側へ向かって下降傾斜する傾斜面を有するとともに、下面側が平らに形成される略三角柱状の係止突部73が突設されている。そして、回動軸部54は、上方から軸受け部72内に挿入されて、軸受け部72における係止突部73の下面と軸受け部72の底面との間の空間S2内に軸体54aが収容されることによって、軸受け部72に対して回動可能に軸支される。
【0038】
また、嵌合部材70の縦壁部70b及び横壁部70cの上端面には、突出壁部74が設けられている。突出壁部74は、縦壁部70b及び横壁部70cの上端面の外側の縁部に沿って上面視L字状に形成されている。
【0039】
図7(b),(c)に示すように、嵌合部材70の下壁部70aの下面には、縦壁部70b側の側縁、及び横壁部70c側の側縁に沿って形成される下面視L字状の外側凹部75及び内側凹部76が設けられている。外側凹部75は、下壁部70aの縦壁部70b側の側縁、及び横壁部70c側の側縁を含むようにして形成され、外側方(上記各側縁側)及び下方に開放された形状の凹部である。
図7(b)に示すように、外側凹部75は、その幅H1が突出壁部74の幅よりも幅広となるように形成されている。
【0040】
内側凹部76は、下方に開口する溝状の凹部であって、外側凹部75の内側位置に形成されている。また、内側凹部76は、その幅H2が短側係合部材30に設けられる第1係合突部38、及び長側係合部材50に設けられる第2係合突部57の各幅よりも幅広となるように形成されている。
【0041】
次に、本実施形態のコンテナ10の組み立て方法について記載する。
コンテナ10は、保管時等の非使用時においては各側壁を折り畳んだ状態、具体的には、底壁11上に短側壁12が内方へ折り畳まれるとともに、その短側壁12上に長側壁13が内方へ折り畳まれた状態とされる。そして、コンテナ10は、必要に応じて作業者により箱状に組み立てた状態とされて使用される。
【0042】
図1に示すように、折り畳み状態にあるコンテナ10を箱状に組み立てる場合には、先ず、長側壁13を上方へ90度回動させる。このとき、長側壁13の中央部においては、切込部13bにおいて残存する内側のスキン層23部分を回動軸として長側壁部13aが回動する。また、長側壁13の両側部においては、長側係合部材50の回動軸部54における軸体54aの中心を回動軸として、嵌合部材70に対して長側係合部材50が回動する。
【0043】
そして、上方へ90度回動させて長側壁13が立設された状態においては、嵌合部材70の横壁部70c上に長側係合部材50が載置されることによって、長側壁13の立設状態が保持される。また、嵌合部材70の横壁部70cに設けられる突出壁部74は、長側壁13の外面側に配置されて、長側壁13を外面側から支持する。
【0044】
両長側壁13を立設させた後は、短側壁12の切込部12bにおいて残存する内側のスキン層23部分を回動軸として、短側壁12を上方へ90度回動させる。このとき、長側壁13を構成する長側係合部材50の係合壁部52の係合孔55に対して、隣接する短側壁12を構成する短側係合部材30の突部33が内側から挿入される。
【0045】
同時に、短側係合部材30のロックバー36を、下方へスライド移動させるように操作することにより、ロックバー36の係合部36aが、係合壁部52の係合溝56内に開口部56aを通じて挿入される。そして、付勢板36bの付勢力によりロックバー36が上方へ戻されると、ロックバー36の係合部36aが係合溝56内の上部へ移動する。これにより、短側壁12は内方への回動が規制されたロック状態となるとともに、長側壁13と短側壁12とが互いに固定された状態となる。また、短側壁12が立設された状態においては、嵌合部材70の縦壁部70bに設けられる突出壁部74は、短側壁12の外面側に配置されて、短側壁12を外面側から支持する。
【0046】
なお、箱状に組み立てた状態にあるコンテナ10を折り畳む場合には、上記の操作を逆の順番で行えばよい。
次に、本実施形態の作用について記載する。
【0047】
図8に示すように、本実施形態のコンテナ10は、複数段に積み重ねることができる。
図8(a)に示すように、組み立て状態のコンテナ10を積み重ねた場合には、下段のコンテナ10の短側壁12(短側係合部材30)に設けられる第1係合突部38、及び長側壁13(長側係合部材50)に設けられる第2係合突部57が、上段のコンテナ10の嵌合部材70(底壁11)に設けられる内側凹部76に嵌合する。これにより、上下段のコンテナ10間の左右方向の位置ずれが規制される。
【0048】
ここで、内側凹部76は、溝状に形成されて、その両側に壁部が存在している。そのため、コンテナ10の積み重ね時において、下段のコンテナ10の各側壁の上部に対して、外側へ押す力F(開口部分を広げる方向の力)が作用した場合に、第1係合突部38及び第2係合突部57が上段のコンテナ10の内側凹部76の外側の壁部に当接する。これにより、コンテナ10の開口部分を広げる方向への側壁の変形が規制されて、下段のコンテナ10内に上段のコンテナ10が落ち込むことが抑制される。
【0049】
更に、下段のコンテナ10の各側壁の上部に対して、内側へ押す力(上記力Fと反対方向の力)が作用した場合には、第1係合突部38及び第2係合突部57が上段のコンテナ10の内側凹部76の内側の壁部に当接する。これにより、コンテナ10の開口部分を狭める方向への側壁の変形が規制される。
【0050】
また、
図8(b)に示すように、折り畳み状態のコンテナ10を積み重ねた場合には、下段のコンテナ10の嵌合部材70(底壁11)に設けられる突出壁部74が、上段のコンテナ10の嵌合部材70(底壁11)に設けられる外側凹部75に嵌合する。これにより、上下段のコンテナ10間の左右方向の位置ずれが規制される。
【0051】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)コンテナ10の短側壁12及び長側壁13の上端面側部には、第1係合突部38及び第2係合突部57がそれぞれ設けられている。底壁11の隅部には、その周縁に沿って設けられるとともに、折り畳み状態にある短側壁12及び長側壁13よりも上方に突出する突出壁部74が設けられている。底壁11の隅部下面には、組み立て状態のコンテナ10を積み重ねる際に、第1係合突部38及び第2係合突部57に係合可能な溝状の内側凹部76と、内側凹部76よりも周縁側に設けられて、折り畳み状態のコンテナ10を積み重ねる際に、突出壁部74に係合可能な外側凹部75とが設けられている。
【0052】
上記構成によれば、組み立て状態及び折り畳み状態において安定的に積み重ねることができる。また、第1係合突部38及び第2係合突部57が上段のコンテナ10の内側凹部76の外側の壁部に当接して、コンテナ10の開口部分を広げる方向への側壁の変形が規制されることにより、ヒンジ部分や、各係合部材間の係合部位に作用する負荷が軽減される。
【0053】
また、組み立て状態のコンテナ10の積み重ね時には、第1係合突部38及び第2係合突部57が内側凹部76内に挿入されている。そして、折り畳み状態のコンテナ10の積み重ね時には、突出壁部74が外側凹部75内に挿入されている。そのため、運搬時の振動等により下段のコンテナ10に対して上段のコンテナ10が浮き上がるように上下に多少変動したとしても、内側凹部76から第1係合突部38及び第2係合突部57が外れて、又は外側凹部75から突出壁部74が外れて、上段のコンテナ10が脱落することが抑制される。特に、折り畳み状態のコンテナ10の積み重ね時においては、下段のコンテナ10の底壁11と上段のコンテナ10の底壁11との間に、下段のコンテナ10の短側壁12及び長側壁13が配置されて、上下のコンテナ10の底壁11間の隙間が少なくなっている。そのため、コンテナ10の脱落防止効果がより高くなる。
【0054】
(2)積み重ね時に下段のコンテナ10と係合させるべく、コンテナ10の底壁11の下面に設ける係合構成を、部分的な凹み(内側凹部76及び外側凹部75)によって形成している。そのため、コンテナ10の底壁11の下面の略全面をフラットに形成して、接地面を大きく確保することができる。この場合には、コンテナ10に作用する荷重を底壁11の下面全体で受けることができるため、底壁11の変形が抑制される。また、コンベアを用いてコンテナ10を移動させる際に、コンベア上を流れやすいコンテナ10となる。
【0055】
(3)外側凹部75は、外側方及び下方に開放された形状の凹部である。上記構成によれば、外側凹部75を下方に開口する溝状に形成した場合(
図8(b)の破線部分)のように、外側凹部75の外周側にも壁部を設ける必要がなく、コンテナ10の下部の外周形状が大きくなってしまうことを回避できる。なお、折り畳み状態のコンテナ10においては、折り畳まれた各側壁が底壁11上に位置しているため、外側凹部75を外側方(上記各側縁側)に開放された凹部形状としても、下段のコンテナ10内に上段のコンテナ10が落ち込むことは起こり難い。
【0056】
(4)コンテナ10の本体部10aを中空板材により形成している。上記構成によれば、コンテナ10を軽量化することができる。
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記実施形態を変更することも可能である。
【0057】
・ 外側凹部75についても、下方に開口する溝状に形成してもよい(
図8(b)の破線部分参照)。
・ 第1係合突部38及び第2係合突部57と内側凹部76との間の係合構成は、凹凸の関係による係合構成であれば、その具体的構成は特に限定されるものではない。突出壁部74と外側凹部75との間の係合構成についても同様である。
【0058】
・ 第1係合突部38は、短側壁12の幅方向に延びる突条として形成されていたが、第1係合突部38の形状はこれに限定されるものではない。例えば、短側壁12の幅方向に並設される複数の突起としてもよい。第2係合突部57についても同様である。
【0059】
・ 上記実施形態では、短側壁12の上端面両側部、即ち短側係合部材30の上端面両側部に第1係合突部38を設けていたが、上端面の片側の側部のみに第1係合突部38を設ける構成としてもよい。また、長側壁13の上端面両側部、即ち長側壁13の両側部に配置される長側係合部材50のそれぞれの上端面に第2係合突部57を設けていたが、一方の長側係合部材50の上端面にのみ第2係合突部57を設ける構成としてもよい。この場合には、外側凹部75及び内側凹部76についても、適宜省略することが可能である。
【0060】
・ 嵌合部材70において、突出壁部74は、突出壁部74は、縦壁部70b及び横壁部70cの上端面にそれぞれ形成されて全体として上面視L字状に形成されていたが、縦壁部70bの上端面又は横壁部70cの上端面にのみ形成してもよい。
【0061】
・ 底壁11の隅部に配置される嵌合部材70のそれぞれに、突出壁部74を設けていたが、特定の隅部に配置される嵌合部材70にのみ突出壁部74を設ける構成としてもよい。例えば、底壁11において対角に位置する二組の隅部のうちの一方側の隅部に配置される嵌合部材70にのみ突出壁部74を設ける構成としてもよい。
【0062】
・ 上記実施形態では、内側凹部76を下面視L字状に形成していたが、内側凹部76の形状はこれに限定されるものではない。例えば、縦壁部70b側の側縁に沿って形成される下面視I字状の第1内側凹部と、横壁部70c側の側縁に沿って形成される下面視I字状の第2内側凹部とに分割された形状であってもよい。
【0063】
・ 上記実施形態では、嵌合部材70の下面に外側凹部75及び内側凹部76を形成していたが、嵌合部材70の下面に外側凹部75を形成するとともに、中空板材により構成される底壁部11aの下面に内側凹部76を形成する構成としてもよい。また、底壁部11aの下面に外側凹部75及び内側凹部76を設けてもよい。更に、
図9(a),(b)に示すように、底壁部11aと嵌合部材70とを組み合わせることによって外側凹部75及び内側凹部76を形成してもよい。
【0064】
・ 短側係合部材30と長側係合部材50との係合構成は特に限定されるものではなく、箱状に組み立てた際に隣接する側壁同士が連結される構成であればよい。
・ 本体部10aを構成する中空板材は、コア層21及びスキン層22,23とから構成されるものに限定されない。例えば、断面がハーモニカ状等の押出し製品からなる中空板材であってもよい。
【0065】
・ 上記実施形態では、コンテナ10の一部が中空板材により構成されるものであったが、特許文献1のコンテナのように、射出成型等により成形された成形品を組み合わせて構成されるコンテナであってもよい。
【0066】
・ 各側壁の長短は特に限定されるものではない。例えば、長側壁13を第1側壁とし、短側壁12を第2側壁としてもよい。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
【0067】
(イ)前記底壁は、前記中空板材により形成される底壁部と、前記底壁部の隅部に取り付けられる嵌合部材とを備え、前記外側凹部及び前記内側凹部のうちの少なくとも一方は、前記嵌合部材の下面に設けられている前記折り畳みコンテナ。
【0068】
(ロ)前記底壁は、前記中空板材により形成される底壁部と、前記底壁部の隅部に取り付けられる嵌合部材とを備え、前記外側凹部及び前記内側凹部のうちの少なくとも一方は、前記底壁部と前記嵌合部材とを組み合わせることによって形成されている前記折り畳みコンテナ。